JP3868216B2 - 化合物系超電導コイル及びその製造方法 - Google Patents

化合物系超電導コイル及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、化合物系超電導コイルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は、例えば特表平3−503103号公報に示された従来のNb3Sn超電導コイル31における電極(ターミナル)を示す断面図である。図4において、16はNb3Sn超電導コイル31本体の上面17に取り付けられたターミナル組立体、18、20及び27は熱処理前のNb3Sn導体、19はターミナル組立体16におけるターミナル台、21はターミナル台19上に設けた支柱、22は外部リード、23はターミナル台19の本コイル31への接合面、24はターミナル台19内で導体が貫通する穴、25はターミナル台19を本コイル31に接合させるために用いた接着剤、26はターミナル台の下部周面箇所である。
【0003】
次に、動作について説明する。熱処理済みのNb3Sn線材は脆くて曲げ歪や引っ張り歪により超電導特性、特に臨界電流(Ic)特性に劣化が起こるため、Nb3Sn超電導コイルの製造方法としては、Nb3Sn線を熱処理してから歪をコントロ−ルした状態で巻回するリアクト&ワインド法(以下、R&W法)と、熱処理前のNb3Sn超電導線を予めコイル状に巻回してから熱処理するワインド&リアクト法(以下W&R法)の2種類の何れかによって製造される。
【0004】
この特表平3−503103号公報では、Nb3Sn超電導コイルの場合は後者の製造方法(W&R法)を採用したいる。コイル31の本体に接着されたタ−ミナル台19中の穴24に熱処理前のNb3Sn超電導体20を通し、その上部の支柱21に導体27を巻き付けて固定し、その後熱処理してNb3Snを生成した後に、電気的接続を行うというコイル構造、或いは電極構造にすることによって、脆いNb3Sn線材によるコイル端部のリード部分やターミナル部分等に有害な歪が加わるのを防いでいる。
【0005】
一方、前者の製造方法(R&W法)により生成される一般的なNb3Sn超電導コイルにおいても、電極がコイル上面或いは下面に取り付けられているが、一般にはコイル本体と一体的にモールドされた樹脂含浸コイルの構造にはなっていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、何れの方法により製作されたコイルにおいても、電極とコイル本体とは一体的に形成されていないため、熱処理した脆い化合物系線材では、コイルを冷却する時に発生する熱収縮による歪に基づく劣化や、通電時に発生する電磁力による歪に基づく劣化、更には人為的な作業ミスによる劣化が特に電極部において起きやすく、最悪の場合、此処で断線が発生するとコイルとして使用できなくなるという問題点があった。
【0007】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、万一、電極からコイル巻枠に設けた穴等を通ってコイル本体に至る渡りの化合物系線材の部分で、熱膨張や電磁力等による歪、更には人為的なミスにより断線等が発生しても、対処可能な構造のコイルを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る化合物系超電導コイルにおいては、電極からコイル本体に至る渡りの化合物系線の部分で、熱膨張や電磁力等による歪、更には人為的なミスにより断線等が発生しても対処可能なように、超電導コイルの端部において常電導のリード線、もしくは熱処理済み化合物系超電導線を電極とは別に接続し、コイルの上面、或いは下面にこのリード線、もしくは熱処理済み化合物系超電導線材を一体にモールドした構造の予備電極を採用したものである。
【0009】
また、この発明に係るR&W法による化合物系コイルの製造方法は、予め巻枠のフランジ内部に電極を取り付けてから、この出張った電極と共に平面を形成するスペーサー材で巻枠を形成し、この巻枠に、熱処理及び絶縁処理済みの化合物系超電導線を巻線する時に、コイル端部において電極とは別に常電導金属によるリード線、もしくは熱処理済み化合物系超電導線を接続し、このリード線、もしくは熱処理済み化合物系超電導線をスペーサー材に設けた溝の中に埋設しつつ巻線し、このコイルを樹脂含浸したのち、このコイルと一体化した電極をフランジから脱着し、場合によっては巻枠及びスペーサー材も取り外す工程からなるものである。
【0010】
更に、この別の発明に係わるW&R法による化合物系超電導コイルの製造方法は、予め巻枠のフランジ内部に電極を取り付けてから、この出張った電極と共に平面を形成するスペーサー材で巻枠を形成し、この巻枠に無機絶縁被覆した未熱処理の化合物系超電導線を巻回する時に、コイル端部において電極とは別に常電導金属によるリード線、もしくは未熱処理の化合物系超電導線を接続し、このリード線、もしくは未熱処理の化合物系超電導線をスペーサー材に設けた溝の中に埋設しつつ巻回し、このコイルを熱処理してから樹脂含浸したのち、このコイルと一体化した電極をフランジから脱着し、場合によっては巻枠及びスペーサー材も取り外す工程からなるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1におけるR&W法によるNb3Sn超電導コイル1を説明するための図であり、より具体的には本コイルの両端近傍において銅線等の常電導金属によるリード線、もしくは熱処理済みNb3Sn超電導線による別の電極(以下予備電極5と記す)を設け、この予備電極5をコイル本体の上面に本来の電極3と共に一体にモールドした構造のコイルの斜視図である。
【0012】
図1において、2はホルマール絶縁された熱処理済みのNb3Sn超電導線(線径0.8mm)による巻線部である。3は巻線部2の両端に接続される銅製の電極、4は電磁力を増強するために設けたステンレス線(SUS304製、線径1mm)の巻線部である。予備電極5はNb3Sn超電導コイル1の両端の近傍部にてハンダ付け等でそれぞれ接続され、樹脂含浸により当Nb3Sn超電導コイル1と一体化にされる。
【0013】
予備電極5と電極3を図1に示すようなNb3Sn超電導コイル1本体の上面に一体にモールドさせた構造のコイルを得るには、例えば図2に示すような形状の巻枠Hを用いればよい。図2において、図1と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものである。6は電極3と超電導線の巻線部2との絶縁を確保するために挿入されたPET紙(厚さ0.1mm)、7および8は電極3と共に平面を形成するテフロン製のスペーサー材であり、9は巻枠Hの巻芯、10は巻枠Hにおける上部のフランジである。
【0014】
11は予備電極5をスペーサー材8内に埋め込むために設けた断面がU字状の溝である。12はコイル本体と巻枠Hのフランジ10とを絶縁するためのPET紙による絶縁シート、13aは巻枠Hの巻芯9をコイル本体から後で離型するために用いたテフロン製の離型材である。
【0015】
図に示されるように、先ず巻枠Hの巻芯9と巻枠Hのフランジ10を嵌合したのち、電極3をテフロン製のスペーサー材8を介してフランジ10内部にネジで固定しておき、この出張った電極3と平面を共に形成するテフロン製のスペーサー7で巻枠Hのフランジ面を構成することにより当巻枠Hを組み上げる。電極3をフランジ内部に固定するための前述のネジには、後の脱着のために離型材を塗布しておくのが好ましい。
【0016】
次に、熱処理及び絶縁処理済みのNb3Sn超電導線2aを巻回する。巻線の巻き始めと巻き終わりにおいては、コイル端部のNb3Sn超電導線2aの絶縁皮膜を除去してから、そのNb3Sn超電導線2aを固定する時の曲げ歪が1%未満となる構造の電極3にネジ3a(図1)で固定し、はんだ付けによる電気的接続を施す。この電極3の構造としては、Nb3Sn超電導線2aをこの電極3に固定した時の曲げ歪が1%未満となる様に、徐々に深さを増す直線状で断面がV字状の溝を施してある。
【0017】
次に、電極3から1ターン以内のコイル端近傍部分の線材に対し、絶縁皮膜を除去したのち、その部分に予備電極5として線径0.8mmの熱処理及び絶縁処理済みNb3Sn超電導線(接続部分の絶縁被覆は取り除き済み)をはんだ付けによって接続し、この接続部分の絶縁のために、カプトンテープTを巻き付ける。なお、予備電極5を埋設するため、図2に示したようにテフロン製のスペーサー材7に対し、予備電極5を取り付ける部分に深さ2mmのU字状の溝を前もって設けておいた。この予備電極5はスペーサー材7に設けたU字状の溝11の中になるべく真っ直ぐな形状で埋設しておくのが好ましい。
【0018】
この予備電極5の取り付けを終えた後、Nb3Sn超電導線2aを巻回し、巻回終了時のコイル端部においても、本来の電極3以外に同様な予備電極5を取り付ける。更に、コイルの外側には電磁力を増強するためにステンレス線(SUS304製、線径1mm)による巻線部4を設ける。このようにして巻回されたコイルを樹脂含浸したのち、ネジを外すことでコイルおよびこれと一体化した電極3をフランジ10から脱着し、更には、巻芯9及びフランジ10とスペーサー材7および8を離型して取り外した後、最後に電気配線を施すことによって本Nb3Sn超電導コイル1が完成する。
【0019】
本例ではコイルの支持方法としては、例えばコイル下面と上面をGFRP等の絶縁板で挟んでボルト等で固定して受ける方法を用いたが、コイルを支持するためにコイルの外側に銅製の部材等をモールドにより一体化して設け、この部材を介してボルト等によるネジ止め、或いは接着や溶接により支持する方法でもよい。
【0020】
このようにして製作したコイル1に対し、図1の5で示される樹脂含浸されて盛り上がった予備電極5の箇所について、歪が加わらないように注意深く線材2aの表面が露出するまで樹脂を取り除いた後、この予備電極5の部分とクライオスタット側の銅製の電流リード線とを可とう導体を介してはんだ付けにより接続し、このコイルをクライオスタット中にセットしたのち、液体ヘリウム中で電極3からではなくこの予備電極5の部分から通電した。その結果、最初の励磁時において167Aまで通電することができ、トレーニング無しにB=10T(ロードラインの100%)の通電に成功した。
【0021】
また、20回にわたる室温と液体ヘリウム温度間の熱サイクル履歴や、30回にわたる液体ヘリウム中での通電試験を実施したが、この予備電極5の部分に劣化は全く認められず、万一、その電極部や電極からコイル本体に至る渡りのNb3Sn線の部分で、熱膨張や電磁力等による歪、更には人為的なミスにより断線等が発生した場合でも、予備電極5で代用できるため、そのような事故時にも容易に対処できる。
【0022】
なお、上記実施の形態1では、化合物系超電導コイルとしてNb3Sn超電導コイルを例にとって説明したが、それ以外に、例えばNb3Al超電導コイルやBi系等の高温超電導コイルであっても上記実施の形態1と同様に製作すれば同じような効果を得ることができる。また、上記実施の形態1では、液体ヘリウム中に浸漬する直接冷却方式のNb3Sn超電導コイルについて説明したが、GM冷凍機等を用いた伝導冷却方式のコイルであってもよく、上記実施の形態1と同様の効果がある。
【0023】
また、本実施例では樹脂含浸したコイルから巻枠及びスペーサー材を取り外してコイルを仕上げたが、樹脂含浸後、コイルから巻枠及びスペーサー材を取り外さないでコイルを仕上げても良く、もし電極に不良が発生した場合に初めてコイルから巻枠及びスペーサー材を取り外し、上記の救済処置を行なっても上記実施の形態1と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0024】
更に、上記実施の形態1では、予備電極5に熱処理済みのNb3Sn超電導線を用いた場合について説明したが、常電導の銅線等であってもよく、上記実施の形態1と同様の効果がある。
【0025】
実施の形態2.
図3は、この発明を実施するための実施の形態2におけるW&R法によるNb3Sn超電導コイル51を説明するための図であり、より具体的には超電導コイルの端部において銅線等の常電導金属によるリード線、もしくは未熱処理Nb3Sn超電導線による予備電極5をコイル本体の上面に従前の電極3と共に一体にモールドした構造のコイルの断面図である。
【0026】
図3において、図1と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当する。巻線部2は無機絶縁被覆された未熱処理のNb3Sn超電導線(線径0.8mm)2bによるものである。予備電極5はNb3Sn超電導コイル1の両端部近傍において、銅の細線を多重に巻き付けることで未熱処理の超電導線材2bと接続され、後の樹脂含浸によりコイル51と一体化される。14は電極3と超電導線の巻線部2との絶縁、及びコイル51本体と巻枠Hの巻芯9との絶縁を確保するために挿入されたアルミナペーパー(厚さ0.1mm)、15は電極と共に平面を形成する快削製セラミックス製のスペーサー材である。
【0027】
なお、巻枠Hの巻芯9とアルミナ製の絶縁材14との間には、後でコイルを巻枠等から離型する工程のための離型材13bとして、窒化ほう素の粉末をアルコールで溶かして塗布している。予備電極5と電極3をコイル上面に一体にモールドさせる構造のコイルをW&R法により得るには、以下のように行えばよい。
【0028】
先ず、図3に示されるように巻枠Hの巻芯9と巻枠Hのフランジ10を嵌合したのち、電極3を快削製セラミックス製のスペーサー材15aを介して巻枠のフランジ10内部にネジで固定しておき、この出張った電極3と平面を共に形成する快削製セラミックス製のスペーサー15bで巻枠のフランジ面を構成することにより当巻枠Hを組み立てる。電極をフランジ内部に固定するためのネジには、後の脱着のために離型材を塗布しておくのが好ましい。
【0029】
次に、無機絶縁を被覆した未熱処理のNb3Sn超電導線2bを巻芯9に巻回する。巻線の巻き始めと巻き終わりにおいては、コイル端部のNb3Sn超電導線2bの絶縁皮膜を除去してから、そのNb3Sn超電導線2bを電極3にネジで数個所を固定することにより電気的接続を施す。この電極3の構造としては、徐々に深さを増す直線状で断面がV形状の溝を施してある。次に、電極3から1ターン以内のコイル端近傍部分の線材の絶縁皮膜を除去したのち、この部分に予備電極5として線径0.8mmの無機絶縁被覆を施した未熱処理のNb3Sn超電導線(接続部分の絶縁被覆は取り除き済み)をあてがってから、銅の細線を多重に巻き付けることで未熱処理の超電導線材2bと接続し、この接続部分に袋編みされた無機絶縁材Qを被せることにより絶縁を施す。
【0030】
なお、予備電極5を埋設するため、快削製セラミックス製のスペーサー材15bに図3に示したような深さ2mmのU字状の溝を前もって設けておいた。この予備電極5はスペーサー材に設けたU字状の溝11の中になるべく真っ直ぐな形状で埋設しておくことが好ましい。この予備電極5の取り付けを終えた後、このU字状の溝をアルミナ製のペーパーで塞いだ後、Nb3Sn超電導線2bを巻回する。巻線終了時のコイル端部においても同様な予備電極5を取り付ける。更に、コイルの外側には電磁力を補強するためにステンレス線(SUS304製、線径1mm)による巻線部4を設ける。なお、このステンレス線による補強は、本実施例では熱処理前に行ったが、コイル本体を熱処理し、含浸したのちステンレス線を巻回し、その後更に含浸する工程を採用しても良い。
【0031】
このようにして巻回されたコイルをアルゴンガス等の不活性雰囲気下で熱処理したのち、樹脂含浸を行った。熱処理により、銅の細線が多重に巻き付けられた予備電極部分と超電導線材との接続部分は、完全にCu同士が溶着することにより電気的接続が達成されていた。最後に、ネジを外すことでコイルと一体化した電極3を巻枠のフランジ10から脱着し、巻枠9及び10とスペーサー材15a及びbを離型してコイルから取り外した後、電気配線を施すことによって本Nb3Sn超電導コイル51が完成する。
【0032】
本例ではコイルの支持方法としては、巻枠を持たないため、例えばコイル下面と上面をGFRP等の絶縁板で挟んでボルト等で固定して受ける方法を用いるが、コイルを支持するためにコイルの外側に銅製の部材等をモールドにより一体化して設け、この部材を介してボルト等によるネジ止め、或いは接着や溶接により支持する方法でもよい。
【0033】
このようにして製作したコイル51に対し、図3の5で示される樹脂含浸されて盛り上がった予備電極の箇所について、歪が加わらないように注意深く線材5の表面が露出するまで樹脂を取り除いた後、この予備電極5の部分とクライオスタット側の銅製の電流リード線とを可とう導体を介してはんだ付けにより接続し、このコイルをクライオスタット中にセットしたのち、液体ヘリウム中で電極3からではなくこの予備電極5の部分から通電した。
【0034】
その結果、最初の励磁時において167Aまで通電することができ、トレーニング無しにB=10T(ロードラインの100%)の通電に成功した。また、20回にわたる室温と液体ヘリウム温度間の熱サイクル履歴や、30回にわたる液体ヘリウム中での通電試験を実施したが、この予備電極5の部分に劣化は全く認められず、万一電極部、或いは電極からコイル本体に至る渡りのNb3Sn超電導線の部分で、熱膨張や電磁力等による歪、更には人為的なミスにより断線等が発生しても、この予備電極5の部分を用いることで対処可能であることが判明した。
【0035】
なお、上記実施の形態2では、液体ヘリウム中に浸漬する直接冷却方式の超電導Nb3Snコイル51を説明したが、GM冷凍機等を用いた伝導冷却方式のコイルであってもよく、上記実施の形態2と同様の効果がある。
【0036】
また、本実施例では樹脂含浸したコイルから巻枠及びスペーサー材を取り外してコイルを仕上げたが、樹脂含浸後、コイルから巻枠及びスペーサー材を取り外さないでコイルを仕上げても良く、万一電極に不良が発生した場合に初めてコイルから巻枠及びスペーサー材を取り外し、上記の救済処置を行なっても上記実施の形態2と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0037】
更に、上記実施の形態2では、予備電極として未熱処理のNb3Sn超電導線について説明したが、常電導の銅線等であってもよく、上記実施の形態2と同様の効果がある。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、超電導コイルの端部において電極とは別に接続された予備電極を、コイルの上面、或いは下面に一体にモールドしたので、電極からコイル本体に至る渡りの化合物系線材の部分で、熱膨張や電磁力等による歪、更には人為的なミスにより断線等が発生しても、歪を加えないようにこのモールドされた予備電極の部分を削り出し、此処と電極、或いはクライオスタット側のパワーリードとを接続することによりコイルとして再利用できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1のR&W法によるNb3Sn超電導コイルを説明するための図である。
【図2】 実施の形態1のR&W法によるNb3Sn超電導コイルで用いた巻枠等を説明するための図である。
【図3】 実施の形態2のW&R法によるNb3Sn超電導コイルを説明するための図である。
【図4】 従来の形態のNb3Sn超電導コイルを説明するための図である。
【符号の説明】
1および51 Nb3Sn超電導コイル、2a ホルマール絶縁された熱処理済みのNb3Sn超電導線、2b 無機絶縁被覆された未熱処理のNb3Sn超電導線、3 銅製の電極、4 ステンレス線の巻線部、5 予備電極、6 PET紙、7及び8 テフロン製のスペーサー材、9 巻枠の巻芯、10 巻枠の上部フランジ、11 予備電極を埋めるために設けたU字状の溝、12 PET紙による絶縁シート、13a テフロン製の離型材、13b 窒化ほう素の離型材14 アルミナペーパーによる絶縁シート、15 快削製セラミックス製のスペーサー材、T カプトンテープ、Q 無機絶縁材

Claims (6)

  1. 樹脂含浸された化合物系超電導コイルであって、コイル端部の電極とは別に、コイル端部に設けた電極から1ターン以内のコイル端近傍部分の線材に対し、絶縁被膜を除去したのち、その部分に、常電導のリード線もしくは熱処理済み化合物系超電導線による予備電極をあてがってから、前記超電導コイルと予備電極とを電気的に接続し、次いで、樹脂含浸により前記超電導コイルと一体化させた構造を持つことを特徴とする化合物系超電導コイル。
  2. 樹脂含浸されたコイルが巻枠を持たない構造であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の化合物系超電導コイル。
  3. (a)予め巻枠のフランジ内部に電極を取り付けてから、この電極と共に平面を形成するスペーサー材で巻枠を形成する工程、
    (b)この巻枠に、熱処理及び絶縁処理済みの化合物系超電導線を巻回する工程、
    (c)この化合物系超電導線によるコイルの端部を電極に固定して電気的接続を行うと共に、前記電極から1ターン以内のコイル端近傍部分の線材に対し、絶縁被膜を除去したのち、その部分に、常電導のリード線もしくは熱処理済み化合物系超電導線による予備電極をあてがってから、前記超電導コイルと予備電極とを電気的に接続し、この予備電極をスペーサー材に設けた溝の中に埋設する工程、
    (d)このコイルを樹脂含浸する工程、及び、
    (d)樹脂含浸してコイルと一体化した電極をフランジから脱着する工程からなるリアクト&ワインド法による化合物系超電導コイルの製造方法。
  4. 樹脂含浸したコイルから巻枠及びスペーサー材を取り外す工程を付加した特許請求の範囲第3項記載のリアクト&ワインド法による化合物系超電導コイルの製造方法。
  5. (a)予め巻枠のフランジ内部に電極を取り付けてから、この電極と共に平面を形成するスペーサー材で巻枠を形成する工程、
    (b)この巻枠に、無機絶縁被覆した未熱処理の化合物系超電導線を巻回する工程、
    (c)この化合物系超電導線によるコイルの端部を電極に固定して電気的接続を行うと共に、前記電極から1ターン以内のコイル端近傍部分の線材に対し、絶縁被膜を除去したのち、その部分に、常電導のリード線もしくは熱処理済み化合物系超電導線による予備電極をあてがってから、前記超電導コイルと予備電極とを電気的に接続し、この予備電極をスペーサー材に設けた溝の中に埋設する工程、
    (d)このコイルを熱処理する工程、
    (e)このコイルを樹脂含浸する工程、及び、
    (f) 樹脂含浸してコイルと一体化した電極をフランジから脱着する工程からなるワインド&リアクト法による化合物系超電導コイルの製造方法。
  6. 樹脂含浸したコイルから巻枠及びスペーサー材を取り外す工程を付加した特許請求の範囲第5項記載のワインド&リアクト法による化合物系超電導コイルの製造方法。
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