JP6180963B2 - 高温超電導コイル - Google Patents
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Description
このRE系の線材を構成する層は非常に剥離しやすいことが知られおり、超電導性はこの剥離やその他の応力によるクラックなどで容易に喪失する。
積層される各々のパンケーキコイルは、一般的にはその最外周に取り付けられた口出し電極で、隣接する他のパンケーキコイルに電気的に接続される。
高温超電導コイルの超電導特性は、このような超電導線材にかかる局所的な力で、劣化してしまう恐れがある。
また、この最内周に設置された口出し電極によって、磁場が発生する必要な空間(ボア)も小さくなるという課題もあった。
図1(A)は、実施形態にかかる高温超電導コイル10(以下、単に「超電導コイル10」という)の上面図、図1(B)は図1(A)の超電導コイル10のI−I断面における側面断面図である。
図1(B)では8つのパンケーキコイル12が積層されて巻線部材13を構成している。
まず、巻線部材13を構成するパンケーキコイル12およびこのパンケーキコイル12を構成する超電導線材20について、図2および図3を用いて説明する。
超電導線材20は、例えば、ステンレスまたは銅などの高強度の金属材質である基板22と、基板22の上に形成されて基板22と超電導層25の熱収縮の際に起因する熱歪みを防止する中間層24と、中間層24を基板22の上に配向させるマグネシウムなどからなる配向層23と、中間層24の上に形成される酸化物でできた超電導層25と、銀、金または白金などで組成されて超電導層25に含まれる酸素が超電導層25から拡散することを防止して超電導層25を保護する保護層26と、銅またはアルミニウムなどの良伝導性の金属メッキであり超電導層25への過剰電流の迂回経路となってクエンチ現象を防止する安定化層21と、から構成される。
これら超電導線材20を構成する層は、微小な応力で容易に剥離し、超電導性が不安定化する。
超電導線材20は、数μm〜数mm程度の厚さの絶縁テープ(図示せず)などとともに巻枠31に巻回されてパンケーキコイル12となる。
複数のパンケーキコイル12が積層される場合、パンケーキコイル12どうしは、互いに絶縁されて、その最内周または最外周のみで電気的に接続されている。
パンケーキコイル12が巻枠31を備えている場合、樹脂などからなる巻枠31の一部は導電体部31a(31)とされる。
導電体部31aは、接続素子32(図1)が設置されてパンケーキコイル12を他のパンケーキコイル12とその最内周で電気的に接続させるために設けられるものである。
また、図4は、実施形態にかかる超電導コイル10を構成するパンケーキコイル12の変形例を示す図である。
この場合も、既にこれら2つのパンケーキコイル12が、その最内周で電気的に接続されているので、上述した巻枠31は不要となる。
最内周の接続素子32に流入した電流は、この接続素子32に接続された次のパンケーキコイル12に流入する。
なお、巻線部材13は、上述したように、ダブルパンケーキコイル15で構成されることもある。
この場合は、最外周でのみ接続素子32で隣接するパンケーキコイル12を電気的に接続すればよい。
フランジ14は、例えば、繊維強化プラスチック(FRP)などの絶縁物または絶縁処理された金属から構成される。
ただし、フランジ14が強固にこの端面に接着されると、フランジ14が接着された超電導線材20または絶縁テープなどの各々の部材の有する熱収縮率に従った自由な収縮が阻害される。
そこで、図5の実施形態にかかる超電導コイル10の変形例に示されるように、接着剤のパンケーキコイル12との界面に、離形処理33を施してもよい。
離形処理33としては、パンケーキコイル12と接着剤との接触面に、例えば、フッ素樹脂テープ、パラフィン、グリースおよびシリコンオイルからなる群より選ばれた少なくとも一種の離形材が接着または塗布される。
しかし、超電導コイル10は、超電導機器において、既設の位置規定部材(図示せず)に挟まれるように設置されることも多い。
このような場合、位置規定部材によってフランジ14の外側から巻線部材13に向けて押し付ける力が働くので、離形処理33が施されていても、完全には外れない。
図6(A)は、実施形態にかかる超電導コイル10の上面図、図6(B)は図6(A)の超電導コイル10のII−II断面における側面断面図である。
図7も同様に、図7(A)は、実施形態にかかる超電導コイル10の上面図、図7(B)は図7(A)の超電導コイル10のIII−III断面における側面断面図である。
さらに、図7に示されるように、上端および下端のフランジ14を一体形成してもよい。
この場合、巻枠31がない場合には巻線部材13の最内周、巻枠31がある場合にはさらにその内側で上端と下端のフランジ14を接続する。
つまり、フランジ14が、上述した位置規定部材の機能も有することとなる。
導電突起16は、例えば既設の接続素子32と同一の金属などの材料で、接続素子32と同様の要領で上端および下端のパンケーキコイル12に設置される。
パンケーキコイル12の外周面に設置されていないフランジ14側の一端は、中心軸Cに沿って突出している。
この大電流が、パンケーキコイル12の最外周から導電突起16に流入する。
よって、導電突起16をパンケーキコイル12の外周面と同一の曲率にして、外周面に密着させて接触面の面積を広くすることで、抵抗を小さくする必要がある。
ただし、例えば図7に示されるように、内側に曲げられた面が、パンケーキコイル12の最外周以外の超電導線材20に接触して短絡しないようにする。
この口出し電極17は、例えばフランジ14に設けられた切り欠き部に嵌めこむ、またはボルトで留めるなど、機械的に固定される。
また、形状に加え、フランジ14に固定されて導電突起16に接触していれば、その固定の位置も限定されない。
つまり、例えば口出し電極17がつくる磁場の超電導コイル10への影響の小さい個所に口出し電極17を設置することもできる。
巻線部材13を流れた大電流は、導電突起16を介して口出し電極17に流入する。
この大電流の流入により、非超電導材料である導電突起16および口出し電極17は、発熱する。
この発熱を最小限に抑制するため、導電突起16および口出し電極17の接触面積を大きくして、その接触部分の抵抗を小さくする必要がある。
なお、口出し電極17も導電体でできているので、巻回されている超電導線材20どうしを短絡させないよう、巻線部材13と接触させないようにする。
超電導コイル10の使用時には、この口出し電極17に端子を接続して、超電導コイル10に電圧をかける。
この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。
この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
Claims (6)
- 巻回された高温超電導線材からなるパンケーキコイルが中心軸の方向に複数積層されて電
気的に接続された巻線部材と、
前記巻線部材の前記中心軸の方向の上端および下端にそれぞれ配置されるフランジと、
前記上端および前記下端に位置するパンケーキコイルの外周面にそれぞれ設置された内側に曲げられた形状の導電突起と、
前記フランジに固定されるとともに前記導電突起に電気的に接触する口出し電極と、を
備えることを特徴とする高温超電導コイル。 - 前記導電突起の前記口出し電極との接触面は、前記接触面における前記口出し電極の形状と同一に揃えられることを特徴とする請求項1に記載の高温超電導コイル。
- 前記巻線部材は、その最内周に巻枠を備え、
前記フランジは、前記巻枠に機械的に固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高温超電導コイル。 - 前記上端および前記下端の前記フランジは、一体形成されていることを特徴とする請求項3に記載の高温超電導コイル。
- 前記フランジを前記上端または前記下端の前記パンケーキコイルに接着する接着剤を備え、
前記接着剤の前記パンケーキコイルとの界面は、離形処理が施されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の高温超電導コイル。 - 前記離形処理として、フッ素樹脂テープ、パラフィン、グリースおよびシリコンオイルからなる群より選ばれた少なくとも一種の離形材が接着または塗布されることを特徴とする請求項5に記載の高温超電導コイル。
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