JP2023169958A - 高温超電導コイル及び高温超電導コイル装置 - Google Patents

高温超電導コイル及び高温超電導コイル装置 Download PDF

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Tatsuro Uto
貞憲 岩井
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Abstract

【課題】高温超電導コイルの周面に金属板を架設した場合でも、高温超電導線材の変形による特性劣化のリスクを低減する。【解決手段】高温超電導線材20が巻回された巻線部12と、前記巻線部の両側の巻回軸方向側面に設けられた側面絶縁材19と、を有する高温超電導コイル10において、前記側面絶縁材は、前記高温超電導コイルの最外周の周面及び/又は最内周の周面の少なくとも一部に、当該高温超電導コイルの径方向外側及び/又は径方向内側に延伸する第1の突出部17を有する。【選択図】図9

Description

本発明の実施形態は、高温超電導線材を用いた高温超電導コイル及び高温超電導コイル装置に関する。
近年、レアアース(RE:Rear Earth)を含む(RE)BaCu等のREBCO線材を代表とする高温超電導線材を用いた高温超電導コイルの研究が盛んに行われている。特に、厚さ50~100μm程度の基板上に、複数の種類の層を形成して作製される高温超電導線材(以下、「薄膜線材」ともいう。)は、高磁場下での電流容量が大きいという特性がある。したがって、高磁場を発生させるために必要な高い電流密度および高い許容応力を有する高温超電導コイルの実現が期待されている。
実用化されている高温超電導コイルの形成方法は、テープ状の高温超電導線材の巻回方法の違いによっていくつかに大別することができる。
これらの形成方法で代表的なものに、高温超電導線材を同心円状に巻回したパンケーキコイル状の高温超電導コイルを巻回軸方向に複数積層して1つの高温超電導コイル装置にする方法がある。
積層された高温超電導コイルは、その最内周及び/又は最外周の周面のいずれかにおいて、隣接する高温超電導コイル同士に跨がるように金属板(電極)が架設されて、電気的に接続される。この金属板によって積層された全ての高温超電導コイルは、超電導電流が通流する1つの経路を形成する。テープ状の高温超電導線材は、テープ長手方向に高い外力をかけても超電導特性が失われないという特徴もある。
一方、この高温超電導線材は、上述した複数の層の積層方向にかかる外力に対しては脆弱であり、微小な外力で容易に超電導特性を劣化させてしまう。例えば、高温超電導線材に局部的に曲げ応力がかかった場合、容易に層の剥離や層の破断が発生して、超電導特性が低下する。
従来から、高温超電導コイルを樹脂含浸して、高温超電導線材を機械的に固定する工夫がなされている。また、高温超電導線材の始端に接続する電極を巻枠に固定するなどして、高温超電導線材が不要に歪むことを防止する工夫がなされている。
特許第6548916号公報
上述した従来の高温超電導コイルにおいて、高温超電導コイルの最外周の周面に金属板(電極)を架設する場合、高温超電導コイルの最外周ターンに位置する高温超電導線材(薄膜線材)は、金属板との干渉を避けるために、高温超電導コイルの形状を保持している側面絶縁材等の構造物を最外周面よりも径方向外側に延伸することができない。
さらに、それらの構造物の径方向端部が高温超電導コイルの最外周面と完全に一致するように調整することは困難であるから、金属板との干渉を確実に避けるためには、構造物を高温超電導コイル径方向端部よりも内周側に調整する必要が生じる。したがって、最外周ターンに位置する薄膜線材を機械的に保持する構造物の強度は、他のターンにおける薄膜線材を保持する構造物の強度よりも低下してしまう。
このように、高温超電導コイルの最外周において薄膜線材を保持する構造物の強度が低いために、高温超電導コイルが外力や電磁力等により変形した際に、特に、最外周ターンの薄膜線材が変形して特性劣化してしまうリスクが高いという課題がある。さらに、高温超電導コイルの最内周の周面に金属板を架設する場合も同様な課題がある。
本発明に係る実施形態は、このような課題を解決するためになされたもので、高温超電導コイルの周面に金属板を架設した場合でも、薄膜線材の変形による特性劣化のリスクを低減することが可能な高温超電導コイル及び高温超電導コイル装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本実施形態に係る高温超電導コイルは、高温超電導線材が巻回された巻線部と、前記巻線部の両側の巻回軸方向側面に設けられた側面絶縁材と、を有する高温超電導コイルにおいて、前記側面絶縁材は、前記高温超電導コイルの最外周の周面及び/又は最内周の周面の少なくとも一部に、当該高温超電導コイルの径方向外側及び/又は径方向内側に延伸する第1の突出部を有することを特徴とする。
また、本実施形態に係る高温超電導コイル装置は、高温超電導線材が巻回された巻線部と、前記巻線部の両側の巻回軸方向側面に設けられた側面絶縁材と、からなる高温超電導コイルと、前記高温超電導コイルの最外周の周面及び/又は最内周の周面に設けられた電極と、を有する高温超電導コイル装置において、前記側面絶縁材は、前記高温超電導コイルの最外周の周面及び/又は最内周の周面の少なくとも一部に、当該高温超電導コイルの径方向外側及び/又は径方向内側に延伸する第1の突出部を有し、前記電極の周面に前記第1の突出部と嵌合する切欠き凹部を設けたことを特徴とする。
本発明の実施形態によれば、高温超電導コイルの周面に金属板を架設した場合でも、高温超電導線材の変形による特性劣化のリスクを低減することができる。
一般的な高温超電導線材の構成図。 一般的な高温超電導コイルの斜視図。 図2のII-II線断面図。 図3の領域Ω部の拡大図。 電極が取り付けられた一般的な高温超電導コイル装置の斜視図 高温超電導コイルが積層された一般的な高温超電導コイル装の斜視図 図6の高温超電導コイル装置の平面図。 (a)、(b)は図7の位置Aにおける拡大断面図、(c)は図7の位置Bにおける拡大断面図。 (a)~(c)は第1の実施形態に係る高温超電導コイル装置の拡大断面図。 第2の実施形態に係る高温超電導コイル装置の拡大断面図。 第3の実施形態に係る高温超電導コイル装置の拡大断面図。
以下、本発明に係る高温超電導コイル及び高温超電導コイル装置の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
(高温超電導線材の構成)
まず、一般的な高温超電導線材(薄膜線材)20の構成について、図1を用いて説明する。
高温超電導線材20は、図1に示すように、一般にテープ状の薄膜状の層が積層された構成となっている。
高温超電導線材20は、例えば、ニッケル基合金、ステンレス又は銅等の高強度の金属材質である基板22と、基板22の上に形成される中間層24と、中間層24を基板22の表面に配向させるマグネシウム等からなる配向層23と、中間層24の上に形成されるREBCO線材等のレアメタル酸化物からなる超電導層25と、銀、金又は白金等で組成される保護層26と、銅又はアルミニウム等の良伝導性金属である安定化層21と、から構成される。
中間層24は、基板22と超電導層25の熱収縮の際に起因する熱歪みを防止する。また、保護層26は、超電導層25に含まれる酸素が超電導層25から拡散することを防止して、超電導層25を保護している。また、安定化層21は、超電導層25への過剰通電電流の迂回経路となって熱暴走を防止する。ただし、高温超電導線材20を構成する各層の種類及び数はこれに限定されるものではなく、必要に応じて適宜増減してもよい。
(高温超電導コイル)
図2は一般的な高温超電導コイル10の構成例を示す斜視図で、図3は図2のII-II線に沿うコイル径方向Bの断面図である。また、図4は図3の領域Ω部の拡大断面図である。
図2及び図3に示される高温超電導コイル10は、高温超電導線材20が巻枠14へ巻回されることにより、巻回軸中心軸を貫通する空間を有するパンケーキ状の巻線部12を形成することによって得られる。高温超電導線材20を同心円状に巻回してパンケーキ状に形成されたコイルをパンケーキコイルと呼ぶ。
ここで、図2に示すように、高温超電導コイル10の巻回軸と平行な方向を巻回軸方向C、高温超電導線材20を巻き回す方向をコイル周方向A、巻回により高温超電導線材20が積層される方向をコイル径方向Bと呼ぶ。また、高温超電導コイル10において隣接する別のターンの高温超電導線材20同士の間隙のことを単にコイルターン間と呼ぶ。
図4に示すように、高温超電導線材20の間には、隣接するコイルターン間の絶縁のために、ターン間絶縁材33が挿入される。ターン間絶縁材33としては、一般に、例えばポリイミド等により形成された絶縁性テープが用いられる。テープ状のターン間絶縁材33は、高温超電導線材20と共巻することによりコイルターン間に挿入される。
また、高温超電導コイル10は、エポキシ樹脂などの粘着性を有する絶縁材料で含浸されることもある。粘着性のある樹脂で含浸されることにより、高温超電導コイル10内の隣接する高温超電導線材20がターン間絶縁材33により固着され、高温超電導コイル10の熱伝導度及び機械的強度が向上する。
なお、エポキシ樹脂などの粘着性を有する絶縁材料もコイルターン間に挿入されることでターン間絶縁材33として機能するが、コイルターン間の確実な絶縁のためには、テープ状のポリイミド等の絶縁性テープにより確実にコイルターン間を絶縁することが好ましい。
巻線部12の上下の側面には絶縁シート16が設けられており、巻線部12に隣接する他の高温超電導コイル等から絶縁する。絶縁シート16としてはエポキシ樹脂や繊維強化プラスチックが好適に用いられる。また、エポキシ樹脂等の粘着性を有する絶縁樹脂層18を巻線部12と絶縁シート16の間に形成してもよい。
なお、絶縁シート16と絶縁樹脂層18のいずれか一方が形成されていれば、巻線部12を隣り合う他の超電導コイル等から絶縁することができるが、図4に示すように、絶縁シート16と絶縁樹脂層18の両方を形成してもよい。絶縁シート16と絶縁樹脂層18の両方又はいずれか一方からなる構成要素を側面絶縁材19と呼ぶ。
(単層の高温超電導コイル装置)
高温超電導コイル装置100として、高温超電導コイル10に通電を行う際は、図5に示すように、巻線部12の最外周ターン又は最内周ターンの高温超電導線材20の周面に電極40を接続する。電極40は高温超電導線材20にはんだ付けなどにより電気的に接続されて、高温超電導コイル10を通流する通電電流Iを流入又は流出させる。電極40は例えば銅、銀、金、インジウムやこれらの合金で好適に構成される。
(多層の高温超電導コイル装置)
図6に示すように、高温超電導コイル10を巻回軸方向に同心円状に複数積層して、多層の高温超電導コイル装置100としてもよい。
図6に示す高温超電導コイル装置100は、積層された複数の高温超電導コイル10のうち、隣接する2つに架設される金属板41を有する。金属板41は薄膜線材20にはんだ付けなどにより電気的に接続されて、架設される2つの高温超電導コイル10のうち、片方の高温超電導コイル10から流出した通電電流Iをもう片方の高温超電導コイル10に流入させる。金属板41は、例えば銅、銀、金、インジウムやこれらの合金で好適に構成される。
なお、上述した電極40と金属板41の違いは、1つの高温超電導コイル10に接続されるか、2つの高温超電導コイル10に跨って接続されるかの違いであって、どちらも高温超電導コイル10から電流を流出入させるための金属製の部材であるから、実質的に同一視できる。以下に説明する実施形態では金属板41として記載したが、電極40に置き換えても同様な作用効果が得られる。
ここで、図7に示すように、積層した2つの高温超電導コイル10A及び10Bを跨がって金属板(電極)41が設けられた周面を領域1といい、金属板41が設けられていない周面を領域2という。
そして、図8(a)、(b)は金属板41が設けられた領域1の拡大断面図で(図7の位置A)、図8(c)は金属板41が設けられていない領域2の拡大断面図である(図7の位置B)。
図8(a)~(c)において、各高温超電導コイル10A、10Bは、それぞれ高温超電導線材20とターン間絶縁材33が複数巻きに巻回され、その上下の側面には絶縁シート16及び絶縁樹脂層18からなる側面絶縁材19が形成されている。なお、図8(b)は、コイル径方向端部が最外周ターンの高温超電導線材20Aのコイル径方向端部よりも、径方向内周側に位置している場合の断面図である。
また、図8(a)~(c)の20Aは高温超電導線材20の最外周ターンを指し、20Bはその1つ前のターンを指す。上述した一般的な高温超電導コイル装置100の作用については後述する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係る高温超電導コイル及び高温超電導コイル装置について、図9(a)~(c)を用いて説明する。
(構成)
図9(a)~(c)は、2つの高温超電導コイル10A、10Bを積層した高温超電導コイル装置100Aの部分拡大断面図で、いずれも2つの高温超電導コイル10A、10Bに跨がって金属板(電極)41が取り付けられている箇所の拡大断面図である(図7の位置A参照)。
本第1の実施形態に係る高温超電導コイル装置100Aは、図9(a)に示すように、2つの高温超電導コイル10A、10Bが積層される面に絶縁シート16と絶縁樹脂層18からなる側面絶縁材19が設けられ、その側面絶縁材19がコイル径方向外側に延伸する第1の突出部17を有しており、当該第1の突出部17は金属板41の内周に形成された切欠き凹部45に嵌合する。
図9(a)の例では第1の突出部17は切欠き凹部45に略隙間なく嵌合しているが、第1の突出部17と切欠き凹部45の形状が完全に一致する必要はなく、図9(b)に示すように、コイル径方向について、第1の突出部17のコイル径方向大きさを切欠き凹部45のコイル径方向の大きさよりも小さくして、所定の空隙を形成するようにしてもよい。さらに、図9(c)に示すように、コイル軸方向について、第1の突出部17との間に所定の空隙が生じるように切欠き凹部45を形成してもよい。
ここで重要なことは最外周ターンの高温超電導線材20Aの位置よりも径方向外側に向かって第1の突出部17が延伸し、金属板41には第1の突出部17と干渉しないような形状の切欠き凹部45が形成されていることである。
具体的には、高温超電導線材20の厚みは約0.1mm~0.2mmであり、ターン間絶縁材33の厚みは約0.03mm~0.1mmであるから、一般的な高温超電導コイル10の1ターン当たりの径方向大きさは約0.1mm~0.3mmである。
したがって、薄膜線材20Aの外周側に1ターン分の大きさの第1の突出部17を設けるためには、第1の突出部17のコイル径方向の大きさは0.1mm以上であることが望ましく、より好ましくは0.3mm以上であることが望ましい。
一方、第1の突出部17のコイル径方向の大きさに上限はないものの、不要に大きくしてしまうとその分切欠き凹部45のコイル径方向の大きさを増大させなければならず、金属板41の断面積を不必要に狭めてしまい、金属板41の電気抵抗が増大してしまう。また、金属板41の断面積を大きくするために、金属板41のコイル径方向の大きさを増大させることも考えられるが、金属板41のコスト増や装置全体の大型化を招いてしまう。したがって、第1の突出部17のコイル径方向の大きさは、金属板41の径方向の大きさに比べて小さい値に設定することが好ましい。
具体的には、金属板41のコイル径方向の厚みは一般的に約1mm~5mmあれば十分であるから、第1の突出部17のコイル径方向の大きさは具体的には1mm以下、より好ましくは、0.5mm以下であることが望ましい。
第1の突出部17は、高温超電導コイル10A、10Bの周面の一部に設けられるが、高温超電導コイル10の全周に亘って形成してもよい。
第1の突出部17を高温超電導コイル10の全周に亘って形成した場合は、第1の突出部17を形成した後に、領域1(図7参照)の部分に存在する第1の突出部17のみ、切欠き凹部45に適合させるため、コイル径方向の大きさを小さくするよう調整することで、領域1の第1の突出部17のコイル径方向の大きさが、領域2(図7参照)の第1の突出部17のコイル径方向の大きさよりも小さくなるようにしてもよい。
なお、領域1の第1の突出部の寸法で全周に亘って第1の突出部を形成してもよく、さらに、領域1にのみ第1の突出部を形成してもよい。
(作用)
まず、図8(a)~(c)を用いて、2つの高温超電導コイル10A、10Bを積層した従来の一般的な高温超電導コイル装置100の作用について説明する。
図8(a)は金属板41が架設されている部分(図7の位置A)の拡大断面図であり、絶縁シート16と絶縁樹脂層18からなる側面絶縁材19のコイル径方向端部と最外周ターンの高温超電導線材20Aのコイル径方向端部が、径方向の同じ位置に並んでいる。
そこでは、最外周ターンの高温超電導線材20Aはその径方向外側に側面絶縁材19が存在していないため、1ターン前の高温超電導線材20Bと比べて機械的強度が小さく、電磁力や熱応力により高温超電導線材20Aに折れやねじれの変形が生じるリスクが高い。また、高温超電導線材20Aの径方向外側に次のターンが存在しない代わりに、金属板41がはんだ付けなどによって架設されており、これにより機械的強度が向上する効果はあるものの、金属板41をはんだ付けする際に発生する熱応力による変形のリスクを低減することはできない。
図8(b)は図7の位置Aにおいて、側面絶縁材19のコイル径方向端部が最外周ターンの高温超電導線材20Aのコイル径方向端部よりも、径方向内周側に位置している場合の断面図である。
金属板41と側面絶縁材19の干渉を避けつつ、高温超電導線材20を保持する強度を最大にするためには、図8(a)のように側面絶縁材19のコイル径方向端部と最外周ターンの高温超電導線材20Aのコイル径方向端部の径方向位置が揃っている方が望ましいが、金属板41と側面絶縁材19の干渉を確実に避けるためには、実際には側面絶縁材19のコイル径方向端部がわずかでも高温超電導線材20Aのコイル径方向端部よりも、内周側に位置するように調整しなければならない。
この場合も、図8(a)よりもさらに高温超電導線材20を保持する側面絶縁材19の断面積が小さくなることから、図8(a)の場合よりもさらに機械的強度が低下してしまう。
図8(c)は金属板41が架設されていない部分(図7の位置B)における高温超電導コイル10A、10Bの拡大断面図である。位置Bでは、原理的には第1の突出部17を形成することが可能であるが、金属板41との干渉を確実に避けるためには、金属板41の周方向終端から少なくとも1mm程度は突出部が形成されていない領域が存在しなければならない。
したがって、図8(c)のように第1の突出部17が形成されておらず、かつ金属板41が架設されていない断面がわずかでも存在してしまう。このような場所では、上述したような金属板41がはんだ付けなどによって架設されることによる機械的強度の向上効果は望めず、図8(a)の場合よりもさらに機械強度が低下してしまう。
次に、本第1の実施形態に係る高温超電導コイル装置100Aの作用について説明する。
本第1の実施形態では、図9(a)~(c)に示すように、側面絶縁材19の径方向端部が高温超電導線材20Aよりも径方向外側に延伸して第1の突出部17を形成しているため、最外周ターンの高温超電導線材20Aに電磁力や熱応力が加わった際に、高温超電導線材20を保持する力が図8(a)に示す従来の高温超電導コイル装置100と比較して大きくなる。
また、金属板41に第1の突出部17と嵌合するように切欠き凹部45が形成されているため、金属板41を高温超電導線材20に取り付ける際に第1の突出部17と干渉せずに取り付けることができる。
さらに、図9(a)に示すように、第1の突出部17のコイル軸方向の大きさが切欠き凹部45の軸方向の大きさと同略一になるように形成し、第1の突出部17のコイル軸方向に垂直な面が切欠き凹部45のコイル軸方向に垂直な面と略一致するように組み上げた場合は、側面絶縁材19のコイル軸方向への変位を抑制することで高温超電導線材20Aを保持する力をさらに強化する作用も期待できる。
また、前述したように、図7の領域1における第1の突出部17のコイル径方向の大きさが大きすぎると、切欠き凹部45の径方向の大きさも増大してしまうデメリットがあるため、適度な大きさに調整する必要があるが、領域2においてはそのようなデメリットはないため、領域1に比べて第1の突出部17のコイル径方向の大きさを大きくしてもよい。これにより、領域2における高温超電導線材20を保持する強度が十分に確保できる。
また、図9(b)、(c)に示す高温超電導コイル装置100Aも上記と同様な作用を奏するほか、第1の突出部17と切欠き凹部45とのコイル軸方向及び/又は径方向に、所定の空隙を持たせたことにより、熱膨張を吸収可能とするとともに、組み立ての際の余裕度を持たせることができる。
(効果)
以上説明したように、本第1の実施形態によれば、高温超電導コイル10A、10Bの側面絶縁材19に、金属板41の内周に設けた切欠き凹部45と嵌合可能な第1の突出部17を設けたことで、高温超電導線材20に電磁力や熱応力が加わった際の変形を抑制できるとともに、高温超電導線材20の特性劣化リスクを低減することが可能となる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る高温超電導コイル及び高温超電導コイル装置について、図10を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同一又は類似の構成には同一の符号を付し、重複説明は省略する。
第2実施形態に係る高温超電導コイル装置100Aでは、図10に示すように、側面絶縁材19の第1の突出部17がコイル軸方向へ延伸し、最外周ターンの高温超電導線材20Aの径方向外周側の表面に沿って形成された、第2の突出部27を有している。
この構造は、例えば絶縁樹脂層18を高温超電導線材20Aの径方向外周側の表面に沿って形成することで得られる。第2の突出部27のコイル軸方向の大きさが大きいほど、第1の突出部17と高温超電導線材20Aの接着面積を大きくすることができるが、高温超電導線材20Aと金属板41の接着面の面積が小さくなってしまう。
したがって、高温超電導線材20Aと金属板41との接着を大きく阻害しない範囲で設定する必要がある。具体的には、一般的な高温超電導線材20の幅は2mm~12mmほどであるが、例えば幅4mmの高温超電導線材20Aの場合は、第2の突出部27のコイル軸方向の大きさは0.2mm~1mm程度であることが望ましく、より好ましくは、0.2mm~0.5mm程度であることが望ましい。
本第2の実施形態によれば、第1の実施形態の作用に加えて、第2の突出部27が高温超電導線材20Aのコイル径方向外周面の一部を保持することで、さらに最外周ターンの高温超電導線材20Aを保持する作用を強化することができる。
これにより、従来例と比べて高温超電導線材20Aに電磁力や熱応力が加わった際の変形を抑制できるので、高温超電導線材20Aの特性劣化リスクを低減することが可能となる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態に係る高温超電導コイル及び高温超電導コイル装置について、図11を用いて説明する。なお、上記実施形態と同一又は類似の構成には同一の符号を付し、重複説明は省略する。
第3実施形態に係る高温超電導コイル装置100Aでは、図11に示すように、最外周ターンの高温超電導線材20Aの径方向外側表面と金属板41の間に導電性スペーサ30が配置されている。
導電性スペーサ30は、金属板41が架設される2つの高温超電導コイル10Aと高温超電導コイル10Bの径方向大きさが異なる場合に、それらの径方向大きさの差分を解消する目的で配置される。
導電性スペーサは、銅、銀、金、インジウムやこれらの合金で好適に構成される。導電性スペーサ30のコイル軸方向の大きさW0は高温超電導線材20の大きさW1と同程度とすることが好ましい。
また、図10に示すように、第2の突出部27が存在している場合は、第2の突出部27のコイル軸方向の大きさをW2として、導電性スペーサ30のコイル軸方向の大きさW0は、W0=W1-W2(第2の突出部27が薄膜線材20Aの幅方向片側のみに形成されている場合)、又はW0=W1-W2×2(第2の突出部27が薄膜線材20Aの幅方向両側に形成されている場合)としてもよい。
なお、導電性スペーサ30のコイル周方向の大きさは、金属板41のコイル周方向の大きさよりも大きくするか、又は同程度とすることが好ましい。さらに、導電性スペーサ30を径方向に分割して形成してもよい。
本第3の実施形態によれば、隣接する高温超電導コイル10A、10Bの径方向の高さが異なる場合でも上記実施形態の作用を得ることができる。
これにより、従来例と比べて最外周の高温超電導線材20Aに電磁力や熱応力が加わった際の変形を抑制できるので、高温超電導線材20Aの特性劣化リスクを低減することが可能となる。
(変形例)
上述した第1~第3の実施形態では、第1の突出部17を高温超電導コイル10の径方向外側に延伸させた例について説明したが、金属板(電極)41が高温超電導コイル10の最内周の周面に設けられている場合は、第1の突出部17を高温超電導コイル10の径方向内側に延伸させるようにしてもよい。この構成、及び作用効果は第1~第3の実施形態と同様なので説明を省略する。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、上記実施形態においてコイル形状として円形の高温超電導コイルを例示したが、適用できる巻線部は円形のパンケーキコイルに限定されず、鞍型、楕円型などの非円形形状コイルなどにも適用することができる。
10、10A、10B…高温超電導コイル、12…巻線部、14…巻枠、15…常電導箇所、16…絶縁シート、17…第1の突出部、18…絶縁樹脂層、19…側面絶縁材、20、20A、20B…高温超電導線材(薄膜線材)、21…安定化層、22…基板、23…配向層、24…中間層、25…高温超電導層、26…保護層、27…第2の突出部、30…導電性スペーサ、33…ターン間絶縁材、40…電極、41…金属板(電極)、45…切欠き凹部、100、100A…高温超電導コイル装置

Claims (6)

  1. 高温超電導線材が巻回された巻線部と、前記巻線部の両側の巻回軸方向側面に設けられた側面絶縁材と、を有する高温超電導コイルにおいて、
    前記側面絶縁材は、前記高温超電導コイルの最外周の周面及び/又は最内周の周面の少なくとも一部に、当該高温超電導コイルの径方向外側及び/又は径方向内側に延伸する第1の突出部を有することを特徴とする高温超電導コイル。
  2. 前記側面絶縁材は、絶縁シート及び/又は絶縁樹脂層からなることを特徴とする請求項1記載の高温超電導コイル。
  3. 高温超電導線材が巻回された巻線部と、前記巻線部の両側の巻回軸方向側面に設けられた側面絶縁材と、からなる高温超電導コイルと、前記高温超電導コイルの最外周の周面及び/又は最内周の周面に設けられた電極と、を有する高温超電導コイル装置において、
    前記側面絶縁材は、前記高温超電導コイルの最外周の周面及び/又は最内周の周面の少なくとも一部に、当該高温超電導コイルの径方向外側及び/又は径方向内側に延伸する第1の突出部を有し、前記電極の周面に前記第1の突出部と嵌合する切欠き凹部を設けたことを特徴とする高温超電導コイル装置。
  4. 積層された複数の高温超電導コイルと、隣接する前記高温超電導コイルの最外周の周面及び/又は最内周の周面に跨がって設けられた電極と、を有し、前記複数の高温超電導コイルが接する側面絶縁材の第1の突出部が、前記電極の周面に形成された切欠き凹部に嵌合することを特徴とする請求項3記載の高温超電導コイル装置。
  5. 前記切欠き凹部は、前記側面絶縁材が当該切欠き凹部に嵌合した際に、径方向及び/又は軸方向に所定の空隙が形成されることを特徴とする請求項3又は4記載の高温超電導コイル装置。
  6. 前記第1の突出部に、巻回軸方向に延伸する第2の突出部を設けたことを特徴とする請求項3又は4に記載の高温超電導コイル装置。
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