JP6622070B2 - 高温超電導コイル及び高温超電導磁石 - Google Patents

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Description

本発明は、複雑な曲面上に設置される高温超電導コイル、高温超電導磁石および高温超電導コイルの製造方法に関する。
第二世代の超電導線材と呼ばれるイットリウム系(RE系)の高温超電導線材は、コイルとして様々な機器への適用が期待されている。
例えば、重粒子線がん治療装置を構成する円形加速器の軌道には、偏向マグネットが配置される。
この偏向マグネットに高温超電導コイルを適用すれば、軌道を周回する重粒子線にかかる磁場を従来よりも強力にすることができる。
磁場を強力にすることで、より強く重粒子線を偏向することができ、重粒子線ビームの軌道半径の小さい小型な加速器にすることができる。
重粒子線ビームとマグネットのコイル巻線部との距離をできるだけ近づけることで、重粒子線ビームに対して効率的に磁場を印加することができるため、コイルは、この円筒状のビーム軌道の通過断面の曲線に沿って鞍型に巻回されることが望ましい。
薄膜層が複数積層したテープ形状の高温超電導線材とは異なり、低温超電導線材は、円形または正方形など曲げ力に対する異方性が少ない断面を有するように成形することができる。
よって、このような低温超電導線材では、曲げる方向を自由に変更しながら巻回することができるので、容易に鞍型に成形することができる。
また、低温超電導線材は、加熱しても超電導線材としての性能の劣化が少ないため、接着材で曲面に融着して位置を固定しながら巻回することもできる。
一方、加熱によって性能が劣化しやすい高温超電導線材の場合は、加熱に代えて、接着材に紫外線硬化樹脂を用いるなどの工夫が必要になる。
また、高温超電導線材では、テープ幅広面に垂直なテープ厚み面を湾曲させるいわゆるエッジワイズに湾曲させることに限界がある点で巻回態様には制約がある。
ところで、コイルの使用時には、コイルを膨張させる向きに、コイルに電磁力がかかる。
このような電磁力によってコイルが変形すると、コイルが劣化するとともに、設計通りの磁場形成が困難になる。
そこで、コイルの完成後には、コイルの適所にカラーを設けて、コイルの変形を防止している。
また、円形加速器のビーム軌道は、通常、地面に沿って半径数十m程度の円形に湾曲されている。
よって、コイルは、上述した通過断面の曲面とは別に、重粒子線の周回方向にも、円筒経路に沿って湾曲して形成される。
このように湾曲して形成されることでできる線材の凹形状部には、巻回によって超電導線材にかかる張力によって超電導線材の法線方向に応力の分力が発生する。
この法線方向の分力によって、超電導線材は、この凹形状部において剥離して湾曲した形状を維持できなくなる。
カラーは、凹形状部においては、磁場に基づく応力に加えて、このような応力にも対抗して超電導コイルを機械的に支持する。
特開2006−135060号公報 特開昭61−334403号公報
しかしながら、テープ形状の高温超電導線材を重粒子線の周回方向およびそれに垂直な方向の2方向に湾曲した鞍型にすると、カラーなど超電導コイルに付属する付属部品の形状が複雑になるという課題があった。
エッジワイズ歪みを含む複雑な曲面を有する高温超電導コイルに電磁力が発生すると、薄膜層で構成される高温超電導線材に複雑な応力が発生する。
高温超電導線材に偏在した不均一な応力が発生すると、これらの剥離方向の応力に脆弱な薄膜層が剥離して、超電導性能が劣化することがある。
特に、凹形状部には、このような複雑な応力に加えて、湾曲状態を解消しようとする、いわゆるスプリングバックしようとする応力も発生する。
カラーは、これら電磁力および張力による応力の合力に対抗してコイルの形状を維持させるため、形状の精密さとともに配置決定の精密さが要求されることになる。
また、コイルおよびカラーの精密な配置関係を維持するため、コイルおよびカラーが設置されるベース、またはこれらを包囲するヨークなどの付属部品の形状も制限される。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、3次元的に湾曲した曲面上でも形状の維持が容易な高温超電導コイル、高温超電導磁石および高温超電導コイルの製造方法を提供することを目的とする。
本実施形態にかかる高温超電導コイルは、湾曲した軌道の形状に沿って湾曲するとともに巻回軸に略平行な側面を有して並置された一対の沿湾枠部が設けられた鞍型の巻枠と、前記巻枠に沿って巻回されることで前記巻回軸にテープ幅広面が平行になる立線部を有するテープ状の高温超電導線材と、前記沿湾枠部に平行な面を有して設けられて前記高温超電導線材を前記巻枠に固定するカラーと、前記カラーは、前記立線部にのみ設けられるものである。
本実施形態にかかる他の高温超電導コイルは、湾曲した軌道の形状に沿って湾曲するとともに巻回軸に略平行な側面を有して並置された一対の沿湾枠部が設けられた鞍型の巻枠と、前記巻枠に沿って巻回されることで前記巻回軸にテープ幅広面が平行になる立線部を有するテープ状の高温超電導線材と、前記沿湾枠部に平行な面を有して設けられて前記高温超電導線材を前記巻枠に固定するカラーと、前記軌道の外表を被覆して前記巻枠が固定されるベースと、を備え、前記巻枠は、対向する前記沿湾枠部の端部同士を接続する捻れ枠部を有し、前記ベースは、前記巻枠のうち前記捻れ枠部のみに設けられるものである。
また、本実施形態にかかる他の高温超電導コイルは、高温超電導コイル湾曲した軌道の形状に沿って湾曲するとともに巻回軸に略平行な側面を有して並置された一対の沿湾枠部が設けられた鞍型の巻枠と、前記巻枠に沿って巻回されることで前記巻回軸にテープ幅広面が平行になる立線部を有するテープ状の高温超電導線材と、前記沿湾枠部に平行な面を有して設けられて前記高温超電導線材を前記巻枠に固定するカラーと、を備え、前記巻枠は、対向する前記沿湾枠部の端部同士を接続する捻れ枠部を有し、前記捻れ枠部に沿わされた前記高温超電導線材は、巻回数の増加に伴う前記テープ幅広面の線材周縁の双方の長さの差の比が0.2%以下に設定されたものである。
本発明により、3次元的に湾曲した曲面上でも形状の維持が容易な高温超電導コイル、高温超電導磁石および高温超電導コイルの製造方法が提供される。
一般的な高温超電導線材の構成斜視図。 重粒子線を加速する加速器の部分的な概略上面図。 第1実施形態にかかる超電導コイルが備える巻枠の概略斜視図。 第1実施形態にかかる超電導コイルの概略斜視図。 第1実施形態にかかる超電導コイルの概略上面図。 図5のVI−VI線に沿った断面図。 第1実施形態の超電導コイルの変形例を示す断面図。 第2実施形態にかかる超電導コイルの概略構成図。 第3実施形態にかかる超電導コイルが備えるベースおよびカラーの概略構成図。 図9のX−X線に沿う断面図。 第3実施形態にかかる超電導コイルの変形例を示す断面図。 第4実施形態にかかる超電導コイルを含む高温超電導磁石の概略構成図。 第1実施形態にかかる超電導コイルの製造方法の動作手順を示すフローチャート。 従来の超電導コイルの配置例を示す断面図。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
まず、図1の一般的な高温超電導線材20の構成斜視図を用いて、高温超電導線材20の構成を説明する。
高温超電導線材20は、図1に示されるように、一般に薄膜状の層が積層されたテープ形状の薄膜線材20を構成している。
この薄膜線材20は、例えばレアメタル酸化物(RE酸化物)からなる高温超電導層25(以下、「超電導層25」という)を含むREBCO線材などの線材である。
薄膜線材20は、例えば、ニッケル基合金、ステンレスまたは銅などの高強度の金属材質である基板22と、基板22の上に形成される中間層24と、中間層24を基板22の表面に配向させるマグネシウムなどからなる配向層23と、中間層24の上に形成される酸化物でできた超電導層25と、銀、金または白金などで組成される保護層26と、銅またはアルミニウムなどの良伝導性金属である安定化層21と、から構成される。
中間層24は、基板22と超電導層25の熱収縮の際に起因する熱歪みを防止するものである。
保護層26は、超電導層25に含まれる酸素が超電導層25から拡散することを防止して、超電導層25を保護するものである。
安定化層21は、超電導層25への過剰超電導電流の迂回経路となって熱暴走を防止するものである。
ただし、薄膜線材20を構成する各層の種類および数はこれに限定されるものではなく、必要に応じて多くても少なくてもよい。
このように形成された薄膜線材20は、各層(21〜26)に沿ったテープ幅広面20a(20)、このテープ幅広面20aに垂直な側面でテープ長手方向に沿った線材周縁20b(20)、およびこれらテープ幅広面20aおよび線材周縁20bのいずれにも垂直な切断端面20c(20)を有する。
(第1実施形態)
図2は、重粒子線qを加速する加速器11の部分的な概略上面図である。
図2に示されるように、重粒子線qは加速器11が備える直径数十m程度の円形に湾曲している円筒状の軌道12を周回する。
軌道12を形成するビームダクト13の外表面には、重粒子線qを加速または偏向させる強力な磁場を発生させるマグネット14が配置される。
重粒子線qは、この磁場によるローレンツ力を軌道12の周回方向に受けて、周回しながら徐々に加速される。
このマグネット14は、図3に示す巻回軸Cの周りに巻回された高温超電導コイル10(以下、単に「超電導コイル10」という)によって磁場を発生させる。
図3は、第1実施形態にかかる超電導コイル10が備える巻枠18の概略斜視図である。
第1実施形態にかかる超電導コイル10は、図3に示されるような湾曲した鞍型の巻枠18を備える。
つまり、巻枠18は、重粒子線qが周回する軌道12の湾曲形状に沿って湾曲する一対の沿湾枠部19の端部同士が、捻れ枠部32によって接続されて環状の枠を形成している。
一対の沿湾枠部19は、同心円状で曲率半径の異なる円弧形状をした2本が対向して並置される。
一対の捻れ枠部32は、軌道12の通過断面の曲面に沿って部分的にエッジワイズに曲げられながら、それぞれ沿湾枠部19を接続する。
巻枠18は、ビームダクト13を被服するベース33を介してビームダクト13に載置される。
そして、巻枠18の両端の周縁34のうちベース33に接触する一方(以下、「設置周縁34a」という)が接着材などでベース33に固定される。
巻枠18は、設置周縁34aの周長とベース33に接触しない他端の周縁34(以下、「非設置周縁34b」という)との周長とが同一の長さになるように、捻れ枠部32が巻回軸Cと有限角θ(θ≠0)を有して成形される。
ここで同一の長さとは、設置周縁34aと非設置周縁34bとの一ターン分の周長の差の比が0.2%以下であることをいう。
設置周縁34aと非設置周縁34bとの一ターン分の周長が同一であることを等周条件という。
等周条件を満足すると、巻枠18に沿って巻回される薄膜線材20には、エッジワイズ歪みなどの歪みが一ターン分で吸収されることになる。
また、沿湾枠部19は、それぞれ巻回軸Cに略平行な側面を有して設置される。
つまり、沿湾枠部19の側面は、設置周縁34aの環状の曲線がのる平面Ωに垂直に立設される。
巻枠18の材質には、ステンレス、銅、アルミニウムおよびこれらを含む合金材料などが好適に用いられる。
なお、巻枠18は、ベース33に一体化されてもよい。
また、図4は、第1実施形態にかかる超電導コイル10の概略斜視図である。
そして、図5は、第1実施形態にかかる超電導コイル10の概略上面図、図6は、図5のVI−VI線に沿った断面図である。
なお、図4では、カラー36の図示を省略している。
超電導コイル10は、図4から図6に示されるように、さらに、巻枠18に沿って巻回されることで巻回軸Cにテープ幅広面20aが平行になる立線部37を有するテープ状の薄膜線材20と、沿湾枠部19に平行な面を有して設けられて薄膜線材20を巻枠18に押し返すカラー36と、を備える。
薄膜線材20は、巻枠18に沿って巻回されることで、巻枠18のうち沿湾枠部19の部分で、テープ幅広面20aが巻回軸Cに平行になる。
この薄膜線材20の巻回軸Cに平行な部分を立線部37という。
立線部37においては、薄膜線材20が内周側のターンの線材周縁20bに外周側のターンの線材周縁20bを揃えて巻回される。
このように巻回されることで、薄膜線材20は平面Ωに沿って、軌道12の外表から離れる向きに積層される。
このような形状の立線部37においては、発生する磁場による応力は、立線部37を主に放射線方向に押し広げる単純なものになる。
立線部37における線材周縁20bの群が平面Ωに沿った形状を維持するために、ベース33には、平面Ωに沿った支持板39が設けられていてもよい。
支持板39は、立線部37に限定されずその他の薄膜線材20の線材周縁20bまで延在されて支持してもよい。
なお、捻れ枠部32に沿わされた薄膜線材20も、巻回数の増加に伴うテープ幅広面20aの線材周縁20bの双方の長さの差の比が0.2%以下になるように形状が調節される。
例えば、巻回を繰り返すことで、一方の線材周縁20bが他方と比較して長くなる場合は、巻回の途中で、図示しない形状補正枠41をターン間に設けるなどして、長さを揃える。
また、薄膜線材20は、絶縁材とともに巻回されるなどして、隣接するターン間が絶縁される。
絶縁材は、例えば、ポリエステル、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ウレタンフィルムまたはガラスなどが好適に用いられる。
カラー36は、立線部37に平行に、すなわち沿湾枠部19に平行に設けられる。
立線部37は、上述したように、磁場による応力によって、巻回軸Cに対して放射線方向に押し広げられる。
カラー36は、押し広げられようとする薄膜線材20を巻枠18に垂直に押し返して超電導コイル10の形状を想定している形状に維持する。
図14の従来の超電導コイルの配置例を示す断面図に示されるように、3次元に湾曲した曲面に沿って薄膜線材20を巻回すると、薄膜線材20は、曲面に沿った扇形などの複雑な形状になる。
よって、薄膜線材20の形状に合わせて多数の板材をずらしながら積層させてカラーを成形する方法や、軌道12よりも一回り大きな円筒を薄膜線材20の形状に合わせて削りだす方法を用いていた。
これらいずれの方法でも、カラーの製造は、困難であった。
しかし、上述のように立線部37を有して巻回することで、従来複雑な形状であったカラー36を、立線部37においては沿湾枠部19に沿って湾曲するのみの単純な湾曲板にすることができる。
また、図7の第1実施形態の超電導コイル10の変形例を示す断面図に示されるように、カラー36を90度に屈曲させてL字状にして、カラー36に図6に示した支持板39の支持する機能をもたせてもよい。
また、カラー36を鉄などの磁性体にすることで、発生した磁場の磁路の機能をもたせてもよい。
次に、第1実施形態にかかる超電導コイル10の製造方法の動作手順を、図13のフローチャートを用いて説明する(適宜図4から図6を参照)。
まず、上述した鞍型の巻枠18に薄膜線材20の端部を密着させる(密着ステップS11)。
そして、薄膜線材20にこの薄膜線材20のテープ幅広面20aと同一の線材幅を有する絶縁材(図示せず)を線材周縁20bを揃えて重ね合せながら接着をする(接着ステップS12)。
接着には、シリコーン系またはウレタン系の接着剤などが好適に用いられる。なお、接着材が絶縁材料である場合は、絶縁材を別個設けなくてもよい。
次に、薄膜線材20および絶縁材を接着しながら巻回する(巻回ステップS13)。
所定の巻数だけ巻回した後、巻回を中断して、超電導コイル10の外周の少なくとも一部に形状補正枠41を設ける(形状維持ステップS14)。
形状補正枠41が設けられることによって、線材周縁20bの周長のずれが調整されて、薄膜線材20が等周条件を満足するようになる。
そして、形状補正枠41の外側面に引き続き薄膜線材20を巻回する(巻回再開ステップS15)。
そして、沿湾枠部19にカラー36の側面を平行にして装着し(装着ステップS16)、超電導コイル10の製造を終了する。
以上のように、第1実施形態にかかる超電導コイル10によれば、薄膜線材20を重粒子線qの周回方向およびそれに垂直な方向の2方向に湾曲した鞍型にしても、簡素な形状のカラー36で超電導コイル10の形状を設計通りに維持することができる。
薄膜線材20を重粒子線qの周回方向およびそれに垂直な方向の2方向に湾曲した鞍型にすることで、重粒子線qを強力に偏向することができる。
また、簡素な形状のカラー36で超電導コイル10の形状を維持することで、超電導コイル10の製造、設置および保守が容易になる。
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態にかかる超電導コイル10の概略構成図である。
第2実施形態にかかる超電導コイル10は、図8に示されるように、カラー36が、立線部37にのみ設けられる。
カラー36による薄膜線材20の押し返しが特に必要になるのは、スプリングバックが発生する凹形状部である立線部37である。
つまり、必ずしも超電導コイル10の外周の全周にわたってカラー36を設ける必要はない。
また、例えば捻れ枠部32に巻回される薄膜線材20は、エッジワイズに湾曲したり、または内側のターンからずらされて巻回されたりする。
よって、立線部37よりも複雑な形状になり、発生する応力も複雑になることが予想される。
そこで、第2実施形態においては、カラー36を立線部37のみに設ける。
カラー36は、凹形状部を有しスプリングバックのおそれのある内周側の立線部37にのみ設けてもよい。
カラー36を立線部37のみに設けることで、捻れ枠部32の部分については別製品の押え手段の設置、または何ら押え手段を設けないなどの自由な対策をとることができる。
なお、カラー36が、立線部37にのみ設けられること以外は、第2実施形態は第1実施形態と同じ構造および動作手順となるので、重複する説明を省略する。
図面においても、共通の構成または機能を有する部分は同一符号で示し、重複する説明を省略する。
このように、第2実施形態にかかる超電導コイル10によれば、第1実施形態の効果に加え、薄膜線材20の形状が複雑になる捻れ枠部32の部分に設けられる付属部品の設計の自由度を上げることができる。
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態にかかる超電導コイル10が備えるベース33およびカラー36の概略構成図である。
なお、図9においては、後述する断熱層42は省略している。
また、図10は、図9のX−X線に沿う断面図である。図10では、ベース33およびカラー36に加えて、巻枠18、薄膜線材20および断熱層42も図示している。
第3実施形態にかかる超電導コイル10は、図9および図10に示されるように、第2実施形態において、ベース33が、巻枠18のうち捻れ枠部32のみに設けられる。
そして、カラー36は、捻れ枠部32に設けられた2以上のベース33を架橋して設けられる。
第2実施形態では、カラー36は、立線部37にのみ設けられていた。
上述のように立線部37および立線部37におけるカラー36の形状は、軌道12に沿って湾曲するのみの単純形状をしている。
よって、カラー36の製造および設置位置の調節は容易であり、必ずしもカラー36の周縁の全部をベース33に固定しなくてもよい。
そこで、第3実施形態では、ベース33を巻枠18の捻れ枠部32の部分にのみ設け、カラー36は、分断されたベース33を架橋して設けられる。
ベース33には電磁力によって変形しようとする超電導コイル10およびカラー36などを強固に固定して支持するため、十分な強度および硬度を維持するだけの厚さが必要になる。
立線部37においてベース33が除去されることで、立線部37を重粒子線qのより近くに配置することができる。
また、このようなベース33が除去された部分においては、巻枠18は、輻射を遮断してベース33よりも薄い断熱層42を介してビームダクト13に固定されてもよい。
また、図11は、第3実施形態にかかる超電導コイル10の変形例を示す断面図である。
図11は、ビームダクト13が配置されない軌道12において、超電導コイル10を複数配置した断面図である。
重粒子線qの経路は、必ずしもビームダクト13によって形成されている必要はない。
例えば、ビームダクト13の一部または全部がなくても、適所に適当な磁場がかかっていれば、重粒子線qを周回させて加速することができる。
そこで、立線部37においては、ベース33に加えてビームダクト13も配置しない構成にする。
ベース33は、立線部37の前後に配置されたビームダクト13に設けられる。
そして、カラー36は、立線部37の前後に設けられたこのベース33に架橋される。
また、配置される複数の超電導コイル10は、最内周の線材周縁20bが1つの円上に配置されるのが好ましい。
最内周の線材周縁20bが1つの円上に配置されることで、それぞれの超電導コイル10がこの円の中心について対称な磁場を形成し、磁場形状の調節が容易だからである。
このように、第3実施形態にかかる超電導コイル10によれば、第2実施形態の効果に加え、超電導コイル10を重粒子線qに接近させることができるので、重粒子線qが受ける磁場の強度を高めることができる。
また、ビームダクト13およびベース33を配置せず、超電導コイル10を軌道12に近づけることで、加速器11を小型にすることができる。
(第4実施形態)
図12は、第4実施形態にかかる超電導コイル10を含む高温超電導マグネット50(以下、「高温超電導磁石50」という)の概略構成図である。
第4実施形態にかかる超電導コイル10は、図12に示されるように、冷却器51に収納される。
冷却器51は、軌道12を超電導コイル10ごと包囲して超電導コイル10を冷却する。
そして、冷却器51に設けられた冷凍機52の冷却ステージ53は、純度の高いアルミニウムまたは銅などの熱伝導箔54などを介して、カラー36に熱的に接続される。
そして、冷却ステージ53は、カラー36を伝導冷却する。
カラー36は、特にL字状に屈曲して超電導コイル10を支持している場合は、薄膜線材20に広い密着面積を有する。
そこで、カラー36を伝導冷却することで、超電導コイル10を冷却する。
カラー36の材質は、熱伝導の観点から、ステンレス、銅、アルミニウムまたはこれらの合金などが望ましい。
このように、第4実施形態にかかる高温超電導磁石50によれば、第1実施形態の効果に加え、冷却時に通常使用する冷却板などの冷却手段の数量を減らすことができる。
以上述べた少なくとも一つの実施形態の超電導コイル10によれば、立線部37および立線部37の形状に合わせたカラー36を設けることにより、3次元的に湾曲した曲面上でも形状の維持を容易にすることが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
10…高温超電導コイル(超電導コイル)、11…加速器、12…軌道、13…ビームダクト、14…マグネット、18…巻枠、19…沿湾枠部、20…高温超電導線材(薄膜線材)、20a(20)…テープ幅広面、20b(20)…線材周縁、20c(20)…切断端面、21(20)…安定化層、22(20)…基板、23(20)…配向層、24(20)…中間層、25(20)…超電導層(高温超電導層)、26(20)…保護層、32…枠部、33…ベース、34(34a,34b)…周縁(設置周縁,非設置周縁)、36…カラー、37…立線部、39…支持板、41…形状補正枠、42…断熱層、50…高温超電導マグネット(高温超電導磁石)、51…冷却器、52…冷凍機、53…冷却ステージ、54…熱伝導箔、C…巻回軸、q…重粒子線、Ω…平面、θ…有限角。

Claims (14)

  1. 湾曲した軌道の形状に沿って湾曲するとともに巻回軸に略平行な側面を有して並置された一対の沿湾枠部が設けられた鞍型の巻枠と、
    前記巻枠に沿って巻回されることで前記巻回軸にテープ幅広面が平行になる立線部を有するテープ状の高温超電導線材と、
    前記沿湾枠部に平行な面を有して設けられて前記高温超電導線材を前記巻枠に固定するカラーと、
    前記カラーは、前記立線部にのみ設けられることを特徴とする高温超電導コイル。
  2. 前記巻枠は、対向する前記沿湾枠部の端部同士を接続する捻れ枠部を備える請求項1に記載の高温超電導コイル。
  3. 前記軌道の外表を被覆して前記巻枠が固定されるベースを備える請求項1に記載の高温超電導コイル。
  4. 前記巻枠が固定されるベースは、前記巻枠のうち前記捻れ枠部のみに設けられる請求項2に記載の高温超電導コイル。
  5. 湾曲した軌道の形状に沿って湾曲するとともに巻回軸に略平行な側面を有して並置された一対の沿湾枠部が設けられた鞍型の巻枠と、
    前記巻枠に沿って巻回されることで前記巻回軸にテープ幅広面が平行になる立線部を有するテープ状の高温超電導線材と、
    前記沿湾枠部に平行な面を有して設けられて前記高温超電導線材を前記巻枠に固定するカラーと、
    前記軌道の外表を被覆して前記巻枠が固定されるベースと、を備え、
    前記巻枠は、対向する前記沿湾枠部の端部同士を接続する捻れ枠部を有し、
    前記ベースは、前記巻枠のうち前記捻れ枠部のみに設けられることを特徴とする高温超電導コイル。
  6. 前記カラーは前記捻れ枠部に設けられた2以上の前記ベースを架橋して設けられる請求項4または請求項5に記載の高温超電導コイル。
  7. 前記巻枠の環状の周縁の双方の一ターン分の周長の差の比が0.2%以下に設定された請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の高温超電導コイル。
  8. 前記捻れ枠部に沿わされた前記高温超電導線材は、巻回数の増加に伴う前記テープ幅広面の線材周縁の双方の長さの差の比が0.2%以下に設定された請求項2、請求項4、請求項5、及び請求項6のいずれか1項に記載の高温超電導コイル。
  9. 湾曲した軌道の形状に沿って湾曲するとともに巻回軸に略平行な側面を有して並置された一対の沿湾枠部が設けられた鞍型の巻枠と、
    前記巻枠に沿って巻回されることで前記巻回軸にテープ幅広面が平行になる立線部を有するテープ状の高温超電導線材と、
    前記沿湾枠部に平行な面を有して設けられて前記高温超電導線材を前記巻枠に固定するカラーと、を備え、
    前記巻枠は、対向する前記沿湾枠部の端部同士を接続する捻れ枠部を有し、
    前記捻れ枠部に沿わされた前記高温超電導線材は、巻回数の増加に伴う前記テープ幅広面の線材周縁の双方の長さの差の比が0.2%以下に設定されたことを特徴とする高温超電導コイル。
  10. 前記巻枠の材質に、ステンレス、銅、アルミニウムおよびこれらを含む合金材料の少なくとも1つを使用する請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の高温超電導コイル。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の高温超電導コイルが、最内周の線材周縁が1つの円上に配置されるように複数固定される高温超電導磁石。
  12. 前記軌道を請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の高温超電導コイルごと包囲して前記高温超電導コイルを冷却する冷却器を備える高温超電導磁石。
  13. 前記冷却器に設けられた冷凍機の冷却ステージは、
    前記カラーに熱的に接続されて前記カラーを伝導冷却する請求項12に記載の高温超電導磁石。
  14. 前記巻枠は、輻射を遮断する断熱層を介して前記軌道に直接固定される請求項12または請求項13に記載の高温超電導磁石。
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