JP2014165383A - 超電導コイル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁力、収縮力等の外力に対して優れた耐性を示すとともに、良好な超電導特性を維持することができる超電導コイル及びその製造方法を提供する。
【解決手段】テープ状の超電導線材11は、基板上に希土類系酸化物超電導体による超電導層を形成し、最外面に絶縁被覆層を設けて形成されている。絶縁被覆層の外面には、離型層が形成されている。この超電導線材11が巻回されてコイル21が形成され、そのコイル21には熱硬化性樹脂が含浸されている。熱硬化性樹脂の含浸により、超電導線材11間及びコイル21の端面には、熱硬化性樹脂層22が形成されている。コイル21の両端面には、第1補強板23及び第2補強板24が前記熱硬化性樹脂層22により接着されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、基板上に希土類系酸化物超電導体による超電導層を有するテープ状の超電導線材を巻回して形成されるコイルであって、電磁力等に対する優れた耐性を示すとともに、良好な超電導特性を発揮することができる超電導コイル及びその製造方法に関する。
希土類系酸化物超電導体を用いた酸化物系のテープ状をなす超電導線材を巻回して形成される超電導コイル(超電導パンケーキコイル)は、高磁場マグネット等の電力機器として好適に利用される。このような電力機器においては、発生した高磁場に基づいて超電導線材のコイル径を拡げるように円周方向に電磁力(フープ力)が働く。また、超電導コイルの冷却時には、熱膨張率の差に基づく収縮力がコイルに作用する。このため、超電導コイルにはその電磁力や収縮力に耐え得る機械的強度が必要であるとともに、曲げなどの変形に対して耐性の大きいことが求められる。
この種の超電導コイルとしては、例えば特許文献1に記載されている超電導コイル装置が知られている。すなわち、この超電導コイル装置は、テープ状の超電導線材と絶縁材とを巻回してなり、絶縁材の表面に離形処理を、絶縁材の面内における幅方向両端部を除く部分の少なくとも一部に施してなるものである。
そして、超電導線材に働く剥離力を低減しつつ、巻き数が異なる超電導線材同士のコイル径方向の伝熱経路を確保し、超電導線材の径方向に対する伝熱性能を向上させるようになっている。
特開2010−267822号公報
前述した特許文献1に記載されている従来構成の超電導コイル装置は、テープ状の超電導線材と絶縁材とが共巻きして構成され、そのうちの絶縁材に離形処理が施されている。このため、テープ状の超電導線材と絶縁材とを共巻きした状態でエポキシ樹脂を含浸した場合、そのエポキシ樹脂は超電導線材と絶縁材との間の微小な隙間に入り込み、その隙間で固化し、超電導線材に密着する。
その結果、超電導コイルに高磁場に基づく電磁力や冷却時の収縮力が作用したとき、超電導線材に密着しているエポキシ樹脂は硬く、脆いため、割れたり、欠けたりし、その際超電導線材の超電導層が剥離したり、損傷を受けたりするおそれがある。従って、超電導コイルは良好な超電導特性を維持することができなくなるという問題があった。
そこで、本発明の目的とするところは、電磁力、収縮力等の外力に対して優れた耐性を示すとともに、良好な超電導特性を維持することができる超電導コイル及びその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の超電導コイルは、基板上に希土類系酸化物超電導体による超電導層を形成し、最外面に絶縁被覆層を設けたテープ状の超電導線材を巻回してコイルを形成した超電導コイルであって、前記超電導線材の絶縁被覆層の外面には離型層が形成されるとともに、超電導線材のコイルには熱硬化性樹脂が含浸されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明の超電導コイルは、請求項1に係る発明において、前記コイルを構成するテープ状の超電導線材間及びコイルの端面には、熱硬化性樹脂の含浸による熱硬化性樹脂層が形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明の超電導コイルは、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記超電導線材のコイルの少なくとも一方の端面には、補強板が接合されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明の超電導コイルは、請求項3に係る発明において、前記補強板は、コイルの端面に形成された熱硬化性樹脂層によりコイルの端面に接着されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明の超電導コイルは、請求項1から請求項4のいずれか一項に係る発明において、前記超電導線材のコイルの内周に内周枠又は外周に外周枠が配置されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明の超電導コイルの製造方法は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の超電導コイルの製造方法であって、前記超電導線材の絶縁被覆層の外面に離型剤による離型層を形成した後、超電導線材を巻回してコイルを作製し、そのコイルを密閉容器内に収容し、該密閉容器内に液状の熱硬化性樹脂を注入し、次いで減圧下に熱硬化性樹脂をコイルに含浸し、超電導線材間及びコイルの端面に熱硬化性樹脂層を形成し、その後密閉容器内を常圧に戻してコイルを取り出すことを特徴とする。
請求項7に記載の発明の超電導コイルの製造方法は、請求項6に係る発明において、前記コイルの少なくとも一方の端面には、補強板をコイル端面の熱硬化性樹脂層により接着することを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明の超電導コイルは、基板上に希土類系酸化物超電導体による超電導層が形成され、最外面に絶縁被覆層が設けられたテープ状の超電導線材が巻回されて形成されている。そして、前記超電導線材の絶縁被覆層の外面には離型層が形成されるとともに、超電導線材のコイルには熱硬化性樹脂が含浸されている。
このように、超電導線材のコイルにはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が含浸され、固着されていることから、超電導コイルの使用時において電磁力を受けたときや冷却時において収縮力を受けたとき、コイル全体として一体的にその電磁力を受け止めることができる。加えて、超電導線材の絶縁被覆層の外面には離型層が形成され、絶縁被覆層と熱硬化性樹脂層との間の相対的な動きが可能となっていることから、超電導コイルが電磁力、収縮力等の外力を受けたとき、その外力が超電導線材の超電導層に及ぶことを抑制することができる。
従って、本発明の超電導コイルによれば、電磁力、収縮力等の外力に対して優れた耐性を示すとともに、良好な超電導特性を維持することができるという効果を奏する。
本発明を具体化した実施形態の超電導コイルを示す断面図。 コイルの一方の端面に第1補強板が配置され、他方の端面に第2補強板を配置する状態を示す分解斜視図。 超電導線材の絶縁被覆層の外面に離型層を形成した状態を示す断面図。 超電導コイルの製造工程を示し、密閉容器内で超電導線材の絶縁被覆層の外面に熱硬化性樹脂層を形成する状態を示す断面図。 本発明の超電導コイルの別例を示す断面図。 本発明の実施例における超電導コイルの通電試験の結果を示し、コイル電流とコイル電圧との関係を示すグラフ。 同じく実施例における超電導コイルのフープ力試験の結果を示し、コイル電流とコイル電圧との関係を示すグラフ。
以下、超電導コイルを具体化した実施形態に関し、図1〜図5に基づいて詳細に説明する。
図3に示すように、超電導線材11はテープ状に形成され、基板12上に中間層13を介して希土類系酸化物超電導体による超電導層14が形成され、その上に第1安定化層15及び第2安定化層16が形成され、最外面に絶縁被覆層17が設けられて構成されている。
前記基板12は、ニッケル合金(例えば、ヘインズ社製のハステロイ)、銀、銀合金等の金属により、例えば厚さ100μm、幅10mmに形成されている。中間層13は、ガドリニウム・ジルコニウム酸化物(Gd・Zr酸化物)、酸化マグネシウム(MgO)、イットリウム安定化ジルコニウム(YSZ)、バリウム・ジルコニウム酸化物(Ba・Zr酸化物)、酸化セリウム(CeO)等の化合物により、例えば厚さ500nm、幅10mmに形成されている。
超電導層14は、希土類系酸化物超電導体のCVD法(化学蒸着法)により、例えば厚さ約1μm、幅10mmに形成されている。希土類元素としては、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)等が挙げられる。希土類系酸化物としては、RE・Ba・Cu・O等が挙げられる。但し、REは希土類元素を表す。この超電導層14として具体的には、イットリウム・バリウム・銅酸化物、ランタン・バリウム・銅酸化物(La・Ba・Cu酸化物)等が挙げられる。
第1安定化層15は、銀等の金属のスパッタリング等により、例えば厚さ約15μm、幅10mmに形成されている。第2安定化層16は、銅等の金属のメッキ等により、例えば厚さ約50μm、幅10mmに形成されている。
前記超電導線材11の絶縁被覆層17の外面には離型剤による離型層18が形成されている。離型剤としては、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、パラフィン、ワックス、グリース等が用いられる。離型層18の厚さは、1〜10μm程度である。この離型層18は、超電導コイルの使用時に高磁場によって電磁力を受けたときや、液体ヘリウム、液体窒素等による冷却時に熱膨張率の相違に基づく収縮力を受けたときに超電導線材11が損傷を受けないよう保護するようになっている。
図1及び図2に示すように、超電導コイル20は、前記離型層18が形成されたテープ状の超電導線材11を所定回数巻回して形成されたコイル21により構成される。コイル21としては、シングルパンケーキコイル、ダブルパンケーキコイルのいずれも用いられる。このコイル21には熱硬化性樹脂が含浸され、熱硬化性樹脂層22が形成される。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が用いられ、加熱により又は常温で硬化される。この熱硬化性樹脂層22は、テープ状の超電導線材11間及びコイル21の両端面に形成される。
前記超電導線材11のコイル21の一端面(図1の下端面)には第1補強板23が前記熱硬化性樹脂層22によって接着され、コイル21の他端面には第2補強板24が熱硬化性樹脂層22によって接着されている。これらの補強板23,24は、エポキシ樹脂接着剤等の接着剤によりコイル21の両端面に接着されていてもよい。補強板23,24は、繊維強化樹脂、絶縁被覆が施された金属等により形成されている。繊維強化樹脂としては、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)、炭素繊維強化樹脂(CFRP)等が用いられる。絶縁被覆された金属としては、樹脂被覆されたステンレス鋼等が用いられる。これらの補強板23,24は設けられていなくてもよいが、コイル21の少なくとも一方の端面に設けられていることが、超電導コイル20を補強し、耐性を高めるために好ましい。
前記超電導線材11のコイル21の内周には内周枠25又は外周には外周枠26を配置することが好ましい。これらの内周枠25又は外周枠26は、前記補強板23,24と同様の材料のほか、ガラス繊維製のテープ等で形成される。内周枠25を設けることにより、超電導線材11からコイル21を形成する場合にテープ状の超電導線材11を内周枠25に巻き付けることによって容易に行うことができる。また、外周枠26を設けることにより、コイル21が高磁場によるフープ力を受けたときに、コイル21の拡径を抑えることができる。
前記テープ状の超電導線材11をコイル状に巻回する際には、超電導線材11は超電導層14が内周側で基板12が外周側に位置するように配置される。超電導層14を内周側に配置することにより、超電導層14の円弧が基板12の円弧に比べて小さくなることから、圧縮ひずみが大きくなり、コイル21がフープ力を受けたときに及ぼされる引張りひずみが緩和され、フープ力に対する抵抗性が大きくなるため好ましい。
前記コイル21の外周部には、図示しない一対の電極が設けられている。一方の電極は巻回された超電導線材11の外周端に接続され、他方の電極は超電導線材11の内周端に図示しないリード線を介して接続されている。
なお、図5に示すように、超電導コイル20を、テープ状の超電導線材11を巻回して形成したコイル21と、そのコイル21に熱硬化性樹脂を含浸させて形成した熱硬化性樹脂層22とにより、簡易な構成とすることもできる。
次に、以上のように構成された超電導コイル20の製造方法について説明する。
まず、図3に示すように、テープ状の超電導線材11における絶縁被覆層17の外面に、液状のフッ素系離型剤を塗布して離型層18を形成する。続いて、得られた超電導線材11を常法に従って所定の巻数で巻回し、コイル21を作製する。
次いで、図4に示すように、密閉容器27内の底面に離型剤を塗布して離型膜28を形成し、その離型膜28上に第1補強板23を置く。そして、前記コイル21を密閉容器27内の底部に配置された第1補強板23上に置き、該密閉容器27内に熱硬化性樹脂を注入する。その後、密閉容器27の上部開口部に蓋29を被せて密閉し、密閉容器27内を減圧にして脱気しながら熱硬化性樹脂をコイル21に含浸させる。このとき、熱硬化性樹脂はテープ状の超電導線材11間に染み込んで熱硬化性樹脂層22を形成するとともに、コイル21端面と第1補強板23との間に入り込んで熱硬化性樹脂層22を形成してコイル21と第1補強板23とを接着する。
その後、密閉容器27内を常圧に戻し、蓋29を開けて、コイル21上に第2補強板24を載せる。このとき、コイル21端面に存在する未硬化の熱硬化性樹脂を図示しない加熱装置によって加熱することにより、第2補強板24がコイル21の端面に接着される。次いで、密閉容器27内のコイル21を外部へ取り出す。このようにして、目的とする超電導コイル20を製造することができる。
次に、上記のように構成した超電導コイル20について作用を説明する。
さて、本実施形態の超電導コイル20を高磁場マグネット等として使用する場合には、コイル21に通電して発生した高磁場に基づいてコイル21にフープ力等の電磁力が作用し、そのフープ力がコイル21を拡げるように働く。また、コイル21の冷却時には熱膨張率の差に基づく収縮力がコイル21に作用する。このとき、コイル21を構成する超電導線材11には熱硬化性樹脂が含浸され、コイル21全体が一体的に構成されている。このため、電磁力、収縮力等の外力はコイル21全体で受け止められ、コイル21の変形が抑えられ、その力が超電導線材11に及ぶことが抑制される。
また、超電導線材11の絶縁被覆層17の外面には離型層18が形成され、超電導線材11と熱硬化性樹脂層22とが相対移動可能に構成されている。そのため、前記電磁力や収縮力がコイル21に作用しようとしても、超電導線材11と熱硬化性樹脂層22との間が相対移動し、超電導線材11にそれらの力が及ぶことを極力回避することができる。
一方、従来においては、超電導線材と絶縁材とが別体で構成され、絶縁材の表面に離型処理が施されていることから、超電導線材と離型層との間に樹脂が入り込み、超電導線材表面に樹脂が固着する。このため、樹脂の割れや欠けによって超電導線材内の超電導層が剥がれたりして損傷を受ける。これに対し、本実施形態では、前述のように、絶縁被覆層17は超電導線材11と一体化され、その絶縁被覆層17の表面に離型層18が設けられている。従って、熱硬化性樹脂層22の変化による影響は、超電導線材11に直接及ぶことがない。
さらに、コイル21に外周枠26を設けることにより、コイル21にフープ力等の電磁力が作用してコイル21を拡径しようとしたとき、その拡径力を外周枠26で受け止めることができ、拡径力が超電導線材11に及ぼす影響を抑えることができる。
加えて、コイル21の両端面には第1補強板23及び第2補強板24が熱硬化性樹脂層22により固着され、一体化されている。このため、電磁力や収縮力がコイル21に働いても、超電導線材11にそれらの力が及ぶことを一層抑制することができる。
その結果、超電導線材11のひずみ量を小さくすることができ、通電特性を維持することができる。言い換えれば、超電導コイル20はその形状を保持することができ、電磁力の影響を極力回避することができ、超電導特性を維持することができる。
以上詳述した実施形態によって得られる効果を以下にまとめて記載する。
(1)この実施形態の超電導コイル20は、テープ状の超電導線材11が巻回されて形成され、超電導線材11の絶縁被覆層17の外面には離型層18が形成されるとともに、超電導線材11のコイル21には熱硬化性樹脂が含浸されている。
このように、コイル21にはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が含浸され、固着されていることから、超電導コイル20の使用時において電磁力を受けたときや冷却時において収縮力を受けたとき、コイル21全体が一体となって外力を受け止めることができる。加えて、超電導線材11の外面には離型層18が形成され、絶縁被覆層17と熱硬化性樹脂層22との相対的な動きが可能となっていることから、超電導コイル20が電磁力、収縮力等の外力を受けたとき、その外力が超電導線材11の超電導層14に及ぶことを規制することができる。
従って、本実施形態の超電導コイル20によれば、電磁力、収縮力等の外力に対して優れた耐性を示すとともに、良好な超電導特性を維持することができるという効果を奏する。
(2)前記テープ状の超電導線材11間及びコイル21の端面には、熱硬化性樹脂の含浸による熱硬化性樹脂層22が形成されている。このため、超電導コイル20全体の強度向上を図ることができ、電磁力、収縮力等の外力に対する耐性を一層向上させることができる。
(3)前記超電導線材11のコイル21の両端面には、第1補強板23及び第2補強板24が接合されている。従って、コイル21の両端面を強固に補強することができ、電磁力、収縮力等の外力に対する耐性をさらに向上させることができる。
(4)前記第1補強板23及び第2補強板24は、コイル21の端面に形成された熱硬化性樹脂層22によりコイル21の端面に接着されている。そのため、熱硬化性樹脂層22を利用して第1補強板23及び第2補強板24をコイル21の端面に接着することができ、新たに接着剤を用いる必要がなく、構成を簡単にすることができる。
(5)前記超電導線材11のコイル21の外周には外周枠26が配置されている。このため、超電導コイル20にフープ力が作用してコイル21を拡径する力が働いても、その力を外周枠26で受け止めることができ、超電導コイル20の形状を保持することができる。
(6)超電導コイル20の製造方法は、超電導線材11の絶縁被覆層17の外面に離型剤による離型層18を形成した後、超電導線材11を巻回してコイル21を作製する。そのコイル21を密閉容器27内に収容し、該密閉容器27内に液状の熱硬化性樹脂を注入し、次いで減圧下に熱硬化性樹脂をコイル21に含浸する。そして、超電導線材11間及びコイル21の端面に熱硬化性樹脂層22を形成し、その後密閉容器27内を常圧に戻してコイル21を取り出すものである。
従って、この製造方法によれば、熱硬化性樹脂をコイル21に十分に含浸させて超電導線材11間及びコイル21の端面に熱硬化性樹脂層22を形成することができ、外力に対する耐性が高く、超電導特性に優れた超電導コイル20を容易に製造することができる。
以下、実施例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
まず、次のようにして幅10mm、長さ20mのテープ状の超電導線材11を作製した。基板12として、ニッケル合金(ハステロイ)により、厚さ100μmのものを用いた。その基板12上には、ガドリニウム・ジルコニウム酸化物(Gd・Zr酸化物)により、厚さ500nmの中間層13を形成した。中間層13の上には、イットリウム・バリウム・銅酸化物により、厚さ1μmの超電導層14を形成した。超電導層14の上には、銀により、厚さ15μmの第1安定化層15を形成し、その上には銅により、厚さ50μmの第2安定化層16を形成した。この第2安定化層16を覆うように、エポキシ樹脂により、厚さ40μmの絶縁被覆層17を形成した。
続いて、超電導線材11の絶縁被覆層17の外面に、離型剤として液状のフッ素系樹脂〔ダイキン工業(株)製、ダイフリーFB〕を塗布して厚さ数μmの離型層18を形成した。このようにして、図3に示すような離型層18を有する超電導線材11を得た。この超電導線材11を巻回して、内径125mm、外径185mmのシングルパンケーキコイルを作製した。
次いで、図4に示すように、密閉容器27内の離型膜28が形成された底面上に第1補強板23を載せ、その上に前記シングルパンケーキコイルを配置した。その後、密閉容器27内にエポキシ樹脂を注入し、蓋29を被せ、密閉容器27内を10Pa以下に減圧して、エポキシ樹脂をシングルパンケーキコイルに含浸させた。続いて、蓋29を開けて第2補強板24をシングルパンケーキコイルの端面上に載せ、その状態でエポキシ樹脂を100℃に加熱して硬化させた。
このようにして得られたシングルパンケーキコイルについて通電試験を行った。すなわち、シングルパンケーキコイルを、液体窒素による冷却温度と室温との間でヒートサイクルを10回繰り返した後の通電試験を行った。得られたコイル電流(A)とコイル電圧(μV)との関係を図6に示した。なお、図6において、実線はシングルパンケーキコイルの製作直後、破線はヒートサイクル10回後の結果を示す。
図6に示したように、シングルパンケーキコイルは、ヒートサイクル10回後においても、電流−電圧特性は製作直後とほとんど変わらず、超電導特性を維持することができた。
また、シングルパンケーキコイルについてフープ力試験を行った。すなわち、シングルパンケーキコイルを伝導冷却で20Kまで冷却し、その温度で8Tの外部磁場を印加し、その状態でシングルパンケーキコイルに通電してフープ力試験を実施した。得られたコイル電流(A)とコイル電圧(mV)との関係を図7に示した。
図7に示したように、シングルパンケーキコイルに約800A通電しても超電導特性が維持され、異常な電圧の発生は見られなかった。電磁力の計算によれば、このとき、シングルパンケーキコイルには最大で約400MPaのフープ力が作用することになるが、シングルパンケーキコイルには超電導特性が低下するような電流−電圧特性の変化は認められなかった。さらに、このフープ力試験後、シングルパンケーキコイルに通電して前記のような通電試験を実施しても通電特性に変化は認められなかった。
なお、前記実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記熱硬化性樹脂層22を、コイル21の端面に形成することなく、超電導線材11間のみに形成してもよい。
・ 前記第1補強板23及び第2補強板24のいずれか一方を省略してもよい。
・ 前記内周枠25や外周枠26を、熱硬化性樹脂層22によりコイル21に接着するように構成してもよい。
・ 前記実施例において、シングルパンケーキコイルに代えてダブルパンケーキコイルを用いてもよい。
11…超電導線材、12…基板、14…超電導層、17…絶縁被覆層、18…離型層、20…超電導コイル、21…コイル、22…熱硬化性樹脂層、23…第1補強板、24…第2補強板、25…内周枠、26…外周枠、27…密閉容器。

Claims (7)

  1. 基板上に希土類系酸化物超電導体による超電導層を形成し、最外面に絶縁被覆層を設けたテープ状の超電導線材を巻回してコイルを形成した超電導コイルであって、
    前記超電導線材の絶縁被覆層の外面には離型層が形成されるとともに、超電導線材のコイルには熱硬化性樹脂が含浸されていることを特徴とする超電導コイル。
  2. 前記コイルを構成するテープ状の超電導線材間及びコイルの端面には、熱硬化性樹脂の含浸による熱硬化性樹脂層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の超電導コイル。
  3. 前記超電導線材のコイルの少なくとも一方の端面には、補強板が接合されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超電導コイル。
  4. 前記補強板は、コイルの端面に形成された熱硬化性樹脂層によりコイルの端面に接着されていることを特徴とする請求項3に記載の超電導コイル。
  5. 前記超電導線材のコイルの内周に内周枠又は外周に外周枠が配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の超電導コイル。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の超電導コイルの製造方法であって、
    前記超電導線材の絶縁被覆層の外面に離型剤による離型層を形成した後、超電導線材を巻回してコイルを作製し、そのコイルを密閉容器内に収容し、該密閉容器内に液状の熱硬化性樹脂を注入し、次いで減圧下に熱硬化性樹脂をコイルに含浸し、超電導線材間及びコイルの端面に熱硬化性樹脂層を形成し、その後密閉容器内を常圧に戻してコイルを取り出すことを特徴とする超電導コイルの製造方法。
  7. 前記コイルの少なくとも一方の端面には、補強板をコイル端面の熱硬化性樹脂層により接着することを特徴とする請求項6に記載の超電導コイルの製造方法。
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