JP2011066309A - 超電導コイルおよびその運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】クエンチを抑えることが可能な超電導コイルを提供する。
【解決手段】この超電導コイル1は、ソレノイド状にかつ径方向に複数層に亘って積層されるように巻回された超電導線材からなるコイル部20と、このコイル部20の互いに径方向に隣り合う層間にコイル部20と同心に設けられる筒状のスペーサ30とを備えている。スペーサ30は、超電導線材の線膨張率よりも大きい線膨張率のアルミニウムからなる。また、スペーサ30は、含浸後に所定の運転温度まで冷却される間に当該スペーサ30とこのスペーサ30の外周に隣接する超電導線材とを剥離させるだけの熱収縮量を有するような径方向の厚みに形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、超電導コイルおよびその運転方法に関する。
従来、超電導線材をソレノイド状にかつ径方向に複数層となるように巻回してなるコイル部を備えた超電導コイルが知られている。
この超電導コイルでは、巻線後に当該超電導コイルを含浸材に含浸することで、励磁運転中の超電導線材の微小変位を抑制している。
また、上記超電導コイルでは、コイル部の互いに径方向に隣り合う層間に筒状のスペーサを設ける場合がある。
例えば、線径が互いに異なる複数種類の超電導線材を用いて形成される超電導コイルでは、径方向外側の超電導線材を内側の俵積み状態の超電導線材に影響されることなく軸方向に密に巻回する目的で、異なる線径の超電導線材間にスペーサを設けることがある。
また、特許文献1のように、コイル部の放熱性を高めて超電導線材が微小変位した時の当該コイル部の温度上昇を抑制することによりクエンチを抑える目的で、高い吸熱性を有する材料からなるスペーサを層間に設けることがある。
特開平11−135318号公報
上記超電導コイルでは、冷却後の励磁運転の際に、超電導線材に作用する電磁力等によってスペーサとこのスペーサの外側の超電導線材とが剥離し、その剥離に起因してクエンチが発生する。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、クエンチを抑えることが可能な超電導コイルおよびその運転方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に記載の超電導コイルは、ソレノイド状にかつ径方向に複数層に亘って積層されるように巻回された超電導線材からなるコイル部と、このコイル部の互いに径方向に隣り合う層間に前記コイル部と同心に設けられる筒状のスペーサとを備え、巻線状態で含浸材に含浸される超電導コイルであって、前記スペーサは、前記超電導線材の線膨張率よりも大きい線膨張率の材料からなるとともに、含浸後に所定の運転温度まで冷却される間に当該スペーサとこのスペーサの外周に隣接する超電導線材とを剥離させるだけの熱収縮量を有するような径方向の厚みをもつことを特徴とする。
この請求項1に記載の超電導コイルでは、上記のように材料および厚みが設定されたスペーサをコイル部の径方向に隣り合う層間に設けたので、励磁運転前の冷却中に、スペーサとこのスペーサの外周に隣接する超電導線材とを接着している含浸材に割れが発生して両者が剥離する。ここで、一度割れた含浸材は再接着しないことから、励磁運転中に両者が剥離することがなくなる。その結果、クエンチが抑えられる。
請求項2に記載の超電導コイルは、請求項1に記載の超電導コイルにおいて、前記スペーサは、アルミニウムからなることを特徴とする。
このように、比較的大きい線膨張率を有するアルミニウムからなるスペーサを設けることによって、スペーサとその外側の超電導線材とを容易に剥離させることができる。
また、アルミニウムからなるスペーサは例えば樹脂シートからなるスペーサに比べて厚みを確保しやすいので、これによっても両者を容易に剥離させることができる。
さらに、所定の厚みを確保すべく前記樹脂シートを多数積層してスペーサを形成する作業を行う場合に比べて、スペーサの形成作業が容易である。
また、高い放熱性をもつアルミニウムからなるスペーサを設けることによって、コイル部の放熱性が高まるので、クエンチが抑えられる。
請求項3に記載の超電導コイルは、請求項1または2に記載の超電導コイルにおいて、前記スペーサは、線材がソレノイド状に巻回されて形成されていることを特徴とする。
このように、線材をソレノイド状に巻回してスペーサを形成すれば、当該スペーサに必要な所望の厚みを容易に確保することができるようになる。
請求項4に記載の超電導コイルは、請求項1または2に記載の超電導コイルにおいて、前記スペーサは、周方向に連続する複数の円弧状部材を周方向で連結することにより形成されていることを特徴とする。
このような複数の円弧状部材を連結して形成されるスペーサを用いれば、スペーサの形成時に巻線作業を伴わない。
また、本発明の請求項5に記載の超電導コイルの運転方法は、超電導コイルを含浸材に含浸した後、所定の運転温度まで冷却し、その冷却後に励磁運転する超電導コイルの運転方法であって、超電導線材をソレノイド状にかつ径方向に複数層に亘って積層されるように巻回してコイル部を形成するとともに、そのコイル部の互いに径方向に隣り合う層間に、前記超電導線材の線膨張率よりも大きい線膨張率の材料からなるとともに、含浸後の冷却中に当該スペーサとこのスペーサの外周に隣接する超電導線材とを剥離させるだけの熱収縮量を有するような径方向の厚みをもつ筒状のスペーサを前記コイル部と同心に設けることで超電導コイルを形成する工程と、前記冷却中に前記スペーサの径方向の熱収縮によってこのスペーサと超電導線材とを剥離させる工程と、前記スペーサと前記超電導線材とが剥離した状態で前記超電導コイルを励磁運転する工程とを備えることを特徴とする。
この請求項5に記載の超電導コイルの運転方法によれば、冷却中にスペーサとこのスペーサの外周に隣接する超電導線材とを当該スペーサの径方向の熱収縮によって剥離させ、それらが剥離した状態で超電導コイルを励磁運転する。ここで、一度割れた含浸材は再接着しないことから、励磁運転中に両者が剥離することがなくなる。その結果、クエンチが抑えられる。
本発明の超電導コイルおよびその運転方法によれば、冷却中にスペーサとこのスペーサの外周に隣接する超電導線材とを当該スペーサの径方向の熱収縮によって剥離させ、それらが剥離した状態で超電導コイルを励磁運転することができるので、励磁運転中に両者が剥離することがなくなる。その結果、クエンチを抑えることができる。
本発明の一実施形態による超電導コイルの構成を示した正面断面図である。 運転温度まで冷却された状態の超電導コイルの正面断面図である。 スペーサの正面断面図である。 他の構成のスペーサの斜視図である。 スペーサと外側コイル体との間の面圧を求めるために用いられるモデルコイルの断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態による超電導コイルの構成を示した正面断面図である。また、図2は、冷却状態の超電導コイルの正面断面図である。また、図3および図4は、スペーサの構成例を示した図である。まず、本発明の一実施形態による超電導コイル1の構成について説明する。
本実施形態の超電導コイル1は、所定の運転温度(約4K)まで冷却された状態で励磁されることにより高磁場を発生するように構成されている。
この超電導コイル1は、図1に示すように、巻枠10と、コイル部20と、本発明に係るスペーサ30とを備えている。なお、図中の符号Rは当該超電導コイル1の軸心を示している。
また、超電導コイル1は、冷却前に巻線状態でエポキシ等の含浸材に含浸されるようになっている。これにより、コイル部20を構成する超電導線材が励磁運転中に微小変位することが抑えられる。
巻枠10は、円筒状の外周面を有する胴部11と、この胴部11の軸方向両端から径外方向に延びる一対のフランジ部12とを含んでいる。前記一対のフランジ部12に挟まれる領域で胴部11の周囲にコイル部20が形成される。
コイル部20は、内側コイル体21と、この内側コイル体21の径方向外側に設けられる外側コイル体22とを含んでいる。
内側コイル体21は、断面円形状の超電導線材40を、ソレノイド状にかつ径方向に俵積み状態で複数層(図1では3層)に亘って積層されるように、胴部11の外周に巻回することにより形成されている。
外側コイル体22は、前記超電導線材40の線径よりも小さい線径の断面円形状の超電導線材50を、ソレノイド状にかつ径方向に俵積み状態で複数層(図1では3層)に亘って積層されるように、後述のスペーサ30の外周に巻回することにより形成されている。
なお、超電導線材40,50は、張力を付与されながら巻回されるため、胴部11と内側コイル体21との間、および、スペーサ30と外側コイル体22との間には、巻線時に面圧が既に発生している。
そして、上記のように線径の異なる複数種類(本実施形態では2種類)の超電導線材40,50を用いてコイル部20を形成することによって、当該コイル1のサイズを変化させることなく巻線回数を増やすことができるという効果がある。
なお、超電導線材40,50の材料としては、例えばNbTiやNbSnが挙げられる。
スペーサ30は、内側コイル体21と外側コイル体22との間に設けられている。
ここで、本実施形態のスペーサ30は、アルミニウムにより形成されている。このようにスペーサ30の材料としてアルミニウムを用いることによって、当該スペーサ30の線膨張率が前記外側コイル体22の線膨張率よりも十分に大きくなる。従って、冷却時には、スペーサ30とこのスペーサ30の外周に隣接する外側コイル体22との間の面圧が減少するように、両者間に互いに離間する方向の引っ張り応力が作用する。
なお、スペーサ30の材料としては、アルミニウム以外に、ポリテトラフルオロエチレンやナイロン等の上記超電導線材40,50の材料であるNbTiやNbSnよりも大きい線膨張率を有する樹脂材料が挙げられる。
また、本実施形態のスペーサ30は、含浸後に運転温度まで冷却される間に前記引っ張り応力が含浸材の接着力(接着強度)を上回って当該スペーサ30と外側コイル体22とを剥離させるだけの熱収縮量を有するような径方向の厚みをもっている。
このため、当該超電導コイル1を運転温度まで冷却した状態では、図2に示すように、スペーサ30の外周部30aと外側コイル体22の内周部22aとが互いに離間して剥離部分dが形成されるようになる。
また、このような材料および厚みのスペーサ30であれば、比較的大きな剛性を有している。従って、超電導線材50を、内側コイル体21の俵積み状態の超電導線材40の影響を受けることなく、容易に、スペーサ30の外周に軸方向に密に巻回することができる。
以下、本発明に係るスペーサ30の具体的な構成例を挙げる。
図3に示すスペーサ30は、断面矩形状のアルミニウム線60がソレノイド状にかつ径方向に複数層(図3では2層)となるように巻回されることにより形成されている。
ところで、従来から、コイル部の保護のために当該コイル部の外周に巻回されるバインド線として、断面矩形状のアルミニウム線が好適に用いられている。従って、上記のように、断面矩形状のアルミニウム線60でスペーサ30を形成するようにすれば、バインド線をスペーサ30の形成に利用することができるので、スペーサ30用の線材を別途用意する必要がない。
また、断面矩形状のアルミニウム線60を径方向に複数層となるように巻回してスペーサ30を形成することによって、当該スペーサ30に必要な所望の厚みを容易に確保することができる。
なお、丸型のアルミニウム線をソレノイド状に巻回することにより形成されたスペーサであってもよい。
また、図4に示すスペーサ30は、アルミニウムからなる一対の半円筒状部材71,72と、これらの半円筒状部材71,72を互いの円弧端縁が付き合う姿勢で連結する2つの連結部材73とで構成されている。連結部材73は、例えばボルトおよびナットから構成されている。なお、半円筒状部材71,72は、本発明の「円弧状部材」の一例である。
このような一対の半円筒状部材71,72を連結して形成されるスペーサ30を用いれば、スペーサ30の形成時に巻線作業を伴わない。
なお、スペーサ30としては、上記アルミニウムからなる金属製のスペーサに限らず、例えば樹脂シートを径方向に複数積層してなる樹脂製のスペーサを、その厚みを適宜設定して設ける構成であってもよい。
次に、上記構成の超電導コイル1の形成工程から運転工程までを説明する。
まず、巻枠10の胴部11の外周に超電導線材40を巻き付けて内側コイル体21を形成する。次に、その内側コイル体21の外側に本発明に係るスペーサ30を設ける。なお、図3に示すスペーサ30を設ける場合には、内側コイル体21の外周にアルミニウム線60をソレノイド状にかつ径方向に複数層となるように巻き付ける。また、図4に示すスペーサ30を設ける場合には、一対の半円筒状部材71,72を、その内周が内側コイル体21の外周に沿うようにかつ互いの円弧端縁が付き合う姿勢で当該コイル体21の外側に配し、連結部材73によってそれらを連結する。
次に、スペーサ30の外周に超電導線材40とは線径の異なる超電導線材50を巻き付けて外側コイル体22を形成する。そして、内側コイル体21の超電導線材40の端部と外側コイル体22の超電導線材50の端部とを電気的に接続し、これによって超電導コイル1を形成する。
このように形成された超電導コイル1を含浸材に含浸し、その後、所定の運転温度まで冷却する。本実施形態の超電導コイル1では、この冷却中すなわち前記運転温度に達するまでの間にスペーサ30と外側コイル体22との間の含浸材に割れが発生して両者が剥離する。そして、両者30,22が剥離した状態で超電導コイル1の励磁運転が行われる。
本実施形態の超電導コイル1では、上記のように材料および厚みが設定されたスペーサ30を両コイル体21,22間に設けたので、励磁運転前の冷却中に、スペーサ30とこのスペーサ30の外周に隣接する外側コイル体22の超電導線材50とを接着している含浸材に割れが発生してスペーサ30と外側コイル体22とが剥離する。ここで、一度割れた含浸材は再接着しないことから、励磁中に両者30,22が剥離することがなくなる。その結果、クエンチが抑えられる。
また、本実施形態の超電導コイル1では、上記のように、比較的大きい線膨張率のアルミニウムからなるスペーサ30を用いることによって、スペーサ30と外側コイル体22とを容易に剥離させることができる。
また、アルミニウムからなるスペーサ30は例えば樹脂シートからなるスペーサに比べて厚みを確保しやすいので、これによっても両者30,22を容易に剥離させることができる。
さらに、所定の厚みを確保すべく前記樹脂シートを多数積層してスペーサを形成する作業を行う場合に比べて、スペーサ30の形成作業が容易である。
また、高い放熱性をもつアルミニウムからなるスペーサ30を設けることによって、コイル部20の放熱性が高まるので、クエンチが抑えられる。
次に、具体的な材料や厚み等の寸法が設定された実施例による超電導コイルについて、上記の効果が得られるか、すなわち励磁運転前の冷却中に剥離が発生するかを検証する。なお、本実施例の超電導コイルにおいても上記実施形態と同一符号を用いて説明する。
以下では、超電導コイル1を所定の運転温度(約4K)まで冷却したときの当該超電導コイル1のスペーサ30と外側コイル体22との間の面圧を求め、両者間に作用する引っ張り応力を求める。そして、その引っ張り応力と含浸材の接着力との大きさを比較することにより前記検証を行う。
まず、スペーサ30と外側コイル体22との間の面圧を求めるために、図5に示すような4層からなるモデルコイル101を用いて、当該コイル101の中心から数えて3番目の層F3と4番目の層F4との間に作用する面圧Pを既知の定数で表した式を導出する。
なお、このモデルコイル101においては、その中心から数えて1番目の層F1が本実施形態の超電導コイル1の巻枠10の胴部11に相当し、2番目の層F2が内側コイル体21に相当し、3番目の層F3がスペーサ30に相当し、4番目の層F4が外側コイル体22に相当する。
そして、各寸法や物性値を以下の記号で表した。
コイル101の中心から層F1の内周面までの距離をr、中心から層F1の外周面までの距離をr、中心から層F2の外周面までの距離をr、中心から層F3の外周面までの距離をr、中心から層F4の外周面までの距離をrとした。
また、層F1を構成する材料の線膨張率、ヤング率およびポアソン比をそれぞれα、Eおよびγとし、層F2を構成する材料の線膨張率、ヤング率およびポアソン比をそれぞれα、Eおよびγとし、層F3を構成する材料の線膨張率、ヤング率およびポアソン比をそれぞれα、Eおよびγとし、層F4を構成する材料の線膨張率、ヤング率およびポアソン比をそれぞれα、Eおよびγとした。
そして、温度変化量をΔTとしたときに、層F1の外周面、各層F2,F3の内周面および外周面、層F4の内周面の前記温度変化量ΔTのみに依存する6つの変位量δ1o、δ2i、δ2o、δ3i、δ3oおよびδ4iは、それぞれ、既知の定数を用いて次式(1)〜(6)のように表される。
Figure 2011066309
また、層F1,F2間に面圧Pが作用し、層F2,F3間に面圧Pが作用し、層F3,F4間に面圧Pが作用していると仮定した場合に、層F1の外周面、各層F2,F3の内周面および外周面、層F4の内周面の前記面圧P〜Pのみに依存する6つの未知数としての変位量δ1o´´、δ2i´´、δ2o´´、δ3i´´、δ3o´´およびδ4i´´は、それぞれ、一様な内圧および外圧を受ける厚肉円筒シェルの公式より次式(7)〜(12)のように表される。なお、面圧は、径方向の外向きを正方向とした。
Figure 2011066309
なお、上記δ´は、層F1の外周面、各層F2,F3の内周面および外周面、層F4の内周面の前記温度変化量ΔTと前記面圧P〜Pとの両方に依存する変位量を示している。
これらの6つの式(7)〜式(12)は6つの未知数(P1,P2,P3,δ1o´=δ2i´,δ2o´=δ3i´,δ3o´=δ4i´)を含んでいるため、当該6つの未知数を全て既知の定数で表すことができる。その結果、面圧Pは次式(13)のように表される。
Figure 2011066309
次に、上記式(13)を利用して、本実施例の超電導コイル1を常温(293K)から運転温度(4K)まで冷却したときに当該超電導コイル1のスペーサ30と外側コイル体22との間に作用する面圧を求める。
この実施例の超電導コイル1では、内半径が100mm、厚みが10mmのアルミニウムからなる巻枠10の胴部11に、NbTiからなる超電導線材40をその厚みが20mmとなるまで巻回して内側コイル体21を形成するとともに、NbTiからなる超電導線材50をその厚みが100mmとなるまで巻回して外側コイル体22を形成した。
また、各材料の物性値を以下に示す。
常温(293K)から運転温度(4K)までの間の平均線膨張率αは、NbTiが9.09×10−6(なお、コイル部の線膨張率はNbTi96%、絶縁材4%として計算した。)で、アルミニウムが1.44×10−5である。また、ヤング率Eは、NbTiが79GPa(なお、コイル部のヤング率はNbTi96%、絶縁材4%として計算した。)で、アルミニウムが75GPaである。また、ポアソン比γは、NbTi、アルミニウムともに0.34である。
ここで、本実施例の超電導コイル1では、両コイル体21,22の間に設けられるスペーサ30の材料をアルミニウムとし、当該スペーサ30の厚みを8mmに設定した。
このような構成の超電導コイル1を常温から運転温度まで冷却した時のスペーサ30と外側コイル体22との間に作用する面圧は、上記式(13)に各数値を代入することで求められ、約−10MPaとなる。これは、スペーサ30と外側コイル体22とに互いに離間する方向の10MPaの引っ張り応力が作用していることを示している。
そして、エポキシ含浸材の一般的な接着力(接着強度)が約9MPaであることから、両者間に作用する引っ張り応力が含浸材の接着力を上回ることがわかった。
従って、本実施例の超電導コイル1を運転温度まで冷却すると、スペーサ30と外側コイル体22との間の含浸材が両者間に作用する引っ張り応力に耐えられずに割れ、これによって両者30,22が剥離することがわかった。
なお、上記式(13)を利用して、運転温度まで冷却する間にスペーサ30と外側コイル体22とを剥離させるために必要な当該スペーサ30の厚みを割り出すことも可能である。すなわち、超電導コイル1の各部材の材料およびスペーサ30の厚み以外の各部材の寸法がわかっている場合、それらの値を式(13)に代入すれば、運転温度まで冷却する間にスペーサ30と外側コイル体22とを剥離させるために必要な当該スペーサ30の厚みの下限値を求めることができる。
また、上記実施形態では、線径の異なる超電導線材40,50間にスペーサ30を設ける構成の超電導コイル1について示したが、これに限らず、例えば、コイル部の放熱の目的で層間に設けられるスペーサについてもその材料や厚みを適宜設定することによって、上記実施形態の効果を得ることが可能である。
1 超電導コイル
20 コイル部
30 スペーサ
40、50 超電導線材
60 アルミニウム線
71,72 半円筒状部材(円弧状部材)

Claims (5)

  1. ソレノイド状にかつ径方向に複数層に亘って積層されるように巻回された超電導線材からなるコイル部と、このコイル部の互いに径方向に隣り合う層間に前記コイル部と同心に設けられる筒状のスペーサとを備え、巻線状態で含浸材に含浸される超電導コイルであって、
    前記スペーサは、前記超電導線材の線膨張率よりも大きい線膨張率の材料からなるとともに、含浸後に所定の運転温度まで冷却される間に当該スペーサとこのスペーサの外周に隣接する超電導線材とを剥離させるだけの熱収縮量を有するような径方向の厚みをもつことを特徴とする超電導コイル。
  2. 前記スペーサは、アルミニウムからなることを特徴とする請求項1に記載の超電導コイル。
  3. 前記スペーサは、線材がソレノイド状に巻回されて形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の超電導コイル。
  4. 前記スペーサは、周方向に連続する複数の円弧状部材を周方向で連結することにより形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の超電導コイル。
  5. 超電導コイルを含浸材に含浸した後、所定の運転温度まで冷却し、その冷却後に励磁運転する超電導コイルの運転方法であって、
    超電導線材をソレノイド状にかつ径方向に複数層に亘って積層されるように巻回してコイル部を形成するとともに、そのコイル部の互いに径方向に隣り合う層間に、前記超電導線材の線膨張率よりも大きい線膨張率の材料からなるとともに、含浸後の冷却中に当該スペーサとこのスペーサの外周に隣接する超電導線材とを剥離させるだけの熱収縮量を有するような径方向の厚みをもつ筒状のスペーサを前記コイル部と同心に設けることで超電導コイルを形成する工程と、
    前記冷却中に前記スペーサの径方向の熱収縮によってこのスペーサと超電導線材とを剥離させる工程と、
    前記スペーサと前記超電導線材とが剥離した状態で前記超電導コイルを励磁運転する工程とを備えることを特徴とする超電導コイルの運転方法。
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JP2021027258A (ja) * 2019-08-07 2021-02-22 株式会社日立製作所 超電導コイルおよび超電導磁石装置
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