JP6262564B2 - 超電導異形コイルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、テープ状の超電導線材を、外面側に凸曲状部分を有し、内面側に凹曲状部分を有する異形形状に巻回して形成され、加速器等に使用される超電導異形コイルの製造方法に関する。
加速器等に用いられる超電導コイルの中には、例えば4つの超電導コイルが四隅に配置されて使用されるものがある。この場合、各超電導コイルは、外面側に凸曲状部分を有し、内面側に凹曲状部分を有する異形形状を有している。この超電導異形コイルは、外面側の凸曲状部分を形成する際には超電導線材に張力を加えて巻回することができる一方、内面側の凹曲状部分を形成する際には外面側と同様の張力を加えて巻回することができない。このため、そのような超電導異形コイルを製造する方法が検討されている。
前記超電導線材は、通常その外周部に銅等による安定化層が形成され、そのような超電導線材を巻回して超電導異形コイルを製造する場合に、コイルの電流密度を向上させるためには、超電導線材間を接触させて絶縁を排除し導通を確保する手法が効果的である。
例えば、特許文献1には超電導コイルの巻線方法が開示されている。この超電導コイルの巻線方法は、逆R部クランプを使用し、超電導線材を巻枠(内周枠)の逆R形状部(凹曲状部分)の曲面に沿わせ、サイドクランプを用い、超電導線材の逆R形状部の両側部を押えるものである。さらに、この超電導コイルの巻線方法では、コイル押板を超電導線材の供給軌道から退避させた後逆R形状部に超電導線材を巻回し、コイル押板を超電導線材の供給軌道に進入させた後逆R形状部に巻回された超電導線材の端部をコイル押板により押えるものである。
特開2011−216612号公報
前記特許文献1に記載されている従来構成における超電導コイルの巻線方法では、逆R部クランプを用いて超電導線材を逆R形状部の曲面に沿わせるとともに、サイドクランプを用いて逆R形状部の両側部を押えなければならない。さらに、コイル押板を超電導線材の供給軌道から退避させて超電導線材を逆R形状部に巻回し、コイル押板を超電導線材の供給軌道に進入させて超電導線材の端部を押えなければならない。
このため、超電導コイルの巻線のために逆R部クランプ、サイドクランプ、コイル押板等及びそれらの装置を稼働させるための種々の部品を用意しなければならない。そして、それらの装置及び部品を使用して超電導線材の巻線作業を順次行うことは非常に煩雑であるとともに、超電導線材の巻線作業に時間を要するという問題があった。
そこで、本発明の目的とするところは、簡易な操作で超電導線材間を接触させて導通を図った超電導異形コイルを製造することができる超電導異形コイルの製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の超電導異形コイルの製造方法は、テープ状の超電導線材を、外面側に凸曲状部分を有し、内面側に凹曲状部分を有する内周枠の外周に巻回し、内周枠の形状に倣った異形形状の超電導異形コイルを製造する方法であって、前記超電導線材を内周枠の凹曲状部分に巻回するときには接着剤を施して超電導線材を接着しながら巻回して前駆コイルを作製し、次いで前記接着剤を溶出させた後超電導線材間を接触させて導通を図ることを特徴とする。
請求項2に記載の発明の超電導異形コイルの製造方法は、請求項1に係る発明において、前記接着剤は水溶性接着剤であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明の超電導異形コイルの製造方法は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記接着剤は超電導線材の全面に塗布されることを特徴とする。
請求項4に記載の発明の超電導異形コイルの製造方法は、請求項2又は請求項3に係る発明において、前記水溶性接着剤は、ポリビニルアルコール系接着剤であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明の超電導異形コイルの製造方法は、請求項1から請求項4のいずれか一項に係る発明において、前記超電導線材を接着しながら巻回して前駆コイルを作製した後、前駆コイルの外周に沿う外周枠を配置することを特徴とする。
請求項6に記載の発明の超電導異形コイルの製造方法は、請求項1から請求項5のいずれか1項に係る発明において、前記接着剤を溶出させた後に内周枠の凹曲状部分と超電導線材との間にスペーサを挿入して超電導線材間を接触させて導通を図ることを特徴とする。
請求項7に記載の発明の超電導異形コイルの製造方法は、請求項1から請求項6のいずれか一項に係る発明において、前記内周枠の凸曲状部分と凹曲状部分との変曲部の少なくとも一方には、巻回される超電導線材をクランプで位置決め固定することを特徴とする。
本発明の超電導異形コイルの製造方法によれば、簡易な操作で超電導線材間を接触させて導通を図った超電導異形コイルを製造することができるという効果を奏する。
実施形態における超電導異形コイルを示す断面図であって、内周枠の外周に超電導線材を巻回した後、その外周に外周枠を配置した状態を示す断面図。 図1の2−2線における端面図。 テープ状の超電導線材を示す断面図。 超電導異形コイルの製造工程を示す図であって、内周枠にテープ状の超電導線材を巻き始め、内周枠の凹曲状部分に接着剤を塗布した状態を示す概略断面図。 図4の状態から超電導線材を1周り巻回し、凹曲状部分において先に巻回した超電導線材の表面に接着剤を塗布した状態を示す概略断面図。 図5の状態から超電導線材をさらに1周り巻回し、凹曲状部分において先に巻回した超電導線材の表面に接着剤を塗布した状態を示す概略断面図。 図6の状態から、さらに超電導線材を巻回し続け、超電導線材の巻回が終了した後、その外周に外周枠を配置し、その後接着剤を溶出した状態を示す概略断面図。 本発明の別例の超電導異形コイルを示し、内周枠の外周に超電導線材を巻回した後、その外周に外周枠を配置した状態を示す断面図。 本発明の別例を示し、超電導線材の表面に接着剤を点状に塗布した状態を示す正面図。
以下、超電導異形コイルの製造方法に関する実施形態を図1〜図7に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、超電導異形コイル10は円筒状以外の筒形状に形成され、外面側の凸曲状部分12(ポジティブベンド)と内面側の凹曲状部分13(ネガティブベンド)を有する内周枠11の外周にテープ状の超電導線材14が巻回されて作製され、その外周には外周枠15が配置されている。前記内周枠11は2つの変曲部16、すなわち凸曲状部分12から反時計方向に凹曲状部分13に到る曲面状の第1変曲部16aと、凹曲状部分13から反時計方向に凸曲状部分12に到る曲面状の第2変曲部16bとを有している。
前記外周枠15を配置することにより、超電導異形コイル10が高磁場によるフープ応力(電磁応力)を受けたときに、超電導異形コイル10の拡径を抑えることができるようになっている。内周枠11の凹曲状部分13における中央部と最内周の超電導線材14との間には、超電導線材14間を接触させるためのスペーサ17が介在されている。上記超電導異形コイル10は、シングルパンケーキコイルである。
図2に示すように、前記内周枠11及び外周枠15の上端面上及び下端面上には、内周枠11及び外周枠15の動きを規制する上部規制プレート18及び下部規制プレート19が、図示しないボルト及びナットでそれぞれ内周枠11及び外周枠15に固定されている。これらの上部規制プレート18及び下部規制プレート19は、それぞれ超電導異形コイル10を跨いで内周枠11及び外周枠15の端面上に位置しておればよく、内周枠11より内側又は外周枠15より外側まで延びていても差支えない。また、上部規制プレート18及び下部規制プレート19と外周枠15及び内周枠11との固定は、接着剤による接着、溶接による固定等であってもよい。
図3に示すように、前記テープ状の超電導線材14は、基板20上に中間層21を介して超電導層22が形成され、その超電導層22上に安定化層23が設けられている。該安定化層23は、超電導層22上の第1安定化層23aと、外周を覆う第2安定化層23bとにより構成されている。
前記基板20は、ニッケル合金(ハステロイ)、銀、銀合金等の金属により、例えば厚さ100μm、幅10mmに形成されている。中間層21は、ガドリニウム・ジルコニウム酸化物(Gd・Zr酸化物)、酸化マグネシウム(MgO)、イットリウム安定化ジルコニウム(YSZ)、バリウム・ジルコニウム酸化物(Ba・Zr酸化物)、酸化セリウム(CeO)等の化合物により、例えば厚さ500nm、幅10mmに形成されている。
前記超電導層22は、希土類系酸化物超電導体のCVD法(化学蒸着法)により、例えば厚さ約1μm、幅10mmに形成されている。希土類元素としては、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)等が挙げられる。希土類系酸化物としては、RE・Ba・Cu・O等が挙げられる。但し、REは希土類元素を表す。この超電導層22として具体的には、イットリウム・バリウム・銅酸化物、ランタン・バリウム・銅酸化物(La・Ba・Cu酸化物)等が挙げられる。
前記第1安定化層23aは、銀等の金属のスパッタリング等により、例えば厚さ約15μm、幅10mmに形成されている。第2安定化層23bは、銅等の金属のメッキ等により、例えば厚さ約50μmに形成されている。
また、テープ状の超電導線材14は、ビスマス系酸化物の超電導体によって形成されるものであってもよい。このビスマス系酸化物の超電導体としては、ビスマス(Bi)を含む酸化物により形成される超電導物質であり、例えばBi2223すなわちBiSrCaCu10−α(αは0〜0.15)、Bi2212すなわちBiSrCaCu8−α(αは0〜0.15)等が用いられる。ビスマス系酸化物の超電導体が展伸性を有する金属材料のシース層中に分散されて構成されている。
前記外周枠15及び内周枠11は、繊維強化樹脂又は絶縁被覆が施された金属により形成されている。繊維強化樹脂としては、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)、炭素繊維強化樹脂(CFRP)等が用いられる。絶縁被覆された金属としては、樹脂被覆されたステンレス鋼等が用いられる。前記上部規制プレート18及び下部規制プレート19も外周枠15と同種の材料により形成される。外周枠15に上部規制プレート18及び下部規制プレート19を連結することにより、外周枠15を補強してその移動を規制することができ、超電導異形コイル10がフープ応力を受けたときその超電導異形コイル10の拡径を強固に制限することができる。
前記超電導異形コイル10を形成する超電導線材14の始端部及び終端部には、それぞれ図示しない電極が設けられている。
次に、以上のように構成された超電導異形コイル10の製造方法について説明する。
図4〜図6に示すように、前記超電導異形コイル10は、超電導線材14を内周枠11の凸曲状部分12から巻き始め、第1変曲部16aを経て凹曲状部分13に巻回し、第2変曲部16bを経て凸曲状部分12に巻回し、以後同様に超電導線材14を巻回することにより製造される。この場合、超電導線材14を内周枠11の凹曲状部分13に巻回するときには、接着剤24を用いて超電導線材14を接着しながら巻回して前駆コイル25を作製する。
次いで、図1及び図7に示すように、前記接着剤24を溶出させた後超電導線材14間を接触させ、超電導線材14間の導通を図る。前述の前駆コイル25を作製した後には、その外周に外周枠15を配置することが好ましい。また、超電導線材14が内周枠11の凸曲状部分12から凹曲状部分13に到る第1変曲部16aでは、超電導線材14をクランプ26で内周枠11に一旦固定することが好ましい。このクランプ26としては、指で操作して超電導線材14と内周枠11を挟み付ける簡易構造のものや、ねじ式で超電導線材14と内周枠11を締め付ける構造のもの等を使用することができる。
前記接着剤24は特に制限されないが、水や温水に容易に溶解する水溶性接着剤が好ましい。この水溶性接着剤としては、ポリビニルアルコール系接着剤、酢酸ビニル系接着剤等が挙げられるが、接着強度と溶解性の点からポリビニルアルコール系接着剤が好ましい。温水の温度は、水溶性接着剤の溶解速度、作業性等の観点から、50〜70℃程度が好ましい。また、接着剤24を溶出させる方法としては、前駆コイル25を温水に10〜30秒程度浸漬し、これを数回繰り返すことが好ましい。
接着剤24を施す場合には、接着剤24の接着強度に応じて、内周枠11の凹曲状部分13や超電導線材14の全面に施したり、部分的に選択した部分に施したりしてもよい。また、接着剤24は刷毛等で塗布したり、スプレー状にして塗布したりしてもよい。
前記接着剤24を溶出させた後超電導線材14間を接触させる方法としては、内周枠11の凹曲状部分13と最内周の超電導線材14との間又は外周枠15と最外周の超電導線材14との間にスペーサ17を挿入する方法が好ましい。該スペーサ17は、繊維強化樹脂等により形成されている。このスペーサ17の挿入は、薄いシート状に形成されたものを複数枚挿入する方法や楔状に形成されたものを挿入する方法等により行われる。
なお、前記テープ状の超電導線材14をコイル状に巻回する際には、超電導線材14は超電導層22が内周側で基板20が外周側に位置するように配置される。超電導層22を内周側に配置することにより、超電導層22の円弧が基板20の外周側の円弧に比べて小さくなることから、圧縮ひずみが大きくなり、超電導異形コイル10がフープ応力を受けたときに及ぼされる引張りひずみが緩和され、フープ応力に対する抵抗性を大きくすることができる。
次に、前述した超電導異形コイル10の製造方法を作用とともに説明する。
図4に示すように、内周枠11の凸曲状部分12に電極を設けることによって超電導線材14の始端部を内周枠11に固定した後、超電導線材14を内周枠11の凸曲状部分12に沿って反時計方向に巻き始め、超電導線材14を内周枠11の第1変曲部16aに到るまで巻き付ける。超電導線材14が内周枠11の第1変曲部16aに到ったとき、超電導線材14をクランプ26で内周枠11に仮止めする。このとき、クランプ26は超電導線材14と内周枠11の第1変曲部16aとを挟み付けて固定することから、超電導線材14はその位置に保持され、超電導線材14は巻き戻ることが防止される。その状態で、内周枠11の凹曲状部分13の全面に接着剤24としてのポリビニルアルコール系接着剤を刷毛で塗布する。
続いて、図5に示すように、クランプ26を外して超電導線材14を内周枠11の凹曲状部分13に接着しながら巻く。このとき、ポリビニルアルコール系接着剤は適度な接着強度を発現できることから、超電導線材14は内周枠11から剥がれることなく十分に接着され、その状態が保持されながら内周枠11の凹曲状部分13に巻き付けられる。
内周枠11の凹曲状部分13に接着された超電導線材14は、内周枠11の第2変曲部16bを経てさらに内周枠11の凸曲状部分12に巻き締めながら巻き付けて内周枠11の第1変曲部16aに到るまで巻く。そして、内周枠11の第1変曲部16aにおいて、超電導線材14をクランプ26で内周枠11に仮止めする。その状態で、内周枠11の凹曲状部分13に接着された超電導線材14の外面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布する。この場合にも、ポリビニルアルコール系接着剤は適度な接着強度を発現でき、超電導線材14間が十分に接着される。
次いで、図6に示すように、クランプ26を外して超電導線材14を内周枠11の凹曲状部分13に巻回された超電導線材14に接着した後、内周枠11の第2変曲部16bを経て凸曲状部分12に巻き締めながら巻き付けると、内周枠11の第1変曲部16aに到る。以後、同様の手順に従って超電導線材14を内周枠11の周りに例えば30〜40回巻き付けることにより、超電導線材14の巻き付けが終了し、前駆コイル25が作製される。得られた前駆コイル25の外周には外周枠15を配置する。
その後、図7に示すように、内周枠11の外周に超電導線材14が巻回された前駆コイル25の外周に外周枠15を配置したものを、60℃程度の温水に浸漬し、前記接着剤24を溶出させる。すると、内周枠11と最内周の超電導線材14との間、超電導線材14間及び外周枠15と最外周の超電導線材14との間には、微小な隙間27が形成される。このとき、ポリビニルアルコール系接着剤は水溶性であり、しかも温水に浸漬されていることから、前記超電導線材14間等のポリビニルアルコール系接着剤は速やかに温水中に溶出する。
引き続いて、図1に示すように、内周枠11の凹曲状部分13のほぼ中央部と最内周の超電導線材14との隙間27に複数枚のスペーサ17を挿入する。このとき、複数枚のスペーサ17により、巻回された超電導線材14間の各隙間27が次第に狭められ、やがて超電導線材14間は接触して密接し、超電導線材14の安定化層23間の導通が図られる。勿論、内周枠11の凸曲状部分12においては、超電導線材14が巻き締められて巻回されていることから、超電導線材14間が密接し、超電導線材14の安定化層23間の導通が図られる。
その後、図2の二点鎖線に示すように、内周枠11及び外周枠15の上端面上には上部規制プレート18をボルト及びナットで固定するとともに、内周枠11及び外周枠15の下端面上には下部規制プレート19をボルト及びナットで固定する。このようにして、内周枠11、外周枠15、上部規制プレート18及び下部規制プレート19で強固に保持された超電導異形コイル10を製造することができる。そして、超電導異形コイル10が加速器等として使用されたとき、通電により発生した磁場によるフープ応力が外周枠15によって受け止められる。その結果、超電導異形コイル10はその形状が維持され、フープ応力の影響が回避された状態で超電導特性を発揮することができる。
前記超電導異形コイル10は、内周枠11の凹曲状部分13において、フープ応力やその直交方向の応力により損傷を受けて壊れやすいが、本実施形態では凹曲状部分13においても超電導異形コイル10の外周に沿って外周枠15が配置されるとともに、超電導異形コイル10の内周に沿って内周枠11が配置されている。従って、超電導異形コイル10の形状維持を図ることができ、応力に対する耐性を高めることができる。
以上詳述した実施形態によって得られる効果を以下にまとめて記載する。
(1)この実施形態の超電導異形コイル10の製造方法は、超電導線材14を内周枠11の凹曲状部分13に巻回するときには接着剤24を施して超電導線材14を接着しながら巻回して前駆コイル25を作製し、次いで前記接着剤24を溶出させた後、超電導線材14間を接触させて導通を図るものである。
このため、超電導異形コイル10を製造する場合には、内周枠11の凹曲状部分13において超電導線材14を接着剤24で接着しながら巻回することにより、超電導線材14を凹曲状部分13に沿って巻回することができる。その後、接着剤24を溶出して超電導線材14間を接触させて導通を図ることにより、異形形状を維持しつつ、超電導異形コイル10を簡単に製造することができる。
従って、実施形態における超電導異形コイル10の製造方法によれば、簡易な操作で超電導線材14間を接触させて導通を図った超電導異形コイル10を製造することができるという効果を奏する。
(2)前記接着剤24は水溶性接着剤であることから、水又は温水によって接着剤24を容易かつ速やかに溶出させることができる。
(3)前記接着剤24は超電導線材14の全面に塗布されることにより、内周枠11の凹曲状部分13において超電導線材14間を十分な接着強度をもって接着させることができる。
(4)前記水溶性接着剤がポリビニルアルコール系接着剤であることにより、超電導線材14間の接着強度を適度なものにできるとともに、十分な水溶性を発揮することができる。
(5)前記超電導線材14を接着しながら巻回して前駆コイル25を作製した後、前駆コイル25の外周に沿う外周枠15を配置する。このため、前駆コイル25の形状を保持した状態で、超電導異形コイル10を容易に製造することができる。
(6)前記接着剤24を溶出させた後に内周枠11の凹曲状部分13と超電導線材14との間にスペーサ17を挿入して超電導線材14間を接触させて導通を図る。このように、スペーサ17を用いることにより、超電導線材14間の接触による導通を簡単かつ迅速に行うことができる。
(7)前記内周枠11の第1変曲部16aには、巻回される超電導線材14をクランプ26で位置決め固定する。このように、超電導線材14を巻回するときに一旦第1変曲部16aでクランプ26によって固定することにより、超電導線材14の巻き戻りを抑え、特に凹曲状部分13における超電導線材14の巻回を円滑に進めることができる。
なお、前記実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
・図8に示すように、内周枠11の形状をその両端部の屈曲が前記実施形態よりも大きくなるように形成するとともに、内周枠11を中実体で形成してもよい。さらに、スペーサ17を内周枠11の凹曲状部分13の広い範囲にわたって形成してもよい。加えて、外周枠15の形状を、その外周部に平面部28を有するように構成してもよい。
・図9に示すように、超電導線材14や内周枠11の凹曲状部分13に対して接着剤24を点状(千鳥状)に施すように構成してもよい。この場合、例えばその接着剤24として瞬間接着剤であるシアノアクリレート系接着剤を使用し、そのシアノアクリレート系接着剤を溶出させる溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)等を用いてもよい。
・前記実施形態において、超電導線材14間を接触させるために、接着剤24を溶出させた後、スペーサ17を使用することなく、超電導線材14の外周端を引っ張って巻き締めるように構成してもよい。
・前記外周枠15を、用途によっては省略することも可能である。この場合には、接着剤24を溶出させた後、最内周の超電導線材14と内周枠11の凹曲状部分13との間にスペーサ17を挿入するとき、前駆コイル25の動きを規制するように、最外周の超電導線材14をその外側で支えるように構成することが好ましい。
・前記超電導異形コイル10を得た後、内周枠11を取り除いて超電導異形コイル10を使用することも可能である。
・前記実施形態のシングルパンケーキコイルに代えて、ダブルパンケーキコイルを使用してもよい。ここで、ダブルパンケーキコイルは、超電導線材14が巻回されて形成されたコイルが中間枠を介して上下2段に積層され、各段のコイルの外周には外周枠15が配置されるとともに、上段の外周枠15の上面には上部規制プレート18が固定され、下段の外周枠15の下面には下部規制プレート19が固定される。
10…超電導異形コイル、11…内周枠、12…凸曲状部分、13…凹曲状部分、14…超電導線材、15…外周枠、16…変曲部、16a…第1変曲部、17…スペーサ、24…接着剤、25…前駆コイル、26…クランプ。

Claims (7)

  1. テープ状の超電導線材を、外面側に凸曲状部分を有し、内面側に凹曲状部分を有する内周枠の外周に巻回し、内周枠の形状に倣った異形形状の超電導異形コイルを製造する方法であって、
    前記超電導線材を内周枠の凹曲状部分に巻回するときには接着剤を施して超電導線材を接着しながら巻回して前駆コイルを作製し、次いで前記接着剤を溶出させた後超電導線材間を接触させて導通を図ることを特徴とする超電導異形コイルの製造方法。
  2. 前記接着剤は水溶性接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の超電導異形コイルの製造方法。
  3. 前記接着剤は超電導線材の全面に塗布されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超電導異形コイルの製造方法。
  4. 前記水溶性接着剤は、ポリビニルアルコール系接着剤であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の超電導異形コイルの製造方法。
  5. 前記超電導線材を接着しながら巻回して前駆コイルを作製した後、前駆コイルの外周に沿う外周枠を配置することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の超電導異形コイルの製造方法。
  6. 前記接着剤を溶出させた後に内周枠の凹曲状部分と超電導線材との間にスペーサを挿入して超電導線材間を接触させて導通を図ることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の超電導異形コイルの製造方法。
  7. 前記内周枠の凸曲状部分と凹曲状部分との変曲部の少なくとも一方には、巻回される超電導線材をクランプで位置決め固定することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の超電導異形コイルの製造方法。
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