JPWO2020067335A1 - 酸化物超電導コイルおよびその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導コイルおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

酸化物超電導コイルは、少なくとも1枚以上のテープ状の酸化物超電導線材と、外周に電気絶縁性および離型性を有する補強線材とを備え、前記酸化物超電導線材と前記補強線材とが共巻きされ、前記酸化物超電導線材と前記補強線材との間に樹脂が充填されている。

Description

本発明は、酸化物超電導コイルおよびその製造方法に関する。
本願は、2018年9月28日に日本に出願された特願2018-184171号について優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、Bi−Sr−Ca−Cu−O等のBi系超電導線材、RE−Ba−Cu−O等のY系超電導線材(REは希土類元素)といった酸化物超電導線材及びこれを用いた酸化物超電導コイルの開発が進んでいる。酸化物超電導コイルを磁場中で励磁すると、電磁力によって線材が長手方向に引張応力(引張負荷)を受ける。電磁力に起因する劣化を抑制するため、特許文献1には、補強線材を設けた超電導コイルが開示されている。
一方で、超電導コイルを含浸樹脂で含浸した含浸コイルでは、コイル冷却の過程で熱応力が発生する。熱応力に起因する劣化を抑制するため、特許文献2には、境界部分の接着力が低く設定された超電導コイルが開示されている。特許文献3には、超電導部材と補強板とを長手方向に相互に摺動可能に包囲して拘束する絶縁テープを備えた超電導線材が開示されている。
日本国特開2009−188108号公報 日本国特開2010−267835号公報 日本国特開2011−113933号公報
しかし、超電導線材と補強線材が一体になった構造では、全体の強度が超電導線材の強度に制限され、補強線材に十分な予備負荷を付与することができない。このため、電磁力等に対する補強効果は低減されると考えられる。また、特許文献3により超電導コイルを作製する場合は、絶縁テープで包囲した構造の周囲に含浸樹脂を設けるため、超電導線材と冷却部材との熱接触が十分に取れず、温度が上昇し、最終的に焼損に至る局所クエンチを誘発する可能性がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、局所クエンチを回避しつつ、熱応力や電磁力が超電導線材に作用しても通電特性の劣化を抑制することができる酸化物超電導コイルおよびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明の第一態様に係る酸化物超電導コイルは、少なくとも1枚以上のテープ状の酸化物超電導線材と、外周に電気絶縁性および離型性を有する補強線材とを備え、前記酸化物超電導線材と前記補強線材とが共巻きされ、前記酸化物超電導線材と前記補強線材との間に樹脂が充填されている。
前記補強線材の外周に、電気絶縁層および離型層を含む積層構造、または電気絶縁性および離型性を兼ね備える層が設けられていてもよい。
前記補強線材が導電性の金属から構成されていてもよい。
前記補強線材が電気絶縁性及び離型性を有する材質から構成されていてもよい。
前記酸化物超電導線材の少なくとも一部において、前記酸化物超電導線材と前記補強線材とが電気的に接続していてもよい。
前記補強線材の長手方向に、5MPa以上、0.2%耐力以下の引張応力が印加されていてもよい。
本発明の第二態様に係る酸化物超電導コイルの製造方法は、少なくとも1枚以上のテープ状の酸化物超電導線材と、外周に電気絶縁性および離型性を有する補強線材とを共巻きする工程と、前記酸化物超電導線材と前記補強線材との間に含浸樹脂を供給する工程と、を有する。
前記補強線材を、前記酸化物超電導線材の外周側に配して共巻きしてもよい。
前記補強線材の長手方向に、引張応力を印加しながら共巻きしてもよい。
本発明の上記態様によれば、外周に電気絶縁性および離型性を有する補強線材が、酸化物超電導線材と共巻きされた状態で、酸化物超電導線材と補強線材との間に樹脂が充填されているため、熱接触を確保して局所クエンチを回避しつつ、熱応力や電磁力が超電導線材に作用しても通電特性の劣化を抑制することができる。
第1実施形態の酸化物超電導コイルの断面図である。 第2実施形態の酸化物超電導コイルの断面図である。 酸化物超電導線材の一例を示す断面図である。 補強線材の第1例を示す断面図である。 補強線材の第2例を示す断面図である。 補強線材の第3例を示す断面図である。 酸化物超電導線材と補強線材とを共巻きする工程を例示する正面図である。 酸化物超電導線材の一部を補強線材と電気的に接続させた構造を例示する断面図である。 酸化物超電導コイルに用いられる電圧検出回路である。
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、第1実施形態の酸化物超電導コイルの断面図である。図2は、第2実施形態の酸化物超電導コイルの断面図である。これらの断面図は、酸化物超電導線材の長手方向に垂直な断面を示す。図1、2における紙面上下方向は、酸化物超電導線材1,1A,1Bの幅方向に相当する。図1、2における紙面左右方向は、酸化物超電導コイル5の径方向に相当する。左右のいずれが外側または内側でもよい。図1、2の左右方向には同様の断面構造が続き得るが、図示を省略している。
酸化物超電導線材1,1A,1Bはテープ状であり、補強線材2と共巻きにされている。酸化物超電導線材1,1A,1Bと、補強線材2とは巻回単位3を構成する。酸化物超電導コイル5の径方向に沿って、巻回単位3に含まれる酸化物超電導線材1,1A,1Bおよび補強線材2が同じ順序で現れ、巻回単位3が繰り返されている。第1実施形態の場合は、1本の酸化物超電導線材1と1本の補強線材2とにより巻回単位3を構成している。第2実施形態の場合は、2本の酸化物超電導線材1A,1Bと1本の補強線材2とにより巻回単位3を構成している。
補強線材2は、酸化物超電導線材1,1A,1Bと同程度の幅を有するテープ状であることが好ましい。図1及び図2では、補強線材2の幅と酸化物超電導線材1,1A,1Bの幅とが同程度としているがこれに限らない。
巻回単位3における酸化物超電導線材1,1A,1Bおよび補強線材2の本数は特に限定されず、それぞれ少なくとも1枚以上であればよい。以下の説明では、巻回単位3に含まれる本数を区別せず、酸化物超電導線材1および補強線材2という場合がある。
酸化物超電導コイル5の径方向における酸化物超電導線材1と補強線材2との間には、含浸樹脂4が充填されている。さらに、酸化物超電導コイル5の幅方向における酸化物超電導線材1の両端部及び補強線材2の両端部を覆うように、含浸樹脂4が設けられている。
酸化物超電導線材1と含浸樹脂4との間は、補強線材2が介在せずに接着できるので、酸化物超電導線材1は、含浸樹脂4を介して酸化物超電導コイル5の外部と十分な熱接触を得ることができる。これにより、酸化物超電導線材1の急激な温度上昇に対しても、局所的な焼損が抑制され、酸化物超電導コイル5のクエンチを防ぐことができる。
補強線材2は、外周に電気絶縁性および離型性を有する。これにより、補強線材2と、酸化物超電導線材1とを共巻きする際に、酸化物超電導線材1よりも大きな巻線張力を付加して、補強線材2の長手方向に、引張応力(予備負荷)を印加することができる。これにより、補強線材2は、その内部の残留応力として、補強線材2の長手方向に沿う引張応力を有する。このため、酸化物超電導コイル5では、全体の強度が酸化物超電導線材1の強度に制限されることなく、補強線材2が十分に強度を負担することができ、電磁力に対する補強効果を高めることができる。引張応力の大きさは、例えば5MPa以上、0.2%耐力以下が好ましい。また、冷却による熱応力が印加された際に、補強線材2の外周に離型性を有するので、補強線材2と含浸樹脂4との間が優先的に剥離する。したがって、酸化物超電導線材1には熱応力が伝わらず、酸化物超電導線材1の劣化を抑制することができる。
電気絶縁性および離型性を有する材料が、補強線材2に兼ね備えられているので、共巻き時に巻回単位3にまとめる線材の本数が必要以上に増加することがない。これにより、酸化物超電導コイル5の寸法精度および生産性の向上に寄与することができる。
図3に、酸化物超電導線材の一例を示す。この断面図は、酸化物超電導線材の長手方向に垂直な断面を示す。図3における紙面上下方向は、酸化物超電導線材10の厚さ方向に相当する。
図3における紙面左右方向は、酸化物超電導線材10の幅方向に相当する。厚さ方向のいずれがコイル径方向の外側または内側でもよい。
この酸化物超電導線材10は、基板11の厚さ方向の一方の主面上に、中間層12を介して超電導層13が形成された積層構造を有する。本実施形態の場合、超電導層13の上には金属からなる保護層14が形成されている。酸化物超電導線材10の厚さ方向には、基板11、中間層12、超電導層13、保護層14が、この順に積層されている。
基板11は、テープ状の金属基板である。基板11は、厚さ方向の両面に、それぞれ主面を有する。
基板11を構成する金属の具体例として、ハステロイ(登録商標)に代表されるニッケル合金、ステンレス鋼、ニッケル合金に集合組織を導入した配向Ni−W合金などが挙げられる。基板11の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、例えば10〜500μmの範囲である。
超電導層13は、酸化物超電導体から構成される。酸化物超電導体としては、例えば一般式REBaCu7−δ(RE123)で表されるRE−Ba−Cu−O系酸化物超電導体が挙げられる。希土類元素REとしては、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちの1種又は2種以上が挙げられる。酸化物超電導層13の厚さは、例えば0.5〜5μm程度である。
基板11と超電導層13との間に中間層12が設けられていてもよい。中間層12は、多層構成でもよく、例えば基板11側から超電導層13側に向かう順で、拡散防止層、ベッド層、配向層、キャップ層等を有してもよい。これらの層は必ずしも1層ずつ設けられるとは限らず、一部の層を省略する場合や、同種の層を2以上繰り返し積層する場合もある。
保護層14は、事故時に発生する過電流をバイパスしたり、超電導層13と保護層14の上に設けられる層との間で起こる化学反応を抑制したり、超電導層13への水分の浸入を防止したりする等の機能を有する。保護層14の材質としては、例えば銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、金と銀との合金、その他の銀合金、銅合金、金合金などが挙げられる。保護層14が同種または異種の金属からなる2層以上を含んでもよい。保護層14は、少なくとも超電導層13の表面、すなわち厚さ方向において、基板11側に対する反対側の面を覆っている。保護層14が、酸化物超電導線材10の外周の他の面を覆ってもよい。すなわち、保護層14が基板11、中間層12、超電導層13の幅方向の端面を覆ったり、基板11の、中間層12が形成されていない主面を覆ってもよい。
なお、安定化層(図示略)が、少なくとも保護層14の表面、すなわち厚さ方向において、基板11側に対する反対側の面を覆っていてもよい。安定化層は、酸化物超電導層が常電導状態に転移した時に発生する過電流を転流させるバイパス部としての機能を有する。安定化層の構成材料としては、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、銀(Ag)、金(Au)等の金属又はこれらの1種以上を含む合金が挙げられる。導電性、経済性等の観点からは、安定化層が銅めっき、銅箔等から構成されることが好ましい。
図4から図6に、補強線材の構成例を示す。図4に示す補強線材20は、補強線材本体21の外周に、電気絶縁層22および離型層23を含む積層構造を有する。図5に示す補強線材20Aは、補強線材本体21の外周に、電気絶縁性および離型性を兼ね備える電気絶縁性離型層24を有する。図6に示す補強線材20Bは、補強線材本体25が、電気絶縁性及び離型性を有する材質から構成されている。
補強線材本体21は、金属テープなどの金属から構成されることが好ましい。補強線材本体21を構成する金属としては、鉄(Fe)系合金、ニッケル(Ni)合金、チタン(Ti)合金、銅(Cu)合金、アルミニウム(Al)合金、タングステン(W)合金などが挙げられる。補強線材本体21,25は、カーボンファイバー等の非金属導体、ガラス繊維等の電気絶縁体から構成することもできる。補強線材本体25が、電気絶縁性及び離型性を有する材質である場合、電気絶縁層22、離型層23、電気絶縁性離型層24を省略してもよい。カーボンファイバー、ガラス繊維などの繊維材料をテープ状の線材に用いる場合、複数の繊維を編組等に構成してもよい。
電気絶縁層22としては、金属酸化物等の無機物、樹脂等の有機物の中から、補強線材本体21に一体化できる電気絶縁体を選択して構成することができる。離型層23としては、例えばフッ素樹脂、シリコーン樹脂、パラフィン等の脂肪族化合物などが挙げられる。図4では、補強線材本体21の外周上に、電気絶縁層22が内側(離型層23を外側)とした構成を示しているが、電気絶縁層22が外側(離型層23を内側)とした構成であってもよい。図5に示すように、電気絶縁性および離型性を兼ね備える電気絶縁性離型層24を採用することも可能である。電気絶縁性離型層24を構成する材料としては、フッ素樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂などが挙げられる。
図4及び図5に示すように、電気絶縁層22、離型層23または電気絶縁性離型層24は、補強線材本体21の全周にわたり構成されてもよいが、電気絶縁性または離型性の効果を奏する一部分に構成されてもよい。
電気絶縁性の効果を奏するように電気絶縁層22を設ける領域としては、例えば、補強線材2が酸化物超電導線材1と対向する側の面が挙げられる。電気絶縁層22が、所定の領域にベタ状に設けられてもよく、点状、帯状、網状、格子状等の分布を有してもよい。例えば、補強線材2の幅方向において電気絶縁層22を省略してもよい。
離型性の効果を奏するように離型層23を設ける領域は特に限定されず、補強線材2が酸化物超電導線材1または含浸樹脂4に対して長手方向に離型(分離)が可能であればよい。離型層23が、所定の領域にベタ状に設けられてもよく、点状、帯状、網状、格子状等の分布を有してもよい。補強線材2の長手方向において、離型層23が連続的に設けられてもよく、間欠的に設けられてもよい。
電気絶縁性離型層24は、電気絶縁層22と離型層23の効果を奏する領域に設けられればよい。
電気絶縁層22、離型層23または電気絶縁性離型層24の形成方法は、特に限定されず、テープ材料の巻き付け、材料の塗布、コーティング等が挙げられる。電気絶縁層22、離型層23または電気絶縁性離型層24が含浸樹脂4によって補強線材本体21と一体化されてもよい。樹脂を含浸させる前の補強線材単体において、電気絶縁層22、離型層23または電気絶縁性離型層24が補強線材本体21に固着されていてもよい。特に図示しないが、補強線材本体21の外周に、電気絶縁層22または離型層23の一方のみを設けてもよい。補強線材本体21の外周に、2層以上または2種以上の電気絶縁層22、2層以上または2種以上の離型層23、2層以上または2種以上の電気絶縁性離型層24を設けてもよい。
含浸樹脂4としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、紫外線硬化性樹脂などが挙げられる。含浸施工は、真空含浸、塗巻含浸、半硬化樹脂共巻き含浸などが挙げられる。すなわち、樹脂含浸工程が、共巻き工程の後で酸化物超電導線材1と補強線材2との間に含浸樹脂を供給する方法でもよく、共巻き工程の前または途中で酸化物超電導線材1または補強線材2に含浸樹脂を供給する方法でもよい。
酸化物超電導線材1と補強線材2とを共巻きにする共巻き工程においては、図7に示すように、補強線材2を、酸化物超電導線材1の外周側に配して共巻きし、酸化物超電導コイル6を作製することが好ましい。共巻きにより作製される酸化物超電導コイル6は、上述したように、含浸樹脂を供給する前段階でもよく、未硬化または半硬化の含浸樹脂が線材に供給されていてもよい。
含浸樹脂4を有する酸化物超電導コイルは、図8に示すように、酸化物超電導線材1の少なくとも一部において、酸化物超電導線材1と補強線材2とが電気的に接続した導通構造を有してもよい。例えば補強線材2の外周の少なくとも一部に、図4または図5に示す電気絶縁層22、離型層23または電気絶縁性離型層24を有しない領域を設け、半田等の導体金属からなる導通部26を介して酸化物超電導線材1と補強線材2とを電気的に接続させてもよい。具体的には、導通部26は、補強線材2の補強線材本体21と、酸化物超電導線材1の保護層14、または、上述した安定化層と電気的に接続されている。酸化物超電導線材1と補強線材2との導通は、導通部26に代えて導体線を用いてもよく、または、導通部26と導体線の両方を用いてもよい。導通構造は、例えば電圧検出回路、コイル昇温回路などの回路の一部とすることができる。
電圧検出回路としては、例えば、図9に示すように、電圧検出回路40を用いることができる。電圧検出回路40は、酸化物超電導コイル30に設けられている。なお、酸化物超電導コイル30は、第1実施形態または第2実施形態の酸化物超電導コイル5を用いることができる。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
電圧検出回路40は、図9に示すように、電圧計41と、制御部42と、ダイオード43と、抵抗44と、電流源45と、スイッチ46とを備えている。
酸化物超電導コイル30は、酸化物超電導線材1と補強線材2とが共巻きされた構成となっており、酸化物超電導線材1からなる超電導線材コイル31と、補強線材2からなる補強線材コイル32とを含んでいる。超電導線材コイル31と補強線材コイル32とは、酸化物超電導コイル30の第一端30a側に設けられた導通部26によって導通されている。
酸化物超電導コイル30の第二端30b側では、超電導線材コイル31と補強線材コイル32とは導通されていない。酸化物超電導コイル30の第二端30b側には、電圧計41が接続され、電圧計41に制御部42が接続されている。
電圧計41は、超電導線材コイル31と補強線材コイル32との間の端子電圧を測定し、酸化物超電導コイル30に生じる抵抗電圧を検出する。
制御部42は、電圧計41によって検出された抵抗電圧に応じて酸化物超電導コイル30にクエンチが発生したか否かを判断する。クエンチが発生したか否かを判定するアルゴリズムは、例えば、研究論文(共巻きコイルを用いたHTSコイルクエンチ検出の高感度化 低温工学 52巻1号 2017年)に基づいて設定可能である。
制御部42は、クエンチが発生したと判断すると、電流源45から供給される電流を減衰モードへと移行させる。
本実施形態の酸化物超電導コイル30には、電圧検出回路40が設けられているため、電圧計41によって検出された抵抗電圧に応じて、電流を減衰させることにより、局所クエンチを回避しつつ、熱応力や電磁力が超電導線材に作用しても通電特性の劣化を抑制することができる。
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。改変としては、各実施形態における構成要素の追加、置換、省略、その他の変更が挙げられる。また、2以上の実施形態に用いられた構成要素を適宜組み合わせることも可能である。
以下、本発明の実施例を示す。
<実施例1>
1枚の希土類系酸化物超電導線材(幅4mm、厚さ0.13mm)と、絶縁処理を施したSUSテープ(幅4mm、厚さ0.1mm)とを共巻きし、半製品のシングルパンケーキコイル(内径30mm、外径60mm)を作製した。共巻きの際、SUSテープの巻線張力は300MPaとし、酸化物超電導線材の巻線張力は25MPaとした。SUSテープの外周の絶縁は、ポリイミドテープの2重ラップ巻きによって施した。SUSテープからなる補強線材の最外周に離型層が構成されるように、外側のポリイミドテープの片側にフッ素樹脂コートを設けた。共巻き後にエポキシ樹脂を用いて真空含浸により半製品コイルに含浸樹脂を施した。樹脂が含浸された後のコイルに熱処理を施して、酸化物超電導コイルを完成させた。
液体窒素を用いて酸化物超電導コイルを77Kまで冷却し、超電導コイルの通電試験を実施した。劣化基準となるn値が25と高い値を示し、健全であることが確認された。
<参考例1>
実施例1の効果を確認するため、離型層のフッ素樹脂コートを設けないこと以外は実施例1と同じ条件で、酸化物超電導コイルを作製した。
液体窒素を用いて酸化物超電導コイルを77Kまで冷却し、超電導コイルの通電試験を実施したところ、n値が5と低い値を示し、劣化していることが示された。
<実施例2>
2枚の酸化物超電導線材をバンドルして、絶縁処理を施したハステロイ(登録商標)からなるNi合金テープと共巻きし、ダブルパンケーキコイルを作製した。Ni合金テープにはワニス絶縁を施し、片側にシリコーングリースを塗布して離型層を形成した。Ni合金テープの巻線張力は400MPaとし、酸化物超電導線材の巻線張力は25MPaとした。エポキシ樹脂を用いて塗巻含浸を施し、酸化物超電導コイルを完成させた。
液体窒素を用いて酸化物超電導コイルを77Kまで冷却し、超電導コイルの通電試験を実施したところ、n値が20と高い値を示し、健全であることが確認された。また、この酸化物超電導コイルを5Tの磁場中で500A通電したところ、77Kにおけるn値が低下せず、高い電磁力環境においても強い耐性を有することが確認された。
本発明によれば、外周に電気絶縁性および離型性を有する補強線材が、酸化物超電導線材と共巻きされた状態で、酸化物超電導線材と補強線材との間に樹脂が充填されているため、熱接触を確保して局所クエンチを回避しつつ、熱応力や電磁力が超電導線材に作用しても通電特性の劣化を抑制することができる。
1,1A,1B,10…酸化物超電導線材、2,20,20A,20B…補強線材、3…巻回単位、4…含浸樹脂、5,6…酸化物超電導コイル、11…基板、12…中間層、13…酸化物超電導層、14…保護層、21,25…補強線材本体、22…電気絶縁層、23…離型層、24…電気絶縁性離型層、26…導通部

Claims (9)

  1. 少なくとも1枚以上のテープ状の酸化物超電導線材と、
    外周に電気絶縁性および離型性を有する補強線材とを備え、
    前記酸化物超電導線材と前記補強線材とが共巻きされ、
    前記酸化物超電導線材と前記補強線材との間に樹脂が充填されている
    酸化物超電導コイル。
  2. 前記補強線材の外周に、電気絶縁層および離型層を含む積層構造、または電気絶縁性および離型性を兼ね備える層が設けられている
    請求項1に記載の酸化物超電導コイル。
  3. 前記補強線材が導電性の金属から構成されている
    請求項1または2に記載の酸化物超電導コイル。
  4. 前記補強線材が電気絶縁性及び離型性を有する材質から構成されている
    請求項1または2に記載の酸化物超電導コイル。
  5. 前記酸化物超電導線材の少なくとも一部において、前記酸化物超電導線材と前記補強線材とが電気的に接続している
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸化物超電導コイル。
  6. 前記補強線材の長手方向に、5MPa以上、0.2%耐力以下の引張応力が印加されている
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸化物超電導コイル。
  7. 少なくとも1枚以上のテープ状の酸化物超電導線材と、外周に電気絶縁性および離型性を有する補強線材とを共巻きする工程と、
    前記酸化物超電導線材と前記補強線材との間に含浸樹脂を供給する工程と、を有する
    酸化物超電導コイルの製造方法。
  8. 前記補強線材を、前記酸化物超電導線材の外周側に配して共巻きする
    請求項7に記載の酸化物超電導コイルの製造方法。
  9. 前記補強線材の長手方向に、引張応力を印加しながら共巻きする
    請求項7または8に記載の酸化物超電導コイルの製造方法。
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