JP6461776B2 - 超電導線材および超電導線材の製造方法 - Google Patents

超電導線材および超電導線材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、超電導線材および超電導線材の製造方法に関する。
近年、一般式BiSrCaCu8+δ(Bi2212)またはBiSrCaCu10+δ(Bi2223)で表されるBi系超電導体、あるいは、一般式REBaCu(RE123)で表される希土類系超電導体を用いた超電導線材の開発が進められている。なお、希土類元素REがYの場合に限らず、希土類系は、しばしばY系と呼ばれている。
希土類系の超電導線材の構成の一つとして、金属テープ等からなる基材上に中間層を介して酸化物超電導層を積層した後、酸化物超電導層を保護するAg等の保護層を形成した構造が知られている。
酸化物超電導層とAg保護層との密着性を向上する発明として、特許文献1には、Ag粒子を含まない超電導層(YBCO:Y−Ba−Cu−O)の上に、Ag粒子を含む超電導層を積層し、その上に、Ag保護層を積層した超電導線材が記載されている。Ag粒子を含む超電導層は、超電導層の原料となる金属錯体溶液に金属Ag粒子を混合し、塗布および熱処理を行う方法により作製されている。
特許文献2には、酸化物超電導層の上にAg又はAg合金の保護層を形成した後、酸化物超電導層の酸素アニールをする際に、Agの凝集による保護層のピンホール(酸化物超電導層の露出)を抑制するため、酸化物超電導層の表面の粗さを低減する発明が記載されている。
特開2012−230869号公報 特開2014−120383号公報
上述のように、酸化物超電導層(セラミックス)とAg層(金属)では、密着力が弱い。また、純Ag層は、酸素アニールをしたときに凝集し易く、微細な穴を生じ、超電導層の保護が不十分になるおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、酸化物超電導層とAg保護層との密着力を改善することが可能な超電導線材および超電導線材の製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、テープ状の基材の一方の面上に中間層と酸化物超電導層と保護層がこの順に積層された構成の積層体を有する超電導線材であって、前記酸化物超電導層が1種以上の希土類元素を含み、前記保護層が銀(Ag)を80〜95モル%とし、更に、1種以上の希土類元素とバリウムと銅とを合計で、5〜20モル%含む合金層であり、前記保護層の表面における穴の占有率(面積%)が0〜3%であることを特徴とする超電導線材を提供する。
前記酸化物超電導層および前記保護層が、同種の希土類元素を含むことが好ましい。
前記酸化物超電導層および前記保護層が、更に、希土類元素でない同種の金属元素を含むことが好ましい。
前記酸化物超電導層が、REBaCuの組成式(REは希土類元素の1種または2種以上)からなる酸化物超電導体を含むことが好ましい。
前記保護層が、希土類元素とバリウムと銅とを1:2:3の組成比で含むことが好ましい。
前記保護層が、銀(Ag)を90〜95モル%とし、更に、1種以上の希土類元素とバリウムと銅とを合計で、5〜10モル%含む合金層であり、前記保護層の表面における穴の占有率(面積%)が0〜2%であることが好ましい。
また、本発明は、前記超電導線材の製造方法であって、基材上に積層された中間層の上に、1種以上の希土類元素を含む酸化物超電導層を積層する工程と、前記酸化物超電導層の表面に、銀(Ag)を80〜95モル%とし、更に、1種以上の希土類元素とバリウムと銅とを合計で、5〜20モル%含む合金層である保護層を積層する工程と、前記基材の一方の面上に前記中間層と前記酸化物超電導層と前記保護層がこの順に積層された構成の積層体を、酸素を含む雰囲気中でアニール処理する工程と、を有し、アニール処理を経た前記保護層の表面における穴の占有率(面積%)が0〜3%であることを特徴とする超電導線材の製造方法を提供する。
本発明によれば、Agを含む保護層内に、酸化物超電導層と同種の金属元素を含んでいるので、酸化物超電導層とAg保護層との密着力を改善することができる。例えば、アニール処理の際にも、Agが凝集し難く、微細な穴を生じ難くなる。
超電導線材の一例を模式的に示す断面図である。
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
図1に、本実施形態の超電導線材の断面図を示す。この断面図は、超電導線材の長手方向に垂直な断面の構造を模式的に示している。超電導線材10は、テープ状の基材11と、基材11の一方の面11a上に、中間層12と酸化物超電導層13と保護層14がこの順に積層された構成の積層体15を有する。基材11、中間層12、酸化物超電導層13、保護層14等の各層が積層される方向が厚さ方向である。幅方向は、長手方向及び厚さ方向に垂直な方向である。
基材11は、テープ状の金属基材であり、厚さ方向の両側に、それぞれ主面(一方の面11a及びこれに対向する裏面11b)を有する。基材11を構成する金属の具体例として、ハステロイ(登録商標)に代表されるニッケル合金、ステンレス鋼、ニッケル合金に集合組織を導入した配向Ni−W合金などが挙げられる。基材11の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、例えば10〜500μmの範囲である。
中間層12は、基材11と酸化物超電導層13との間に設けられる。中間層12は、多層構成でもよく、例えば基材11側から酸化物超電導層13側に向かう順で、拡散防止層、ベッド層、配向層、キャップ層等を有してもよい。これらの層は必ずしも1層ずつ設けられるとは限らず、一部の層を省略する場合や、同種の層を2以上繰り返し積層する場合もある。
拡散防止層は、基材11の成分の一部が拡散し、不純物として酸化物超電導層13側に混入することを抑制する機能を有する。拡散防止層は、例えば、Si、Al、GZO(GdZr)等から構成される。拡散防止層の厚さは、例えば10〜400nmである。
ベッド層は、基材11と酸化物超電導層13との界面における反応を低減し、ベッド層の上に形成される層の配向性を向上するために用いられる。ベッド層の材質としては、例えばY、Er、CeO、Dy、Eu、Ho、La等が挙げられる。ベッド層の厚さは、例えば10〜100nmである。
配向層は、その上のキャップ層の結晶配向性を制御するために2軸配向する物質から形成される。配向層の材質としては、例えば、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)、SrTiO、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等の金属酸化物を例示することができる。この配向層はIBAD(Ion-Beam-Assisted Deposition)法で形成することが好ましい。
キャップ層は、上述の配向層の表面に成膜されて、結晶粒が面内方向に自己配向し得る材料からなる。キャップ層の材質としては、例えば、CeO、Y、Al、Gd、ZrO、YSZ、Ho、Nd、LaMnO等が挙げられる。キャップ層の厚さは、50〜5000nmの範囲が挙げられる。
酸化物超電導層13は、酸化物超電導体から構成される。酸化物超電導体としては、特に限定されないが、例えば一般式REBaCu(RE123)で表される希土類系酸化物超電導体が挙げられる。希土類元素REとしては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちの1種又は2種以上が挙げられる。中でも、Y、Gd、Eu、Smの1種か、又はこれら元素の2種以上の組み合わせが好ましい。
酸化物超電導層13は、スパッタ法、真空蒸着法、レーザ蒸着法、電子ビーム蒸着法、パルスレーザ堆積法(PLD法)、化学気相成長法(CVD法)、有機金属塗布熱分解法(MOD法)等で積層することができる。酸化物超電導層13の厚さは、例えば0.5〜5μm程度である。この厚さは、長手方向に均一であることが好ましい。
保護層14は、事故時に発生する過電流をバイパスしたり、酸化物超電導層13と保護層14の上に設けられる層との間で起こる化学反応を抑制したりする等の機能を有する。保護層14は、銀(Ag)を主成分(例えば50モル%以上)とし、不純物として、1種以上の希土類元素を含む。Ag層は、酸化物超電導層13との接触抵抗(界面抵抗)が低いため、Agを主体とする保護層14は、酸化物超電導13層の電流を分流させるバイパスとして適していることや、酸化物超電導層13と化学反応を起こし難い性質があること等の利点を有している。
保護層14は、酸化物超電導層に含まれる希土類元素と同種の希土類元素を含むことが好ましい。保護層14が、酸化物超電導層13と同種の金属元素を含むことにより、酸化物超電導層とAg保護層との密着力を改善することができる。さらに、保護層14は、Agに対する不純物元素として、希土類元素でない金属元素を含むことができる。希土類元素以外の金属元素としては、酸化物超電導層13に含まれる希土類元素以外の金属元素(同種の金属元素)が好ましく、例えば、Ba、Cu、またはこれらの両方が挙げられる。酸化物超電導層13が、希土類元素以外の金属元素(Ba、Cu等)を含む場合、保護層14も、当該金属元素(Ba、Cu等)の一部または全部(1種または2種以上)を含むことが好ましい。
保護層14中の不純物(希土類元素、Ba、Cu等)は、Agとの合金、不純物同士の2種以上の合金、金属間化合物、金属酸化物、複酸化物などの形態をとることができる。保護層14中の酸化物としては、希土類元素の酸化物、Ba等のアルカリ土類金属の酸化物、Cu等の遷移金属の酸化物、希土類元素とアルカリ土類金属(Ba等)との複酸化物、希土類元素と遷移金属(Cu等)との複酸化物、希土類元素とアルカリ土類金属(Ba等)と遷移金属(Cu等)との複酸化物が挙げられる。これらの酸化物は、酸化物超電導層13に対する密着性が、金属Agよりも高いと考えられるので、好ましい。
保護層14中の不純物の添加量は、希土類元素のみの合計量、または希土類元素と他の金属元素(Ba,Cu等)との合計量として、例えば1〜30モル%を挙げることができ、5〜10モル%がより好ましい。例えば、保護層14が、希土類元素とバリウムと銅とを1:2:3の組成比で含む態様を例示できる。保護層14の厚さは、例えば、0.05〜30μm程度であり、5μm以下、2μm以下などでもよい。
モル%(mol%)の値は、保護層14中に含まれる全成分の物質量(モル)の合計に対する、特定成分の物質量(モル)の比(モル分率)の100倍である。例えば、各成分の物質量をn,n,n,・・・とするとき、例えば、成分1のモル%は、n/(n+n+n+・・・)×100(モル%)で表される。各成分の物質量(モル)は、各成分(元素)の質量(g)を原子量で割ることにより求められる。保護層中のモル%の計算においては、非金属元素(酸素など)の量を無視して、金属元素中のモル%(金属元素の合計を100モル%とする)を用いることもできる。
超電導線材10の製造方法としては、基材11上に、1層または2層以上の中間層12を積層する工程、中間層12の上に、1種以上の希土類元素を含む酸化物超電導層13を積層する工程、酸化物超電導層13の表面に、1種以上の希土類元素および銀を含む保護層14を積層して積層体15を形成する工程、積層体15を、酸素を含む雰囲気中でアニール処理する工程を有する方法が挙げられる。
酸素アニール処理は、成膜直後の酸化物超電導層13は酸素が不足した結晶構造となっているため、酸化物超電導体に酸素を供給して加熱することにより、酸化物超電導体の結晶構造を整えるために行われている。酸素アニール処理の際、酸化物超電導層13の表面がAgの保護層14に被覆されているが、Ag層は高温で酸素を透過する性質があるため、Ag層を介して酸素アニール処理を行うことで酸化物超電導層13へ酸素を安定的に供給することができる。さらに、Ag層は、常温では酸素を透過しないため、積層体15の製造後(酸素アニール処理後)には酸化物超電導層13の変質を抑制することができる。
アニール処理の前工程において、保護層14は、1種以上の希土類元素および銀を含む合金層であってもよい。不純物を含む合金層は、例えば、Agと不純物を含む合金ターゲットを用意し、スパッタにより、酸化物超電導層13の表面に薄膜を形成することにより、形成することができる。アニール処理の際、保護層14中の不純物元素(Ag以外の金属元素であり、希土類元素、Ba、Cu等)の1種または2種以上が酸化されて、金属酸化物や複酸化物となってもよい。
また、保護層14中の不純物(金属や酸化物等)が、相分離によりAg中に分散し、酸化物超電導層13と結合すると、層間の密着力がより向上する。酸化物超電導層13と保護層14との界面は、保護層14中のAgが酸化物超電導層13と接触する領域と、保護層14中の不純物が酸化物超電導層13と接触する領域とを有してもよい。これらの領域が、Agを連続相とし、不純物を不連続相とする海島構造を構成してもよい。
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
超電導線材10は、積層体15の周囲に、安定化層または安定化材を有してもよい。安定化層または安定化材に用いられる材料は、超電導線材10の用途により異なってもよい。例えば、超電導ケーブルや超電導モータなどに使用する場合は、常電導状態への転移時に発生する過電流を転流させるバイパスのメイン部として機能する必要があるため、良導電性の金属が好適に用いられる。良導電性の金属として、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属が挙げられる。また、超電導限流器に使用する場合は、常電導状態への転移時に発生する過電流を瞬時に抑制する必要があるため、高抵抗金属が好適に用いられる。高抵抗金属として、例えば、Ni−Cr等のNi系合金などが挙げられる。
安定化層は、保護層14上など、積層体15の周囲の一部または全部に、メッキ等により積層して形成することができる。また、安定化材は、例えばテープ状の金属部材から構成でき、接合材により、積層体15と接合することもできる。接合材を構成する材料としては、例えばSn−Pb系、Pb−Sn−Sb系、Sn−Pb−Bi系、Bi−Sn系、Sn−Cu系、Sn−Pb−Cu系、Sn−Ag系などの半田、Sn、Sn合金、In(インジウム)、In合金、Ga、Ga合金、Zn、Zn合金などの金属が挙げられる。安定化材を1または2以上の金属テープから構成する場合、1枚の金属テープが、積層体15の周囲の1面のみを覆ってもよく、折り曲げにより2面以上を覆ってもよい。
積層体15の周囲に安定化材を設ける方法は特に限定されないが、積層体15の周囲に安定化材を配置する工程、積層体15の外形に沿って安定化材を折り曲げる工程(フォーミング)、積層体15を加熱及び加圧して接合材の一部又は全部を溶融させる工程(再溶融、リフロー)、加圧を継続しながら全体を冷却して接合材を固化させる工程を含む方法が挙げられる。接合材の供給方法は特に限定されず、あらかじめ安定化材等の表面に層状に形成してもよく、積層体15と接合材との間や周囲へ加工中に追加してもよい。
超電導線材10は、テープ状、ケーブル状、コイル状等、種々の形態で使用することができる。超電導線材10を用いて超電導コイルを作製するには、超電導線材10を巻き枠の外周面に沿って必要な層数巻き付けてコイル形状(多層巻きコイル)とした後、巻き付けた超電導線材10を覆うようにエポキシ樹脂等の樹脂を含浸させて超電導線材10を固定することができる。超電導線材10をコイル形状に巻き付ける際、主として超電導線材10の厚さ方向がコイルの径方向となればよい。積層体15における基材11側(裏側)と保護層14側(表側)のいずれかコイルの巻き中心側になるかは限定されない。なお、局所的に超電導線材10にねじれや折り曲げ、接続部等を設けて、コイルにおける超電導線材10の向きを変更することも可能である。
超電導線材10は、外部端子を有することができる。外部端子を有する箇所では、他の箇所と異なる断面構造を有してもよい。
質量%による場合、保護層14中の不純物の添加量は、希土類元素のみの合計量、または希土類元素と他の金属元素(Ba,Cu等)との合計量として、例えば1〜30質量%を挙げることができ、さらに20質量%以下、5〜10質量%がより好ましい。保護層中の質量%の計算においては、非金属元素(酸素など)の量を無視して、金属元素中の質量%(金属元素の合計を100質量%とする)を用いることもできる。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
(Ag保護層を有する超電導線材の製造方法の通常条件)
基材上に中間層(2層以上でもよい)を積層した上に、酸化物超電導層として、GdBaCuを積層した。100質量%Agターゲットを備えたスパッタ装置を用いて、酸化物超電導層の表面に、厚さが約1μmのAg層を形成した。その後、100体積%酸素雰囲気(1気圧)の加熱炉中で、500℃×10h保持して酸素アニール処理を行い、その後、炉冷(炉中放置による徐冷)をした。
(不純物を含むAg保護層を有する超電導線材の製造方法)
スパッタ装置に備えるターゲットとして、Gd:Ba:Cu=1:2:3の組成比でGd、Ba、Cuを含むAg合金ターゲットを用意した。不純物の添加量は、Gd、Ba、Cuの合計量が1〜30モル%となる範囲内である。ターゲット以外は、上記の通常条件と同様にして、スパッタおよび酸素アニール処理を経て保護層を形成した。
例えば添加量30モル%の場合、ターゲット中の各成分のモル比は、Agが70モル%、Gdが5モル%、Baが10モル%、Cuが15モル%であり、質量比だと、Agが約70.81質量%、Gdが約7.37質量%、Baが約12.88質量%、Cuが約8.94質量%である。同様に、ターゲット中の各成分の質量比を表1に示す。
Figure 0006461776
(超電導線材の評価)
得られた超電導線材を用いて、酸化物超電導層と保護層との間の剥離強度(MPa)、保護層の表面における穴の占有率(面積%)、保護層の電気抵抗率(Ωm)を調査した。
剥離強度の測定は、保護層の表面に直径2.7mmの円柱状のスタッドピンの先端部をエポキシ樹脂で接着固定(ピン先端部の接着面積5.72mm)し、このスタッドピンを超電導線材の表面に対して垂直方向に引張り、応力が低下した瞬間の引張荷重を剥離応力(剥離強度)として行った。スタッドプル剥離試験は、各サンプルについて30カ所の測定を行った。各測定値より累積ハザード法によるワイブル解析を行い割り出した1%故障率を、各サンプルの剥離強度(1%故障率剥離強度)とした。
測定結果を表2に示す。1%故障率剥離強度および穴の占有率は、同一組成のターゲットを用いて作製した複数のサンプルを、サンプルごとに測定して得られた測定値の、最小値と最大値の範囲(「最小値〜最大値」)として表示した。保護層が100%Ag層である場合、不純物の添加量は0モル%である。
Figure 0006461776
表2の結果から、不純物の添加量が5モル%以下では、添加量が増えるに従って1%故障率剥離強度が増加し、同時に最小値と最大値との差も縮小する傾向を示した。添加量が5モル%以上では、剥離強度の最小値が40MPa程度となった。不純物の添加による剥離強度の増加は、保護層中に分散している不純物が、酸化物超電導層と同種の元素であり、Agよりも酸化物超電導層と結合し易いためである。また、穴の占有率についても、添加量が5モル%以上では、ほぼ0%になっている。これは、保護層中に分散している不純物の存在が、Agの凝集を抑制するためである。剥離強度の増加および穴の占有率の低下という観点では、5モル%以上の添加量が好ましい。しかし、保護層の電気抵抗値は、不純物の増加に伴い低下しているため、電気抵抗値の低下が少ない20モル%以下、さらには10モル%以下の添加量が好ましい。
10…超電導線材、11…基材、11a…一方の面、11b…裏面、12…中間層、13…酸化物超電導層、14…保護層、15…積層体。

Claims (7)

  1. テープ状の基材の一方の面上に中間層と酸化物超電導層と保護層がこの順に積層された構成の積層体を有する超電導線材であって、
    前記酸化物超電導層が1種以上の希土類元素を含み、前記保護層が銀(Ag)を80〜95モル%とし、更に、1種以上の希土類元素とバリウムと銅とを合計で、5〜20モル%含む合金層であり、前記保護層の表面における穴の占有率(面積%)が0〜3%であることを特徴とする超電導線材。
  2. 前記酸化物超電導層および前記保護層が、同種の希土類元素を含むことを特徴とする請求項1に記載の超電導線材。
  3. 前記酸化物超電導層および前記保護層が、更に、希土類元素でない同種の金属元素を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の超電導線材。
  4. 前記酸化物超電導層が、REBaCuの組成式(REは希土類元素の1種または2種以上)からなる酸化物超電導体を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の超電導線材。
  5. 前記保護層が、希土類元素とバリウムと銅とを1:2:3の組成比で含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の超電導線材。
  6. 前記保護層が、銀(Ag)を90〜95モル%とし、更に、1種以上の希土類元素とバリウムと銅とを合計で、5〜10モル%含む合金層であり、前記保護層の表面における穴の占有率(面積%)が0〜2%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の超電導線材。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の超電導線材の製造方法であって、
    基材上に積層された中間層の上に、1種以上の希土類元素を含む酸化物超電導層を積層する工程と、
    前記酸化物超電導層の表面に、銀(Ag)を80〜95モル%とし、更に、1種以上の希土類元素とバリウムと銅とを合計で、5〜20モル%含む合金層である保護層を積層する工程と、
    前記基材の一方の面上に前記中間層と前記酸化物超電導層と前記保護層がこの順に積層された構成の積層体を、酸素を含む雰囲気中でアニール処理する工程と、
    を有し、アニール処理を経た前記保護層の表面における穴の占有率(面積%)が0〜3%であることを特徴とする超電導線材の製造方法。
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