JP2013186966A - 酸化物超電導線材およびその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、酸化物超電導層への水分の浸入を抑えることができる酸化物超電導線材及びその製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、テープ状の基材の一方の面上に中間層と酸化物超電導層と保護層をこの順に積層して酸化物超電導積層体が構成され、該酸化物超電導積層体を金属からなる第1のカバー部材で覆って複合超電導導体が構成され、該複合超電導導体の周囲に金属からなる第2のカバー部材が前記複合超電導導体の第1のカバー部材の一面に半田接合し、他の面に接合することなく前記第1のカバー部材の周面を覆うように設けられたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物超電導積層体をカバー部材により2重に被覆した構造の酸化物超電導線材およびその製造方法に関する。
RE−123系の酸化物超電導体(REBaCu7−X:REはYを含む希土類元素)は、液体窒素温度以上で超電導性を示し、電流損失が低いため、実用上極めて有望な素材とされており、これを線材に加工して電力供給用の導体あるいは磁気コイル等として使用することが要望されている。この酸化物超電導体を線材に加工するための方法として、金属テープなどの基材上に中間層を介し酸化物超電導層を形成し、酸化物超電導線材を製造する方法が研究されている。
また、酸化物超電導線材にあっては、酸化物超電導層上に薄い銀の安定化層を形成し、その上に銅などの良導電性金属材料からなる厚い安定化層を設けた構造が採用されている。前記銅の安定化層は、酸化物超電導層が超電導状態から常電導状態に遷移しようとしたとき、該酸化物超電導層の電流を転流させるバイパスとして機能させるための目的で設けられている。
2層構造の安定化層を形成する技術の一例として、酸化物超電導層の上にスパッタリングにより薄い銀の安定化層を設けた後、線材全体を硫酸銅水溶液のめっき浴に浸漬し、電気めっきにより銀の安定化層上に銅の安定化層を形成する技術が知られている。
また、酸化物超電導層の上に銀の安定化層を設けた線材と銅製の安定化材テープをはんだ層を介し重ね合わせて加熱・加圧ロールに通すことによって、銀の安定化層上に銅の安定化層を形成する技術も知られている。
更に、酸化物超電導線材の全周を取り囲む構造の一例として、酸化物超電導線材の表面側と裏面側に金属テープを配置し、金属テープ間に超電導線材を取り囲むように非多孔質はんだフィレットを充填した構造、あるいは、酸化物超電導線材の周囲を金属テープで取り囲み、酸化物超電導線材の一側で重ね合わせた金属テープの端縁同士を溶接した構造が知られている。(特許文献1参照)
特表2003−505848号公報
前記酸化物超電導線材を銅のめっき層により全周被覆した構造において、めっき層にはピンホール等の微細欠陥が存在するので、ピンホール等の微細欠陥を通じて外部から水分が浸入し、酸化物超電導層と水分が接触し、超電導特性が劣化するおそれがあった。
例えば、RE−123系の酸化物超電導体の特定組成のものは水分により劣化しやすく、線材を水分の多い環境に保管した場合、線材に水分が付着した状態のまま放置した場合、酸化物超電導層まで水分が到達すると、酸化物超電導層の結晶構造が崩れて超電導特性が低下する要因となる。
本発明は、以上のような従来の背景に鑑みなされたもので、酸化物超電導層への水分の浸入を抑えることができる酸化物超電導線材及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、テープ状の基材の一方の面上に中間層と酸化物超電導層と保護層をこの順に積層して酸化物超電導積層体が構成され、該酸化物超電導積層体を金属からなる第1のカバー部材で覆って複合超電導導体が構成され、該複合超電導導体の周囲に金属からなる第2のカバー部材が前記複合超電導導体の第1のカバー部材の一面に半田接合し、他の面に接合することなく前記第1のカバー部材の周面を覆うように設けられたことを特徴とする。
酸化物超電導層を備えた酸化物超電導積層体を第1のカバー部材と第2のカバー部材で2重に覆っているので、外部側から酸化物超電導層に水分が浸入することを抑制できる。この結果、水分の影響を受け難い酸化物超電導線材を提供できる。第2のカバー部材は第1のカバー部材に対し一面で半田接合し、他の面においては接合していないので、酸化物超電導線材を巻胴に巻き付けて樹脂含浸し、固定した場合、ヒートサイクルの付加による樹脂の収縮によって応力が作用しても第2のカバー部材は第1のカバー部材に対し接着していない面において若干滑り変形可能となっているので、含浸樹脂の収縮応力を緩和できる。このため、第2のカバー部材に亀裂や剥離を生じることがなく、密閉構造として強固な構造とすることができる。
本発明に係る前記第2のカバー部材において前記第1のカバー部材と半田接合された面を除く他の面が前記第1のカバー部材に対し隙間をあけて前記第1のカバー部材の周囲に配置されたことを特徴とする構造を採用できる。
第1のカバー部材と第2のカバー部材との間に隙間を存在させると、酸化物超電導線材を巻胴に巻き付けて樹脂含浸した場合、ヒートサイクルの付加による樹脂の収縮により応力が作用しても、この応力を隙間が吸収し、第2のカバー部材が若干変形可能となるので、含浸樹脂の収縮応力を効果的に緩和できる。
本発明において、前記第1のカバー部材が前記超電導積層体の周面に密着して形成された構造を採用できる。
酸化物超電導積層体の周面に密着された金属製の第1のカバー部材は酸化物超電導積層体の酸化物超電導層が超電導状態から常電導状態に遷移しようとしたとき、該酸化物超電導層の電流を転流させるバイパスとして機能する。
本発明において、前記第1のカバー部材と前記第2のカバー部材の間に潤滑材層が挿入された構造を採用できる。
第1のカバー部材と第2のカバー部材の間に潤滑材層が介在されていると、酸化物超電導線材を巻胴に巻き付けて樹脂含浸した場合、ヒートサイクルの付加による樹脂の収縮により応力が作用しても、この応力を潤滑材層が吸収して第2のカバー部材は若干変形可能となるので、含浸樹脂の収縮応力を効果的に緩和できる。
本発明の酸化物超電導線材の製造方法は、テープ状の基材の一方の面上に中間層と酸化物超電導層と保護層をこの順に積層して酸化物超電導積層体が構成され、該酸化物超電導積層体を金属からなる第1のカバー部材で覆って構成された複合超電導導体を用い、金属テープを前記複合超電導導体に被せてその周面を覆い、前記複合超電導導体を覆った金属テープの端部同士を該複合超電導導体の一側で重ねて接合し第2のカバー部材を形成し、該接合側と反対側の前記複合超電導導体の一面を前記金属テープに半田付けすることを特徴とする。
酸化物超電導層を備えた酸化物超電導積層体を第1のカバー部材と第2のカバー部材で2重に覆った構造を実現できるので、外部側から酸化物超電導層に水分が浸入することを抑制できる酸化物超電導線材を提供できる。この結果、水分浸入の影響による超電導特性の劣化を生じ難い酸化物超電導線材を提供できる。第2のカバー部材は第1のカバー部材に対し一面で半田接合し、他の面においては接合していない。このため、酸化物超電導線材を巻胴に巻き付けて樹脂含浸し、固定した場合、ヒートサイクルの付加による樹脂の収縮によって応力が作用しても第2のカバー部材は第1のカバー部材に対し接着していない面において若干滑り変形可能となっているので、含浸樹脂の収縮応力を緩和できる酸化物超電導線材を提供できる。
本発明において、前記金属テープを前記複合超電導導体に被せてその周面を覆い、前記金属テープの端部同士を接合する際、端部同士を接合した側の前記複合超電導導体の一面側と該複合超電導導体の両側面側に対し、前記金属テープと前記複合超電導導体との間に隙間を設けることができる。
酸化物超電導線材を巻胴に巻き付けて樹脂含浸した場合、ヒートサイクルの付加による樹脂の収縮により応力が作用しても第2のカバー部材は第1のカバー部材に対し隙間を有し配置されているから、前記収縮による応力を吸収して若干変形可能となるので、含浸樹脂の収縮応力を効果的に緩和できる。
本発明によれば、酸化物超電導層を備えた酸化物超電導積層体を第1のカバー部材と第2のカバー部材で2重に覆った構造を実現できるので、外部側から酸化物超電導層に水分が浸入することを抑制できる酸化物超電導線材を提供できる。この結果、水分の影響により超電導特性の劣化を生じ難い酸化物超電導線材を提供できる。
本発明に係る第1実施形態の酸化物超電導線材の横断面図である。 図1に示す酸化物超電導線材に組み込まれている超電導積層体の一例構造を示す断面斜視図である。 図1に示す酸化物超電導線材を製造する方法を説明するための工程図であり、図3(a)は複合超電導導体の裏面側に金属テープを沿わせた状態を示す断面図、図3(b)は複合超電導導体の表面側に金属テープを折り曲げた状態を示す断面図、図3(c)は複合超電導導体の表面側に金属テープの端縁を重ねた状態を示す断面図である。 本発明に係る第2実施形態の酸化物超電導線材の横断面図である。
以下、本発明に係る酸化物超電導線材の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る酸化物超電導線材の第1実施形態を模式的に示す横断面図であり、図2は図1に示す酸化物超電導線材に組み込まれている超電導積層体の一例構造を示す断面斜視図である。
本実施形態の酸化物超電導線材1は、内部に設けられている酸化物超電導積層体2の周囲を第1のカバー部材3で覆って複合超電導導体4を構成し、更にその周囲を第2のカバー部材9により覆った構造とされている。
本実施形態の酸化物超電導積層体2は、詳細には、図2に示すようにテープ状の基材5の一面上に、中間層6と酸化物超電導層7と保護層8とをこの順に積層してなる。
前記基材5は、可撓性を有する線材とするためにテープ状であることが好ましく、耐熱性の金属からなるものが好ましい。各種耐熱性金属の中でも、ニッケル合金からなることが好ましい。なかでも、市販品であれば、ハステロイ(米国ヘインズ社製商品名)が好適である。基材5の厚さは、通常は、10〜500μmである。また、基材5として、ニッケル合金に集合組織を導入した配向Ni−W合金テープ基材等を適用することもできる。
中間層6は、以下に説明する下地層と配向層とキャップ層からなる構造を一例として適用できる。
下地層を設ける場合は、以下に説明する拡散防止層とベッド層の複層構造あるいは、これらのうちどちらか1層からなる構造とすることができるが、下地層は必須ではなく、略しても差し支えない。
下地層として拡散防止層を設ける場合、窒化ケイ素(Si)、酸化アルミニウム(Al、「アルミナ」とも呼ぶ)、あるいは、GZO(GdZr)等から構成される単層構造あるいは複層構造の層が望ましく、厚さは例えば10〜400nmである。
下地層としてベッド層を設ける場合、ベッド層は、例えば、イットリア(Y)などの希土類酸化物であり、より具体的には、Er、CeO、Dy3、Er、Eu、Ho、La等を例示することができ、これらの材料からなる単層構造あるいは複層構造を採用できる。ベッド層の厚さは例えば10〜100nmである。
配向層は、その上方に形成する酸化物超電導層7と格子整合性の良い金属酸化物からなることが好ましい。配向層の好ましい材質として具体的には、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)、SrTiO、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等の金属酸化物を例示できる。配向層は、単層でも良いし、複層構造でも良い。
キャップ層は、好ましいものとして具体的には、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等が例示できる。キャップ層の材質がCeOである場合、キャップ層は、Ceの一部が他の金属原子又は金属イオンで置換されたCe−M−O系酸化物を含んでいても良い。CeOのキャップ層の膜厚は、50nm以上であればよいが、十分な配向性を得るには100nm以上が好ましい。但し、厚すぎると結晶配向性が悪くなるので、50〜5000nmの範囲とすることができる。
酸化物超電導層7は通常知られている組成の希土類系高温酸化物超電導体からなる薄膜を広く適用することができ、REBaCu7−X(REはY、La、Nd、Sm、Er、Gd等の希土類元素を表す)なる材質のもの、具体的には、Y123(YBaCu7−X)又はGd123(GdBaCu7−X)を例示できる。酸化物超電導層15の厚みは0.5〜5μm程度であって、均一な厚みであることが好ましい。
酸化物超電導層7の上面を覆うように形成されている保護層8は、AgまたはAg合金からなり、その厚さは1〜30μm程度とされている。
第1のカバー部材3は、CuやCu合金などの良導電材料のめっき層を酸化物超電導積層体2の周囲に被覆することにより形成されるか、CuやCu合金などの良電導性の金属テープをフォーミングなどの加工により折り曲げて酸化物超電導積層体2を取り囲むことにより形成されている。図1の構造では、銅の電解浴に酸化物超電導積層体2を浸漬して銅めっき層を構成した例として記載されている。なお、図1の構造に代わり、金属テープをフォーミング加工により酸化物超電導積層体2の表面側に折り曲げて第1のカバー部材3として設けた構造を採用しても良い。
第1のカバー部材3の厚さは特に限定されず、適宜調整可能であるが、良導電性の金属テープから構成される場合、その厚さを10〜300μmとすることができ、金属テープの折り曲げ時の取り扱い性を考慮すると、20〜100μmの範囲が好ましい。なお、酸化物超電導線材1を超電導限流器に使用する場合は、第1のカバー部材3をCu−Ni等の高抵抗金属材料から構成することが好ましい。
第1のカバー部材3を良導電性のめっき層から構成した場合、酸化物超電導層7が超電導状態から常電導状態に遷移しようとしたとき、第1のカバー部材3が保護層8とともに、酸化物超電導層7の電流を転流させるバイパスとして機能する。また、第1のカバー部材3が良導電性の金属テープからなる場合においても同様に、酸化物超電導線材1を安定化することができる。
第1のカバー部材3を金属めっき層から構成する場合は特に必要ではないが、第1のカバー部材3を金属テープから構成した場合、第1のカバー部材3は酸化物超電導積層体2の周面に半田層を介し接合されていることが好ましい。第1のカバー部材3とAgの保護層8が電気的および機械的に接続されることにより、保護層8と第1のカバー部材3との接合が強固となり、接続抵抗が低下するため、酸化物超電導層7を安定化する効果を向上できる。半田層を設ける場合にその厚さは、特に限定されず、適宜調整可能であるが、例えば、2〜20μm程度とすることができる。酸化物超電導積層体2の周面に第1のカバー部材3を半田で接合し、密着させることにより金属めっきの場合と同様に水分の浸入を防止することができる。
半田層を用いる場合は従来公知の半田より構成することができ、例えば、Sn−Ag系合金、Sn−Bi系合金、Sn−Cu系合金、Sn−Zn系合金などの鉛フリー半田、Pb−Sn系合金半田、共晶半田、低温半田などが挙げられ、これらの半田を1種または2種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、融点が300℃以下の半田を用いることが好ましい。これにより、300℃以下の温度で第1のカバー部材3と酸化物超電導積層体2を半田付けすることが可能となるので、半田付けの熱によって酸化物超電導層7の特性劣化を抑止できる。
第1のカバー部材3で酸化物超電導積層体2を覆って複合超電導導体4が構成されているが、更にその外方に、第1のカバー部材3の構成材料と同等材料からなる第2のカバー部材9が設けられている。
第2のカバー部材9は、複合超電導導体4よりも幅広の金属テープをロールフォーミングなどの方法により複合超電導導体4の外周を取り囲むように変形させてなる。第2のカバー部材9は、一側壁(底壁)9aと両側の側壁9bと他側壁(上壁)9cとからなり、一側壁9aを複合超電導導体4の底面側に半田付けして複合超電導導体4に一体化されている。なお、図1に示す構造においては、複合超電導導体4の底面側に酸化物超電導積層体2の基材5が配置されているので、第2のカバー部材9の一側壁9aは第1のカバー部材3を介して基材5に密着される。
第2のカバー部材9の側壁9bはその内側の複合超電導導体4の側面と若干の隙間d1をあけて配置され、第2のカバー部材9の他側壁9cはその内側の複合超電導導体4の上面と若干の隙間d2をあけて配置されている。
第2のカバー部材9の他側壁9cは第2のカバー部材9を構成する金属テープの端縁9d、9dどうしを重ね合わせ、重ね合わせ部分どうしを半田付けして構成されている。
なお、第2のカバー部材9の内面側には半田層11が被覆されているので、端縁9d、9dの重ね合わせ部分が半田層11を介し半田付けされ、第2のカバー部材9の一側壁9aと複合超電導導体4の底面側とが半田層11を介し半田付けされている。
以上説明のように、本実施形態の酸化物超電導線材1は、酸化物超電導積層体2を金属めっき製あるいは金属テープの第1のカバー部材3で完全に覆い、更に金属テープからなる第2のカバー部材9により覆う2重被覆構成であるため、外部から酸化物超電導層7まで水分が浸入し難く、酸化物超電導層7の水分による劣化を抑制できる。なお、第1のカバー部材3を銅めっき層で形成すると、第1のカバー部材3にはピンホールが生成されることがあるが、金属テープからなる第2のカバー部材3で更に覆っているので、密閉構造として強固な構造にできる。
また、本実施形態の酸化物超電導線材1を巻胴に巻回してコイル加工し、超電導マグネットを構成する場合、酸化物超電導線材1が電磁力で動かないように樹脂により固める場合がある。この場合、酸化物超電導線材1は樹脂層で覆われるので、酸化物超電導線材1を常温から液体窒素温度などの低温に冷却する場合、あるいは低温から常温に戻す場合、樹脂層の熱膨張係数と酸化物超電導線材1の熱膨張係数差に起因して酸化物超電導線材1に応力が作用する。
この場合、巻胴に巻回した酸化物超電導線材1において、第2のカバー部材9の内側に隙間d1、d2が形成されているので、上述の熱サイクルに起因する応力をこれらの隙間d1、d2で吸収することができる。このため、熱サイクルに起因する応力を受けても酸化物超電導線材1に対する応力負荷の小さい構造を提供できる。
なお、第2のカバー部材9を複合超電導導体4に被せる場合、複合超電導導体4の両側面と上面側に第2のカバー部材9を積極的に接合することなく複合超電導導体4の両側面と上面側に第2のカバー部材9を沿わせることで、隙間d1、d2を自然に形成することができる。
次に、本発明に係る酸化物超電導線材1の製造方法の一実施形態について図面に基づいて説明する。
図3は本発明に係る酸化物超電導線材の製造方法の一実施形態の工程を説明するための工程説明図である。
本実施形態の酸化物超電導線材の製造方法においては、まず、テープ状の基材5の一方の面上に中間層6と酸化物超電導層7と保護層8とをこの順に積層した酸化物超電導積層体2を第1のカバー部材3で覆った構造の複合超電導導体4を準備する。
この複合超電導導体4を製造するには、まず、酸化物超電導積層体2を作製後、酸化物超電導積層体2を銅の電解浴に浸漬して引き上げ、Cuの被覆層からなる第1のカバー部材を形成して複合超電導導体4を形成するか、酸化物超電導積層体2を取り囲むように金属テープをフォーミングにより変形させつつはんだ付けして第1のカバー部材3を設けることで複合超電導導体4を形成する。
次に、複合超電導導体4よりも幅広で、且つ片面に半田層13Aが形成された金属テープ13を準備する第1工程と、複合超電導導体4の底面側に半田層13Aを介して金属テープ13を積層する第2工程(図3(a)参照)と、金属テープ13を複合超電導導体4の幅方向の側面に沿って隙間d1をあけて折り曲げた後に複合超電導導体4の上面側に沿って折り曲げ、金属テープ13の幅方向両端縁13P、13Qを複合超電導導体4の上面側に隙間d2をあけて被せる第3工程(図3(b)(c)参照)と、半田層13Aを溶融凝固させて複合超電導導体4の外周面に第2のカバー部材9を形成する第5の工程、を順次行うことで酸化物超電導線材1を作製することができる。
図4は、本発明に係る第2実施形態の酸化物超電導線材を示すもので、この第2実施形態の酸化物超電導線材30において、先の第1実施形態の構造と同じ構成要素には同一の符号を付してそれら同一要素の説明を簡略化する。
第2実施形態の構造において、テープ状の基材5の一方の面上に中間層6と酸化物超電導層7と保護層8をこの順に積層して酸化物超電導積層体2が構成され、これを第1のカバー部材3で覆って複合超電導導体4が構成されている点は第1実施形態の構造と同等である。また、第1のカバー部材3の外方に第2のカバー部材9が配置されている点、複合超電導導体4との間に隙間d1、d2が形成されている点も同等である。
第2実施形態の酸化物超電導線材30において異なっているのは、第1カバー部材3と第2カバー部材9の他側壁9cとの間に潤滑剤層(グリース層)31が形成されている点である。
酸化物超電導線材1は液体窒素温度以下の低温に冷却されて使用されるので、この温度域の低温で使用できるグリースとして、アピエゾングリース( M&I Materials Ltd 社商品名 )などの低温対応仕様のグリースを用いることができる。
以上構成の第2実施形態の酸化物超電導線材30において、酸化物超電導積層体2を第1のカバー部材3と第2のカバー部材9により2重に覆う構造については、第1実施形態の構造と同等であるので、第1実施形態の構造で得られる作用効果について同等の作用効果を得ることができる。
即ち、外部から酸化物超電導層7まで水分が浸入し難く、酸化物超電導層7の水分による劣化を抑制できる酸化物超電導線材30を提供できる。
また、酸化物超電導線材30を巻胴に巻回した構造において、第2のカバー部材9の内側に隙間d1、d2が形成されているので、熱サイクルに起因する応力をこれらの隙間d1、d2で吸収することができる。このため、熱サイクルに起因する応力を受けても酸化物超電導線材30に対する応力負荷の小さい構造を提供できる。
また、本実施形態の酸化物超電導線材30において、潤滑剤層31を設けているので、熱サイクルに起因する応力を受けた場合に潤滑材層31が応力を吸収して第2のカバー部材9が若干変形可能となるので、含浸樹脂からの応力を効果的に緩和できる。
ハステロイC−276(米国ヘインズ社商品名)からなる幅10mm、厚さ0.1mm、長さ10mのテープ状の基材上に、Alの拡散防止層(a−Alの厚さ80nm)と、Yのベッド層(a−Yの厚さ30nm)と、MgOの中間層(IBAD−MgOの厚さ10nm)と、CeOのキャップ層(厚さ300nm)とYBaCu7−xなる組成の酸化物超電導層を積層した酸化物超電導積層体を用意した。この酸化物超電導積層体をCuの電解浴に浸漬し、全周に厚さ20μmのCuめっき層を形成し、このCuめっき層を第1のカバー部材とした複合超電導導体を得た。
この複合超電導導体に対し、Cuのテープ(厚さ20μm)をロール圧延法によるテープフォーミングにより第2のカバー部材として被覆して酸化物超電導線材を作製した。
Cuのテープをテープフォーミングにより複合超電導導体に被着する場合、複合超電導導体の両側面と上面を覆うように第2のカバー部材を被せた。この結果、複合超電導導体の両側面側に0.01mm、複合超電導導体の上面側に0.01mmの隙間が空いた状態で第2のカバー部材により複合超電導導体を覆うことができた。
また、第2のカバー部材の一面に半田層(厚さ5μm:純スズ製)を形成しておき、Cuのテープをテープフォーミングにより加工して第2のカバー部材を形成する際、複合超電導導体の底面側に第2のカバー部材を半田付けするとともに、複合超電導導体の上面側に重ねたCuのテープの端縁部分どうしを半田付けして図1に示す断面構造の酸化物超電導線材を得た。
この酸化物超電導線材を外径100mmの巻胴に巻回し、エポキシ樹脂を含浸させて樹脂含浸型の超電導コイルを作製した。この超電導コイルを液体窒素に浸漬して室温から液体窒素温度(77K)まで冷却し、この超電導コイルを液体窒素から取り出して室温に戻す処理を10サイクル行う、熱サイクル試験を行った。
その結果、10サイクルの熱サイクル試験後も第2カバー部材に剥離部などの欠陥は認められなかった。
次に、先の複合超電導導体に対し、Cuのテープをテープフォーミングにより加工して第2のカバー部材を形成する際、隙間を空けることなく第1のカバー部材の外側に密着するように第2のカバー部材をテープフォーミングにより被覆し、比較例の酸化物超電導線材を作製した。第2のカバー部材を形成する金属テープには先の例と同様に厚さ5μmの半田層を形成してあるので、第2のカバー部材は第1のカバー部材に半田層を介して全周密着した構造とされている。
この比較例の酸化物超電導線材について先と同様の10サイクルの熱サイクル試験を行ったところ、試験後の酸化物超電導線材において、第2のカバー部材の一部に剥離部を生じた。これは、室温と液体窒素温度に10回の繰り返し熱履歴を受けた結果、熱膨張係数差に起因し、剥離が生じたためであると思われる。
実施例と比較例の対比から、第1のカバー部材と第2のカバー部材で酸化物超電導積層体を2重に被覆する場合、第1のカバー部材と第2のカバー部材を半田により完全に密着させてしまうと、室温と液体窒素温度の間の繰り返し熱履歴により第2のカバー部材に剥離を生じてしまうことが分かった。このため、先の例のように第2のカバー部材を第1のカバー部材に対し隙間をあけて配置することが有効であると判明した。
1…酸化物超電導線材、2…酸化物超電導積層体、3…第1のカバー部材、4…複合超電導導体、5…基材、6…中間層、7…酸化物超電導層、8…保護層、9…第2のカバー部材、9a…一側壁(底壁)、9b…側壁、9c…他側壁(上壁)、d1、d2…隙間、10、11…半田層、13…金属テープ、30…酸化物超電導線材、31…潤滑剤層。

Claims (6)

  1. テープ状の基材の一方の面上に中間層と酸化物超電導層と保護層をこの順に積層して酸化物超電導積層体が構成され、該酸化物超電導積層体を金属からなる第1のカバー部材で覆って複合超電導導体が構成され、該複合超電導導体の周囲に金属からなる第2のカバー部材が前記複合超電導導体の第1のカバー部材の一面に半田接合し、他の面に接合することなく前記第1のカバー部材の周面を覆うように設けられたことを特徴とする酸化物超電導線材。
  2. 前記第2のカバー部材において前記第1のカバー部材と半田接合された面を除く他の面が前記第1のカバー部材に対し隙間をあけて前記第1のカバー部材の周囲に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導線材。
  3. 前記第1のカバー部材が前記超電導積層体の周面に密着して形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化物超電導線材。
  4. 前記第1のカバー部材と前記第2のカバー部材の間に潤滑材層が挿入されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の酸化物超電導線材。
  5. テープ状の基材の一方の面上に中間層と酸化物超電導層と保護層をこの順に積層して酸化物超電導積層体が構成され、該酸化物超電導積層体を金属からなる第1のカバー部材で覆って構成された複合超電導導体を用い、
    金属テープを前記複合超電導導体に被せてその周面を覆い、前記複合超電導導体を覆った金属テープの端部同士を該複合超電導導体の一側で重ねて接合し第2のカバー部材を形成し、該接合側と反対側の前記複合超電導導体の一面を前記金属テープに半田付けすることを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法。
  6. 前記金属テープを前記複合超電導導体に被せてその周面を覆い、前記金属テープの端部同士を接合する際、端部同士を接合した側の前記複合超電導導体の一面側と該複合超電導導体の両側面側に対し、前記金属テープと前記複合超電導導体との間に隙間を設けることを特徴とする請求項5に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016110784A (ja) * 2014-12-04 2016-06-20 株式会社フジクラ 超電導線材及びこれを使用した超電導コイル
WO2017104297A1 (ja) * 2015-12-18 2017-06-22 株式会社フジクラ 酸化物超電導線材の製造方法及び超電導コイルの製造方法

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