JP2007128686A - 内部拡散法Nb3Sn超電導線材 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた臨界電流を有すると共に大きいn値を有し、10Tを超える高い磁場を発生し、コンパクト且つ低コストのNMRマグネットを実現するのに有用な内部拡散法Nb3Sn超電導線材を提供する。
【解決手段】CuまたはCu基合母材1に複数本のNbまたはNb基合金芯3を埋設すると共に、その中央部にSnまたはSn基合金芯2を配置した複合材の外周に、NbまたはTaからなる拡散障壁層4、更にその外側に安定化Cu5を配置して構成される複合線材を、伸線加工した後、熱処理することによってSnを拡散させ、複合材中のNbまたはNb基合金芯3と反応させることによって製造される内部拡散法Nb3Sn超電導線材であって、前記複合線材の軸心に垂直な方向の断面に占める安定化Cu5の面積率が10〜35%であると共に、拡散障壁層4の面積率が10〜25%である。
【選択図】図1
【解決手段】CuまたはCu基合母材1に複数本のNbまたはNb基合金芯3を埋設すると共に、その中央部にSnまたはSn基合金芯2を配置した複合材の外周に、NbまたはTaからなる拡散障壁層4、更にその外側に安定化Cu5を配置して構成される複合線材を、伸線加工した後、熱処理することによってSnを拡散させ、複合材中のNbまたはNb基合金芯3と反応させることによって製造される内部拡散法Nb3Sn超電導線材であって、前記複合線材の軸心に垂直な方向の断面に占める安定化Cu5の面積率が10〜35%であると共に、拡散障壁層4の面積率が10〜25%である。
【選択図】図1
Description
本発明は、内部拡散法によって製造されるNb3Sn超電導線材に関するものであり、殊に高い磁場において良好な臨界電流特性を有すると共に大きいn値を示し、高磁場発生用超電導マグネットの素材として有用な内部拡散法Nb3Sn超電導線材に関するものである。
超電導線材が実用化されている分野のうち、高分解能核磁気共鳴(NMR)分析装置に用いられる超電導マグネットについては発生磁場が高いほど分解能が高まることから、超電導マグネットは近年ますます高磁場化の傾向にある。
高磁場発生用超電導マグネットに使用される超電導線材としては、Nb3Sn線材が実用化されており、このNb3Sn超電導線材の製造には主にブロンズ法が採用されている。このブロンズ法は、Cu−Sn基合金(ブロンズ)マトリックス中に複数のNb基芯材を埋設し、伸線加工することによって上記Nb基芯材を細径化してフィラメントとし、このNb基芯材のフィラメントとブロンズ複合材を複数束ねて線材群となし、安定化の為の銅(安定化Cu)を配置した後伸線加工する。上記線材群を600℃以上800℃以下程度で熱処理(拡散熱処理)することにより、Nb基フィラメントとマトリックスの界面にNb3Sn化合物層を生成する方法である。しかしながら、この方法ではブロンズ中に固溶できるSn濃度には限界があり(15.8質量%以下)、生成されるNb3Sn化合物層の厚さが薄く、また結晶性が劣化してしまい、高磁場特性が良くないという欠点がある。
Nb3Sn超電導線材を製造する方法としては、上記ブロンズ法の他に、内部拡散法も知られている。この内部拡散法では、図1(Nb3Sn超電導線材製造用複合線材の断面模式図)に示すように、CuまたはCu基合金からなる母材1(以下、「Cu基合金母材」で代表することがある)の中央部にSn芯2を埋設すると共に、Sn芯2の周囲の母材1中に複数本のNb芯3を配置し、伸線加工した後、熱処理によってSn芯2中のSnを拡散させ、Nbと反応させることによってNb3Snを生成させる方法である(例えば、特許文献1、非特許文献1)。また、こうした方法において、超電導特性の一つである臨界電流密度を向上させるために、Sn芯2やNb芯3にTi等を含有させる(Sn基合金芯、Nb基合金芯)方法も提案されている(例えば、特許文献2)。
こうした内部拡散法によって、超電導線材を製造する場合には、図1に示したように、母材1、Sn芯2およびNb芯からなる複合材の最外層に安定化Cu5が配置されると共に、安定化Cu5と母材1との間に、Snの安定化Cuへの拡散を防止する拡散障壁層4(拡散防止層)が配置されて複合線材とされるのが一般的である。
この方法では、ブロンズ法のような固溶限によるSn濃度に限界がないので、Sn濃度をできるだけ高く設定でき、良質なNb3Sn層が生成可能であるため、高磁場特性が優れた超電導線材が得られることが示されている。特に、この方法によって得られたNb3Sn超電導線材は、10T(テスラ)を超える磁場の発生に最も良く利用されるブロンズ法によるNb3Sn超電導線材に比べて、3倍程度高い非銅部当りの臨界電流密度Jc(=臨界電流/非安定化Cuの面積)を持つことが知られ、核融合マグネット、加速器用マグネット、研究用マグネット等に多数適用されている。また、内部拡散法に適用される複合線材は、それを構成する素材は加工性の良好なものを用いることができるので、中間焼鈍を行わずとも良好な伸線加工ができ、低コストで製造できるという利点もある。
特開昭63−213212号公報 特許請求の範囲等
特開昭62−174354号公報 特許請求の範囲等
「低温工学」 第39巻 9号、『内部拡散法によるNb3Sn超電導線材の開発』(2004)、第391〜398頁
ところで、NMR用マグネットでは、永久電流モードで運転され、高い磁場安定度が要求されることになる。また高い磁場安定性を実現するためには、永久電流モードでの運転中に線材自身が発生する抵抗が小さいことが重要である。超電導線材に電流を流していくと、ある電流値(臨界電流)以上では抵抗が発生し、電圧を生じることになるが、このときの電流Iと電圧Vの関係は、経験的に下記(1)式の様な近似式で表わされ、この(1)式中のnの値は「n値」と呼ばれている。
V=Vc(I/Ic)n…(1)
但し、Icは、線材の臨界電流であり、VcはIcを定義する基準電圧である。
V=Vc(I/Ic)n…(1)
但し、Icは、線材の臨界電流であり、VcはIcを定義する基準電圧である。
これらから、運転電流Iopの永久電流モードの超電導マグネットでは、超電導線材部分で(Iop/Ic)n−1に比例する抵抗が発生することが知られている。
上記n値は、超電導状態から常電導状態への転移の鋭さを示す量となるものであり、高い磁場安定性を確保するためには、臨界電流が高いことは勿論のこと、n値が大きい線材であることが必要である。このうちn値は指数的に寄与することになるので、線材の臨界電流を高くするよりも、n値を大きくすることがより有効に作用することになる。このn値が小さい場合には、高い磁場安定度を確保するためには、マグネットの運転電流を著しく低下させる必要があるので、線材の使用量が多くなってしまい、NMRマグネットを大型化することが必要となり、コンパクト化を図りたいという要求に反することになる。
こうした要求特性の面から、内部拡散法によって製造された超電導線材を検討すると、ブロンズ法で製造された超電導線材と比べて、n値が低いことが知られている。こうしたことから、永久電流モードで運転され、高い磁場安定度が要求されるNMR用マグネットには内部拡散法Nb3Sn超電導線材は適用しにくいという問題があった。
本発明はこうした状況の下でなされたものであって、その目的は、優れた臨界電流を有すると共に大きいn値を有し、10Tを超える高い磁場を発生し、コンパクト且つ低コストのNMRマグネットを実現するために有用な内部拡散法Nb3Sn超電導線材を提供することにある。
上記目的を達成することのできた本発明の内部拡散法Nb3Sn超電導線材とは、CuまたはCu基合金母材に複数本のNbまたはNb基合金芯を埋設すると共に、その中央部にSnまたはSn基合金芯を配置した複合材の外周に、NbまたはTaからなる拡散障壁層、更にその外側に安定化Cuを配置して構成される複合線材を伸線加工した後、熱処理することによってSnを拡散させ、複合線材中のNbまたはNb基合金芯と反応させることによって製造される内部拡散法Nb3Sn超電導線材であって、前記複合線材の軸心に垂直な方向の断面に占める安定化Cuの面積率が10〜35%であると共に、拡散障壁層の面積率が10〜25%である点に要旨を有するものである。
本発明の超電導線材においては、(1)安定化Cuと拡散障壁層の面積率の合計が30〜40%であることや、(2)SnまたはSn基合金芯は複合線材断面中に占める面積率が25〜35%であることが好ましい。
本発明によれば、安定化Cuおよび拡散障壁層の面積率を適切な範囲とすることによって、優れた臨界電流を有すると共に大きいn値を有し、10Tを超える高い磁場を発生する内部拡散法Nb3Sn超電導線材が実現でき、こうした超電導線材では、コンパクト且つ低コストのNMRマグネットを実現する上で有用なものとなる。
超電導線材のn値を決定する要因としては、線材中のNb3SnフィラメントのIcの分布が考えられる。このNb3Snフィラメント毎のIcの差が小さければ、電流I−電圧V曲線における超電導遷移幅が小さくなり(傾斜が急峻になり)、大きいn値が得られることになる。逆に、各Nb3SnフィラメントのIcに広い分布があれば、超電導遷移幅が大きくなって(傾斜がなだらかになり)、n値が小さいものとなる。
Nb3SnフィラメントにIcの分布が発生する原因としては、(a)各フィラメントの断面積のバラツキや、(b)各フィラメントの臨界電流密度のバラツキ等が考えられる。また、上記(b)のバラツキが生じる要因としては、Nb3Sn超電導線材では、Nb3Snフィラメントの組成のバラツキや残留歪み等が考えられる。従って、これらのバラツキを適正化することによって、大きなn値が実現できること予想される。
ところで、内部拡散法Nb3Sn超電導線材においては、拡散熱処理の際に700℃程度の温度域でSn基合金部からSnがCu基合金母材中を拡散して、Nb基合金芯とCu基合金母材の界面でNb3Sn相が反応形成されることになる。その一方で、超電導線材の利用時においては、液体ヘリウム温度(通常約−269℃程度)まで冷却されることになる。従って、生成時と利用時では1000Kの温度差があることになる。
こうした工程において、Nb3Sn相とCu母材の熱膨張率の差から、Nb3Sn相には大きな圧縮応力がかかり、その結果として、Nb3Sn相に圧縮歪みが残ることになる。Nb3Sn超電導線材に歪みが残留した場合には、臨界温度Tcや臨界磁場Bc2等の超電導特性が大きく低下し、それと同時に臨界電流やn値にも悪影響を及ぼすことになる。
本発明者らは、上記した悪影響を低減すれば、大きなn値が実現できるとの観点から、その低減について様々な角度から検討した。そしてまず、Nb3Sn相にかかる圧縮歪みの原因となる線材構成部材の形態を制御すれば良いとの着想が得られた。こうした着想に基づいて、その具体的な構成について更に鋭意研究を重ねた結果、内部拡散法に適用される複合線材中における安定化Cuおよび拡散障壁層の面積率(軸心に垂直な方向の断面の面積率)を適切に制御すれば、上記目的が見事に達成されることを見出し、本発明を完成した。
本発明者等が検討したところによれば、複合線材中の安定化Cuについてはその面積率が大きくなれば、超電導線材の運転時にNb3Sn相に悪影響を与える残留歪みが増大することになるので、できるだけ小さくすることが好ましことを見出した。また拡散障壁層については、当該層を構成するNbやTaはNb3Sn相と熱膨張率はそれほど差がないので、面積率が大きいほど超電導特性に好ましい結果をもたらすことが判明したのである。次に本発明で規定する要件の範囲限定理由について説明する。
安定化Cuの面積率:10〜35%
安定化Cuの面積率が10%未満になると、安定した複合加工が困難になり、特に押し出し加工や伸線加工において断線やビレットの割れが生じ易くなる。一方、面積率が35%を超えると、臨界電流密度Icとn値が急激に低下することになる。特に、18Tを超えるような高い外部磁場においてその低下が著しくなる。安定化Cuの面積率は、好ましくは15%以上、25%以下とするのが良い。
安定化Cuの面積率が10%未満になると、安定した複合加工が困難になり、特に押し出し加工や伸線加工において断線やビレットの割れが生じ易くなる。一方、面積率が35%を超えると、臨界電流密度Icとn値が急激に低下することになる。特に、18Tを超えるような高い外部磁場においてその低下が著しくなる。安定化Cuの面積率は、好ましくは15%以上、25%以下とするのが良い。
尚、内部拡散法によって製造されるNb3Sn超電導線材においては、クエンチ発生時の焼損等を回避するため、Cu面積率は出来るだけ高くする傾向があり、例えば核融合マグネットで60%程度(Cu比=Cu部面積/非Cu部面積率で1.5)であるのが一般的である(例えば、前記非特許文献1)。
拡散障壁層の面積率:10〜25%
拡散障壁層の面積率が10%未満の場合には、残留歪みが大きくなるため臨界電流密度Icとn値が低下することになる。特に、18Tを超えるような高い外部磁場においてその低下が著しくなる。また拡散障壁層の材質としてNbを用いるときには、Nb3Sn生成熱処理工程において、拡散障壁層全体がNb3Sn化する部位が発生することがあり、こうした事態になると、低い抵抗が必要となる安定化CuにまでSnが侵入し、抵抗の増大につながり、安定化材としての機能を発揮しなくなる。一方、拡散障壁層の面積率が25%を超える場合には、線材の伸線加工が困難となり、しばしば断線に至ることがある。拡散障壁層の面積率は、好ましくは10%以上、20%以下とするのが良い。
拡散障壁層の面積率が10%未満の場合には、残留歪みが大きくなるため臨界電流密度Icとn値が低下することになる。特に、18Tを超えるような高い外部磁場においてその低下が著しくなる。また拡散障壁層の材質としてNbを用いるときには、Nb3Sn生成熱処理工程において、拡散障壁層全体がNb3Sn化する部位が発生することがあり、こうした事態になると、低い抵抗が必要となる安定化CuにまでSnが侵入し、抵抗の増大につながり、安定化材としての機能を発揮しなくなる。一方、拡散障壁層の面積率が25%を超える場合には、線材の伸線加工が困難となり、しばしば断線に至ることがある。拡散障壁層の面積率は、好ましくは10%以上、20%以下とするのが良い。
尚、拡散障壁層は、従来では臨界電流密度の向上の観点から、できるだけ薄く形成するのが一般的であり、面積率ですれば通常3〜10%程度である。またCu基合金母材の外周に拡散衝撃層を形成するための具体的手段としては、(1)パイプ状に形成したNbまたはTa製の管状体にCu基合金母材を挿入するようにしてもよいが、Nb製シートまたはTa製シートをCu基合金母材表面に巻き付けるようにしても良い。
上記の規定からすれば、安定化Cuと拡散障壁層の合計面積率は20〜60%の範囲となるのであるが、全断面積当りの臨界電流という観点からすれば、この合計面積率は
30〜40%程度であることが好ましい。
30〜40%程度であることが好ましい。
またSn供給源となる「SnまたはSn基合金芯」は、Nb3Sn相を必要最小限形成するという観点からして、複合線材中の面積率で25%以上とすることが好ましく、過剰なSnを溶出させないという観点からして、面積率で35%以下であることが好ましい。
本発明においては、上記のような複合線材に対して伸線加工を行い、その後拡散熱処理を行うものであり、この熱処理温度は通常650℃以上750℃未満程度であるが、上記各面積率は複合線材の段階と熱処理後の超電導線材の段階では、ほぼ同一となる。
尚、内部拡散法に適用される複合線材の構成として、前記図2では、単芯(Snまたは合金芯が1本のもの)を示したが、こうした構成の単芯線を、更にCuマトリックス中に複数本配置して多芯線材の形で本発明を適用することも勿論可能である。但し、こうした多芯線材の構成を採用する場合にあっても、各複合線材における安定化Cuおよび拡散障壁層の面積率は上記規定範囲内とする必要がある。
本発明の複合線材において、このSnまたはSn基合金芯としては、純Sn芯が一般的に用いられるのであるが、特性向上のためにTi等を0.1〜20質量%含有させたSn基合金芯を用いても良い。また本発明の複合線材で用いるNb芯においても、同様の観点から、NbにHf,Ta,Ti,Zr等を0.1〜20質量%含有させたものと用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
外径:65mm、内径:58mmのCu管に、外径:58mmのNb−1質量%Ti合金棒を挿入し、この両端部を溶接によって封止し、押し出しビレットを作製した。このビレットを、650℃で静水圧押出しを行い、外径21mmまで加工し、その後冷間でダイス伸線加工することによって、対辺が2mmの断面六角形の線材(六角単芯線材)に加工した。
外径:65mm、内径:58mmのCu管に、外径:58mmのNb−1質量%Ti合金棒を挿入し、この両端部を溶接によって封止し、押し出しビレットを作製した。このビレットを、650℃で静水圧押出しを行い、外径21mmまで加工し、その後冷間でダイス伸線加工することによって、対辺が2mmの断面六角形の線材(六角単芯線材)に加工した。
得られた六角単芯線を所定の長さに切断して束ね、外径70mmのCu棒の周囲に、その厚さが均一となるように306本配置し、更にその周囲を厚さ0.2mmのNbシートまたはTaシートを所定の厚さとなるように巻き込んで拡散障壁層とした。続いて、種々の外径および内径のCu管(安定化Cu)に挿入した。その後、拡散障壁層の内側で六角単芯線材を束ねた層の空隙をCuのスペーサで埋めて、拡散衝撃層とCu棒の間の空間の充填率を増大させるようにした。
上記押し出しビレットを構成したときの安定化Cuと拡散障壁層の夫々における外径およびの内径を下記表1に示す(サンプルNo.1〜6)。
上記ビレットの先端部と後端部を電子ビーム溶接で取り付け、更に押し出しビレットとした。このビレットを、650℃で静水圧押出しを行い、外径39mmまで加工した。その後、中央に直径16.5mmの孔を開け、ほぼ同径のSn棒(Sn芯)を挿入して複合線材とした。この複合線材の各サンプルを、線径0.85mmまで伸線した。但し、サンプルNo.1のみ、直径10mmまで加工後、3分割し、1本を前述の如く0.85mmまで伸線し、1本を外径11mm、内径10mmのCu管に挿入し、0.94mmまで伸線した(試験No.1、7)。残りの1本は、外径12mm、内径10mmのCu管に挿入し、1.03mmまで伸線した(試験No.8)。この状態で、全てのサンプルが、Nb−1質量%Ti芯の直径が10μmとなるように仕上げたが、サンプル5については、3mmの線径の段階で、断線が発生し、0.85mmの最終線径まで伸線ができなかった(試験No.5)。尚、いずれのサンプルについても、伸線工程では中間層焼鈍は実施しなかった。
作製したサンプルの外径は、一部のサンプルでは大きくなっているが(試験No.7,8)、Nb拡散障壁層の面積は同じである。このようにして作製した各サンプルの構成(線材断面部材の面積率)を線径、Nb−1%Ti芯径および拡散障壁層材質と共に、下記表2に示す。
これらのサンプルを5cm程度ずつ取り出し、700℃で100時間のNb3Sn生成熱処理を施して、Nb3Sn超電導線材とした。得られたNb3Sn超電導線材について、外部磁場12T,18Tを印加した状態で臨界電流(温度4.2KでのIc)およびn値を測定した。それらの結果を、線材断面部材の面積率と共に、下記表3に示す。
この結果から明らかなように、本発明で規定する要件を満足するもの(試験No.1、2、4、6、7)では、良好な臨界電流(温度4.2KでのIc)およびn値が得られていることが分かる(表3中、評価「○」で示す)。
1 CuまたはCu基合金母材
2 SnまたはSn基合金芯
3 NbまたはNb基合金芯
4 拡散障壁層
5 安定化Cu
2 SnまたはSn基合金芯
3 NbまたはNb基合金芯
4 拡散障壁層
5 安定化Cu
Claims (3)
- CuまたはCu基合金母材に複数本のNbまたはNb基合金芯を埋設すると共に、その中央部にSnまたはSn基合金芯を配置した複合材の外周に、NbまたはTaからなる拡散障壁層、更にその外側に安定化Cuを配置して構成される複合線材を伸線加工した後、熱処理することによってSnを拡散させ、複合線材中のNbまたはNb基合金芯と反応させることによって製造される内部拡散法Nb3Sn超電導線材であって、前記複合線材の軸心に垂直な方向の断面に占める安定化Cuの面積率が10〜35%であると共に、拡散障壁層の面積率が10〜25%であることを特徴とする内部拡散法Nb3Sn超電導線材。
- 前記安定化Cuの面積率と拡散障壁層の面積率の合計が30〜40%である請求項1に記載の内部拡散法Nb3Sn超電導線材。
- 前記SnまたはSn基合金芯は複合線材断面中に占める面積率が25〜35%である請求項1または2に記載の内部拡散法Nb3Sn超電導線材。
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2006
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