JP3195874B2 - 超電導コイル装置及びその製造方法 - Google Patents

超電導コイル装置及びその製造方法

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JP3195874B2 JP5569094A JP5569094A JP3195874B2 JP 3195874 B2 JP3195874 B2 JP 3195874B2 JP 5569094 A JP5569094 A JP 5569094A JP 5569094 A JP5569094 A JP 5569094A JP 3195874 B2 JP3195874 B2 JP 3195874B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、超電導線材を巻回し
てコイルを形成した後熱処理を施して超電導コイルとす
る超電導コイル装置及びその製造方法に係わり、特に寸
法精度の向上及び常電導転移に対する安定性の向上に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】図10は超電導線材を巻回して形成される
従来の超電導コイル装置の構成を示す斜視図である。図
において、1は所望の外径と長さを有する胴部で、ステ
ンレスやセラミック材で形成されている。2は胴1の両
端と接続されたフランジ部で、ステンレスやセラミック
材で形成されている。そして、上記1と2で耐熱性を有
する巻枠3が形成される。4は巻枠3の巻回部に配置さ
れたガラス布よりなる絶縁部材、5は絶縁部材4が配置
された巻枠3の巻回部に順次巻回されたコイルで、図11
に示すように超電導線材5aをガラス繊維の袋編み材5bで
覆ったものが用いられている。6は両フランジ2間を貫
通して配置された複数の締付ボルトで、両端部に装着さ
れたナットによってコイル5を強固に固定している。
【0003】次に動作について説明する。上記のように
形成されたコイル5は、約700〜1000℃で所定の時間熱
処理を行うことにより超電導コイルとされ、その後エポ
キシ樹脂の含浸処理が施される。このようにして形成さ
れた超電導コイル装置は、図示はしないが極低温容器
(クライオスタット)の中に配置され、極低温に保持し
て運転される。
【0004】また、図12は超電導線材を円盤状に巻回し
たコイルユニットを複数積重して形成される従来の超電
導コイルの構成を示す斜視図である。図において、1〜
4、6は図10のものと同様のため説明を省略する。7は
超電導線材7aを円盤状に巻回して形成されたコイルユニ
ットで、このコイルユニット7を巻枠3の胴部1に金属
またはセラミックよりなるスペーサ8を介して複数積重
し、各コイルユニット7間を接続することによりコイル
9を形成し、締付ボルト6によりコイル9が強固に固定
される。
【0005】次に動作について説明する。上記のように
形成されたコイルは、約700〜1000℃で所定の時間熱処
理を行うことにより超電導コイルとされる。このように
して形成された超電導コイル装置は、図示はしないが極
低温容器(クライオスタット)の中に配置され、極低温
に保持して運転される。
【0006】ここで、Nb SnやNb Al等の化合物系超
電導材料、及び酸化物系超電導材料は、約700〜1000℃
の高温で数十〜数百時間の熱処理を施すことにより超電
導物質が生成されること、また、生成された超電導物質
は機械的に脆いことは周知のとおりである。このため、
超電導線材の製作は、銅またはブロンズ基材中に超電導
の基となるNbやAl、Sn等を配置し、伸線が行われる。す
なわち、規定の寸法に仕上げられた線材には、超電導物
質は生成されていないので、この線材を用いて超電導コ
イルを形成するには、上述のように線材を巻回してコイ
ルを形成した後熱処理を実施する方法(ワインド アン
ド リアクト法)と、線材に熱処理を施した後巻回し、
コイルを形成する方法(リアクト アンド ワインド
法)とがあるが、熱処理後の線材は非常に脆いため、こ
の発明のように小サイズの線材を多数回巻回する小〜中
規模の超電導コイルでは、ワインド アンド リアクト
法が用いられる。
【0007】超電導コイルは、励磁の際、電磁力による
線材の僅かの動きによる摩擦で発熱し、常電導転移(ク
エンチ)を発生するので、熱処理後エポキシ樹脂の含
浸、または締付ボルト6により強固に固定される。エポ
キシ樹脂の含浸を行った超電導コイルでは、絶縁材であ
るガラス繊維やアルミナ繊維は、エポキシ樹脂のフイラ
ー材として、強度向上や硬化後のエポキシ樹脂のクラッ
ク発生防止(硬化後のエポキシ樹脂のクラック発生時の
発熱はクエンチの要因となる)に役立っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の超電導コイル装
置は以上のように構成されているので、図10の巻枠3に
ガラス繊維袋編み材5bで覆った超電導線材5aを巻回して
コイル5を形成するものでは、ガラス繊維袋編み材5bは
超電導線材5aと固定されていないため、超電導線材5aが
平角線の場合は超電導線材5aによってガラス繊維袋編み
材5bが破損しやすい。このため、超電導線材5aを巻回す
るとき巻回間でガラス繊維袋編み材5bが撓んだり破損し
て、厳密な整列巻を得ることが困難である。また、超電
導線材5aを巻回する各層の終端部で上層に巻上げる部分
に楔状の空隙が発生し、エポキシ樹脂の含浸で空隙にエ
ポキシ樹脂が充填されても、フイラー材が存在しないの
で硬化後のエポキシ樹脂にクラックが発生し易く、クエ
ンチの要因になる。また、エポキシ樹脂の含浸を行うこ
とによって超電導コイルは一体化されるが、巻枠3と固
定されているため、冷却時の巻枠3とコイル5との熱収
縮率の差による熱応力や、電磁力作用時の応力等によ
り、巻枠3とコイル5間で剥がれやクラックが発生し、
クエンチの要因になる等の問題点があった。
【0009】また、図12のように線材を円盤状に巻回し
てコイルユニット7を形成し、このコイルユニット7間
にスペーサ8を挿入して複数積重してコイル9を形成す
るものでは、超電導線材の巻線性や応力の問題は軽減さ
れ冷却性も改善されるが、スペーサ8を挿入するのでコ
イルの占積率が低下し、同一の磁界を発生するにはコイ
ルが大型になり不経済となるという問題点があった。
【0010】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、巻線時の寸法精度を向上させる
とともに、クエンチに対する安定性も向上し、コイルの
占積率を低下させることのない超電導コイル装置を得る
ことを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1に係
わる超電導コイル装置は、胴部の両端にそれぞれフラン
ジが形成された巻枠、胴部の外周面およびフランジの両
対向面で形成される巻回部の表面に配置されたガラス布
よりなる絶縁部材、絶縁部材が配置された巻回部に超電
導線材と耐熱性の絶縁部材とを各層間にガラス布よりな
る層間絶縁部材を介挿させながら順次共巻きされたコイ
ル、コイルの各層の巻回終端で上層に巻上げられる巻上
げ部に形成される空隙部を埋めるように配置され金属製
で表面が 絶縁部材で覆われた楔状部材を備えたものであ
る。
【0012】また、この発明の請求項2に係わる超電導
コイル装置は、胴部の両端にそれぞれフランジが形成さ
れ胴部の外周面およびフランジの両対向面で形成される
巻回部の表面が鏡面に仕上げられた巻枠、巻枠の巻回部
鏡面に沿って配置されたガラス布よりなる絶縁部材、絶
縁部材が配置された巻回部に超電導線材と耐熱性の絶縁
部材とを各層間にガラス布よりなる層間絶縁部材を介挿
させながら順次共巻きされたコイルを備えたものであ
る。
【0013】また、この発明の請求項3に係わる超電導
コイル装置の製造方法は、端部にフランジが連結された
胴部を有するボビンの一端にフランジを嵌着して巻枠を
形成する工程、胴部の外周面およびフランジの両対向面
で形成される巻回部の表面にガラス布よりなる絶縁部材
を貼付する工程、絶縁部材が貼付された上記巻回部に超
電導線材と耐熱性の絶縁部材とを各層間にガラス布より
なる層間絶縁部材を介挿させながら順次共巻きしてコイ
ルを形成する工程、コイルを熱処理して超電導コイルを
得る工程、超電導コイルから一方のフランジを残してボ
ビンを抜取る工程、ボビンの胴部の表面に離型剤を塗布
する工程、及びボビンの胴部を超電導コイルに挿入し、
ボビンの端部と残されたフランジとを嵌着する工程を包
含するものである。
【0014】
【作用】この発明の請求項1による超電導コイル装置の
ガラス絶縁が施された楔状部材は、超電導線材の層巻上
げ部に形成される空隙部に埋込まれることにより、樹脂
含浸時のフイラー材となる。
【0015】また、この発明の請求項2による超電導コ
イル装置の巻回部を鏡面に仕上げ2られた巻枠は、極低
温まで冷却されるときの巻枠と超電導コイルおよび樹脂
との熱収縮率の差による応力や電磁力で、樹脂と容易に
剥離する。
【0016】また、この発明の請求項3による超電導コ
イル装置の製造方法は、超電導コイルから抜出したボビ
ンの胴部に離形剤を塗布して超電導コイルに挿入するこ
とにより、極低温まで冷却されるときの巻枠と超電導コ
イルおよび樹脂との熱収縮率の差による応力や電磁力
で、ボビンと超電導コイルとの間にスリップを発生させ
応力を軽減する。
【0017】
【実施例】実施例1. 以下、この発明の実施例1を図について説明する。図1
はこの発明の実施例1による超電導コイル装置の構成を
示す断面図、図2は図1の超電導コイルの超電導線材と
ガラス布製紐との共巻きを示す斜視図である。各図にお
いて、10は耐熱性を有する胴部、11は胴部10の両端部と
それぞれ接続された耐熱性を有する一対のフランジであ
る。そして、上記10、11で巻枠12が形成される。13は巻
枠12の胴部10の外周と各フランジ12の対向面とで形成さ
れる巻回部に貼付けなどにより配置されたガラス布より
なる絶縁部材、14は絶縁部材13が配置された巻枠12の巻
回部に複数回、複数層巻回された平角状の超電導線材、
15は超電導線材14と共巻きされたガラス布製紐、16は各
層間に配置されたガラス布よりなる層間絶縁部材であ
る。そして、上記13〜16で巻枠12に巻回されたコイル17
が形成される。ここで、超電導線材線材14とガラス布製
紐15とは、図2に示すようにそれぞれ並列にして絶縁部
材13が配置された巻枠12の巻回部に共巻きされ、ガラス
布製紐15によって隣接する超電導線材14間が絶縁され
る。
【0018】次に動作について説明する。上記のように
巻枠12に巻回されたコイル17は、従来と同様に、約700
〜1000℃の温度で所定の時間熱処理が施され、超電導可
能な状態の超電導コイル18となる。そして、その後こ
の超電導コイル18にエポキシ樹脂を含浸する処理が行わ
れる。このように樹脂を含浸して巻枠12と固定された超
電導コイル18は、図示しない極低温容器(クライオスタ
ット)の中に配置され、極低温に保持して運転される。
【0019】このように実施例1によれば、胴部10の両
端にそれぞれフランジ11が形成された巻枠12の巻回部の
表面にガラス布よりなる絶縁部材13を配置し、絶縁部材
13が配置された巻回部に超電導線材14とガラス布製紐15
とを、各層間にガラス布よりなる層間絶縁部材16を介挿
させながら順次共巻きしてコイル17を形成するようにし
たことにより、ガラス布製紐15を損傷することなく超電
導線材14を等間隔に整列巻きすることができ、ガラス布
製紐15は樹脂含浸時樹脂の補強材となる。
【0020】実施例2. 図3はこの発明の実施例2による超電導コイル装置の構
成を示す断面図、図4は図3の超電導線材とセラミック
製弧状部材との共巻を示す斜視図である。各図におい
て、10〜14、16、は実施例1を示す図1のものと同様の
ため説明を省略する。19は各層の超電導線材14に沿って
配置されたセラミックの薄板よりなる弧状部材である。
そして、上記10〜14、16、19で巻枠12に巻回されたコイ
ル20が形成される。ここで、超電導線材14とセラミック
製弧状部材19とは、図4に示すように、超電導線材14に
沿わせて弧状部材19が配置され、超電導線材14と弧状部
材19とが共巻きされ、弧状部材19によって隣接する超電
導線材14間が絶縁される。
【0021】次に動作について説明する。上記のように
巻枠12に巻回されたコイル20は、実施例1の超電導コイ
ルと同様に、約700〜1000℃の温度で所定の時間熱処理
が施され、超電導可能な状態の超電導コイル18とな
る。そして、その後この超電導コイル21にエポキシ樹脂
を含浸する処理が行われる。このように樹脂を含浸して
巻枠12と固定された超電導コイル21は、図示しない極低
温容器(クライオスタット)の中に配置され、極低温に
保持して運転される。
【0022】このように実施例2によれば、胴部10の両
端にそれぞれフランジ11が形成された巻枠12の巻回部の
表面にガラス布よりなる絶縁部材13を配置し、絶縁部材
13が配置された巻回部に超電導線材14とセラミック製弧
状部材19とを、各層間にガラス布よりなる層間絶縁部材
16を介挿させながら順次共巻きしてコイル20を形成する
ようにしたことにより、弧状部材19を損傷することなく
超電導線材14を等間隔に整列巻きすることができ、弧状
部材19は樹脂含浸時樹脂の補強材となる。
【0023】実施例3. 図5はこの発明の実施例3による超電導コイル装置の構
成を示す部分斜視図である。図において、10〜16は実施
例1の超電導コイル装置と同様のため説明を省略する。
22は超電導線材14の各層の巻回終端部で上層に巻上げる
巻上げ部に形成された楔状の空隙部、23はこの空隙部22
を埋めるように配置された楔状部材で、金属製の楔23a
の表面にガラス繊維よりなる袋23bを被せて形成されて
いる。そして、上記10〜16、22、23でコイル24が形成さ
れる。
【0024】次に動作について説明する。図示のよう
に、巻枠12に超電導線材14を巻回するとき、各層の巻回
終端部では上層に巻き上げられ、この巻き上げ部では巻
上げられた超電導線材14の下部に楔状の空隙部22が形成
されるので、この空隙部22を埋めるようにガラス繊維よ
りなる袋23bで包まれた楔状部材23を挿入し、楔状部材
23の上に超電導線材14を巻回してコイル24が形成され
る。なお、超電導線材14と共巻きする絶縁部材は、ガラ
ス布製紐15、セラミック製弧状部材19の何れでもよい。
そして、巻枠12に巻回されたコイル22は、実施例1の超
電導コイルと同様に、約700〜1000℃の温度で所定の時
間熱処理が施され、超電導可能な状態の超電導コイル1
8となる、そして、その後この超電導コイル25にエポキ
シ樹脂を含浸する処理が行われる。このように樹脂を含
浸して巻枠12と固定された超電導コイル25は、図示しな
い極低温容器(クライオスタット)中に配置され、極低
温に保持して運転される。
【0025】このように実施例3によれば、胴部10の両
端にそれぞれフランジ11が形成された巻枠12、巻枠12の
巻回部の表面に配置されたガラス布よりなる絶縁部材1
4、絶縁部材14が配置された巻回部に超電導線材14と耐
熱製の絶縁部材15または19とを各層間にガラス布よりな
る層間絶縁部材16を介挿させながら順次共巻きされたコ
イル24、コイル24の各層の巻回終端部で上層に巻上げら
れる巻上げ部の下側に形成される空間部22に配置され金
属製で表面がガラス繊維23bで覆われた楔状部材23を備
えた構成としたことにより、上記実施例と同様の効果を
得ることは勿論、超電導コイル内部の空隙が減少し、エ
ポキシ樹脂含浸後エポキシ樹脂のブロックが減ることに
よって、超電導コイルの端部の電磁力に対する強度が向
上される。
【0026】実施例4. 図6(a)はこの発明の実施例4による超電導コイル装
置の構成を示す断面図である。図6(b)は図6(a)
の超電導コイル装置の極低温冷却時の剥離及びスリップ
発生を示す図である。各図において、13〜18は実施例1
の超電導コイル装置を示す図1のもとの同様のため説明
を省略する。26は耐熱性を有する胴部で外周が鏡面に仕
上げられている。27は胴部26の両端とそれぞれ接続され
た耐熱性を有するフランジで、各対向面は鏡面に仕上げ
られている。そして、上記26、27で巻回部が鏡面にされ
た巻枠28が形成される。このように形成された巻枠28の
巻回部に、実施例1と同様にガラス布よりなる絶縁部材
13を貼付けて配置し、絶縁部材13が配置された巻枠28の
巻回部に、平角状の超電導線材14とガラス布製紐15と
を、各層間にガラス布よりなる層間絶縁部材16を介挿さ
せながら順次共巻きされる。そして、上記13〜16で巻枠
28に巻回されたコイル17が形成されている。なお、超電
導線材14と共巻きする絶縁部材はガラス布製紐15とした
が、セラミック弧状部材19を共巻きしてもよい。
【0027】次に動作について説明する。上記のように
巻枠28に巻回されたコイル17は、上記実施例と同様に、
約700〜1000℃の温度で所定の時間熱処理が施され、超
電導可能な状態の超電導コイル18となる。そして、そ
の後この超電導コイル18にエポキシ樹脂の含浸処理が行
われる。このように樹脂を含浸して巻枠12と固定された
超電導コイル18は、図示しない極低温容器(クライオス
タット)中に配置され、極低温に保持して運転される。
ここで、超電導コイル18が極低温まで冷却されるとき、
巻枠28と超電導コイル18およびエポキシ樹脂との熱収縮
率の差による応力により、図6(b)に示すように、巻
枠28の一方のフランジ27と超電導コイル18との接触面が
剥離し、胴部27の外周面と超電導コイル18の内周面との
間でスリップが発生し応力が軽減される。
【0028】このように実施例4によれば、胴部26の両
端にそれぞれフランジ27が形成され巻回部の表面が鏡面
に仕上げられた巻枠28、巻枠28の巻回部鏡面に沿って配
置されたガラス布よりなる絶縁部材13、絶縁部材13が配
置された巻回部に超電導線材14と耐熱性の絶縁部材とを
各層間にガラス布よりなる層間絶縁部材16を介挿させな
がら順次共巻きされたコイル17を備えた構成としたこと
により、上記実施例1と同様の効果を得ることは勿論、
巻枠28の巻回部を鏡面仕上げとしたことにより、超電導
コイル18をエポキシ樹脂で含浸しても、巻枠28と超電導
コイル18との接着力を小さくすることによって、熱収縮
差による応力で巻枠28と超電導コイル18との間に剥離や
スリップを発生させ、定格電流近傍での常電導転移(ク
エンチ)を防止する。
【0029】実施例5. 図7はこの発明の実施例5による超電導コイル装置の構
成を示す断面図、図8は図7の超電導コイル装置の製造
工程を示す工程図である。各図において、13〜18は実施
例1の超電導コイル装置を示す図1のものと同様のため
説明を省略する。29は耐熱性を有する一方のフランジで
中心部に嵌着穴が形成されている。30は一端がフランジ
29の嵌着穴と着脱可能に嵌着される胴部、31は胴部30の
他端と連結された他方のフランジである。そして、上記
30、31で一方のフランジ29と着脱可能なボビン32が形成
される。なお、34はボビン32の超電導コイル18と接する
面に塗布された離型剤である。
【0030】図7の超電導コイル装置は、図8に示す工
程によって次のように形成される。フランジ29とボビン
32の胴部30とを嵌着して巻枠33を形成する〔図8
(a)〕。次に、巻枠33の巻回部にガラス布よりなる絶
縁部材13を貼付ける。次に、絶縁部材13が配置された巻
枠33の巻回部に、平角状の超電導線材14とガラス布製紐
15とを、各層間にガラス布よりなる層間絶縁部材16を介
挿させながら順次共巻きして巻枠33に巻回されたコイル
17を形成する〔図8(b)〕。なお、ガラス布製紐15は
セラミック製弧状部材19としてもよい。次に、コイル17
を熱処理して超電導コイル18化する。次に、超電導コイ
ル18から一方のフランジ29を残してボビン32を抜取る
〔図8(c)〕。次に、ボビン32の超電導コイル18と接
する面に離型剤34を塗布する。次に、離型材34が塗布さ
れたボビン32の胴部30を超電導コイル18に挿入し〔図8
(d)〕、ボビン32と残されたフランジ29とを嵌着す
る。次に、超電導コイル18にエポキシ樹脂を含浸処理す
る。以上の工程によって図7に示す超電導コイル装置を
得る。
【0031】次に動作について説明する。上記のように
超電導コイル18にエポキシ樹脂を含浸処理した超電導コ
イル装置は、極低温まで冷却されるとき、ボビン32と超
電導コイル18およびエポキシ樹脂との熱収縮率の差によ
る応力や電磁力によって、ボビン32と超電導コイル18と
の間に滑りを発生し、応力が軽減される。
【0032】このように実施例5によれば、端部にフラ
ンジ31が連結された胴部30を有するボビン32の一端にフ
ランジ29を嵌着して巻枠33を形成する工程、巻枠33の巻
回部の表面にガラス布よりなる絶縁部材13を貼付する工
程、絶縁部材13が貼付された巻回部に超電導線材14と耐
熱性の絶縁部材とを各層間にガラス布よりなる層間絶縁
部材16を介挿させながら順次共巻きしてコイル17を形成
する工程、コイル17を熱処理して超電導コイル18を得る
工程、超電導コイル18から一方のフランジ29を残してボ
ビン32を抜取る工程、ボビン32の胴部30の表面に離型剤
34を塗布する工程、ボビン32の胴部30を超電導コイル18
に挿入し、ボビン32の端部と残されたフランジ29とを嵌
着する工程を包含する方法で製造するようにしたことに
よって、超電導コイル18にエポキシ樹脂を含浸したと
き、ボビン32と超電導コイル18との接着力を小さくする
ようにしたことにより、極低温に冷却時にフランジ29、
ボビン32、超電導コイル18、エポキシ樹脂との熱収縮率
の差による応力や電磁力で、ボビン32と超電導コイル18
との間に滑りを発生させ、常電導転移(クエンチ)を防
止することができる。
【0033】実施例6. 図9はこの発明の実施例6による超電導コイル装置の構
成を示す断面図である。図において、13〜18は実施例1
を示す図1のものと同様のため説明を省略する。35は耐
熱性を有する胴部、36は胴部35の両端とそれぞれ接続さ
れた一対のフランジ、37は胴部35と各フランジ36とにそ
れぞれ貫通して形成された複数の穴である。そして、上
記35〜37で穴37を有する巻枠38が形成される。この巻枠
38の巻回部の表面にガラス布よりなる絶縁部材13を貼付
け、絶縁部材13が貼付けられた巻回部に超電導線材14と
ガラス布製紐15とを共巻きし、各層間にガラス布よりな
る層間絶縁部材16を挿入してコイル17が形成される。な
お、超電導線材14と共巻きする耐熱性の絶縁部材はセラ
ミック製弧状部材19としてもよい。
【0034】このように巻枠38に巻回されたコイル17
は、約700〜1000℃の温度で所定の時間熱処理が施さ
れ、超電導可能な状態の超電導コイル18となる。次に、
巻枠38の穴37から離型剤34を注入し、巻枠38と絶縁部材
13との間に離型剤28を介在させる。次に、超電導コイル
18にエポキシ樹脂を含浸する処理を行うと、超電導コイ
ル18は、外周を覆う絶縁部材13と最外周の層間絶縁部材
16とで超電導線材14、ガラス布製紐15、層間絶縁部材16
とが一体にエポキシ樹脂で固着される。次に動作につい
て説明する。上記のように巻枠38と超電導コイル18との
間に離型材34を介在させた超電導コイル装置は、極低温
まで冷却されるとき、巻枠38と超電導コイル18およびエ
ポキシ樹脂との熱収縮率の差による応力や電磁力によっ
て、巻枠38と超電導コイル18との間に滑りが発生し、常
電流転移(クエンチ)の発生を防止する。
【0035】このように実施例6によれば、胴部35の両
端にそれぞれフランジ36が形成された巻枠38、巻枠38の
巻回部を貫通して形成された離型剤34を注入可能な複数
の穴37、巻枠38の巻回部の表面に配置されたガラス布よ
りなる絶縁部材13、絶縁部材13が配置された巻回部に、
超電導線材14と耐熱性の絶縁部材とを各層間にガラス布
よりなる層間絶縁部材16を介挿しながら順次共巻きされ
たコイル17を備えた構成としたことによって、コイル17
を熱処理して超電導コイル18化した後、穴35から離型剤
34を注入し、巻枠38と超電導コイル18との間に離型剤34
を介在させ、エポキシ樹脂を含浸する処理を行うことに
より、巻枠38と超電導コイル18とがエポキシ樹脂で固着
されるのが防止されるので、極低温まで冷却されると
き、巻枠38と超電導コイル18およびエポキシ樹脂との熱
収縮率の差による応力や電磁力によって、巻枠38と超電
導コイル18との間に滑りを発生させ、クエンチの発生を
防止することができる。
【0036】実施例7. 上記実施例1〜6においては、それぞれ超電導線材を巻
回してコイルを形成した後、熱処理を施して超電導コイ
ルとするワイド アンド リアクトル法で製作する場合
について説明したが、先に熱処理を施して超電導化した
超電導線材を巻回して超電導コイルを形成するリアクト
アンド ワインド法で製作しても、上記実施例と同様
の効果を期待することができる。
【0037】
【発明の効果】以上のように、この発明の請求項1によ
れば、胴部の両端にそれぞれフランジが形成された巻
枠、胴部の外周面およびフランジの両対向面で形成され
る巻回部の表面に配置されたガラス布よりなる絶縁部
材、絶縁部材が配置された巻回部に超電導線材と耐熱性
の絶縁部材を介挿させながら順次共巻きされたコイル、
コイルの各層の巻回終端部で上層に巻上げられる巻上げ
部に形成される空隙部を埋めるように配置され金属製で
表面が絶縁部材で覆われた楔状部材を備えた構成とし
ことにより、クエンチの発生を防止するが可能となると
いう効果を得ることができる。
【0038】また、この発明の請求項2によれば、胴部
の両端にそれぞれフランジが形成され胴部の外周面およ
びフランジの両対向面で形成される巻回部の表面が鏡面
に仕上げられた巻枠、巻枠の巻回部鏡面に沿って配置さ
れたガラス布よりなる絶縁部材、絶縁部材が配置された
巻回部に超電導線材と耐熱性の絶縁部材とを各層間にガ
ラス布よりなる層間絶縁部材を介挿させながら順次共巻
きされたコイルを備えた構成としたことにより、クエン
チの発生を防止することが可能となるという効果を得る
ことができる。
【0039】また、この発明の請求項3によれば、端部
にフランジが形成された胴部を有するボビン一端にフラ
ンジを嵌着して巻枠を形成する工程、胴部の外周面およ
びフランジの両対向面で形成される巻回部の表面にガラ
ス布よりなる絶縁部材を貼付する工程、絶縁部材が貼付
された巻回部に超電導線材と耐熱性の絶縁部材とを各層
間にガラス布よりなる層間絶縁部材を介挿させながら順
次共巻きしてコイルを形成する工程、コイルを熱処理し
て超電導コイルを得る工程、超電導コイルから一方のフ
ランジを残してボビンを抜取る工程、ボビンの胴部に離
型材を塗布する工程、及びボビンの胴部を超電導コイル
に挿入し、ボビンの端部と残されたフランジと嵌着する
工程を包含した方法で製造するようにしたことによっ
て、クエンチの発生を防止することが可能となるという
効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1による超電導コイル装置
の構成を示す断面図である。
【図2】 図1の超電導コイル装置における超電導線材
とガラス布製紐との共巻を示す斜視図である。
【図3】 この発明の実施例2による超電導コイル装置
の構成を示す断面図である。
【図4】 図3の超電導コイル装置における超電導線材
とセラミック製弧状部材との共巻を示す斜視図である。
【図5】 この発明の実施例3による超電導コイル装置
の構成を示す斜視図である。
【図6】 この発明の実施例4による超電導コイル装置
の構成を示す断面図および動作図である。
【図7】 この発明の実施例5による超電導コイル装置
の構成を示す断面図である。
【図8】 図7の超電導コイル装置の製造工程を示す工
程図である。
【図9】 この発明の実施例6による超電導コイル装置
の構成を示す断面図である。
【図10】 従来の超電導コイル装置の構成を示す斜視
図である。
【図11】 図10の超電導コイル装置における超電導
線材を示す斜視図である。
【図12】 従来の超電導コイル装置の構成を示す斜視
図である。
【符号の説明】
10 胴部、11 フランジ、12 巻枠、13 絶縁
部材、14 超電導線材、15 ガラス布製紐、16
層間絶縁部材、17 コイル、18 超電導コイル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−201318(JP,A) 特開 平5−291023(JP,A) 特開 昭63−283105(JP,A) 特開 平4−48603(JP,A) 実開 平2−56409(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 6/00 - 6/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 胴部の両端にそれぞれフランジが形成さ
    れた巻枠、上記胴部の外周面および上記フランジの両対
    向面で形成される巻回部の表面に配置されたガラス布よ
    りなる絶縁部材、上記絶縁部材が配置された上記巻回部
    に超電導線材と耐熱性の絶縁部材とを各層間にガラス布
    よりなる層間絶縁部材を介挿させながら順次共巻きされ
    たコイル、上記コイルの各層の巻回終端部で上層に巻上
    げられる巻上げ部に形成される空隙部を埋めるように配
    置され金属製で表面がガラス繊維で覆われた楔状部材を
    備えたことを特徴とする超電導コイル装置。
  2. 【請求項2】 胴部の両端にそれぞれフランジが形成さ
    れ上記胴部の外周面および上記フランジの両対向面で形
    成される巻回部の表面が鏡面に仕上げられた巻枠、上記
    巻枠の巻回部鏡面に沿って配置されたガラス布よりなる
    絶縁部材、上記絶縁部材が配置された上記巻回部に超電
    導線材と耐熱性の絶縁部材とを各層間にガラス布よりな
    る層間絶縁部材を介挿させながら順次共巻きされたコイ
    ルを備えたことを特徴とする超電導コイル装置。
  3. 【請求項3】 端部にフランジが連結された胴部を有す
    るボビンの一端にフランジを嵌着して巻枠を形成する工
    程、上記胴部の外周面および上記フランジの両対向面で
    形成される巻回部の表面にガラス布よりなる絶縁部材を
    貼付する工程、上記絶縁部材が貼付された上記巻回部に
    超電導線材と耐熱性の絶縁部材とを各層間にガラス布よ
    りなる層間絶縁部材を介挿させながら順次共巻きしてコ
    イルを形成する工程、上記コイルを熱処理して超電導コ
    イルを得る工程、上記超電導コイルから一方の上記フラ
    ンジを残して上記ボビンを抜取る工程、上記ボビンの胴
    部の表面に離型剤を塗布する工程、及び上記ボビンの胴
    部を上記超電導コイルに挿入し、上記ボビンの端部と残
    された上記フランジとを嵌着する工程を包含する超電導
    コイル装置の製造方法。
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