JP6585441B2 - 回転電機コイル、回転電機、および回転電機コイルの製造方法 - Google Patents
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Description
これらの方法では、前述の剥離の課題のうち、(1)鉄心と固定子コイルとの間、(2)スロットと外部コロナ防止層との間、(3)外部コロナ防止層と主絶縁層との間、および(4)主絶縁層の内部の間隙、での剥離対策は可能となるものの、(5)主絶縁層と内部コロナシールドとの間、および(6)内部コロナシールドと導体との間、での剥離対策は不十分である。上記の(1)ないし(4)の課題が解決されたとしても、他の部分で剥離が生じることになれば、最終的に絶縁対策が必要十分になされているとは言い難い。
(構成)
この実施形態は、例えば誘導電動機や発電機などの高電圧回転電機の鉄心の外周側のスロットに収納可能であって、楔によりスロットに固定可能である固定子コイルに関する。
図1、図2に示すように、一般的には、固定子コイル10は、導体4にコロナ放電防止のための内部コロナシールド3、主絶縁層2の順で積層されることで構成される。
図3に示すように、本実施形態では、上記の導体4と内部コロナシールド3との間、および内部コロナシールド3と主絶縁層2との間に熱応力緩和層(熱応力緩和材料)8がそれぞれ設けられる。この熱応力緩和層8は、導体4と内部コロナシールド3との間のみに設けてもよいし、内部コロナシールド3と主絶縁層との間のみに設けてもよい。
次に、実施形態における固定子コイルの製造方法について説明する。
まず、導体となる銅製の導線を用い、所定の長さに切断した後、両端の絶縁被覆を取り除く。その後に導線を所定本数束ねて、レーベル転位(Roebel Tranposition)の工程を経てコイルとする。次いでヒートプレスによりコイルを成型し、このコイルをインボリュート(involute)型に成型することで固定子コイル10の導体4とする。
この後、導体4の周りに対する、半導電性を有する内部コロナシールド3の設置、テーピングマシンによる主絶縁層2のテーピング、および半導電性を有する外部コロナ防止層(図示せず)のテーピングを行なう。次いで、スチール製の当て板とラミネートを設置し、レジンリッチ絶縁方式による樹脂含浸処理でコイル同士を接合させることで、固定子コイル10が完成する。
熱応力緩和層8が上記の(C)塗料状材料である場合は、この材料をハケ、スプレー等を用いてコイルの内部コロナシールド3の周りや主絶縁層2の周りの全体に塗布することによって当該熱応力緩和層8が設置可能である。
上記のような工程を経て、固定子コイル10が製造される。
このように、熱応力緩和層8を線膨張係数の異なる2種類の材料で構成することで、この熱応力緩和層8おける、導体4や内部コロナシールド3に接する材料の線膨張係数を導体4や内部コロナシールド3の線膨張係数に合わせることができ、熱応力の緩和の効果を向上させることができる。線膨張係数が異なる2種類の材料でなる熱応力緩和層8を内部コロナシールド3と主絶縁層2の間に設ける場合も同様である。
次に、実施形態における熱応力緩和層8の作用について説明する。
上記の材料のうちのいずれか1つ、あるいはこれらの組み合わせからなる材料を導体4と内部コロナシールド3との間および内部コロナシールド3と主絶縁層2との間にそれぞれ配置することにより、導体4と内部コロナシールド3との間での剥離、および内部コロナシールド3と主絶縁層2との間での剥離をそれぞれ防止することができる。
上記の固定子コイル10を用いて、誘電損失(tanδ)特性を測定した。図4では、熱応力緩和層8が無い場合、および熱応力緩和層8が有る場合における、固定子コイル10の誘電損失(tanδ)特性の比較を示す。ここでは、水車発電機用コイルを用い、誘電損失(tanδ)特性は、熱応力緩和層無しのコイル(コイルの数n=3)および熱応力緩和層有りのコイル(n=4)のそれぞれについて、ヒートサイクルが500回となった後の0.6Un−0.2Unで求められる差(Δ1)の平均値を記載した。ここで、Unとは水車発電機の定格電圧のことであり、例えば15kVである。ここでは、上記Δ1の平均値を誘電損失(tanδ)とした。また、図4では、Δ1のバラツキ範囲(最大値、最小値)を併記した。
以下に、熱応力緩和層8を設置したことによる効果について記載する。
一般的には、導体4、内部コロナシールド3、主絶縁層2とでは線膨張係数が異なる。線膨張係数はαで表され、1m当たり1℃温度上昇するとαμm伸びる係数である。導体4、内部コロナシールド3、主絶縁層2で線膨張係数が異なることで、加熱や冷却の過程で、それぞれの伸び縮みの長さが異なることで剥離が生じうる。
Claims (8)
- 導体と、
主絶縁層と、
前記導体と前記主絶縁層との間に配置される内部コロナシールドと、
前記導体と前記内部コロナシールドとの間に配置される第1の熱応力緩和層を備えるとともに、
前記内部コロナシールドと前記主絶縁層との間に配置される第2の熱応力緩和層を備える一方、
前記第1および第2の熱応力緩和層は、耐熱性を有するシリコーン基材の両面にガラスクロス、シリコーン粘着剤、および離型フィルムを設けた材料で構成される
回転電機コイル。 - 前記第1および第2の熱応力緩和層の少なくとも一方が、複数の層からなる、請求項1に記載の回転電機コイル。
- 前記第1および第2の熱応力緩和層が、シート状材料あるいはテープ状材料であり、あるいはこれらの組み合わせからなる、請求項1に記載の回転電機コイル。
- 前記シート状材料あるいは前記テープ状材料が、ゴムからなる、
請求項3に記載の回転電機コイル。 - 前記シート状材料あるいは前記テープ状材料が、ゲルからなる、
請求項3に記載の回転電機コイル。 - 前記第1および第2の熱応力緩和層の少なくとも一方が、線膨張係数が異なる2種類の材料が積層されてなり、かつ前記2種類の材料同士が耐熱性接着剤で接着された、
請求項1または請求項2に記載の回転電機コイル。 - 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の回転電機コイルを具備した、回転電機。
- 回転電機コイルを製造する方法であって、
導体と主絶縁層との間に内部コロナシールドを配置し、
前記導体と前記内部コロナシールドとの間に第1の熱応力緩和層を配置し、
前記内部コロナシールドと前記主絶縁層との間に第2の熱応力緩和層を配置し、
前記第1および第2の熱応力緩和層は、耐熱性を有するシリコーン基材の両面にガラスクロス、シリコーン粘着剤、および離型フィルムを設けた材料で構成される、
回転電機コイルの製造方法。
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