JP2009105253A - 静止型電磁機器の円形鉄心 - Google Patents

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【課題】変圧器やリアクトルなどの静止型電磁機器の円形鉄心の断面全域における隙間を低減するとともに、外周面における漏れ磁束にともなう鉄損を抑制するようにすること。
【解決手段】円形の径方向に一定の曲率で湾曲し、その径方向に対して幅狭とした多数の磁性鋼板を積み重ねて円筒状の磁性鋼板ブロックを形成し、この磁性鋼板ブロックを同心で円形の径方向に順次積層して円形鉄心を構成する。この磁性鋼板ブロックの積層により、円形鉄心は磁性鋼板を放射状に並べたものと等価となり、この円形鉄心の外周にコイルを巻装しても短絡電流が発生しないし、また、漏洩磁束は、磁性鋼板の内部を、その幅方向に沿って通るようになり、磁性鋼板をその厚さ方向に通ることはなくなる。これにより漏洩磁束による渦電流の発生が抑制される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、変圧器やリアクトルなどの静止型電磁機器の円形鉄心に関するものである。
変圧器やリアクトルなどの静止型電磁機器において、鉄心に巻装するコイル導線の長さを短くするなどの理由から、鉄心を円形に形成する場合がある。この場合の鉄心として、平坦な磁性鋼板を放射状に積層して円形に構成するもの、幅寸法が僅かづつ異なる平坦な磁性鋼板を積層して円形に構成するもの、平坦な磁性鋼板を積層し、これを丸めて円形に構成するものがある。
特開平5−109546号公報 実開昭62−30317号公報 特開2001−237124号公報
しかし、磁性鋼板を放射状に積層した円形鉄心では、内周部分は蜜であっても外周部分では隙間ができ、鉄心の有効面積が小さくなるといった問題があり、また、幅寸法が僅かづつ異なる平坦な磁性鋼板を積層した円形鉄心では、真円に近づけるには幅寸法が異なる平坦な磁性鋼板を用意しなければならず、その組み立ても手数がかかるといった問題があり、さらには、積層した磁性鋼板を丸めた鉄心では、鋼板の平面部が外周に露出し、漏れ磁束の貫通による渦電流が発生することで鉄損が大幅に増加するといった問題があつた。
発明が解決しようとする課題は、円形鉄心の断面全域の隙間を低減するとともに、外周面における漏れ磁束にともなう鉄損を抑制するようにし、斯かる問題を解消する点にある。
本発明は、静止型電磁機器の円形鉄心であって、前記円形鉄心を、円形の径方向に一定の曲率で湾曲し、前記径方向に対して直径の1/4幅以下とした多数の磁性鋼板を積み重ねて形成した円筒状の磁性鋼板ブロックの複数を同心で前記径方向に順次積層して構成してなることを特徴とする。
本発明では、円形鉄心を、円形の径方向に一定の曲率で湾曲した多数の磁性鋼板を積み重ねて形成した円筒状の磁性鋼板ブロックで構成するので、円形鉄心の外周部分の隙間が少なく、有効面積が大きく、かつ、磁性鋼板の平面部が外周に露出することがなく、鉄損の少ないほぼ真円の鉄心が得られる。また、磁性鋼板ブロックを構成する磁性鋼板を径方向に対して直径の1/4幅以下とし、この磁性鋼板ブロックを同心で径方向に順次積層して構成するので、湾曲した磁性鋼板による断面積の大きい円形鉄心を簡単に得ることができる。
円形鉄心の断面全域の隙間を低減するとともに、外周面における漏れ磁束にともなう鉄損を抑制するようにする目的を、円形の径方向に一定の曲率で湾曲し、その径方向に対して直径の1/4幅以下とした多数の磁性鋼板を積み重ねて円筒状の磁性鋼板ブロックを形成し、この磁性鋼板ブロックを同心で円形の径方向に順次積層することにより実現した。
図1は、本発明の実施例に係る静止型電磁機器の円形鉄心の斜視図、図2は図1に示す円形鉄心の部分拡大断面図、図3は1枚の磁性鋼板の断面図である。
図1において、1は円形鉄心、Aは円形鉄心1を構成する最内周の円筒状の磁性鋼板ブロック、Bは円形鉄心1を構成する中間の円筒状の磁性鋼板ブロック、Cは円形鉄心1を構成する最外周の円筒状の磁性鋼板ブロック、DおよびEは絶縁層、2aは磁性鋼板ブロックAを構成する珪素鋼鈑からなる磁性鋼板、2bは磁性鋼板ブロックBを構成する珪素鋼鈑からなる磁性鋼、板2cは磁性鋼板ブロックCを構成する珪素鋼鈑からなる磁性鋼板である。
磁性鋼板2a、2b、2cは、図3に示すように任意の曲率をもって湾曲された湾曲部3と、この湾曲部3の内端に連続して形成された屈曲部4とにより形成されている。湾曲部3の曲率は、その全体にわたって同じであってもよく、また、例えばインボリュート曲線のように連続した曲率のものであってもよい。
屈曲部4の、湾曲部3に対する屈曲角θはたとえば30度でよく、その長さはできるだけ短いほうがよく、たとえば磁性鋼板の厚さの3〜10倍程度が望ましい。磁性鋼板2a、2b、2cの長さ、つまり幅Lは、湾曲部を備える磁性鋼板を重ね易くするためできるだけ狭くし、所望の円形鉄心を得るには図2に示すように半径方向に連接する。実施例では3個の磁性鋼板を半径方向に連接して所望の円形鉄心を形成している。
具体的には、所定の外径の円柱(またはパイプ)を用意し、これを型としてその外周に屈曲部4の内端を当接させて、その外周に沿って順次重ねて円筒状の磁性鋼板ブロックAを形成し、その外周面を絶縁紙やワニスなどで絶縁処理する。絶縁処理した円筒状の磁性鋼板ブロックAの絶縁層Dの外周に屈曲部4の内端を当接させて、その外周に沿って順次重ねて円筒状の磁性鋼板ブロックBを形成し、同様にその外周面を絶縁紙やワニスなどで絶縁処理する。絶縁処理した円筒状の磁性鋼板ブロックBの絶縁層Eの外周に屈曲部4の内端を当接させて、その外周に沿って順次重ねて円筒状の磁性鋼板ブロックCを形成し、円柱を抜き取り、磁性鋼板ブロックCの外周に締め付け、歪取焼鈍後バンドを渡して全体を締め付けて形付けし、歪取焼鈍後ワニスを含浸して固定する。
得られた円形鉄心は、これを構成している磁性鋼板が等価的に放射状に並べたものとなり、この円形鉄心の外周にコイルを巻装しても短絡電流が発生しないし、また漏洩磁束は、放射状鉄心と同様に磁性鋼板の内部を、その幅方向に沿って通るようになり、磁性鋼板をその厚さ方向に通ることはなくなる。これにより漏洩磁束による渦電流の発生が抑制される。また、鉄心の断面がほぼ真円となるので、巻装するコイル導線の長さをより短くすることができ、省資源を図ることができる。
なお、以上の実施例では、磁性鋼板ブロックA,B,Cのいずれも磁性鋼板の屈曲部を同方向に向けて積み重ねているが、各磁性鋼板ブロックの間で磁性鋼板の屈曲部を逆方向に向けて積み重ねるようにしてもよく、また、磁性鋼板ブロックは3個に限らず、より多くを径方向に積層するようにしてもよい。
本発明の実施例に係る静止型電磁機器の円形鉄心の斜視図である。 図1に示す円形鉄心の部分拡大断面図である。 1枚の磁性鋼板の断面図である。
符号の説明
1 円形鉄心
A、B、C 円筒状の磁性鋼板ブロック
D、E 絶縁層
2a、2b、2c 磁性鋼板
3 磁性鋼板の湾曲部
4 磁性鋼板の屈曲部

Claims (1)

  1. 静止型電磁機器の円形鉄心であって、前記円形鉄心を、円形の径方向に一定の曲率で湾曲し、前記径方向に対して直径の1/4幅以下とした多数の磁性鋼板を積み重ねて形成した円筒状の磁性鋼板ブロックの複数を同心で前記径方向に順次積層して構成してなることを特徴とする静止型電磁機器の円形鉄心。
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