JP2013247011A - 酸化物超電導線材及びその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コイル加工して剥離応力が作用したとしても、中間層や酸化物超電導層層の部分で剥離を起こすことがない積層構造とした超電導線材及びその製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層と安定化層とが積層されて酸化物超電導積層体が構成され、前記酸化物超電導積層体の安定化層上に第一の導電性接合材が長手方向に沿って形成され、前記酸化物超電導積層体の外周に導電性の第一の補強テープが間隔を空けて螺旋状に巻かれ、前記酸化物超電導積層体の外周と第一の補強テープの外周を覆うように第二の補強テープが螺旋状に巻かれ、前記酸化物超電導積層体と前記第二の補強テープの間に、前記第一の補強テープが間隔を空けて螺旋状に巻かれていることによる間隙が形成され、前記第一の補強テープと前記安定化層とが、前記第一の導電性接合材を介し電気的に接続されていることを特徴とする酸化物超電導線材。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物超電導線材及びその製造方法に関する。
近年Bi系超電導線材BiSrCaCu8+δ(Bi2212)、BiSrCaCu10+δ(Bi2223)、やY系超電導線材REBaCu7−δ(RE123:REはYを含む希土類元素)といった高温酸化物超電導線材の開発が進んでいる。これら超電導線材は、臨界温度が90〜100K程度であり、液体窒素温度以上で超電導性を示すため、実用上極めて有望な素材とされており、これを線材に加工して電力供給用の導体あるいは超電導コイル等として使用することが要望されている。
Y系の超電導線材は引張や圧縮等の応力によって劣化が生じることがあるため、前記の酸化物積層体にテープ状の補強材を縦添えして包むことによって酸化物超電層の劣化を抑制する方法が知られている(特許文献1参照)。
特開2011−3494号公報
図5に特許文献1に記載の技術である、酸化物超電導積層体をテープ状の補強材で縦添えして包む構造を有する酸化物超電導線材の断面模式図を示す。
酸化物超電導線材210の構成要素である酸化物超電導積層体205は、図5(b)に示すようにテープ状の基材201の一面上に中間層202と、酸化物超電導層203と、安定化層204とが積層された多層構造を有している。テープ状の補強材206は、酸化物超電導線材210を覆うように幅方向の両端が折り曲げられて横断面C型に形成され、かつこの両端部で酸化物超電導積層体205を包むように配置されている。
このような超電導線材を巻線してコイルにするためには、コイル化した超電導線材間の電気的な絶縁性を確保するため、超電導線材を絶縁材で被覆する必要があり、巻線前に超電導線材の表面に熱硬化性樹脂を塗布して該樹脂を焼付け、絶縁被覆層を形成するか、あるいは、テープ状の超電導線材の外周にポリイミドテープ等の樹脂テープを巻きつけ、その後に巻線しコイルを製作する方法が一般的である。
多層構造の超電導線を巻きつけて製造した超電導コイルは通電時にコイル半径方向外向きの電磁力に起因する応力が生じ、超電導線を構成する層が剥離、変形、クラックを起こし、その結果、臨界電流密度の低下を招く虞がある。そのため、それを抑える目的でコイル自体を硬化前の熱硬化性樹脂で含浸し、加熱硬化させた構造にする必要がある。
しかし、樹脂を含浸させた超電導コイルでは、含浸材であるエポキシ樹脂と、酸化物超電導線材210との熱膨張率の差に起因して超電導コイルの冷却時に酸化物超電導線材210に応力が作用する。酸化物超電導線材210の外周に樹脂層を形成する際、酸化物超電導線材210は密閉されていないため、エポキシ樹脂が酸化物超電導積層体205に直接接着する。そのため、前記の応力が酸化物超電導積層体205に直接作用し各層間での剥離等を起こし、超電導特性が劣化する虞があった。
本発明は、このような従来の実情に鑑みなされたもので、コイル加工して剥離応力が作用したとしても、中間層や酸化物超電導層層の部分で剥離を起こすことがなく、超電導特性が劣化しない積層構造とした超電導線材の提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の酸化物超電導線材は、テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層と安定化層とが積層されて酸化物超電導積層体が構成され、前記酸化物超電導積層体の安定化層上に第一の導電性接合材が長手方向に沿って形成され、前記酸化物超電導積層体の外周に導電性の第一の補強テープが間隔を空けて螺旋状に巻かれ、前記酸化物超電導積層体の外周と第一の補強テープの外周を覆うように第二の補強テープが自身と重なりながら螺旋状に巻かれ、前記酸化物超電導積層体と前記第二の補強テープの間に、前記第一の補強テープが間隔を空けて螺旋状に巻かれていることによる間隙が形成され、前記第一の補強テープと前記安定化層とが、前記第一の導電性接合材を介し電気的に接続されていることを特徴とする。
酸化物超電導積層体と第二の補強テープの間に形成された間隙は応力吸収のための緩衝材の役割となるため、第二の補強テープの外周に樹脂を被覆させた場合でも、冷却時の熱膨張率の差に起因する応力を軽減し、酸化物超電導積層体への負荷を抑制することができる。これによって、酸化物超電導線材の酸化物超電導層の劣化を抑えることができる。
また、第二の補強テープがCu等からなる金属製テープである場合においては、第二の補強テープを自身と重なりながら螺旋巻きすることで、重なり部分を密閉できる。このため、第二の補強テープの外周をエポキシ樹脂で含浸し覆った場合に、未硬化の樹脂が第二の補強テープの重なり部分から内側に染み込むことがないので、樹脂が酸化物超電導積層体に達し、酸化物超電導積層体の表面に接着することがない。従って、冷却によって被覆樹脂と超電導線材との熱膨張率の差に起因する応力が生じたとしても、その応力は酸化物超電導積層体に直接作用せず、間隙を伴った第二の補強テープと第一の補強テープを介して作用することとなる。これにより応力を緩衝することが可能となり、酸化物超電導積層体の劣化を抑制することができる。
導電性の第一の補強テープと酸化物超電導積層体の安定化層が電気的に接続されていることで、酸化物超電導層が何らかの原因で超電導状態から常電導状態に遷移しようとした時に、安定化層とともに、第一の補強テープが酸化物超電導層の電流を転流させるバイパスとして機能し、第一の補強テープの断面積分だけバイパスとしての断面積が増加し、超電導線材としての安定性向上に寄与する。
本発明は、前記の酸化物超電導線材であって、前記酸化物超電導積層体の安定化層上に形成される第一の導電性接合材が長手方向に沿って連続的に帯状に形成されていることを特徴とする。
第一の導電性接合材が安定化層上にその長手方向に沿って連続的に帯状に形成されることで、例えば第一の導電性接合材が半田であり、半田ペーストを塗布し、融点まで加熱することで第一の導電性接合材を安定化層上に形成する場合に、塗布工程にディスペンサー等を用いることで容易な第一の導電性接合材の形成が可能となる。
また、後工程の第一の補強テープを巻きつける際に、第一の導電性接合材の位置を加味して第一の補強テープの巻きつける必要がなく、容易に第二の補強テープを巻きつけることができる。
本発明は、前記の酸化物超電導線材であって、前記第二の補強テープが導電性の素材からなり、前記第一の補強テープを巻きつけた前記酸化物超電導積層体の一面上に第二の導電性接合材が長手方向に沿って形成され、前記第一の補強テープと前記第二の補強テープが、前記第二の導電性接合材を介し電気的に接続されていることを特徴とする。
導電性の第二の補強テープと第一の補強テープが電気的に接続されていることで、酸化物超電導層が何らかの原因で超電導状態から常電導状態に遷移しようとした時に、安定化層、第一の補強テープとともに、第二の補強テープが酸化物超電導層の電流を転流させるバイパスとして機能し、第二の補強テープの断面積分だけバイパスとしての断面積が増加し、超電導線材としての安定性向上に寄与する。
本発明の酸化物超電導線材の製造方法は、テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層と安定化層とが積層された酸化物超電導積層体を用い、前記酸化物超電導積層体の安定化層上に第一の導電性接合材を長手方向に沿って形成し、前記酸化物超電導積層体の外周に導電性の第一の補強テープを間隔を空けて螺旋状に巻きつけ、前記酸化物超電導積層体の外周と第一の補強テープの外周を覆うように第二の補強テープを自身と重なりながら螺旋状に巻きつけ、前記酸化物超電導積層体と前記第二の補強テープの間に、前記第一の補強テープを間隔を空けて螺旋状に巻いたことによる間隙を形成し、前記第一の補強テープと前記安定化層とを、前記第一の導電性接合材を介し電気的に接続することを特徴とする。
酸化物超電導積層体と第二の補強テープの間に形成された間隙は応力吸収のための緩衝材の役割となるため、第二の補強テープの外周に樹脂を被覆させた場合でも、冷却時の熱膨張率の差に起因する応力を軽減し、酸化物超電導積層体への負荷を抑制することができる。これによって、酸化物超電導線材の酸化物超電導層の劣化を抑えることができる。
また、第二の補強テープがCu等からなる金属製テープである場合においては、第二の補強テープを自身と重なりながら螺旋巻きすることで、重なり部分を密閉できる。このため、第二の補強テープの外周をエポキシ樹脂で含浸し覆った場合に、未硬化の樹脂が第二の補強テープの重なり部分から内側に染み込むことがないので、樹脂が酸化物超電導積層体に達し、酸化物超電導積層体の表面に接着することがない。従って、冷却によって被覆樹脂と超電導線材との熱膨張率の差に起因する応力が生じたとしても、その応力は酸化物超電導積層体に直接作用せず、間隙を伴った第二の補強テープと第一の補強テープを介して作用することとなる。これにより応力を緩衝することが可能となり、酸化物超電導積層体の劣化を抑制することができる。
導電性の第一の補強テープと酸化物超電導積層体の安定化層が電気的に接続されていることで、酸化物超電導層が何らかの原因で超電導状態から常電導状態に遷移しようとした時に、安定化層とともに、第一の補強テープが酸化物超電導層の電流を転流させるバイパスとして機能し、第一の補強テープの断面積分だけバイパスとしての断面積が増加し、超電導線材としての安定性向上に寄与する。
酸化物超電導積層体と第二の補強テープの間に形成された間隙は緩衝材の役割となるため、第二の補強テープの外周に何らかの応力が加わった場合でも、酸化物超電導積層体への負荷を抑制し、酸化物超電導線材の酸化物超電導層の劣化を抑えることができる。
また、導電性の第一の補強テープと酸化物超電導積層体の安定化層が電気的に接続されていることで、酸化物超電導層が何らかの原因で超電導状態から常電導状態に遷移しようとした時に、安定化層とともに、第一の補強テープが酸化物超電導層の電流を転流させるバイパスとして機能し、第一の補強テープの断面積分だけバイパスとしての断面積が増加し、超電導線材としての安定性向上に寄与する。
本発明に係る酸化物超電導線材の一実施形態を示す模式図である。 本発明に係る酸化物超電導線材に備えられる酸化物超電導積層体の積層構造を説明する模式図である。 本発明に係る酸化物超電導線材の製造方法の一例を示すもので、図3(a)は第一の導電性接合材の塗布方法を示し、図3(b)は第一の補強テープの巻きつけ方法を示し、図3(c)は第二の導電性接合材の塗布方法を示し、図3(d)は第二の補強テープの巻きつけ方法を示す模式図である。 本発明に係る酸化物超電導線材の一実施形態の断面模式図であり、図4(a)は横断面模式図、図4(b)は縦断面模式図である。 従来の酸化物超電導線材の一例を示す断面模式図であり、図5(a)は、酸化物超電導積層体を補強材で覆った構造を有する酸化物超電導線材の断面模式図であり、図5(b)は、酸化物超電導積層体の積層構造を示す断面模式図である。
以下、本発明に係るテープ状の酸化物超電導線材の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に本発明の酸化物超電導線材10の一実施形態を示す。酸化物超電導線材10の構成要素である酸化物超電導積層体5はテープ状の基材1の一面上に中間層2と、酸化物超電導層3と、安定化層4とが積層された構成を有している。酸化物超電導線材10はこの酸化物超電導積層体5の外周に第一の補強テープ6及び第二の補強テープ7を巻きつけてなる。また、第一の補強テープ6及び第二の補強テープ7は、導電性の素材からなり、さらに酸化物超電導積層体5の安定化層4と第一の補強テープ6と第二の補強テープ7とは、導電性接合材8、9によって機械的、電気的に接続された構造を有する。
以下、本発明に係る酸化物超電導線材10に備えられる各構成要素に関して詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図2に本発明の実施形態における酸化物超電導積層体5の積層構造を模式的に示す。酸化物超電導積層体5は基材1の一面上に、中間層2と酸化物超電導層3と安定化層4とを積層してなる。
基材1は、可撓性を有する線材であり、テープ状で耐熱性の金属からなるものが好ましい。耐熱性の金属の中でもニッケル(Ni)合金がより好ましい。中でも、市販品であればハステロイ(商品名、米国ヘインズ社製)が好適であり、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)等の成分量が異なる、ハステロイB、C、G、N、W等のいずれの種類も使用できる。また、基材1としてニッケル合金などに集合組織を導入した配向金属基材を用い、その上に中間層2及び酸化物超電導層3を形成してもよい。基材1の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、通常は、10〜500μmであることが好ましく、20〜200μmであることが好ましい。
中間層2は、以下に説明する下地層と配向層とキャップ層からなる構造を一例として適用できる。
下地層を設ける場合は、以下に説明する拡散防止層とベッド層の複層構造あるいは、これらのうちどちらか1層からなる構造とすることができるが、下地層は必須ではなく、略しても差し支えない。
下地層として拡散防止層を設ける場合、窒化ケイ素(Si)、酸化アルミニウム(Al、「アルミナ」とも呼ぶ)、あるいは、GZO(GdZr)等から構成される単層構造あるいは複層構造の層が望ましく、厚さは例えば10〜400nmである。
下地層としてベッド層を設ける場合、ベッド層は、例えば、イットリア(Y)などの希土類酸化物であり、より具体的には、Er、CeO、Dy、Er、Eu、Ho、La等を例示することができ、これらの材料からなる単層構造あるいは複層構造を採用できる。ベッド層の厚さは例えば10〜100nmである。
配向層は、その上方に形成する酸化物超電導層3と格子整合性の良い金属酸化物からなることが好ましい。配向層の好ましい材質として具体的には、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)、SrTiO、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等の金属酸化物を例示できる。配向層は、単層でも良いし、複層構造でも良い。
キャップ層は、好ましいものとして具体的には、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等が例示できる。キャップ層の材質がCeOである場合、キャップ層は、Ceの一部が他の金属原子、又は金属イオンで置換されたCe−M−O系酸化物を含んでいても良い。CeOのキャップ層の膜厚は、50nm以上であればよいが、十分な配向性を得るには100nm以上が好ましい。但し、厚すぎると結晶配向性が悪くなるので、50〜5000nmの範囲とすることができる。
酸化物超電導層3は通常知られている組成の希土類系高温酸化物超電導体からなる薄膜を広く適用することができ、REBaCu7−δ(REはY、La、Nd、Sm、Er、Gd等の希土類元素を表す)なる材質のもの、具体的には、Y123(YBaCu7−δ)、又はGd123(GdBaCu7−δ)を例示できる。酸化物超電導層3の厚みは0.5〜5μm程度であって、均一な厚みであることが好ましい。
酸化物超電導層3上に積層されている安定化層4は、Ag又はAg合金などの良電導性かつ酸化物超電導層3と接触抵抗が低くなじみの良い金属材料からなる。Agからなる安定化層4の場合、その厚さは1〜30μm程度とされる。
安定化層4を第一の安定化層として、第一の安定化層の上に第二の安定化層を積層しても良い。この場合は、第二の安定化層を構成する金属材料として、良導電性を有するものであればよく、特に限定されないが銅、黄銅(Cu−Zn合金)、Cu−Ni合金等の銅合金、ステンレス等の比較的安価な材質からなるものを用いることが好ましく、中でも高い導電性を有し、安価であることから銅が好ましい。
第二の安定化層の形成方法は特に限定されないが、例えば、銅などの良導電性材料よりなる金属テープを半田などの接合材を介し第一の安定化層上に貼り付けることで積層してもよく、あるいは第一の安定化層の面上にメッキ等の方法により形成してもよい。また、第二の安定化層の形成をしやすくするために、銀、金、白金などからなる下地安定化層を予め第一の安定化層の上に形成し、その上に第二の安定化層を形成する構造としてもよい。
特に半田を介して金属テープを積層する場合に使用できる半田としては、特に限定されないが、従来公知の半田を使用可能であり、例えば、Sn、Sn−Ag系合金、Sn−Bi系合金、Sn−Cu系合金、Sn−Zn系合金などのSnを主成分とする合金よりなる鉛フリー半田、Pb−Sn系合金半田、共晶半田、低温半田などが挙げられ、これらの半田を1種、又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、融点が300℃以下の半田を用いることが好ましい。これにより、300℃以下の温度で金属テープと第一の安定化層を半田付けすることが可能となるので、半田付けの熱によって酸化物超電導層3の特性が劣化することを抑止できる。
第二の安定化層の厚さは特に限定されず、適宜調整可能であるが、10〜300μmとすることが好ましい。
安定化層4(又は第一の安定化層、第二の安定化層)は、酸化物超電導層3が何らかの原因で超電導状態から常電導状態に遷移しようとした時に、酸化物超電導層3の電流を転流させるバイパスとして機能する。
図3を基に、前記酸化物超電導積層体5に対する第一の補強テープ6及び第二の補強テープ7の巻きつけ方の一例を示す。
図3(a)に示すように、前記の酸化物超電導積層体5の安定化層4上に、第一の導電性接合材8を酸化物超電導積層体5の長手方向に沿って、連続的に帯状に塗布する。このペースト状の第一の導電性接合材8は、後述する後工程において加熱され溶融し、冷却されることで硬化し、安定化層4と、後工程で巻きつけられる第一の補強テープ6を機械的及び電気的に接続する。
ペースト状の第一の導電性接合材8は半田のペーストであることが望ましく、使用できる半田としては、特に限定されないが、従来公知の半田を使用可能であり、例えば、Sn、Sn−Ag系合金、Sn−Bi系合金、Sn−Cu系合金、Sn−Zn系合金などのSnを主成分とする合金よりなる鉛フリー半田、Pb−Sn系合金半田、共晶半田、低温半田などが挙げられ、これらの半田を1種、又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、融点が300℃以下の半田を用いることが好ましい。これにより、半田付けの熱によって酸化物超電導層3の特性が劣化することを抑止できる。また、導電性接着剤等を用いることもできる。ペースト状の第一の導電性接合材8の塗布する範囲は、酸化物超電導積層体5の安定化層4上の全面でも良いが、図3(a)に示すように、一部に帯状に塗布することもできる。この場合は、安定化層4と第一の補強テープ6とが確実に接合できる幅に設定する必要があり、3mm以上が望ましいとされる。
次に図3(b)に示すように第一の補強テープ6を一定の間隔Lを確保しながら酸化物超電導積層体5に巻きつける。第一の補強テープ6は、導電性の素材からなり、特に安価で高い導電性を示すCu等からなるものを用いることが望ましい。厚さは100μm以上であり、幅6Dは、酸化物超電導積層体5の幅の数分の一程度(例えば5〜10mm程度)のものとされる。一定の間隔Lは幅6Dと同等程度に設定する。
図3(c)に示すように、第一の補強テープ6を巻きつけた酸化物超電導積層体5に、ペースト状の第二の導電性接合材9を塗布する。第一の補強テープ6は、前記したように、間隔Lを空けて巻きつけられているため、連続的に帯状に塗布することで、安定化層4と第一の補強テープ6にそれぞれ不連続に塗布されることとなる。
第二の導電性接合材9は第一の導電性接合材8と同じ半田ペーストであることが望ましく、また導電性接着剤等を用いることもできる。また、ペースト状の第二の導電性接合材9の塗布する範囲も、第一の導電性接合材8と同様に、一面上全面でもよいが、図3(c)に示すように帯状に塗布しても良く、その場合の幅は第一の導電性接合材8と同じであることが望ましい。
第二の補強テープ7は、導電性の金属素材からなり、一例としてCuからなるものを用いることができ、また厚さ100μm以上であり、幅7Dは酸化物超電導積層体5の幅の数分の一程度(例えば5〜10mm程度)のものとされ、第一の補強テープ6と共通のものを用いることができる。
次に第二の補強テープ7を図3(d)に示すように、その一部を自身と重なりあるようにラップ状に巻きつけていく。金属からなる第二の補強テープ7を一部を重ねて巻きつけていくことで、酸化物超電導線材10の外周をエポキシ樹脂等の含浸樹脂で覆った場合においても、該含浸樹脂は第二の補強テープ7の重ね巻きする部分の隙間に浸入することがない。巻きつける際の第二の補強テープ7を重ねる幅は第二の補強テープ7の幅7Dの数分の一程度であればよい。
以上の工程によって作成された線材を第一の導電性接合材8及び第二の導電性接合材9の融点以上に加熱し、冷却することで、第一の導電性接合材8によって酸化物超電導積層体5の安定化層4と第一の補強テープ6を接合し、また、第二の導電性接合材9によって第一の補強テープ6及び第二の補強テープ7を電気的及び機械的に接合する。これによって、酸化物超電導積層体5の安定化層4と第一の補強テープ6、及び第二の補強テープ7を導通する。
酸化物超電導積層体5の安定化層4と第一の補強テープ6及び第二の補強テープ7を導通させることで、酸化物超電導層3が超電導状態から常電導状態に遷移しようとした時に、電流を転流させるバイパスとなる機能を、安定化層4に加えて、第一の補強テープ6及び第二の補強テープ7にも持たせることが可能となる。それにより、何らかの原因で酸化物超電導層3が常電導体となった場合であっても酸化物超電導線材10の安定性を高めることが可能となる。
以上の工程を経て図4に示す酸化物超電導線材10を得ることができるが、以上説明した製造方法はその一実施形態に過ぎず、例えば、第二の導電性接合材9を略してもよく、その場合において、第二の補強テープ7は導電性を有する素材でなくても良い。
本実施形態における酸化物超電導線材10の構造及び作用効果を、酸化物超電導線材10の横断面を示す図4(a)及び、酸化物超電導線材10の中心からずらした縦方向に断面をとった図4(b)を基に説明する。
酸化物超電導線材10は、第一の補強テープ6が間隔Lを空けて螺旋状に巻きつけられ、第二の補強テープ7が自身と重なるように巻きつけられており、これにより酸化物超電導線材10の長手方向に図4(b)に示すように一定の間隔で規則的に長さLの間隙11が複数形成されている。
ところで、酸化物超電導線材10を巻線し超電導コイルとして使用するとき、短絡を防ぐため、その外周に絶縁テープ又はエナメル等の絶縁層を設けて巻線し、コイル半径方向外向きの電磁力に起因する応力を抑える目的でコイル自体を熱硬化性エポキシ樹脂で含浸し、加熱硬化させることがなされている。従って、酸化物超電導線材10の外周を絶縁層を介してエポキシ樹脂が取り囲むが、エポキシ樹脂と酸化物超電導線材10は熱膨張率に差があり、それに起因して超電導コイルの冷却時に酸化物超電導線材10に応力が作用する。
本実施形態の間隙11とその外周に巻かれた第二の補強テープ7の重なり部分は、この熱膨張率の差に起因する応力が作用した際に、間隙11が酸化物超電導線材10の厚み方向に狭くなり、その際、前記の重なり部分が滑り、ずれることによって、この応力を緩衝できる。
この作用によって、酸化物超電導積層体5に作用する応力は抑えられ、酸化物超電導積層体5の劣化を抑制することができる。
(変形例)
前記実施形態においては、図3(c)に示されるように、酸化物超電導積層体5の図中上側の面である、安定化層側に第二の導電性接合材9を塗布している。しかし、例えば第二の導電性接合材9は第一の導電性接合材8を塗布した面と反対の面に塗布することもできる。その場合、第二の導電性接合材9は、基材1と第一の補強テープ6に塗布されることになるが、基材1がハステロイからなり、第二の導電性接合材9が半田である場合は、基材1と第二の導電性接合材9はなじまないため、後工程で巻きつけられる第二の補強テープ7は第二の導電性接合材9によって、第一の補強テープ6とのみ、電気的、機械的に接合されることになる。このような工程によって作成される酸化物超電導線材は、図4(a)において、第二の導電性接合材9が、図中下方向の基材1側に位置することになる。
以上のような構成をとることによって、上記実施形態の酸化物超電導線材10と同様の効果を奏するのみならず、酸化物超電導線材10の外周に絶縁層およびエポキシ樹脂を包囲した場合において、酸化物超電導線材10に熱収縮率の差に起因するせん断方向の応力がかかったとしても、酸化物超電導線材10の安定化層4側では、第一の補強テープ6と第二の補強テープ7との間で滑りが生じて、応力を逃がすことができ、また、酸化物超電導線材10の基材1側では、基材1と第一の補強テープ6との間で滑りを生じさせて応力を逃がすことが可能となる。
1 …基材、2 …中間層、3 …酸化物超電導層、4 …安定化層、5 …酸化物超電導積層体、6 …第一の補強テープ、7 …第二の補強テープ、8 …第一の導電性接合材、9 …第二の導電性接合材、10 …酸化物超電導線材、11 …間隙。

Claims (4)

  1. テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層と安定化層とが積層されて酸化物超電導積層体が構成され、
    前記酸化物超電導積層体の安定化層上に第一の導電性接合材が長手方向に沿って形成され、
    前記酸化物超電導積層体の外周に導電性の第一の補強テープが間隔を空けて螺旋状に巻かれ、
    前記酸化物超電導積層体の外周と第一の補強テープの外周を覆うように第二の補強テープが自身と重なりながら螺旋状に巻かれ、
    前記酸化物超電導積層体と前記第二の補強テープの間に、前記第一の補強テープが間隔を空けて螺旋状に巻かれていることによる間隙が形成され、
    前記第一の補強テープと前記安定化層とが、前記第一の導電性接合材を介し電気的に接続されていることを特徴とする酸化物超電導線材。
  2. 請求項1に記載の酸化物超電導線材であって、前記酸化物超電導積層体の安定化層上に形成される第一の導電性接合材が長手方向に沿って連続的に帯状に形成されていることを特徴とする酸化物超電導線材。
  3. 請求項1又は2に記載の酸化物超電導線材であって、前記第二の補強テープが導電性の素材からなり、前記第一の補強テープを巻きつけた前記酸化物超電導積層体の一面上に第二の導電性接合材が長手方向に沿って形成され、
    前記第一の補強テープと前記第二の補強テープが、前記第二の導電性接合材を介し電気的に接続されていることを特徴とする酸化物超電導線材。
  4. テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層と安定化層とが積層された酸化物超電導積層体を用い、
    前記酸化物超電導積層体の安定化層上に第一の導電性接合材を長手方向に沿って形成し、
    前記酸化物超電導積層体の外周に導電性の第一の補強テープを間隔を空けて螺旋状に巻きつけ、
    前記酸化物超電導積層体の外周と第一の補強テープの外周を覆うように第二の補強テープを自身と重なりながら螺旋状に巻きつけ、
    前記酸化物超電導積層体と前記第二の補強テープの間に、前記第一の補強テープを間隔を空けて螺旋状に巻いたことによる間隙を形成し、
    前記第一の補強テープと前記安定化層とを、前記第一の導電性接合材を介し電気的に接続することを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法。
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