JP2013219196A - 超電導コイル装置及びその製造方法 - Google Patents

超電導コイル装置及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013219196A
JP2013219196A JP2012088673A JP2012088673A JP2013219196A JP 2013219196 A JP2013219196 A JP 2013219196A JP 2012088673 A JP2012088673 A JP 2012088673A JP 2012088673 A JP2012088673 A JP 2012088673A JP 2013219196 A JP2013219196 A JP 2013219196A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
outer peripheral
peripheral frame
superconducting
coil
superconducting coil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012088673A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6005386B2 (ja
Inventor
Tomonori Watabe
智則 渡部
Shigeo Nagaya
重夫 長屋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chubu Electric Power Co Inc
Original Assignee
Chubu Electric Power Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chubu Electric Power Co Inc filed Critical Chubu Electric Power Co Inc
Priority to JP2012088673A priority Critical patent/JP6005386B2/ja
Publication of JP2013219196A publication Critical patent/JP2013219196A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6005386B2 publication Critical patent/JP6005386B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Abstract

【課題】電磁応力を受けたときに超電導コイルの変形を抑制することができ、超電導特性を良好に発揮することができる超電導コイル装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】テープ状の超電導線材13を巻回してシングルパンケーキコイル11Aが形成され、コイル11Aの外周には該コイル11Aの拡径を抑えるための外周枠14が配置されている。該外周枠14の一部は切欠かれ、切欠き部14aに電極15が装着されている。外周枠14の外周には電気絶縁性の保持リング17が配置され、外周枠14を締付けてコイル11Aに縮径方向の圧縮力を作用させるように構成されている。保持リング17は、外周枠14より径が小さくなるように形成され、その状態で加熱、膨張させて外周枠14の外周に配置し、冷却されることにより外周枠14を締付けてコイル11Aに縮径方向の圧縮力を作用させるようになっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば基板上に希土類系酸化物超電導体による超電導層を有するテープ状の超電導線材を巻回して形成され、超電導線材の変形によるひずみを抑えて、超電導特性を維持することができる超電導コイル装置及びその製造方法に関する。
希土類系酸化物超電導体を用いたテープ状の超電導線材を巻回してなる超電導パンケーキコイルは、高磁場マグネット等として好適に利用される。この高磁場マグネットにおいては、発生した高磁場に基づいて超電導線材のコイル径を拡げるように円周方向にフープ応力(電磁応力)が働く。このため、超電導パンケーキコイルにはそのフープ応力に耐え得る機械的強度が必要であるとともに、引張りや曲げなどの変形に対して許容できるひずみ量の大きいことが求められる。
この種の超電導コイルが例えば特許文献1に開示されている。すなわち、この超電導コイルは、内周面とフランジ側の平面とを有する巻枠と、該巻枠に巻き付けられた超電導体とを有し、巻枠と超電導体との間には絶縁材を具備するスペーサが配置されている。このスペーサは内周面に複数の絶縁材がシート状に積層され、フランジ側の平面には板状の絶縁材が配設されて構成されている。また、前記巻枠の外周面にはバインドを有し、該バインドと超電導体との間には絶縁材を具備するスペーサが配置されている。
特開2007−214466号公報
前述した特許文献1に記載されている従来構成の超電導コイルにおいては、前記バインドが巻枠に設けられた一対のフランジの外面間に架設されていることから、バインドが超電導コイルに対して縮径方向の圧縮力を直接働かせることはできなかった。このため、超電導コイルが使用時に電磁応力を受けて拡径しようとしたとき、バインドがその電磁応力を十分に受け止めることができず、超電導コイルが変形して超電導特性の低下を招くおそれがあった。また、超電導コイルが電磁応力によって変形すると、超電導コイルの端部に接続されている電極が剥れやすくなり、超電導コイルの性能が発現できなくなるおそれがあった。
そこで、本発明の目的とするところは、電磁応力を受けたときに超電導コイルの変形を抑制することができ、超電導特性を良好に発揮することができる超電導コイル装置及びその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の超電導コイル装置は、希土類系酸化物超電導体を有するテープ状の超電導線材を巻回して超電導コイルを形成し、超電導コイルの外周には該超電導コイルの拡径を抑えるための外周枠を設け、該外周枠の一部を切欠いてその切欠き部に電極を装着するとともに、前記外周枠の外周には電気絶縁性の保持リングを配置し、外周枠を締付けて超電導コイルに縮径方向の圧縮力を作用させるように構成したことを特徴とする。
請求項2に記載の発明の超電導コイル装置は、請求項1に係る発明において、前記電気絶縁性の保持リングは、電気絶縁性の被覆を施した金属テープを環状に形成して構成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明の超電導コイル装置は、請求項2に係る発明において、前記電気絶縁性の被覆を施した金属テープは、外周枠より径が小さくなるように環状に形成し、その状態で加熱して膨張状態で外周枠の外周に配置し、冷却されることにより外周枠を締付けて超電導コイルに縮径方向の圧縮力を作用させるように構成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明の超電導コイル装置は、請求項2又は請求項3に係る発明において、前記超電導線材は、基板上に希土類系酸化物超電導体による超電導層を形成したテープ状の超電導線材であり、前記金属テープは超電導線材の基板と同材料又は超電導線材の基板よりも熱膨張率の高い材料で形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明の超電導コイル装置の製造方法は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の超電導コイル装置の製造方法であって、前記超電導線材を巻回して超電導コイルを形成し、その外周には外周枠を設け、該外周枠の切欠き部に電極を装着し、電気絶縁性の保持リングを形成する電気絶縁性の被覆を施した金属テープを外周枠より径が小さくなるように巻き、金属テープの端部を固定して保持リングを形成し、該保持リングを加熱して膨張させ、その径を外周枠の径より大きくして外周枠の外周に配置した後冷却し、保持リングを縮径させ、外周枠を締付けて超電導コイルに縮径方向の圧縮力を作用させることを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明の超電導コイル装置では、超電導コイルの外周に外周枠が設けられ、該外周枠の切欠き部に電極が装着されるとともに、外周枠の外周には電気絶縁性の保持リングが配置されている。そして、この保持リングが外周枠を締付けて超電導コイルに縮径方向の圧縮力を作用させる。
このため、超電導コイルを例えば高磁場マグネット等として使用した場合、高磁場による電磁応力が超電導コイルに作用してコイルを拡げるように働いたとき、この応力が前記圧縮力により緩和される。すなわち、超電導線材に作用する電磁応力は、外周枠及び保持リングに分担して受承されて軽減される。従って、超電導コイルの機能は、電磁応力による影響が抑制されて良好に発揮される。
よって、本発明の超電導コイル装置によれば、電磁応力を受けたときに超電導コイルの変形を抑制することができ、超電導特性を良好に発揮することができるという効果を奏する。
本発明を具体化した第1実施形態の超電導コイル装置を示す図であって、(a)はシングルパンケーキコイルの外周に外周枠及び保持リングを配置した状態を示す概略横断面図、(b)はその超電導コイル装置を示す概略縦断面図、(c)は超電導コイル装置を示す要部拡大縦断面図。 テープ状の超電導線材を示す断面図。 その超電導コイル装置の製造工程を示す図であって、(a)は内周枠にテープ状の超電導線材を巻回した状態を示す概略横断面図、(b)はその超電導線材の外周に外周枠及び電極を配置する状態を示す概略横断面図。 超電導コイル装置の製造工程を示す図であって、(a)は外周枠よりも径の小さい金属テープのリングを示す平面図、(b)はそのリングを熱膨張させて外周枠の外側に配置した状態を示す断面図。 第2実施形態の超電導コイル装置を示す図であって、(a)はダブルパンケーキコイルの外周に外周枠及び保持リングを配置した状態を示す概略横断面図、(b)はその超電導コイル装置を示す概略縦断面図、(c)は超電導コイル装置を示す要部拡大縦断面図。 そのダブルパンケーキコイルの製造工程を示す図であって、内周枠の周囲にテープ状の超電導線材を巻回し始めた状態を示す斜視図。 図6の状態から、さらに超電導線材を巻回した状態を示す部分縦断面図。 図7の状態から、超電導線材の外周に外周枠を配置した後、超電導線材の上部にパラフィンのモールド層を形成した状態を示す部分縦断面図。 本発明の別例としての超電導線材を示す断面図。
(第1実施形態)
以下、本発明の超電導コイル装置をシングルパンケーキコイルで形成した第1実施形態に関し、図1〜図4に基づいて詳細に説明する。
図1(a)〜(c)に示すように、超電導コイル装置10を構成する超電導コイルとしてのシングルパンケーキコイル11A(以下、単にコイルともいう)は、円筒状の内周枠12の周囲にテープ状の超電導線材13が巻回されて形成されている。このコイル11Aの外周には、円筒状をなす外周枠14が配置されている。該外周枠14はその一部が切欠かれ、その切欠き部14aに一対の電極15が設けられている。一方の電極15は巻回された超電導線材13の外周端に接続され、他方の電極15は超電導線材13の内周端に図示しないリード線を介して接続されている。コイル11Aの外周に外周枠14を設けることにより、コイル11Aが高磁場によるフープ応力(電磁応力)を受けたときに、そのコイルの拡径を抑えるようになっている。
前記外周枠14の外周には、電気絶縁性の被覆を施した金属テープ16が巻き付けられ、円環状に固定されて形成された保持リング17が配置されている。保持リング17の幅(高さ)は、外周枠14の幅と同一に設定されている。この保持リング17により、外周枠14を介してコイル11Aに縮径方向の圧縮力を作用させるように構成されている。
図2に示すように、前記テープ状の超電導線材13は、基板18上に中間層19を介して超電導層20が形成され、その超電導層20上に第1安定化層21が形成されるとともに、それらの外周部に第2安定化層22が被覆されて構成されている。前記基板18は、ニッケル合金(ハステロイ)、銀、銀合金等の金属により、例えば厚さ100μm、幅10mmに形成されている。なお、ハステロイは、ニッケルを主成分とし、クロム、モリブデン等を含む合金で、耐熱性、機械的強度等が良好である。中間層19は、ガドリニウム・ジルコニウム酸化物(Gd・Zr酸化物)、酸化マグネシウム(MgO)、イットリウム安定化ジルコニウム(YSZ)、バリウム・ジルコニウム酸化物(Ba・Zr酸化物)、酸化セリウム(CeO)等の化合物により、例えば厚さ500nm、幅10mmに形成されている。
超電導層20は、希土類系酸化物超電導体のCVD法(化学蒸着法)により、例えば厚さ約1μm、幅10mmに形成されている。希土類元素としては、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)等が挙げられる。希土類系酸化物としては、RE・Ba・Cu・O等が挙げられる。但し、REは希土類元素を表す。この超電導層20として具体的には、イットリウム・バリウム・銅酸化物(Y・Ba・Cu酸化物)、ランタン・バリウム・銅酸化物(La・Ba・Cu酸化物)等が挙げられる。
第1安定化層21は、銀等の金属のスパッタリング等により、例えば厚さ約15μm、幅10mmに形成されている。第2安定化層22は、銅等の金属のメッキ等により、例えば厚さ約50μmに形成されている。
前記外周枠14は、繊維強化樹脂又は電気絶縁性の被覆が施された金属により形成されている。繊維強化樹脂(FRP)としては、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)、炭素繊維強化樹脂(CFRP)等が用いられる。電気絶縁性の被覆が施された金属としては、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン樹脂)等の合成樹脂が被覆されたステンレス鋼等が用いられる。
図1(c)に示すように、前記コイル11Aの上部には、パラフィン、ワックス等のモールド材によるモールド層23が形成されている。このモールド材は、シングルパンケーキコイル11Aを液体ヘリウム、液体窒素等で冷却する際に超電導線材13が損傷を受けないように保護するための低強度の材料である。すなわち、冷却時にはモールド層23が冷却による応力を受け止め、場合によっては自らが壊れることにより、超電導線材13を保護するようになっている。
前記テープ状の超電導線材13をコイル状に巻回する際には、超電導線材13は超電導層20が内周側で基板18が外周側に位置するように配置される。超電導層20を内周側に配置することにより、超電導層20の円弧が基板18の外周側の円弧に比べて小さくなることから、圧縮ひずみが大きくなり、コイル11Aがフープ応力を受けたときに及ぼされる引張りひずみが緩和され、フープ応力に対する抵抗性が大きくなるため好ましい。
前記金属テープ16を構成する金属としては、超電導線材13の基板18と同材料又は基板18を形成する材料よりも熱膨張率の高い金属が好適に用いられる。そのような金属として具体的には、ニッケル合金(ハステロイ)、アルミニウム合金等が挙げられる。ニッケル合金の熱膨張率は10×10−6〜11×10−6/℃、アルミニウム合金の熱膨張率は23×10−6〜24×10−6/℃である。前記基板18を形成する銀の熱膨張率は19×10−6/℃である。また、該金属の電気絶縁性被覆は、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン樹脂)等の耐熱性(200℃以上の耐熱性)を有する電気絶縁性の合成樹脂を用いて行われる。
保持リング17を外周枠14の外周に配置する場合には、まず電気絶縁性の被覆が施された金属テープ16を外周枠14の外径より小さい円形に巻いて、その状態でエポキシ樹脂接着剤等の接着剤により少なくとも金属テープ16の両端部が移動しないように接合して円環状の保持リング17を形成する。この金属テープ16の接合は、金属テープ16にエポキシ樹脂を含浸させて接着する方法等により行うこともできる。得られた保持リング17を加熱膨張させて、保持リング17の内径が外周枠14の外径よりも大きくなるように拡径し、拡径した状態で外周枠14の外側に配置することができる。その後、保持リング17が冷却すると、外周枠14を介してコイル11Aに締付力を作用させるようになっている。
次に、前記超電導コイル装置10の製造方法について説明する。
図3(a)に示すように、まず円筒状に形成された内周枠12の外周に、テープ状の超電導線材13をその一端から所定の巻数で巻回してコイル11Aを形成する。続いて、図3(b)に示すように、超電導線材13のコイル11Aの外周に外周枠14を配置してコイル11Aを形成する。この場合、コイル11Aの外周面と外周枠14の内周面との間に若干の隙間が形成されていてもよい。そして、前記外周枠14の切欠き部14aに電極15を挿着し、コイル11Aの組立体を形成する。この状態で、コイル11Aの組立体をパラフィン溶湯に浸漬し、脱気した後、冷却してモールド層23を形成する。
一方、図4(a)に示すように、電気絶縁性の被覆が施された金属テープ16を所定回数巻いてその両端部が動かないようにエポキシ樹脂接着剤により接着して円環状の保持リング17を形成する。その保持リング17の内径は、外周枠14の外径よりも小さくなるように設定する。その後、図4(b)に示すように、当該保持リング17を200℃程度に加熱して金属テープ16を熱膨張させ、保持リング17の内径が外周枠14の外径よりも大きくなるようにし、その膨張状態で保持リング17を外周枠14の外側に配置する。その後、図1(a)に示すように、保持リング17が冷却するに伴って金属テープ16が収縮し、外周枠14を締付ける。
次に、上記のように構成された超電導コイル装置10について作用を説明する。
さて、本実施形態の超電導コイル装置10を高磁場マグネット等として使用する場合には、コイル11Aに通電して発生した高磁場に基づいてコイル11Aの接線方向(周方向)にフープ応力(引張応力)が作用し、そのフープ応力がコイル11Aを拡げるように働く。この場合、コイル11Aの外周部には外周枠14が配置され、その外周枠14には保持リング17が外嵌されていることから、フープ応力が外周枠14と保持リング17とに分担して受け止められる。
さらに、保持リング17により、外周枠14を介してコイル11Aに縮径方向の圧縮力が作用していることから、その圧縮力がフープ応力に対抗して均衡が保たれ、コイル11Aの変形が抑えられる。このため、コイル11Aにフープ応力が作用して拡径しようとする力が働いても、その応力が超電導線材13に及ぶことを抑制することができる。
その結果、超電導線材13の引張ひずみを限界ひずみ量(不可逆ひずみ量、0.7%程度)よりも小さくすることができ、通電特性を維持することができる。言い換えれば、コイル11Aはその形状を保持することができ、フープ応力の影響を極力回避することができ、超電導特性を良好に発揮することができる。
以上詳述した第1実施形態によって得られる効果を以下にまとめて記載する。
(1)この第1実施形態の超電導コイル装置10においては、テープ状の超電導線材13が巻回されたシングルパンケーキコイル11Aの外周には外周枠14が配置され、該外周枠14には保持リング17が外嵌されている。この保持リング17は外周枠14を締付けてコイル11Aに縮径方向の圧縮力を作用させるようになっている。
このため、コイル11Aを例えば高磁場マグネット等として使用した場合、高磁場による電磁応力がコイル11Aに作用して該コイル11Aを拡径するように働いたとき、この応力が前記圧縮力により緩和される。従って、超電導線材13に作用する電磁応力は外周枠14及び保持リング17に分担して受承されて軽減され、コイル11Aは電磁応力の影響を受けることが極力回避され、その機能が良好に発揮される。
よって、第1実施形態の超電導コイル装置10によれば、電磁応力を受けたときにシングルパンケーキコイル11Aの変形を抑制することができ、超電導特性を良好に発揮することができるという優れた効果を奏する。
(2)前記電気絶縁性の保持リング17は、電気絶縁性の被覆を施した金属テープ16を巻いて環状に構成されている。このため、保持リング17を簡単に構成することができるとともに、保持リング17の径を容易に設定することができる。
(3)前記電気絶縁性の被覆を施した金属テープ16は、外周枠14より径が小さくなるように環状に形成し、その状態で加熱して膨張状態で外周枠14の外周に配置し、冷却されることにより外周枠14を締付けてコイル11Aに縮径方向の圧縮力を作用させるように構成されている。従って、金属テープ16の材質及び保持リング17の径を設定することにより、外周枠14を介してコイル11Aを締付けるための保持リング17の圧縮力を容易に調整することができる。
(4)前記超電導線材13は、基板18上に希土類系酸化物超電導体による超電導層20を形成したテープ状の超電導線材13であり、前記金属テープ16は超電導線材13の基板18と同材料又は超電導線材13の基板18よりも熱膨張率の高い材料で形成されている。そのため、熱膨張した金属テープ16の冷却に基づく収縮力により、コイル11Aにその中心方向へ向かう圧縮力を働かせることができる。
(5)超電導コイル装置10の製造方法では、金属テープ16を外周枠14より径が小さくなるように巻き、その端部を固定して保持リング17を形成し、該保持リング17を加熱、膨張させ、その径を外周枠14の径より大きくして外周枠14の外周に配置した後冷却する。この製造方法によれば、簡単な操作により保持リング17が外周枠14を締付けてコイル11Aに縮径方向の圧縮力を作用させることができ、超電導コイル装置10を効率良く製造することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の超電導コイル装置10をダブルパンケーキコイルで形成した第2実施形態に関し、図5〜図8に基づいて詳細に説明する。なお、この第2実施形態では、主に前記第1実施形態と相違する部分について説明し、重複する部分について説明を省略する。
図5(a)〜(c)に示すように、超電導コイルとしてのダブルパンケーキコイル11Bは、内周枠12の外周に超電導線材13が巻回されて形成されたコイル11Bが中間規制枠24を介して上下2段に積層されている。各段のコイル11Bの外周にはそれぞれ外周枠14が配置されている。下段のコイル11Bにおいては、その下部にパラフィン等のモールド材によるモールド層23が形成されるとともに、上段のコイル11Bにおいては、その上部に同様のモールド層23が形成されている。上下の各外周枠14の外周には、それぞれ電気絶縁性の被覆が施された金属テープ16により形成された保持リング17が配置されている。
次に、この超電導コイル装置10の製造方法について説明する。
図6に示すように、中間規制枠24が連結された内周枠12に対し、1本のテープ状をなす超電導線材13の中央部を中心にして上下2段に反対方向に巻き付ける。すなわち、上段のコイル11Bは上方から見て反時計方向に巻回し、下段のコイル11Bは上方から見て時計方向に巻回する。なお、中間規制枠24には図示しない貫通孔が設けられ、その貫通孔を超電導線材13が通るようになっている。また、内周枠12に対する超電導線材13の巻き付け方向は、上記とは逆方向であってもよい。
そして、図7に示すように、各段において超電導線材13を所定方向へ巻回することにより、中間規制枠24の上下両面にコイル11Bが形成される。続いて、図8に示すように、各段のコイル11Bの外周にそれぞれ外周枠14を配置してコイル11Bの組立体を形成する。次いで、コイル11Bの組立体をパラフィン溶湯に浸漬し、脱気した後、冷却して各コイル11Bの上部及び下部の空間部にモールド層23を形成する。
その後、図5(c)に示すように、上段及び下段の外周枠14に第1実施形態と同様にして、それぞれ金属テープ16による保持リング17を外嵌する。このようにして、超電導コイル装置10を得ることができる。
次に、以上のように構成された超電導コイル装置10の作用を説明する。
さて、第2実施形態の超電導コイル装置10を高磁場マグネット等として用いる場合には、発生する高磁場に基づいてコイル11Bを拡げる方向にフープ応力が作用する。このとき、上下のコイル11Bの外周部にはそれぞれ外周枠14及び保持リング17が配置されていることから、フープ応力は外周枠14と保持リング17とに分担して受け止められる。
さらに、上下の外周枠14にはそれぞれ保持リング17が外嵌され、その保持リング17によりコイル11Bの径方向内側への圧縮力が作用していることから、各コイル11Bにフープ応力が作用して拡径力が働いても、その拡径力が前記圧縮力で緩和され、超電導線材13に拡径力が及ぶことを抑制することができる。従って、ダブルパンケーキコイル11Bはその形状を保持することができ、フープ応力の影響を極力軽減できて、優れた超電導特性を発揮することができる。
ここで、上記のダブルパンケーキコイル11Bを用いた超電導コイル装置10に関し、通電特性の試験を行った結果について説明する。
温度4.2K(液体ヘリウム中)、磁束密度8Tの外部磁場中で、ダブルパンケーキコイル11B(超電導線材13の長さは50m)に17A/秒の電流を総電流量が1500Aに到るまで通電を行った。このとき、コイル11Bに電磁誘導で発生する電圧は40mV程度であった。この外部磁場中では、コイル11Bには2GPa以上のフープ応力が作用した。
この状態において、コイル11Bに流れるコイル電流(A)とコイル電圧(mV)の変化を常法に従って測定したところ、コイル電圧には限界電流を超える電圧(5mVの電圧が発生したときの電流値が限界電流)は観察されず、良好な通電特性が得られた。加えて、上記通電特性の試験を繰り返してもコイル11Bに劣化は認められなかった。
また、ひずみゲージを用いて超電導線材13のひずみ量を測定した結果、ひずみ量は超電導線材13の限界ひずみ量である0.7%を下回っていた。上記通電特性の試験を複数回繰り返しても超電導線材13のひずみ量は限界ひずみ量を下回っていた。従って、超電導コイル装置10は優れた超電導特性を維持できることが確認された。
なお、前記各実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記テープ状の超電導線材13として、図9に示すような構成の超電導線材13を用いてもよい。すなわち、この超電導線材13は、ビスマス系酸化物の超電導体25が銀(Ag)のシース26中に分散された構造を有している。
・ 前記両実施形態において、コイル11A、11Bの上部及び下部の少なくとも一方に、外周枠14及び内周枠12にボルトや接着剤で連結固定される上部規制枠又は下部規制枠を設け、フープ応力による外周枠14の移動(拡径)を一層有効に抑制するように構成してもよい。
・ 前記両実施形態におけるコイル11A、11Bの内周枠12を取り外して超電導コイル装置10を構成してもよい。
・ 前記第2実施形態において、内周枠12及び外周枠14の少なくとも一方を、上段と下段で一体となるように構成してもよい。その場合、中間規制枠24は内周枠12又は外周枠14の分だけ径方向に幅狭に形成される。
・ 前記保持リング17は、その一部を切欠いてCリング状に構成してもよい。この場合、Cリングの内径を外周枠14の外径よりも小さくなるように設定し、拡径させて外周枠14に外嵌することにより、外周枠14を介してコイル11A、11Bに圧縮力を作用させることができる。
10…超電導コイル装置、11A…超電導コイルとしてのシングルパンケーキコイル、11B…超電導コイルとしてのダブルパンケーキコイル、13…超電導線材、14…外周枠、14a…切欠き部、15…電極、16…金属テープ、17…保持リング、18…基板、20…超電導層。

Claims (5)

  1. 希土類系酸化物超電導体を有するテープ状の超電導線材を巻回して超電導コイルを形成し、超電導コイルの外周には該超電導コイルの拡径を抑えるための外周枠を設け、該外周枠の一部を切欠いてその切欠き部に電極を装着するとともに、前記外周枠の外周には電気絶縁性の保持リングを配置し、外周枠を締付けて超電導コイルに縮径方向の圧縮力を作用させるように構成したことを特徴とする超電導コイル装置。
  2. 前記電気絶縁性の保持リングは、電気絶縁性の被覆を施した金属テープを環状に形成して構成されていることを特徴とする請求項1に記載の超電導コイル装置。
  3. 前記電気絶縁性の被覆を施した金属テープは、外周枠より径が小さくなるように環状に形成し、その状態で加熱して膨張状態で外周枠の外周に配置し、冷却されることにより外周枠を締付けて超電導コイルに縮径方向の圧縮力を作用させるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の超電導コイル装置。
  4. 前記超電導線材は、基板上に希土類系酸化物超電導体による超電導層を形成したテープ状の超電導線材であり、前記金属テープは超電導線材の基板と同材料又は超電導線材の基板よりも熱膨張率の高い材料で形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の超電導コイル装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の超電導コイル装置の製造方法であって、
    前記超電導線材を巻回して超電導コイルを形成し、その外周には外周枠を設け、該外周枠の切欠き部に電極を装着し、電気絶縁性の保持リングを形成する電気絶縁性の被覆を施した金属テープを外周枠より径が小さくなるように巻き、金属テープの端部を固定して保持リングを形成し、該保持リングを加熱して膨張させ、その径を外周枠の径より大きくして外周枠の外周に配置した後冷却し、保持リングを縮径させ、外周枠を締付けて超電導コイルに縮径方向の圧縮力を作用させることを特徴とする超電導コイル装置の製造方法。
JP2012088673A 2012-04-09 2012-04-09 超電導コイル装置及びその製造方法 Active JP6005386B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012088673A JP6005386B2 (ja) 2012-04-09 2012-04-09 超電導コイル装置及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012088673A JP6005386B2 (ja) 2012-04-09 2012-04-09 超電導コイル装置及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013219196A true JP2013219196A (ja) 2013-10-24
JP6005386B2 JP6005386B2 (ja) 2016-10-12

Family

ID=49590972

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012088673A Active JP6005386B2 (ja) 2012-04-09 2012-04-09 超電導コイル装置及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6005386B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016092152A (ja) * 2014-10-31 2016-05-23 中部電力株式会社 超電導コイルの保護装置及び保護方法
WO2016092882A1 (ja) * 2014-12-09 2016-06-16 三菱電機株式会社 ダブルパンケーキコイル位置出し部材、超電導電磁石装置の製造方法及び超電導電磁石装置
JP2020202316A (ja) * 2019-06-11 2020-12-17 株式会社日立製作所 ワインド&リアクト型超電導コイル、ワインド&リアクト型超電導コイルの製造方法、超電導電磁石装置

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111243823A (zh) * 2020-03-23 2020-06-05 北京交通大学 一种防爬电的饼式线圈绝缘支撑架

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS49123597A (ja) * 1973-03-30 1974-11-26
JPS58142912U (ja) * 1982-03-18 1983-09-27 住友電気工業株式会社 超電導マグネツトの最外部補強層
JPS60177602A (ja) * 1984-02-24 1985-09-11 Hitachi Ltd 超電導コイルの製作方法
JPH03241706A (ja) * 1990-02-20 1991-10-28 Sumitomo Heavy Ind Ltd 超電導コイルの製造方法
JPH07130531A (ja) * 1993-10-29 1995-05-19 Toshiba Corp 超電導コイルの製造方法
JP2008071789A (ja) * 2006-09-12 2008-03-27 Kobe Steel Ltd 超電導コイル
JP2009043912A (ja) * 2007-08-08 2009-02-26 Kobe Steel Ltd 超電導コイル
JP2010267887A (ja) * 2009-05-15 2010-11-25 Toshiba Corp 高温超電導パンケーキコイルおよび高温超電導コイル

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS49123597A (ja) * 1973-03-30 1974-11-26
JPS58142912U (ja) * 1982-03-18 1983-09-27 住友電気工業株式会社 超電導マグネツトの最外部補強層
JPS60177602A (ja) * 1984-02-24 1985-09-11 Hitachi Ltd 超電導コイルの製作方法
JPH03241706A (ja) * 1990-02-20 1991-10-28 Sumitomo Heavy Ind Ltd 超電導コイルの製造方法
JPH07130531A (ja) * 1993-10-29 1995-05-19 Toshiba Corp 超電導コイルの製造方法
JP2008071789A (ja) * 2006-09-12 2008-03-27 Kobe Steel Ltd 超電導コイル
JP2009043912A (ja) * 2007-08-08 2009-02-26 Kobe Steel Ltd 超電導コイル
JP2010267887A (ja) * 2009-05-15 2010-11-25 Toshiba Corp 高温超電導パンケーキコイルおよび高温超電導コイル

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016092152A (ja) * 2014-10-31 2016-05-23 中部電力株式会社 超電導コイルの保護装置及び保護方法
WO2016092882A1 (ja) * 2014-12-09 2016-06-16 三菱電機株式会社 ダブルパンケーキコイル位置出し部材、超電導電磁石装置の製造方法及び超電導電磁石装置
JPWO2016092882A1 (ja) * 2014-12-09 2017-04-27 三菱電機株式会社 ダブルパンケーキコイル位置出し部材、超電導電磁石装置の製造方法及び超電導電磁石装置
JP2020202316A (ja) * 2019-06-11 2020-12-17 株式会社日立製作所 ワインド&リアクト型超電導コイル、ワインド&リアクト型超電導コイルの製造方法、超電導電磁石装置
JP7214575B2 (ja) 2019-06-11 2023-01-30 株式会社日立製作所 ワインド&リアクト型超電導コイル、ワインド&リアクト型超電導コイルの製造方法、超電導電磁石装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP6005386B2 (ja) 2016-10-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5259487B2 (ja) 超電導コイル
JP5921940B2 (ja) 超電導コイルの伝導冷却板及び超電導コイル装置
JP5525876B2 (ja) 絶縁被覆酸化物超電導線材および樹脂含浸超電導コイル
JP5342749B2 (ja) 高温超電導コイル
JP4743150B2 (ja) 超電導コイルおよびそれに用いる超電導導体
JP6725001B2 (ja) 超電導線材および超電導コイル
WO2018181561A1 (ja) 接続構造体
JP6005386B2 (ja) 超電導コイル装置及びその製造方法
JP2009188109A (ja) 超電導コイル及びその製造方法
JP2010113919A (ja) 超電導テープ線材及びその製造方法並びに超電導コイル
JP2010267887A (ja) 高温超電導パンケーキコイルおよび高温超電導コイル
JP5771751B2 (ja) 高温超電導コイルおよび超電導機器
JP5022279B2 (ja) 酸化物超電導電流リード
JP6035050B2 (ja) 超電導コイル装置及びその製造方法
JPWO2020066907A1 (ja) 絶縁被覆化合物超電導線およびその巻替え方法
JP2015028912A (ja) 超電導線材及びそれを用いた超電導コイル
JP6738720B2 (ja) 超電導線材の接続構造
JP2014165383A (ja) 超電導コイル及びその製造方法
JP2014013877A (ja) 超電導パンケーキコイル及びその製造方法
JP2009188108A (ja) 超電導コイル及びその製造方法
JP2013246881A (ja) 超電導線材の絶縁被覆構造
JP2011108918A (ja) 超電導コイル
JP6005428B2 (ja) 超電導コイル及び超電導コイル装置
WO2020067335A1 (ja) 酸化物超電導コイルおよびその製造方法
US11705253B2 (en) Superconducting wire and superconducting coil

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140423

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150220

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160202

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160314

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160405

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160516

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160830

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160907

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6005386

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250