JP2011171624A - 超電導コイル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】超電導線材を強く拘束することなく、たとえ超電導線材が変位したとしても、その変位部分と接触する箇所を減らすことによってクエンチ現象の発生を防止することが可能な超電導コイル及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】超電導コイル10において、フランジ部1a(1d)と超電導線材12(13)との間に配置されたスペーサ部21a(21b)を取り除くことによりフランジ部1a(1d)と超電導線材12(13)との間に空間部25a・25bを確保する。そして、変位した超電導線材12(13)とフランジ部1a(1d)とが接触することを防ぐ。
【選択図】図4

Description

本発明は、超電導コイル及びその製造方法に関する。
従来、図1に示すように、強磁界を発生させる超電導コイル100は、円筒状の胴部1とこの胴部1から径外方向Rに延設される対になったフランジ部1a・1b(1c・1d)とを有する巻枠部2・7に超電導線材12・13を略螺旋状に巻き付けることにより構成されており、極低温(約4.2K)に冷却した状態で通電することにより励磁されるようになっている。
このような超電導コイル100において、図2(A)に示すように、超電導コイル100が励磁状態にあるとき、通電電流と自ら発した磁界との相互作用により超電導線材12・13(ここでは、巻付状態にある超電導線材の集合体)を胴部1の径外方向Rに膨らませようとするフープ力の径外方向Rへの分力F1及びF4が超電導線材12・13に作用する。また、通電電流と自ら発した磁界との相互作用により巻枠部2に巻き付けられた超電導線材12と巻枠部7に巻き付けられた超電導線材13との間に発生する引力F2・F3(F2´とF3´を含むが以下F2´とF3´を省略する)が超電導線材12・13に作用する。このフープ力の径外方向Rへの分力F1・F4及び引力F2・F3の相互作用により、図2(B)及び図3に示すように、超電導線材12・13が変位するため、その変位部分とフランジ部1a・1b(1c・1d)又は胴部1との接触箇所12a・12b・12c(13a・13b・13c)において摩擦熱が生じ、クエンチ現象が発生するリスクがある。ここで、クエンチ現象とは、超電導コイルが励磁状態にあるとき、超電導コイル内での機械的なクラックや超電導線材が巻枠部から剥れたりスリップしたりした際に発生する熱をきっかけに超電導状態が消失して常電導状態になってしまう現象のことである。
上記リスクを解消するために、例えば特許文献1のような技術が提案されている。この特許文献1では、巻枠部に超電導線材を複数層巻く際、各層間に易接着処理が施された絶縁シートを介在させることで、超電導線材と絶縁シートとの間を接着性樹脂で充填する場合に絶縁シートと接着性樹脂間の接着強度を従来よりも大幅に高めている。このように、励磁状態において超電導線材が変位を起こそうとしても超電導線材層間が強固に接着されているので超電導線材に変位が起こらないようにしている。したがって、超電導線材の表面や巻枠部に摩擦熱が伝わるといったことはなく、クエンチ現象の発生を防ぐことができるとしている。
また、例えば特許文献2のような技術では、超電導コイルが励磁されると、通電電流と自ら発した磁界との相互作用により超電導線層に径外方向のフープ力Pと軸方向の圧縮力Qとが作用するが、超電導線層が一対のフランジ部および中間部材により強固に保持された状態にあるため、超電導線層を構成する超電導線材における変位を抑え、摩擦熱が生じることによるクエンチ現象の発生を防ぐことができるとしている。
特開2006−120828号公報 特開2008−71789号公報
しかしながら、上記特許文献1のような構成では、超電導線材の変位を十分に防止するためには、超電導線材に対する大きな接着力(拘束力)が必要となるが、超電導線材層間を強固に接着するだけでは接着力(拘束力)に構造的・技術的な限界が存在する。また、もし超電導線材層間の接着が剥がれた場合、かえって超電導線材のズレに伴う大きなクエンチ現象を発生させるリスクがある。
また、上記特許文献2のような構成では、確かに、超電導線層が一対のフランジ部および中間部材により強固に保持された状態にあるため超電導線層が変位し難いというメリットがあると言える。しかし、一旦強固に保持された超電導線層が巻枠部上をスリップしてしまうとその時の摩擦熱が大きくなり、かえって大きなクエンチ現象を発生させるリスクがある。
そこで、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、超電導線材を強く拘束することなく、たとえ超電導線材が変位したとしても、その変位部分と接触する箇所を減らしてクエンチ現象が発生する機会を減らすことによってクエンチ現象の発生を防止することが可能な超電導コイル及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための第1の発明に係る超電導コイルは、円筒状の胴部と、当該胴部から径外方向に延設される少なくとも二対のフランジ部と、前記対になったフランジ部により挟まれた少なくとも2つの巻枠部と、前記巻枠部に巻き付けられた超電導線材と、を備え、前記対になった一方のフランジ部の全て又は一部が取り除かれることにより形成された空間部を有することを特徴としている。
上記の構成によれば、対になった一方のフランジ部の全て又は一部を取り除くことで空間部を形成することができる。これにより、励磁状態にある超電導コイルにおいて、通電電流と自ら発した磁界との相互作用により超電導線材を胴部の径外方向に膨らませようとするフープ力と2つの巻枠部に巻き付けられた超電導線材間に発生する引力との相互作用によって超電導線材が変位したとしても、その変位した超電導線材とフランジ部の一方とが接触することを防ぐことができ、超電導線材の変位によるクエンチ現象を起こり難くすることができる。また、超電導線材を強く拘束することなく、クエンチ現象の発生を防止することが可能である。ここで、「取り除く」、「取り除かれる」とは、「取り外される、或いは、前記超電導線材から遠ざけられる」等を含み、一方のフランジ部の全て又は一部が、所定の位置から取り除かれることを指している。
また、第2の発明に係る超電導コイルは、円筒状の胴部と、当該胴部から径外方向に延設される少なくとも二対のフランジ部と、前記対になったフランジ部により挟まれた少なくとも2つの巻枠部と、前記巻枠部に巻き付けられた超電導線材と、前記対になったフランジ部の一方と前記超電導線材との間に配置されたスペーサ部と、を備え、前記スペーサ部が取り除かれることにより形成された空間部を有することを特徴としている。
上記の構成によれば、対になったフランジ部の一方と超電導線材との間に配置されたスペーサ部を取り除くことにより対になったフランジ部の一方と超電導線材との間に空間部を確保することができる。これにより、励磁状態にある超電導コイルにおいて、通電電流と自ら発した磁界との相互作用により超電導線材を胴部の径外方向に膨らませようとするフープ力と2つの巻枠部に巻き付けられた超電導線材間に発生する引力との相互作用によって超電導線材が変位したとしても、その変位した超電導線材とフランジ部の一方とが接触することを防ぐことができ、超電導線材の変位によるクエンチ現象を起こり難くすることができる。
また、第3の発明は、第1又は第2の発明に係る超電導コイルにおいて、前記超電導線材は接着剤又は充填剤により固結されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、超電導線材を接着剤又は充填剤により固結することができる。これにより、対になった一方のフランジ部の全て又は一部やスペーサ部を取り除いたとしても超電導線材の型崩れを起こしにくくすることができる。
また、第4の発明は、第1〜第3の何れかの発明に係る超電導コイルにおいて、取り除かれる前記フランジ部又はスペーサ部は、超電導コイルが励磁状態にある時に前記超電導線材間に発生する引力を受けるフランジ部とは反対側のフランジ部又はスペーサ部であることを特徴としている。
上記の構成によれば、超電導コイルにおいて、取り除かれるフランジ部又はスペーサ部を、超電導コイルが励磁状態にある時に超電導線材間に発生する引力を受けるフランジ部とは反対側のフランジ部又はスペーサ部に配置することができる。これにより、励磁状態にある超電導コイルにおいて、通電電流と自ら発した磁界との相互作用により2つの巻枠部に巻き付けられた超電導線材間に発生する引力によって超電導線材が移動・変位したとしても、引力を受けるフランジ部は超電導線材が大きく移動するのを防ぐとともに、その反対側のフランジ部又はスペーサ部と変位した超電導線材とが接触することを防ぐことができ、超電導線材の移動・変位によるクエンチ現象を起こり難くすることができる。
また、第5の発明は、第1、第3又は第4の発明に係る超電導コイルにおいて、前記取り除かれる側のフランジ部の前記胴部の軸方向外側に設けた壁部材と、前記フランジ部と前記壁部材との間を螺合したネジと、を備え、前記ネジを回転させることにより前記フランジ部が前記超電導線材から遠ざけられたものであることを特徴としている。
上記の構成によれば、フランジ部と壁部材との間を螺合したネジを回転させることにより、フランジ部と超電導線材との距離を調整することができる。これにより、励磁状態にある超電導コイルにおいて、通電電流と自ら発した磁界との相互作用により超電導線材を胴部の径外方向に膨らませようとするフープ力と2つの巻枠部に巻き付けられた超電導線材間に発生する引力との相互作用によって超電導線材が変位した場合に、その変位の程度によってフランジ部と超電導線材との距離を調整することによって変位した超電導線材とフランジ部の一方とが接触することを防ぐことができ、超電導線材の変位によるクエンチ現象を起こり難くすることができる。
また、第6の発明に係る超電導コイルの製造方法は、円筒状の胴部と、当該胴部から径外方向に延設される少なくとも二対のフランジ部と、前記対になったフランジ部により挟まれた少なくとも2つの巻枠部とを準備する第1工程と、前記巻枠部に超電導線材を巻き付ける第2工程と、前記巻枠部に前記超電導線材を巻き付ける際又は巻き付けた後に前記超電導線材に接着剤又は充填剤を塗布する第3工程と、前記超電導線材が前記接着剤又は充填剤により固結された後に、前記フランジ部の少なくとも一方を取り除く第4工程と、を含むことを特徴としている。
上記の方法によれば、円筒状の胴部に径外方向に延設される少なくとも二対のフランジ部を形成することにより、対になったフランジ部により挟まれた少なくとも2つの巻枠部を形成している。これにより、巻枠部に超電導線材を巻き付ける工程において、超電導線材を対になったフランジ部の間に挟まれた巻枠部内に位置決めすることができる。また、巻枠部に超電導線材を巻き付ける際又は巻き付けた後に超電導線材に接着剤又は充填剤を塗布することによって、超電導線材の型崩れを起こしにくくすることができる。また、超電導コイルが励磁状態にある時にフランジ部の少なくとも一方を取り除くことにより、励磁状態にある超電導コイルにおいて、通電電流と自ら発した磁界との相互作用により2つの巻枠部に巻き付けられた超電導線材間に発生する引力によって超電導線材が移動・変位したとしても、フランジ部と変位した超電導線材とが接触することを防ぐことができ、超電導線材の移動・変位によるクエンチ現象を起こり難くすることができる。
また、第7の発明に係る超電導コイルの製造方法は、円筒状の胴部と、当該胴部から径外方向に延設される少なくとも二対のフランジ部と、前記対になったフランジ部により挟まれた少なくとも2つの巻枠部と、前記対になったフランジ部の一方と超電導線材との間に配置されるスペーサ部を準備する第1工程と、前記巻枠部に超電導線材を巻き付ける第2工程と、前記巻枠部に前記超電導線材を巻き付ける際又は巻き付けた後に前記超電導線材に接着剤又は充填剤を塗布する第3工程と、前記超電導線材が前記接着剤又は充填剤により固結された後に、前記スペーサ部の少なくとも一方を取り除く第4工程と、を含むことを特徴としている。
上記の方法によれば、対になったフランジ部の一方と超電導線材との間にスペーサ部を配置し、超電導線材が接着剤又は充填剤により固結された後に、スペーサ部を取り除くことができる。これにより、励磁状態にある超電導コイルにおいて、通電電流と自ら発した磁界との相互作用により超電導線材を胴部の径外方向に膨らませようとするフープ力と2つの巻枠部に巻き付けられた超電導線材間に発生する引力との相互作用によって超電導線材が変位したとしても、その変位した超電導線材とフランジ部とが接触することを防ぐことができ、超電導線材の変位によるクエンチ現象を起こり難くすることができる。
超電導線材を強く拘束することなく、たとえ超電導線材が変位したとしても、その変位部分と接触する箇所を減らしてクエンチ現象が発生する機会を減らすことによってクエンチ現象の発生を防止することが可能な超電導コイル及びその製造方法を提供することができる。
従来の超電導コイルの断面図である。 (A)従来の超電導コイルを励磁状態にした際に超電導線材に作用する力関係を説明した説明図である。(B)従来の超電導コイルにおける超電導線材の変位と、超電導線材とフランジ部との接触箇所を示した説明図である。 図2(B)に示した超電導コイルの一部分の拡大図である。 第1実施形態に係る超電導コイルの断面図である。 第1実施形態に係る超電導コイルの製造工程を説明した説明図である。 第2実施形態に係る超電導コイルの断面図である。 第3実施形態に係る超電導コイルの断面図である。 変形例に係る超電導コイルの断面図である。
(第1実施形態)
以下、本発明を実施するための第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。図4は、第1実施形態に係る超電導コイル10の断面図である。
(超電導コイル10の構成)
超電導コイル10は、極低温(本実施形態では約4.2K)に冷却した状態で通電することにより励磁されるように構成されている。具体的には、図4に示すように、第1実施形態における超電導コイル10は、略円筒状の胴部1と、胴部1から径外方向Rに延設される二対のフランジ部1a・1b(1c・1d)と、二対のフランジ部1a・1b(1c・1d)により挟まれた2つの巻枠部2・7と、巻枠部2・7にそれぞれ巻き付けられた超電導線材12・13と、巻枠部2・7と超電導線材12・13との間に介在させた絶縁シート5a・5bと、フランジ部1a・1b(1c・1d)と超電導線材12・13との間に介在させたエンドチーク3a・4a(3b・4b)とを備えている。また、エンドチーク3aと超電導線材12の間、及び、エンドチーク3bと超電導線材13の間には、後述するスペーサ部21a・21bを取り外した後にできる空間部25a・25bが設けられている。
略円筒状をした胴部1は、アルミニウム、アルミニウム合金、又は、ステンレス等から構成されている。二対のフランジ部1a・1b(1c・1d)は、胴部1から径外方向Rに延設されるようにして胴部1と一体形成されている。ここで、フランジ部1b(1c)は、超電導コイル10が励磁状態にある時に超電導線材12と超電導線材13の間に発生する引力F2(F3)を受ける部分である。
巻枠部2は、一対のフランジ部1a・1bにより挟まれた胴部1を含む領域であり、超電導線材12を巻き付ける土台となる枠である。巻枠部7も同様である。
超電導線材12は、巻枠部2に略螺旋状(または整列巻)に密に巻き付けられている。第1実施形態では、超電導線材12は、巻枠部2に1層あたり50ターンになるように巻き付けられ、それが30層になるように巻き付けられる。また、超電導線材12の層と層の間に、ポリエチレンテレフタレート(PET)シート又はガラスでできたガラスクロス6が巻き付けられている。超電導線材13も同様の構成である。なお、図1〜7では、簡略化して1層あたり19ターン、6層で図示している。ここで、超電導線材12・13とは、巻付状態にある超電導線材の集合体を示している。そして、超電導線材12・13の材料としては、NbTi、Nb3Sn、およびNb3Al等を挙げることができる。なお、超電導線材12・13の材料としてNb3SnやNb3Alを使用する場合、巻枠部2・7への巻き付け後に熱処理(700℃程度)をするので、絶縁シート5a・5b、エンドチーク3a・4a、及び、スペーサ部21a・21bには耐熱性を備えた素材を選択する必要がある。
更に、超電導線材12・13には、エポキシ樹脂などの接着剤31が含浸されている。このようにすることで超電導線材12・13と積層されたPETシート又はガラスでできたガラスクロス6とが互いに接着されて固結した状態になり、それぞれの間で剥離が生じることを防ぐことができる。
絶縁シート5a・5bは、ポリエチレン、テフロン(PTFE)(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂でできた厚さ数百μm程度の樹脂シートを素材としている。この絶縁シート5a・5bが巻枠部2・7部分となる胴部1に巻き付けられている。この絶縁シート5a・5bにより巻枠部2・7部分となる胴部1と超電導線材12・13との間を絶縁している。
エンドチーク3a・4aはそれぞれフランジ部1a・1bが対向する側の面に接するように配置されている。また、図示しないが、エンドチーク3a・4aはそれぞれリング状をしており、外側縁部の開口端から内側に向かって、径方向に切り込むように形成されたスリットを複数有している。また、エンドチーク3a・4aは、テフロン(PTFE)などの難接着高分子材料で形成された厚み0.5mm〜2mm程度のリング状部材である。スリットの幅は、0.5mm〜2mm程度である。なお、1箇所のみスリットが外側縁部から内側縁部まで到達しているが、このスリット部分を反対方向にずらして変形させることによって開いたスリット部分を巻枠部2に挟み込ませることによって容易に取り付けることができるようにしている。なお、エンドチーク3b・4bも同様である。
空間部25a・25bは、後述する超電導コイル10の製造方法の過程においてスペーサ部21a・21bを取り外した後に、エンドチーク3aと超電導線材12の間、及び、エンドチーク3bと超電導線材13の間にできる空間である。この空間部25a・25bにより、励磁状態にある超電導コイル10において、通電電流と自ら発した磁界との相互作用により超電導線材12・13を胴部1の径外方向Rに膨らませようとするフープ力の径外方向Rへの分力F1及びF4と2つの巻枠部2・7に巻き付けられた超電導線材12・13間に発生する引力F2・F3との相互作用によって、超電導線材12・13が図4に示すように変位したとしても、その変位した超電導線材12・13とエンドチーク3a・3b(フランジ部1a・1d)とが接触することを防ぐことができ(図4の接触箇所12a・13a参照)、超電導線材12・13の変位によるクエンチ現象を起こり難くすることができる。
(超電導コイル10の製造方法)
次に、図5を参照して、第1実施形態に係る超電導コイル10の製造方法について説明する。図5は、第1実施形態に係る超電導コイル10の製造工程を説明した説明図である。
まず、アルミニウム、アルミニウム合金、又は、ステンレス等で成形された円筒状をした胴部1を成形加工することによって、胴部1から径外方向Rに延設される二対のフランジ部1a・1b(1c・1d)を形成する。これにより、フランジ部1a・1b(1c・1d)により挟まれた2つの巻枠部2・7が形成される(第1工程)。
次に、エンドチーク3a・4a(3b・4b)の外側縁部から内側縁部まで到達しているスリット部分を反対方向にずらして変形させることによって開かせる。そして、開いたスリット部分を巻枠部2に挟み込むことによって、エンドチーク3a・4a(3b・4b)をフランジ部1a・1b(1c・1d)が対向する側の面に接するように巻枠部2・7に取り付ける。次に、ポリエチレン、テフロン(PTFE)、ポリイミド、又は、ポリエチレンテレフタレート(PET)の樹脂でできた厚さ数百μmの絶縁シート5a・5bを巻枠部2・7部分となる胴部1に巻き付ける。
次に、C形状をしたスペーサ部21a・21bをエンドチーク3a・3bの内面に接するように巻枠部2・7に嵌め込む(スペーサ部配置工程)。ここで、スペーサ部21a・21bには、テフロンなどの非接着性の樹脂を使用したり、アルミや鉄を使用してテフロンコーティング等の表面処理をしたりすることで巻枠部2・7から取り外し易くしている。なお、第1実施形態では、スペーサ部21a・21bにC形状をしたものを使用しているが、これに限らず、巻枠部2・7への嵌め込み、及び、巻枠部2・7からの取り外しが容易なものであれば、スペーサ部21a・21bを2つ割にしたものや、3又は4分割にしたもの、エンドチーク3a・4a同様に複数のスリットを入れたものでもよい。これにより、以下に述べる第2工程において、超電導線材12・13をフランジ部1b(1c)とスペーサ部21a(21b)の間に挟まれた巻枠部2・7内に位置決めして巻くことができる。
次に、図5(A)に示すように、超電導線材12・13を、巻枠部2・7に略螺旋状(または整列巻)に密に巻き付ける(第2工程)。第1実施形態では、超電導線材12・13を、巻枠部2・7に1層あたり50ターンになるように巻き付け、それが30層になるように巻き付ける。この際、超電導線材12・13の層と層の間に、ポリエチレンテレフタレート(PET)シート又はガラスでできたガラスクロス6を巻き付ける。
次に、図5(B)に示すように、噴霧器30からエポキシ樹脂製の接着剤31を超電導線材12・13に噴霧・塗布して浸透させる(第3工程)。その後、自己発熱で反応させたキュアと呼ばれる加熱により超電導線材12・13内に浸透させた接着剤31を硬化させる。このようにすることで超電導線材12・13と積層されたPETシート又はガラスでできたガラスクロス6とが互いに接着して固結した状態になる。即ち、超電導線材12・13の型崩れを起こしにくくすることができる。なお、接着剤31の代わりに充填剤を用いてもよい。また、ワックスなどを超電導線材12・13に浸透させることで超電導線材12・13の隙間を埋めて含浸効果により超電導線材12・13の型崩れを防ぐようにしてもよい。
最後に、超電導線材12・13内に浸透させた接着剤31が十分に硬化した後、スペーサ部配置工程において巻枠部2・7に嵌め込んだスペーサ部21a・21bを取り外す(第4工程)。これにより、図5(C)に示すように、エンドチーク3aと超電導線材12との間、及び、エンドチーク3bと超電導線材13との間に空間部25a・25bを設けることができる。
以上の工程を経て第1実施形態に係る超電導コイル10が製造される(図5(D)参照)。
以上に説明した第1実施形態に係る超電導コイル10及びその製造方法によれば、フランジ部1a(1d)と超電導線材12(13)との間に配置されたスペーサ部21a(21b)を超電導線材12(13)が巻枠部2(7)に巻き付けられた後に取り外す、或いは、超電導線材12(13)から遠ざけることでフランジ部1a(1d)と超電導線材12(13)との間に空間部25a(25b)を確保することができる。これにより、励磁状態にある超電導コイル10において、通電電流と自ら発した磁界との相互作用により超電導線材12(13)を胴部1の径外方向Rに膨らませようとするフープ力の径外方向Rへの分力F1及びF4と巻枠部2・7に巻き付けられた超電導線材12と超電導線材13との間に発生する引力F2・F3との相互作用によって超電導線材12・13が変位・変形したとしても、その変位・変形した超電導線材12・13とフランジ部1a(1d)とが接触することを防ぐことができ(図4の接触箇所12a・13a参照)、超電導線材12・13の変位・変形によるクエンチ現象を起こり難くすることができる。
また、超電導コイル10が励磁状態にある時に超電導線材12と超電導線材13の間に発生する引力F2・F3を受けるフランジ部4a(4b)とは反対側のフランジ部1a(1d)と超電導線材12(13)との間に、空間部25a(25b)を確保するためのスペーサ部21a(21b)を設けて、超電導線材12・13が巻枠部2・7に巻き付けられた後に取り外す、或いは、超電導線材12・13から遠ざけることでスペーサ部21a(21b)分の空間部25a(25b)を確保することができる。これにより、励磁状態にある超電導コイル10において、通電電流と自ら発した磁界との相互作用により超電導線材12・13を胴部1の径外方向Rに膨らませようとするフープ力の径外方向Rへの分力F1及びF4と2つの巻枠部2・7に巻き付けられた超電導線材12・13間に発生する引力F2・F3との相互作用によって超電導線材12・13が変位したとしても、その変位した超電導線材12・13とフランジ部1a(1d)とが接触することを防ぐことができ、超電導線材12・13の変位によるクエンチ現象を起こり難くすることができる。
なお、図2〜4では説明のためにフープ力の径外方向Rへの分力F1及びF4と引力F2・F3との相互作用によって発生する超電導線材12・13の変位を大きく図示しているが、実際は、0.1mm程度の変位である。そして、この微小な変位は、FEM解析や超電導コイル10に歪ゲージをしかけるなどして測定することが可能である。
(第2実施形態)
以下、本発明を実施するための第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。図6は、第2実施形態に係る超電導コイル50の断面図である。図6(A)は、超電導コイル50のフランジ部1e(1f)を取り外す前の構成を示した断面図である。図6(B)は、超電導コイル50のフランジ部1e(1f)を取り外した後の構成を示した断面図である。なお、第1実施形態と同様の箇所は説明を省略し、相違する構成を中心に説明する。
(超電導コイル50の構成)
図6(B)に示す第2実施形態における超電導コイル50は、図6(A)に示す略円筒状の胴部1と、胴部1から径外方向Rに延設される二対のフランジ部1e・1b(1c・1f)と、二対のフランジ部1e・1b(1c・1f)により挟まれた2つの巻枠部2・7と、巻枠部2・7にそれぞれ巻き付けられた超電導線材12・13と、巻枠部2・7と超電導線材12・13との間に介在させた絶縁シート5a・5bと、フランジ部1b(1c)と超電導線材12・13との間に介在させたエンドチーク4a(4b)とを備えた超電導コイル50の製造過程において、フランジ部1e(1f)を取り外した後にできる空間部35a・35bを備えた構成となっている。
(超電導コイル50の製造方法)
まず、第1実施形態同様、円筒状をした胴部1を成形加工することによって、胴部1から径外方向Rに延設される二対のフランジ部1e・1b(1c・1f)を形成する。これにより、フランジ部1e・1b(1c・1f)により挟まれた2つの巻枠部2・7が形成される(第1工程)。
次に、エンドチーク4a(4b)の外側縁部から内側縁部まで到達しているスリット部分を反対方向にずらして変形させることによって開かせる。そして、開いたスリット部分を巻枠部2・7に挟み込むことによって、エンドチーク4a(4b)をフランジ部1b(1c)の内面に接するように巻枠部2・7に取り付ける。次に、絶縁シート5a・5bを巻枠部2・7に巻き付ける。
次に、超電導線材12・13を、巻枠部2・7に略螺旋状(または整列巻)に密に巻き付ける(第2工程)。この際、超電導線材12・13の層と層の間に、ポリエチレンテレフタレート(PET)シート又はガラスでできたガラスクロス6を巻き付ける。
次に、接着剤31を超電導線材12・13に噴霧・塗布して浸透させる(第3工程)。その後、自己発熱で反応させたキュアと呼ばれる加熱により超電導線材12・13内に浸透させた接着剤31を硬化させる。
最後に、超電導線材12・13内に浸透させた接着剤31が十分に硬化した後、第1工程において形成したフランジ部1e(1f)を剥離させる等して取り外す(第4工程)。これにより、図6(B)に示すように、フランジ部1e(1f)を取り外した箇所に空間部35a・35bを設けることができる。
以上の工程を経て第2実施形態に係る超電導コイル50が製造される(図6(B)参照)。
以上に説明した第2実施形態に係る超電導コイル50及びその製造方法によれば、取り外したり超電導線材から遠ざけたりするフランジ部1e(1f)を、超電導コイル50が励磁状態にある時に超電導線材12と超電導線材13との間に発生する引力F2・F3を受けるフランジ部1b(1c)とは反対側に配置している。これにより、励磁状態にある超電導コイル50において、通電電流と自ら発した磁界との相互作用により2つの巻枠部2・7に巻き付けられた超電導線材12・13間に発生する引力F2・F3によって超電導線材12・13が移動・変位したとしても、引力F2・F3を受けるフランジ部1b(1c)は超電導線材12・13が引力F2・F3に引っ張られて大きく移動するのを防ぐとともに(ストッパーの役割を果たす)、その反対側にあったフランジ部1e(1f)と変位した超電導線材12・13とが接触することを防ぐことができ、超電導線材12・13の移動・変位によるクエンチ現象を起こり難くすることができる。
また、上記に説明した第2実施形態に係る超電導コイル50及びその製造方法によれば、円筒状の胴部1に径外方向Rに延設される二対のフランジ部1e・1b(1c・1f)を形成することにより、対になったフランジ部1e・1b(1c・1f)により挟まれた2つの巻枠部2・7を形成している。これにより、巻枠部2・7に超電導線材12・13を巻き付ける第2工程において、超電導線材12・13を対になったフランジ部1e・1b(1c・1f)の間に挟まれた巻枠部2・7内に位置決めすることができる。また、巻枠部2・7に巻き付けた超電導線材12・13に接着剤を塗布することによって、超電導線材12・13の型崩れを起こしにくくすることができる。また、超電導コイル50が励磁状態にある時に超電導線材12と超電導線材13との間に発生する引力F2・F3を受けるフランジ部1b(1c)と反対側に設けられたフランジ部1e(1f)を取り外す、或いは、超電導線材12・13から遠ざけることにより、励磁状態にある超電導コイル50において、通電電流と自ら発した磁界との相互作用により2つの巻枠部2・7に巻き付けられた超電導線材12・13間に発生する引力F2・F3によって超電導線材12・13が移動・変位したとしても、引力F2・F3を受けるフランジ部1b(1c)は超電導線材12・13が大きく移動するのを防ぐとともに、その反対側に設けられたフランジ部1e(1f)と変位した超電導線材12・13とが接触することを防ぐことができ、超電導線材12・13の移動・変位によるクエンチ現象を起こり難くすることができる。
(第3実施形態)
以下、本発明を実施するための第3実施形態について図面を参照しつつ説明する。図7は、第3実施形態に係る超電導コイル60の断面図である。図7(A)は、超電導コイル60のフランジ部40a(40b)を超電導線材12(13)から遠ざける前の構成を示した断面図である。図7(B)は、超電導コイル60のフランジ部40a(40b)を超電導線材12(13)から遠ざけた後の構成を示した断面図である。なお、第1実施形態と同様の箇所は説明を省略し、相違する構成を中心に説明する。
(超電導コイル60の構成)
第3実施形態における超電導コイル60は、図7(A)に示すように、略円筒状の胴部1と、胴部1から径外方向Rに設けられた二対のフランジ部40a・1b(1c・40b)と、フランジ部40a(40b)に対して胴部1の軸方向P外側に設けた壁部材44a(44b)と、フランジ部40a(40b)と壁部材44a(44b)との間を螺合したネジ41a(41b)と、ネジ41a(41b)に装着したバネ45a(45b)と、ネジ41a(41b)と螺合した調整用ナット42a(42b)と、二対のフランジ部40a・1b(1c・40b)により挟まれた2つの巻枠部2・7と、巻枠部2・7にそれぞれ巻き付けられた超電導線材12・13と、巻枠部2・7と超電導線材12・13との間に介在させた絶縁シート5a・5bと、フランジ部1b(1c)と超電導線材12・13との間に介在させたエンドチーク4a(4b)とを備えた構成となっている。
フランジ部40a(40b)は、C形状をしており、ネジ41a(41b)を固定するための固定穴46a(46b)が設けられている。また、壁部材44a(44b)には、ネジ41a(41b)を挿通するための連通孔47a(47b)が設けられている。そして、ネジ41a(41b)は、連通孔47a(47b)に挿通されて、バネ45a(45b)が装着されて、固定穴46a(46b)に入れられてフランジ部40a(40b)と固定されている。即ち、バネ45a(45b)は、フランジ部40a(40b)をフランジ部1b(1c)の方向に付勢するように配置されることになる。更に、壁部材44a(44b)の軸方向P外側に出っ張ったネジ41a(41b)部分には調整用ナット42a(42b)が螺合されている。
(超電導コイル60の製造方法)
まず、円筒状をした胴部1を成形加工することによって、胴部1から径外方向Rに延設されるフランジ部1b(1c)及び壁部材44a(44b)を形成する。そして、フランジ部1b(1c)と壁部材44a(44b)との間に、C形状をしたフランジ部40a(40b)を嵌め込む。そして、ネジ41a(41b)を、連通孔47a(47b)に挿通して、バネ45a(45b)を装着して、固定穴46a(46b)に入れてフランジ部40a(40b)と固定する。更に、壁部材44a(44b)の軸方向P外側に出っ張ったネジ41a(41b)部分に調整用ナット42a(42b)を螺合する。これにより、フランジ部40a・1b(1c・40b)により挟まれた2つの巻枠部2・7が形成される(第1工程)。
次に、エンドチーク4a(4b)の外側縁部から内側縁部まで到達しているスリット部分を反対方向にずらして変形させることによって開かせる。そして、開いたスリット部分を巻枠部2に挟み込むことによって、エンドチーク4a(4b)をフランジ部1b(1c)の内面に接するように巻枠部2・7に取り付ける。次に、絶縁シート5a・5bを巻枠部2・7に巻き付ける。
次に、超電導線材12・13を、巻枠部2・7に略螺旋状(または整列巻)に密に巻き付ける(第2工程)。この際、超電導線材12・13の層と層の間に、ポリエチレンテレフタレート(PET)シート又はガラスでできたガラスクロス6を巻き付ける。
次に、接着剤31を超電導線材12・13に噴霧・塗布して浸透させる(第3工程)。その後、自己発熱で反応させたキュアと呼ばれる加熱により超電導線材12・13内に浸透させた接着剤31を硬化させる。
最後に、超電導線材12・13内に浸透させた接着剤31が十分に硬化した後、図7(B)に示すように、調整用ナット42a(42b)を回転させることで、フランジ部40a(40b)を軸方向P外側に移動させる(第4工程)。そして、フランジ部40a(40b)を超電導線材12・13から遠ざけた箇所には空間部43a・43bができる。これにより、フランジ部40a(40b)と超電導線材12・13との距離を調整することができる。また、フランジ部40a(40b)を超電導線材12・13から遠ざけて空間部43a・43bを確保することができる。
以上の工程を経て第3実施形態に係る超電導コイル60が製造される(図7(B)参照)。
以上に説明した第3実施形態に係る超電導コイル60及びその製造方法によれば、フランジ部40a(40b)と壁部材44a(44b)との間を螺合したネジ41a(41b)又は、調整用ナット42a(42b)を回転させることにより、フランジ部40a(40b)と超電導線材12(13)との距離を調整することができる。これにより、励磁状態にある超電導コイル60において、通電電流と自ら発した磁界との相互作用により超電導線材を胴部1の径外方向Rに膨らませようとするフープ力の径外方向Rへの分力F1及びF4と巻枠部2・7に巻き付けられた超電導線材12と超電導線材13との間に発生する引力F2・F3との相互作用によって超電導線材12・13が変位した場合に、その変位の程度によってフランジ部40a(40b)と超電導線材12(13)との距離を調整することによって変位した超電導線材12・13とフランジ部40a(40b)とが接触することを防ぐことができ、超電導線材12・13の変位によるクエンチ現象を起こり難くすることができる。
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
例えば、本発明は、超電導線材12・13を強く拘束することなく、たとえ超電導線材12・13が変位したとしても、その変位部分と接触する箇所(例えば、接触箇所12a・13a)を減らしてクエンチ現象が発生する機会を減少させるとの発想に基づくものである。とすれば、図2に示す従来の超電導コイル100において、接触箇所12a・13aをなくすべくフランジ部1a・1dの上部半分を取り除いた構成としてもよい。
また、第2実施形態では、第1工程において形成したフランジ部1e(1f)を、第4工程で剥離させる等して取り外すことにより、図6(B)に示す空間部35a・35bを設けている。しかしこれに限らず、第1工程において、C型リング形状をした、又は、リング形状にスリットを入れたフランジ部1e(1f)を巻枠部2・7に嵌め込み、第4工程で取り外すことにより空間部35a・35bを設けてもよい。
また、第3実施形態では、調整用ナット42a(42b)を回転させることで、フランジ部40a(40b)を軸方向P外側に移動させている。しかしこれに限らず、ネジをフランジ部1b・40a(1c・40b)間に配置して調整用ナット42a(42b)をフランジ部1b(1c)の外側に出たネジに螺合して、調整用ナット42a(42b)を回転させることで、フランジ部40a(40b)を軸方向P外側に移動させるようにしてもよい。この場合、フランジ部40a(40b)を押し出す構成となる。
また、第3実施形態において、第4工程でフランジ部40a(40b)を軸方向P外側に移動させる際に、超電導線材12・13とフランジ部40a(40b)とが付かずに離れ易くするために、第1工程において超電導線材12・13とフランジ部40a(40b)との間にテフロンなどの非接着性部材を入れてもよい。
また、第1〜第3実施形態では、接着剤31を超電導線材12・13に噴霧・塗布して浸透させているが、これに限らず、接着剤又は充填剤を超電導線材12・13に真空含浸させたり、超電導線材12・13を巻枠部2・7に巻き付ける際に直接超電導線材12・13に接着剤又は充填剤を塗り込むようにしてもよい。
また、図8に示す超電導コイル70のように、第1実施形態に係る超電導コイル10の超電導線材12・13の外周にバインド部材71・72を設けてもよい。このバインド部材71・72は、アルミニウム製である。ここで、バインド部材71・72の材料としては、アルミニウム合金、ステンレス鋼、真鋳、銅、銅合金、チタン、チタン合金等が挙げられる。このバインド部材71・72は、超電導線材12・13の保護、及び、超電導コイル70が励磁状態において、超電導線材12・13が胴部1から離れる距離を一定程度に規制するために設けられている。
このように、超電導線材12・13の外周にバインド部材71・72を設けた超電導コイル70においても、フランジ部1a(1d)と超電導線材12(13)との間に空間部25a(25b)を確保することができる。このため、通電電流と自ら発した磁界との相互作用により超電導線材12・13を胴部1の径外方向Rに膨らませようとするフープ力の径外方向Rへの分力F1及びF4と2つの巻枠部2・7に巻き付けられた超電導線材12・13間に発生する引力F2・F3との相互作用によって超電導線材12・13が変位したとしても、その変位した超電導線材12・13の外周に設けられたバインド部材71・72とフランジ部1a・1dとが接触することを防ぐことができ、超電導線材12・13の変位によるクエンチ現象を起こり難くすることができる。なお、第2実施形態における超電導コイル50、及び、第3実施形態における超電導コイル60の超電導線材12・13の外周にバインド部材71・72を設けた場合も同様である。
1 胴部
1a・1b(1c・1d) フランジ部
2・7 巻枠部
10 超電導コイル
12・13 超電導線材
12a・12b・12c(13a・13b・13c) 接触箇所
21a・21b スペーサ部
25a・25b 空間部
31 接着剤
F1・F4 フープ力の径外方向Rへの分力
F2・F3 引力
P 軸方向
R 径外方向

Claims (7)

  1. 円筒状の胴部と、
    当該胴部から径外方向に延設される少なくとも二対のフランジ部と、
    前記対になったフランジ部により挟まれた少なくとも2つの巻枠部と、
    前記巻枠部に巻き付けられた超電導線材と、
    を備え、
    前記対になった一方のフランジ部の全て又は一部が取り除かれることにより形成された空間部を有することを特徴とする超電導コイル。
  2. 円筒状の胴部と、
    当該胴部から径外方向に延設される少なくとも二対のフランジ部と、
    前記対になったフランジ部により挟まれた少なくとも2つの巻枠部と、
    前記巻枠部に巻き付けられた超電導線材と、
    前記対になったフランジ部の一方と前記超電導線材との間に配置されたスペーサ部と、
    を備え、
    前記スペーサ部が取り除かれることにより形成された空間部を有することを特徴とする超電導コイル。
  3. 前記超電導線材は接着剤又は充填剤により固結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の超電導コイル。
  4. 取り除かれる前記フランジ部又はスペーサ部は、超電導コイルが励磁状態にある時に前記超電導線材間に発生する引力を受けるフランジ部とは反対側のフランジ部又はスペーサ部であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の超電導コイル。
  5. 前記取り除かれる側のフランジ部の前記胴部の軸方向外側に設けた壁部材と、
    前記フランジ部と前記壁部材との間を螺合したネジと、
    を備え、
    前記ネジを回転させることにより前記フランジ部が前記超電導線材から遠ざけられたものであることを特徴とする請求項1、3又は4の何れかに記載の超電導コイル。
  6. 超電導コイルの製造方法であって、
    円筒状の胴部と、当該胴部から径外方向に延設される少なくとも二対のフランジ部と、前記対になったフランジ部により挟まれた少なくとも2つの巻枠部とを準備する第1工程と、
    前記巻枠部に超電導線材を巻き付ける第2工程と、
    前記巻枠部に前記超電導線材を巻き付ける際又は巻き付けた後に前記超電導線材に接着剤又は充填剤を塗布する第3工程と、
    前記超電導線材が前記接着剤又は充填剤により固結された後に、前記フランジ部の少なくとも一方を取り除く第4工程と、
    を含むことを特徴とする超電導コイルの製造方法。
  7. 超電導コイルの製造方法であって、
    円筒状の胴部と、当該胴部から径外方向に延設される少なくとも二対のフランジ部と、前記対になったフランジ部により挟まれた少なくとも2つの巻枠部と、前記対になったフランジ部の一方と超電導線材との間に配置されるスペーサ部を準備する第1工程と、
    前記巻枠部に超電導線材を巻き付ける第2工程と、
    前記巻枠部に前記超電導線材を巻き付ける際又は巻き付けた後に前記超電導線材に接着剤又は充填剤を塗布する第3工程と、
    前記超電導線材が前記接着剤又は充填剤により固結された後に、前記スペーサ部の少なくとも一方を取り除く第4工程と、
    を含むことを特徴とする超電導コイルの製造方法。
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