JP7298388B2 - ワイヤーハーネス - Google Patents

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Description

本開示は、ワイヤーハーネスに関する。
複数本の電線を含むワイヤーハーネスにおいて、各電線の絶縁被覆から露出された導体が、圧着端子等を用いて相互に接合され、スプライス部が形成されることがある。そのようなスプライス部を備えたワイヤーハーネスは、例えば特許文献1~3等に開示されている。スプライス部を水との接触から保護することを目的として、スプライス部を含む部位が、樹脂材料等、水を透過しにくい材料で被覆される場合がある。特に、ワイヤーハーネスが、自動車内等、水との接触が起こりやすい環境で使用される場合には、スプライス部に防水を施すことが重要となる。そのようにスプライス部を被覆する防水部材を設ける形態は、例えば特許文献1,2に開示されている。特許文献1,2では、それぞれ、高い防水性能が得られるように、防水部材の構成材料が検討されている。
特開2015-159070号公報 特開2018-73774号公報 特開2018-32589号公報
ワイヤーハーネスのスプライス部に、防水部材を設ける場合に、防水性を高める観点から、特許文献1,2のように、防水部材を構成する材料を工夫することは、有効である。しかし、その種の防水部材において、防水部材の構造、例えば、防水部材の各部の寸法や、防水部材とワイヤーハーネスの他の構成部材との関係等も、防水性能に影響を与えるはずである。スプライス部を被覆する防水部材の構造を検討することで、防水性能をさらに高めることができる可能性がある。
そこで、複数本の電線の導体が接合されたスプライス部に対して高い防水性を付与することができるワイヤーハーネスを提供することを課題とする。
本開示のワイヤーハーネスは、第一電線束と、第二電線束と、スプライス部と、防水部と、を有し、前記第一電線束は、複数の電線を含み、前記第二電線束は、前記電線を前記第一電線束よりも少ない本数だけ含み、前記電線は、導体と、前記導体の外周を被覆する絶縁被覆と、を有し、前記絶縁被覆から前記導体が露出した露出部を備え、前記スプライス部は、前記第一電線束の前記露出部と、前記第二電線束の前記露出部とを接合しており、前記防水部は、前記スプライス部と、前記第一電線束の前記絶縁被覆の表面と、前記第二電線束の前記絶縁被覆の表面とを、樹脂材料で一体に被覆しており、前記防水部が前記第一電線束の前記絶縁被覆の表面を被覆する領域の長さである第一被覆長は、前記防水部が前記第二電線束の前記絶縁被覆の表面を被覆する領域の長さである第二被覆長よりも長い。
本開示にかかるワイヤーハーネスは、複数本の電線の導体が接合されたスプライス部に対して高い防水性を付与することができる。
図1は、本開示の一実施形態にかかるワイヤーハーネスを示す側面図である。図では、シート体に包囲された領域に充填された樹脂材料を、斜線にて表示している。 図2Aおよび図2Bは、上記ワイヤーハーネスの第一被覆域における断面を示す図である。図2Aと図2Bは、異なる2つの形態を示している。 図3は、シミュレーションによって得られた、防水部の被覆長と、防水部の端縁における最大熱応力との関係を示す図である。 図4は、実測により得られた、ポリ塩化ビニルに対するアクリル系樹脂の接着強度の高温耐久時における変化を示す図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示にかかるワイヤーハーネスは、第一電線束と、第二電線束と、スプライス部と、防水部と、を有し、前記第一電線束は、複数の電線を含み、前記第二電線束は、前記電線を前記第一電線束よりも少ない本数だけ含み、前記電線は、導体と、前記導体の外周を被覆する絶縁被覆と、を有し、前記絶縁被覆から前記導体が露出した露出部を備え、前記スプライス部は、前記第一電線束の前記露出部と、前記第二電線束の前記露出部とを接合しており、前記防水部は、前記スプライス部と、前記第一電線束の前記絶縁被覆の表面と、前記第二電線束の前記絶縁被覆の表面とを、樹脂材料で一体に被覆しており、前記防水部が前記第一電線束の前記絶縁被覆の表面を被覆する領域の長さである第一被覆長は、前記防水部が前記第二電線束の前記絶縁被覆の表面を被覆する領域の長さである第二被覆長よりも長い。
上記ワイヤーハーネスにおいては、防水部が、第一電線束および第二電線束の絶縁被覆の表面を、スプライス部と一体に被覆している。このような防水部を有するワイヤーハーネスが温度変化を受けると、電線の絶縁被覆を構成する材料と、防水部を構成する樹脂材料とで、温度変化に対する膨張や収縮の挙動が異なることにより、絶縁被覆と防水部の間に熱応力が発生しやすい。その熱応力は、電線束を構成する電線の本数が多くなるほど大きくなり、防水部が絶縁被覆の表面から剥離を起こしやすくなる。しかし、上記ワイヤーハーネスにおいては、第二電線束よりも電線の本数の多い第一電線束の方で、防水部に被覆された領域の長さである被覆長が長くなっている。被覆長が長いほど、防水部の端縁における熱応力を低減することができる。その結果、ワイヤーハーネスが温度変化を受けた際に、電線の本数が多い第一電線束の表面で、防水部に端縁から剥離が生じて防水性が低下するのを、抑制することができる。
ここで、前記第一被覆長は、前記第二被覆長の4倍以上であるとよい。すると、ワイヤーハーネスが温度変化を受けた際に、第二電線束よりも電線の本数の多い第一電線束の表面において、熱応力による剥離が生じるのを、効果的に抑制し、高い防水性を維持しやすくなる。
少なくとも前記第一電線束側の端縁における前記防水部の最大熱応力は、前記絶縁被覆に対する前記樹脂材料の接着強度よりも小さいとよい。すると、温度変化によって、防水部の端縁に熱応力が発生した場合にも、防水部の接着力により、防水部が電線の絶縁被覆の表面から剥離するのを、抑止しやすくなる。その結果、温度変化を受ける環境でも、防水部による防水性を維持しやすくなる。
少なくとも前記第一電線束側の端縁における前記防水部の最大熱応力は、0.5MPa以下であるとよい。この場合には、防水部の端縁における熱応力が十分に小さく抑えられていることで、ワイヤーハーネスが温度変化を受ける環境でも、熱応力による防水部の剥離を、効果的に抑制することができる。
前記絶縁被覆に対する前記樹脂材料の接着強度は、0.5MPa以上であるとよい。この場合には、防水部が電線の絶縁被覆の表面に強固に接着された状態となる。そのため、温度変化により、防水部に熱応力が発生しても、その熱応力によって防水部が絶縁被覆の表面から剥離する事態が、起こりにくくなる。
前記絶縁被覆に対する前記樹脂材料の接着強度は、前記ワイヤーハーネスを、温度85℃、湿度85%RHの環境に500時間置いた後の状態で、0.5MPa以上を維持するとよい。この場合には、防水部を構成する樹脂材料が、高温環境を経ても、高い接着性を維持し、防水部が電線の絶縁被覆の表面に強固に接着した状態が、保たれやすい。よって、高温環境を経たことにより、防水部に熱応力が発生しても、その熱応力によって防水部が絶縁被覆表面から剥離するのを、抑制することができる。その結果、ワイヤーハーネスを高温環境で使用する際にも、高い防水性が保たれる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態にかかるワイヤーハーネスについて、図面を参照しながら説明する。本開示の実施形態にかかるワイヤーハーネスは、2つの電線束が接合されたスプライス部と、そのスプライス部を含む領域を被覆する防水部を有するものである。なお、本明細書において、反対方向、直線状等、部材の形状や配置を表す概念には、幾何的に厳密な概念のみならず、ワイヤーハーネスおよびその構成部材として許容される程度のずれを範囲に含むものとする。また、各種特性は、特記しない限り、大気中、室温にて計測される値とする。
<ワイヤーハーネスの構造の概略>
まず、本開示の一実施形態にかかるワイヤーハーネスについて、構造の概略を説明する。本開示の一実施形態にかかるワイヤーハーネス1の概略を、図1に示す。
ワイヤーハーネス1は、第一電線束2と、第二電線束3とを有している。第一電線束2は、複数の電線4を含んでおり、第二電線束3は、第一電線束2よりも少ない本数の電線4を含んでいる。第二電線束3を構成する電線4は、1本であっても複数であってもよい。図示した形態では、第一電線束2が3本の電線4を含んでいる。第二電線束3は電線4を1本のみ含んでいる。本明細書においては、この第二電線束3のように、電線4を1本のみ含む形態についても、電線束と称するものとする。本実施形態において、第一電線束2および第二電線束3を構成する電線4は、全て同じものとする。
第一電線束2および第二電線束3を構成する電線4は、それぞれ、導体41と、導体41の外周を被覆する絶縁被覆42とを有している(図2A,2B参照)。各電線4は、絶縁被覆42が除去され、絶縁被覆42から導体41が露出した状態となった、露出部を有している。本ワイヤーハーネス1において、第一電線束2を構成する電線4のうちの1本(例えば中央の1本)は、第二電線束3を構成する1本の電線4と連続した1本の電線4(本線)となっており、その本線の中間部において絶縁被覆42が除去されて、導体41が露出され、露出部が形成されている。その本線の中間部に形成された露出部に、第一電線束2を構成する他の電線4(枝線)の端部に形成された露出部が、次に説明するスプライス部5によって、接合されている。
第一電線束2と第二電線束3の間には、スプライス部5が形成されている。スプライス部5は、第一電線束2および第二電線束3を構成する各電線4の露出部を、相互に接合している。第一電線束2と第二電線束3は、スプライス部5を挟んで、異なる方向に延びている。図示した形態では、第一電線束2と第二電線束3が、スプライス部5を挟んで、直線状に相互に反対の方向に延びている。また、図示した形態では、スプライス部5において、圧着端子51を用いたかしめ固定により、各電線4の露出部が接合されている。なお、スプライス部5においては、各電線4の露出部を構成する導体41を、相互に電気的に接続するともに、物理的に固着させることができれば、どのような手段によって露出部の接合を行ってもよく、圧着端子51を用いる形態の他、抵抗溶接や超音波溶接等の溶接や、はんだ付け等、溶融金属を用いた接合を例示することができる。本ワイヤーハーネス1において、スプライス部5は、第一電線束1から第二電線束3へと続く1本の本線に、第一電線束2として、2本の枝線を接合するものとなっている。
ワイヤーハーネス1はさらに、スプライス部5を含む領域を樹脂材料で被覆する防水部6を有している。防水部6を構成する樹脂材料は、スプライス部5と、スプライス部5の両側に位置する第一被覆域21と、第二被覆域31とを、一体に被覆している。ここで、第一被覆域21および第二被覆域31は、各電線束2,3において、各電線束2,3を構成する電線4の導体41が絶縁被覆42に覆われた部位を指す。つまり、防水部6は、スプライス部5と、第一電線束2の絶縁被覆42の表面と、第二電線束3の絶縁被覆42の表面を、一体に被覆している。
本実施形態にかかるワイヤーハーネス1においては、防水部6が第一被覆域21を被覆する領域の長さである第一被覆長L1が、防水部6が第二被覆域31を被覆する領域の長さである第二被覆長L2よりも、長くなっている。このような被覆長L1,L2の大きさの関係をはじめ、防水部6の構成については、後に詳しく説明する。防水部6は、スプライス部5に水(電解質も含む;以下同じ)が侵入するのを抑制する防水材としての役割を果たす。
さらに、ワイヤーハーネス1は、シート体7を備えている。シート体7は、防水部6の外周を包囲している。シート体7は、ワイヤーハーネス1に必須に設けられるものではないが、設けておくことで、防水部6の形成を簡便に行うことができる。例えば、透明なシート体7の表面に光硬化性樹脂組成物を配置し、その樹脂組成物を配置したシート体7の面で、ワイヤーハーネス1のスプライス部5を含む領域を包み込めばよい。そして、シート体7の外側から光照射を行って樹脂組成物を硬化させることで、スプライス部5を含む領域を樹脂材料よりなる防水部6で被覆した状態を、簡便に形成することができる。また、シート体7は、防水部6を外部の物体との接触等から保護する、保護部材としても機能する。
ワイヤーハーネス1の各部を構成する材料や寸法は特に限定されるものではないが、以下に、好適な材料等を例示しておく。電線4を構成する導体41は、単線よりなってもよいが、複数の素線41aの集合体よりなることが好ましい。素線41aを構成する金属材料は特に限定されず、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を例示することができる。導体41は、1種の素線41aのみよりなっても、2種以上の素線41aを含むものであってもよい。また、導体41は、金属素線41aに加えて、有機繊維等、金属材料以外で構成される素線を含んでいてもよい。電線4を構成する絶縁被覆42は、絶縁性のポリマー材料より構成されている。具体的なポリマー材料としては、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)等のハロゲン系ポリマー、熱可塑性エラストマー、ゴムなどを挙げることができる。これらのポリマー材料は、単独で絶縁被覆42を構成しても、2種以上混合されてもよい。ポリマー材料には、適宜、各種添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、難燃剤、充填剤、着色剤等を挙げることができる。
各電線4の導体断面積および絶縁被覆42の厚さは、特に限定されるものではないが、後に説明する、防水部6での応力緩和による防水性向上の効果を有効に利用する等の観点から、導体断面積としては、0.5mm以上、5mm以下の範囲を例示することができる。また、絶縁被覆42の厚さとしては、0.2mm以上、0.7mm以下の範囲を例示することができる。
防水部6を構成する樹脂材料も、絶縁性のポリマー材料であれば、特に種類を限定されるものではない。しかし、防水部6を簡便に形成する観点から、熱可塑性樹脂や各種硬化性樹脂等、流動性の高い状態で所定の箇所に配置した後、固化させることで、防水部6を形成できるものであることが好ましい。特に、樹脂材料として、硬化性樹脂を用いることが好ましい。硬化性樹脂としては、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂、および二液反応硬化性樹脂等を例示することができる。防水部6の形成の簡便性の観点から、これらの樹脂の中でも、光硬化性樹脂を用いることが好ましい。
防水部6を構成する樹脂材料の樹脂種についても、特に限定されるものではないが、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等を例示することができる。中でも、アクリル系樹脂を用いることが好適である。光硬化性のアクリル系樹脂としては、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート系樹脂等を好適に例示することができる。防水部6を構成する樹脂材料としては、1種のみを用いても、2種以上を混合して用いてもよい。また、樹脂材料には、適宜、各種添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、反応開始剤、難燃剤、充填剤、着色剤等を挙げることができる。
ワイヤーハーネス1がシート体7を備える場合に、シート体7を構成する材料も、絶縁性のポリマー材料であれば、特に限定されるものではない。ポリマー材料としては、ポリプロピレン等のポリオレフィン、PVC等のハロゲン系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミドを例示することができる。ポリマー材料には、適宜、各種添加剤が添加されてもよい。また、防水部6を介して、シート体7を、スプライス部5の外周の所定の領域に配置し、固定する際の簡便性の観点から、シート体7は、接着剤または粘着剤が配置された接着層を有する接着テープとして構成されていることが好ましい。この場合には、接着層が設けられた面が、防水部6に接する面となる。また、防水部6を構成する樹脂材料が光硬化性樹脂である場合には、シート体7を介した光照射によって、樹脂材料を硬化させられるように、シート体7は、樹脂材料の硬化に用いる光を透過する、透明な材料よりなることが好ましい。
<防水部の構成>
ここで、ワイヤーハーネス1に設けられる防水部6について、詳細に説明する。上記のように、防水部6は、ワイヤーハーネス1において、スプライス部5と、第一被覆域21および第二被覆域31を、樹脂材料で一体に被覆するものである。
本実施形態にかかるワイヤーハーネス1においては、防水部6が、第一被覆域21において、第一電線束2の絶縁被覆42の表面を被覆する領域の長さである第一被覆長L1が、防水部6が、第二被覆域31において、第二電線束3の絶縁被覆42の表面を被覆する領域の長さである第二被覆長L2よりも、長くなっている(L1>L2)。ここで、第一被覆長L1および第二被覆長L2は、それぞれ、第一電線束2および第二電線束3において、軸線方向に沿って、スプライス部5に面する被覆域21,31の端縁22,32の位置から、防水部6の端縁62,63の位置までの距離に対応する。防水部6において、電線4の本数が多い第一電線束2側における第一被覆長L1が、電線4の本数の少ない第二電線束3側における第二被覆長L2よりも長くなっていることにより、ワイヤーハーネス1のスプライス部5またはその近傍の部位が温度変化を受けることがあっても、防水部6によるスプライス部5に対する防水性を、確保することができる。
ワイヤーハーネス1において、スプライス部5、あるいはその近傍の部位が温度変化を受けると、防水部6および電線4の絶縁被覆42が、膨張や収縮を起こす。しかし、防水部6と絶縁被覆42は、通常は異なる材料より構成されており、温度変化に対する膨張や収縮の挙動は、相互に異なる。すると、温度変化を受けた際に、防水部6と絶縁被覆42が、相互の変形に追随しにくくなくなり、防水部6と絶縁被覆42の間に熱応力が発生する。その熱応力によって、絶縁被覆42の表面から、防水部6が剥離してしまう場合がある。剥離は、多くの場合、防水部6の端縁62,63から起こる。特に、防水部6および絶縁被覆42が加熱を受けた後、放冷される際の収縮に伴って、防水部6の剥離が生じやすい。防水材として一般的に使用される各種硬化性樹脂は、PVCやポリオレフィン等、電線4の絶縁被覆42として多用される材料よりも、熱収縮率が小さい場合が多く、そのような防水性材料を用いて防水部6を構成した場合に、絶縁被覆42の収縮に防水部6が追随しにくいからである。
温度変化時に防水部6と絶縁被覆42の間に発生する熱応力は、1つの電線束2(3)を構成し、防水部6に被覆される電線4の本数が多い方が、大きくなる。温度変化によって膨張や収縮を起こす絶縁被覆42の総体積が大きくなるからである。つまり、電線束2(3)を構成する電線4の本数が多いほど、温度変化時に防水部6との間に発生する熱応力が大きくなり、熱応力による防水部6の剥離も、起こりやすくなる。
温度変化時に電線4の絶縁被覆42と防水部6との間に発生する熱応力は、防水部6を構成する樹脂材料の中で、緩和することができる。その応力緩和により、防水部6の剥離を起こりにくくすることができる。防水部6における応力緩和の効果は、1つの電線束2(3)の絶縁被覆42を囲む領域の長さが長いほど、つまり被覆域21(31)を被覆する防水部6の長さである被覆長L1(L2)が長いほど、大きくなる。応力緩和に関与することでできる樹脂材料の量が多くなるからである。その結果、防水部6の被覆長L1(L2)が長いほど、防水部6の端縁62(63)における最大熱応力が小さくなる。このことは、後の実施例でも、シミュレーションによって示される。
なお、防水部6の端縁62(63)における最大熱応力とは、防水部6の端縁62(63)に露出した面(端面)で計測される熱応力について、当該面の各位置において、温度を変化させた際に観測される熱応力の最大値を指し、値が小さいほど、防水部6における応力緩和の効果が大きいことを示す。応力緩和の効果が大きくなり、防水部6の端縁62(63)における最大熱応力が小さくなるほど、その端縁62(63)を起点として、防水部6が絶縁被覆42の表面に対して剥離を起こすのを、抑制することができる。
上記のように、1つの電線束2(3)を構成する電線4の本数が多いほど、その電線束2(3)の被覆域21(31)を被覆する防水部6との界面において、温度変化時に、熱応力による剥離が発生しやすくなる。しかし、本実施形態にかかるワイヤーハーネス1の防水部6においては、電線束2を構成する電線4の本数が多い第一被覆域21側の被覆長L1が、電線束3を構成する電線4の本数が少ない第二被覆域31側の被覆長L2よりも、長くなっており、第一被覆域21において、第二被覆域31よりも、防水部6における応力緩和の効果が大きく働くことになる。すると、第一被覆域21において、電線4の本数の多さに起因して発生する大きな熱応力を、応力緩和によって軽減し、第一被覆域21側の防水部6の端縁62に発生する最大熱応力を、小さく抑えることができる。その結果、防水部6が、第一被覆域21側の端縁62において、電線4の表面から剥離するのを、抑制することができる。
このように、本実施形態にかかるワイヤーハーネス1は、防水部6が、電線4の本数の多い第一電線束2の方に、長い被覆長L1を有することにより、温度変化を経ても、防水部6が、絶縁被覆42に密着し、高い防水性を示す状態を、維持することができる。本ワイヤーハーネス1は、温度変化を経ても、高い防水性を維持できることから、自動車内等、水と接触する可能性があり、しかも温度変化を頻繁に受ける環境に、好適に適用することができる。
第一被覆長L1が長いほど、第一被覆域21において、応力緩和による防水部6の剥離抑制の効果が、大きくなる。例えば、第一被覆長L1を、第二被覆長L2の4倍以上、さらには5倍以上、また7倍以上としておけば、あるいは、第一電線束2の電線4の本数が、第二電線束3の電線4の本数のN倍である場合に、第一被覆長L1を、第二被覆長L2のN倍以上、さらには1.5N倍以上としておけば、第一被覆域21における防水部6の剥離を、効果的に抑制することができる。また、第一被覆長L1を15mm以上、さらには20mm以上としておくことが好ましい。第一被覆長L1の上限は、特に設けられるものではないが、第一被覆域21における防水部6の剥離抑制効果が飽和しない範囲で、過剰に第一被覆長L1が長くなるのを回避する等の観点から、第二被覆長L2の12倍以下としておくとよい。なお、第二被覆長L2も、短すぎると、第二被覆域31における防水部6の剥離を抑制できなくなる可能性があるので、例えば、絶縁被覆42の厚さの4倍以上を確保しておくことが好ましく、5倍以上を確保しておくことがより好ましい。
第一電線束2および第二電線束3を構成する電線4の本数は、第一電線束2の方がその本数が多ければ、特に限定されるものではない。しかし、第一電線束2を構成する電線4の本数が多いほど、また、第一電線束2と第二電線束3で電線4の本数が大きく異なっているほど、第一被覆長L1を第二被覆長L2よりも長くすることによる、第一被覆域21における防水部6の剥離抑制の効果が、大きくなる。第一電線束2を構成する電線4の本数は、3本以上であることが好ましい。また、第一電線束2を構成する電線4の本数が、第二電線束3を構成する電線4の本数の2倍以上、さらには3倍以上であることが好ましい。
上記のように、防水部6の端縁62,63における最大熱応力が小さいほど、電線4の表面から防水部6が剥離するのを抑制しやすくなる。防水部6の端縁62,63における最大熱応力は、少なくとも第一被覆域21側の端縁62において、さらには第二被覆域31側の端縁63においても、0.7MPa以下、さらには0.5MPa以下であることが好ましい。すると、自動車内で使用されるワイヤーハーネスにおいて想定される温度変化に対して、防水部6が十分な防水性を維持するものとなりやすい。防水部6の端縁62,63における最大熱応力の大きさは、上記のように、被覆長L1,L2を長くすることで、小さくすることができるが、防水部6を構成する具体的な樹脂材料にも依存する。防水部6の特定の位置における最大熱応力は、例えば、コンピュータ支援エンジニアリング(Computer Aided Engineering;CAE)を用いたシミュレーションによって、見積もることができる。
また、防水部6の端縁62,63に熱応力が発生した場合に、防水部6が電線4の絶縁被覆42に強固に密着しているほど、剥離が生じにくくなる。よって、防水部6の最大熱応力は、少なくとも第一被覆域21側の端縁62において、好ましくは第二被覆域31側の端縁63においても、絶縁被覆42に対する防水部6を構成する樹脂材料の接着強度よりも小さくなっていることが好ましい。すると、温度変化を受けた際に、防水部6の端縁62,63に熱応力が発生することがあっても、防水部6が絶縁被覆42の表面から剥離しにくくなり、高い防水性を維持しやすくなる。樹脂材料の接着強度は、例えば、JIS K 6850に準拠して、引張せん断接着強度として計測することができる。
絶縁被覆42に対する防水部6を構成する樹脂材料の接着強度は、大きいほど好ましく、0.5MPa以上、さらには1.0MPa以上であるとよい。また、防水部6を構成する樹脂材料としては、高温環境で変性を起こし、接着強度が低下するものもあるが、温度変化時の防水性の低下を効果的に抑制する観点から、防水部6を構成する樹脂材料として、高温環境を経ても高い接着強度を維持できるものを用いることが好ましい。具体的には、絶縁被覆42に対する防水部6を構成する樹脂材料の接着強度が、両者を接着して、温度85℃、湿度85%RHの環境に500時間置いた後の状態で、0.3MPa以上、さらには0.5MPa以上を維持することが好ましい。
スプライス部5を水等との接触から保護するために、防水部6は、スプライス部5の全周を被覆している必要があるが、スプライス部5のみならず、両側の被覆域21,31においても、防水部6が全周を被覆していることが好ましい。防水部6の外周にシート体7が配置される場合にも、シート体7とスプライス部5の間、またシート体7と被覆域21,31との間に、スプライス部5および被覆域21,31の全周を被覆して、樹脂材料が配置され、防水部6が形成されていることが好ましい。スプライス部5および被覆域21,31の全周に、防水部6が形成されることで、各電線束2,3を取り囲み、熱応力の緩和に寄与する樹脂材料の量が多くなり、防水部6の防水性を高めやすくなる。また、外部の物体等との接触による損傷の発生や絶縁性の低下から、スプライス部5を効果的に保護することができる。なお、これらの効果を十分に利用する観点から、被覆域21,31の外周における防水部6の厚さは、被覆域21,31を構成する電線4の表面から防水部6の外縁までの距離(図2A,2B中の距離t)にして、電線4の外径の50%以上あればよく、さらには100%以上、また120%以上、150%以上あれば、一層好ましい。その厚さ以上に防水部6の厚さを大きくしても、熱応力の緩和による防水性向上の効果がさらに高まることは、起こりにくい。
被覆域21,31において、防水部6は、第一電線束2、また、複数の電線4を含む場合の第二電線束3全体としての外周を筒状に被覆するだけのものであってもよいが、図2A,2Bに第一被覆域21におけるワイヤーハーネス1の断面を示すように、樹脂材料が電線束2の外周領域を被覆するのに加え、電線束2を構成する電線4の間の領域に樹脂材料を充填した電線間充填部61を備えることが好ましい。つまり、隣接する少なくとも2本の電線4の間に、間隙(図中距離dにて表示)を有し、その間隙に樹脂材料が充填されていることが好ましい。図2Aに示した形態では、各電線4の間の領域の全域に、樹脂材料が充填され、電線間充填部61が形成されている。図2Bに示した形態では、一部の電線4の間の領域に、樹脂材料が充填され、電線間充填部61が形成されている。
防水部6が電線間充填部61を有することにより、防水部6において、樹脂材料と電線4の間の接触面積が大きくなり、電線4に対する防水部6の密着性を高めることができる。また、電線間充填部61の存在により、電線4を取り囲み、熱応力の緩和に寄与できる樹脂材料の量が多くなるため、温度変化を受けた際に、熱応力を緩和し、防水部6の剥離を抑制する効果が高くなる。よって、電線間充填部61を形成することにより、防水部6による防水性を、さらに高めることができる。特に、図2Aのように、各電線間の領域の全域に電線間充填部61を形成することで、防水性向上に優れた効果が得られる。
以下、実施例を示す。ここでは、コンピュータシミュレーションにより、防水部の被覆長と熱応力との関係を調べた。また、高温環境における樹脂材料の接着強度の変化を実測し、防水部の熱応力との関係について考察した。なお、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
[1]防水部の被覆長と熱応力の関係
[試験方法]
コンピュータシミュレーションにより、ワイヤーハーネスにおいて、スプライス部を含む領域を被覆する防水部の被覆長と、防水部の端縁における最大熱応力との関係を調べた。
シミュレーションは、CAE解析にて行った。有限要素法による熱応力解析により、ワイヤーハーネスの防水部の端縁に発生する最大熱応力を見積もった。
シミュレーション対象のモデルとして、図1に示したのと同様のワイヤーハーネス1を用いた。電線束2,3を構成する電線4の本数は、第一電線束2について3本、第二電線束3について1本とした。第二電線束3側の第二被覆長L2は3mmに固定し、第一電線束2側の第一被覆長L1を変化させながら、シミュレーションを行った。スプライス部5を構成する圧着端子51の中心から、第一被覆域21および第二被覆域31の端縁22,32までの距離は、それぞれ8mmとした。シート体7はモデルから省略した。
電線4としては、以下の表1に示すサイズを有するものを用いた。絶縁被覆の構成材料は、PVCとした。1つのモデルにおいて使用する4本の電線4は、全て同じものとした。
Figure 0007298388000001
防水部6を構成する樹脂材料としては、アクリル系樹脂を適用した。下に、アクリル樹脂の物性を、絶縁被覆を構成するPVCの物性とともに列挙しておく。なお、ここで適用したアクリル系樹脂は、次の接着強度の実測に用いている樹脂材料に対応するものである。
<アクリル樹脂>
・粘度(85℃):7mPa
・ヤング率(室温):30mPa
・ポアソン比:0.4
・線膨張率:150ppm
<PVC(電線被覆)>
・ヤング率(室温):8MPa
・ヤング率(85℃):2MPa
・ポアソン比:0.4
・線膨張率:280ppm
ワイヤーハーネス1の第一被覆域21においては、図2Aのように、3本の電線4のそれぞれと、隣接する電線4の間に、距離d=0.1mmの間隙を設け、その間隙に樹脂材料を充填して、電線間充填部61を形成した。また、第一被覆域21の外周部における防水部6の厚さtは、0.5mmとした。
[試験結果]
図3に、シミュレーションによって見積もられた、防水部の被覆長(第一被覆長L1)と、第一被覆域側の防水部の端縁における最大熱応力の関係を示す。横軸に被覆長を、縦軸に最大熱応力の解析結果を示している。上記表1に示したサイズの異なる電線A~Dを用いた場合について、それぞれ結果を示している。
図3において、電線Dを用いた場合の結果を見ると、防水部の被覆長を長くするほど、端縁の最大熱応力が小さくなることが分かる。電線Bおよび電線Cを用いた場合についても、同様の傾向が見られる。この傾向は、防水部の被覆長が長いほど、電線の絶縁被覆との間の熱応力の緩和に寄与することができる樹脂材料の量が多くなる結果であると解釈される。このことから、電線束を構成する電線の本数が多く、大きな熱応力が発生しやすい場合でも、防水部の被覆長を長くすることで、熱応力を効果的に緩和できると言える。
サイズの異なる4種の電線を用いた場合の最大熱応力を比較すると、おおむね、電線の導体断面積が大きく、絶縁被覆が厚い場合ほど、最大熱応力が大きくなる傾向が見られている。この傾向は、絶縁被覆の体積が大きくなるほど、絶縁被覆と防水部の間に発生する熱応力が大きくなることによる。また、電線の導体断面積が大きく、絶縁被覆が厚い場合ほど、被覆長を長くすることによる最大熱応力の減少量が大きくなっている。このことは、防水部を構成する樹脂材料の量を多くすることによる応力緩和の効果が、絶縁被覆の体積が大きく、大きな熱応力が発生する場合の方が、顕著に得られることを示している。
データ点数の多い電線Dを用いた場合について、被覆長と最大熱応力の関係をさらに詳細に検討すると、特に、被覆長が比較的短い領域で、被覆長の変化に対する最大熱応力の低減幅が大きくなっており、被覆長を15mm以上とすると、被覆長が12mmの場合に比べ、最大熱応力が、80%以下に低減されており、その値は、0.7MPa以下となっている。0.7MPaとの最大熱応力は、次に評価結果を示すアクリル系樹脂について、500時間の高温耐久を経た後の接着強度に概ね等しい。さらに、被覆長を20mm以上とすると、最大熱応力は、被覆長が12mmの場合の65%以下に低減されており、0.5MPa以下となっている。0.5MPaとの最大熱応力は、次に評価結果を示すアクリル系樹脂について1000時間の高温耐久を経た後の樹脂材料の接着強度に概ね等しい。電線Dよりもサイズの小さい電線A~Cを用いた場合には、被覆長15mm以上の領域で、この0.5MPaとの値よりも最大熱応力が小さくなっている。この結果から、導体断面積が2mm以下、また絶縁被覆の厚さ0.4mm以下の電線を用いる場合に、被覆長を15mm以上とすることで、防水部の端縁における最大熱応力を、効果的に低減することができると言える。
[2]高温環境における樹脂材料の接着強度の変化
[試験方法]
ここでは、防水部を構成する樹脂材料の接着強度を測定し、高温耐久による変化を調べた。
樹脂材料としては、光硬化性を有するアクリル系樹脂組成物を用いた。このアクリル系樹脂組成物は、ポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマー50質量部とイソボルニルアクリレート50質量部を混合したものに、光重合開始剤として、ジフェニル(2,4,6-トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキサイド0.3質量部と、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1.5質量部を添加したものである。
2枚のPVC板の板面の間に上記樹脂組成物を配置し、紫外光照射によって樹脂材料を硬化させたものを、接着強度測定用の試験片として準備した。この試験片に対して、JIS K6850に準拠してせん断接着試験を行うことで、引張せん断接着強度を測定した。
接着強度の測定は、高温耐久後の状態に対しても行った。高温耐久条件は、温度85℃、湿度85%RHとした。上記試験片を、この高温耐久条件に所定時間置き、室温に放冷した後、上記と同様にして、接着強度を計測した。
[試験結果]
図4に、高温耐久に伴う接着強度の変化の測定結果を示す。図では、横軸に、耐久時間、つまり試験片を高温耐久条件に置いた時間を示し、縦軸に、各耐久時間に対して測定された接着強度の値を示している。耐久時間ゼロの点は、高温耐久を行う前の初期状態の試験片に対して測定した結果である。
図4によると、高温耐久を経ることで、樹脂材料の接着強度が低下している。さらに、耐久時間が長くなるに従って、接着強度の低下が大きくなっている。接着強度は、初期状態では2.0MPa以上あるのに対し、500時間の高温耐久を経ると、0.7MPa程度に低下している。その後は、接着強度の低下は緩やかになっているが、1000時間、また2000時間の高温耐久を経ると、接着強度が0.5MPa程度になっている。この試験で用いた樹脂材料をはじめとして、500時間の高温耐久を経て、0.5MPa以上の接着強度を維持することができる樹脂材料を用いてワイヤーハーネスの防水部を形成すれば、この試験で採用した高温耐久条件のように、高温にさらされる環境において、防水部と電線の絶縁被覆の間に熱応力が発生することがあっても、防水部が絶縁被覆に接着した状態を保ち、防水性を維持しやすいと言える。
以上、本開示の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 ワイヤーハーネス
2 第一電線束
21 第一被覆域
22 第一被覆域の端縁
3 第二電線束
31 第二被覆域
32 第二被覆域の端縁
4 電線
41 導体
41a 素線
42 絶縁被覆
5 スプライス部
51 圧着端子
6 防水部
61 電線間充填部
62,63 防水部の端縁
7 シート体
d 電線間の距離
t 防水部の厚さ
L1 第一被覆長
L2 第二被覆長

Claims (5)

  1. 第一電線束と、第二電線束と、スプライス部と、防水部と、を有し、
    前記第一電線束は、複数の電線を含み、
    前記第二電線束は、前記電線を前記第一電線束よりも少ない本数だけ含み、
    前記電線は、導体と、前記導体の外周を被覆する絶縁被覆と、を有し、前記絶縁被覆から前記導体が露出した露出部を備え、
    前記スプライス部は、前記第一電線束の前記露出部と、前記第二電線束の前記露出部とを接合しており、
    前記防水部は、前記スプライス部と、前記第一電線束の前記絶縁被覆の表面と、前記第二電線束の前記絶縁被覆の表面とを、樹脂材料で一体に被覆しており、
    前記防水部が前記第一電線束の前記絶縁被覆の表面を被覆する領域の長さである第一被覆長は、前記防水部が前記第二電線束の前記絶縁被覆の表面を被覆する領域の長さである第二被覆長よりも長
    少なくとも前記第一電線束側の端縁における前記防水部の最大熱応力は、前記絶縁被覆に対する前記樹脂材料の接着強度よりも小さい、ワイヤーハーネス。
  2. 前記第一被覆長は、前記第二被覆長の4倍以上である、請求項1に記載のワイヤーハーネス。
  3. 少なくとも前記第一電線束側の端縁における前記防水部の最大熱応力は、0.3MPa以上0.5MPa以下である、請求項1または請求項2に記載のワイヤーハーネス。
  4. 前記絶縁被覆に対する前記樹脂材料の接着強度は、0.5MPa以上2.25MPa以下である、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のワイヤーハーネス。ただし、請求項3を引用する場合に、前記防水部の前記最大熱応力と前記樹脂材料の前記接着強度とが等しい場合は除く。
  5. 前記絶縁被覆に対する前記樹脂材料の接着強度は、前記ワイヤーハーネスを、温度85℃、湿度85%RHの環境に500時間置いた後の状態で、0.5MPa以上0.7MPa以下を維持する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のワイヤーハーネス。ただし、請求項3を引用する場合に、前記防水部の前記最大熱応力と、前記環境に置いた後の状態における前記樹脂材料の前記接着強度とが等しい場合は除く。
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