JP2013208044A - 回転電機およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】固定子コイル-鉄心間の熱抵抗を低減でき、かつ組立容易なプリプレグ方式の回転電機およびその製造方法を提供する。
【解決手段】固定子鉄心2には、2つの固定子コイル1(1a,1b)と、固定子コイル1を固定するための波型半導電弾性積層板3と、楔4と、スペーサ5と、ライナ6と、弾性体7とが挿入されている。ライナ6の少なくとも一部に弾性体7が塗布された面が固定子鉄心2の内壁と接するように設置し、ライナ6の弾性体7が塗布されていない面と接しながら固定子コイル1をスロット内に挿入する。
【選択図】図1
【解決手段】固定子鉄心2には、2つの固定子コイル1(1a,1b)と、固定子コイル1を固定するための波型半導電弾性積層板3と、楔4と、スペーサ5と、ライナ6と、弾性体7とが挿入されている。ライナ6の少なくとも一部に弾性体7が塗布された面が固定子鉄心2の内壁と接するように設置し、ライナ6の弾性体7が塗布されていない面と接しながら固定子コイル1をスロット内に挿入する。
【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、回転電機およびその製造方法に関する。
従来の回転電機は、電磁振動や熱伸びによる固定子コイルのずれを緩和するために固定子コイル上部に半導電性積層板を設置して、固定子コイル側面に半導電性ライナを設置して、固定子コイルを鉄心スロット内に固定している。
スロット内鉄心表面の凹凸により、固定子コイルと鉄心表面との間に熱抵抗となる空隙が生成される。全含浸方式ではスロット内鉄心表面の凹部に樹脂が入り込み空隙がなくなる。プリプレグ方式では、ゴム弾性を有する半導電性ライナを設置することで、弾性体がスロット内鉄心表面の凹部に入り込み空隙をなくしている。
上述した回転電機では、組立時に固定子コイルとゴム弾性を有する半導電性ライナを一緒に鉄心スロット内に挿入するときには、弾性体が鉄心面で摩耗して損傷したり、弾性体が挿入し難かったりする。また、組立時に先にゴム弾性を有する半導電性ライナを鉄心スロット内に設置してから固定子コイルを挿入するときには、弾性体が固定子コイル面で摩耗して損傷したり、下部に押し下げられたりする。このように弾性体の設置が困難であるという課題がある。
本発明が解決しようとする課題は、固定子コイル-鉄心間の熱抵抗を低減でき、かつ組立容易なプリプレグ方式の回転電機およびその製造方法を提供することである。
実施形態の回転電機は、スロットが配置された固定子鉄心と、少なくとも一部に弾性体が塗布された面が前記固定子鉄心の内壁と接するように設置されたライナと、前記ライナの弾性体が塗布されていない面と接して設けられた固定子コイルとを備える。
また、実施形態の回転電機の製造方法は、ライナの少なくとも一部に弾性体が塗布された面が固定子鉄心の内壁と接するように設置し、前記ライナの弾性体が塗布されていない面と接しながら固定子コイルをスロット内に挿入する。
以下、実施形態の回転電機を図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の回転電機における固定子鉄心の1スロット断面を示す図である。
図1は、第1の実施形態の回転電機における固定子鉄心の1スロット断面を示す図である。
図1に示すように、固定子鉄心2に挿入されているのは、2つの固定子コイル1(1a, 1b)と、当該固定子コイル1を固定するための波型半導電弾性積層板3と、楔4と、スペーサ5と、ライナ6と、弾性体7とである。
固定子コイル1は、絶縁被覆された素線をレーベル転移して束ねた導体に、ガラス基材とマイカなどの絶縁材料をエポキシなどの接着剤で一体化したプリプレグマイカテープを所定数巻回し、その外側にガラス基材に半導電性ワニスを塗布した半導電テープを一回巻回した後、150℃で液圧モールドによって加熱硬化する。
ライナ6は、ガラス基材とカーボンをエポキシ樹脂で接着して積層して作製した表面抵抗103〜106 Ωの半導電積層板とする。
弾性体7は、当該ライナ6片面にWACKER社製シリコーン樹脂(Elastosil M4601)を塗布し硬化させる。
固定子コイル1挿入前に、弾性体7が塗布されたライナ6を固定子鉄心2のスロット内壁の片面に設置する。その際、弾性体7が塗布された面が固定子鉄心2と接するように設置する。なお、固定子鉄心2のスロット内壁の両面にライナ6を設置してもよい。固定子コイル1をライナ6側面をスライドさせるようにスロット内に挿入する。なお、スロット底とコイル上下間にはスペーサ5を挿入する。さらに上下方向を固定するために波型半導電弾性積層板3とスペーサ5と楔4をスロット開口部に設置する。
弾性体7が塗布されたライナ6を設置した固定子鉄心2スロット内壁は、凹部に弾性体7が入り込むことにより当該凹部で生じる空隙がなくなる。また、弾性体7が塗布されたライナ6は、弾性体7が固定子鉄心2と接するように設置することにより、固定子コイル1を挿入するときに固定子コイル1が弾性体7とは直接接触することがない。固定子コイル1をスロット内に挿入するときには、弾性体が塗布されていない側のライナ6の側面を固定子コイル1をスライドさせるようにスロット内に挿入するので、ライナ6が固定子コイル1で摩耗して損傷したり、下部に押し下げられたりすることがない。
図2は、空隙がある場合を模擬した試験体の断面を示す図である。図2は、模擬鉄心11と模擬固定材12を重ね合わせて構成した。模擬鉄心11はガラス基材をエポキシ樹脂で含浸硬化した厚さ3 mm, 直径60 mmの積層板で、片面に幅0.35 mm、深さ0.50 mmのスリットを入れた。模擬固定材12はガラス基材をエポキシ樹脂で含浸硬化した厚さ2.8 mm, 直径60 mmの積層板とした。
図3は、空隙がない場合を模擬した試験体の断面を示す図である。図3は模擬鉄心11と模擬弾性体13が重なるように構成した。模擬弾性体13は模擬鉄心11のスリット面でWACKER社製シリコーン樹脂(Elastosil M4601)を室温で24時間硬化させることで形成した。
図4は、空隙がある場合(図2)、空隙がない場合(図3)の試験体の熱伝導率を測定した結果から模擬鉄心凹凸箇所の等価熱伝導率を求めた結果を示す図である。熱伝導率の測定はEKO社製熱伝導率測定装置(HC-110)を用いた。空隙なしの試験体の凹凸部等価熱伝導率は、空隙ありの試験体に比べ約1.4倍になった。
本実施形態によれば、固定子コイル1-固定子鉄心2間の一側面は、鉄心長全体にわたり空隙がなくなるので、熱抵抗が低減し固定子コイル冷却性能が高まる効果を得られる。さらに、弾性体7は固定子コイル1挿入時に摩耗しないので弾性体7が損傷したり、下部に押し下げられたりせず弾性体7の設置が容易になる効果が得られる。
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態の回転電機における固定子鉄心の1スロット断面を示す図である。
図5は、第2の実施形態の回転電機における固定子鉄心の1スロット断面を示す図である。
第1の実施形態と同一の構成には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施形態では、第1の実施形態のライナ6をL字型をしたL字ライナ8とする。スロット底に設置されていたスペーサは不要になる。L字ライナ8に塗布される弾性体7はL字ライナ8と固定子鉄心2との間に形成する。L字ライナ8が固定子鉄心2スロット底壁と接触する部分にも弾性体7を塗布する。
上述の構成により、第1の実施形態の効果に加えて、スロット底に設置されていたスペーサが不要となる。また、固定子鉄心2スロット底壁の凹部で生じる空隙がなくなるので、熱抵抗が低減し固定子コイル冷却性能が高まる効果を得られる。
さらに、固定子コイル1の挿入時にL字ライナ8下部に加わる圧縮力を分散することで、圧縮力が低減され、ライナが座屈して挿入できなくなるリスクが低減するので、固定子コイル1の出し入れが簡便になる。
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態の回転電機における固定子鉄心の1スロット断面を示す図である。
図6は、第3の実施形態の回転電機における固定子鉄心の1スロット断面を示す図である。
第2の実施形態と同一の構成には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施形態では、第2の実施形態のL字ライナ8を上下固定子コイル1a、1bそれぞれに左右逆になるようにL字ライナ8a、8bとした。スロット底に設置されていたスペーサだけでなく、コイル上下間に設置されていたスペーサも不要になる。
固定子コイル1挿入前に、弾性体7が塗布されたL字ライナ8aを固定子鉄心2のスロット内壁の片面およびスロット底壁に設置する。その際、弾性体7が塗布された面が固定子鉄心2と接するように設置する。L字ライナ8a側面をスライドさせるように固定子コイル1aをスロット内に挿入する。
L字ライナ8aと左右逆になるようにL字ライナ8bを固定子鉄心2のスロット内壁の片面および固定子コイル1aに設置する。L字ライナ8bは弾性体7が塗布され、弾性体7が塗布された面が固定子鉄心2と接するように設置する。L字ライナ8b側面をスライドさせるように固定子コイル1bをスロット内に挿入する。
上下方向を固定するために波型半導電弾性積層板3とスペーサ5と楔4をスロット開口部に設置する。なお、固定子鉄心2のスロット内壁のL字ライナ8を設置しなかった面に第1の実施形態のライナ6を弾性体7が塗布された面が固定子鉄心2と接するように設置してもよい。
上述の構成により、第2の実施形態の効果に加えて、コイル上下間に設置されていたスペーサが不要となる。
図7はエンド部での固定子コイル同士の接続を示す。Nスロットの下固定子コイル1naはエンド部で所定のスロット数離れたMスロットの上固定子コイル1mbとコイルエンド接続線14で接続する。エンド部の固定力の方向はエンド部が開くように処理されており、結果的にNスロット下固定子コイル1naおよびMスロット上固定子コイル1mbは互いに離れる方向に力が加わる。Nスロット下固定子コイル1naとスロット内壁との間に設置された弾性体7およびMスロット上固定子コイル1mbとスロット内壁との間に設置された弾性体7は、Nスロット下固定子コイル1naおよびMスロット上固定子コイル1mbに加わる、互いに離れる方向の力と同じ方向に弾性体の固定力は働くように設置する。
上述の構成により、弾性体7の固定力が働き、所定のスロット数離れた上下固定子コイル1が離れる方向に力が加わる作用を得る。
本実施形態によれば、弾性体の固定力およびエンド部の固定力が所定のスロット数離れた上下固定子コイル1が離れる方向に同時加わるため、より安定した固定力が得られる。
(第4の実施形態)
図8は、第4の実施形態の回転電機における固定子鉄心の1スロット断面を示す図である。
図8は、第4の実施形態の回転電機における固定子鉄心の1スロット断面を示す図である。
第2の実施形態と同一の構成には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施形態では、第2の実施形態のL字ライナ8をU字ライナ9とした。スロット底に設置されていたスペーサが不要になる。
U字ライナ9はガラス基材とカーボンをエポキシ樹脂で接着して積層して作製した表面抵抗103〜106 ΩのU字型半導電積層板である。このとき、U字ライナ9に塗布される弾性体7はU字ライナ9と固定子鉄心2の間に形成する。弾性体7は少なくともU字ライナ9と固定子鉄心2が接触する範囲に塗布する。
固定子コイル1挿入前に、弾性体7が塗布されたU字ライナ9を固定子鉄心2のスロット内(壁およびスロット底壁)に設置する。その際、弾性体7が塗布された面が固定子鉄心2と接するように設置する。U字ライナ9の、弾性体7が塗布されていない面をスライドさせるように固定子コイル1aをスロット内に挿入する。なお、コイル上下間にはスペーサ5を挿入する。
また、上下方向を固定するために波型半導電弾性積層板3とスペーサ5と楔4をスロット開口部に設置する。
上述の構成により、第2の実施形態の効果に加えて、固定子コイル1-固定子鉄心2間の全側面において、鉄心長全体にわたり空隙がなくなるので、熱抵抗が低減し固定子コイル冷却性能が高まる効果が得られる。
(第5の実施形態)
図9は、第5の実施形態の回転電機における固定子鉄心の1スロット断面を示す図である。
図9は、第5の実施形態の回転電機における固定子鉄心の1スロット断面を示す図である。
第4の実施形態と同一の構成には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施形態では、第4の実施形態の固定子コイル1とU字ライナ間に半導電プリプレグ10を配置して構成している。半導電プリプレグ10は、カーボンなどの導電性粒子とエポキシなどの熱硬化性樹脂の混合物であり、空気よりも熱抵抗の低い熱媒体である。
上述の構成により、固定子コイル1をU字ライナ9内に挿入し、上部から圧力がかかると半導電プリプレグ10の導電性樹脂が染み出し固定コイル1とU字ライナ9間の空隙を充填する。その結果、固定子コイル1とU字ライナ9間の空隙が低減される。
本実施形態によれば、固定子コイル1とU字ライナ9間に空気よりも熱抵抗の低い熱媒体が充填されることで、固定子コイル1の冷却性能が高まる効果が得られる。
半導電プリプレグ10は、U字ライナ9の底面、上下固定子コイル1a、1b間、上固定子コイル1b上部、固定子コイル1とU字ライナ間の少なくとも1箇所に配置しても同様の効果が得られる。
なお、第1〜第4の実施形態における固定子鉄心2のスロット内に半導電プリプレグ10を配置して、固定子鉄心2のスロット内の空隙に空気よりも熱抵抗の低い熱媒体が充填されることで、固定子コイル1の冷却性能が高まる効果が得られる。
以上述べた少なくともひとつの実施形態の回転電機およびその製造方法によれば、固定子コイル-鉄心間の熱抵抗を低減でき、かつ組立容易にすることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 固定子コイル
2 固定子鉄心
3 波型半導電弾性積層体
4 楔
5 スペーサ
6 ライナ
7 弾性体
8 L字ライナ
9 U字ライナ
10 半導電プリプレグ
11 模擬鉄心
12 模擬弾性体
2 固定子鉄心
3 波型半導電弾性積層体
4 楔
5 スペーサ
6 ライナ
7 弾性体
8 L字ライナ
9 U字ライナ
10 半導電プリプレグ
11 模擬鉄心
12 模擬弾性体
Claims (8)
- ライナの少なくとも一部に弾性体が塗布された面が固定子鉄心の内壁と接するように設置し、
前記ライナの弾性体が塗布されていない面と接しながら固定子コイルをスロット内に挿入する回転電機の製造方法。 - スロットが配置された固定子鉄心と、
少なくとも一部に弾性体が塗布された面が前記固定子鉄心の内壁と接するように設置されたライナと、
前記ライナの弾性体が塗布されていない面と接して設けられた固定子コイルとを備えた回転電機。 - 前記ライナは、L字ライナである請求項2記載の回転電機。
- 前記固定子コイルは、前記スロット内に2つに設けられ、
前記固定子コイルにはそれぞれにL字ライナが左右逆に設けられた請求項2記載の回転電機。 - 前記ライナは、U字ライナである請求項2記載の回転電機。
- 前記固定子コイルの上または下の少なくとも1箇所に半導電プリプレグを備えた請求項2乃至請求項5に記載の回転電機。
- 前記弾性体は、コイルエンドが接続された固定子コイル同士が、互いに離れる方向に弾性体の固定力は働くように設けられた請求項2乃至請求項4に記載の回転電機。
- 請求項1記載の回転電機の製造方法で製造された回転電機。
Priority Applications (1)
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JP2012078375A JP2013208044A (ja) | 2012-03-29 | 2012-03-29 | 回転電機およびその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN107612175A (zh) * | 2017-09-25 | 2018-01-19 | 珠海凯邦电机制造有限公司 | 绝缘骨架及具有其的定子组件 |
CN111200344A (zh) * | 2018-11-19 | 2020-05-26 | 马勒国际有限公司 | 特别是用于车辆的电机 |
WO2021145097A1 (ja) * | 2020-01-17 | 2021-07-22 | 株式会社日立インダストリアルプロダクツ | プリプレグマイカテープ、回転電機及び回転電機の製造方法 |
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- 2012-03-29 JP JP2012078375A patent/JP2013208044A/ja active Pending
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CN107612175A (zh) * | 2017-09-25 | 2018-01-19 | 珠海凯邦电机制造有限公司 | 绝缘骨架及具有其的定子组件 |
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RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
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