JP6688914B1 - 酸化物超電導線材及び超電導コイル - Google Patents

酸化物超電導線材及び超電導コイル Download PDF

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Abstract

【課題】繰り返し引張応力が印加されても特性が劣化しにくい酸化物超電導線材及び超電導コイルを提供する。【解決手段】基板1上に酸化物超電導層3を有する超電導積層体5と、超電導積層体5の周囲に形成された銅めっきからなる安定化層6と、を有する酸化物超電導線材10であって、安定化層6の厚さdが2〜100μmの範囲であり、安定化層6の厚さdと、安定化層6の外表面の算術平均粗さRaとの比Ra/dが0.005以上0.05未満の範囲である。【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物超電導線材及び超電導コイルに関する。
基板上に酸化物超電導層を積層した酸化物超電導線材を巻回して形成された超電導コイルでは、超電導線材の長手方向に強い引張力が繰り返し印加される場合がある。このため、超電導コイルに用いられる酸化物超電導線材は、高度に繰り返す引張応力に対して耐力を有することが重要となる。
酸化物超電導線材の構造として、基板上に酸化物超電導層を有する超電導積層体の周囲に、銅めっきからなる安定化層を形成した酸化物超電導線材が知られている。
特許文献1には、樹脂コートの膨れや剥がれの発生を確実に防止するため、外周に形成されたCu安定化層の上面と下面の表面粗さが、JIS B0601:2013の算術平均粗さRaで0.3〜1μmである酸化物超電導線材が開示されている。
特許文献2には、超電導積層体の外面を覆うように樹脂材料の焼き付けにより絶縁被覆層を形成する場合に超電導層の剥離を防止するため、超電導積層体の外面が、JIS B0601:2001の最大高さRzで890nm以下である酸化物超電導線材が開示されている。
特許第6307987号公報 国際公開第2013/129568号
銅めっきにより形成した安定化層は、一般的には特許文献2に記載されているように、外表面が平滑で、表面粗さが小さい。特許文献1には、銅めっきの条件を調整することにより安定化層の表面粗さを大きくすることが記載されている。しかし、繰り返し引張応力が印加されると安定化層の加工硬化が起こり、安定化層の粗さが大き過ぎると、表面粗さに起因して超電導特性の劣化や超電導線材の少なくとも一部の破断が起こるおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、繰り返し引張応力が印加されても特性が劣化しにくい酸化物超電導線材及び超電導コイルを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、基板上に中間層を介して酸化物超電導層を有し、前記酸化物超電導層の上にAg保護層を有する超電導積層体と、前記超電導積層体の周囲に形成された銅めっきからなる安定化層と、を有する酸化物超電導線材であって、前記安定化層の厚さdが1040μmの範囲であり、前記安定化層の外表面の算術平均粗さRaが、0.1〜1.0μmの範囲であり、前記安定化層の厚さdと、前記安定化層の外表面の算術平均粗さRaとの比Ra/dが0.005〜0.03の範囲であり、前記酸化物超電導線材を、液体窒素中で180〜600MPaの応力範囲で長手方向に引っ張る引張試験を実施して、繰り返し引張回数が100,000回に達したときの臨界電流(Ic)と、前記引張試験を実施する前に測定した初期臨界電流(Ic0)との比(Ic/Ic0)が0.99以上であることを特徴とする酸化物超電導線材を提供する。
また、本発明は、前記基板の厚さが50〜75μmの範囲であることを特徴とする酸化物超電導線材を提供する。
また、本発明は、前記安定化層の周囲に、前記安定化層の外表面に樹脂テープからなる絶縁層を有することを特徴とする酸化物超電導線材を提供する。
また、本発明は、前記酸化物超電導線材が厚さ方向に積層された超電導コイルを提供する。
本発明によれば、銅めっきからなる安定化層の厚さdに対して、厚さdと算術平均粗さRaとの比Ra/dが適切な範囲に調整されているので、繰り返し引張応力が印加されても特性が劣化しにくい酸化物超電導線材及び超電導コイルを提供することができる。
酸化物超電導線材の模式的な断面を例示する斜視図である。 超電導コイルの一例を示す斜視図である。 樹脂テープの絶縁層を有する酸化物超電導線材を例示する斜視図である。
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1に、酸化物超電導線材の概略構造の一例を模式的に示す。この酸化物超電導線材10は、基板1上に酸化物超電導層3を有する超電導積層体5と、超電導積層体5の周囲に形成された安定化層6とを有する。本実施形態の超電導積層体5は、基板1と酸化物超電導層3との間に中間層2を有し、基板1とは反対側の酸化物超電導層3上に保護層4を有する。すなわち、テープ状の基板1の一方の主面1aに、中間層2と酸化物超電導層3と保護層4とがこの順に積層された構成を有する。
基板1は、厚さ方向の両側に、それぞれ主面1a,1bを有するテープ状の基板である。基板1は、例えば金属で形成されている。基板1を構成する金属の具体例として、ハステロイ(登録商標)に代表されるニッケル合金、ステンレス鋼、ニッケル合金に集合組織を導入した配向Ni−W合金などが挙げられる。基板1の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、例えば10〜500μmの範囲である。酸化物超電導線材10を薄型とするため、基板1の厚さが50〜75μmの範囲であることが好ましい。基板1が厚過ぎると、酸化物超電導線材の単位断面積あたりの電流密度が低下する。基板1が薄過ぎると、電磁力等の外力が加えられた場合に酸化物超電導線材の強度が低下する。基板1上に中間層2が形成された面を第1主面1aといい、第1主面1aと反対の面を第2主面1bという。
酸化物超電導層3の配向制御の観点からは、基板1の第1主面1aに中間層2を設け、中間層2の主面2a上に酸化物超電導層3を成膜することが好ましい。中間層2の主面2aは、基板1側とは反対の面である。中間層2は、多層構成でもよく、例えば基板1側から酸化物超電導層3側に向かう順で、拡散防止層、ベッド層、配向層、キャップ層等を有してもよい。これらの層は必ずしも1層ずつ設けられるとは限らず、一部の層を省略する場合や、同種の層を2以上繰り返し積層する場合もある。なお、基板1の第1主面1aが配向性を備えている場合は、中間層2が形成されていなくてもよい。
拡散防止層は、基板1の成分の一部が拡散し、不純物として酸化物超電導層3側に混入することを抑制する機能を有する。拡散防止層の材質としては、例えば、Si、Al、GZO(GdZr)等が挙げられる。拡散防止層の厚さは、例えば10〜400nmである。
ベッド層は、基板1と酸化物超電導層3との界面における反応を低減し、ベッド層の上に形成される層の配向性を向上するために用いられる。ベッド層の材質としては、例えばY、Er、CeO、Dy、Eu、Ho、La等が挙げられる。ベッド層の厚さは、例えば10〜100nmである。
配向層は、その上のキャップ層の結晶配向性を制御するために2軸配向する物質から形成される。配向層の材質としては、例えば、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)、SrTiO、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等の金属酸化物を例示することができる。この配向層はIBAD(Ion-Beam-Assisted Deposition)法で形成することが好ましい。
キャップ層は、上述の配向層の表面に成膜されて、結晶粒が面内方向に自己配向し得る材料からなる。キャップ層の材質としては、例えば、CeO、Y、Al、Gd、ZrO、YSZ、Ho、Nd、LaMnO等が挙げられる。キャップ層の厚さは、50〜5000nmの範囲が挙げられる。
酸化物超電導層3は、酸化物超電導体から構成される。酸化物超電導体としては、特に限定されないが、例えば一般式REBaCu(RE123)で表されるRE−Ba−Cu−O系の酸化物超電導体が挙げられる。希土類元素REとしては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちの1種又は2種以上が挙げられる。酸化物超電導層3の厚さは、例えば0.5〜5μm程度である。酸化物超電導層3を積層する方法としては、スパッタ法、真空蒸着法、レーザ蒸着法、電子ビーム蒸着法、パルスレーザ堆積法(PLD法)、化学気相成長法(CVD法)、有機金属塗布熱分解法(MOD法)等が挙げられる。中でも、生産性等の観点から、PLD法で酸化物超電導層3を積層することが好ましい。酸化物超電導層3は、人工ピン等の不純物を含有してもよい。
保護層4は、事故時に発生する過電流をバイパスしたり、酸化物超電導層3と保護層4の上に設けられる層との間で起こる化学反応を抑制したりする等の機能を有する。保護層4の材質としては、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、これらの1種以上を含む合金等が挙げられる。保護層4にAg層又はAg合金層を用いる場合は、モル比又は重量比で50%以上の銀を含むことが好ましい。保護層4は、少なくとも酸化物超電導層3の主面3aを覆っている。酸化物超電導層3の主面3aとは、中間層2側とは反対の面である。保護層4は、酸化物超電導層3の側面、中間層2の側面、基板1の側面及び裏面から選択される領域の一部または全部を覆ってもよい。保護層4は2種以上又は2層以上の金属層から構成されてもよい。保護層4の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜30μm程度が挙げられる。
超電導積層体5は、基板1の第1主面1a及び第2主面1bに対応して、第1主面5a及び第2主面5cを有する。超電導積層体5の第1主面5aは、基板1に酸化物超電導層3が積層された側の面である。超電導積層体5が保護層4を有する場合は、第1主面5aが保護層4の主面4aであってもよい。保護層4の主面4aとは、酸化物超電導層3側とは反対の面である。超電導積層体5の第2主面5cは、超電導積層体5の厚さ方向で、第1主面5aとは反対側の面である。超電導積層体5の第2主面5cは、基板1の第2主面1bであってもよい。基板1の第2主面1bに保護層4が積層される場合、超電導積層体5の第2主面5cの少なくとも一部が保護層4の外表面から構成されてもよい。
また、超電導積層体5は、幅方向の両側に側面5bを有する。超電導積層体5の側面5bは、基板1の側面、中間層2の側面、酸化物超電導層3の側面、及び保護層4の側面を含んでもよい。超電導積層体5の側面5bの少なくとも一部が保護層4で覆われる場合、超電導積層体5の側面5bの少なくとも一部が保護層4の外表面から構成されてもよい。
安定化層6は、超電導積層体5の外表面の少なくとも一部を覆って形成される。詳しくは、安定化層6は、超電導積層体5の第1主面5aの少なくとも一部、及び第2主面5cの少なくとも一部を覆っている。安定化層6が超電導積層体5の第1主面5a、側面5b及び第2主面5cの全領域を覆って形成されることが好ましい。安定化層6の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜300μm程度である。酸化物超電導線材10を薄型とすること、及び繰り返し引張応力に対する耐力を確保する観点から、安定化層6の厚さdが2〜100μmの範囲であることが好ましい。
安定化層6は、酸化物超電導層3が常電導状態に転移した時に発生する過電流を転流させるバイパス部としての機能を有する。安定化層6の構成材料としては、銅、銅合金(例えばCu−Zn合金、Cu−Ni合金等)、アルミニウム、アルミニウム合金、銀等の金属が挙げられる。安定化層6は、電解めっき等のめっきによって形成することができる。導電性、経済性等の観点からは、安定化層6が銅めっきから構成されることが好ましい。超電導積層体5の外表面に銅めっきから安定化層6を形成する工程に先立って、超電導積層体5の外表面に、スパッタ等により下地金属層(図示せず)を形成してもよい。下地金属層の材料としては、一般的にはめっき成長させる金属と同じ金属が用いられる。下地金属層の厚さとしては、例えば0.1〜10μmが挙げられる。下地金属層は、安定化層6より薄く形成されることが好ましい。
次に、繰り返しの引張応力に対する耐力の向上手段について述べる。繰り返し引張応力が印加された場合に、安定化層6の厚さが局所的に薄い箇所、又は、安定化層6の外表面の算術平均粗さRaが局所的に大きい箇所(粗い箇所)が存在すると、薄い箇所又は粗い箇所に応力が集中し、これらの箇所を起点として、超電導特性の劣化や超電導線材の少なくとも一部の破断が起こるおそれがある。
安定化層6の厚さを全体的に厚くした場合は、応力が厚さ全体に分散され、繰り返しの引張応力に対する耐力が向上するが、酸化物超電導線材10の断面積又は厚さが増大する。すなわち、酸化物超電導線材10の断面積又は厚さ全体に占める酸化物超電導層3の断面積又は厚さの割合が低下する。このため、超電導コイルや超電導ケーブル等の応用製品において、応用製品の断面積で平均したときの電流密度が低くなる。このため、応用製品の性能を向上するためには、酸化物超電導線材10の断面積又は厚さを小さくすることが好ましい。
安定化層6の厚さdを薄くしつつ、繰り返しの引張応力に対する耐力を向上するためには、安定化層6の厚さdが薄いほど、安定化層6の外表面の算術平均粗さRaを小さくすることが好ましい。このため、安定化層6の厚さdと、安定化層6の外表面の算術平均粗さRaとの比Ra/dが、所定の小さい範囲内であることが、耐力の向上に寄与すると考えられる。具体的には、比Ra/dが、0.005以上0.05未満の範囲であることが好ましく、比Ra/dが0.04以下であることがより好ましく、比Ra/dが0.03以下であることがさらに好ましい。これにより、繰り返し引張応力が印加されても特性が劣化しにくい酸化物超電導線材を得ることができる。
安定化層6の外表面の算術平均粗さRaが小さい場合、銅めっきによる成膜では、めっき速度を遅くする等、めっき条件の選定や生産性に問題がある。このため、安定化層6の外表面の算術平均粗さRaを過度に小さくすることなく、安定化層6の厚さdを薄くすることができ、しかも、繰り返しの引張応力に対する耐力を向上するためには、上述したように比Ra/dを制御することが有効である。安定化層6の外表面の算術平均粗さRaは、0.1〜1.0μmの範囲であることが好ましい。この範囲内であれば、安定化層6と後述する含浸樹脂との間の密着性を十分に確保することができる。
安定化層6の厚さd又は安定化層6の外表面の算術平均粗さRaの値が、安定化層6の外表面の領域ごとに異なる場合、それぞれの領域ごとに安定化層6の厚さdの値及び比Ra/dの値が上述の範囲内であることが好ましい。例えば、安定化層6の外表面を構成する領域として、第1主面6a、2つの側面6b、第2主面6c、4つの隅部6dが挙げられる。安定化層6の厚さd又は安定化層6の外表面の算術平均粗さRaの値が同程度と想定される領域内では、平均値等の代表値により、安定化層6の厚さdの値及び比Ra/dの値を設定してもよい。安定化層6の第1主面6aは、超電導積層体5の第1主面5aに対応する領域である。安定化層6の側面6bは、超電導積層体5の側面5bに対応する領域である。安定化層6の第2主面6cは、超電導積層体5の第2主面5cに対応する領域である。安定化層6の隅部6dは、主面6a,6cと側面6bとの間の領域である。
酸化物超電導線材10の製造方法としては、基板1上に酸化物超電導層3を積層して超電導積層体5を作製する工程と、超電導積層体5の周囲に安定化層6を形成する工程とを有する方法が挙げられる。酸化物超電導線材10の製造に際して、安定化層6の厚さd及び比Ra/dが上述の範囲となるように、安定化層6の厚さdと、安定化層6の外表面の算術平均粗さRaとを調整する。例えば、Cuめっきにより安定化層6を形成する工程の際に、Cuめっきの条件設定等により、安定化層6の厚さdと、安定化層6の外表面の算術平均粗さRaとを調整することができる。また、安定化層6を形成する工程の後で、例えば安定化層6の外表面を研磨紙等の研磨材で処理すること等により、算術平均粗さRaを調整することができる。
図2に、超電導コイルの一例を示す。酸化物超電導線材10を使用して超電導コイル100を作製するには、例えば超電導線材を巻き枠の外周面に沿って必要な層数巻き付けて多層巻きのコイル体を構成した後、巻き付けた超電導線材を覆うようにエポキシ樹脂等の樹脂を含浸させて、超電導線材を固定することができる。図2に示す超電導コイル100は、複数のコイル体101が積層されて構成されている。各コイル体101は、パンケーキコイルであって、酸化物超電導線材10が厚さ方向に積層されて巻回されている。パンケーキコイルとは、テープ状の酸化物超電導線材を重ね巻きするように巻回して構成されたコイルである。各コイル体101は円環状である。複数のコイル体101が互いに電気的に接続されていてよい。超電導コイル100は、超電導機器に使用できる。超電導コイル100に含まれるコイル体101の数は特に限定されない。超電導コイル100は、1又は2以上のコイル体101を含むことができる。
酸化物超電導線材がコイル状に巻き回された超電導コイルでは、酸化物超電導線材と樹脂の熱膨張係数の差に起因して、冷却時に、例えば超電導積層体の厚さ方向で、各層が剥離する方向に応力(剥離応力)が働くことがある。本実施形態の酸化物超電導線材10は、繰り返しの引張応力に対する耐力が優れているため、超電導コイルの剥離応力に対する耐力も優れたものとなる。
酸化物超電導線材10の外周には、酸化物超電導線材10の周囲に対する電気絶縁を確保するため、絶縁層を有することが好ましい。酸化物超電導線材10が超電導コイル1001に用いられる場合、酸化物超電導線材が絶縁層を有することにより、含浸樹脂の付着の程度にかかわらず、コイル体101を構成する酸化物超電導線材10の電気絶縁を容易に確保することができる。
図3に、樹脂テープの絶縁層を有する酸化物超電導線材の一例を示す。図3では、樹脂テープ11の一部が巻き付けられる途中の状態を示しているが、最終的には酸化物超電導線材10の全長にわたって樹脂テープ11が密に巻き付けられ、酸化物超電導線材10の全長にわたって絶縁層12が形成される。本実施形態の酸化物超電導線材10では、絶縁層12が、安定化層6の外表面に対して樹脂テープ11を巻き付けて構成されることが好ましい。樹脂テープとしては、ポリイミド等の絶縁テープが挙げられる。樹脂テープの厚さとしては、例えば5〜50μmが挙げられ、7.5μm〜12.5μmがより好ましい。樹脂テープの巻き付け方としては、テープの幅方向の端部同士が重ならないように側面を突き合わせて螺旋状に巻き付ける突合せ巻き、テープの幅方向の端部同士を重ね合わせて螺旋状に巻き付けるラップ巻きが挙げられる。突合せ巻きの場合、突き合わせ箇所が異なるように、2枚以上の樹脂テープを巻き付けてもよい。樹脂テープから絶縁層を構成する方法としては、螺旋状の巻き付けに限定されず、例えば超電導線材の長手方向と樹脂テープの長手方向とを同じ方向にして重ね合わせる縦添えでもよい。
液状の絶縁樹脂のコーティング等により絶縁層を形成する場合と比べると、絶縁層が樹脂テープ11から構成される場合は、絶縁層12が安定化層6の外周面に完全には密着しない。このため、酸化物超電導線材10を臨界温度以下の低温に冷却したとき、樹脂テープ11の周囲に空気層が残り、あるいは低温と常温との間の温度変化に対して収縮と膨張を繰り返すことにより、剥離応力に影響するおそれがある。そこで、上述のように比Ra/dを調整することで、繰り返し引張応力に対する耐力を向上する効果及び必要性が高いものとなる。
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。改変としては、各実施形態における構成要素の追加、置換、省略、その他の変更が挙げられる。また、2以上の実施形態に用いられた構成要素を適宜組み合わせることも可能である。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
ハステロイ(登録商標)からなる75μm厚の基板上に中間層を介してGdBCO超電導層を積層し、超電導層の上にAg保護層を積層して超電導積層体を作製した。超電導積層体の外周に電解めっきによりCu安定化層を所定の厚さで形成し、4mm幅の酸化物超電導線材を作製した。Cu安定化層の外表面の表面粗さを研磨紙により調整してサンプルを作製した。各サンプルを液体窒素中で180〜600MPaの応力範囲で長手方向に引っ張る引張試験を実施した。引張試験において、繰り返し引張回数が1000回ごと(1000の倍数に達するごと)に臨界電流(Ic)を測定した。引張試験を実施する前に測定した初期臨界電流(Ic0)との比(Ic/Ic0)が0.99を下回った場合、酸化物超電導線材の特性が劣化したと判断した。繰り返し引張回数が100,000回に達しても特性劣化に達しなかった場合、100,000回を超える繰り返し引張回数(>100,000)を特定することなく、引張試験を完了した。
Figure 0006688914
それぞれのサンプル番号ごとに、Cu安定化層の厚さd[μm]、Cu安定化層の外表面の算術平均粗さRa[μm]、これらの比Ra/d、及び特性の劣化に達した回数の試験結果を表1に示す。比Ra/dが0.05未満の場合は、繰り返し引張回数が100,000回に達しても酸化物超電導線材の特性が劣化しなかった。
1…基板、1a…基板の第1主面、1b…基板の第2主面、2…中間層、2a…中間層の主面、3…酸化物超電導層、3a…酸化物超電導層の主面、4…保護層、4a…保護層の主面、5…超電導積層体、5a…超電導積層体の第1主面、5b…超電導積層体の側面、5c…超電導積層体の第2主面、6…安定化層、6a…安定化層の第1主面、6b…安定化層の側面、6c…安定化層の第2主面、6d…安定化層の隅部、10…酸化物超電導線材、11…樹脂テープ、12…絶縁層、100…超電導コイル、101…コイル体。

Claims (4)

  1. 基板上に中間層を介して酸化物超電導層を有し、前記酸化物超電導層の上にAg保護層を有する超電導積層体と、
    前記超電導積層体の周囲に形成された銅めっきからなる安定化層と、
    を有する酸化物超電導線材であって、
    前記安定化層の厚さdが1040μmの範囲であり、前記安定化層の外表面の算術平均粗さRaが、0.1〜1.0μmの範囲であり、前記安定化層の厚さdと、前記安定化層の外表面の算術平均粗さRaとの比Ra/dが0.005〜0.03の範囲であり、
    前記酸化物超電導線材を、液体窒素中で180〜600MPaの応力範囲で長手方向に引っ張る引張試験を実施して、繰り返し引張回数が100,000回に達したときの臨界電流(Ic)と、前記引張試験を実施する前に測定した初期臨界電流(Ic0)との比(Ic/Ic0)が0.99以上であることを特徴とする酸化物超電導線材。
  2. 前記基板の厚さが50〜75μmの範囲であることを特徴とする請求項に記載の酸化物超電導線材。
  3. 前記安定化層の周囲に、前記安定化層の外表面に樹脂テープからなる絶縁層を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化物超電導線材。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の酸化物超電導線材が厚さ方向に積層された超電導コイル。
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