JPH1097919A - 超電導コイル装置 - Google Patents

超電導コイル装置

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JPH1097919A
JPH1097919A JP8248231A JP24823196A JPH1097919A JP H1097919 A JPH1097919 A JP H1097919A JP 8248231 A JP8248231 A JP 8248231A JP 24823196 A JP24823196 A JP 24823196A JP H1097919 A JPH1097919 A JP H1097919A
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JP
Japan
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superconducting
conductor
superconductor
layer
coil device
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Application number
JP8248231A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Hatano
浩 幡野
Hideshige Moriyama
英重 森山
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
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Abstract

(57)【要約】 【課題】金属層及び無機絶縁層を用いた被覆層の利点を
活用しつつ、無機絶縁層のクラック発生等による絶縁破
壊電圧の低下等を抑制し、特に強制冷却導体、モノリシ
ック導体、及び拠線導体等に最適な超電導コイル装置を
提供する。 【解決手段】超電導コイル装置は、超電導導体1及びこ
の導体1を覆う被覆層2を備える。被覆層2は、超電導
導体1の周囲を層状に覆う3層の積層テープ(積層体)
5と、この積層テープを覆う金属テープ6とを備える。
積層テープ5をアルミナ(無機絶縁層)3及びアルミニ
ウム合金(金属層)4の積層で構成し、超電導導体1側
の面にアルミニウム合金4を配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、核融合装置や磁
気共鳴イメージング装置等で使用される超電導コイル装
置に係り、特に超電導導体の静電シールド効果と無機絶
縁のクラック進展を抑制した絶縁被覆構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、核融合装置等で使用される超電導
コイル装置では、Nb3 SnやNb3Al等の化合物超
電導体を用いる場合の製造方法として、1):超電導導
体を巻枠に巻線し、その後で熱処理を施して超電導体を
生成する方法(以下、「ワインド・アンド・リアクト方
式」)と、2):超電導導体に熱処理を施して超電導体
を生成し、これに絶縁を施した後で巻枠に巻線する方法
(以下、「リアクト・アンド・ワインド方式」)とが知
られている。以下、この両者の一例を図面を参照して説
明する。
【0003】ワインド・アンド・リアクト方式では、図
7及び図8に示すように、まず、超電導導体100をガ
ラス材101で被覆する。ガラス材101としては、超
電導導体を挿入可能なガラススリーブ又は超電導導体に
巻き付け可能なガラステープを使用する。
【0004】このガラス材101で被覆した超電導導体
100をコイル巻枠102に巻回してコイル巻線(超電
導コイル)103とし、この後で加熱処理を施して超電
導体を生成する。この超電導体間にエポキシ樹脂等の有
機樹脂104を含浸及び硬化させることにより、コイル
巻線103同士のほか、これをコイル巻枠102に一体
化させた超電導コイルを得る。この方式を用いて製造さ
れる超電導コイル装置は、理論上、常電導状態に容易に
遷移せずに安定性が高いといった利点がある。
【0005】また、この超電導導体を覆う絶縁被覆層の
熱伝導性をより一層高めるため、図9に示すように、超
電導導体100の周囲にセラミックス層等の無機絶縁層
105を設け、この絶縁層105と導体100との間に
可撓性を付与するために柔軟性を有する金属層106を
配置した被覆層107も知られている。この被覆層10
7は、熱伝導性や可撓性等の有効性により、特に強制冷
却導体、モノリシック導体、撚線導体等への適用が期待
されている。
【0006】一方、リアクト・アンド・ワインド方式で
は、超電導導体を予め加熱処理してNb3 Sn等の化合
物超電導体を生成し、この超電導体にプリプレグテープ
等を巻き付け、これをコイル巻枠に巻回し、そこで、プ
リプレグテープ等を硬化させることにより、一体化させ
た超電導コイルを得るようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来例
の製造方法で得られる超電導コイル装置では、特に品質
管理等の面から以下のような問題があった。
【0008】まず、ワインド・アンド・リアクト方式の
場合には、安定性の高い超電導コイルを作製するには有
機樹脂を十分に含浸及び硬化させなけらばならない。従
って、有機樹脂の粘度、含浸温度、及び硬化条件によっ
ては含浸不良となりやすく、その結果、コイル安定性に
悪影響を及ぼす層間剥離や、樹脂内のクラックが発生し
て品質が劣化するといった不都合があった。
【0009】また、図9に示す絶縁被覆層を採用する場
合には、超電導導体を密に巻回する際の衝撃力や冷却時
の熱応力、また励磁時の電磁力により、無機絶縁層内に
貫通クラックが発生しやすく、その結果、絶縁破壊電圧
が低下する等の不都合があった。従って、この絶縁被覆
層を導体半径が比較的大きい強制冷却導体に適用しよう
としても、曲げ加工時やハンマーによる成形時に貫通ク
ラックが発生しやすく、また強制冷却導体よりも小さい
曲率半径で曲げ加工を行うモノリシック導体や拠線導体
への適用を試みても、同様に曲げ加工時に貫通クラック
が発生しやすいといった問題があった。
【0010】一方、リアクト・アンド・ワインド方式の
場合は、加熱処理後の化合物超電導体を巻線する際の導
体歪の許容値が予め設定されており、この許容値を越え
て導体に歪みを加えてはならないといった制約があっ
た。この許容値を越えると、所定の性能、例えば臨界電
流値が低下してしまうためである。従って、この場合に
は、ワインド・アンド・リアクト方式に比べると必ずし
も加工性がよいものではない。
【0011】この発明は、このような従来の問題を考慮
してなされたもので、金属層及び無機絶縁層を用いた被
覆層の利点を活用しつつ、無機絶縁層のクラック発生等
による絶縁破壊電圧の低下等を抑制し、特に強制冷却導
体、モノリシック導体、及び拠線導体等に最適な超電導
コイル装置を提供することを、第1の目的とする。
【0012】また、有機樹脂の含浸不良等に起因する品
質劣化を防止することを、第2の目的とする。
【0013】さらに、リアクト・アンド・ワインド方式
による導体歪の制約を意識しないで超電導導体の加工性
を高めることを、第3の目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明に係る超電導コイル装置は、超電導導体及
びこの超電導導体を覆う被覆層を有し、この超電導導体
及び被覆層を巻回して形成した構成とし、上記被覆層
は、上記超電導導体の周囲を層状に覆う2層以上の層状
体を備え、この層状体を、金属層及び無機絶縁層を互い
に積層固定し且つ少なくとも上記超電導導体側の面に上
記金属層を配置した積層体で構成したことを特徴とす
る。
【0015】即ち、この発明では、2層以上の積層体
(金属層及び無機絶縁層)を用いて超電導導体の絶縁構
造を構築したため、有機樹脂等と比べて熱伝導性がよい
金属層及び無機絶縁層の特性を十分に発揮させて超電導
コイルの熱伝導性を維持できると共に、無機絶縁層にお
けるクラック発生及び進展を抑制して絶縁破壊電圧の低
下等を効果的に回避できる。例えば、巻線時の衝撃、冷
却時の熱応力、及び励磁時の電磁力等により1層の無機
絶縁層内にクラックが生じても、そのクラックが金属層
で抑制されて他の無機絶縁層等までは殆ど進展しない。
【0016】この発明の好ましい態様としては、前記超
電導導体は、熱処理により超電導体を生成可能な導体で
あり、この導体から上記超電導体を生成するときの熱処
理で前記金属層を軟化させることにより、その金属層を
介して前記2層以上の積層体を互いに固定し且つ当該積
層体を上記超電導導体に固定したものとする。
【0017】即ち、この態様では、超電導体生成のため
の加熱処理時に同時に金属層を軟化させて固着させるよ
うにしたため、有機樹脂の含浸及び硬化工程が必ずしも
必要ではなくなり、その結果、含浸不良等に伴う層間剥
離や樹脂内のクラック発生に起因する絶縁破壊電圧の低
下等を回避できる。
【0018】前記金属層の融点は、望ましくは前記超電
導導体の熱処理温度よりも高い温度である。金属層の融
点が超電導導体の熱処理温度以下の場合には、加熱時に
金属が流出してしまい、無機層に発生したクラックに浸
透し、絶縁性を低下させてしまうためである。面圧によ
る金属流出を考慮に入れると、この金属層の融点は、超
電導導体の焼成温度よりも10℃以上高い温度が更に望
ましい。
【0019】前記積層体は、望ましくは積層テープで成
り、この積層テープを前記超電導導体の周囲に螺旋状に
所定の間隔で巻き付け且つ2層以上の積層テープの内の
隣接する積層テープを上記間隔が成す隙間を埋めるよう
に互いに異なる合わせ目で巻回している。
【0020】この場合には、巻回させたテープのずれに
より、超電導導体の曲げ加工時等に生じる外側及び内側
の応力が緩和され、絶縁破壊電圧を低下させる貫通クラ
ック発生をより一層効果的に抑制できる。この効果は、
超電導導体として強制冷却導体、モノリシック導体、撚
線導体等を使用した場合に最大限に発揮させることがで
きる。
【0021】前記被覆層は、別の態様では前記2層以上
の積層体を覆う最外層を成す層状体を備え、この層状体
を金属体で構成すると共に、前記導体から超電導体を生
成するときの熱処理で上記金属体を軟化させることによ
り、その金属体を介して前記コイル巻線を成す超電導導
体の内の隣接する2つの超電導導体を互いに固定してい
る。金属体は、望ましくは金属層と同一の金属又は低融
点の金属で構成するものとする。
【0022】この発明では、望ましくは前記超電導導体
及び被覆層を支持するコイル支持体を備え、前記導体か
ら超電導体を生成するときの熱処理で前記金属体を軟化
させることにより、その金属体を介して上記超電導導体
及び被覆層を上記コイル支持体に固定するものとする。
ここで、超電導導体及び被覆層に張力を加えながらコイ
ル支持体上に巻回することが望ましい。
【0023】この場合には、従来のリアクト・アンド・
ワインド方式による臨界電流値等の性能低下の要因とな
る導体歪の制約を意識しないで、即ちワインド・アンド
・リアクト方式の製造プロセスにおける熱処理に耐え且
つその熱処理と同時に一体化した超電導コイルを得るこ
と可能な絶縁構成を構築できる。従って、超電導導体の
加工性をより高めることができる。
【0024】前記金属体の融点は、望ましくは前記超電
導導体の熱処理温度よりも高い温度である。より望まし
くは、上記と同様の理由で10℃以上高い温度とする。
【0025】前記金属体は、望ましくは金属テープで構
成する。
【0026】また、別の側面として、この発明に係る超
電導コイル装置では、超電導導体と、この超電導導体を
を支持するコイル支持体とを備えた構成とし、上記コイ
ル支持体は、上記超電導導体側の表面に2層以上の層状
体を備え、この層状体を、金属層及び無機絶縁層を互い
に積層固定し且つ少なくとも一方の面に上記金属層を配
置した積層体で構成したことを特徴とする。
【0027】前記超電導導体は、望ましくは強制冷却導
体、モノリシック導体、及び撚線導体のいずれか1つで
ある。
【0028】前記超電導体は、望ましくは化合物超電導
体又は酸化物高温超電導体である。例えば、化合物超電
導体としては、Nb3 Sn及びNb3 Al等の化合物
を、また酸化物高温超電導体としては、Bi2 Sr2
2 Cu3 10+x、Bi2 Sr2 CaCu2 8+x 等の
化合物を用いることが望ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、この発明に係る超電導コイ
ル装置の実施形態を具体的に説明する。
【0030】(第1実施形態)図1は、第1実施形態に
おける超電導コイル装置に用いる超電導導体1及びその
導体1を被覆する絶縁被覆層(層状体)2を説明するも
のである。超電導導体1としては、導体寸法が20mm
×30mm、導体長さが100mmのNb3 Snから成
る強制冷却導体(昭和電線電纜株式会社製)を使用す
る。また、絶縁被覆層2としては、図2に示すように、
厚さ15μmのアルミナ(無機絶縁層)3と720℃付
近の融点を有する厚さ30μmのアルミニウム合金(金
属層)4とを互いに積層させた幅20mmの積層テープ
(ディップソール社製)(積層体)5と、上記金属層4
と同様の厚さ30μmのアルミニウム合金で成る幅20
mmの金属テープ(金属体)6とを使用する。
【0031】この超電導導体1及びその絶縁被覆層2の
作製方法を説明すると、まず、積層テープ5を超電導導
体1の周囲に3層巻き付ける。このとき、積層テープ5
に張力9.8Nを加えながら、導体1の軸方向に互いに
重ね合わせないように隙間2mmの条件で螺旋状に巻回
していく。1層目の積層テープ5を巻き終わったら、そ
の隙間を埋めるように合わせ目を調整して(ずらして)
上記と同様の条件で2層目の積層テープ5を巻回し、以
下同様に合わせ目を調整して3層目の積層テープ5を巻
き付ける。
【0032】続いて、この積層テープ5の周囲に金属テ
ープ6を1層巻き付ける。この場合には、金属テープ6
に張力9.8Nを加えながら、導体1の軸方向に互いに
1/2重ね合わせて螺旋状に巻回する。このように絶縁
被覆層2で覆った超電導導体1を用いて所定の製造条件
で超電導コイル装置を作製する。
【0033】この超電導コイル装置は、クエンチや絶縁
破壊電圧の低下の要因となる貫通クラックを抑制し、ま
た熱伝導性に優れた特性を備えていた。
【0034】例えば、超電導導体1(強制冷却導体)を
曲げる際に生じる外側と内側との絶縁被覆層2内の応力
が上記巻回した積層テープ5のズレで緩和され、ハンマ
ー等で衝撃を与えても、2層以上の積層テープ5による
アルミナ3とアルミニウム合金4との積層効果により貫
通クラックが殆ど発生しない。仮に巻線時の衝撃や冷却
時の熱応力、また励時時の電磁力等により1層のアルミ
ナ3中にクラックが発生した場合でも、このクラックが
アルミニウム合金4で抑制されて他のアルミナ3まで殆
ど進展しない。
【0035】また、アルミニウム合金(金属)及びアル
ミナ(無機絶縁物)はエポキシ樹脂等の有機樹脂に比べ
て熱伝導性がよいため、従来例よりも超電導コイルの熱
伝導性を各段に向上させることができる。
【0036】そこで、この超電導コイル装置の特性を検
証するため、実際の製造条件を想定して試験用の試料S
Aを作製した。この試料SAは、図3に示すように、上
記と同様の両テープ5、6を巻き付けた超電導導体1を
便宜上、2つ用意し、この両者1、1を互いに重ね合わ
せた状態で10.0kPaの面圧を加えながら、アルゴ
ン雰囲気中で700℃、40時間の加熱処理(温度上昇
速度:700℃/10H)を行い、自然冷却することに
より、2つの超電導導体1を互いに一体化させた超電導
体を対象としたものである。
【0037】この試料を液体窒素中に浸漬し、これを1
0回繰り返す試験を行って、試料断面を観察したとこ
ろ、2つの超電導導体1間を貫通するクラックの発生は
確認されなかった。
【0038】また、超電導導体1の上記焼成温度(70
0℃)の影響を考慮に入れた別途の試験用の試料を作製
し、絶縁特性に関する検証試験を試みた。この試験で
は、両テープに用いる金属として、融点が670℃、7
05℃、720℃の3種のアルミニウム合金を使用し、
これを用いて上記と同様の製造条件で実施例1〜3の各
試料を作成し、各超電導導体を電極とし、測定電圧50
Vの条件で絶縁抵抗値を測定した。この測定結果を表1
に示す。
【0039】
【表1】
【0040】この表1に示すように、実施例1(融点6
70℃)では、絶縁抵抗値が106Ωcm以下で導通状
態を示し、この原因は超電導体を生成させる加熱時にア
ルミニウム合金がラップの隙間を介して流出したためと
考えられる。これに対し、実施例2(融点705℃)及
び実施例3(融点720℃)では、絶縁抵抗値が1015
Ωcm以上で良好な絶縁性を示し、これは超電導体を生
成させる加熱時にアルミニウム合金が軟化し、このアル
ミニウム合金を介してアルミナと超電導導体とが固着し
たためと考えられる。
【0041】従って、積層テープ及び金属テープに用い
るアルミニウム合金(金属)としては、超電導導体の焼
成温度よりも高く、望ましくは5℃以上高く、特に好ま
しくは面圧等による金属流出をも考慮に入れて更に5℃
以上の余裕をもたせて、超電導導体の焼成温度よりも1
0℃以上高い融点を有するものを使用すればよいことが
確認された。
【0042】その他として、アルミナ及びアルミニウム
合金以外の無機絶縁物及び金属を用いた場合およびNb
3 Sn以外の強制冷却導体を用いた場合についても、上
記結果と略同様であった。
【0043】(第2実施形態)図4は、第2実施形態に
おけるコイル巻線(超電導コイル)10及び巻枠(コイ
ル支持体)11を備えた超電導コイル装置を説明するも
のである。コイル巻線10としては、図5に示すよう
に、超電導導体1a及びその導体1aを被覆する絶縁被
覆層(層状体)2aを使用し、また巻枠11としては、
その内側表面に離型処理層12を施したステンレス鋼
(SUS316L)から成る所定形状のコイル支持体を
使用する。
【0044】この超電導コイル装置の製造方法を説明す
ると、まず、超電導導体1aの周囲を絶縁被覆層2aで
覆う。ここで、超電導導体1aとしては、導体寸法が
1.0mm×2.0mmで銅比3のNb3 Snから成る
モノリシック超電導導体(昭和電線電纜株式会社製)を
使用し、また絶縁被覆層2aとしては、厚さ15μmの
アルミナ(無機絶縁層)3aと720℃付近の融点を有
する厚さ30μmのアルミニウム合金(金属層)4aと
を互いに積層させた幅3mmの積層テープ(ディップソ
ール社製)5aと、上記金属層4aと同様のアルミニウ
ム合金から成る幅9mmの金属テープ6aとを使用す
る。
【0045】そこで、積層テープ5aの巻き付け間隔を
1.5mmとし、人手で巻き付ける以外は上記実施形態
と同様の条件で超電導導体1の周囲に積層テープ5aを
3層巻き付け、この積層テープ5aの周囲に金属テープ
6aを1層巻き付ける。
【0046】このように絶縁被覆層2aで覆った超電導
導体1aを巻枠11に張力50Nでコイル軸方向AXに
8列となるように巻回して6層のコイル巻線10とす
る。ここで、治具と木槌等を用いて、巻枠11上に既に
巻かれた導体1aの下部層を外側から押し付ける状態で
順次、その上部層を巻き付けていくことにより、超電導
導体1aを密に巻回したコイル巻線10を形成する。
【0047】次いで、上記実施形態と同様の条件で加熱
処理を施して超電導体を生成すると同時に両テープ5
a、6aのアルミニウム合金を軟化させることにより、
積層テープ5a間、積層テープ5aと超電導導体1a
間、超電導導体1a間、及び超電導導体1aとコイル巻
枠11間をアルミニウム合金を介して固着させて一体化
した超電導コイル装置を作製する。
【0048】ここで、この超電導コイル装置の特性を調
べるため、コイル巻枠11を分解して、そこからコイル
巻線10を取り出し、そのコイル原形を保持した状態で
室温と液体窒素温度とを10回繰り返して冷熱衝撃を与
える試験を行い、その後の断面を観察したところ、貫通
クラックの発生は確認されなかった。
【0049】従って、この実施形態によれば、超電導導
体(モノリシック導体)を曲げる際に生じる外側と内側
との絶縁被覆層内の応力が巻回した積層テープのズレで
緩和され、2層以上の積層テープによるアルミナとアル
ミニウム合金との積層効果により貫通クラックの発生及
び進展を効果的に抑制できる超電導コイル装置を提供で
きる。
【0050】なお、その他として、超電導導体に撚線導
体を用いた場合も、上記結果と略同様であった。
【0051】(第3実施形態)この第3実施形態では、
この発明に係る超電導コイル装置を適用した試験モデル
を作製した。このモデルは、通常の巻線とは異なり、巻
枠を兼ねた支持体に予め溝を切削し、この溝に超電導導
体をハンマー等を用いて嵌め込んで固定する超電導コイ
ル装置を対象とし、ハンマーによる衝撃力にも十分に耐
え得るように工夫したものである。このモデルの概要を
図6に示す。
【0052】図6に示す試験モデルM1は、超電導導体
1bと、この超電導導体1bを支持するステンレス鋼
(SUS316L)製の巻枠を兼ねた支持体20とを備
え、この支持体20側に絶縁構成を構築したものであ
る。
【0053】支持体20は、超電導導体1bと同一の幅
及び深さを有する溝21を形成した一方の支持部材20
a及びこの部材20aに取り付ける他方の支持部材20
bで構成され、この2つの支持部材20a及び20bの
超電導導体1b側の表面に絶縁被覆層22、22が形成
されている。この絶縁被覆層22は、上記積層テープと
同様の無機絶縁物及び金属から成る積層シート(積層
体)23、23と、上記金属テープと同様の金属から成
る金属シート(金属体)24、24とを備え、この両シ
ート23、24による10層の積層構造で構成したもの
である。
【0054】上記の試験モデルM1は、支持体20内の
溝21を介して超電導導体1bを落とし込み、上記各実
施形態と同様の製造条件で加熱処理を施して超電導体を
生成し、これと支持体20とを一体化させて作製したも
のである。この試験モデルM1に対して、上記と同様に
室温と液体窒素温度とを10回繰り返して冷熱衝撃を与
える試験を行い、その後の断面を観察したところ、貫通
クラックは殆ど発生していなかった。
【0055】従って、この実施形態によれば、上記実施
形態と同等の絶縁被覆層を超電導導体の周囲ではなく、
この超電導導体を支持する支持体側に形成した場合で
も、上記と略同様の効果を十分に発揮させることがで
き、例えば超電導コイルの設計における自由度を広げる
等の利点がある。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、超電導導体を覆う被覆層として2層以上の積層体
(金属層及び無機絶縁層から成る)を設けたため、有機
樹脂よりも熱伝導性に優れた金属層及び無機絶縁層の特
性を十分に発揮させることができると共に、、金属層を
媒体として無機絶縁層での貫通クラックの発生及び進展
を効果的に抑制し、クエンチや絶縁破壊電圧の低下を従
来よりも大幅に抑制した超電導コイル装置を提供でき
る。
【0057】また、超電導体生成のための加熱時に同時
に金属層を軟化させることにより、無機絶縁層間、無機
絶縁層と導体間、あるいは導体間、導体とコイル支持体
間を金属層を介して固着して一体化された超電導コイル
を構築可能としたため、熱処理後の有機樹脂の含浸及び
硬化工程が必ずしも必要ではなく、含浸不良等に起因し
た品質劣化を防止できると共に、リアクト・アンド・ワ
インド方式による導体歪の制約を意識しないでワインド
・アンド・リアクト方式による熱処理で製造可能な絶縁
構成を構築でき、その結果、超電導導体の加工性を大幅
に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る超電導コイル装置を適用した第
1実施形態の超電導導体を説明する概略断面図。
【図2】積層テープを説明する概略断面図。
【図3】試験用の試料を説明する概略断面図。
【図4】この発明に係る超電導コイル装置を適用した第
1実施形態の全体構成を説明する概略断面図。
【図5】超電導導体を説明する概略図。
【図6】この発明に係る超電導コイル装置を適用した第
3実施形態の試験モデルを説明する概略断面図。
【図7】従来の超電導コイル装置の全体構成を示す概略
断面図。
【図8】図7中のA部を拡大した詳細図。
【図9】従来の無機絶縁層及び金属層を用いた超電導導
体の絶縁被覆を説明する概略断面図。
【符号の説明】
1、1a、1b 超電導導体 2、2a 絶縁被覆層 3、3a アルミナ(無機絶縁層) 4、4a アルミニウム合金(金属層) 5、5a 積層テープ(積層体) 6、6a 金属テープ(金属体) 10 コイル巻線(超電導コイル) 11 コイル支持体 12 離型処理層 20 支持体 20a、20b 支持部材 21 溝 22 絶縁被覆層 23 積層シート 24 金属シート

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超電導導体及びこの超電導導体を覆う被
    覆層を有し、この超電導導体及び被覆層を巻回して形成
    した超電導コイル装置において、 上記被覆層は、上記超電導導体の周囲を層状に覆う2層
    以上の層状体を備え、この層状体を、金属層及び無機絶
    縁層を互いに積層固定し且つ少なくとも上記超電導導体
    側の面に上記金属層を配置した積層体で構成したことを
    特徴とする超電導コイル装置。
  2. 【請求項2】 前記超電導導体は、熱処理により超電導
    体を生成可能な導体であり、この導体から上記超電導体
    を生成するときの熱処理で前記金属層を軟化させること
    により、その金属層を介して前記2層以上の積層体を互
    いに固定し且つ当該積層体を上記超電導導体に固定した
    請求項1記載の超電導コイル装置。
  3. 【請求項3】 前記金属層の融点は、前記超電導導体の
    熱処理温度よりも高い温度である請求項2記載の超電導
    コイル装置。
  4. 【請求項4】 前記積層体は積層テープで成り、この積
    層テープを前記超電導導体の周囲に螺旋状に所定の間隔
    で巻き付け且つ2層以上の積層テープの内の隣接する積
    層テープを上記間隔が成す隙間を埋めるように互いに異
    なる合わせ目で巻回した請求項1乃至3のいずれか1項
    記載の超電導コイル装置。
  5. 【請求項5】 前記被覆層は、前記2層以上の積層体を
    覆う最外層を成す層状体を備え、この層状体を金属体で
    構成すると共に、前記導体から超電導体を生成するとき
    の熱処理で上記金属体を軟化させることにより、その金
    属体を介して前記超電導導体の内の隣接する2つの超電
    導導体を互いに固定した請求項2乃至4のいずれか1項
    記載の超電導コイル装置。
  6. 【請求項6】 前記超電導導体及び被覆層を支持するコ
    イル支持体を備え、前記導体から超電導体を生成すると
    きの熱処理で前記金属体を軟化させることにより、その
    金属体を介して上記超電導導体及び被覆層を上記コイル
    支持体に固定した請求項2乃至5のいずれか1項記載の
    超電導コイル装置。
  7. 【請求項7】 前記金属体の融点は、前記超電導導体の
    熱処理温度よりも高い温度である請求項6記載の超電導
    コイル装置。
  8. 【請求項8】 前記金属体は金属テープである請求項5
    乃至7のいずれか1項記載の超電導コイル装置。
  9. 【請求項9】 超電導導体と、この超電導導体を支持す
    るコイル支持体とを備えた超電導コイル装置において、
    上記コイル支持体は、上記超電導導体側の表面に2層以
    上の層状体を備え、この層状体を、金属層及び無機絶縁
    層を互いに積層固定し且つ少なくとも一方の面に上記金
    属層を配置した積層体で構成したことを特徴とする超電
    導コイル装置。
  10. 【請求項10】 前記超電導導体は、強制冷却導体、モ
    ノリシック導体、及び撚線導体のいずれか1つである請
    求項1乃至9のいずれか1項記載の超電導コイル装置。
  11. 【請求項11】 前記超電導体は、化合物超電導体又は
    酸化物高温超電導体である請求項2乃至9のいずれか1
    項記載の超電導コイル装置。
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