JP2014107149A - 酸化物超電導線材並びに当該酸化物超電導線材の接続構造体 - Google Patents

酸化物超電導線材並びに当該酸化物超電導線材の接続構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化物超電導線材並びに当該酸化物超電導線材の接続構造体及び接続方法の提供を目的とする。
【解決手段】テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層と安定化層が積層された酸化物超電導積層体の接続しようとする端部がめっき被覆層により覆われて形成される第1及び第2の酸化物超電導線材の接続構造体であって、前記第1及び第2の酸化物超電導線材の互いの端部近傍の前記安定化層同士が対向して配置され、前記端部近傍の安定化層及び前記めっき被覆層が導電性接合材により接合されていることを特徴とする酸化物超電導線材の接続構造体。
【選択図】図2

Description

本発明は、酸化物超電導線材並びに当該酸化物超電導線材の接続構造体に関する。
近年Bi系超電導線材BiSrCaCu8+δ(Bi2212)、BiSrCaCu10+δ(Bi2223)やRE−123系超電導線材REBaCu7−x(RE123:REはYやGdなどを含む希土類元素)といった酸化物超電導線材の開発が進んでいる。これら酸化物超電導線材は、臨界温度が90〜100K程度であり、液体窒素温度以上で超電導性を示すため、実用上極めて有望な素材とされており、これを線材に加工して電力供給用の導体あるいは超電導コイル等として使用することが要望されている。
Bi系の超電導線材は、Bi系の超電導層をAgのシース材で被覆した状態となるようにPowder In Tube法(PIT法)などにより製造された構造となっている。一方、RE−123系超電導線材は、テープ状の金属基材上に中間層を介し成膜法により酸化物超電導層を積層し、さらに前記酸化物超電導層上に薄い銀の保護層を形成し、その上に銅などの良導電性金属材料からなる安定化層を設けた構造が採用されている。
ところで、RE−123系酸化物超電導線材は水分と接触すると水分と反応し超電導特性が低下することが知られている。したがって、酸化物超電導線材に水分を付着させることが無いように保管及び使用することが求められる。しかしながら、長期間の使用において室温と低温のヒートサイクルに伴う結露などで水分が付着する虞があるため、酸化物超電導線材の長期的信頼性を確保するためには、酸化物超電導層の全周を何らかの層で保護する構造を採用する必要がある。例えば、金属基材上に中間層と酸化物超電導層を積層したテープ状の酸化物超電導積層体を備え、両縁部を折り曲げた横断面C型形状の補強テープ線で前記酸化物超電導積層体を覆い重なり部を半田付けすることで、前記酸化物超電導積層体を外部から遮断した構造が知られている。
また、RE−123系の酸化物超電導線材を実用機器に応用するために、酸化物超電導線材を接続する技術が要望されている。例えば、特許文献1には、図4に示すように一対の酸化物超電導線材202、203を、半田222により接合し、その周囲を、被覆材210によって被覆した接続構造体230が開示されている。被覆材210としては、半田もしくはエポキシ樹脂等が挙げられている。
再公表WO2001/033580号公報
しかしながら、特許文献1に記載の接続構造体230において、被覆材210は接続部分を外部から完全に遮断する機能を有していないため、酸化物超電導線材202、203の端部202a、203aに水分が浸入し、酸化物超電導線材202、203の酸化物超電導層が劣化する虞があった。
接続構造体230の被覆材210として半田を用いる場合においては、酸化物超電導線材202、203の基材及び酸化物超電導層は、半田と馴染み性が悪く半田が付きにくいため、端部202a、203aを完全に被覆することが困難であり、水分が浸入する虞があった。
また、被覆材210としてエポキシ樹脂等を用いる場合においては、酸化物超電導線材202、203と被覆材210との密着性が十分ではないため、酸化物超電導線材202、203と被覆材210の境界面から水分が浸入する虞があった。
即ち、特許文献1に記載の接続構造体230は、水分の浸入による酸化物超電導層の劣化を完全に抑制することができず、酸化物超電導線材202、203の超電導特性が低下する虞があった。
本発明は、以上のような実情に鑑みなされたものであり、端部において水分の浸入による超電導特性の低下を防ぐ酸化物超電導線材、並びに接続部分において水分の浸入による超電導特性の低下を防ぐ酸化物超電導線材の接続構造体を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明の酸化物超電導線材は、テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層と安定化層が積層されてなる酸化物超電導積層体の長さ方向端部がめっき被覆層により覆われたことを特徴とする。
本発明によれば、酸化物超電導積層体の長さ方向端部がめっき被覆層により覆われて酸化物超電導線材を形成することによって、端部からの水分の浸入が防がれ、酸化物超電導線材の水分による劣化を抑制することができる。
また、本発明の酸化物超電導線材は、前記の酸化物超電導線材であって、前記酸化物超電導積層体の外周が、金属層で覆われてなることを特徴とする。
酸化物超電導積層体の外周が金属層で覆われていることで、酸化物超電導積層体の側面からの水分の浸入を防ぎ、酸化物超電導層の劣化を防ぐことができる。
また、本発明の酸化物超電導線材は、前記の酸化物超電導線材であって、前記めっき被覆層の厚さが、10〜100μmであることを特徴とする。
めっき被覆層の厚さを10μmより小さい場合においては、めっき被覆層にピンホールが発生する可能性があり、水分の浸入を確実に防ぐことができない虞がある。また、めっき被覆層の厚さが100μmを超える場合は、酸化物超電導線材の端部の厚みが厚くなりすぎるため望ましくない。したがって、めっき被覆層の厚さは10μm以上、100μm以下であることが望ましい。
また、本発明の酸化物超電導線材は、前記の酸化物超電導線材であって、前記めっき被覆層が、無電解めっき又は無電解めっき上に電解めっきを施したものであることを特徴とする。
本発明によれば、無電解めっき又は無電解めっき上に電解めっきを施しためっき被覆層を形成することで、端部からの水分の浸入を確実に防ぐことができる。
なお、めっき被覆層を構成する金属としては、銅、ニッケル、金、銀、クロム、錫などを挙げることができ、これ等の金属のうち一種又は二種以上を組み合わせて用いる事ができる。
本発明の酸化物超電導線材の接続構造体は、テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層と安定化層が積層されてなる酸化物超電導積層体の接続しようとする端部がめっき被覆層により覆われた第1及び第2の酸化物超電導線材の接続構造体であって、前記第1及び第2の酸化物超電導線材の互いの端部近傍の前記安定化層同士が対向して配置され、前記端部近傍の安定化層及び前記めっき被覆層が導電性接合材により接合されていることを特徴とする。
本発明によれば、接続部分において、酸化物超電導積層体の端部がめっき被覆層により覆われて酸化物超電導線材を形成することによって、接続部での水分の浸入による酸化物超電導線材の劣化を抑制することができる。
また、本発明の酸化物超電導線材の接続構造体は、テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層と安定化層が積層されてなる酸化物超電導積層体の接続しようとする端部がめっき被覆層により覆われた第1及び第2の酸化物超電導線材と、テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層と安定化層が積層されてなる酸化物超電導積層体の第1及び第2端部がめっき被覆層により覆われた第3の酸化物超電導線材とを有し、前記第1及び第2の酸化物超電導線材が、前記接続しようとする端部同士を隣接させ、基材に対して酸化物超電導層を形成した側を揃えて配置され、前記隣接された端部を跨るように、前記第1及び第2の酸化物超電導線材の安定化層に前記第3の酸化物超電導体の安定化層が橋渡しされ、前記第1の酸化物超電導線材の前記端部近傍の安定化層及び前記めっき被覆層と、第3の酸化物超電導線材の第1端部近傍の安定化層及び前記めっき被覆層とが、導電性接合材により接合され、前記第2の酸化物超電導線材の前記端部近傍の安定化層及び前記めっき被覆層と、第3の酸化物超電導線材の第2端部近傍の安定化層及び前記めっき被覆層とが、導電性接合材により接合されていることを特徴とする。
本発明によれば、接続部での水分の浸入による酸化物超電導線材の劣化を抑制することができる上に、接続する一対の酸化物超電導線材が積層方向を揃えて配置されているため、接続部分で酸化物超電導線材の表裏の逆転がない。
また、本発明の酸化物超電導線材の接続構造体は、前記酸化物超電導積層体の外周が、金属層で覆われていることを特徴とする。
酸化物超電導積層体の外周が金属層で覆われていることで、酸化物超電導積層体の側面からの水分の浸入を防ぎ、酸化物超電導層の劣化を防ぐことができる。
また、本発明の酸化物超電導線材の接続構造体は、前記めっき被覆層の厚さが、10〜100μmであることを特徴とする。
めっき被覆層の厚さを10μmより小さい場合においては、めっき被覆層にピンホールが発生する可能性があり、水分の浸入を確実に防ぐことができない虞がある。また、めっき被覆層の厚さが100μmを超える場合は、酸化物超電導線材の端部の厚みが厚くなりすぎるため望ましくない。したがって、めっき被覆層の厚さは10μm以上、100μm以下であることが望ましい。
また、本発明の酸化物超電導線材の接続構造体は、前記めっき被覆層が、無電解めっき又は無電解めっき上に電解めっきを施したものであることを特徴とする。
本発明によれば、無電解めっき又は無電解めっき上に電解めっきを施しためっき被覆層を形成することで、接続部からの水分の浸入を確実に防ぐことができる。
なお、めっき被覆層を構成する金属としては、銅、ニッケル、金、銀、クロム、錫などを挙げることができ、これ等の金属のうち一種又は二種以上を組み合わせて用いる事ができる。
本発明によれば、酸化物超電導積層体の長さ方向端部がめっき被覆層により被覆されて酸化物超電導線材を形成することによって、端部から酸化物超電導積層体への水分の浸入が防がれ、水分による超電導特性の低下を抑制することができる。
また、本発明の酸化物超電導線材を接続し、接続構造体を構成する場合においては、酸化物超電導積層体の接続しようとする端部がめっき被覆層により被覆されてなる酸化物超電導線材を用いて接続構造体を構成することによって、接続部分において酸化物超電導積層体への水分の浸入が防がれ、水分による超電導特性の低下を抑制することができる。
図1(a)は、本発明に係る酸化物超電導積層体及びその端部を示す模式図であり、図1(b)は、本発明に係る酸化物超電導線材及びその端部を示す模式図である。 本発明に係る接続構造体の第1実施形態を示す模式図であり、図2(a)が正面模式図、図2(b)が断面模式図である。 本発明に係る接続構造体の第2実施形態を示す模式図であり、図3(a)が正面模式図、図3(b)が断面模式図である。 従来例としての酸化物超電導線材の接続構造体を示す。
以下、本発明に係る酸化物超電導線材の一実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
(酸化物超電導線材の実施形態)
図1(a)は、本発明に係る酸化物超電導積層体20の端部20aを示す模式図であり、図1(b)は、本発明に係る酸化物超電導線材1の端部1aを示す模式図である。本実施形態の酸化物超電導線材1は、テープ状であり、酸化物超電導積層体20の長さ方向端部20aをめっき被覆層21により被覆して形成されている。
図1(a)、(b)を基に、酸化物超電導線材1の各構成要素に関して詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1(b)に示す酸化物超電導線材1は、図1(a)に示す酸化物超電導積層体20の端部20aを所定幅に渡りめっき被覆層21により取り囲むことにより形成されている。酸化物超電導積層体20は、テープ状の基材10に中間層11、酸化物超電導層12、保護層13、安定化層14が積層された構造を有する。なお、本実施形態において、安定化層14を構成する金属は、前記酸化物超電導積層体20の外周を覆う金属層としての役割も果たす。
基材10は、通常の酸化物超電導線材の基材として使用し得るものであれば良く、可撓性を有する長尺のテープ状であることが好ましい。また、基材10に用いられる材料は、機械的強度が高く、耐熱性があり、線材に加工することが容易な金属を有しているものが好ましく、例えば、ステンレス鋼、ハステロイ等のニッケル合金等の各種耐熱性金属材料、もしくはこれら各種金属材料上にセラミックスを配した材料などが挙げられる。中でも、市販品であれば、ハステロイ(商品名、米国ヘインズ社製)が好適である。このハステロイの種類には、モリブデン、クロム、鉄、コバルト等の成分量が異なる、ハステロイB、C、G、N、W等が挙げられ、ここではいずれの種類も使用できる。また、基材10として、ニッケル合金に集合組織を導入した配向Ni−W合金テープ基材等を適用することもできる。基材10の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、通常は10〜500μm、好ましくは20〜200μmである。
中間層11は、拡散防止層、ベッド層、配向層、及びキャップ層がこの順に積層された構造を適用することができる。
拡散防止層は、この層よりも上面に他の層を形成する際に加熱処理した結果、基材10や他の層が熱履歴を受ける場合に、基材10の構成元素の一部が拡散し、不純物として酸化物超電導層12側に混入することを抑制する機能を有する。拡散防止層の具体的な構造としては、上記機能を発現し得るものであれば特に限定されないが、不純物の混入を防止する効果が比較的高いAl、Si、又はGZO(GdZr)等から構成される単層構造あるいは複層構造が望ましい。
ベッド層は、基材10と酸化物超電導層12との界面における構成元素の反応を抑え、この層よりも上面に設ける層の配向性を向上させるために用いられる。ベッド層の具体的な構造としては、上記機能を発現し得るものであれば特に限定されないが、耐熱性が高いY、CeO、La、Dy、Er、Eu、Ho、などの希土類酸化物から構成される単層構造あるいは複層構造が望ましい。
配向層は、その上に形成されるキャップ層や酸化物超電導層12の結晶配向性を制御したり、基材10の構成元素が酸化物超電導層12へ拡散することを抑制したり、基材10と酸化物超電導層12との熱膨張率や格子定数といった物理的特性の差を緩和したりする機能等を有するものである。配向層の材料には、上記機能を発現し得るものであれば特に限定されないが、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)等の金属酸化物を用いると、後述するイオンビームアシスト蒸着法(以下、IBAD法と呼ぶことがある。)において、結晶配向性の高い層が得られ、キャップ層や酸化物超電導層12の結晶配向性をより良好なものとすることができるため、特に好適である。
キャップ層は、酸化物超電導層12の結晶配向性を配向層と同等ないしそれ以上に強く制御したり、酸化物超電導層12を構成する元素の中間層11への拡散や、酸化物超電導層12の積層時に使用するガスと中間層11との反応を抑制したりする機能等を有するものである。キャップ層の材料には、上記機能を発現し得るものであれば特に限定されないが、CeO、LaMnO、Y、Al、Gd、ZrO、Ho、Nd、Zr等の金属酸化物が酸化物超電導層12との格子整合性の観点から好適である。そのなかでも、酸化物超電導層12とのマッチング性から、CeO、LaMnOが特に好適である。
ここで、キャップ層にCeOを用いる場合、キャップ層は、Ceの一部が他の金属原子又は金属イオンで置換されたCe−M−O系酸化物を含んでいても良い。
酸化物超電導層12は、超電導状態の時に電流を流す機能を有するものである。酸化物超電導層12に用いられる材料には、通常知られている組成の酸化物超電導体からなるものを広く適用することができ、例えば、RE−123系超電導体、Bi系超電導体などの銅酸化物超電導体などが挙げられる。RE−123系超電導体の組成は、例えば、REBaCu(7−x)(REはY、La、Nd、Sm、Er、Gd等の希土類元素、xは酸素欠損を表す。)が挙げられ、具体的には、Y123(YBaCu(7−x))、Gd123(GdBaCu(7−x))が挙げられる。Bi系超電導体の組成は、例えば、BiSrCan−1Cu4+2n+δ(nはCuOの層数、δは過剰酸素を表す。)が挙げられる。この銅酸化物超電導体は、母物質が絶縁体であるが、酸素を取り込むことで超電導体となり、超電導特性を示す性質を持っている。ここで、本発明に用いられる酸化物超電導層12の材料は、銅酸化物超電導体であり、以下、特に指定がなければ、酸化物超電導層12に用いる材料を銅酸化物超電導体とする。
保護層13は、事故時に発生する過電流をバイパスしたり、酸化物超電導層12とこの層よりも上面に設ける層との間で起こる化学反応を抑制し、一方の層の元素の一部が他方の層側に侵入して組成がくずれることにより起こる超電導特性が低下するのを防いだりするなどの機能を有するものである。また、酸化物超電導層12に酸素を取り込ませやすくするために、加熱時には酸素を透過しやすくさせる機能も有する。このため、保護層13は、Agあるいは少なくともAgを含む材料から形成されることが好ましい。また、保護層13を形成する材料は、Au、Ptなどの貴金属を含む混合物もしくは合金であってもよく、これらを複数用いてもよい。
図1(a)の保護層13は、酸化物超電導層12の上面のみに設けられているが、保護層13は、基材10に中間層11と酸化物超電導層12とを積層した線材の全周に形成しても良い。
保護層13上に積層された安定化層14は、良導電性の金属材料からなり、酸化物超電導層12が何らかの原因で超電導状態から常電導状態に遷移しようとした時に、保護層13とともに、酸化物超電導層12の電流が転流するバイパスとして機能する。保護層13はその機能により安定化層14の一部とみなすことができる。
安定化層14を構成する金属材料としては、良導電性を有するものであればよく、特に限定されないが銅、黄銅(Cu−Zn合金)、Cu−Ni合金等の銅合金、ステンレス等の比較的安価な材質からなるものを用いることが好ましく、中でも高い導電性を有し、安価であることから銅製が好ましい。また、安定化層14の厚さは特に限定されず、適宜調整可能であるが、10〜300μmとすることができる。
安定化層14の形成方法は特に限定されないが、本実施形態においては、銅などの良導電性材料よりなる金属テープを半田などの導電性接合材(図示略)を介し保護層13上に貼り付けることで積層して形成したものである。
保護層13上に金属テープを貼り付ける際に用いる導電性接合材(図示略)として半田を使用する場合、半田は特に限定されるものではなく従来公知の半田を使用可能である。例えば、Sn、Sn−Ag系合金、Sn−Bi系合金、Sn−Cu系合金、Sn−Zn系合金などのSnを主成分とする合金よりなる鉛フリー半田、Pb−Sn系合金半田、共晶半田、低温半田などが挙げられ、これらの半田を一種又は二種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、融点が300℃以下の半田を用いることが好ましい。これにより、300℃以下の温度で金属テープと保護層13を半田付けすることが可能となるので、半田付けの熱によって酸化物超電導層12の特性が劣化することを抑止できる。
本実施形態において安定化層14は、保護層13上に半田を介して貼り付けられるとともに、基材10、中間層11、酸化物超電導層12、保護層13を積層した積層物15の全周を覆う金属層としての役割を果たす。即ち、安定化層(金属層)14は、基材10において中間層11を形成していない側の裏面中央部を除いた積層物15の周面を横断面C字型をなすように覆っている。安定化層14は、金属テープをロール等でフォーミングし積層物15の周囲に被着して金属層として構成することができる。安定化層14により覆われていない基材10の裏面側の中央部は半田層16により覆われ、半田層16は安定化層14の端縁同士が形成する凹部を埋めるように形成されている。
酸化物超電導積層体20の外周が金属テープ等からなる金属層(安定化層14)及び半田層16で覆われていることで、酸化物超電導積層体20の側面からの水分の浸入を防ぎ、酸化物超電導層12の劣化を防ぐことができる。
また、上述したように金属テープをフォーミングし積層物15の周面を覆うように金属層(安定化層14)を形成する他に、積層物15の外周全体にめっきを施すことにより被覆し、積層部15外周の金属層(安定化層14)を一体的に形成しても良い。この場合、めっき層の厚さは、10μm以上とすることで、ピンホールのないめっき層を形成することが可能となり、水分の浸入を確実に防ぐことができる。
図1(a)に示す酸化物超電導積層体20の端部20aは、露出している。したがって空気中等に含まれる水分と反応し超電導特性が低下する虞がある。そこで、端部20aと端部20a近傍の安定化層14を端部20aからの長さLに渡りめっき被覆層21により取り囲むように被覆する。これによって水分の浸入を防ぐことができる構造を有する酸化物超電導線材1(図1(b))を形成する。
酸化物超電導積層体20の端部20aを被覆するめっき被覆層21の厚さとしては、10μm以上100μm以下が望ましい。めっき被覆層21の厚さが10μmより小さい場合においては、めっき被覆層21にピンホールが発生する可能性があり、当該ピンホールより水分が浸入する虞がある。
また、めっき被覆層21の厚さが100μmを超える場合は、酸化物超電導線材1の端部1aにおいて、酸化物超電導線材1の厚みが厚くなりすぎて、使用上不都合が生じる場合があるのみならず、めっきコストの増加を招く。加えて、この酸化物超電導線材1を接続して後述する接続構造体を形成する場合において、当該接続構造体を積層方向に沿って曲げて使用する際に、めっき被覆層21の厚みによって、接続部分の酸化物超電導層12に過大な応力が発生し、酸化物超電導層12の結晶構造が破壊される虞があるため望ましくない。よって、めっき被覆層21の厚さは10μm以上100μm以下であることが望ましい。
常温では基材10や酸化物超電導層12等は、保護層13や安定化層14に比べて電気抵抗が大きいため、通常の電解めっき法のみでは端面を金属でめっきすることは困難である。したがって、無電解めっきのみで10μm以上の厚さを有するめっき被覆層21を形成するか、または無電解めっき法により金属で端面を覆った後、電解めっき法によりさらに金属層を厚くする方法をとることができる。
めっき被覆層21に使用する金属としては、銅、ニッケル、金、銀、クロム、錫などを挙げることができ、これ等の金属のうち一種又は二種以上を組み合わせて用いる事ができる。
めっき被覆層21で覆われる酸化物超電導積層体20の長手方向の長さLに関しては、酸化物超電導積層体20の端部20aが完全に覆われていれば、どのような長さでも構わない。しかしながら、酸化物超電導線材1を電極に接続する場合、または他の酸化物超電導線材1と接続し接続構造体を形成する場合において、長手方向の長さLが長すぎると接続抵抗が増加するのみならず、めっきコストが増加するため長さLはできるだけ短くすることが好ましく、例えば10mm以下であることが望ましい。
(接続構造体の第1実施形態)
以下、本発明に係る接続構造体の一実施形態について図面に基づいて説明する。
図2に本発明の第1実施形態に係る第1及び第2の酸化物超電導線材2、3を接続した接続構造体30について説明する。
なお、本実施形態の接続構造体30において接続される、第1及び第2の酸化物超電導線材2、3は、図1(a)、(b)を基に説明した酸化物超電導線材1と同形態である。
即ち、第1及び第2の酸化物超電導線材2、3は、図2(b)に示すように、テープ状の基材10に中間層11、酸化物超電導層12、保護層13と安定化層14が積層された構造を有しており、特に安定化層14は基材10において中間層11を形成していない側の裏面中央部を除いて積層物15の周面を横断面C字型をなすように覆っている。安定化層14により覆われていない基材10の裏面側の中央部は半田層16(図1(a)参照)により覆われ、半田層16は安定化層14の端縁どうしが形成する凹部を埋めるように形成され、酸化物超電導積層体20の外周から水分が浸入しない酸化物超電導積層体20を形成している。また、酸化物超電導積層体20の接続しようとする端部20aは、めっき被覆層21により所定の長さ被覆されており、第1及び第2の酸化物超電導線材2、3を形成している。
酸化物超電導積層体20の端部20aを被覆するめっき被覆層21の厚さとしては、10μm以上水分の浸入を確実に防ぐことができる。また、めっき被覆層21の厚さを100μm以下とすることで、接続構造体30の厚さを薄くすることができるのみならず、めっきコストの増加を抑えることができる。加えて、接続構造体30を積層方向に沿って曲げて使用する際に、めっき被覆層21の厚みによって、接続部分の酸化物超電導層12に過大な応力が発生し、酸化物超電導層12の結晶構造が破壊される虞があるため望ましくない。
図2(a)に示すように、接続構造体30は、第1の酸化物超電導線材2及び第2の酸化物超電導線材3を接続する構造体であって、前記第1及び第2の酸化物超電導線材2、3の互いの端部2a、3a近傍が重ね合わされ、端部2a、3a近傍の安定化層14及びめっき被覆層21が導電性接合材22により接合され、接続されている。
図1(b)を基に説明したように、めっき被覆層21によって覆われる第1及び第2の酸化物超電導線材2、3の長手方向の長さLは、10mm以下とされることが好ましい。なお、めっきする金属としては、銅、ニッケル、金、銀、クロム、錫などを挙げることができ、これ等の金属のうち一種又は二種以上を組み合わせて用いる事ができる。
接続される第1及び第2の酸化物超電導線材2、3の端部2a、3a近傍の重ね合わせ部の長さHは、端部2a、3a近傍のめっき被覆層21、21によって覆われる第1及び第2の酸化物超電導線材2、3の長手方向の長さL、Lに依存して決定される。即ち、第1及び第2の酸化物超電導線材2、3は、その端部2a、3a近傍の重ね合わせ部の長さから、めっき被覆層21によって覆われる第1及び第2の酸化物超電導線材2、3の長手方向の長さLを除いた、安定化層14の重ね合わせ部の長さd(即ちd=H−2L)を用いて表され、dは、10〜1000mmが望ましい。
安定化層14の重ね合わせ部の長さdを大きくすることで、第1の酸化物超電導線材2から第2の酸化物超電導線材3、あるいは第2の酸化物超電導線材3から第1の酸化物超電導線材2への電流経路において、電流方向に対する導電性接合材22の断面積を大きくすることができ、全体として接続構造体30の接続部分における抵抗値を抑制することができる。したがって、安定化層14の重ね合わせ部の長さdは、長いほうが接続部分の電気抵抗の観点において好ましく、具体的には、10mm以上であることが望ましく、30mm以上であることがより好ましい。しかしながら、安定化層14の重ね合わせ部の長さdが1000mmを超える場合は、接続部分が長くなりすぎて、接続構造体30の屈曲性が悪くなる。したがって、安定化層14の重ね合わせ部の長さdは、1000mm以下が望ましく、200mm以下であることがより好ましい。
図2(b)に示すように、接続構造体30において、第1の酸化物超電導線材2と第2の酸化物超電導線材3は、基材10に対して酸化物超電導層12が積層される側を対向させて重ね合わせることが望ましい。このように重ね合わせることで、接続部での電気抵抗が低い接続構造体30を構成することができる。
第1及び第2の酸化物超電導線材2、3を接合する導電性接合材22として、半田を使用することができる。導電性接合材22としての半田は、従来公知の半田を使用可能であり、例えば、Sn、Sn−Ag系合金、Sn−Bi系合金、Sn−Cu系合金、Sn−Zn系合金などのSnを主成分とする合金よりなる鉛フリー半田、Pb−Sn系合金半田、共晶半田、低温半田などが挙げられ、これらの半田を一種又は二種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、融点が300℃以下の半田を用いることが好ましい。これにより、300℃以下の温度で金属テープと保護層13を半田付けすることが可能となるので、半田付けの熱によって酸化物超電導層12の特性が劣化することを抑止できる。
以上説明したように、接続構造体30は、その接続部分において酸化物超電導積層体20の接続しようとする端部20aがめっき被覆層21により被覆されてなる第1及び第2の酸化物超電導線材2、3を用いて構成されることによって、接続部分において酸化物超電導積層体20への水分の浸入が防がれ、水分による超電導特性の低下を抑制することができる。
(接続構造体の第2実施形態)
以下、本発明に係る接続構造体の一実施形態について図面に基づいて説明する。
図3に本発明の第2実施形態に係る第1及び第2の酸化物超電導線材4、5を接続した接続構造体31について説明する。上述の第1実施形態と同一の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
なお、本実施形態の接続構造体31において接続される、第1及び第2の酸化物超電導線材4、5は、図1(a)、(b)を基に説明した酸化物超電導線材1と同等構造である。また、第3の酸化物超電導線材6は、酸化物超電導線材1と同等構造であり、しかもその両端部である第1端部6a及び第2端部6bはめっき被覆層21によって覆われている。
図3(a)に示すように、接続構造体31は、第1の酸化物超電導線材4及び第2の酸化物超電導線材5を第3の酸化物超電導線材6を介して接続する構成を有する。
第2実施形態の接続構造体31は、上述した第1実施形態の接続構造体30を第1の酸化物超電導線材4の一端(端部4a近傍)と第3の酸化物超電導線材6の一端(第1端部6a近傍)とに適用して接続し、さらに第3の酸化物超電導線材6の他端(第2端部6b近傍)と第2の酸化物超電導線材5の一端(端部5a近傍)とに適用して接続したものであると説明できる。
第2実施形態の接続構造体31の接続方法について以下に説明する。
まず、第1及び第2の酸化物超電導線材4、5を、接続しようとする端部4a、5a同士を距離eだけ離間して隣接させる。このとき、第1及び第2の酸化物超電導線材4、5は、基材10、10に対して酸化物超電導層12、12を形成した側を揃えて配置する。
次に、隣接された第1及び第2の酸化物超電導線材4、5の端部4a、5aに跨るように、第3の酸化物超電導線材6を橋渡しする。このとき、第1及び第2の酸化物超電導線材4、5に対して第3の酸化物超電導線材6は、基材10に対して酸化物超電導層12が積層される側を対向させて重ね合わせることが望ましい。このように重ね合わせることで、接続部での電気抵抗が低い接続構造体31を構成することができる。
次に、第1の酸化物超電導線材4の端部4a近傍の安定化層14及びめっき被覆層21と、第3の酸化物超電導線材6の第1端部6a近傍の安定化層14及びめっき被覆層21とを、導電性接合材22により接合し、さらに第2の酸化物超電導線材5の端部5a近傍の安定化層14及びめっき被覆層21と、第3の酸化物超電導線材6の第2端部6b近傍の安定化層14及びめっき被覆層21とを、導電性接合材22により接合することで、接続構造体31を形成する。
第1実施形態の接続構造体30と同様に、めっき被覆層21によって覆われる第1、第2及び第3の酸化物超電導線材4、5、6の長手方向の長さLは、10mm以下とされる。また、安定化層14の重ね合わせ部の長さdは、10〜1000mmが望ましいとされる。第1及び第2の酸化物超電導線材4、5の接続しようとする端部4a、5a同士の距離eは、特に限定されるものではなく、第3の酸化物超電導線材6の長さ、第1及び第3の酸化物超電導線材4、6の安定化層14の重ね合わせ部の長さd、第2及び第3の酸化物超電導線材5、6の安定化層14の重ね合わせ部の長さd等に応じて適宜決定すればよい。
加えて、図3(b)に示すように、接続構造体31において、第1の酸化物超電導線材4と第3の酸化物超電導線材6は、基材10、10に対して酸化物超電導層12、12が積層される側同士を対向させて重ね合わせることが望ましい。また、第3の酸化物超電導線材6と第2の酸化物超電導線材5は、基材10、10に対して酸化物超電導層12、12が積層される側同士を対向させて重ね合わせることが望ましい。このように重ね合わせることで、接続部での電気抵抗が低い接続構造体31を構成することができる。加えて接続する第1の酸化物超電導線材4と第2の酸化物超電導線材5とが同方向に積層されて配置されているため、接続部分で第1及び第2の酸化物超電導線材4、5の表裏の逆転がなく、取扱いが容易となる。
以上説明したように、接続構造体31は、その接続部分において酸化物超電導積層体20の接続しようとする端部20aがめっき被覆層21により被覆されてなる第1、第2及び第3の酸化物超電導線材4、5、6を用いて構成されることによって、接続部分において酸化物超電導積層体20への水分の浸入が防がれ、水分による超電導特性の低下を抑制することができる。なお、本実施形態におけるめっき被覆層21の厚みは、第1実施形態の接続構造体30と同様に、10μm以上100μm以下であることが望ましい。
また、接続する第1の酸化物超電導線材4と第2の酸化物超電導線材5とが同方向に積層されて配置されているため、接続部分で第1及び第2の酸化物超電導線材4、5の表裏の逆転がなく、取扱いが容易となる。
(超電導コイル)
上述したように作製された第1及び第2実施形態の接続構造体30、31によって接続された酸化物超電導線材2、3(又は酸化物超電導線材4、5)は巻線しコイルにすることで超電導コイルとして使用することができる。その場合、FRP等の材質からなる巻き芯に、接続構造体30、31によって接続された酸化物超電導線材2、3(又は酸化物超電導線材4、5)を所定のターン数巻きつける。さらに酸化物超電導線材2、3(又は酸化物超電導線材4、5)を固定、補強し外力に強い構造とする目的で、コイル自体をエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂で含浸する。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(試料の作製)
幅10mm、厚さ0.1mmのテープ状のハステロイ(米国ヘインズ社製商品名)製の基材上に、スパッタ法によりAl(拡散防止層;膜厚150nm)を成膜し、その上に、イオンビームスパッタ法によりY(ベッド層;膜厚20nm)を成膜した。次いで、このベッド層上に、イオンビームアシスト蒸着法(IBAD法)によりMgO(金属酸化物層;膜厚10nm)を形成し、その上にパルスレーザー蒸着法(PLD法)により0.5μm厚のCeO(キャップ層)を成膜した。次いでCeO層上にPLD法により2.0μm厚のGdBaCu7−δ(酸化物超電導層)を形成し、さらに酸化物超電導層上にスパッタ法により10μm厚のAg層(保護層)を形成し、Ag層の上に0.02mm厚のCuテープ(安定化層)をスズ半田(融点230℃)によりAg層上に貼り合わせ、さらにCuテープを横断面C字型をなすようにフォーミングし、積層物(基材と中間層と酸化物超電導層と保護層の積層物)の周面を覆い、半田によって被着した。これによって、図1(a)に示す酸化物超電導積層体を複数作製した。この酸化物超電導線材を以下の実施例及び比較例で共通して使用する。
上述した酸化物超電導線材を一対用意し、それぞれの酸化物超電導線材に対し、接続する部分の端部から5mmの長さに渡り(即ち、図2(b)に示すL=5として)、表1に記載のめっき被覆層を形成した。なお、端部のめっき被覆層は、表1の第1層、第2層の順にめっきを施すものとする。
これらを向かい合わせて50mm重ね合わせて(即ち、図2(b)に示すd=40mmとして)、スズ半田(融点230℃)により接合し、図2(a)に示す接続構造体を作製した。
以上の方法で、サンプルNo.1〜7に渡る実施例及び比較例の接続構造体を各20個ずつ作製した。なお、サンプル5(比較例)においては、端部にめっき被覆層を形成していない。
(評価方法)
サンプルNo.1〜7の接続構造体について、プレッシャークッカー試験及び曲げ試験各サンプル各試験につき試料数10として試験を行った。
プレッシャークッカー試験は、高温(120℃)・高湿(100%)・高圧下(2気圧)に接続構造体を含むサンプルNo.1〜7を24時間放置し、その前後での臨界電流値の比(劣化率)を測定した。曲げ試験は、サンプルNo.1〜7の接続構造体を積層方向に沿って曲げ半径100mmで曲げ、その前後での臨界電流の比(劣化率)を測定した。なお、これらの試験において、95%以上で実使用に耐え得るレベルの劣化であるとした。
各サンプルにおける各試験の劣化率を平均して、表1に示す。
Figure 2014107149
(実施例及び比較例の比較)
サンプルNo.1、4、6、7においては、接続する端部に厚さ10μm〜100μmのめっき被覆層を形成しているため、プレッシャークッカー試験においても曲げ試験においても、大きな劣化は見られなかった。
これに対して、サンプルNo.2は、プレッシャークッカー試験によって大きな劣化が見られた。これは、端部に施しためっき被覆層が薄すぎるため(5μm)めっき被覆層にピンホールが形成され、プレッシャークッカー試験によってピンホールから水分が浸入し、酸化物超電導層が劣化したためであると考えられる。
また、サンプルNo.3は、曲げ試験によって大きな劣化が見られた。これは、めっき被覆層が厚すぎるため(150μm)曲げ試験によって、接続部分に過大な応力が発生し、酸化物超電導層の結晶構造が破壊されたためであると考えられる。
また、サンプルNo.5は、めっき被覆層を形成していないために、端部から水分が浸入し、水分によって酸化物超電導層が劣化したために、プレッシャークッカー試験によって大きな劣化が起こったと考えられる。
これらより、本発明に係る本接続構造体及び接続方法の優位性が確認された。
1、202…酸化物超電導線材、1a、2a、3a、4a、5a、20a、202a…端部、2、4…第1の酸化物超電導線材、3、5…第2の酸化物超電導線材、6…第3の酸化物超電導線材、6a…第1端部、6b…第2端部、10…基材、11…中間層、12…酸化物超電導層、13…保護層、14…安定化層(金属層)、15…積層物、16、222…半田、20…酸化物超電導積層体、21…めっき被覆層、22…導電性接合材、30、31、230…接続構造体、210…被覆材、L、d…長さ、e…間隙

Claims (9)

  1. テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層と安定化層が積層されてなる酸化物超電導積層体の長さ方向端部がめっき被覆層により覆われたことを特徴とする酸化物超電導線材。
  2. 前記酸化物超電導積層体の外周が、金属層で覆われてなることを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導線材。
  3. 前記めっき被覆層の厚さが、10〜100μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化物超電導線材。
  4. 前記めっき被覆層が、無電解めっき又は無電解めっき上に電解めっきを施したものであることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の酸化物超電導線材。
  5. テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層と安定化層が積層されてなる酸化物超電導積層体の接続しようとする端部がめっき被覆層により覆われた第1及び第2の酸化物超電導線材の接続構造体であって、
    前記第1及び第2の酸化物超電導線材の互いの端部近傍の前記安定化層同士が対向して配置され、前記端部近傍の安定化層及び前記めっき被覆層が導電性接合材により接合されていることを特徴とする酸化物超電導線材の接続構造体。
  6. テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層と安定化層が積層されてなる酸化物超電導積層体の接続しようとする端部がめっき被覆層により覆われた第1及び第2の酸化物超電導線材と、
    テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層と安定化層が積層されてなる酸化物超電導積層体の第1及び第2端部がめっき被覆層により覆われた第3の酸化物超電導線材とを有し、
    前記第1及び第2の酸化物超電導線材が、前記接続しようとする端部同士を隣接させ、基材に対して酸化物超電導層を形成した側を揃えて配置され、
    前記隣接された端部を跨るように、前記第1及び第2の酸化物超電導線材の安定化層に前記第3の酸化物超電導体の安定化層が橋渡しされ、
    前記第1の酸化物超電導線材の前記端部近傍の安定化層及び前記めっき被覆層と、第3の酸化物超電導線材の第1端部近傍の安定化層及び前記めっき被覆層とが、導電性接合材により接合され、
    前記第2の酸化物超電導線材の前記端部近傍の安定化層及び前記めっき被覆層と、第3の酸化物超電導線材の第2端部近傍の安定化層及び前記めっき被覆層とが、導電性接合材により接合されていることを特徴とする酸化物超電導線材の接続構造体。
  7. 前記酸化物超電導積層体の外周が、金属層で覆われていることを特徴とする請求項5又は6に記載の酸化物超電導線材の接続構造体。
  8. 前記めっき被覆層の厚さが、10〜100μmであることを特徴とする請求項5から7の何れか一項に記載の酸化物超電導線材の接続構造体。
  9. 前記めっき被覆層が、無電解めっき又は無電解めっき上に電解めっきを施したものであることを特徴とする請求項5から8の何れか一項に記載の酸化物超電導線材の接続構造体。
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