JP6794146B2 - 高温超電導磁石装置 - Google Patents

高温超電導磁石装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6794146B2
JP6794146B2 JP2016117236A JP2016117236A JP6794146B2 JP 6794146 B2 JP6794146 B2 JP 6794146B2 JP 2016117236 A JP2016117236 A JP 2016117236A JP 2016117236 A JP2016117236 A JP 2016117236A JP 6794146 B2 JP6794146 B2 JP 6794146B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
circuit
short
detour
coil
pancake
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016117236A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017224654A (ja
Inventor
貞憲 岩井
貞憲 岩井
泰造 戸坂
泰造 戸坂
寛史 宮崎
寛史 宮崎
賢司 田崎
賢司 田崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Toshiba Energy Systems and Solutions Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Toshiba Energy Systems and Solutions Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp, Toshiba Energy Systems and Solutions Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2016117236A priority Critical patent/JP6794146B2/ja
Publication of JP2017224654A publication Critical patent/JP2017224654A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6794146B2 publication Critical patent/JP6794146B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Containers, Films, And Cooling For Superconductive Devices (AREA)

Description

本発明の実施形態は、複数の高温超電導コイルが電気的に接続されて成る超電導磁石装置のクエンチ保護に関する。
超電導線材には、超電導状態を維持することができる上限である臨界電流密度、臨界温度および臨界磁場がある。
従って、電気抵抗がゼロになるといわれる超電導状態においても無限に電流を流すことはできず、上記いずれかの臨界値を超えると、連鎖的な常電導転移現象、すなわちクエンチが発生する。
クエンチ時の常電導転移領域におけるジュール発熱によって、超電導コイルは瞬時に熱暴走し、最悪の場合、焼損に至る。
よって、従来から、電源と並列に保護抵抗を接続して、温度上昇などをトリガーに閉回路から励磁電源を切り離すなど、クエンチに対する保護措置がとられている。
励磁電源を切り離して超電導コイルおよび保護抵抗のみの閉回路にすることで、保護抵抗のジュール発熱で超電導コイルの蓄積エネルギーが消費され、電流が減衰する。
ところで、超電導コイルに、20K〜50K程度の高い温度でも高い臨界電流密度を有する高温超電導線材を用いると、高い温度帯での高電流密度運転が可能になる。
しかし、このような温度帯における高温超電導線材は、低温運転における低温超電導線材と比較して比熱が大きいため、一部に常電導転移が発生しても常電導領域の拡大が遅い。
よって、高電流密度運転時に常電導転移が発生しても、上述した従来技術の保護措置では、検知する前に局所的に熱暴走が発生し焼損してしまう。
そこで、例えば、超電導コイルのターン間に配置されるターン間絶縁材を取り除き、意図的にターン間を短絡する技術が提案されている。
ターン間が短絡されることで、有限の抵抗値を有する常電導転移領域を迂回するように隣接するターンへ転流する電流が発生する。
よって、常電導転移領域におけるコイル周方向の電流密度が自律的に低下され、熱暴走を未然に防止することができる。
特開2015−179764号公報
しかしながら、上述した従来の技術では、他のターンの超電導層に迂回電流が到達するまでに、保護層または安定化層などの常電導層を通過することで、ジュール熱が発生するという課題があった。
つまり、蓄積エネルギーの高い超電導コイルにおいては、他のターンへ超電導電流を迂回させることでコイル内部の局所的な温度上昇を加速させてしまい、より焼損の危険性を助長するという課題があった。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、パンケーキコイル内部の温度を上昇させずに、フラックスフロー抵抗の上昇に伴って、このパンケーキコイルの電流密度が自律的に低下する高温超電導磁石装置を提供することを目的とする。
本実施形態にかかる高温超電導磁石装置は、高温超電導線材を巻回されて構成されるパンケーキコイルを巻回軸に沿って複数積層させたコイル積層体と、積層されて隣接する前記パンケーキコイル同士の最内周および最外周のいずれかを交互に電気的に接続して前記コイル積層体を導通させる複数の導通導体と、前記コイル積層体の両端部のパンケーキコイルが導通されて形成される前記コイル積層体を含む閉回路と、前記コイル積層体の最内周および最外周の少なくとも一方において前記閉回路に並列接続されて1以上のパンケーキコイルを迂回して接続されており、かつ、前記パンケーキコイルでクエンチの発生前に発生するフラックスフロー抵抗の最大値よりも低い抵抗値を有する短絡迂回路と、を備えるものである。
本発明により、パンケーキコイル内部の温度を上昇させずに、フラックスフロー抵抗の上昇に伴って、このパンケーキコイルの電流密度が自律的に低下する高温超電導磁石装置が提供される。
一般的な高温超電導線材の構成斜視図。 高温超電導線材で構成されるパンケーキコイルの概略斜視図。 第1実施形態にかかる高温超電導磁石装置の概略構成図。 第1実施形態におけるコイル積層体の概略断面斜視図。 第1実施形態における短絡迂回路の第1の変形例を示す概略断面斜視図。 第1実施形態における短絡迂回路の第2の変形例を示す概略断面斜視図。 第1実施形態における短絡迂回路の第3の変形例を示す一部切欠き斜視図。 第1実施形態における短絡迂回路の第4の変形例を示す一部切欠き斜視図。 第1実施形態における短絡迂回路の第5の変形例を示す概略断面斜視図。 第1実施形態における短絡迂回路の第6の変形例を示す概略断面斜視図。 第1実施形態にかかる高温超電導磁石装置の回路図。 第1実施形態にかかる高温超電導磁石装置の変形例の回路図。 第2実施形態にかかる高温超電導磁石装置の回路図。 第3実施形態にかかる高温超電導磁石装置の回路図。 第3実施形態にかかる高温超電導磁石装置の変形例の回路図。 第4実施形態にかかる高温超電導磁石装置の回路図。 第5実施形態にかかる高温超電導磁石装置の回路図。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
まず、図1の一般的な高温超電導線材20の構成斜視図を用いて、高温超電導線材20(以下、単に「超電導線材20」という)の構成を概説する。
超電導線材20は、図1に示されるように、一般に薄膜状の層が積層されたテープ形状の線材を構成している。
この超電導線材20は、例えばレアメタル酸化物(RE酸化物)からなる高温超電導層25(以下、「超電導層25」という)を含むREBCO線材などの線材である。
超電導線材20は、例えば、ニッケル基合金、ステンレスまたは銅などの高強度の金属材質である基板22と、基板22の上に形成される中間層24と、中間層24を基板22の表面に配向させるマグネシウムなどからなる配向層23と、中間層24の上に形成される酸化物の超電導層25と、銀、金または白金などで組成される保護層26と、銅またはアルミニウムなどの良伝導性金属である安定化層21と、から構成される。
なお、超電導線材20を構成する各層の種類および数は、必要に応じて多い場合も少ない場合もある。
また、図2は、超電導線材20で構成されるパンケーキコイル30の概略斜視図である。
超電導線材20は、巻回軸Cを中心に同心円状に巻回されて、いわゆるパンケーキコイル30になる。
図3は、第1実施形態にかかる高温超電導磁石装置10(以下、単に「磁石装置10」という)の概略構成図である。
第1実施形態にかかる磁石装置10は、図3に示されるように、パンケーキコイル30(30a〜30h)を巻回軸Cに沿って複数積層されて、コイル積層体40を構成する。
コイル積層体40は、真空容器11に収容されて冷凍機12で冷却される。
図4は、第1実施形態におけるコイル積層体40の概略断面斜視図である。
図4に示されるように、コイル積層体40のうち、隣接するパンケーキコイル30同士は、絶縁体27で絶縁される。
そして、これら隣接するパンケーキコイル30同士は、その最内周および最外周のいずれかにおいて、導通導体13で交互に電気的に接続される。
パンケーキコイル30の最内周に巻枠14がある場合には、導通導体13は、巻枠14の一部を構成する導体区間15に接続される。
この導通導体13によってコイル積層体40を構成する全てのパンケーキコイル30が導通されて、1本の超電導電流の流通経路になる。
コイル積層体40の両端部のパンケーキコイル30a,30hには、口出し電極16が接続される。
口出し電極16は、直接にまたは導通導体13を介してパンケーキコイル30に電気的に接続される。
口出し電極16が接続されたこれら両端部のパンケーキコイル30a,30hは、通常、フランジ17などで巻回軸方向にその両端から挟まれて固定される。
口出し電極16が励磁電源18に環状に接続されることで、コイル積層体40を含む閉回路100が形成される。
また、図4に示されるように、励磁電源18に並列して励磁電源切離スイッチ19などが接続されることもある。
励磁電源切離スイッチ19は、励磁電源電流Iが励磁工程を経て定常状態になった後に、閉回路100から励磁電源18を切り離すためのスイッチである。
閉回路100を無抵抗にすることで、励磁電源18が切り離されても、超電導電流が流れ続ける永久電流モードになる。
そして、コイル積層体40の最内周または最外周において、短絡迂回路31が1以上のパンケーキコイル30を迂回するように接続される。
つまり、短絡迂回路31は、コイル積層体40の最内周または最外周において、1以上のパンケーキコイル30を跨いで閉回路100に並列接続される。
以下、短絡迂回路31の接続方法について、具体的に説明する。
短絡迂回路31は、例えば、コイル積層体40の最内周に設けられた隣接する2つの導通導体13を接続する。
このような接続によって、2つの導通導体13が接続された3つのパンケーキコイル30a〜30cのうち、上段の2つのパンケーキコイル30a,30bを電流が迂回することになる。
より厳密には、次式(1)のキルヒホッフの法則に従った電流比で迂回電流Iuおよびパンケーキコイル30a,30bに電流が流入する。
Figure 0006794146
ここで、Iは励磁電源18から供給する通電電流値、Iはパンケーキコイル30a,30bに流れる電流値、Lはパンケーキコイル30a,30bのインダクタンス、Rはパンケーキコイル30a,30bに発生するフラックスフロー抵抗、Rは短絡迂回路31の抵抗である。
以下、フラックスフロー抵抗Rが発生して迂回されるパンケーキコイル30を必要に応じてパンケーキコイル30a,30bと明示する。
フラックスフロー抵抗Rは、超電導層25が超電導状態から常電導状態に転移する過程で生じる抵抗である。
フラックスフロー抵抗Rは、上述した温度等の臨界値に近づくとともに急激に増加するため、フラックスフロー抵抗Rによる発熱は熱暴走の主要因になる。
そこで、短絡迂回路31は、他のパンケーキコイル30と比較して常電導転移が発生しやすいパンケーキコイル30を電流が迂回するように接続される。
つまり、短絡迂回路31は、例えば電気的負荷率が高く、フラックスフロー抵抗Rの発生率の高いパンケーキコイル30を迂回区間に含むように接続される。
臨界電流特性の磁場に対する角度依存性が強い場合、巻回軸方向の両端部のパンケーキコイル30a,30hにおいて臨界電流値が相対的に低くなる。
よって、この両端部のパンケーキコイル30a,30hの電気的負荷率が高くなり、最初にフラックスフロー抵抗Rが上昇する。
なお、フラックスフロー抵抗Rの発生の容易さは、使用される超電導線材20などにも依存する。
短絡迂回路31の接続方法は、導通導体13同士の接続の他、図5〜図10の短絡迂回路31の接続位置の変形例に示されるように、種々のものがある。
また、例えば、図5に示されるように、一端は導通導体13で他端は口出し電極16であってもよい。
また、通常、パンケーキコイル30が巻回される巻枠14には、導通導体13をパンケーキコイル30に電気的に接続するための導体区間15が設けられる。
そこで、短絡迂回路31は、図6に示されるように、導通導体13を介さずに、この導体区間15に直接接続されてもよい。
また、図7に示されるように、短絡迂回路31は、最外周の導通導体13に設けられてもよい。
特に、パンケーキコイル30の最外周は、超電導線材20が露出していることも多い。
よって、図8に示されるように、導通導体13を介さずに、短絡迂回路31を直接パンケーキコイルに接続することが容易である。
さらに、図9に示されるように、最内周に巻枠14が設けられていないコイル積層体40の場合には、超電導線材20に直接短絡迂回路31を接続してもよい。
また、短絡迂回路31は、図10に示されるように、第1コイル積層体40aと第2コイル積層体40bとを接続してもよい。
2つのコイル積層体40(40a,40b)を短絡迂回路31で接続する場合、短絡迂回路31の一端を第1コイル積層体40aの最内周、他端を第2コイル積層体40bの最外周に接続することもできる。
なお、短絡迂回路31によって迂回される1以上のパンケーキコイル30は、厳密には1以上でなくてもよい。
つまり、例えば短絡迂回路31が巻回軸方向から傾いて接続されることで、迂回するべきパンケーキコイル30の微小区間だけ超電導電流が流れる場合も、このパンケーキコイル30は迂回されているものとする。
以上示したように接続されることで、磁石装置10は、図11の第1実施形態にかかる
磁石装置10の回路図のように表されることになる。
図11において、パンケーキコイル30は、無抵抗のコイル28(28a〜28f)と
、抵抗値が変動するフラックスフロー抵抗Rfの抵抗値を有する抵抗29(2a〜2
f)と、で表される。
このように接続された閉回路100でフラックスフロー抵抗Rが発生すると、短絡迂回路31に迂回した迂回電流Iuのエネルギーが短絡迂回路31で消費される。
よって、永久電流モードの状態で一部常電導転移が発生すると、熱暴走を発生させることなく超電導電流は消失する。
なお、コイル積層体40に励磁電源18が接続されているときの常電導転移については、第2実施形態で説明する。
なお、短絡迂回路31は、図12の第1実施形態にかかる磁石装置10の変形例の回路図に示されるように、当然複数設けられてもよい。
次に、短絡迂回路31の最適な抵抗値について説明する。
式(1)から次式(2)が導かれる。さらに、Iが定常状態になってdI/dtが無視できる場合、次式(3)が成り立つ。
Figure 0006794146
式(3)において、IはRの単調増加関数であるので、Rが小さいほどIは減少する。
短絡迂回路31の抵抗Rがフラックスフロー抵抗Rと同程度のオーダー、もしくはさらに低い抵抗値であれば、短絡迂回路31にパンケーキコイル30に流れる超電導電流Iと同程度の適度な迂回電流Iuが流れることになる。
短絡迂回路31は、コイル積層体40の最内周または最外周に配置されるので、コイル積層体40と同程度まで冷却されて、低い抵抗値を容易に実現することができる。
ただし、定格電流値まで励磁電源電流Iを上昇させるいわゆる励磁工程、または降下させる消磁工程においては、dI/dtが無視できず、式(1)は次式(4)になる。
Figure 0006794146
よって、短絡迂回路31が抵抗Rが過度に低いと、短絡迂回路31へ迂回する電流値(I−I)が増加し、励磁後または消磁後にdI/dtがゼロとなっても、電流が再分配されるまでに時間を要する。
よって、短絡迂回路31の抵抗値は、励磁速度に応じて設定することが望ましい。
以上のように、第1実施形態にかかる磁石装置10によれば、パンケーキコイル30a,30bのフラックスフロー抵抗Rの上昇に伴って、このパンケーキコイル30a,30bの電流密度を自律的に低下させることができる。
また、迂回電流Iuはパンケーキコイル30の外部を流れることになるため、迂回電流Iuによってはパンケーキコイル30の内部は局所的に温度上昇しない。
よって、迂回電流Iuの発生による磁石装置10の熱暴走を防止することができる。
さらに、万一迂回区間のパンケーキコイル30a,30bが焼損した場合も、短絡迂回路31によって閉回路100は維持される。
よって、他のパンケーキコイル30に高電圧がかかることで発生するアークによる副次的な焼損被害も抑制される。
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態にかかる磁石装置10の回路図である。
第2実施形態にかかる磁石装置10は、図13に示されるように、短絡迂回路31に設けられて、この短絡迂回路31へ流入する電流量を検出する検出部32と、検出部32の検出値に基づいて励磁電源切離スイッチ19を切り換える監視部34と、を備える。
磁石装置10には、励磁電源電流Iが定常状態になった後も、上述の永久電流モードにせずに、励磁電源18を接続したまま超電導電流を循環させるものもある。
また、励磁工程または消磁工程では、コイル積層体40に励磁電源18が接続される。
このように励磁電源18が接続されているときに常電導転移が発生した場合、通常は励磁電源18を閉回路100aから切り離して消磁する。
そこで、第2実施形態では、監視部34が検出部32を用いてフラックスフロー抵抗Rの発生を監視して、励磁電源切離スイッチ19を切り換える。
検出部32は、例えば短絡迂回路31の両端の電圧を検出する電圧計または迂回電流Iuを検出する電流計などである。
検出部32の検出値が既定の閾値を超えた場合に監視部34が励磁電源切離スイッチ19をONにして励磁電源18を含まない閉回路100aを形成することで、第1実施形態と同様の消磁をする。
なお、フラックスフロー抵抗Rの発生を監視して閉回路100(100a,100b)を切り換えること以外は、第2実施形態は第1実施形態と同じ構造および動作手順となるので、重複する説明を省略する。
図面においても、共通の構成または機能を有する部分は同一符号で示し、重複する説明を省略する。
このように、第2実施形態にかかる磁石装置10によれば、第1実施形態の効果に加え、フラックスフロー抵抗Rの発生時に励磁電源18が接続されていた場合でも励磁電源18を切り離して消磁することができる。
(第3実施形態)
図14は、第3実施形態にかかる磁石装置10の回路図である。
第3実施形態にかかる磁石装置10は、図14に示されるように、短絡迂回路31に迂回スイッチ35が設けられる。
式(2)に表されるように、励磁工程または消磁工程などの過渡期間では、パンケーキコイル30を流れる電流Iが変化するので、誘導電圧L×dI/dtが発生する。
よって、短絡迂回路31の抵抗値が小さいと、大半の電流がパンケーキコイル30を周回せずに短絡迂回路31を流れてしまう。
一方、熱暴走またはクエンチを防止するためには、フラックスフロー抵抗Rが発生したときに短絡迂回路31に十分な迂回電流Iuが流入するように、抵抗値は小さいことが望ましい。
そこで、第3実施形態では、短絡迂回路31の抵抗値を小さくするとともに、励磁工程などの過渡期間には迂回スイッチ35をOFFにして短絡迂回路31を切断する。
また、図15は、第3実施形態にかかる磁石装置10の変形例の回路図である。
上記のように短絡迂回路31の抵抗値を十分に小さくすることができるので、例えば、迂回スイッチ35として永久電流スイッチ35a(35)を用いることができる。
永久電流スイッチ35aは、抵抗値が超電導状態の超電導線材20と同程度に小さいスイッチである。つまり、永久電流スイッチ35aは、通常、超伝導体で構成される。
通常は、短絡迂回路31とパンケーキコイル30との接続部の接続抵抗が発生する分だけ、短絡迂回路31の抵抗値はパンケーキコイル30の抵抗値より僅かに高くなる。
永久電流スイッチ35aには、スイッチを入熱によって切り替える熱式のもの、または外部からの外力によってスイッチを切り換える機械式のものなどがある。
永久電流スイッチ35aを用いることで、迂回区間のパンケーキコイル30a,30bにフラックスフロー抵抗Rが発生した後も永久電流モードが維持されることにもなる。
なお、短絡迂回路31の導通を制御すること以外は、第3実施形態は第1実施形態と同じ構造および動作手順となるので、重複する説明を省略する。
図面においても、共通の構成または機能を有する部分は同一符号で示し、重複する説明を省略する。
このように、第3実施形態にかかる磁石装置10によれば、第1実施形態の効果に加え、必要時にのみ短絡迂回路31を導通させることで、迂回スイッチ35の抵抗値を十分に小さくすることができる。
よって、フラックスフロー抵抗Rが発生したパンケーキコイル30a,30bの迂回を容易にして、より熱暴走を確実に抑制することができる。
(第4実施形態)
図16は、第4実施形態にかかる磁石装置10の回路図である。
第4実施形態にかかる磁石装置10は、図16に示されるように、短絡迂回路31と並列に両端部のパンケーキコイル30a,30hに接続される口出し電極16同士を接続する短絡経路37を備える。
第1実施形態で述べたように、フラックスフロー抵抗Rの発生は、使用される超電導線材20の種類または品質など厳密な予測が困難な要因にも依存する。
また、フラックスフロー抵抗Rの発生を誘引する電気的負荷率も、想定外の値になることもある。
よって、磁石装置10の作成時には想定されておらず、短絡迂回路31による保護措置が施されていなかったパンケーキコイル30c,30dに常電導転移が発生することもある。
そこで、第3実施形態では、第1実施形態等で示した短絡迂回路31に加えて、迂回区間に全てのパンケーキコイル30(30a〜30f)を含むように短絡経路37を並列接続する。
短絡経路37によって、短絡迂回路31によって迂回されていないパンケーキコイル30c,30dに高いフラックスフロー抵抗Rが発生した場合、励磁電源電流Iは、全てのパンケーキコイル30(30a〜30f)を迂回することになる。
なお、短絡経路37にも第3実施形態と同様に不要な迂回を防止するための迂回スイッチ35を設けることが望ましい。
なお、短絡迂回路31による保護措置が施されていないパンケーキコイル30c,30dに発生した常電導転移による熱暴走を防止すること以外は、第4実施形態は第1実施形態と同じ構造および動作手順となるので、重複する説明を省略する。
図面においても、共通の構成または機能を有する部分は同一符号で示し、重複する説明を省略する。
このように、第4実施形態にかかる磁石装置10によれば、第1実施形態の効果に加え、より確実に熱暴走を防止ことができる。
(第5実施形態)
図17は、第5実施形態にかかる磁石装置10の回路図である。
第5実施形態にかかる磁石装置10は、図17に示されるように、短絡迂回路31に、冷却手段38が接続される。
第2実施形態では、常電導転移の発生時に励磁電源18を閉回路100から切り離す例を説明した。
しかし、局所的に常電導転移が発生してフラックスフロー抵抗Rが高くなっても、磁石装置10として使用を継続させることが必要なことがある。
例えば、一時的にフラックスフロー抵抗Rが発生して迂回電流Iuが発生しても、このフラックスフロー抵抗Rが喪失すれば、超電導電流Ipおよび磁場は回復することもある。
そこで、第5実施形態では、短絡迂回路31に伝熱経路39を介して冷却手段38を接続し、迂回電流Iuの発生によって発生したジュール熱を除去する。
冷却手段38は、コイル積層体40を冷却するために設けられた冷凍機12(図3)を利用してもよいし、短絡迂回路31の冷却専用に設けられた冷凍機を利用してもよい。
冷却手段38による冷却によって、短絡迂回路31が接続されるパンケーキコイル30に短絡迂回路31の熱が伝導してこのパンケーキコイル30が局所的に高温になることも防止される。
つまり、短絡迂回路31の冷却は、磁石装置10の使用を継続せずに消磁する場合も有効である。
なお、短絡迂回路31が冷却手段38で冷却されること以外は、第5実施形態は第1実施形態と同じ構造および動作手順となるので、重複する説明を省略する。
図面においても、共通の構成または機能を有する部分は同一符号で示し、重複する説明を省略する。
このように、第5実施形態にかかる磁石装置10によれば、第1実施形態の効果に加え、磁石装置10の使用を継続することができる。
また、短絡迂回路31のジュール熱が短絡迂回路31の周囲のパンケーキコイル30に伝導して周囲のパンケーキコイル30に熱暴走による焼損が発生することも防止することができる。
以上述べた少なくとも一つの実施形態の磁石装置10によれば、短絡迂回路31によって励磁電源電流Iの一部を迂回させることにより、パンケーキコイル30の内部温度を上昇させずに、フラックスフロー抵抗Rの上昇に伴ってこのパンケーキコイル30の電流密度が自律的に低下させることが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
10…高温超電導磁石装置(磁石装置)、11…真空容器、12…冷凍機、13…導通導体、14…巻枠、15…導体区間、16…口出し電極、17…フランジ、18…励磁電源、19…励磁電源切離スイッチ、20…高温超電導線材(超電導線材)、21…安定化層、22…基板、23…配向層、24…中間層、25…高温超電導層(超電導層)、26…保護層、27…絶縁体、28…コイル、29…抵抗、30(30a〜30h)…パンケーキコイル、31…短絡迂回路、32…検出部、34…監視部、35…迂回スイッチ、35a…永久電流スイッチ、37…短絡経路、38…冷却手段、39…伝熱経路、40(41a,41b)…コイル積層体(第1コイル積層体,第2コイル積層体)、100(100a,100b)…閉回路(永久電流モードの閉回路,励磁電源を含む閉回路)、C…巻回軸、I…励磁電源電流、I…パンケーキコイルを流れる超電導電流、Iu…迂回電流、R…フラックスフロー抵抗、R…短絡迂回路の抵抗。

Claims (9)

  1. 薄膜層を積層した高温超電導線材を巻回されて構成されるパンケーキコイルを巻回軸に沿って複数積層させたコイル積層体と、
    積層されて隣接する前記パンケーキコイル同士の最内周および最外周のいずれかを交互に電気的に接続して前記コイル積層体を導通させる複数の導通導体と、
    前記コイル積層体の両端部のパンケーキコイルが導通されて形成される前記コイル積層体を含む閉回路と、
    前記コイル積層体の最内周および最外周の少なくとも一方において前記閉回路に並列接続されて巻回軸方向の片端部もしくは両端部のパンケーキコイルのみを迂回して接続されており、かつ、前記パンケーキコイルでクエンチの発生前に発生するフラックスフロー抵抗の抵抗値を有し、一端が前記導通導体に、他端が他の導通導体または前記両端部のパンケーキコイルに接続される電極を介して前記パンケーキコイルに接続される短絡迂回路と、を備える高温超電導磁石装置。
  2. 前記短絡迂回路は、一端が前記導通導体に、他端が他の導通導体または前記両端部のパンケーキコイルに接続される電極に接続される請求項1に記載の高温超電導磁石装置。
  3. 前記短絡迂回路は、少なくとも一端が前記パンケーキコイルの最内周に設けられた巻枠のうち前記導通導体を接続するための導体区間に接続される請求項1または請求項2に記載の高温超電導磁石装置。
  4. 前記短絡迂回路は、1のコイル積層体と他のコイル積層体とを接続する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の高温超電導磁石装置。
  5. 前記短絡迂回路は、超電導体で構成されて前記パンケーキコイルとの接続部分で発生する接続抵抗により前記パンケーキコイル自体の内部抵抗値より高い抵抗値を有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の高温超電導磁石装置。
  6. 前記短絡迂回路は、熱式または機械式の迂回スイッチを備える請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の高温超電導磁石装置。
  7. 前記短絡迂回路と並列に前記両端部のパンケーキコイルに接続される電極同士を接続する短絡経路を備える請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の高温超電導磁石装置。
  8. 前記短絡迂回路には、冷却手段が接続される請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の高温超電導磁石装置。
  9. 前記短絡迂回路に設けられてこの短絡迂回路へ流入する電流量を検出する検出部を備える請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の高温超電導磁石装置。
JP2016117236A 2016-06-13 2016-06-13 高温超電導磁石装置 Active JP6794146B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016117236A JP6794146B2 (ja) 2016-06-13 2016-06-13 高温超電導磁石装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016117236A JP6794146B2 (ja) 2016-06-13 2016-06-13 高温超電導磁石装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017224654A JP2017224654A (ja) 2017-12-21
JP6794146B2 true JP6794146B2 (ja) 2020-12-02

Family

ID=60687084

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016117236A Active JP6794146B2 (ja) 2016-06-13 2016-06-13 高温超電導磁石装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6794146B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7404187B2 (ja) * 2020-07-22 2023-12-25 株式会社東芝 超電導コイル及び超電導コイル装置

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62199915U (ja) * 1986-06-10 1987-12-19
JPH05343224A (ja) * 1992-02-25 1993-12-24 Toshiba Corp 超電導磁石回路
JPH05327042A (ja) * 1992-05-19 1993-12-10 Hitachi Ltd クエンチ検出機能を備えた超電導装置
JPH06132120A (ja) * 1992-10-19 1994-05-13 Mitsubishi Electric Corp 超電導マグネット装置
GB2298282B (en) * 1995-02-23 1999-08-25 Elscint Ltd Quench protection for actively shielded magnets
JP2000277322A (ja) * 1999-03-26 2000-10-06 Toshiba Corp 高温超電導コイル、これを用いた高温超電導マグネットおよび高温超電導マグネットシステム
JP2004186524A (ja) * 2002-12-05 2004-07-02 Mitsubishi Electric Corp 超電導磁石装置及び超電導変圧器
FR2923648B1 (fr) * 2007-11-12 2009-12-18 Commissariat Energie Atomique Systeme de creation d'un champ magnetique via un aimant supra-conducteur
JP2010040962A (ja) * 2008-08-08 2010-02-18 Sumitomo Electric Ind Ltd 超電導コイル
JP5198193B2 (ja) * 2008-09-12 2013-05-15 株式会社神戸製鋼所 超電導マグネットおよびその製造方法
JP2011187524A (ja) * 2010-03-05 2011-09-22 Hitachi Ltd 高温超電導並列導体、それを用いた高温超電導コイル及び高温超電導マグネット
JP6180963B2 (ja) * 2014-02-26 2017-08-16 株式会社東芝 高温超電導コイル

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017224654A (ja) 2017-12-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4620637B2 (ja) 抵抗型超電導限流器
KR100505054B1 (ko) 초전도 저항형 한류기
US8760834B2 (en) Fault current limiter
JP2011187524A (ja) 高温超電導並列導体、それを用いた高温超電導コイル及び高温超電導マグネット
WO2017061563A1 (ja) 超電導コイル
JPH0458725A (ja) 超電導限流器
Kozak et al. Tests and performance analysis of coreless inductive HTS fault current limiters
CN108292553A (zh) 超导磁体中的失超保护
US6507259B2 (en) Actively shielded superconducting magnet with protection means
Berger et al. Recovery characteristic of coated conductors for superconducting fault current limiters
JPS63257203A (ja) 超電導磁石のためのクエンチ伝播装置
JP6794146B2 (ja) 高温超電導磁石装置
JP2000032654A (ja) 酸化物超電導体を用いた限流素子および限流装置
JP5255425B2 (ja) 電磁石装置
JP5233011B2 (ja) 超電導限流器
JP2011029227A (ja) コイル装置、保護装置及び誘導電圧抑制方法
WO2021131178A1 (ja) 永久電流スイッチ、超電導電磁石装置、および超電導電磁石装置の永久電流運転方法
JP2009049257A (ja) 超電導限流素子
Yanagisawa et al. Suppression of catastrophic thermal runaway for a REBCO innermost coil of an LTS/REBCO NMR magnet operated at 400–600 MHz (9.4–14.1 T)
JP4845141B2 (ja) 燃料電流制限器
GB2540623A (en) Superconducting winding arrangements
JP3231837B2 (ja) 超電導限流装置
JP2020068293A (ja) 超電導磁石装置
US20230097465A1 (en) Emergency Shutdown of A No-Insulation Magnet
JP2021093421A (ja) 超電導コイル装置

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20171127

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20171128

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190128

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190917

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190924

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191105

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200403

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200623

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200908

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20200908

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20200914

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20200915

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201013

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201111

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6794146

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150