JP6245476B2 - 二次電池 - Google Patents
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Description
ここでは、まず非水系二次電池10の構造例を説明する。図1は、非水系二次電池10を示す断面図である。図2は、当該非水系二次電池10に内装される電極体40を示す図である。なお、図1および図2に示される非水系二次電池10は、本発明が適用されうる非水系二次電池の一例を示すものに過ぎず、本発明が適用されうる非水系二次電池はここで例示された構造に特段限定されない。ここでは、リチウムイオン二次電池を例に挙げて非水系二次電池10を説明しており、非水系二次電池10は、適宜にリチウムイオン二次電池10と称する場合がある。非水系二次電池10は、図1に示すように、外装体20と、電極体40(図1では、捲回電極体)とを備えている。
外装体20は、ケース本体21と、封口板22とを備えている。ケース本体21は、一端に開口部を有する箱形を有している。ここで、ケース本体21は、非水系二次電池10の通常の使用状態における上面に相当する一面が開口した有底直方体形状を有している。この実施形態では、ケース本体21には、矩形の開口が形成されている。封口板22は、ケース本体21の開口を塞ぐ部材である。封口板22は凡そ矩形のプレートで構成されている。かかる封口板22がケース本体21の開口周縁に溶接されることによって、略六面体形状の外装体20が構成されている。外装体20の材質は、例えば、軽量で熱伝導性の良い金属材料を主体に構成された外装体20が好ましく用いられうる。このような金属製材料としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルめっき鋼等が例示される。また、ここでは、矩形のケースが例示されているが、外装体20はかかる形態に限定されない。例えば、外装体20は、円筒形状のケースでもよい。また、外装体20は、電極体を包む袋状の形態でもよく、いわゆるラミネートタイプの外装体20でもよい。
電極体40は、図2に示すように、帯状の正極(正極シート50)と、帯状の負極(負極シート60)と、帯状のセパレータ(セパレータ72,74)とを備えている。
正極シート50は、帯状の正極集電箔51と正極活物質層53とを備えている。正極集電箔51には、正極に適する金属箔が好適に使用され得る。正極集電箔51には、例えば、所定の幅を有し、厚さが凡そ15μmの帯状のアルミニウム箔を用いることができる。正極集電箔51の幅方向片側の縁部に沿って露出部52が設定されている。図示例では、正極活物質層53は、正極集電箔51の幅方向片側に設定された露出部52を除いて、正極集電箔51の両面に形成されている。
負極シート60は、図2に示すように、帯状の負極集電箔61と、負極活物質層63とを備えている。負極集電箔61には、負極に適する金属箔が好適に使用され得る。この負極集電箔61には、所定の幅を有し、厚さが凡そ10μmの帯状の銅箔が用いられている。負極集電箔61の幅方向片側には、縁部に沿って露出部62が設定されている。負極活物質層63は、負極集電箔61の幅方向片側に設定された露出部62を除いて、負極集電箔61の両面に形成されている。
導電材は、正極活物質層53や負極活物質層63の導電性を確保するために、添加される材料である。導電材には、例えば、カーボン粉末、カーボンファイバーなどのカーボン材料が例示される。このような導電材から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末などのカーボン粉末を用いることができる。
バインダは、正極活物質層53においては、正極活物質層53に含まれる正極活物質と導電材の各粒子を接着させたり、これらの粒子と正極集電箔51とを接着させたりする。また、バインダは、負極活物質層63においては、負極活物質層63に含まれる負極活物質と導電材の各粒子を接着させたり、これらの粒子と負極集電箔61とを接着させたりする。かかるバインダとしては、使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、水性溶媒においては、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)など)、ゴム類(スチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)など)、ポリビニルアルコール(PVA)、酢酸ビニル共重合体、アクリレート重合体などの水溶性または水分散性ポリマーを好ましく採用することができる。また、非水溶媒においては、ポリマー(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)など)を好ましく採用することができる。
増粘剤は、例えば、活物質粒子とバインダとを溶媒に混ぜ合わせた合剤(懸濁液)を得る場合において、合剤に適宜に添加される材料である。かかる増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのセルロース系ポリマーが好適に用いられる。
セパレータ72、74は、図2に示すように、正極シート50と負極シート60とを隔てており、正極活物質層53と負極活物質層63とを絶縁するが、正極活物質層53と負極活物質層63との間で電解質が移動するのを許容する部材である。この例では、セパレータ72、74は、微小な孔を複数有する所定幅の帯状のシート材で構成されている。セパレータ72、74には、樹脂製の多孔質膜、例えば、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成された単層構造のセパレータ或いは積層構造のセパレータを用いることができる。この例では、図2に示すように、負極活物質層63の幅b1は、正極活物質層53の幅a1よりも少し広い。さらにセパレータ72、74の幅c1、c2は、負極活物質層63の幅b1よりも少し広い(c1、c2>b1>a1)。また、図示は省略するが、セパレータ72、74は、プラスチックの多孔質膜からなる基材の表面に耐熱層が形成されていてもよい。耐熱層は、フィラーとバインダとからなる。耐熱層は、HRL(Heat Resistance Layer)とも称される。
この実施形態では、電極体40は、図2に示すように、捲回軸WLを含む一平面に沿って扁平な形状を有している。図2に示す例では、正極集電箔51の露出部52と負極集電箔61の露出部62とは、それぞれセパレータ72、74の両側において、らせん状にはみ出ている。図1に示すように、セパレータ72、74からはみ出た正極集電箔51の露出部52は、正極端子23の外装体20の先端部23aに溶接されている。また、セパレータ72、74からはみ出た負極集電箔61の露出部62は、負極端子24の先端部24aに溶接されている。正極集電箔51は、正極端子23を通じて外部の装置に電気的に接続されている。負極集電箔61は、負極端子24を通じて外部の装置に電気的に接続されている。
外装体20には、さらに電解液80が注入される。電解液80は、捲回軸WL(図2参照)の軸方向の両側から電極体40の内部に浸入する。図1は、外装体20内に注入される電解液80を模式的に示している。図1は、外装体20内に注入される電解液80の量を厳密に示すものではない。外装体20内に注入された電解液80は、捲回電極体40の内部において、正極活物質層53や負極活物質層63の空隙などに十分に染み渡っている。ここでは、正極の作動電位の上限電位が金属リチウム基準で4.3V以上の非水系二次電池が提案されている。電解液80には、正極の作動電位の上限電位に応じて、耐酸化性能を有する電解液が用いられているとよい。かかる電解液80の好適例については、後で述べる。
充電時、ここで例示される非水系二次電池10としてのリチウムイオン二次電池は、正極シート50と負極シート60との間に、電圧が印加される。電圧が印加されると、正極シート50では、正極活物質層53中の正極活物質からリチウムイオン(Li)が電解液に放出され、正極活物質層53から電荷が放出される。負極シート60では、電荷が蓄えられる。さらに、電解液中のリチウムイオン(Li)が、負極活物質層63中の負極活物質に吸収され、かつ、貯蔵される。これにより、負極シート60と正極シート50とに電位差が生じる。
放電時、リチウムイオン二次電池10は、負極シート60と正極シート50との電位差によって、負極シート60から正極シート50に電荷が送られる。負極では、負極活物質層63に貯蔵されたリチウムイオンが電解液に放出される。正極では、正極活物質層53中の正極活物質に電解液中のリチウムイオンが取り込まれる。このようにリチウムイオン二次電池10の充放電において、正極活物質層53中の正極活物質や負極活物質層63中の負極活物質にリチウムイオンが吸蔵されたり、放出されたりする。そして、電解液を介して、正極活物質層53と負極活物質層63との間でリチウムイオンが行き来する。
ところで、ここでは、正極の作動電位の上限電位が金属リチウム基準で4.3V以上と作動電位が比較的高い非水系二次電池10を想定している。かかる非水系二次電池10では、電池内部にガスが徐々に蓄えられる事象が生じうる。かかる事象は、特に、正極の作動電位の上限電位が高くなればなるほど生じやすい。例えば、正極の作動電位の上限電位が金属リチウム基準で4.6V以上、さらには4.7V以上、さらには4.8V以上で顕著に現れる。特に、正極の作動電位の上限電位が5.0Vを超えるような非水系二次電池(俗に、5V級と称されるような非水系二次電池)では、電池の内圧が高くなる事象がさらに顕著に現れる。
ここで提案される非水系二次電池10は、上記のように水素ガスが多い割合で発生し、次第に電池の内圧が上昇していく事象に対して、電池の内圧上昇を低く抑え、かつ、安定した状態が長期に渡って維持し得る。
ここで、電極体40は、金属リチウム基準電位(vs.Li/Li+)で4.3V以上の作動電位を有する正極活物質を含んでいるとよい。例えば、電極体に含まれる正極活物質の一部に、かかる金属リチウム基準電位で4.3V以上の作動電位を有する正極活物質が含まれていてもよい。また、より好適な例として、金属リチウム基準電位で4.6V以上の作動電位を有する正極活物質、さらに好適な例として、金属リチウム基準電位で4.7V以上の作動電位を有する正極活物質を含んでいてもよい。かかる正極活物質の例として、スピネル構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物、層状構造のリチウムマンガン複合酸化物、および、オリビン構造のリン酸リチウム遷移金属化合物などのうち、いわゆる金属リチウム基準電位で4.3V以上の作動電位を有する正極活物質が挙げられる。また、これらの正極活物質は、例えば、これらの群から何れか1種または2種以上の活物質を選択して用いてもよい。また、2種以上の活物質を用いる場合には、適当な割合で混合してもよい。
かかる金属リチウム基準電位(vs.Li/Li+)で4.3V以上の作動電位を有する正極活物質の好適例は、例えば、スピネル型リチウムニッケルマンガン複合酸化物(以下、適宜、NiMn酸化物と称する)である。スピネル型リチウムニッケルマンガン複合酸化物は、一般式:LiMn2O4で表される化合物のマンガンの一部をニッケルで置換したものである。例えば、LiNi0.5Mn1.5O4が挙げられる。さらに、適宜に、チタン(Ti)や鉄(Fe)やタングステン(W)などの他の遷移金属を含有していてもよい。かかる正極活物質の作製方法は、特に限定されず、従来公知の方法で作製することができる。また、スピネル型リチウムニッケルマンガン複合酸化物には、金属リチウム基準電位で5V程度の作動電位を発現するものもある。
次に、電解液は、支持塩と、当該支持塩が溶解する有機溶媒とを含んでいるとよい。かかる電解液は、特に、高電位での使用に対して酸化されないものが好ましい。例えば、電解液の酸化電位(vs.Li/Li+)は、正極の作動電位(vs.Li/Li+)の上限電位と同等かそれ以上であることが望ましい。例えば、電解液の酸化電位(vs.Li/Li+)は、正極の作動電位(vs.Li/Li+)の上限電位よりも高いとよく、例えば、0.1V以上、より好ましくは0.3V以上高いとよい。
支持塩としては、一般的な非水電解質二次電池に使用し得る支持塩と同様のものを、適宜選択して使用することができる。かかる支持塩の例として、LiPF6、LiBF4、LiClO4等のリチウム塩が挙げられる。支持塩は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましい支持塩としてLiPF6が挙げられる。また、電解液は、上記支持塩の濃度が例えば0.7mol/L〜1.3mol/Lの範囲内となるように調製することが好ましい。
ここで、有機溶媒としては、一般的な非水電解質二次電池の電解液に用いられる各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を、特に限定なく用いることができる。具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ビニレンカーボネート(VC)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン等が例示される。
上記フッ素化有機溶媒は、例えば、非水電解質二次電池の電解液の溶媒として利用し得る有機溶媒(有機化合物)のフッ素化物であり得る。換言すれば、構成元素としてフッ素を含まない有機溶媒の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子によって置換された化学構造を有する有機溶媒であり得る。上記「構成元素としてフッ素を含まない非水溶媒」は、各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等であり得る。また、上記カーボネート類とは環状カーボネートおよび鎖状カーボネートを包含する意味であり、上記エーテル類とは環状エーテルおよび鎖状エーテルを包含する意味である。このようなフッ素化有機溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
好ましい一態様に係る非水電解質は、上記フッ素化有機溶媒として、1種または2種以上のフッ素化カーボネート(フッ素化環状カーボネートおよびフッ素化鎖状カーボネートのいずれをも好ましく使用可能である。)を含有する。通常は、1分子内に1個のカーボネート構造を有するフッ素化カーボネートの使用が好ましい。かかるフッ素化カーボネートのフッ素置換率は、通常、10%以上が適当であり、例えば20%以上(典型的には20%以上100%以下、例えば20%以上80%以下)であり得る。フッ素置換率30%以上(典型的には30%以上100%以下、例えば30%以上70%以下)のフッ素化カーボネートを含む電解液によると、より高い酸化電位(高い耐酸化性)を実現し得る。
ここで開示される技術における非水電解質の好適例として、上記フッ素化有機溶媒として少なくとも1種のフッ素化環状カーボネートを含む組成の電解液が挙げられる。上記電解液から支持塩を除いた全成分(以下「支持塩以外成分」ともいう。)のうち、上記フッ素化環状カーボネートの量は、例えば5質量%以上とすることができ、通常は10質量%以上が適当であり、20質量%以上(例えば30質量%以上)が好ましい。上記支持塩以外成分の実質的に100質量%(典型的には99質量%以上)がフッ素化環状カーボネートであってもよい。通常は、電解液の低粘度化、イオン伝導性の向上等の観点から、上記支持塩以外成分のうちフッ素化環状カーボネートの量を90質量%以下とすることが適当であり、80質量%以下(例えば70質量%以下)とすることが好ましい。なお、上記フッ素化環状カーボネートの量とは、上記電解液が2種以上のフッ素化環状カーボネートを含む場合には、それらの合計量を指す。
ここで開示される技術における非水電解質は、上記フッ素化有機溶媒として、上述のようなフッ素化環状カーボネートに代えて、あるいは該フッ素化環状カーボネートに加えて、例えば、以下の式(C2)で表わされるフッ素鎖状カーボネートを用いることができる。
膜201は、水素ガスを選択的に放出可能な膜である。例えば、膜201は、外装体20の内部で後発的に発生しうるガスのうち、一酸化炭素ガス(CO)や二酸化炭素ガス(CO2)を放出しないが、水素ガスを放出する機能を備えているとよい。例えば、Heは、水素分子よりも小さいが、化学的に安定しており外装体20内で後発的に発生しうるガスではない。したがって、水素ガスを選択的に放出可能な膜である膜201は、Heガスが透過可能であってもよい。なお、Heガスは安定なガスである。ここでの膜201は、後発的に外装体20内で発生するか否かに関わらず、Heガスが透過可能であってもよい。膜201には、後述するような化学分離式の膜や分子篩式の膜が含まれる。
ここで、膜201は、図4および図5に示すように、金属製のリング202に取り付けられているとよい。そして、外装体20は金属製であり、金属製のリング202が取り付けられた膜アッセンブリ200が嵌まる貫通孔210が形成されているとよい。そして、当該貫通孔210に膜アッセンブリ200の金属製のリング202が嵌められており、当該貫通孔210の縁部に金属製のリング202が接合されているとよい。つまり、金属製のリング202のリングに膜201を取り付けた膜アッセンブリ200を作製し、金属製のリング202を外装体20の貫通孔に嵌めて接合することによって、膜201が外装体20に取り付けられた状態を長期に渡って維持することができる。また、図示は省略するが、膜201を補強するため、膜201の表裏の少なくとも一方或いは両方に、補強材(例えば、網材)を貼り合わせてもよい。ここで、当該貫通孔210の縁部と金属製のリング202とは、全周にわたって接合されているとよい。また、かかる接合構造としては、貫通孔210の縁部と金属製のリング202との気密性が保たれる構造であればよい。気密性を確保するとの観点において、貫通孔210の縁部と金属製のリング202とは、例えば、溶接されているとよい。ここで、溶接は、貫通孔210の縁部と金属製のリング202とを全周にわたって溶接するとよい。また、溶接は、例えば、レーザ溶接によるとよい。
以下に、非水系二次電池10の評価試験を説明する。ここでは、試験に用いられた評価用電池と、評価試験の内容を説明する。
なお、評価用電池の全体構成は、図1に示す非水系二次電池10と同様の構成であり、図1および図2が適宜に参照される。非水系二次電池10で既に説明した点について、これと重複した説明は適宜に省略する。
評価用電池では、いわゆる5V級と称されるような非水系二次電池に用いられる正極活物質を用いた。ここでは、かかる正極活物質として、スピネル構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物(ここでは、LiNi0.5Mn1.5O4 )が用いられている。
負極活物質には、平均粒子径が20μmの天然黒鉛系の材料が用いられている。ここで用いられた材料は、X線回折で調べた結晶構造において、格子定数C0が0.67nm、c軸方向の結晶の厚みLcが27nmの材料を用いた。また、バインダとして、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)を用い、増粘材として、カルボキシメチルセルロール(CMC)を用いた。また、負極活物質と、SBRと、CMCとを、負極活物質:SBR:CMC=98:1:1の質量比で、分散溶媒としての水に混合し、ペースト状の負極合剤を得る。そして、得られた負極合剤を負極集電箔61としての帯状の銅箔(厚さ10μm)の上に塗布する。そして、負極合剤を乾燥させ、ロールプレスによってプレスする。ここで、プレス後において、正極活物質層の単位面積当たりに含まれる正極活物質と、負極活物質層の単位面積当たりに含まれる負極活物質との質量比が、正極活物質:負極活物質=2:1となるように、負極集電箔61に対する負極合剤の塗布量を調整した。
電解液80には、耐酸化性を持たせるため、フッ素化有機溶媒を用いた電解液を使用した。ここで用いたフッ素化有機溶媒は、フッ素化環状カーボネートとフッ素化鎖状カーボネートの混合溶媒を用いた。ここで、フッ素化環状カーボネートには、フルオロエチレンカーボネート(FEC:Fluoro Ethylene Carbonate)を用いた。フッ素化鎖状カーボネートには、メチル2,2,2-トリフルオロエチルカーボネート(MTFEC:Methyl 2,2,2-Tri Fluoro Ethyl Carbonate)を用いた。ここでは、体積比でFEC:MTFEC=1:1のFECとMTFECとの混合溶媒中に、LiPF6を1mol/Lの濃度で含む電解液を用いた。
ここでは、上述のように得られた正極シート50と、負極シート60とを用いて電極体40を構成し、当該電極体40と電解液80を、図1に示すように、外装体20に収容し、封止した。ここでは、約4Ahの電池容量を示す電池が得られた。また、図1に示すように、外装体20に膜201が取り付けられた実施例と、膜201が取り付けられていない比較例を作製した。
また、ここでは非水系二次電池10の内圧を適宜に測定した。ここで内圧は、外装体20に装着した圧力センサーによって測定した。圧力センターには、キーエンス株式会社製の圧力センサー(ここでは、AP−13S)を用いた。ここで、例えば、AP−13Sには、JIS規格において口径Rが1/8インチのテーパおねじが接続ねじとして設けられている。これに対して、封口板22に予め圧力センサーを取り付けるためのねじ穴を開けておく。ここで、接続ねじのねじ径に合うねじ穴を設けるのが最も効率的である。スペース的に設置するのが困難な場合は、より小さなねじ穴を封口板22に設けてもよい。ここでは、上述したAP−13Sに設けられた接続ねじに対して、封口板22に設けられたねじ穴は、ねじの呼び径がM4で、かつ、口径Rが1/8である。
ここで得られた電池は、25℃の温度環境において、1/5Cの電流レートで4.9Vまで定電流充電を行い、その後、同じ電流レート(すなわち、1/5Cの電流レート)で3.5Vまで定電流放電する。ここでは、かかる充電と放電を1サイクルとする充放電処理とを3回繰り返すコンディショニング工程を施した。かかるコンディショニング工程の後、1/5Cの電流値で4.9Vまで定電流充電を行い、定電圧充電時の電流値が1/50Cになるまで定電圧充電を行い、この状態を満充電状態とした。その後、1/5Cの電流値で3.5Vまで放電した時の容量を初期容量とした。
上記初期容量の測定後に、25℃の温度環境において1/5Cの電流値で4.9Vまで定電流充電を行い、定電圧充電時の電流値が1/50Cになるまで定電圧充電を行い、この状態を満充電状態とした。その後、環境温度60℃において800時間放置し、内圧を測定した。さらに、環境温度60℃において1/5Cの電流値で3.5Vまで放電した時の容量を測定し、ここで測定された容量を「保存後の評価用電池の容量」とした。つまり、上述のように60℃の温度環境において800時間放置した後で、保存後の評価用電池の容量を初期容量の測定と同じ手法で測定した。そして、保存後の評価用電池の容量を初期容量で除した値から容量維持率を算出した。また、試験例として挙げた評価用電池を、別試験において、4.9Vの満充電状態に充電する。充電方法は上記の通りである。そして、4.9Vの満充電状態において60℃の温度環境で6日間保存した。図3は、かかる6日間の保存によって、外装体20内で発生したガスの成分をガスクロマトグラフィーにより分析したグラフである。
20 外装体
21 ケース本体
22 封口板
23 正極端子
24 負極端子
30 安全弁
32 注液口
33 封止材
40 電極体(捲回電極体)
50 正極シート
51 正極集電箔
52 露出部
53 正極活物質層
60 負極シート
61 負極集電箔
62 露出部
63 負極活物質層
72,74 セパレータ
80 電解液
200 膜アッセンブリ
201 膜
202 金属製のリング
203 シール材
205 溝
210 貫通孔
WL 捲回軸
Claims (12)
- 電極体と、電解液と、外装体とを備え、
前記電極体は、金属リチウム基準電位で4.3V以上の作動電位を有する正極活物質を含んでおり、
前記電解液は、有機溶媒を含んでおり、
前記外装体は、
前記電極体と前記電解液とを収容し、かつ、
当該外装体の内部と外部とを仕切るように、水素ガスを選択的に放出可能な膜が、当該外装体の一部に設けられた、非水系二次電池。 - 前記膜は、金属製のリングに取り付けられており、
前記外装体は、
金属製であり、
前記金属製のリングが取り付けられた膜アッセンブリが嵌まる貫通孔が形成されており、
当該貫通孔に前記膜アッセンブリの金属製のリングが嵌められ、当該貫通孔の縁部に前記金属製のリングが接合された、
請求項1に記載された非水系二次電池。 - 前記膜アッセンブリは、シール材を備えており、
前記シール材は、前記膜の縁の全周を覆っており、
前記金属製のリングは、前記シール材の外周面を覆うように装着されている、
請求項2に記載された非水系二次電池。 - 前記金属製のリングは、内径側の側面に溝を有し、当該溝に前記膜の縁を覆った前記シール材が装着されている、請求項3に記載された非水系二次電池。
- 前記シール材が、フッ素樹脂で構成されている、請求項3または4に記載された非水系二次電池。
- 前記貫通孔の縁部と前記金属製のリングとは、溶接されている、請求項2から5までの何れか一項に記載された非水系二次電池。
- 前記膜は、水素分子をプロトンに分離し、当該分離したプロトンを透過させる化学分離式の膜である、請求項1から6までの何れか一項に記載された非水系二次電池。
- 前記膜は、パラジウム合金膜またはニオブ合金膜である、請求項7に記載された非水系二次電池。
- 前記膜は、水素ガスは透過可能であるが、酸素ガス、窒素ガスおよび一酸化炭素ガスは透過しない分子篩式の膜である、請求項1から6までの何れか一項に記載された非水系二次電池。
- 前記膜は、ゼオライト膜またはシリカ膜である、請求項9に記載された非水系二次電池。
- 前記正極活物質は、スピネル構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物、層状構造のリチウムマンガン複合酸化物、およびオリビン構造のリン酸リチウム遷移金属化合物の群から選択される何れか1種または2種以上の活物質を含んでいる、請求項1から10までの何れか一項に記載された非水系二次電池。
- 前記電解液は、フッ素を含有している、請求項1から11までの何れか一項に記載された非水系二次電池。
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