JP6255697B2 - 樹脂モールドコイル及びその製造方法とモールド変圧器 - Google Patents

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本発明は、モールド変圧器、計器用変圧器、計器用変圧器(PT)、計器用変圧器(PC)などに用いられる樹脂モールドコイルとその製造方法およびモールド変圧器に関する。
交流電圧を変圧するモールド変圧器では、鉄心に装着されるコイルとして、例えば図8に示す構造の樹脂モールドコイルが用いられている。この樹脂モールドコイルは、保護フィルムを円筒状に形成した芯部2と、芯部2の外周に多層に巻回されたコイル導体3と、コイル導体3の層間を絶縁する複数枚の絶縁シート4とを有し、コイル導体3の周囲がエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂5により覆われてモールドされた構造となっている。
このような樹脂モールドコイルを製造する場合は、図9に示されるように、まず、円柱状に形成された内金型6の外周面に保護フィルムを円筒状に巻き付けて芯部2を形成する。次に、芯部2の外周にコイル導体3を多層に巻回し、さらにコイル導体3の内周側導体と外周側導体との間に絶縁シート4を介在させる。
その後、内金型6を外金型7の内側にセットし、外金型7に形成された樹脂注入口8から外金型7の内側に未硬化の熱硬化性樹脂5を注入する。このとき、外金型7の内側に注入された熱硬化性樹脂5は芯部2とコイル導体3で形成される空隙9およびコイル導体3と絶縁シート4で形成される空隙10に流入してコイル導体3の周囲をモールドする。
このような方法で製造される樹脂モールドコイルのコイル導体3は、通常、図10に示す巻き方で芯部2の外周に巻回される。このため、折り返し部分の層間(レアー間)では2層分のターン数だけ電位差を持つことになり、この電位差を絶縁するために、コイル導体3の内周側導体と外周側導体との間に絶縁シート4を介在させている。
また、コイル導体3は導通面積を確保するために、円形断面のものが一般的に使用される。このため、円筒状の芯部2の外周にコイル導体3を巻き付け、コイル導体3の内周側導体と外周側導体との間に絶縁シート4を介在させると、上述した空隙9,10の隅部が楔形状となる。そのため、注型した熱硬化性樹脂5を空隙9,10の隅部まで含浸させることが困難となり、空隙9,10の隅部に熱硬化性樹脂5の未含浸部が残存すると空隙9,10の隅部で部分放電が発生して層間の絶縁材を侵食していき、絶縁劣化を進行させるという問題がある。
部分放電の発生を抑制する方法としては、図11または図12に示す巻き方でコイル導体3を芯部2の外周に巻き付けてコイル導体3の層間電位差をパッシェン電圧以下に抑える方法、コイル導体として箔状のコイル導体を用い、これを図13に示す巻き方で芯部2の外周に巻き付けてコイル導体3の層間に電位差を発生させない方法、図14に示すような角形のコイル導体3を芯部2の外周に巻き付けて樹脂モールドコイルを製造する方法などがある。
図11〜図13に示す手法によると、コイル導体の層間を絶縁する絶縁シートが不要となり、コイル導体間で部分放電が発生することを抑制することが可能であるが、専用の巻線機や巻線治具が必要になり、図10に示した通常の巻き方に比べて巻線工程に時間がかかるという問題がある。
また、図14に示す方法も専用の巻線機を必要とし、巻線工程に時間がかかるという問題がある。さらに、断面が角形のコイル導体は断面が円形のコイル導体に比べて導通面積が小さいという問題もある。
熱硬化性樹脂の含浸性を向上させる技術としては、複数のガラス繊維を撚り合わせた線状絶縁体を超電導コイルの超電導線相互間に介在させて熱硬化性樹脂を超電導線相互間に含浸させる技術が特許文献1に記載されている。
特開平6−251935号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術を樹脂モールドコイルの製造方法に適用しようとすると、芯部の外周に巻回されたコイル導体の層間を絶縁シートで絶縁することが困難になるという問題がある。また、芯部とコイル導体とで形成される空隙やコイル導体と絶縁シートとで形成される空隙の隅部が楔形状である限りは、複数のガラス繊維を撚り合わせた線状絶縁体を空隙に介在させても熱硬化性樹脂を空隙の隅部まで含浸させることは困難である。
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであって、熱硬化性樹脂の含浸性を向上させることによりコイル導体の周囲での部分放電の発生が十分に抑制された樹脂モールドコイルとその製造方法およびモールド変圧器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、筒状の芯部と、該芯部の外周に多層に巻回されたコイル導体と、該コイル導体の層間を絶縁する絶縁シートとを有し、前記コイル導体の周囲が熱硬化性樹脂によりモールドされた樹脂モールドコイルの製造方法であって、前記コイル導体より径が細く、線状の金属導体に絶縁被覆を施した線状体を前記コイル導体の外周に線状体同士が接触し合わないピッチでスパイラル状に巻き付け、次いで前記芯部の外周に前記コイル導体を巻き付けると共に、前記コイル導体の内周側導体と外周側導体との間に前記絶縁シートを介在させた後、前記コイル導体の周囲を前記熱硬化性樹脂によりモールドすることを特徴とする。
請求項2の発明は、前記線状体として径が100μm以上のものを用いることを特徴とする。
請求項3の発明は、前記コイル導体の径の60倍以下のピッチで前記線状体を前記コイル導体の外周にスパイラル状に巻き付けることを特徴とする。
請求項4の発明は、筒状の芯部の外周にコイル導体が多層に巻回されるとともに該コイル導体の層間に絶縁シートが介装された巻線に、熱硬化性樹脂が注型された樹脂モールドコイルであって、前記コイル導体より径が細く、線状の金属導体に絶縁被覆を施した線状体の外周に線状体同士が接触し合わないピッチでスパイラル状に巻き付けられていることを特徴とする。
請求項5の発明は、前記線状体の径が100μm以上であることを特徴とする。
請求項6の発明は、前記コイル導体の径の60倍以下のピッチで前記線状体が前記コイル導体の外周にスパイラル状に巻き付けられてなることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項4に記載の樹脂モールドコイルと、前記芯部に挿通された鉄心とを備えたことを特徴とするモールド変圧器である。
請求項1の発明によれば、コイル導体より径の細い線状体を前記コイル導体の外周に線状体同士が接触し合わないピッチでスパイラル状に巻きつけていることにより、芯部とコイル導体で形成される空隙やコイル導体と絶縁シートで形成される空隙の隅部が楔形状となることがなく、空隙の隅部まで熱硬化性樹脂が含浸しやすい形状となるので、熱硬化性樹脂の含浸性を向上させることができ、これにより、コイル導体の周囲での部分放電の発生が十分に抑制された樹脂モールドコイルを製造することができる。
請求項2の発明によれば、前記線状体として耐熱性絶縁材からなるものを用いることにより、温度上昇のために線状体が径方向に熱膨張することによって熱硬化性樹脂がコイル導体から剥離することを抑制することができる。
請求項3の発明によれば、前記耐熱性絶縁材からなる線状体として当該線状体の径が前記コイル導体の径の1/3以下のものを用いることにより、コイル導体の外周に線状体を巻き付けない構成と比較してコイル導体の導通面積を大きく減少させることなく熱硬化性樹脂の含浸性向上を図ることができる。
請求項4の発明によれば、前記線状体として線状の金属導体に絶縁被覆を施したものを用いることにより、コイル導体に加えて線状体にも電流を流すことができるので、コイル導体の外周に耐熱性絶縁材からなる線状体を巻き付けた構成と比較して、線状体の金属導体部分の断面積分だけ電流の導通断面積を上昇させて、熱硬化性樹脂の含浸性向上を図ることができる。
請求項5の発明によれば、前記線状体として径が100μm以上のものを用いることにより、線状体が絶縁シートにめり込んで、絶縁シートとコイル導体で形成される空隙を埋めてしまうことを抑制することができる。
請求項6の発明によれば、前記コイル導体の径の60倍以下のピッチで前記線状体を前記コイル導体の外周にスパイラル状に巻き付けていることにより、コイル導体の外周に巻回された線状体の間でコイル導体が芯部や絶縁シートに接触することによって熱硬化性樹脂の含浸性が損なわれることを抑制することができる。
請求項7の発明によれば、前記コイル導体より径の細い線状体が前記コイル導体の外周に線状体同士が接触し合わないピッチでスパイラル状に巻き付けられていることにより、芯部とコイル導体で形成される空隙やコイル導体と絶縁シートで形成される空隙の隅部が楔形状となることがなく、注型された熱硬化性樹脂が空隙の隅部まで含浸しやすい形状となるので、熱硬化性樹脂の含浸性を向上させることができ、これにより、コイル導体の周囲での部分放電の発生が十分に抑制された樹脂モールドコイルを実現することができる。
請求項8の発明によれば、前記線状体が耐熱性絶縁材からなることにより、温度上昇のために線状体が径方向に熱膨張することによって熱硬化性樹脂がコイル導体から剥離することを抑制することができる。
請求項9の発明によれば、前記耐熱性絶縁材からなる線状体の径が前記導体の径の1/3以下であることにより、コイル導体の外周に線状体を巻き付けない構成と比較してコイル導体の導通面積を大きく減少させることなく熱硬化性樹脂の含浸性向上を図ることができる。
請求項10の発明によれば、線状体が線状の金属導体に絶縁被覆を施したものであることにより、コイル導体に加えて線状体にも電流を流すことができるので、コイル導体の外周に耐熱性絶縁材からなる線状体を巻き付けた構成と比較して、線状体の金属導体部分の断面積分だけ電流の導通断面積を上昇させて、熱硬化性樹脂の含浸性向上を図ることができる。
請求項11の発明によれば、前記線状体の径が100μm以上であることにより、線状体が絶縁シートにめり込んで、絶縁シートとコイル導体で形成される空隙を埋めてしまうことを抑制することができる。
請求項12の発明によれば、前記コイル導体の径の60倍以下のピッチで前記線状体が前記コイル導体の外周にスパイラル状に巻き付けられていることにより、コイル導体の外周に巻回された線状体の間でコイル導体が芯部や絶縁シートに接触することによって熱硬化性樹脂の含浸性が損なわれることを抑制することができる。
請求項13の発明によれば、請求項7〜12のいずれか一項に記載の樹脂モールドコイルを備えたことにより、コイル導体の周囲での部分放電の発生が十分に抑制されたモールド変圧器を実現することができる。
本発明の一実施形態に係る樹脂モールドコイルの軸方向断面を示す図である。 樹脂モールドコイルのコイル導体に線状体をスパイラル状に巻き付けた状態を示す図である。 線状体がスパイラル状に巻回されたコイル導体を円筒状の芯部の外周に多層に巻き付けると共にコイル導体の内周側導体と外周側導体との間に絶縁シートを介在させた状態を示す図である。 樹脂モールドコイルの製造時に使用される内金型を外金型にセットした状態を示す図である。 本発明の一実施形態により樹脂モールドコイルの保護フィルムとコイル導体で形成される空隙の形状を示す図である。 本発明の一実施形態により樹脂モールドコイルのコイル導体と絶縁シートで形成される空隙の形状を示す図である。 本発明の一実施形態に係るモールド変圧器の構成例を示す一部破砕正面図である。 従来の樹脂モールドコイルの軸方向断面を示す図である。 樹脂モールドコイルの従来の製造方法を説明するための図である。 樹脂モールドコイルの製造時に芯部の外周に巻回されるコイル導体の巻き方を示す図である。 コイル導体の層間電位差をパッシェン電圧以下に抑えるためのコイル導体の巻き方の一例を示す図である。 コイル導体の層間電位差をパッシェン電圧以下に抑えるためのコイル導体の巻き方の他の例を示す図である。 樹脂モールドコイルのコイル導体として箔状導体を用いた場合のコイル導体の巻き方を示す図である。 樹脂モールドコイルのコイル導体として角形導体を用いた場合のコイル導体の巻き方を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
本発明の一実施形態に係る樹脂モールドコイルの軸方向断面を図1に示す。図1に示されるように、本発明の一実施形態に係る樹脂モールドコイル1は、絶縁性を有する保護フィルムを円筒状に形成した芯部2と、芯部2の外周に多層に巻回されたエナメル線等のコイル導体3と、コイル導体3の層間を絶縁する複数枚の絶縁シート4とを有し、コイル導体3の周囲を注型されたエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂5によりモールドした構造となっている。
なお、コイル導体3は絶縁物で被覆された導体であり、このコイル導体3に適用されるエナメル線の樹脂被膜の材料としては例えばポリウレタン、ポリエステルなどがあるが、これに限定されるものではない。また、コイル導体3を形成する金属材料としては例えばアルミニウム、銅などが用いられる。
芯部2を形成する保護フィルムとしては例えば安価なポリエチレン系樹脂材料であるPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、さらには耐熱性材料であるガラス繊維マットなどの絶縁材からなるものが用いられるが、これに限定されるものではない。また、絶縁シート4としては例えばアラミド(全芳香族ポリアミド)ポリマー、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)などの絶縁材からなるものが用いられるが、これに限定されるものではない。
また、樹脂モールドコイル1は、コイル導体3より径の細い線状体11を有している。この線状体11はポリプロピレンやテフロン(登録商標)などの耐熱性絶縁材からなり、コイル導体3の外周に線状体11同士が接触し合わないピッチでスパイラル状に巻き付けられている。
なお、線状体11は、上述の耐熱性絶縁材からなるものに限定されるものではなく、後述のように、線状の金属導体に絶縁被覆を施したものを用いることもできる。
上述のように、本発明の一実施形態に係る樹脂モールドコイル1は、絶縁性を有する保護フィルムを円筒状に形成した芯部2の外周にコイル導体3が多層に巻回されるとともにコイル導体3の層間に絶縁シート4が介装された巻線に、熱硬化性樹脂5が注型された樹脂モールドコイルであって、コイル導体3より径の細い線状体11がコイル導体3の外周に線状体11同士が接触し合わないピッチでスパイラル状に巻き付けられた構成となっている。
このため、樹脂モールドコイル1では、芯部2とコイル導体3で形成される空隙やコイル導体3と絶縁シート4で形成される空隙の隅部が楔形状となることがなく、注型された熱硬化性樹脂5が空隙の隅部まで含浸しやすい構造となっており、コイル導体3の周囲への熱硬化性樹脂5の含浸性が向上しているため、熱硬化性樹脂5の未含浸部が残存することが十分に抑制されているので、コイル導体3の周囲での部分放電の発生を十分に抑制することができる。
次に、本発明の一実施形態に係る樹脂モールドコイル1の製造方法を説明する。図2〜図4は、樹脂モールドコイル1を製造するための手順を示す図である。上述した樹脂モールドコイル1を製造する場合は、図2に示されるように、まず、コイル導体3より径の細い線状体11を線状体同士が接触し合わないピッチPでコイル導体3の外周にスパイラル状に巻き付ける。
ここで、線状体11の径が100μm未満であると、コイル導体3の外周に巻回された線状体11がコイル導体3の絶縁皮膜や絶縁シート4の中に埋もれてしまうおそれがあるため、線状体11の径は100μm以上であることが好ましい。
また、線状体11が耐熱性絶縁材からなる場合、線状体11の径がコイル導体3の径の1/3より大きい径であると、樹脂モールドコイル1の全体寸法が同じ条件でコイル導体3の外周に線状体11を巻き付けない構成と比較してコイル導体3の導通面積が大きく減少してしまう。このため、コイル導体3の導通面積を確保する上では線状体11の径をコイル導体3の径の1/3以下とすることが望ましい。
また、線状体11の巻付けピッチPがコイル導体3の径の60倍より大きくなると、隣り合う線状体11の間で絶縁シート4がコイル導体3の表面に接触し、熱硬化性樹脂の含浸性が損なわれるおそれがあるため、線状体11の巻付けピッチPはコイル導体3の径の60倍以下であることが好ましい。
コイル導体3の外周に線状体11を巻き付けたならば、次に、図3に示されるように、内金型6の外周面に保護フィルムを円筒状に巻き付けて形成した芯部2の外周にコイル導体3を図9に示す通常の巻き方で多層に巻回し、さらにコイル導体3の内周側導体と外周側導体との間に絶縁シート4を介在させてコイル導体3の層間を絶縁する。
その後、熱硬化性樹脂5の注型のため、図4に示されるように、内金型6を外金型7の内側にセットし、外金型7に形成された樹脂注入口8から外金型7の内側に未硬化の熱硬化性樹脂5を注入する。このとき、外金型7の内側に注入された熱硬化性樹脂5は、芯部2とコイル導体3とで形成される空隙9およびコイル導体3と絶縁シート4とで形成される空隙10に流入し、内金型6の円周方向と軸方向に流れてコイル導体3の周囲をモールドする。
上記のように、コイル導体3より径の細い線状体11をコイル導体3の外周に線状体同士が接触し合わないピッチでスパイラル状に巻き付け、次いで保護フィルムを円筒状に巻いて形成した芯部2の外周にコイル導体3を多層に巻回すると共に、コイル導体3の内周側導体と外周側導体との間に絶縁シート4を介在させると、芯部2とコイル導体3は図5に示すような形状の空隙9を樹脂モールドコイルの製造時に形成し、コイル導体3と絶縁シート4は図6に示すような形状の空隙10を樹脂モールドコイルの製造時に形成する。これにより、空隙9,10の隅部が楔形状となることがないので、樹脂モールドコイルを製造する際に注型された熱硬化性樹脂の含浸性向上を図ることができる。
また、注型された熱硬化性樹脂5を空隙9,10の隅部まで含浸させることができるので、熱硬化性樹脂5の未含浸部が残存することが十分に抑制されることにより、上述の図2〜図6で説明した製造方法により製造された樹脂モールドコイル1においては、コイル導体3の周囲で部分放電が発生することを十分に抑制することができる。
さらに、線状体11としてポリプロピレンなどの耐熱性絶縁材からなるものを用いたことで、温度上昇のために線状体11が径方向に熱膨張することによって熱硬化性樹脂5がコイル導体3から剥離することを抑制することができる。
また、線状体11の径を100μm以上にすることで、線状体11が絶縁シート4にめり込んで、絶縁シート4とコイル導体3で形成される空隙を埋めてしまうことを抑制することができる。
また、線状体11の巻付けピッチPをコイル導体3の径の60倍以下にすることで、隣り合う線状体11の間で絶縁シート4がコイル導体3の表面に接触し、熱硬化性樹脂5の含浸性が損なわれることを抑制することができる。
なお、上述した本発明の一実施形態では、コイル導体の外周に巻回される線状体として耐熱性絶縁材からなるものを用いたが、線状の金属導体に絶縁被覆を施したものを用いてもよい。線状の金属導体の材料としては例えばアルミニウムや銅などを用いることができる。線状体として線状の金属導体に絶縁被覆を施したものを用いることで、耐熱性絶縁材からなるものを用いた場合とは異なり、コイル導体に加えて線状体にも電流を流すことができるので、コイル導体の外周に耐熱性絶縁材からなる線状体を巻き付けた構成と比較して、線状体の金属導体部分の断面積分だけ電流の導通断面積を上昇させて、熱硬化性樹脂の含浸性向上を図ることができる。
ここで、コイル導体の外周に巻回される線状体として線状の金属導体に絶縁被覆を施したものを用いる場合、例えばエナメル線を用いることができるが、これに限定されるものではない。
この樹脂モールドコイル1は、モールド変圧器、計器用変圧器、計器用変流器等の電気機器に好適に用いることができる。特に、一次コイル側の電圧が3.3kV以上の高電圧機器に好適である。例えば、一次コイル及び二次コイルを本実施形態の樹脂モールドコイル1で構成し、それぞれのコイルの芯部2に鉄心を挿通すれば、長期信頼性に優れたモールド変圧器を得ることができる。
図7は、本発明の一実施形態に係るモールド変圧器の構成例を示す一部破砕正面図である。図7の右側の破砕部は断面図である。図7に示されるように、本発明の一実施形態に係るモールド変圧器21において、22は鋼板が積層されてなる鉄心であり、この鉄心22を樹脂モールドされた高圧巻線23Aおよび低圧巻線23Bが互いに同軸状に巻回されている。高圧巻線23Aおよび低圧巻線23Bは絶縁性のコイル受け24を介して上フレーム25と下フレーム26とによって挟持されている。高圧巻線23Aと低圧巻線23Bとで構成される巻線23は3相分並べて配されている。なお、高圧巻線23Aと低圧巻線23Bとの間に絶縁性のスペーサ27が介装されているとともに、低圧巻線23Bと鉄心22の主脚との間に絶縁性の間隙材28が介装されている。
このようなモールド変圧器21における高圧巻線23Aおよび低圧巻線23Bのうち、特に高圧巻線23Aとして本実施形態の樹脂モールドコイル1を用いることにより、コイル導体の周囲で部分放電が発生することが十分に抑制されたモールド変圧器を実現することができる。
コイル導体として直径1.0mmのエナメル線を使用すると共に、絶縁シートとしてデュポン株式会社製のNOMEX(登録商標)、品番410(厚さ:180μm)を2枚使用した。そして、線状体として直径0.2mmのエナメル線を使用して樹脂モールドコイルを作製し、コイル導体の部分放電消滅電圧を測定した。その結果、コイル導体がエナメル線単体のものでは部分放電消滅電圧が1.4kVrms、コイル導体の外周に線状体をスパイラル状に巻き付けたものでは部分放電消滅電圧が5.2kVrmsとなり、エナメル線単体のものより部分放電特性が約3.7倍に向上した。また、コイル導体の外周に線状体をスパイラル状に巻き付けたものを切断して芯部とコイル導体とで形成される空隙やコイル導体と絶縁シートとで形成される空隙を観察したところ、空隙の隅部まで熱硬化性樹脂が含浸していることを確認できた。
1…樹脂モールドコイル
2…芯部
3…コイル導体
4…絶縁シート
5…熱硬化性樹脂
6…内金型
7…外金型
8…樹脂注入口
9,10…空隙
11…線状体
21…モールド変圧器

Claims (7)

  1. 筒状の芯部と、該芯部の外周に多層に巻回されたコイル導体と、該コイル導体の層間を絶縁する絶縁シートとを有し、前記コイル導体の周囲が熱硬化性樹脂によりモールドされた樹脂モールドコイルの製造方法であって、
    前記コイル導体より径が細く、線状の金属導体に絶縁被覆を施した線状体を前記コイル導体の外周に線状体同士が接触し合わないピッチでスパイラル状に巻き付け、次いで前記芯部の外周に前記コイル導体を巻き付けると共に、前記コイル導体の内周側導体と外周側導体との間に前記絶縁シートを介在させた後、前記コイル導体の周囲を前記熱硬化性樹脂によりモールドすることを特徴とする樹脂モールドコイルの製造方法。
  2. 前記線状体として径が100μm以上のものを用いることを特徴とする請求項1に記載の樹脂モールドコイルの製造方法。
  3. 前記コイル導体の径の60倍以下のピッチで前記線状体を前記コイル導体の外周にスパイラル状に巻き付けることを特徴とする請求項1に記載の樹脂モールドコイルの製造方法。
  4. 筒状の芯部の外周にコイル導体が多層に巻回されるとともに該コイル導体の層間に絶縁シートが介装された巻線に、熱硬化性樹脂が注型された樹脂モールドコイルであって、
    前記コイル導体より径が細く、線状の金属導体に絶縁被覆を施した線状体が前記コイル導体の外周に線状体同士が接触し合わないピッチでスパイラル状に巻き付けられていることを特徴とする樹脂モールドコイル。
  5. 前記線状体の径が100μm以上であることを特徴とする請求項4に記載の樹脂モールドコイル。
  6. 前記コイル導体の径の60倍以下のピッチで前記線状体が前記コイル導体の外周にスパイラル状に巻き付けられていることを特徴とする請求項4に記載の樹脂モールドコイル。
  7. 請求項4に記載の樹脂モールドコイルと、前記芯部に挿通された鉄心とを備えたことを特徴とするモールド変圧器。
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