JP2008071789A - 超電導コイル - Google Patents

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保人 片岡
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Abstract

【課題】クエンチの発生を十分に抑えることが可能な超電導コイルを提供する。
【解決手段】この超電導コイルは、円筒状の軸部11と、軸部11の軸方向両端から径外方向に延設される一対のフランジ部12とを含む巻枠10と、軸部11の外周を覆うように配される円筒状の中間部材20と、一対のフランジ部12に挟まれるように中間部材20の外周に超電導線材を螺旋状に巻回して構成される超電導線層30とを備えている。そして、巻枠10の軸部11は、超電導線層30の軸方向の線膨張係数よりも大きい軸方向の線膨張係数を有するとともに、冷却時に超電導線層30から一対のフランジ部12を介して軸部11に作用する軸方向の引張応力よりも大きい軸方向の引張強度を有しており、中間部材20は、超電導線層30の周方向の線膨張係数よりも小さい周方向の線膨張係数を有している。
【選択図】図3

Description

本発明は、極低温下で励磁される超電導コイルに関し、特に、両端にフランジ部を有する巻枠に超電導線材を螺旋状に巻回して構成される超電導コイルに関する。
従来、強磁界を発生させるための超電導コイルとして、例えば図11に示すように、円筒状の軸部151とこの軸部151の軸方向両端から径外方向に延設されるフランジ部152とを有するアルミニウム製(あるいはステンレス鋼(SUS)製)の巻枠150と、この巻枠150にNbTi製の超電導線材が螺旋状に巻回されることにより形成された超電導線層130とを備えたものが知られている。そして、この超電導コイルは、液体ヘリウム温度(約4K)である極低温まで冷却された状態で通電されることにより励磁される。
ところで、巻枠の材料としてのアルミニウムやステンレス鋼がNbTiよりも大きい線膨張係数を有していることから、上記構成の超電導コイルを常温(約20℃=約293K)から液体ヘリウム温度(約4K)まで冷却した際には、図11に示すように、巻枠150が超電導線材の集合体である超電導線層130よりも径方向および軸方向に大きく収縮する。この収縮により、図12に示すように、軸方向では超電導線層130と巻枠150のフランジ部152との間に互いに押し合う力が発生する一方、径方向では巻枠150の軸部151と超電導線層130との間に隙間D2が生じ、この隙間D2により超電導線層130が不安定な状態となる。
そして、この状態で超電導線材に電流が流されて超電導コイルが励磁されると、その通電電流と自ら発した磁界との相互作用により超電導線層130には主に径外方向のフープ力Pと軸方向の圧縮力Qとが作用する。これらの力は、超電導線層130の特に上記隙間D2に面した内周部に配される超電導線材を微小変位させ易く、この微小変位により発生した摩擦熱でクエンチが発生するおそれがある。
そこで、上記不都合を解消するために、冷却・励磁時に、軸方向では巻枠が超電導線層を挟み込み、かつ、径方向では超電導線層が巻枠を外側から締め付けるように構成することによって、超電導線層の安定な状態、すなわちクエンチが発生し難い状態を得る技術が提案されている。例えば、特許文献1には、ポリエチレン繊維強化プラスチック(DFRP)層とガラス繊維強化プラスチック(GFRP)層との2層からなる巻枠を備えた超電導コイルが開示されている。このポリエチレン繊維強化プラスチックは、ポリエチレン繊維を軸方向に対して±40°から±80°の範囲内の角度で傾斜する向きに配向させることによって周方向に負の線膨張係数(温度を下げると膨張する特性)を有するように構成されている。
特開平7−142233号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された超電導コイルでは、巻枠の材料として繊維強化プラスチック(FRP)を用いているため、冷却時に超電導線層から一対のフランジ部を介して巻枠の軸部に作用する軸方向の反力(つまり、一対のフランジ部により超電導線層を挟圧した際に巻枠の軸部に発生する引張応力)により軸部に繊維に沿った割れが発生する場合がある。すなわち、FRPは、繊維方向と直交する方向の引張強度が非常に小さいという特性を有しており、例えばFRPを構成する繊維の軸方向に対する配向角度を大きくし過ぎた場合、上記軸部に発生する引張応力のうちの繊維方向と直交する方向の成分がFRPの繊維方向と直交する方向の引張強度よりも大きくなり、これによって巻枠に繊維方向に沿った割れが発生することになる。このように巻枠の軸部に割れが発生した場合、一対のフランジ部により超電導線層を挟み込んで十分に圧縮することが困難になるので、超電導線層の安定状態が得られなくなり、超電導線材の微小変位によるクエンチの発生を抑制するのが困難になるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、クエンチの発生を十分に抑えることが可能な超電導コイルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、この発明の請求項1に記載の超電導コイルは、極低温下で励磁される超電導コイルであって、円筒状の軸部と、前記軸部の軸方向両端から径外方向に延設される一対のフランジ部とを含む巻枠と、前記軸部の外周を覆うように配される円筒状の中間部材と、前記一対のフランジ部に挟まれるように前記中間部材の外周に超電導線材を螺旋状に巻回して構成される超電導線層とを備え、前記巻枠の軸部は、前記超電導線層の軸方向の線膨張係数よりも大きい軸方向の線膨張係数を有するとともに、冷却時に前記超電導線層から前記一対のフランジ部を介して前記軸部に作用する軸方向の引張力よりも大きい軸方向の引張強度を有し、前記中間部材は、前記超電導線層の周方向の線膨張係数よりも小さい周方向の線膨張係数を有することを特徴とする。
この請求項1に記載の超電導コイルでは、上記のように、中間部材の周方向の線膨張係数が超電導線層の周方向の線膨張係数よりも小さくなるように構成することによって、冷却時の超電導線層の径方向の収縮量が中間部材の径方向の収縮量よりも大きくなるので、冷却時に超電導線層が中間部材を外側から締め付けるように収縮し、中間部材と超電導線層との間に径方向の互いに押し合う力が発生する。また、上記のように、巻枠の軸部の軸方向の線膨張係数が超電導線層の軸方向の線膨張係数よりも大きくなるように構成することによって、冷却時の巻枠の軸部の軸方向の収縮量が超電導線層の軸方向の収縮量よりも大きくなるので、冷却時に巻枠が一対のフランジ部により超電導線層を軸方向両側から挟み込むように収縮し、巻枠のフランジ部と超電導線層との間に軸方向の互いに押し合う力が発生する。これにより、冷却状態で超電導線層が巻枠の一対のフランジ部と中間部材とにより強固に保持された安定な状態となるので、励磁時に超電導線層に径外方向のフープ力や軸方向の圧縮力が作用したとしても超電導線材の変位を十分に抑えることができる。その結果、クエンチの発生を十分に抑制することができる。
また、巻枠の軸部の軸方向の引張強度が冷却時に超電導線層から一対のフランジ部を介して軸部に作用する軸方向の引張力よりも大きくなるように構成することによって、冷却時に一対のフランジ部が超電導線層を挟圧することで巻枠の軸部に発生する軸方向の引張応力によって巻枠の軸部に割れが発生するのを防ぐことができるので、巻枠の割れに起因して超電導線層の安定状態が崩れることによるクエンチの発生を十分に抑制することができる。
上記請求項1に記載の超電導コイルにおいて、前記中間部材は、繊維強化プラスチックからなる材料を含み、前記繊維強化プラスチックの繊維は、前記中間部材の周方向の線膨張係数が前記超電導線層の周方向の線膨張係数よりも小さくなる角度で前記軸方向に対して傾斜する向きに配向する構成であってもよい(請求項2)。このように繊維強化プラスチックの繊維を軸方向に対して配向させることで、容易に、中間部材の周方向の線膨張係数を超電導線層の周方向の線膨張係数よりも小さくすることができる。また、上記構成では、中間部材に軸方向の引張応力がほぼ発生することがないので、繊維を軸方向に対して大きな角度で配向させたとしても支障がない。
上記請求項2に記載の超電導コイルにおいて、前記超電導線材は、NbTiからなる材料を含み、前記繊維強化プラスチックは、炭素繊維を含む炭素繊維強化プラスチックであって、その炭素繊維が前記軸方向に対して±40°から±90°の範囲内の角度で傾斜する向きに配向する構成であってもよい(請求項3)。このように構成すれば、容易に、炭素繊維強化プラスチックからなる中間部材の周方向の線膨張係数をNbTiからなる超電導線層の周方向の線膨張係数よりも小さくすることができる。
この発明の請求項4に記載の超電導コイルは、極低温下で励磁される超電導コイルであって、円筒状の軸部と、前記軸部の軸方向両端から径外方向に延設される一対のフランジ部とを含む巻枠と、前記一対のフランジ部に挟まれるように前記軸部の外周に超電導線材を螺旋状に巻回して構成される超電導線層とを備え、前記巻枠は、炭素繊維を含む炭素繊維強化プラスチックであって、前記炭素繊維強化プラスチックの炭素繊維は、前記巻枠の軸部が前記超電導線層の周方向の線膨張係数よりも小さい周方向の線膨張係数と前記超電導線層の軸方向の線膨張係数よりも大きい軸方向の線膨張係数とを有するとともに前記巻枠の軸部の軸方向の引張強度が冷却時に前記超電導線層から前記一対のフランジ部を介して前記軸部に作用する軸方向の引張力よりも大きくなる角度で前記軸方向に対して傾斜する向きに配向していることを特徴とする。
この請求項4に記載の超電導コイルでは、上記のように、巻枠の軸部の周方向の線膨張係数が超電導線層の周方向の線膨張係数よりも小さくなるように構成することによって、冷却時の超電導線層の径方向の収縮量が巻枠の軸部の径方向の収縮量よりも大きくなるので、冷却時に超電導線層が巻枠の軸部を外側から締め付けるように収縮し、巻枠の軸部と超電導線層との間に径方向の互いに押し合う力が発生する。また、上記のように、巻枠の軸部の軸方向の線膨張係数が超電導線層の軸方向の線膨張係数よりも大きくなるように構成することによって、冷却時の巻枠の軸部の軸方向の収縮量が超電導線層の軸方向の収縮量よりも大きくなるので、冷却時に巻枠が一対のフランジ部により超電導線層を軸方向両側から挟み込むように収縮し、巻枠のフランジ部と超電導線層との間に軸方向の互いに押し合う力が発生する。これにより、冷却状態で超電導線層が巻枠の一対のフランジ部と軸部とにより強固に保持された安定な状態となるので、励磁時に超電導線層に径外方向のフープ力や軸方向の圧縮力が作用したとしても超電導線材の変位を十分に抑えることができる。その結果、クエンチの発生を十分に抑制することができる。
また、炭素繊維強化プラスチックの炭素繊維を、巻枠の軸部の軸方向の引張強度が冷却時に超電導線層から一対のフランジ部を介して軸部に発生する軸方向の引張力よりも大きくなる角度で軸方向に対して傾斜する向きに配向させることによって、冷却時に一対のフランジ部が超電導線層を挟圧することで巻枠の軸部に発生する軸方向の引張応力によって巻枠の軸部に割れが発生するのを防ぐことができるので、巻枠の割れに起因して超電導線層の安定状態が崩れることによるクエンチの発生を十分に抑制することができる。
また、このような巻枠として炭素繊維からなる炭素繊維強化プラスチックを用いたので、従来のように、DFRPおよびGFRPの2層構造の巻枠を用いる場合に比べて、製造工程が煩雑化するのを抑制することができる。これにより、製造コストを低減することができる。
上記請求項4に記載の超電導コイルにおいて、前記超電導線材は、NbTiからなる材料を含み、前記炭素繊維強化プラスチックの炭素繊維が前記軸方向に対して±50°から±75°の範囲内の角度で傾斜する向きに配向する構成であってもよい(請求項5)。このように構成すれば、容易に、炭素繊維強化プラスチックからなる巻枠の軸部の周方向の線膨張係数をNbTiからなる超電導線層の周方向の線膨張係数よりも小さくしつつ、巻枠の軸部の軸方向の線膨張係数を超電導線層の軸方向の線膨張係数よりも大きくすることができる。また、上記構成によれば、容易に、巻枠の軸部の軸方向の引張強度を冷却時に超電導線層から一対のフランジ部を介して軸部に作用する軸方向の引張力よりも大きくすることができる。
上記請求項1〜5のいずれか一項に記載の超電導コイルにおいて、好ましくは、前記超電導線層の外周に設けられ、前記超電導線層の周方向の線膨張係数よりも大きい周方向の線膨張係数を有するバインド部材をさらに備え、前記バインド部材は、冷却時に前記超電導線層を外側から締め付けるように収縮する(請求項6)。このように、冷却時にバインド部材が超電導線層を外側から締め付けるように収縮することによって、超電導線層とバインド部材との間に径方向の互いに押し合う力が発生するので、冷却状態で超電導線層がさらに安定した状態となる。これにより、励磁状態でのクエンチの発生をより一層抑制することができる。
この発明の超電導コイルによれば、冷却時に超電導線層が中間部材を外側から締め付けるように収縮するとともに、巻枠が一対のフランジ部により超電導線層を軸方向両側から挟み込むように収縮するので、中間部材と超電導線層との間に径方向の互いに押し合う力が発生するとともに巻枠のフランジ部と超電導線層との間に軸方向の互いに押し合う力が発生する。これにより、冷却状態で超電導線層が一対のフランジ部と中間部材とにより強固に保持された安定状態となるので、励磁時に超電導線材に径外方向のフープ力や軸方向の圧縮力が作用したとしても超電導線材の変位を十分に抑えることができる。その結果、クエンチの発生を十分に抑制することができる。
また、この超電導コイルによれば、冷却時に一対のフランジ部が超電導線層を挟圧することで巻枠の軸部に発生する軸方向の引張応力によって巻枠の軸部に割れが発生するのを防ぐことができるので、巻枠の割れに起因して超電導線層の安定状態が崩れることによるクエンチの発生を十分に抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による超電導コイルの全体構成を示した正面断面図であり、図2および図3は、図1に示した超電導コイルの冷却状態および励磁状態の正面断面図である。また、図4は、炭素繊維の配向角度と炭素繊維強化プラスチックの線膨張係数との関係を示した相関図である。まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態による超電導コイルの全体構成について説明する。
第1実施形態の超電導コイルは、液体ヘリウム温度である極低温(約4K)に冷却された状態で通電されることにより励磁されるように構成されており、図1に示すように、アルミニウム製の巻枠10と、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の中間部材20と、NbTi製の超電導線材の集合体である超電導線層30とを備えている。
巻枠10は、円筒状の軸部11と、軸部11の軸方向両端から径外方向に延びるように設けられた一対のフランジ部12とを含んでいる。このアルミニウム製の巻枠10の軸部11の軸方向の線膨張係数(約14.5×10−6/℃)は、NbTi製の超電導線層30の軸方向の線膨張係数(約9.3×10−6/℃)よりも大きくなっている。なお、上記各線膨張係数は、常温(約293K)から極低温(約4K)までの間の平均値で示されている。また、アルミニウムの引張強度が比較的大きいため、巻枠10の軸部11の軸方向の引張強度は、冷却時に超電導線層30から一対のフランジ部12を介して軸部11に作用する軸方向の反力(引張力)、つまり一対のフランジ部12により超電導線層30を挟圧した際に軸部11に発生する引張応力よりも大きくなっている。なお、巻枠10の材料としては、軸方向の線膨張係数が超電導線層30よりも大きく、かつ軸方向の引張強度が上述の引張応力よりも大きいという条件を満足しているならば上記アルミニウム以外の材料であっても良く、例えばアルミニウム合金やステンレス鋼(SUS)を好適なものとして挙げることができる。
中間部材20は、円筒状に形成されており、軸部11の外周を覆うように配されている。この中間部材20の材料であるCFRPの炭素繊維は、軸方向に対して±40°から±90°の範囲内の角度で傾斜する向きに配向している。これにより、本実施形態では、上記CFRP製の中間部材20の周方向の線膨張係数が、NbTi製の超電導線層30の周方向の線膨張係数よりも小さくなっている。
以下、図4を参照して説明する。図4は、樹脂を含浸した炭素繊維の配向角度を種々に変化させて作成されたCFRP製パイプ(中間部材20に相当)の線膨張係数を示したものであり、実線はCFRP製パイプの周方向の線膨張係数を、一点鎖線はCFRP製パイプの軸方向の線膨張係数を示している。また、図4中の破線は、NbTi製の超電導線層30の線膨張係数を示している。図4によれば、炭素繊維の配向角度が0°から40°の範囲ではCFRP製パイプの周方向の線膨張係数が超電導線層30の周方向の線膨張係数よりも大きくなり、炭素繊維の配向角度が40°から90°の範囲ではCFRP製パイプの周方向の線膨張係数が超電導線層30の周方向の線膨張係数よりも小さくなっている。これにより、炭素繊維を軸方向に対する配向角度が±40°から±90°の範囲内の角度で傾斜する向きに配向させたCFRP製の中間部材20は、その周方向の線膨張係数が超電導線層30の周方向の線膨張係数よりも小さくなっていることが分かる。
なお、中間部材20の材料としては、周方向の線膨張係数が超電導線層30よりも小さいという条件を満足しているならば上記CFRP以外の材料であっても良く、例えばFRPでは、繊維方向の線膨張係数が非常に小さいアラミド繊維を軸方向に対して±40°〜±90°の範囲内の角度で傾斜する向きに配向させたアラミド繊維強化プラスチックや、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、炭化珪素繊維強化プラスチック(SFRP)、アルミナ繊維強化プラスチック(AFRP)を挙げることができる。また、FRP以外の材料では、比較的小さい線膨張係数を有するインバー合金等を好適なものとして挙げることができる。
また、CFRPは、ポリエチレン繊維強化プラスチック(DFRP)と異なり、加工性に優れているため、様々な機械加工や研削・研磨等によって任意の形状に加工することが可能である。従って、従来のように、巻枠をDFRPおよびGFRPの2層構造にする必要がないので、製造工程が煩雑化するのを抑制し製造コストを低減することが可能である。
超電導線層30は、一対のフランジ部12に挟まれるように中間部材20の外周にNbTi製の超電導線材を螺旋状(またはソレノイド状)に巻回して構成されている。なお、超電導線材の材料としては、上記NbTi以外のNbSnおよびNbAl等を挙げることができる。
上記のように構成された第1実施形態の超電導コイルでは、アルミニウム製の巻枠10の軸部11の軸方向の線膨張係数がNbTi製の超電導線層30の軸方向の線膨張係数よりも大きくなっており、CFRP製の中間部材20の周方向の線膨張係数がNbTi製の超電導線層30の周方向の線膨張係数よりも小さくなっているため、当該超電導コイルを常温(約20℃=約293K)から液体ヘリウム温度(約4K)まで冷却した際には、図2に示すように、軸方向では巻枠10の軸部11の収縮量が超電導線層30の収縮量よりも大きくなり、径方向では超電導線層30の収縮量が中間部材20の収縮量よりも大きく、かつ巻枠10の軸部11の収縮量が超電導線層30の収縮量よりも大きくなる。これにより、冷却時に、巻枠10が一対のフランジ部12により超電導線層30を軸方向両側から挟み込むように収縮するとともに、超電導線層30が中間部材20を外側から締め付けるように収縮するので、中間部材20と超電導線層30との間に径方向の互いに押し合う力が発生するとともに、巻枠10のフランジ部12と超電導線層30との間に軸方向の互いに押し合う力が発生する。
なお、アルミニウム製の巻枠10の軸部11の周方向の線膨張係数がCFRP製の中間部材20の周方向の線膨張係数よりも大きいことから、冷却時には、巻枠10の軸部11が超電導線層30よりも径方向に大きく収縮するので、巻枠10の軸部11と超電導線層30との間に隙間D1(図3参照)が生じている。
そして、この状態で通電されることにより超電導コイルが励磁されると、図3に示すように、通電電流と自ら発した磁界との相互作用により超電導線層30に径外方向のフープ力Pと軸方向の圧縮力Qとが作用するが、超電導線層30が一対のフランジ部12および中間部材20により強固に保持された安定状態にあるため、超電導線層30を構成する超電導線材の変位が十分に抑えられている。
なお、一般にFRPは、繊維方向と直交する方向の引張強度が非常に小さいという特性を有しており、FRPの繊維方向と直交する方向に引張強度よりも大きな力が作用した場合、FRPに繊維方向に沿った割れが発生することになるが、上記構成によれば、冷却時に中間部材20に軸方向の引張応力が発生しないので、炭素繊維を軸方向に対して例えば±90°に配向させたCFRP製の中間部材20を用いたとしても該中間部材20に割れが発生するおそれがない。そして、このように炭素繊維を軸方向に対して±90°の角度で傾斜する向きに配向させた中間部材20であれば当該中間部材20の周方向の線膨張係数が十分に小さいので、冷却時の超電導線層30の状態をさらに安定させることが可能である。
また、上記構成の場合、巻枠10をフィラメント・ワインディング成形法(FW法)による中間部材20成形時のマンドレル(芯金)として用いることができるので、超電導コイルの製作工程が簡便になり、製造コストを低減することができる。
第1実施形態では、上記のように、中間部材20の周方向の線膨張係数が超電導線層30の周方向の線膨張係数よりも小さくなるように構成することによって、冷却時の超電導線層30の径方向の収縮量が中間部材20の径方向の収縮量よりも大きくなるので、冷却時に超電導線層30が中間部材20を外側から締め付けるように収縮し、中間部材20と超電導線層30との間に径方向の互いに押し合う力が発生する。また、上記のように、巻枠10の軸部11の軸方向の線膨張係数が超電導線層30の軸方向の線膨張係数よりも大きくなるように構成することによって、冷却時の巻枠10の軸部11の軸方向の収縮量が超電導線層30の軸方向の収縮量よりも大きくなるので、冷却時に巻枠10が一対のフランジ部12により超電導線層30を軸方向両側から挟み込むように収縮し、巻枠10のフランジ部12と超電導線層30との間に軸方向の互いに押し合う力が発生する。これにより、冷却状態で超電導線層30が巻枠10の一対のフランジ部12と中間部材20とにより強固に保持された安定な状態となるので、励磁時に超電導線層30に径外方向のフープ力Pや軸方向の圧縮力Qが作用したとしても超電導線材の変位を十分に抑えることができる。その結果、クエンチの発生を十分に抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、巻枠10の軸部11の軸方向の引張強度が冷却時に軸部11に発生する軸方向の引張応力よりも大きくなるように構成することによって、冷却時に一対のフランジ部12が超電導線層30を挟圧することで巻枠10の軸部11に発生する軸方向の引張応力によって巻枠10の軸部11に割れが発生するのを防ぐことができるので、巻枠10の割れに起因して超電導線層30の安定状態が崩れることによるクエンチの発生を十分に抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、中間部材20の材料としての炭素繊維強化プラスチックの炭素繊維を、軸方向に対して±40°から±90°の範囲内の角度で傾斜する向きに配向させることによって、容易に、炭素繊維強化プラスチックからなる中間部材20の周方向の線膨張係数をNbTiからなる超電導線層30の周方向の線膨張係数よりも小さくすることができる。
図5および図6は、第1実施形態の変形例による超電導コイルの全体構成を示した正面断面図である。
この変形例による超電導コイルは、図5に示すように、超電導線層30の外周に設けられたバインド部材40をさらに備えている。詳しくは、バインド部材40は、常温時に超電導線層30の外周に接触する状態あるいは僅かな隙間を有した状態となるように配設されており、冷却状態で超電導線層30を外側から締め付けるように収縮するように構成されている。このバインド部材40は、アルミニウム製であって、超電導線層30の周方向の線膨張係数よりも大きい周方向の線膨張係数を有している。なお、バインド部材40の材料としては、上記アルミニウム以外のアルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、銅合金、チタン、チタン合金等を挙げることができる。
この変形例では、上記のように、超電導線層30の外周に、超電導線層30の周方向の線膨張係数よりも大きい周方向の線膨張係数を有するバインド部材40を超電導線層30の外周に接触あるいは僅かな隙間を有する状態で設けることによって、冷却時のバインド部材40の径方向の収縮量が超電導線層30の径方向の収縮量よりも大きくなるので、冷却時にバインド部材40が超電導線層30を外側から締め付けるように収縮し、超電導線層30とバインド部材40との間に径方向の互いに押し合う力が発生する。これにより、冷却状態で超電導線層30がさらに安定した状態となるので、励磁状態でのクエンチの発生をより一層抑制することができる。
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態による超電導コイルの全体構成を示した正面断面図であり、図8および図9は、図7に示した超電導コイルの冷却状態および励磁状態の正面断面図である。この第2実施形態の超電導コイルは、上記第1実施形態と異なる巻枠50を備えるとともに、第1実施形態の中間部材20が省略された構成を有している。
すなわち、第2実施形態の超電導コイルは、図7に示すように、CFRP製の巻枠50と、超電導線層30とを備えている。
巻枠50は、円筒状の軸部51と、軸部51の軸方向両端から径外方向に延びるように設けられた一対のフランジ部52とを含んでいる。
この巻枠50の材料であるCFRPの炭素繊維は、軸方向に対して±50°から±75°の範囲内の角度で傾斜する向きに配向している。これにより、本実施形態では、上記CFRP製の巻枠50の軸部51の周方向の線膨張係数がNbTi製の超電導線層30の周方向の線膨張係数よりも小さく、かつ、CFRP製の巻枠50の軸部51の軸方向の線膨張係数がNbTi製の超電導線層30の軸方向の線膨張係数よりも大きくなっている(図4参照)。
また、巻枠50の材料であるCFRPの炭素繊維が、軸方向に対して±50°から±75°の範囲内の角度で傾斜する向きに配向していることから、本実施形態では、巻枠50の軸部51の軸方向の引張強度が、冷却時に軸部51に発生する軸方向の引張応力よりも大きくなっている。
以下、図10を参照して説明する。図10は、炭素繊維の配向角度を種々に変化させて作成されたCFRP製パイプ(巻枠50の軸部51に相当)の軸方向の引張強度を示したものである。また、図10中の破線は、冷却時にCFRP製パイプに発生する軸方向の引張応力を示している。図10によれば、炭素繊維の配向角度が0°から75°の範囲ではCFRP製パイプの引張強度が引張応力よりも大きくなり、炭素繊維の配向角度が75°から90°の範囲ではCFRP製パイプの引張強度が引張応力よりも小さくなっている。これにより、炭素繊維を軸方向に対する配向角度が±50°から±75°の範囲内の角度で傾斜する向きに配向させたCFRP製の巻枠50は、その軸方向の引張強度が冷却時に軸部51に発生する軸方向の引張応力よりも大きくなっている。
従って、冷却時に一対のフランジ部52が超電導線層30を挟圧することで巻枠50の軸部51に軸方向の引張応力が発生したとしても、その軸方向の引張応力によって巻枠50の軸部51に繊維方向に沿った割れが発生するのを防ぐことができる。
なお、巻枠50の材料としては、上記第1実施形態の中間部材20とほぼ同様の材料を挙げることができる。
上記のように構成された第2実施形態の超電導コイルでは、CFRP製の巻枠50の軸部51の軸方向の線膨張係数がNbTi製の超電導線層30の軸方向の線膨張係数よりも大きくなっており、CFRP製の巻枠50の軸部51の周方向の線膨張係数がNbTi製の超電導線層30の周方向の線膨張係数よりも小さくなっているため、当該超電導コイルを常温から液体ヘリウム温度まで冷却した際には、図8に示すように、軸方向では巻枠50の軸部51の収縮量が超電導線層30の収縮量よりも大きくなり、径方向では超電導線層30の収縮量が巻枠50の軸部51の収縮量よりも大きくなる。これにより、冷却時に、巻枠50が一対のフランジ部52により超電導線層30を軸方向両側から挟み込むように収縮するとともに、超電導線層30が巻枠50の軸部51を外側から締め付けるように収縮するので、巻枠50の軸部51と超電導線層30との間に径方向の互いに押し合う力が発生するとともに、巻枠50のフランジ部52と超電導線層30との間に軸方向の互いに押し合う力が発生する。
そして、この状態で通電されることにより超電導コイルが励磁されると、図9に示すように、超電導線層30に径外方向のフープ力Pと軸方向の圧縮力Qとが作用するが、超電導線層30が一対のフランジ部52および軸部51により強固に保持された安定状態にあるため、超電導線層30を構成する超電導線材の変位が十分に抑えられている。
第2実施形態では、上記のように、巻枠50の軸部51の周方向の線膨張係数が超電導線層30の周方向の線膨張係数よりも小さくなるように構成することによって、冷却時の超電導線層30の径方向の収縮量が巻枠50の軸部51の径方向の収縮量よりも大きくなるので、冷却時に超電導線層30が巻枠50の軸部51を外側から締め付けるように収縮し、巻枠50の軸部51と超電導線層30との間に径方向の互いに押し合う力が発生する。また、上記のように、巻枠50の軸部51の軸方向の線膨張係数が超電導線層30の軸方向の線膨張係数よりも大きくなるように構成することによって、冷却時の巻枠50の軸部51の軸方向の収縮量が超電導線層30の軸方向の収縮量よりも大きくなるので、冷却時に巻枠50が一対のフランジ部52により超電導線層30を軸方向両側から挟み込むように収縮し、巻枠50のフランジ部52と超電導線層30との間に軸方向の互いに押し合う力が発生する。これにより、冷却状態で超電導線層30が巻枠50の一対のフランジ部52と軸部51とにより強固に保持された安定な状態となるので、励磁時に超電導線層30に径外方向のフープ力Pや軸方向の圧縮力Qが作用したとしても超電導線材の変位を十分に抑えることができる。その結果、クエンチの発生を十分に抑制することができる。
また、CFRPの炭素繊維を、軸方向に対して±50°から±75°の範囲内の角度で傾斜する向きに配向させることによって、巻枠50の軸部51の軸方向の引張強度が冷却時に軸部51に発生する軸方向の引張応力よりも大きくなるので、冷却時に一対のフランジ部52が超電導線層30を挟圧することで巻枠50の軸部51に発生する軸方向の引張応力によって巻枠50の軸部51に割れが発生するのを防ぐことができるので、巻枠50の割れに起因して超電導線層30の安定状態が崩れることによるクエンチの発生を十分に抑制することができる。
また、このような巻枠50として炭素繊維からなるCFRPを用いたので、従来のように、DFRPおよびGFRPの2層構造の巻枠を用いる場合に比べて、製造工程が煩雑化するのを抑制することができる。これにより、製造コストを低減することができる。
また、巻枠50の材料としてのCFRPは、優れた加工性を有しているため、FW法による成形時に軸方向の中央部を軸方向両端のフランジ部52に相当する部位に比べて小径に加工することで容易に巻枠50を成形することが可能である。これにより、加工の際に残出する材料を少なくすることができるので、材料費を節約することができるという効果も奏する。
なお、第2実施形態の変形例として、上記第1実施形態の変形例と同様、超電導線層30の外側にアルミニウム製のバインド部材40を配設してもよい。
次に、図11および図12に示した従来の超電導コイルと図7〜図9に示した第2実施形態による超電導コイルとに各々対応する供試体を作製し、それら供試体の特性を比較して上記実施形態の効果を証明する実験を行った。
この実験では、供試体(超電導コイル)の各寸法を以下のように設定した。すなわち、巻枠の軸部の内径を80mm、巻枠の軸部の径方向の厚さを3mm、超電導線層の径方向の厚さを10mm、超電導コイルの軸方向の長さを150mm、巻枠のフランジ部の外径を110mm、巻枠のフランジ部の軸方向の厚さを10mmとした。
供試体Aは、従来の超電導コイルに対応しており、巻枠150をアルミニウム製とした。また、供試体Bは、第2実施形態による超電導コイルに対応しており、巻枠50をCFRP製とし、炭素繊維の軸方向に対する配向角度を±60°とした。また、供試体Cは、第2実施形態の変形例による超電導コイルに対応しており、上記供試体Bの超電導線層30の外周にアルミニウム製のバインド部材40(厚さ2mm)を設けたものである。なお、供試体A〜Cの超電導線材としてNbTi線を用いた。
そして、上記3つの供試体A〜Cを液体ヘリウム中に浸漬し、それぞれのクエンチ電流を測定したところ、表1に示す結果が得られた。
Figure 2008071789
すなわち、供試体Aでは、トレーニングクエンチを12回経た後のクエンチ電流の最大値が1120アンペア(A)であった。これに対して、供試体Bでは、トレーニングクエンチを3回経た後のクエンチ電流の最大値が1450Aであった。また、供試体Cでは、トレーニングクエンチを2回経た後のクエンチ電流の最大値が1580Aであった。なお、上記「トレーニングクエンチ」は、電流を0Aから徐々に上昇させることで略強制的に発生させたクエンチのことを言う。
このように、第2実施形態の超電導コイルに対応する供試体BおよびCは、従来の超電導コイルに対応する供試体Aに比べてトレーニングクエンチの回数が少ないのにもかかわらずクエンチ電流の最大値が大きいという安定した特性を示すことが判明した。
これは、以下の理由によると考えられる。すなわち、供試体B,Cにおいて、炭素繊維の軸方向に対する配向角度が±60°のCFRP製の巻枠50の軸部51の周方向の線膨張係数がNbTi製の超電導線層30の周方向の線膨張係数よりも小さい(図4参照)ことから、冷却時の超電導線層30の径方向の収縮量が巻枠50の軸部51の径方向の収縮量よりも大きくなるので、冷却時に超電導線層30が巻枠50の軸部51を外側から締め付けるように収縮し、巻枠50の軸部51と超電導線層30との間に径方向の互いに押し合う力が発生する。また、炭素繊維の軸方向に対する配向角度が±60°のCFRP製の巻枠50の軸部51の軸方向の線膨張係数がNbTi製の超電導線層30の軸方向の線膨張係数よりも大きい(図4参照)ことから、冷却時の巻枠50の軸部51の軸方向の収縮量が超電導線層30の軸方向の収縮量よりも大きくなるので、冷却時に巻枠50が一対のフランジ部52により超電導線層30を軸方向両側から挟み込むように収縮し、巻枠50のフランジ部52と超電導線層30との間に軸方向の互いに押し合う力が発生する。これらにより、冷却状態で超電導線層30が巻枠50の一対のフランジ部52と軸部51とにより強固に保持された安定な状態となるので、励磁時に超電導線層30に径外方向のフープ力Pや軸方向の圧縮力Qが作用したとしても超電導線材の変位を十分に抑えることができ、その結果、クエンチの発生を十分に抑制することができたと考えられる。
また、第2実施形態の変形例の超電導コイルに対応する供試体Cは、供試体Bよりもさらに安定した特性を示すことも判明した。これは、以下の理由によると考えられる。すなわち、供試体Cにおいて、超電導線層30の外側に設けられたアルミニウム製のバインド部材40の周方向の線膨張係数が、NbTi製の超電導線層30の周方向の線膨張係数よりも大きいことから、冷却時のバインド部材40の径方向の収縮量が超電導線層30の径方向の収縮量よりも大きくなるので、冷却時にバインド部材40が超電導線層30を外側から締め付けるように収縮し、超電導線層30とバインド部材40との間に径方向の互いに押し合う力が発生する。これにより、冷却状態で超電導線層30がさらに安定した状態となるので、励磁状態でのクエンチの発生をより一層抑制することができたと考えられる。
以上のことから、この比較実験によって上記実施形態の効果が証明された。
本発明の第1実施形態による超電導コイルの全体構成を示した正面断面図である。 図1に示した超電導コイルの冷却状態の正面断面図である。 図1に示した超電導コイルの励磁状態の正面断面図である。 炭素繊維の配向角度と炭素繊維強化プラスチックの線膨張係数との関係を示した相関図である。 第1実施形態の変形例による超電導コイルの冷却状態の正面断面図である。 図5に示した超電導コイルの励磁状態の正面断面図である。 本発明の第2実施形態による超電導コイルの全体構成を示した正面断面図である。 図7に示した超電導コイルの冷却状態の正面断面図である。 図7に示した超電導コイルの励磁状態の正面断面図である。 炭素繊維の配向角度と炭素繊維強化プラスチックの軸方向引張強度との関係を示した相関図である。 従来の超電導コイルの冷却状態の正面断面図である。 図11に示した従来の超電導コイルの励磁状態の正面断面図である。
符号の説明
10,50 巻枠
11,51 軸部
12,52 フランジ部
20 中間部材
30 超電導線層
40 バインド部材

Claims (6)

  1. 極低温下で励磁される超電導コイルであって、
    円筒状の軸部と、前記軸部の軸方向両端から径外方向に延設される一対のフランジ部とを含む巻枠と、
    前記軸部の外周を覆うように配される円筒状の中間部材と、
    前記一対のフランジ部に挟まれるように前記中間部材の外周に超電導線材を螺旋状に巻回して構成される超電導線層とを備え、
    前記巻枠の軸部は、前記超電導線層の軸方向の線膨張係数よりも大きい軸方向の線膨張係数を有するとともに、冷却時に前記超電導線層から前記一対のフランジ部を介して前記軸部に作用する軸方向の引張力よりも大きい軸方向の引張強度を有し、
    前記中間部材は、前記超電導線層の周方向の線膨張係数よりも小さい周方向の線膨張係数を有することを特徴とする超電導コイル。
  2. 前記中間部材は、繊維強化プラスチックからなる材料を含み、
    前記繊維強化プラスチックの繊維は、前記中間部材の周方向の線膨張係数が前記超電導線層の周方向の線膨張係数よりも小さくなる角度で前記軸方向に対して傾斜する向きに配向していることを特徴とする請求項1に記載の超電導コイル。
  3. 前記超電導線材は、NbTiからなる材料を含み、
    前記繊維強化プラスチックは、炭素繊維を含む炭素繊維強化プラスチックであって、その炭素繊維が前記軸方向に対して±40°から±90°の範囲内の角度で傾斜する向きに配向していることを特徴とする請求項2に記載の超電導コイル。
  4. 極低温下で励磁される超電導コイルであって、
    円筒状の軸部と、前記軸部の軸方向両端から径外方向に延設される一対のフランジ部とを含む巻枠と、
    前記一対のフランジ部に挟まれるように前記軸部の外周に超電導線材を螺旋状に巻回して構成される超電導線層とを備え、
    前記巻枠は、炭素繊維を含む炭素繊維強化プラスチックであって、
    前記炭素繊維強化プラスチックの炭素繊維は、前記巻枠の軸部が前記超電導線層の周方向の線膨張係数よりも小さい周方向の線膨張係数と前記超電導線層の軸方向の線膨張係数よりも大きい軸方向の線膨張係数とを有するとともに前記巻枠の軸部の軸方向の引張強度が冷却時に前記超電導線層から前記一対のフランジ部を介して前記軸部に作用する軸方向の引張力よりも大きくなる角度で前記軸方向に対して傾斜する向きに配向していることを特徴とする超電導コイル。
  5. 前記超電導線材は、NbTiからなる材料を含み、
    前記炭素繊維強化プラスチックの炭素繊維が前記軸方向に対して±50°から±75°の範囲内の角度で傾斜する向きに配向していることを特徴とする請求項4に記載の超電導コイル。
  6. 前記超電導線層の外周に設けられ、前記超電導線層の周方向の線膨張係数よりも大きい周方向の線膨張係数を有するバインド部材をさらに備え、
    前記バインド部材は、冷却時に前記超電導線層を外側から締め付けるように収縮することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の超電導コイル。
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