JP2002231523A - 化合物系超電導コイル及びその製造方法 - Google Patents

化合物系超電導コイル及びその製造方法

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JP2002231523A JP2001026812A JP2001026812A JP2002231523A JP 2002231523 A JP2002231523 A JP 2002231523A JP 2001026812 A JP2001026812 A JP 2001026812A JP 2001026812 A JP2001026812 A JP 2001026812A JP 2002231523 A JP2002231523 A JP 2002231523A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の化合物系超電導コイルでは、予備の電
極をコイルの上面或いは下面と一体に設けていないた
め、熱処理した脆い化合物系線材では、コイルを冷却す
る時に発生する熱収縮による歪に基づく劣化や、通電時
に発生する電磁力による歪に基づく劣化、更には人為的
な作業ミスによる劣化が特に電極部に起きやすく、此処
で断線が生じるとコイルは使用不可となった。 【解決手段】 この発明においては、コイル本体に至る
渡りの部分で様々な歪による劣化や断線等が発生しても
対処可能なように、超電導コイルの端部に超電導線、或
いは常電導のリード線による予備電極を電極とは別に接
続し、これをコイルの上面等に一体にモールドした構造
を採用した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、化合物系超電導
コイルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4は、例えば特表平3−503103
号公報に示された従来のNb3Sn超電導コイル31におけ
る電極(ターミナル)を示す断面図である。図4におい
て、16はNb3Sn超電導コイル31本体の上面17に取
り付けられたターミナル組立体、18、20及び27は
熱処理前のNb3Sn導体、19はターミナル組立体16に
おけるターミナル台、21はターミナル台19上に設け
た支柱、22は外部リード、23はターミナル台19の
本コイル31への接合面、24はターミナル台19内で
導体が貫通する穴、25はターミナル台19を本コイル
31に接合させるために用いた接着剤、26はターミナ
ル台の下部周面箇所である。
【0003】次に、動作について説明する。熱処理済み
のNb3Sn線材は脆くて曲げ歪や引っ張り歪により超電導
特性、特に臨界電流(Ic)特性に劣化が起こるため、Nb3S
n超電導コイルの製造方法としては、Nb3Sn線を熱処理し
てから歪をコントロ−ルした状態で巻回するリアクト&
ワインド法(以下、R&W法)と、熱処理前のNb3Sn超電導線
を予めコイル状に巻回してから熱処理するワインド&リ
アクト法(以下W&R法)の2種類の何れかによって製造さ
れる。
【0004】この特表平3−503103号公報では、
Nb3Sn超電導コイルの場合は後者の製造方法(W&R法)を採
用したいる。コイル31の本体に接着されたタ−ミナル
台19中の穴24に熱処理前のNb3Sn超電導体20を通
し、その上部の支柱21に導体27を巻き付けて固定
し、その後熱処理してNb3Snを生成した後に、電気的接
続を行うというコイル構造、或いは電極構造にすること
によって、脆いNb3Sn線材によるコイル端部のリード部
分やターミナル部分等に有害な歪が加わるのを防いでい
る。
【0005】一方、前者の製造方法(R&W法)により生成
される一般的なNb3Sn超電導コイルにおいても、電極が
コイル上面或いは下面に取り付けられているが、一般に
はコイル本体と一体的にモールドされた樹脂含浸コイル
の構造にはなっていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、何れの方
法により製作されたコイルにおいても、電極とコイル本
体とは一体的に形成されていないため、熱処理した脆い
化合物系線材では、コイルを冷却する時に発生する熱収
縮による歪に基づく劣化や、通電時に発生する電磁力に
よる歪に基づく劣化、更には人為的な作業ミスによる劣
化が特に電極部において起きやすく、最悪の場合、此処
で断線が発生するとコイルとして使用できなくなるとい
う問題点があった。
【0007】この発明は、上記のような問題点を解決す
るためになされたものであり、万一、電極からコイル巻
枠に設けた穴等を通ってコイル本体に至る渡りの化合物
系線材の部分で、熱膨張や電磁力等による歪、更には人
為的なミスにより断線等が発生しても、対処可能な構造
のコイルを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明に係る化合物系
超電導コイルにおいては、電極からコイル本体に至る渡
りの化合物系線の部分で、熱膨張や電磁力等による歪、
更には人為的なミスにより断線等が発生しても対処可能
なように、超電導コイルの端部において常電導のリード
線、もしくは熱処理済み化合物系超電導線を電極とは別
に接続し、コイルの上面、或いは下面にこのリード線、
もしくは熱処理済み化合物系超電導線材を一体にモール
ドした構造の予備電極を採用したものである。
【0009】また、この発明に係るR&W法による化合物
系コイルの製造方法は、予め巻枠のフランジ内部に電極
を取り付けてから、この出張った電極と共に平面を形成
するスペーサー材で巻枠を形成し、この巻枠に、熱処理
及び絶縁処理済みの化合物系超電導線を巻線する時に、
コイル端部において電極とは別に常電導金属によるリー
ド線、もしくは熱処理済み化合物系超電導線を接続し、
このリード線、もしくは熱処理済み化合物系超電導線を
スペーサー材に設けた溝の中に埋設しつつ巻線し、この
コイルを樹脂含浸したのち、このコイルと一体化した電
極をフランジから脱着し、場合によっては巻枠及びスペ
ーサー材も取り外す工程からなるものである。
【0010】更に、この別の発明に係わるW&R法による
化合物系超電導コイルの製造方法は、予め巻枠のフラン
ジ内部に電極を取り付けてから、この出張った電極と共
に平面を形成するスペーサー材で巻枠を形成し、この巻
枠に無機絶縁被覆した未熱処理の化合物系超電導線を巻
回する時に、コイル端部において電極とは別に常電導金
属によるリード線、もしくは未熱処理の化合物系超電導
線を接続し、このリード線、もしくは未熱処理の化合物
系超電導線をスペーサー材に設けた溝の中に埋設しつつ
巻回し、このコイルを熱処理してから樹脂含浸したの
ち、このコイルと一体化した電極をフランジから脱着
し、場合によっては巻枠及びスペーサー材も取り外す工
程からなるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は、この発明
を実施するための実施の形態1におけるR&W法によるNb3
Sn超電導コイル1を説明するための図であり、より具体
的には本コイルの両端近傍において銅線等の常電導金属
によるリード線、もしくは熱処理済みNb3Sn超電導線に
よる別の電極(以下予備電極5と記す)を設け、この予備
電極5をコイル本体の上面に本来の電極3と共に一体に
モールドした構造のコイルの斜視図である。
【0012】図1において、2はホルマール絶縁された
熱処理済みのNb3Sn超電導線(線径0.8mm)による巻線部
である。3は巻線部2の両端に接続される銅製の電極、
4は電磁力を増強するために設けたステンレス線(SUS30
4製、線径1mm)の巻線部である。予備電極5はNb3Sn超
電導コイル1の両端の近傍部にてハンダ付け等でそれぞ
れ接続され、樹脂含浸により当Nb3Sn超電導コイル1と
一体化にされる。
【0013】予備電極5と電極3を図1に示すようなNb
3Sn超電導コイル1本体の上面に一体にモールドさせた
構造のコイルを得るには、例えば図2に示すような形状
の巻枠Hを用いればよい。図2において、図1と同一の
符号を付したものは、同一またはこれに相当するもので
ある。6は電極3と超電導線の巻線部2との絶縁を確保
するために挿入されたPET紙(厚さ0.1mm)、7および8
は電極3と共に平面を形成するテフロン(登録商標)製
のスペーサー材であり、9は巻枠Hの巻芯、10は巻枠
Hにおける上部のフランジである。
【0014】11は予備電極5をスペーサー材8内に埋
め込むために設けた断面がU字状の溝である。12はコ
イル本体と巻枠Hのフランジ10とを絶縁するためのPE
T紙による絶縁シート、13aは巻枠Hの巻芯9をコイ
ル本体から後で離型するために用いたテフロン製の離型
材である。
【0015】図に示されるように、先ず巻枠Hの巻芯9
と巻枠Hのフランジ10を嵌合したのち、電極3をテフ
ロン製のスペーサー材8を介してフランジ10内部にネ
ジで固定しておき、この出張った電極3と平面を共に形
成するテフロン製のスペーサー7で巻枠Hのフランジ面
を構成することにより当巻枠Hを組み上げる。電極3を
フランジ内部に固定するための前述のネジには、後の脱
着のために離型材を塗布しておくのが好ましい。
【0016】次に、熱処理及び絶縁処理済みのNb3Sn超
電導線2aを巻回する。巻線の巻き始めと巻き終わりに
おいては、コイル端部のNb3Sn超電導線2aの絶縁皮膜を
除去してから、そのNb3Sn超電導線2aを固定する時の曲
げ歪が1%未満となる構造の電極3にネジ3a(図1)で
固定し、はんだ付けによる電気的接続を施す。この電極
3の構造としては、Nb3Sn超電導線2aをこの電極3に固
定した時の曲げ歪が1%未満となる様に、徐々に深さを
増す直線状で断面がV字状の溝を施してある。
【0017】次に、電極3から1ターン以内のコイル端
近傍部分の線材に対し、絶縁皮膜を除去したのち、その
部分に予備電極5として線径0.8mmの熱処理及び絶縁
処理済みNb3Sn超電導線(接続部分の絶縁被覆は取り除き
済み)をはんだ付けによって接続し、この接続部分の絶
縁のために、カプトンテープTを巻き付ける。なお、予
備電極5を埋設するため、図2に示したようにテフロン
製のスペーサー材7に対し、予備電極5を取り付ける部
分に深さ2mmのU字状の溝を前もって設けておいた。こ
の予備電極5はスペーサー材7に設けたU字状の溝11
の中になるべく真っ直ぐな形状で埋設しておくのが好ま
しい。
【0018】この予備電極5の取り付けを終えた後、Nb
3Sn超電導線2aを巻回し、巻回終了時のコイル端部にお
いても、本来の電極3以外に同様な予備電極5を取り付
ける。更に、コイルの外側には電磁力を増強するために
ステンレス線(SUS304製、線径1mm)による巻線部4を設
ける。このようにして巻回されたコイルを樹脂含浸した
のち、ネジを外すことでコイルおよびこれと一体化した
電極3をフランジ10から脱着し、更には、巻芯9及び
フランジ10とスペーサー材7および8を離型して取り
外した後、最後に電気配線を施すことによって本Nb3Sn
超電導コイル1が完成する。
【0019】本例ではコイルの支持方法としては、例え
ばコイル下面と上面をGFRP等の絶縁板で挟んでボルト等
で固定して受ける方法を用いたが、コイルを支持するた
めにコイルの外側に銅製の部材等をモールドにより一体
化して設け、この部材を介してボルト等によるネジ止
め、或いは接着や溶接により支持する方法でもよい。
【0020】このようにして製作したコイル1に対し、
図1の5で示される樹脂含浸されて盛り上がった予備電
極5の箇所について、歪が加わらないように注意深く線
材2aの表面が露出するまで樹脂を取り除いた後、この
予備電極5の部分とクライオスタット側の銅製の電流リ
ード線とを可とう導体を介してはんだ付けにより接続
し、このコイルをクライオスタット中にセットしたの
ち、液体ヘリウム中で電極3からではなくこの予備電極
5の部分から通電した。その結果、最初の励磁時におい
て167Aまで通電することができ、トレーニング無し
にB=10T(ロードラインの100%)の通電に成功
した。
【0021】また、20回にわたる室温と液体ヘリウム
温度間の熱サイクル履歴や、30回にわたる液体ヘリウ
ム中での通電試験を実施したが、この予備電極5の部分
に劣化は全く認められず、万一、その電極部や電極から
コイル本体に至る渡りのNb3Sn線の部分で、熱膨張や電
磁力等による歪、更には人為的なミスにより断線等が発
生した場合でも、予備電極5で代用できるため、そのよ
うな事故時にも容易に対処できる。
【0022】なお、上記実施の形態1では、化合物系超
電導コイルとしてNb3Sn超電導コイルを例にとって説明
したが、それ以外に、例えばNb3Al超電導コイルやBi系
等の高温超電導コイルであっても上記実施の形態1と同
様に製作すれば同じような効果を得ることができる。ま
た、上記実施の形態1では、液体ヘリウム中に浸漬する
直接冷却方式のNb3Sn超電導コイルについて説明した
が、GM冷凍機等を用いた伝導冷却方式のコイルであっ
てもよく、上記実施の形態1と同様の効果がある。
【0023】また、本実施例では樹脂含浸したコイルか
ら巻枠及びスペーサー材を取り外してコイルを仕上げた
が、樹脂含浸後、コイルから巻枠及びスペーサー材を取
り外さないでコイルを仕上げても良く、もし電極に不良
が発生した場合に初めてコイルから巻枠及びスペーサー
材を取り外し、上記の救済処置を行なっても上記実施の
形態1と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0024】更に、上記実施の形態1では、予備電極5
に熱処理済みのNb3Sn超電導線を用いた場合について説
明したが、常電導の銅線等であってもよく、上記実施の
形態1と同様の効果がある。
【0025】実施の形態2.図3は、この発明を実施す
るための実施の形態2におけるW&R法によるNb3Sn超電導
コイル51を説明するための図であり、より具体的には
超電導コイルの端部において銅線等の常電導金属による
リード線、もしくは未熱処理Nb3Sn超電導線による予備
電極5をコイル本体の上面に従前の電極3と共に一体に
モールドした構造のコイルの断面図である。
【0026】図3において、図1と同一の符号を付した
ものは、同一またはこれに相当する。巻線部2は無機絶
縁被覆された未熱処理のNb3Sn超電導線(線径0.8mm)2
bによるものである。予備電極5はNb3Sn超電導コイル1
の両端部近傍において、銅の細線を多重に巻き付けるこ
とで未熱処理の超電導線材2bと接続され、後の樹脂含
浸によりコイル51と一体化される。14は電極3と超
電導線の巻線部2との絶縁、及びコイル51本体と巻枠
Hの巻芯9との絶縁を確保するために挿入されたアルミ
ナペーパー(厚さ0.1mm)、15は電極と共に平面を形
成する快削製セラミックス製のスペーサー材である。
【0027】なお、巻枠Hの巻芯9とアルミナ製の絶縁
材14との間には、後でコイルを巻枠等から離型する工
程のための離型材13bとして、窒化ほう素の粉末をア
ルコールで溶かして塗布している。予備電極5と電極3
をコイル上面に一体にモールドさせる構造のコイルをW&
R法により得るには、以下のように行えばよい。
【0028】先ず、図3に示されるように巻枠Hの巻芯
9と巻枠Hのフランジ10を嵌合したのち、電極3を快
削製セラミックス製のスペーサー材15aを介して巻枠
のフランジ10内部にネジで固定しておき、この出張っ
た電極3と平面を共に形成する快削製セラミックス製の
スペーサー15bで巻枠のフランジ面を構成することに
より当巻枠Hを組み立てる。電極をフランジ内部に固定
するためのネジには、後の脱着のために離型材を塗布し
ておくのが好ましい。
【0029】次に、無機絶縁を被覆した未熱処理のNb3S
n超電導線2bを巻芯9に巻回する。巻線の巻き始めと巻
き終わりにおいては、コイル端部のNb3Sn超電導線2bの
絶縁皮膜を除去してから、そのNb3Sn超電導線2bを電極
3にネジで数個所を固定することにより電気的接続を施
す。この電極3の構造としては、徐々に深さを増す直線
状で断面がV形状の溝を施してある。次に、電極3から
1ターン以内のコイル端近傍部分の線材の絶縁皮膜を除
去したのち、この部分に予備電極5として線径0.8mm
の無機絶縁被覆を施した未熱処理のNb3Sn超電導線(接続
部分の絶縁被覆は取り除き済み)をあてがってから、銅
の細線を多重に巻き付けることで未熱処理の超電導線材
2bと接続し、この接続部分に袋編みされた無機絶縁材
Qを被せることにより絶縁を施す。
【0030】なお、予備電極5を埋設するため、快削製
セラミックス製のスペーサー材15bに図3に示したよ
うな深さ2mmのU字状の溝を前もって設けておいた。こ
の予備電極5はスペーサー材に設けたU字状の溝11の
中になるべく真っ直ぐな形状で埋設しておくことが好ま
しい。この予備電極5の取り付けを終えた後、このU字
状の溝をアルミナ製のペーパーで塞いだ後、Nb3Sn超電
導線2bを巻回する。巻線終了時のコイル端部において
も同様な予備電極5を取り付ける。更に、コイルの外側
には電磁力を補強するためにステンレス線(SUS304製、
線径1mm)による巻線部4を設ける。なお、このステン
レス線による補強は、本実施例では熱処理前に行った
が、コイル本体を熱処理し、含浸したのちステンレス線
を巻回し、その後更に含浸する工程を採用しても良い。
【0031】このようにして巻回されたコイルをアルゴ
ンガス等の不活性雰囲気下で熱処理したのち、樹脂含浸
を行った。熱処理により、銅の細線が多重に巻き付けら
れた予備電極部分と超電導線材との接続部分は、完全に
Cu同士が溶着することにより電気的接続が達成されて
いた。最後に、ネジを外すことでコイルと一体化した電
極3を巻枠のフランジ10から脱着し、巻枠9及び10
とスペーサー材15a及びbを離型してコイルから取り
外した後、電気配線を施すことによって本Nb3Sn超電導
コイル51が完成する。
【0032】本例ではコイルの支持方法としては、巻枠
を持たないため、例えばコイル下面と上面をGFRP等の絶
縁板で挟んでボルト等で固定して受ける方法を用いる
が、コイルを支持するためにコイルの外側に銅製の部材
等をモールドにより一体化して設け、この部材を介して
ボルト等によるネジ止め、或いは接着や溶接により支持
する方法でもよい。
【0033】このようにして製作したコイル51に対
し、図3の5で示される樹脂含浸されて盛り上がった予
備電極の箇所について、歪が加わらないように注意深く
線材5の表面が露出するまで樹脂を取り除いた後、この
予備電極5の部分とクライオスタット側の銅製の電流リ
ード線とを可とう導体を介してはんだ付けにより接続
し、このコイルをクライオスタット中にセットしたの
ち、液体ヘリウム中で電極3からではなくこの予備電極
5の部分から通電した。
【0034】その結果、最初の励磁時において167A
まで通電することができ、トレーニング無しにB=10
T(ロードラインの100%)の通電に成功した。また、
20回にわたる室温と液体ヘリウム温度間の熱サイクル
履歴や、30回にわたる液体ヘリウム中での通電試験を
実施したが、この予備電極5の部分に劣化は全く認めら
れず、万一電極部、或いは電極からコイル本体に至る渡
りのNb3Sn超電導線の部分で、熱膨張や電磁力等による
歪、更には人為的なミスにより断線等が発生しても、こ
の予備電極5の部分を用いることで対処可能であること
が判明した。
【0035】なお、上記実施の形態2では、液体ヘリウ
ム中に浸漬する直接冷却方式の超電導Nb3Snコイル51
を説明したが、GM冷凍機等を用いた伝導冷却方式のコ
イルであってもよく、上記実施の形態2と同様の効果が
ある。
【0036】また、本実施例では樹脂含浸したコイルか
ら巻枠及びスペーサー材を取り外してコイルを仕上げた
が、樹脂含浸後、コイルから巻枠及びスペーサー材を取
り外さないでコイルを仕上げても良く、万一電極に不良
が発生した場合に初めてコイルから巻枠及びスペーサー
材を取り外し、上記の救済処置を行なっても上記実施の
形態2と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0037】更に、上記実施の形態2では、予備電極と
して未熱処理のNb3Sn超電導線について説明したが、常
電導の銅線等であってもよく、上記実施の形態2と同様
の効果がある。
【0038】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、超電
導コイルの端部において電極とは別に接続された予備電
極を、コイルの上面、或いは下面に一体にモールドした
ので、電極からコイル本体に至る渡りの化合物系線材の
部分で、熱膨張や電磁力等による歪、更には人為的なミ
スにより断線等が発生しても、歪を加えないようにこの
モールドされた予備電極の部分を削り出し、此処と電
極、或いはクライオスタット側のパワーリードとを接続
することによりコイルとして再利用できるという効果が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1のR&W法によるNb3Sn超電導コイ
ルを説明するための図である。
【図2】 実施の形態1のR&W法によるNb3Sn超電導コイ
ルで用いた巻枠等を説明するための図である。
【図3】 実施の形態2のW&R法によるNb3Sn超電導コイ
ルを説明するための図である。
【図4】 従来の形態のNb3Sn超電導コイルを説明する
ための図である。
【符号の説明】
1および51 Nb3Sn超電導コイル、2a ホルマール絶
縁された熱処理済みのNb3Sn超電導線、2b 無機絶縁
被覆された未熱処理のNb3Sn超電導線、3 銅製の電
極、4 ステンレス線の巻線部、5 予備電極、6 PE
T紙、7及び8 テフロン製のスペーサー材、9 巻枠
の巻芯、10 巻枠の上部フランジ、11 予備電極を
埋めるために設けたU字状の溝、12 PET紙による絶
縁シート、13a テフロン製の離型材、13b 窒化
ほう素の離型材14 アルミナペーパーによる絶縁シー
ト、15 快削製セラミックス製のスペーサー材、T
カプトンテープ、Q 無機絶縁材

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂含浸された化合物系超電導コイルで
    あって、コイル端部の電極とは別に、予備電極として常
    電導のリード線、もしくは熱処理済み化合物系超電導線
    を、前記コイル端部の近傍に設けると共に、コイル上面
    或いは下面に一体に固定させた構造を持つことを特徴と
    する化合物系超電導コイル。
  2. 【請求項2】 樹脂含浸されたコイルから巻枠を取り外
    した構造とした特許請求の範囲第1項記載の化合物系超
    電導コイル。
  3. 【請求項3】 (a)予め巻枠のフランジ内部に電極を取
    り付けてから、この電極と共に平面を形成するスペーサ
    ー材で巻枠を形成する工程、 (b)この巻枠に、熱処理及び絶縁処理済みの化合物系超
    電導線を巻回する工程、 (c)この化合物系超電導線によるコイルの端部を電極に
    固定して電気的接続を行うと共に、少なくともコイルの
    一端部において予備電極として、常電導金属によるリー
    ド線、もしくは熱処理済み化合物系超電導線を接続し、
    この予備電極をスペーサー材に設けた溝の中に埋設する
    工程、 (d)このコイルを樹脂含浸する工程、及び、 (d)樹脂含浸してコイルと一体化した電極をフランジか
    ら脱着する工程からなるリアクト&ワインド法による化
    合物系超電導コイルの製造方法。
  4. 【請求項4】 樹脂含浸したコイルから巻枠及びスペー
    サー材を取り外す工程を付加した特許請求の範囲第3項
    記載のリアクト&ワインド法による化合物系超電導コイ
    ルの製造方法。
  5. 【請求項5】 (a)予め巻枠のフランジ内部に電極を取
    り付けてから、この電極と共に平面を形成するスペーサ
    ー材で巻枠を形成する工程、 (b)この巻枠に、無機絶縁被覆した未熱処理の化合物系
    超電導線を巻回する工程、 (c)この化合物系超電導線によるコイルの端部を電極に
    固定して電気的接続を行うと共に、少なくともコイルの
    一端部において予備電極として、常電導金属によるリー
    ド線、もしくは未熱処理の化合物系超電導線を接続し、
    この予備電極をスペーサー材に設けた溝の中に埋設する
    工程、 (d)このコイルを熱処理する工程、 (e)このコイルを樹脂含浸する工程、及び、 (f) 樹脂含浸してコイルと一体化した電極をフランジか
    ら脱着する工程からなるワインド&リアクト法による化
    合物系超電導コイルの製造方法。
  6. 【請求項6】 樹脂含浸したコイルから巻枠及びスペー
    サー材を取り外す工程を付加した特許請求の範囲第5項
    記載のワインド&リアクト法による化合物系超電導コイ
    ルの製造方法。
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