JP2012057980A - 温度検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コイルへの装着が容易に行うことが可能な検出精度の良い温度検出装置を提供する。
【解決手段】温度検出装置1は、回転電機のコイルを構成する線状導体40に当接する位置に配置され、当該線状導体40の温度を検出する温度センサ10と、線状導体40及び温度センサ10の外周を囲むように配置される包囲部材20と、線状導体40と温度センサ10とが向かい合う方向である対向方向における線状導体40及び温度センサ10を挟んだ両外側の少なくとも一方であって包囲部材20の内側に配置され、加熱により体積が膨張して硬化する材質で構成された熱膨張部材30と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、回転電機のコイルを構成する線状導体の温度を検出する温度検出装置に関する。
従来、コイルを有するステータと永久磁石を有するロータとを備えた回転電機が利用されている。このような回転電機は出力に応じてコイルや永久磁石の発熱量が大きくなる。このような発熱が過度に進行すると、コイルにおいては当該コイルを構成する導体を互いに絶縁する絶縁ワニスや各相コイル間を互いに絶縁する絶縁紙が絶縁破壊される可能性がある。このため、回転電機のコイルの温度を検出することは重要である。
回転電機には、例えば、丸線を用いて当該回転電機のコイルを構成しているものがある。この場合には、コイルと当該コイルの温度を検出するサーミスタとを密着させるために、サーミスタをコイル束の中に潜らせて固定することが考えられる。
一方、角線を用いて回転電機のコイルを構成しているものもある。この場合には、占積率向上のために太い角線を使用することが多い。このため、コイルとサーミスタとを密着して固定するために、サーミスタをコイル束の中に潜らせて固定することは容易ではない。
このように、丸線や角線を用いてコイルを構成した場合において、当該コイルにサーミスタを固定するのに利用可能な技術として、下記に出典を示す特許文献1に記載のものがある。
特許文献1に記載の回転電機では、サーミスタの固定に発泡樹脂を利用している。この回転電機では、サーミスタの外周が接着剤と発泡成分とを含む接着シートで取り囲まれ、サーミスタは2本の線材の間に埋め込まれる。
特開2007−89295号公報
上述のように、特許文献1に記載の回転電機では、サーミスタとコイルとの間には発泡樹脂を備えて構成される。このため、サーミスタには、コイルの温度が発泡樹脂を介して伝達される。ここで、発泡樹脂には気泡が存在するため、コイルからサーミスタへの熱伝導性は良くない。このため、高精度な温度検出を行うことは容易ではない。また、サーミスタはフッ素樹脂で覆われているものが多いので、ワニス等が使用されたコイルに対する固定が容易ではない。
そこで、コイルへの装着が容易に行うことが可能な検出精度の良い温度検出装置の実現が望まれる。
本発明に係る温度検出装置の特徴構成は、回転電機のコイルを構成する線状導体に当接する位置に配置され、当該線状導体の温度を検出する温度センサと、前記線状導体及び前記温度センサの外周を囲むように配置される包囲部材と、前記線状導体と前記温度センサとが向かい合う方向である対向方向における前記線状導体及び前記温度センサを挟んだ両外側の少なくとも一方であって前記包囲部材の内側に配置され、加熱により体積が膨張して硬化する材質で構成された熱膨張部材と、を備える点にある。
このような特徴構成によれば、線状導体及び温度センサの外周が包囲部材で囲まれた状態で、線状導体及び温度センサが対向方向の少なくともいずれか一方から熱膨張部材の体積の膨張に応じて互いに当接する方向に押圧されるので、熱膨張部材により線状導体と温度センサとの密着性を高めることができる。このため、線状導体の温度を適切に温度センサに伝達することができるので、検出精度を高めることができる。また、線状導体及び温度センサを包囲部材で囲みつつ、熱膨張部材を加熱するだけで温度センサを線状導体に装着することができる。したがって、コイルへの装着を容易に行うことが可能な温度検出装置を実現できる。
ここで、前記包囲部材及び前記熱膨張部材が、前記線状導体の延在方向における前記温度センサの両端部において、当該温度センサの前記延在方向の端面をまたいで前記延在方向の両側にわたって配置され、膨張後の前記熱膨張部材が、前記温度センサの前記端面に接する段差部を有すると好適である。
このような構成によれば、包囲部材及び熱膨張部材が温度センサの延在方向の端面をまたいで配置され、当該端面に接する段差部が形成されるので、当該段差部を抜け防止手段として利用できる。したがって、配置した温度センサを抜け難くすることができる。
また、前記温度センサが当接する対象となる前記線状導体である取付対象線状導体が、前記回転電機のステータにおけるステータコアから突出する円筒状のコイルエンド部の外周部に配置され、前記コイルエンド部の外周面に沿う円弧状部と、当該円弧状部の延在方向における少なくとも一方端部に設けられて前記ステータの軸方向一方側へ向けて屈曲されて、他の線状導体に接合される屈曲部とを備え、前記温度センサが、前記円弧状部における、前記屈曲部の屈曲方向とは反対側である軸方向他方側の面に当接する位置に配置されていると好適である。
このような構成によれば、円弧状部の軸方向他方側の面は平坦性を有して構成されるので、平坦な面を有する温度センサを比較的容易に配置することができる。したがって、線状導体と温度センサとの密着性を高めることができ、検出精度の良い温度検出を行うことが可能となる。
また、前記熱膨張部材の前記対向方向の膨張量が、前記熱膨張部材の膨張前における、前記線状導体と前記温度センサとの前記対向方向の隙間と、前記包囲部材の内面と前記線状導体及び前記温度センサとの間の前記対向方向の隙間との合計よりも大きく設定されていると好適である。
このような構成によれば、熱膨張部材の加熱前には温度センサを配置しやすくすると共に、熱膨張部材の加熱後には温度センサを確実に押圧することができる。したがって、温度センサを適切に支持しやすくなる。
また、前記熱膨張部材は、前記包囲部材の内面に一体的に設けられた発泡樹脂であり、
前記包囲部材は、前記対向方向の引張り荷重に対する変形率が前記熱膨張部材よりも小さい材質で構成されていると好適である。
このような構成によれば、包囲部材に比べて熱膨張部材の方が体積が膨張し易くなる。したがって、熱膨張部材の体積の膨張を外側から包囲部材により支持し、温度センサを線状導体に適切に装着することが可能になると共に、温度センサと線状導体との密着性を高めることができるので、検出精度の良い温度検出装置を実現することが可能となる。
第一の実施形態に係る温度検出装置を模式的に示した図である。 発泡樹脂シートを模式的に示した図である。 温度センサと線状導体との配置について示した図である。 膨張前の発泡樹脂シートの状態を示した図である。 膨張後の発泡樹脂シートの状態を示した図である。 温度検出層装置を回転電機の線状導体に配置する場合の例を示す図である。 図6の一部を拡大した図である。 第二の実施形態に係る温度検出装置を模式的に示した図である。 温度検出層装置を回転電機の線状導体に配置する場合の例を示す図である。 図9の一部を拡大した図である。 その他の実施形態に係る温度検出装置を示す図である。 その他の実施形態に係る温度検出装置の配置例(膨張前)を示す図である。 その他の実施形態に係る温度検出装置の配置例(膨張後)を示す図である。 その他の実施形態に係る温度検出装置を示す図である。 その他の実施形態に係る温度検出装置の配置例(膨張前)を示す図である。 その他の実施形態に係る温度検出装置の配置例(膨張後)を示す図である。 発泡樹脂シートの別実施形態について示す図である。 発泡樹脂シートの別実施形態について示す図である。
1.第一の実施形態
本発明に係る温度検出装置1は、回転電機のコイルを構成する線状導体に容易に取り付けることができ、当該線状導体の温度を適切に検出することが可能なように構成されている。以下、本温度検出装置1について図面を用いて説明する。
1−1.温度検出装置の構成
図1は、本温度検出装置1を模式的に示した図である。図1(a)は斜視図であり、図1(b)は延在方向(口述する)に直交する方向における断面図である。図1に示されるように、温度検出装置1は、温度センサ10、包囲部材20、熱膨張部材30を備えて構成される。温度センサ10は、回転電機MのコイルC(図6参照)を構成する線状導体40に当接する位置に配置され、当該線状導体40の温度を検出する。線状導体40は、延在方向(電流が流れる方向)に直交する面における断面形状が矩形状、より詳しくは角部を円弧状とした矩形状の導体で構成されている。このような線状導体40は、例えば銅やアルミニウム等を材料として構成することができる。また、線状導体40として、細線の集合である「より線」により1本の導体を構成したものを用いることもできる。図1には、延在方向に沿った線状導体40の一部が示される。本実施形態では、温度センサ10は、線状導体40における矩形状断面の一辺で構成される側面に当接する位置に配置され、線状導体40の温度を検出する。
温度センサ10は、例えばサーミスタにより構成することが可能である。サーミスタとは、温度の変化に応じて抵抗値が変化する素子である。サーミスタには、負の温度係数を有するもの、正の温度係数を有するものがあるが、どちらを用いた場合であっても好適に温度を検出することが可能である。温度検出センサ10には2本の導線10aが接続され、一方の導線10aに電源電圧が供給され、他方の導線10aから出力が取り出される。本実施形態では、図1及び図3に示すように、温度センサ10は、柱状(ここでは円柱状)に形成されている。なお、温度センサ10が角柱状(例えば四角柱状)や直方体状に形成されていても良い。
包囲部材20は、線状導体40及び温度センサ10の外周を囲むように配置される。上述のように温度センサ10は線状導体40の有する外周面のうち、一方の面に配置される。外周を囲むとは、本実施形態では、線状導体40及び温度センサ10を一体として見てこれらの径方向外側を周方向に囲むことが相当する。本実施形態では、包囲部材20は柔軟性を有するシート状部材とされている。このような包囲部材20としては、例えばポリイミドフィルムやガラス繊維基材等が好適に用いられる。
熱膨張部材30は、線状導体40と温度センサ10とが向かい合う方向である対向方向における線状導体40及び温度センサ10を挟んだ両外側の少なくとも一方であって包囲部材20の内側に配置される。上述のように、温度センサ10は線状導体40が有する外周面のうち、一方の面に配置される。したがって、線状導体40と温度センサ10とは線状導体40の延在方向に直交する方向に互いに向かい合うように配置される。本実施形態では、熱膨張部材30は、このような対向方向において、線状導体40及び温度センサ10を挟む両外側を含む包囲部材20の内側に配置される。したがって、熱膨張部材30は、線状導体40と包囲部材20との間、及び温度センサ10と包囲部材20との間に配置される。また、熱膨張部材30は、加熱により体積が膨張して硬化する材質で構成される。したがって、熱膨張部材30は加熱されると、線状導体40と包囲部材20との間、及び温度センサ10と包囲部材20との間で体積が膨張して硬化する。このような熱膨張部材30としては各種の熱硬化性発泡樹脂を用いることができる。
図2には、本実施形態に用いられる包囲部材20及び熱膨張部材30からなる発泡樹脂シート50の部分断面図が示される。図2(a)は熱膨張部材30の膨張前を示し、図2(b)は熱膨張部材30の膨張後を示す。本実施形態では、熱膨張部材30は、包囲部材20の内面に一体的に設けられた発泡部材からなる。このような発泡部材は、加熱により体積が膨張し、当該膨張した状態で硬化する(図2(b)参照)。包囲部材20は、対向方向の引張り荷重に対する変形率が熱膨張部材30よりも小さい材質で構成される。対向方向への引っ張り荷重に対する変形率とは、対向方向へ引っ張った場合における、当該引っ張った方向への伸び率、すなわち伸びる割合である。包囲部材20は、対向方向への伸び率が熱膨張部材30の伸び率より小さい材質で構成される。弾性率(弾性係数)が既知である場合には、包囲部材20は、対向方向への弾性率(弾性係数)が熱膨張部材30よりも小さい弾性率(弾性係数)を有する材料で構成することが可能である。
1−2.温度検出装置の製造方法
次に、温度検出装置1の製造方法について、図を用いて説明する。図3(a)には斜視図が示され、図3(b)には側面図が示される。まず、図3(a)及び図3(b)に示されるように、温度センサ10は線状導体40の延在方向に沿って配置される。本実施形態では、柱状の温度センサ10が、線状導体40の延在方向に平行に当該線状導体40に接して配置される。
次に、図4(a)及び図4(b)に示されるように、発泡樹脂シート50を、温度センサ10及び線状導体40の外周を囲むように配置する。ここで、図4(a)は側方断面図であり、図4(b)は線状導体40の延在方向に直交する方向の断面図である。この状態では、発泡樹脂シート50を加熱する前であるので、線状導体40と温度センサ10との間には対向方向に隙間があっても良く、包囲部材20の内面と線状導体40及び温度センサ10との間にも隙間があっても良い。したがって、温度センサ10と線状導体40とは密着していない。
この状態で、発泡樹脂シート50を加熱する。加熱により、図5(a)及び図5(b)に示されるように、包囲部材20の内面に一体的に設けられた熱膨張部材30の体積が膨張して硬化する。ここで、熱膨張部材30の対向方向の膨張量は、熱膨張部材30の膨張前における、線状導体40と温度センサ10との対向方向の隙間と、包囲部材20の内面と線状導体40及び温度センサ10との間の対向方向の隙間との合計よりも大きく設定されている。これにより、熱膨張部材30の体積が膨張すると、温度センサ10と線状導体40とが互いに対向方向に押し付けられ、温度センサ10と線状導体40との密着性が高まる。
ここで、図5(a)に示されるように、包囲部材20及び熱膨張部材30は、線状導体40の延在方向における温度センサ10の両端部において、当該温度センサ10の延在方向の端面11をまたいで延在方向の両側にわたって配置される。延在方向の端面11をまたいで延在方向の両側にわたって配置されるとは、図5(a)に示されるように、温度センサ10の延在方向の端面11の夫々に対して、延在方向内側(温度センサ10の延在方向中央側)から延在方向外側まで連続的に配置されていることを示す。
このような状態で熱膨張部材30が加熱されると、温度センサ10に対向している部分では温度センサ10により熱膨張部材30の径方向内側への膨張が規制されるが、温度センサ10に対向していない部分では熱膨張部材30の径方向内側への膨張が規制されない。したがって、膨張後の熱膨張部材30が、温度センサ10の端面11に接する段差部51を有するようになる。段差部51は、径方向押付部52、延在方向押付部53、小径部54からなる。径方向押付部52は、熱膨張部材30の内周面における温度センサ10と当接している部分であり、当該温度センサ10を径方向内側に押し付ける。また、小径部54は、熱膨張部材30の内周面における温度センサ10と当接していない部分であり、材料特性に応じて径方向内側へ膨張した部分である。小径部54は、径方向押付部52よりも小径になる。延在方向押付部53は、径方向押付部52と小径部54との間の部分であり、温度センサ10の端面11を延在方向外側から延在方向内側(温度センサ10の延在方向中央側)へ押し付ける。このような段差部51が温度センサ10の延在方向両端部に設けられることにより、温度センサ10が延在方向に抜けることを規制することができる。なお、ここでは、温度センサ10の径方向は、温度センサ10の延在方向に直交する方向に相当する。
1−3.温度検出装置の取り付け位置
次に、温度検出装置1を回転電機Mに取り付ける位置の例について図を用いて説明する。図6は回転電機MのステータSの軸方向一端側の全体を示す斜視図であり、図7には温度検出装置1が取り付けられた部分の拡大図が示される。温度検出装置1は、図6及び図7に示される例では、回転電機Mが有するコイルCの外周面側に露出される線状導体40に取り付けられている。本実施形態では、温度検出装置1はステータSの軸方向に延在する線状導体40に取り付けられ、温度センサ10に接続される導線10aが温度センサ10に対してステータコアSC側に延びるように配置される。本温度検出装置1によれば、複数の線状導体40の間に温度センサ10を配置するとともに、包囲部材20及び熱膨張部材30を配置する空間を確保するだけで、適切に取り付けることができる。また、取付治具等も不要なため、省スペースで回転電機Mを構成できる。
このように本温度検出装置1によれば、線状導体40及び温度センサ10の外周が包囲部材20で囲まれた状態で、線状導体40及び温度センサ10が対向方向の少なくともいずれか一方から熱膨張部材30の体積の膨張に応じて互いに当接する方向に押圧されるので、熱膨張部材30により線状導体40と温度センサ10との密着性を高めることができる。このため、線状導体40の温度を適切に温度センサ10に伝達することができるので、検出精度を高めることができる。また、線状導体40及び温度センサ10を包囲部材20で囲みつつ、熱膨張部材30を加熱するだけで温度センサ10を線状導体40に装着することができる。したがって、コイルCへの装着を容易に行うことが可能となる。
2.第二の実施形態
2−1.温度検出装置の構成
上記第一の実施形態では、温度検出装置1は、温度センサ10及び線状導体40が延在方向に亘って一体的な周囲部材20及び熱膨張部材30により囲まれている例を示した。本実施形態に係る温度検出装置1は、包囲部材20及び熱膨張部材30が温度センサ10の延在方向中央部を囲まない点で第一の実施形態と異なる。このような温度検出装置1が、図8に示される。図8に示されるように、周囲部材20及び熱膨張部材30は、温度センサ10の延在方向の両端部のみに設けられ、延在方向の中央部では温度センサ10が露出した状態とされる。このように構成した場合であっても、温度センサ10の延在方向の端面11には段差部51が形成されるので、温度センサ10が延在方向に抜け出ることはない。
2−2.温度検出装置の取り付け
本実施形態に係る温度検出装置1を回転電機Mに取り付けた例が図9に示される。図9は回転電機MのステータSの軸方向一端側の全体を示す斜視図であり、図10には温度検出装置1が取り付けられた部分の拡大図が示される。
図9及び図10に示されるように、温度センサ10が当接する対象となる線状導体40である取付対象線状導体41は、回転電機MのステータSにおけるステータコアSCから突出する円筒状のコイルエンド部CEの外周部に配置される。コイルエンド部CEの外周部とは、コイルエンド部CEの径方向外周面を構成する部分である。取付対象線状導体41は、このような径方向外周部に設けられる中性線等とされる。また、本実施形態に係る取付対象線状導体41は、円弧状部42と屈曲部43とを備えて構成される。円弧状部42は、コイルエンド部CEの外周面に沿う部分であり、ここでは、コイルエンド部CEの周方向に平行に延在するように配置される部分である。したがって、円弧状部42は、直線状の部分ではなく、コイルエンド部CEの形状に応じて円弧状に構成されている。また、屈曲部43は、円弧状部42の延在方向における少なくとも一方端部に設けられてステータSの軸方向一方側へ向けて屈曲された部分である。図9に示される例では、屈曲部43は、円弧状部42の延在方向における両端部に設けられ、ステータSの軸方向外側(ステータコアSC側とは反対側)へ向かって延在するように屈曲されて構成されている。また、屈曲部43は、他のコイルCを構成する線状導体40と接合されて構成される。本実施形態では、屈曲部43を有する取付対象線状導体41は中性線とされている。したがって、他のコイルCを構成する線状導体40とは、中性線に電気的に接続される各相のコイルCの端部が相当し、屈曲部43はこのような他のコイルCの端部と電気的に接合される。なお、取付対象線状導体41が、同相のコイルCの端部同士を接続するわたり線とされていても好適である。
ここで、取付対象線状導体41を含む線状導体40は、上述の第一の実施形態と同様に、延在方向に交差する断面が矩形状に形成される。したがって、取付対象線状導体41におけるステータSの径方向を向く面は円弧状の曲面に形成されるが、ステータSの軸方向を向く面は平面状に形成される。そこで、温度センサ10はこのような平面状となる軸方向のいずれかの面に接するように配置すると好適である。本実施形態では、温度センサ10は、円弧状部42における、屈曲部43の屈曲方向とは反対側である軸方向他方側の面に当接する位置に配置される。温度センサ10をこのように配置することにより、温度センサ10の全体が取付対象線状導体41に接するとともに、屈曲部43に温度センサ10及び導線10aが干渉しないように適切に配置することができる。
3.その他の実施形態
最後に、本発明のその他の実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記実施形態では、熱膨張部材30は包囲部材20の内面に一体的に設けられ、当該包囲部材20により線状導体40及び温度センサ10の外周を囲むように配置されるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。例えば、熱膨張部材30を線状導体40と温度センサ10とが向かい合う方向である対向方向における線状導体40及び温度センサ10を挟んだ両外側の一方の包囲部材20の内側にのみ配置することも当然に可能である。このような形態の温度検出装置1の例が図11〜図13に示される。また、線状導体40の延在方向に直交する断面図及び延在方向に平行な断面図が図12に示される。図12(a)は側方断面図であり、図12(b)は線状導体40の延在方向に直交する方向における断面図である。
このような場合、例えば図12(a)及び図12(b)に示されるように、温度センサ10及び線状導体40と、熱膨張部材30とが所定の間隔を有して前記対向方向に一列に配置される。この状態で、環状の包囲部材20がこれらの周囲を囲むように配置される。熱膨張部材30を加熱すると、図13(a)及び図13(b)に示されるように、熱膨張部材30の体積が膨張して温度センサ10と線状導体40とが互いに当接する方向に押圧される。これにより、温度センサ10及び線状導体40の密着性が高まると共に、温度センサ10を線状導体40に支持することが可能となる。温度センサ10に接続する導線10aは包囲部材20と線状導体40との隙間から線状導体40の延在方向に沿って引き出すことが可能である。本例において、包囲部材20は、第1実施形態及び第2実施形態よりも硬質の枠体とすると好適である。このような包囲部材20としては、例えば、ポリアミド樹脂や少なくとも線状導体40に接する面に電気的絶縁処理を施した金属板(SUS等)を用いることができる。
また、温度センサ10に接続する導線10aを包囲部材20に固定して設けることも可能である。このような例が図14〜図16に示される。また、側方断面図が図15(a)に示され、線状導体40の延在方向に直交する方向における断面図が図15(b)に示される。
このような場合、温度センサ10の表面に2つの端子(電源電圧供給用端子及び出力取出用端子)を設け、導線10aを枠状の包囲部材20の外周面に固定すると良い。係る場合には、例えば包囲部材20を上記と同様の金属板で構成することにより、包囲部材20を介して導線10aと温度センサ10の上記2つの端子とを電気的に接続することができる。なお、図11〜図13及び図14〜図16では、熱膨張部材30が対向方向における線状導体40及び温度センサ10を挟んだ両外側の一方の包囲部材20の内側にのみ配置されている例を示したが、対向方向における線状導体40及び温度センサ10を挟んだ両外側の双方の包囲部材20の内側に熱膨張部材30を配置することも当然に可能である。
(2)上記第一及び第二の実施形態では、熱膨張部材20は、包囲部材30の一方の面に一体的に配置されているとして図示した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。図17に示されように、熱膨張部材20を包囲部材30の両面に配置することも当然に可能である。係る場合、温度検出装置1を配置する際、当該温度検出装置1の配置面(裏表)を考慮する必要がないので、簡便に温度検出装置1を配置することができる。
(3)上記第一及び第二の実施形態では、熱膨張部材30が包囲部材20の内面に一体的に設けられるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。図18(b)のようにガラス繊維等の繊維基材60中に発泡樹脂を含浸させたものにより熱膨張部材20を構成することも可能である。
(4)上記実施形態では、包囲部材20及び熱膨張部材30が、線状導体40の延在方向における温度センサ10の両端部において、当該温度センサ10の延在方向の端面11をまたいで延在方向の両側にわたって配置されるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。包囲部材20及び熱膨張部材30が温度センサ10の延在方向の一方又は双方の端面11をまたがずに配置することも当然に可能である。係る場合であっても、温度センサ10を線状導体40に当接し、密着性を高めて適切に温度を検出することが可能である。
(5)上記実施形態では、膨張後の熱膨張部材30が、温度センサ10の端面11に接する段差部51を有するとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定するものではない。段差部51が形成されない程度の膨張であっても、温度センサ10を線状導体10に当接し、密着性を高めて適切に温度を検出することが可能である。
(6)上記実施形態では、温度検出装置1が、コイルエンド部CEの外周部に配置されるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。温度検出装置1を外周部以外に位置に配置することも当然に可能である。また、例えば第一の実施形態で示した温度検出装置1を図9及び図10に示した位置に配置することも可能であるし、第二の実施形態で示した温度検出装置1を図6及び図7に示した位置に配置することも可能である。また、図11〜図16に示した温度検出装置1を図6及び図7に示した位置、或いは図9及び図10に示した位置に配置することも可能である。
本発明は、回転電機のコイルを構成する線状導体の温度を検出する温度検出装置に利用可能である。
1:温度検出装置
10:温度センサ
11:端面
20:包囲部材
30:熱膨張部材
40:線状導体
41:取付対象線状導体
42:円弧状部
43:屈曲部
51:段差部
C:コイル
CE:コイルエンド部
M:回転電機
S:ステータ
SC:ステータコア

Claims (5)

  1. 回転電機のコイルを構成する線状導体に当接する位置に配置され、当該線状導体の温度を検出する温度センサと、
    前記線状導体及び前記温度センサの外周を囲むように配置される包囲部材と、
    前記線状導体と前記温度センサとが向かい合う方向である対向方向における前記線状導体及び前記温度センサを挟んだ両外側の少なくとも一方であって前記包囲部材の内側に配置され、加熱により体積が膨張して硬化する材質で構成された熱膨張部材と、
    を備える温度検出装置。
  2. 前記包囲部材及び前記熱膨張部材が、前記線状導体の延在方向における前記温度センサの両端部において、当該温度センサの前記延在方向の端面をまたいで前記延在方向の両側にわたって配置され、
    膨張後の前記熱膨張部材が、前記温度センサの前記端面に接する段差部を有する請求項1に記載の温度検出装置。
  3. 前記温度センサが当接する対象となる前記線状導体である取付対象線状導体が、前記回転電機のステータにおけるステータコアから突出する円筒状のコイルエンド部の外周部に配置され、前記コイルエンド部の外周面に沿う円弧状部と、当該円弧状部の延在方向における少なくとも一方端部に設けられて前記ステータの軸方向一方側へ向けて屈曲されて、他の線状導体に接合される屈曲部とを備え、
    前記温度センサが、前記円弧状部における、前記屈曲部の屈曲方向とは反対側である軸方向他方側の面に当接する位置に配置されている請求項1又は2に記載の温度検出装置。
  4. 前記熱膨張部材の前記対向方向の膨張量が、前記熱膨張部材の膨張前における、前記線状導体と前記温度センサとの前記対向方向の隙間と、前記包囲部材の内面と前記線状導体及び前記温度センサとの間の前記対向方向の隙間との合計よりも大きく設定されている請求項1から3のいずれか一項に記載の温度検出装置。
  5. 前記熱膨張部材は、前記包囲部材の内面に一体的に設けられた発泡樹脂であり、
    前記包囲部材は、前記対向方向の引張り荷重に対する変形率が前記熱膨張部材よりも小さい材質で構成されている請求項1から4のいずれか一項に記載の温度検出装置。
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