JPH10257707A - 回転電機の固定子 - Google Patents

回転電機の固定子

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JPH10257707A
JPH10257707A JP5782097A JP5782097A JPH10257707A JP H10257707 A JPH10257707 A JP H10257707A JP 5782097 A JP5782097 A JP 5782097A JP 5782097 A JP5782097 A JP 5782097A JP H10257707 A JPH10257707 A JP H10257707A
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JP
Japan
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stator
slot
electric machine
rotating electric
spacer
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Pending
Application number
JP5782097A
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English (en)
Inventor
Hironori Shioda
裕基 塩田
Nobuo Urakawa
伸夫 浦川
Wataru Mifuji
亘 美藤
Makoto Tsukiji
真 築地
Shiro Takada
志郎 高田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度変化に伴う熱応力により対地絶縁層に亀
裂や剥離が発生するのを防止でき、コロナ放電の発生を
良好に防止できる回転電機の固定子を得る。 【解決手段】 鉄心1に回転軸方向に伸びるスロット1
1を複数有し、導体3上に対地絶縁層4,半導電性の表
面コロナ防止層5を順に備える固定子コイルをスロット
のそれぞれに収納し、各スロット11のスロット壁面と
固定子コイル2の間の少なくとも一部に、電気的に絶縁
性を有すると共に、樹脂に対して離型性を有する材料よ
りなる第1スペーサ13を備える。また、スロット11
と固定子コイルの間の一部に第1スペーサを備え、他部
に電気的に導電性を有する第2スペーサを備える。ま
た、スロット11出口部で鉄心1と表面コロナ防止層5
を電気的に接続する導電手段を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高圧回転電機の固
定子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図14は、特願平8−120222号明
細書に記載されている従来の高圧回転電機の固定子の要
部を示す部分断面図で、構成が分かりやすいように固定
子コイルの一部をスロットから引き出して示している。
図において、1はケイ素鋼板を積層した鉄心、3はコイ
ル導体、4は対地絶縁層、5は表面コロナ防止層、10
は固定子コイルをスロット内に固定するウエッジ、11
は固定子コイルを収納するためのスロット、27は離型
性低抵抗絶縁層で、例えば離型性導電テープなどで形成
されている。
【0003】高圧回転電機は図のような固定子が環状に
設置されて円筒形状を成し、中央部分に回転子が配置さ
れている。円筒形状の長手方向が鉄心1の積層方向と一
致しており、環状に設けられた複数のスロット11のそ
れぞれに固定子コイルが挿入されている。そして、これ
らの固定子コイルのそれぞれは電気的に接続されてい
る。
【0004】以下、このような構成の固定子の製造方法
について説明する。例えば集成マイカからなるマイカシ
ートに、補強材としてガラスクロスを張り合わせ、テー
プ状にカッティングして対地絶縁層4となるマイカテー
プを形成する。このマイカテープをコイル導体3に複数
回巻き付け、樹脂含浸可能な対地絶縁層4を形成する。
次に、対地絶縁層4の外側に半導電性を有する表面コロ
ナ防止テープを巻回し、表面コロナ防止層5とする。こ
の表面コロナ防止層5の上に離型性導電テープを巻回し
て離型性低抵抗絶縁層27を形成し、固定子コイルを形
成する。
【0005】次に、この固定子コイルをスロット11に
挿入した後、ウエッジ10をウエッジ溝に打ち込んで、
固定子コイルをスロット11に固定する。次に複数のス
ロット11から外部に突き出た固定子コイル同士を電気
的に接続する。最後に上記のように組みあがった状態
で、すべてを含浸漕内に入れ、熱硬化性樹脂で一体含浸
・加熱硬化する。この製造方法では、いわゆる全含浸方
式により高圧回転電機の固定子を形成している。
【0006】上記のような構成の固定子において、一体
化されたスロット11の壁面と対地絶縁層4の熱膨張係
数には差があり、樹脂の含浸・加熱硬化時の温度変化
や、運転の際の起動停止による温度変化に伴って、熱膨
張係数の差に起因する熱応力が発生する。図14に示し
た固定子コイルでは、離型性低抵抗絶縁層27が樹脂に
対して離型性を示すため、樹脂の含浸・加熱変化や、運
転の際の起動停止による温度変化によって、コイル導体
3等に伸縮が生じても、この伸縮は、離型性低抵抗絶縁
層27の外面における滑りによって吸収される。このよ
うにして、対地絶縁層4と鉄心1との間に作用する熱応
力を緩和でき、表面コロナの発生を抑制する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の高圧回転電機の
固定子において、離型性低抵抗絶縁層27は0.1mm
以下の厚さの薄いフィルム材であり強度が小さかった。
このため、製造時に固定子コイルをスロット11に挿入
する際や、運転中の熱ストレスにより固定子コイルが伸
縮する際に、離型性低抵抗絶縁層27が鉄心1のスロッ
ト11壁面の凹凸に引っかかり、離型性低抵抗絶縁層2
7が裂けてしまうこともあった。離型性低抵抗絶縁層2
7が破れると、表面コロナ防止層5に亀裂を生じさせ、
対地絶縁層4に亀裂が生じる。この亀裂に高電圧が印加
されると、コロナ放電が発生し対地絶縁層4が浸食され
るという問題点があった。
【0008】本発明は、上記のような従来の問題点を解
決するためになされたもので、固定子コイルとスロット
11間に確実な離型性を持たせると共に、対地絶縁層4
内の剥離や亀裂の発生によるコロナ放電を良好に防止で
き、長期的に優れた特性を有する高圧回転電機の固定子
を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の構成に係
る高圧回転電機の固定子は、鉄心に回転軸方向に伸びる
スロットを複数有し、導体上に対地絶縁層,半導電性の
表面コロナ防止層を順に備える固定子コイルをスロット
のそれぞれに収納し、樹脂によって一体含浸により構成
される回転電機の固定子において、各スロットのスロッ
ト壁面とこれに挿入した固定子コイルの間の少なくとも
一部に、電気的に絶縁性を有すると共に、樹脂に対して
離型性を有する材料よりなる第1スペーサを備えたもの
である。
【0010】また、本発明の第2の構成に係る高圧回転
電機の固定子は、第1の構成において、第1スペーサ
を、表面の少なくとも固定子コイル側に離型剤を設けた
ガラスエポキシ積層板としたものである。
【0011】また、本発明の第3の構成に係る高圧回転
電機の固定子は、第1の構成において、第1スペーサを
フッ素樹脂としたものである。
【0012】また、本発明の第4の構成に係る高圧回転
電機の固定子は、鉄心に回転軸方向に伸びるスロットを
複数有し、導体上に対地絶縁層,半導電性の表面コロナ
防止層を順に備える固定子コイルをスロットのそれぞれ
に収納し、樹脂によって一体含浸により構成される回転
電機の固定子において、各スロットの固定子コイルと対
向するスロット壁面の少なくとも一部に、電気的に絶縁
性を有すると共に、樹脂に対して離型性を有する材料よ
りなる離型層を備えたものである。
【0013】また、本発明の第5の構成に係る高圧回転
電機の固定子は、第4の構成において、離型層を、ニダ
ックス処理によりスロット壁面にメッキしたフッ素樹脂
の離型層としたものである。
【0014】また、本発明の第6の構成に係る高圧回転
電機の固定子は、第1ないし第3のいずれかの構成にお
いて、スロット壁面と固定子コイルの間の一部に、電気
的に絶縁性を有すると共に、樹脂に対して離型性を有す
る材料よりなる第1スペーサを備え、各スロットのスロ
ット壁面とこれに挿入した固定子コイルの間の他部に電
気的に導電性を有する第2スペーサを備えたものであ
る。
【0015】また、本発明の第7の構成に係る高圧回転
電機の固定子は、第1ないし第5のいずれかの構成にお
いて、スロット出口部で鉄心と表面コロナ防止層を電気
的に接続する導電手段を備えたものである。
【0016】また、本発明の第8の構成に係る高圧回転
電機の固定子は、第7の構成において、導電手段を、ス
ロットの出口部で鉄心と接触し、スロット外部に伸びた
固定子コイルを巻回する導電性弾性体で構成したもので
ある。
【0017】また、本発明の第9の構成に係る高圧回転
電機の固定子は、第7の構成において、導電手段を、固
定子コイルの表面コロナ防止層に巻回した導電部材と、
その導電部材を鉄心に接続する樹脂非接着性電線で構成
したものである。
【0018】また、本発明の第10の構成に係る高圧回
転電機の固定子は、第6の構成において、第2スぺーサ
を導電性弾性体で構成したものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.本発明の実施の形態1による高圧回転電
機の固定子について説明する。図1は実施の形態1によ
る固定子のスロット出口部を示す斜視図、図2は実施の
形態1に係わる導電性弾性体である導電リングを示す斜
視図、図3はスロット内部における固定子を示す部分断
面図であり、構成が分かりやすいように固定子コイルの
一部をスロットから引き出して示している。ここで、ス
ロットは鉄心の積層方向、即ち回転軸の方向に伸びた形
状で、固定子コイルを挿入する溝であり、このスロット
の長手方向の端部をスロット出口部と称し、スロットの
端部ではない中央部分をスロット内部,スロットからは
ずれた部分をスロット外部と称している。
【0020】図において、1はケイ素鋼板を積層した鉄
心、2は固定子コイル、3は導体で、ここではコイル導
体と呼ぶ。また、4は含浸可能な対地絶縁層で、絶縁の
ためにコイル導体3の外側にマイカテープを巻回して構
成されている。5は対地絶縁層4の外側に形成された半
導電性の表面コロナ防止層である。コイル導体3,対地
絶縁層4および表面コロナ防止層5から固定子コイル2
が構成されている。また、スロットへの挿入側に近いコ
イルが上口コイル6、スロットヘの挿入側から遠いコイ
ルが下口コイル7である。8は抵抗率が102 〜103
Ω程度の導電ゴムなどの導電性弾性体からなる導電リン
グ、9a,9bは導電リング8の接合部、10は固定子
コイル2をスロットの溝に固定するウエッジである。
【0021】高圧回転電機は図のような固定子が環状に
設置されて円筒形状を成し、中央部分に回転子が配置さ
れている。円筒形状の長手方向が鉄心1の積層方向およ
び回転軸方向と一致しており、環状に設けられた複数の
スロットのそれぞれに上口コイル6と下口コイル7が挿
入されている。そして、このスロットに挿入されている
上口コイル6,下口コイル7および他のスロットのそれ
ぞれに挿入されてコイルは、電気的に接続されていなけ
ればならない。
【0022】図2に示すように、導電リング8ははめこ
み易いように2つの部材8a,8bに分割されている。
さらに、図3において、11は固定子コイル2を収納す
るためのスロット、12は離型面、13は第1スぺーサ
で、ここでは表面に離型処理を施した絶縁性の応力緩和
スペーサである。応力緩和スペーサ13は、スロット1
1壁面−固定子コイル2間,ウエッジ10−上口コイル
6間,上口コイル6−下口コイル7間に、一部または全
域にわたって設置する。
【0023】以下、このような構成の固定子の製造方法
について説明する。例えば集成マイカからなるマイカシ
ートに、補強材としてガラスクロスを張り合わせ、テー
プ状にカッティングして対地絶縁層4となるマイカテー
プを形成する。スロット11内部に配置される部分のコ
イル導体3に、上記のマイカテープを複数回巻き付け、
樹脂含浸可能な対地絶縁層4を形成する。この対地絶縁
層4の外側に固有抵抗率が102 〜105 Ω程度の半導
電性を有する表面コロナ防止層5を巻回して、固定子コ
イル2を形成する。この表面コロナ防止層5は、スロッ
ト11内部のみではなく、スロット11出口部に対応す
る部分にまで巻回する。
【0024】次に、ガラスエポキシ積層板からなる絶縁
性を有する材料の表面に、例えばシリコーン樹脂または
フッ素樹脂パウダーの混入した樹脂を塗布し、その表面
に離型面12を形成して応力緩和スペーサを構成する。
この離型面12を有する応力緩和スペーサ13をスロッ
ト11の両側面と底部の一部または全域にわたって設置
する。次に、スロット11に下口コイル7を挿入し、そ
の上に上記と同様の応力緩和スペーサ13を設置後、上
口コイル6をその上に挿入する。上口コイル6の上に上
記と同様の応力緩和スペーサ13を設置し、ウエッジ1
0をウエッジ溝に打ち込み、固定子コイル2をスロット
11に固定する。
【0025】次に、スロット11出口部において、各ス
ロット11出口部から突き出ている上口コイル6と下口
コイル7の最外層である表面コロナ防止層5の外周に、
例えば2つに分割された導電リング8a,8bをはめ込
む。そして、導電リング8a,8b間の接合部9aにお
いて導電性接着剤で接着した後、鉄心1と導電リング8
との接合部9bを導電性接着剤で接着する。最後にこれ
らすべてを含浸漕内に入れ、例えばエポキシ系の熱硬化
性樹脂で一体含浸・加熱硬化する。
【0026】次にその作用効果について説明する。本実
施の形態では、樹脂に対して離型性を有する絶縁性の応
力緩和スペーサ13を、固定子コイル2の周囲に挿入し
ている。このため、熱硬化性樹脂の加熱硬化時や運転の
際の起動・停止時に、表面コロナ防止層5と応力緩和ス
ペーサ13間の離型面12で剥離が生じる。即ち、応力
緩和スペーサ13によって樹脂と固定子コイル2間にか
かる応力を吸収するので、対地絶縁層4内の亀裂発生や
剥離を防止できる。また、表面コロナ防止層5の外側に
応力緩和スペーサ13を設置したため、従来のようにス
ロット11壁面に鉄心1の積層面が露出していない。こ
のため、製造時に固定子コイル2をスロット11に挿入
する際や運転中に固定子コイル2が伸縮する際に、表面
コロナ防止層5がスロット11壁面の凹凸に引っかかっ
て裂けるのを防止できる。
【0027】また、スロット11外部において、表面コ
ロナ防止層5と鉄心1を導電リング8を介して電気的に
接続して同電位としたため、この間の表面コロナの発生
を防止できる。さらに、導電リング8を機械的に許容歪
みの大きな導電性弾性体で形成したため、鉄心1と表面
コロナ防止層5の熱膨張率の差による歪みがある程度生
じても、表面コロナ防止層5と鉄心1との導通を確保で
きる。
【0028】以上のように、いわゆる全含浸方式により
対地絶縁層4および表面コロナ防止層5に耐電圧性能を
付与すると共に、熱伝導性の優れた固定子コイル2を備
えた高圧回転電機の固定子を得ることができる。なお、
上記構成では導電リング8をスロット出口部の両端に設
置しているが、どちらか一方の端部のみに設置する構成
でもよい。また、複数のスロット出口部のそれぞれに導
電リング8を設けてもよいし、一部のスロット出口部に
設けてもよい。
【0029】実施の形態2.以下、本発明の実施の形態
2による高圧回転電機の固定子について説明する。実施
の形態1の応力緩和スペーサ13は、ガラスエポキシ積
層板の表面に例えばシリコーン樹脂またはフッ素樹脂パ
ウダーの混入した樹脂を塗布して構成したが、本実施の
形態では、応力緩和スペーサ13自体を、含浸する熱硬
化性樹脂に対して離型性を有するフッ素樹脂製とした。
他の各部の構成は、実施の形態1と同様である。
【0030】次にその作用効果について説明する。本実
施の形態では、フッ素樹脂製応力緩和スペーサ13の両
面が離型面となるので、表面コロナ防止層5とフッ素樹
脂製応力緩和スペーサ13間、およびフッ素樹脂製応力
緩和スペーサ13とスロット11間で離型しやすくな
る。このため、より弱い応力で剥離が生じ、対地絶縁層
4内の亀裂発生や剥離を防止できる。さらに、実施の形
態1に比べて、応力緩和スペーサに離型処理する工程を
省略できる。
【0031】なお、実施の形態1,2における応力緩和
スペーサ13は、スロット壁面において、一方の壁面の
一部分に設けてもよく、また、全域にわたって設けても
よい。また、スロット11の対向する両壁面の一部分に
設けてもよく、また、全域にわたって設けてもよい。ま
た、さらには、ウエッジ10下,上口コイル6−下口コ
イル7の間,下口コイル7下でウエッジ10に平行にな
る部分において、その一部分に設けてもよく、また、全
域にわたって設けてもよい。
【0032】実施の形態3.以下、本発明の実施の形態
3による高圧回転電機の固定子について説明する。図4
は実施の形態3による固定子のスロット出口部を示す斜
視図であり、14は導電性部材で例えば銅ワイヤーやス
テンレスワイヤーなどの導電性電線、15は樹脂非接着
性電線で例えば樹脂非接着性材で被覆された電線であ
る。この樹脂非接着性電線15は、鉄心1と導電性電線
14を接続するものである。また、図5はスロット内部
における固定子を示す部分断面図であり、16はスロッ
ト11の壁面にニダックス処理を施すことにより形成さ
れ、離型面12を有する離型層、17はウエッジ下フィ
ラー、18は中間フィラー、19は下敷板である。ウエ
ッジ下フィラー17,中間フィラー18,下敷板19の
それぞれは、例えばFRP(Fiber Reinfo
rced Plastic)で構成され、両コイルの周
囲の隙間を充填するための厚み調整として作用する。
【0033】以下、このような構成の固定子の製造方法
について説明する。まず、スロット11壁面に離型層1
6を形成するため、以下の(1)〜(3)の三工程から
なるニダックス処理を施す。 (1) スロット壁面の汚れを取り除くために、ショッ
トブラストをかける。 (2) 無電解ニッケルメッキし、フッ素樹脂を含浸す
る。 (3) 300〜400℃で熱処理を行い、フッ素樹脂
を焼成する。 次に、スロット11に、下敷板19,下口コイル7,中
間フィラー18,上口コイル6、ウエッジ下フィラー1
7の順に挿入する。この下口コイル7,上口コイル6は
実施の形態1と同様の方法で製造したものである。次に
ウエッジ10をウエッジ溝に打ち込み、固定子コイル2
を固定する。
【0034】次に、各スロット11出口部から突き出て
いる上口コイル6と下口コイル7において、両コイル
6,7の最外層である表面コロナ防止層5の外周に、導
電性電線14を巻回する。導電性電線14は、上口コイ
ル6の表面コロナ防止層5と下口コイル7の表面コロナ
防止層5を電気的に接続する。次に複数のスロット11
それぞれの導電性電線14同士を接続し、さらに導電性
電線14と鉄心1とを樹脂非接着性電線15を用いて接
続する。ここで、樹脂非接着性電線15の長さは、導電
性電線14−鉄心1間の長さの1.5倍程度にしてお
く。また、鉄心1と樹脂非接着性電線15との接続は、
例えば半田や溶接によってなされる。最後にこれらすべ
てを含浸漕内に入れ、例えばエポキシ系の熱硬化性樹脂
で一体含浸・加熱硬化する。このような全含浸方式によ
り、対地絶縁層4および表面コロナ防止層5に耐電圧性
能を付与すると共に、熱伝導性の優れた固定子コイル2
を備えた高圧回転電機の固定子を得ることができる。
【0035】次にその作用効果について説明する。本実
施の形態では、表面コロナ防止層5とスロット11との
間に、離型面12を有する離型層16が設けられてい
る。このため、熱硬化性樹脂の加熱硬化時や運転の際の
起動・停止時に、表面コロナ防止層5−スロット11壁
面間に応力がかかっても、離型層16で離型させること
で対地絶縁層4内の亀裂発生や剥離を防止できる。ま
た、実施の形態1,2では、本実施の形態におけるウエ
ッジ下フィラー17,中間フィラー18,下敷板19を
配置した部分に、離型処理を施した応力緩和スペーサを
配置したが、本実施の形態ではスロット11壁面に直接
ニダックス処理を施して一括してフッ素樹脂の離型層1
6を形成しており、作業工程が簡単にできる。
【0036】また、スロット11外部において、表面コ
ロナ防止層5と鉄心1を導電性電線14と樹脂非接着性
電線15で電気的に接続している。このため、表面コロ
ナ防止層5と鉄心1とは同電位となり、この間の表面コ
ロナの発生を防止できる。また、樹脂非接着性電線15
を用いることで、含浸・加熱硬化した後でも樹脂が電線
15に接着しない。また、樹脂非接着性電線15の長さ
を、導電性電線14と鉄心1間の長さの1.5倍程度の
長さに構成したことにより、鉄心1と表面コロナ防止層
5の熱膨張率の差による歪みが生じても、表面コロナ防
止層5と鉄心1との導通を確保できる。
【0037】なお、上記構成では、上口コイル6の表面
コロナ防止層5と下口コイル7の表面コロナ防止層5の
接続および鉄心1と導電性電線14との接続を、スロッ
ト出口部の両端で行っているが、どちらか一方の端部の
みで行ってもよい。また、複数のスロット外部のそれぞ
れで導電してもよいし、一部のスロット外部で導電して
もよい。また、複数のスロットに挿入した各下口コイル
7の表面コロナ防止層5を導電性電線14を用いて接続
し、同様に各上口コイル6の表面コロナ防止層5を接続
した後、各導電性電線14同士を接続し、さらに導電性
電線14の一端を鉄心1に、例えば半田などで接続して
もよい。
【0038】実施の形態4.以下、本発明の実施の形態
4による高圧回転電機の固定子について説明する。実施
の形態3ではスロット11壁面に離型層6を形成するた
めに無電界ニッケルメッキによってフッ素樹脂を含浸す
るニダックス処理を行ったが、本実施の形態ではスロッ
ト11壁面にシリコーン樹脂またはフッ素樹脂パウダー
の混入した樹脂などの離型剤を塗布して離型層16を形
成した。メッキ処理を行う代わりに離型剤を塗布するこ
とで、メッキ処理に必要な加熱工程を省略できるので、
スロット11壁面に離型層16を形成する時の加熱によ
り生じる種々の問題を避けることができる。
【0039】実施の形態5.以下、本発明の実施の形態
5による高圧回転電機の固定子について説明する。図6
は実施の形態5による固定子のスロット出口部を示す斜
視図、図7は実施の形態5に係わる導電性鍔を示す斜視
図、図8はスロット11内部における固定子を示す部分
断面図である。
【0040】図において、20は導電性鍔で図7に示す
ように2つの部分20a,20bに分割して構成してい
る。21a,21bはボルト穴であり、導電性鍔20
a,20bをボルトで固定するために設けたものであ
る。また、22は絶縁性応力緩和スペーサでここではコ
の字型のスロットセルと称し、例えばスロット11壁面
に沿うようにコの字型に整形したガラスエポキシ積層板
からなる絶縁性を有する材料に離型処理を施して、離型
面12を形成したものである。
【0041】以下、このような構成の固定子の製造方法
について説明する。まず、スロット11壁面に沿うよう
に絶縁性材をコの字型に整形する。この絶縁性材の固定
子コイル側の面に、離型処理としてシリコーン樹脂また
はフッ素樹脂樹脂を塗布し、離型面12を形成する。次
にこのスロットセル22をスロット11壁面に設置し、
下口コイル7をスロットセル22内に挿入した後、中間
フィラー18,上口コイル6,ウエッジ下フィラー17
の順に挿入する。この後、ウエッジ10をウエッジ溝に
打ち込み、スロット11に固定子コイルを固定する。
【0042】複数のスロット11のそれぞれに固定子コ
イル2を挿入すると、各スロット11出口部から上口コ
イル6と下口コイル7とが対になって突き出ている状態
となる。この1対の上口コイル6と下口コイル7の最外
層である表面コロナ防止層5の外周を、図7で示すよう
な導電性鍔20a,20bで挟み、ボルト穴21a,2
1bをボルトで締め込む。この導電性鍔20によって上
口コイル6と下口コイル7の表面コロナ防止層5が電気
的に接続する。さらに導電性鍔20と鉄心1とを樹脂非
接着性電線15を用いて接続する。ここで、樹脂非接着
性電線15の長さを導電性鍔20と鉄心1間の長さの
1.5倍程度にしておく。また、鉄心1と樹脂非接着性
電線15とは、例えば、半田止めや溶接によって接続さ
れる。最後にこれらすべてを含浸漕内に入れ、例えばエ
ポキシ系の熱硬化性樹脂で一体含浸・加熱硬化する。こ
のようにして、いわゆる全含浸方式により、対地絶縁層
4と表面コロナ防止層5に耐電圧性能を付与すると共
に、優れた熱伝導性を有する固定子コイルを備えた高圧
回転電機の固定子を得ることができる。
【0043】次にその作用効果について説明する。本実
施の形態では、スロットセル22の固定子コイル側に離
型面12が形成される。このため、熱硬化性樹脂の加熱
硬化時や運転の際の起動・停止時に、スロットセル22
−表面コロナ防止層5間で剥離して応力を吸収するた
め、対地絶縁層4内の亀裂発生や剥離を防止できる。ま
た、コの字型のスロットセル22自体をスロット11に
直接挿入するため、スロット11壁面やウエッジ10の
下面に細工を施す必要がなく、作業工程が簡単にでき
る。
【0044】また、本実施の形態では、スロット11外
部において表面コロナ防止層5と鉄心1を導電性鍔20
で電気的に接続している。このため、表面コロナ防止層
5と鉄心1とは同電位となり、この間の表面コロナの発
生を防止できる。また、樹脂非接着性電線15を用いる
ことで、含浸・加熱硬化した後でも樹脂が電線に接着す
ることはない。さらに、樹脂非接着性電線15の長さ
を、導電性鍔20と鉄心1間の長さの1.5倍程度とし
たため、鉄心1と表面コロナ防止層5の熱膨張率の差に
よる歪みが生じても、表面コロナ防止層5と鉄心1との
導通を確保できる。
【0045】なお、上記構成では、導電性鍔20の設置
および鉄心1との接続を、スロット出口部の両端で行っ
ているが、どちらか一方の端部のみで行ってもよい。ま
た、複数のスロット外部のそれぞれで導電してもよい
し、一部のスロット外部で導電してもよい。
【0046】実施の形態6.以下、本発明の実施の形態
6による高圧回転電機の固定子について説明する。実施
の形態5のスロットセル22は、ガラスエポキシ積層板
からなる絶縁性材の固定子コイル側面に離型処理を施し
たが、本実施の形態では、コの字型のスロットセル22
自体を、含浸する熱硬化性樹脂に対して離型性を有する
フッ素樹脂製にした。
【0047】次にその作用効果について説明する。本実
施の形態では、フッ素樹脂製スロットセル22の両面に
離型面ができるので、表面コロナ防止層5とフッ素樹脂
製コの字型スロットセル間、およびフッ素樹脂製コの字
型スロットセル22とスロット11間で離型しやすくな
る。このため、より弱い応力で剥離が生じ、対地絶縁層
4内の亀裂発生や剥離を防止できる。さらに、実施の形
態5に比べて、絶縁性材に離型処理する工程を省略でき
る。
【0048】実施の形態7.以下、本発明の実施の形態
7による高圧回転電機の固定子について説明する。図9
は実施の形態7に係り、スロット内部における固定子を
示す部分断面図、図10は実施の形態7に係わる第1ス
ペーサで、例えば絶縁性応力緩和スペーサを示す斜視図
である。
【0049】図において、24は導電性弾性体よりなる
第2スペーサで、例えば導電ゴムである。本実施の形態
における絶縁性応力緩和スペーサ22は、コの字型に整
形したガラスエポキシ積層板からなる絶縁性材の表面
に、シリコーン樹脂またはフッ素樹脂パウダーの混入し
た樹脂を塗布し、固定子コイル2との対向面に離型面1
2を有する。また、図10に示すように、製造工程では
絶縁性応力緩和スペーサ22のコの字型の側面に導電ゴ
ム24を挿入する挿入溝23があけられており、この挿
入溝23に導電ゴム24を挿入する。図10では前方の
挿入溝23には導電ゴム24を挿入済みであり、後方の
挿入溝23にはまだ導電ゴム24を未挿入の状態を示し
ている。絶縁性応力緩和スペーサ22と導電ゴム24と
で応力緩和スペーサを構成している。
【0050】次に製造方法について説明する。コの字型
の絶縁性応力緩和スペーサ22にウエッジ10側に導入
口のある挿入溝23を製作し、この絶縁性応力緩和スペ
ーサ22をスロット11に挿入する。さらに、下口コイ
ル7,中間フィラー18,上口コイル6,ウエッジ下フ
ィラー17を挿入した後、挿入溝23に抵抗率が102
〜103 Ω程度の導電ゴム24を挿入する。そして、ウ
エッジ10をウエッジ溝に打ち込み、固定子コイル2を
固定する。最後に複数のスロット11出口部から外部に
突き出ている固定子コイル2の接続を行い、これらすべ
てを含浸漕内に入れて、例えばエポキシ系の熱硬化性樹
脂で一体含浸・加熱硬化する。このようにして、いわゆ
る全含浸方式により、対地絶縁層4と表面コロナ防止層
5に耐電圧性能を付与すると共に、優れた熱伝導性を有
する固定子コイルを備えた高圧回転電機の固定子を得る
ことができる。
【0051】上記の導電ゴム24と絶縁性応力緩和スペ
ーサ22で構成される応力緩和スペーサは、少なくとも
剪断応力の大となるスロット11出口付近に配設すれば
よく、スロット11内部では、導電性応力緩和スペーサ
を配設してもよい。
【0052】次にその作用効果について説明する。本実
施の形態では導電ゴム24により、スロット11内部で
表面コロナ防止層5と鉄心1間の電気的接続がなされる
ため、実施の形態1〜実施の形態6のようなスロット1
1出口部での工作が不必要になり、工程が簡略化でき
る。また、機械的に許容歪みの大きな導電ゴム24を使
用することで、熱硬化性樹脂の加熱硬化時や運転の際の
起動・停止時の応力変化に対応し、鉄心1と表面コロナ
防止層5間の電気的接続を保持できる。
【0053】なお、絶縁性応力緩和スペーサ22の部分
は、実施の形態5と同様、固定子コイル側の面には離型
面12が形成されており、応力変化時に絶縁性応力緩和
スペーサ22と表面コロナ防止層5との間で剥離させる
ことで、対地絶縁層4内の亀裂発生や剥離を防止でき
る。
【0054】実施の形態8.以下、本発明の実施の形態
8による高圧回転電機の固定子について説明する。実施
の形態7では挿入溝23を絶縁性応力緩和スペーサ22
の1箇所に設けた場合を示したが、本実施の形態では複
数の挿入溝を設けた構成としている。
【0055】図11は、スロット11の対地絶縁層4に
働く剪断応力を示す特性図である。図において、横軸は
スロット11の長手方向の中央点からスロット出口まで
の絶縁層の位置を示し、縦軸は絶縁層に働く剪断応力を
示している。縦軸は、剪断応力のピークを示す値を1.
0としている。図に示すように、絶縁層に働く剪断応力
は、中央点からスロット出口近傍に近づくにつれて大き
くなり、スロット出口では最も大きな剪断応力が働く。
【0056】このような剪断応力の特性から、スロット
11の中央点近傍の剪断応力があまりかからない部分で
複数の挿入溝を設け、導電ゴム24を多数箇所に設置す
る。このため、対地絶縁層4内の亀裂発生や剥離を効果
的に防止できると共に、鉄心1と表面コロナ防止層5間
の電気的接続をより確実になし得る。
【0057】実施の形態9.以下、本発明の実施の形態
9による高圧回転電機の固定子について説明する。本実
施の形態における応力緩和スペーサは、実施の形態7に
示したような導電ゴム24を挿入溝23に配設したもの
と、導電ゴムを持たずにすべてを絶縁性応力緩和スペー
サで構成したものとをそれぞれ複数用意しておき、任意
にスロット11に挿入して固定子を構成する。即ち、ス
ロット11の長手方向に対して複数の部分に分割したス
ペーサを構成し、導電作用を有せず樹脂に対して離型作
用を有する絶縁性の第1スペーサと、導電作用を有する
第2スペーサを製作し、両者の作用を効果的に発揮させ
る。
【0058】次に作用効果について説明する。本実施の
形態では、スロット11の長手方向に挿入する導電ゴム
24の数を自由に設定できる。図11に示すような剪断
応力の特性から、例えば、熱硬化性樹脂の加熱硬化時や
運転の際の起動・停止時に絶縁層に働く剪断応力の大き
いスロット11出口付近には、離型しやすい導電ゴム挿
入溝23なしのスロットセルを多く挿入すると、離型し
やすい。また逆に剪断応力の小さいスロット11中央部
には導電ゴム挿入溝23のあるスロットセルを多く挿入
することで、鉄心1と表面コロナ防止層5間の電気的接
続をより確実になし得る。
【0059】実施の形態10.以下、本発明の実施の形
態10による高圧回転電機の固定子について説明する。
図12は実施の形態10に係り、スロット内部における
固定子を示す部分断面図、図13は実施の形態10に係
わる応力緩和スペーサを示す斜視図である。図におい
て、24は第2スペーサで、例えば導電性弾性体でこの
場合は導電ゴムである。25,26は第1スペーサで、
例えばガラスエポキシ積層板からなる絶縁性材に離型処
理を施した応力緩和スペーサである。この離型処理は、
例えば固定子コイル側に配設される面にシリコーン樹脂
またはフッ素樹脂パウダーの混入した樹脂を塗布したも
のである。応力緩和スペーサ25は断面がコの字型であ
り、ウエッジ10−上口コイル6間およびスロット11
底部−下口コイル7間に挿入され、応力緩和スペーサ2
6は断面がH字型であり、上口コイル6−下口コイル7
間に挿入される。この応力緩和スペーサ25,26は、
スロット11の長手方向に、スロット11に沿うように
一部または全域にわたって設置する。なお、このスペー
サ25,26の角の部分をカーブ状に形成すると、固定
子コイル2の角に密着するので、離型の作用が効果的に
なる。
【0060】次に製造方法について説明する。まず、図
13に示すようなコの字型とH字型の応力緩和スペーサ
25,26に離型処理を施す。次にスロット11の底部
にコの字型応力緩和スペーサ25,下口コイル7,H字
型応力緩和スペーサ26,上口コイル6,コの字型応力
緩和スペーサ25の順に挿入する。次にスロット11の
長手方向から各応力緩和スぺーサ25,26間に、抵抗
率が102 〜103 Ω程度の導電ゴム24を挿入する。
そして、ウエッジ10をウエッジ溝に打ち込み、固定子
コイル2を固定する。最後に複数のスロット11出口部
から外部に突き出ている固定子コイル2の接続を行い、
これらすべてを含浸漕内に入れて、例えばエポキシ系の
熱硬化性樹脂で一体含浸・加熱硬化する。このようにし
て、いわゆる全含浸方式により、対地絶縁層4と表面コ
ロナ防止層5に耐電圧性能を付与すると共に、優れた熱
伝導性を有する固定子コイルを備えた高圧回転電機の固
定子を得ることができる。
【0061】次にその作用効果について説明する。本実
施の形態では導電ゴム24により、スロット11内部で
表面コロナ防止層5と鉄心1間の電気的接続がなされる
ため、実施の形態1〜実施の形態6のようなスロット1
1出口部での工作が不必要になり、工程が簡略化でき
る。また、機械的に許容歪みの大きな導電ゴム24を使
用することで、熱硬化性樹脂の加熱硬化時や運転の際の
起動・停止時の応力変化に対応し、鉄心1と表面コロナ
防止層5間の電気的接続を保持できる。また、熱硬化性
樹脂の加熱硬化時や運転の際の起動・停止時に、応力緩
和スペーサ25,26と表面コロナ防止層5間で剥離さ
せることで、対地絶縁層4内の亀裂発生や剥離を防止で
きる。
【0062】実施の形態11.以下、本発明の実施の形
態11による高圧回転電機の固定子について説明する。
実施の形態10の応力緩和スペーサ25,26をスロッ
ト11の長手方向に対して複数の部分に分割した構成と
する。このとき、導電ゴム24の挿入はその各部分を挿
入する度ごとに行なう。
【0063】本実施の形態では、実施の形態10の効果
に加え、各応力緩和スペーサ25,26毎に導電ゴム2
4の挿入を行うため、挿入する導電ゴム24の長さを短
くでき、挿入が簡易にできる。
【0064】実施の形態12.以下、本発明の実施の形
態12による高圧回転電機の固定子について説明する。
実施の形態10のコの字型応力緩和スペーサ25,H字
型の応力緩和スペーサ26を、含浸する熱硬化性樹脂に
対して離型性を有するフッ素樹脂製にした。
【0065】このように構成すれば、表面コロナ防止層
5とフッ素樹脂製応力緩和スペーサ間,およびフッ素樹
脂製応力緩和スペーサとスロット11間に離型層ができ
る。このため、より弱い応力で剥離が生じ、対地絶縁層
4内の亀裂発生や剥離を防止できる。また、絶縁性材に
離型処理する必要がなく、製造工程を省略できる。
【0066】
【発明の効果】以上のように、本発明の第1の構成によ
れば、鉄心に回転軸方向に伸びるスロットを複数有し、
導体上に対地絶縁層,半導電性の表面コロナ防止層を順
に備える固定子コイルをスロットのそれぞれに収納し、
樹脂によって一体含浸により構成される回転電機の固定
子において、各スロットのスロット壁面とこれに挿入し
た固定子コイルの間の少なくとも一部に、電気的に絶縁
性を有すると共に、樹脂に対して離型性を有する材料よ
りなる第1スペーサを備えたことにより、熱硬化性樹脂
の加熱硬化時や運転の際の起動・停止時に対地絶縁層内
の亀裂発生や剥離を防止できる回転電機の固定子を得る
ことができる。
【0067】また、本発明の第2の構成によれば、第1
の構成において、第1スペーサを、表面の少なくとも固
定子コイル側に離型剤を設けたガラスエポキシ積層板と
したことにより、熱硬化性樹脂の加熱硬化時や運転の際
の起動・停止時に対地絶縁層内の亀裂発生や剥離を防止
できる回転電機の固定子を得ることができる。
【0068】また、本発明の第3の構成によれば、第1
の構成において、第1スペーサをフッ素樹脂としたこと
により、熱硬化性樹脂の加熱硬化時や運転の際の起動・
停止時に対地絶縁層内の亀裂発生や剥離を防止できる回
転電機の固定子を得ることができる。
【0069】また、本発明の第4の構成によれば、鉄心
に回転軸方向に伸びるスロットを複数有し、導体上に対
地絶縁層,半導電性の表面コロナ防止層を順に備える固
定子コイルをスロットのそれぞれに収納し、樹脂によっ
て一体含浸により構成される回転電機の固定子におい
て、各スロットの固定子コイルと対向するスロット壁面
の少なくとも一部に、電気的に絶縁性を有すると共に、
樹脂に対して離型性を有する材料よりなる離型層を備え
たことにより、熱硬化性樹脂の加熱硬化時や運転の際の
起動・停止時に対地絶縁層内の亀裂発生や剥離を防止で
きる回転電機の固定子を得ることができる。
【0070】また、本発明の第5の構成によれば、第4
の構成において、離型層を、ニダックス処理によりスロ
ット壁面にメッキしたフッ素樹脂の離型層としたことに
より、第4の構成による効果に加え、製造工程が簡略化
できる回転電機の固定子を得ることができる。
【0071】また、本発明の第6の構成によれば、第1
ないし第3のいずれかの構成において、スロット壁面と
固定子コイルの間の一部に、電気的に絶縁性を有すると
共に、樹脂に対して離型性を有する材料よりなる第1ス
ペーサを備え、各スロットのスロット壁面とこれに挿入
した固定子コイルの間の他部に電気的に導電性を有する
第2スペーサを備えたことにより、第1ないし第3のい
ずれかの構成による効果に加え、簡単な構成で確実に表
面コロナの発生を防止できる回転電機の固定子を得るこ
とができる。
【0072】また、本発明の第7の構成によれば、第1
ないし第5のいずれかの構成において、スロット出口部
で鉄心と表面コロナ防止層を電気的に接続する導電手段
を備えたことにより、第1ないし第5のいずれかの構成
による効果に加え、確実に表面コロナの発生を防止でき
る回転電機の固定子を得ることができる。
【0073】また、本発明の第8の構成によれば、第7
の構成において、導電手段を、スロットの出口部で鉄心
と接触し、スロット外部に伸びた固定子コイルを巻回す
る導電性弾性体で構成したことにより、確実に表面コロ
ナの発生を防止できる回転電機の固定子を得ることがで
きる。
【0074】また、本発明の第9の構成によれば、第7
の構成において、導電手段を、固定子コイルの表面コロ
ナ防止層に巻回した導電部材と、その導電部材を鉄心に
接続する樹脂非接着性電線で構成したことにより、確実
に表面コロナの発生を防止できる回転電機の固定子を得
ることができる。
【0075】また、本発明の第10の構成によれば、第
6の構成において、第2スぺーサを導電性弾性体で構成
したことにより、確実に表面コロナの発生を防止できる
回転電機の固定子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1による固定子のスロッ
ト出口部を示す斜視図である。
【図2】 実施の形態1に係わる導電性弾性体である導
電リングを示す斜視図である。
【図3】 実施の形態1に係わり、スロット内部におけ
る固定子を示す部分断面図である。
【図4】 本発明の実施の形態3による固定子のスロッ
ト出口部を示す斜視図である。
【図5】 実施の形態3に係わり、スロット内部におけ
る固定子を示す部分断面図である。
【図6】 本発明の実施の形態5による固定子のスロッ
ト出口部を示す斜視図である。
【図7】 実施の形態5に係わる導電性鍔を示す斜視図
である。
【図8】 実施の形態5に係わり、スロット内部におけ
る固定子を示す部分断面図である。
【図9】 本発明の実施の形態7に係わり、スロット内
部における固定子を示す部分断面図である。
【図10】 実施の形態7に係わる絶縁性応力緩和スペ
ーサを示す斜視図である。
【図11】 本発明に係る回転電機のスロットの対地絶
縁層に働く剪断応力を示す特性図である。
【図12】 本発明の実施の形態10に係わり、スロッ
ト内部における固定子を示す部分断面図である。
【図13】 実施の形態10に係わる応力緩和スペーサ
を示す斜視図である。
【図14】 従来の高圧回転電機の固定子の要部を示す
部分断面図である。
【符号の説明】
1 鉄心、2 固定子コイル、3 コイル導体、4 対
地絶縁層、5 表面コロナ防止層、6 上口コイル、7
下口コイル、8 導電リング、9a,9b接合部、1
0 ウエッジ、12 離型面、13 応力緩和スペー
サ、14 導電性電線、15 樹脂非接着性電線、16
離型層、17 ウエッジ下フィラー、18 中間フィ
ラー、19 下敷板、20 導電性鍔、21a,21b
ボルト孔、22 絶縁性応力緩和スペーサ、24 導
電性弾性体。
フロントページの続き (72)発明者 築地 真 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 高田 志郎 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄心に回転軸方向に伸びるスロットを複
    数有し、導体上に対地絶縁層,半導電性の表面コロナ防
    止層を順に備える固定子コイルを上記スロットのそれぞ
    れに収納し、樹脂によって一体含浸により構成される回
    転電機の固定子において、上記各スロットのスロット壁
    面とこれに挿入した上記固定子コイルの間の少なくとも
    一部に、電気的に絶縁性を有すると共に、上記樹脂に対
    して離型性を有する材料よりなる第1スペーサを備えた
    ことを特徴とする回転電機の固定子。
  2. 【請求項2】 第1スペーサは、表面の少なくとも固定
    子コイル側に離型剤を設けたガラスエポキシ積層板であ
    ることを特徴とする請求項1記載の回転電機の固定子。
  3. 【請求項3】 第1スペーサは、フッ素樹脂で構成され
    ていることを特徴とする請求項1記載の回転電機の固定
    子。
  4. 【請求項4】 鉄心に回転軸方向に伸びるスロットを複
    数有し、導体上に対地絶縁層,半導電性の表面コロナ防
    止層を順に備える固定子コイルを上記スロットのそれぞ
    れに収納し、樹脂によって一体含浸により構成される回
    転電機の固定子において、上記各スロットの上記固定子
    コイルと対向するスロット壁面の少なくとも一部に、電
    気的に絶縁性を有すると共に、上記樹脂に対して離型性
    を有する材料よりなる離型層を備えたことを特徴とする
    回転電機の固定子。
  5. 【請求項5】 上記離型層は、ニダックス処理によりス
    ロット壁面にメッキしたフッ素樹脂の離型層であること
    を特徴とする請求項4記載の回転電機の固定子。
  6. 【請求項6】 上記スロット壁面と上記固定子コイルの
    間の一部に、電気的に絶縁性を有すると共に、上記樹脂
    に対して離型性を有する材料よりなる第1スペーサを備
    え、上記各スロットのスロット壁面とこれに挿入した上
    記固定子コイルの間の他部に電気的に導電性を有する第
    2スペーサを備えたことを特徴とする請求項1ないし請
    求項3のいずれかに記載の回転電機の固定子。
  7. 【請求項7】 上記スロット出口部で上記鉄心と上記表
    面コロナ防止層を電気的に接続する導電手段を備えたこ
    とを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記
    載の回転電機の固定子。
  8. 【請求項8】 上記導電手段は、上記スロットの出口部
    で上記鉄心と接触し、上記スロット外部に伸びた固定子
    コイルを巻回する導電性弾性体であることを特徴とする
    請求項7記載の回転電機の固定子。
  9. 【請求項9】 上記導電手段は、上記固定子コイルの表
    面コロナ防止層に巻回した導電部材と、その導電部材を
    上記鉄心に接続する樹脂非接着性電線であることを特徴
    とする請求項7記載の回転電機の固定子。
  10. 【請求項10】 第2スぺーサは、導電性弾性体で構成
    されていることを特徴とする請求項6記載の回転電機の
    固定子。
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