JP2016207313A - 非水電解液二次電池及びその組電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、負極活物質にチタン含有酸化物を用いた非水電解質二次電池において、サイクル運転時においてガス発生が少なく、優れたサイクル安定性を発現する非水電解質二次電池を提供することである。
【解決手段】本発明の非水電解質二次電池は、負極、正極、及び負極と正極との間に介在される非水電解質を備える二次電池であって、前記負極が、負極活物質としてチタン含有酸化物を含み、非水電解質が、非水溶媒と、3.0mol/L以上のリチウム塩を含有してなり、前記リチウム塩が、少なくともアミドアニオンを有するものを含み、非水溶媒が、分子内にシアノ基を少なくとも1つ有する炭素数が12以下の化合物を少なくとも1種類含有してなることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の非水電解質二次電池は、負極、正極、及び負極と正極との間に介在される非水電解質を備える二次電池であって、前記負極が、負極活物質としてチタン含有酸化物を含み、非水電解質が、非水溶媒と、3.0mol/L以上のリチウム塩を含有してなり、前記リチウム塩が、少なくともアミドアニオンを有するものを含み、非水溶媒が、分子内にシアノ基を少なくとも1つ有する炭素数が12以下の化合物を少なくとも1種類含有してなることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は非水電解液二次電池及びその組電池に関するものである。
近年、携帯機器、ハイブリット自動車、電気自動車、家庭用蓄電用途に用いられる非水電解質二次電池の研究開発が盛んに行われている。これらの分野に用いられる非水電解質二次電池は、正極活物質としてリチウム含有コバルト複合酸化物やリチウム含有ニッケル複合酸化物、負極活物質としてカーボン系材料、電解液としてLiBF4、LiPF6等のリチウム塩を有機溶媒に溶解した非水電解質をそれぞれ用いており、高容量、高出力など複数の特性を同時に満たすための研究が継続して行われている。さらに近年では電池の発熱・発火現象が報告されており、これまでよりも高い安全性を有する電池の開発が求められている。
そのような特性を満たすものとして負極の集電箔に塗工される負極活物質に、チタン酸リチウムや二酸化チタンのようなチタン含有酸化物を用いた非水電解質二次電池が開発されている(例えば、特許文献1)。しかし、負極の活物質にチタン含有酸化物を用いた非水電解質二次電池は、充放電サイクル時にガスが発生し、その結果、内圧のため電池が膨らみ、電池特性が低下するという問題がある。
特許文献2には、負極活物質としてチタン含有酸化物(Li4/3Ti5/3O4)を使用した非水電解質二次電池において、特定のリチウム塩を含有する溶融塩電解質を用いてサイクル特性を向上させる技術について記載されている。しかしながら、特許文献2は、電解質溶媒が、比較的分子量が大きな両極性の溶融塩(イオン液体)であるため、サイクル特性や安定性は改善されるものの、拡散抵抗が大きく、大電流で充放電させるには不向きであり、また、充放電サイクル時のガスの抑制に関しては記載がない。
本発明が解決しようとする課題は、負極活物質にチタン含有酸化物を用いた非水電解質二次電池において、サイクル運転時においてガス発生が少なく、優れたサイクル安定性を発現する非水電解質二次電池を提供することである。
本発明者らが、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、負極にチタン含有酸化物を用い、非水電解質のリチウム塩を電子供与性のアミドアニオンを有する化合物、非水溶媒を電子求引性のシアノ基を有する化合物とし、かつ、リチウム塩の濃度を3.0mol/L以上とすることで、高出力を可能とした上、ガス発生が抑制され、高い放電容量維持率を有する非水電解質二次電池が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
これは、非水電解質中に高濃度で存在する電子供与性のアミドアニオンを有する化合物と電子求引性のシアノ基を有する化合物が、活物質表面に会合層を形成して被膜を形成するため、活物質の異常活性点による非水溶媒の分解のよるガス発生が抑制されることによるものと考えられる。
すなわち、本発明は、負極、正極、及び前記負極と前記正極との間に介在される非水電解質を備える非水電解質二次電池であって、前記負極が、負極活物質としてチタン含有酸化物を含み、前記非水電解質が、非水溶媒と、3.0mol/L以上のリチウム塩を含有してなり、前記リチウム塩が、少なくともアミドアニオンを有する化合物を含み、前記非水溶媒が、分子内にシアノ基を少なくとも1つ有する炭素数が12以下の化合物を少なくとも1種類含有してなることを特徴とする、非水電解質二次電池に関する。
また前記アミドアニオンを有する化合物が、リチウムビストリフルオロメチルスルホニルアミド(Li[N(CF3SO2)2])、リチウムビスペンタフルオロエチルスルホニルアミド(Li[N(C2F5SO2)2])、リチウムビスフルオロスルホニルアミド(Li[N(SO2F)2])、リチウムジシアナミド(Li[N(CN)2])、リチウム−N−フルオロスルホニル−N−トリフルオロメチルスルホニルアミド(Li[N(SO2F)(CF3SO2)])、リチウム−N−フルオロスルホニル−N−ペンタフルオロエチルスルホニルアミド(Li[N(SO2F)(C2F5SO2)])、リチウム−N−シアノ−N−フルオロスルホニルアミド(Li[N(CN)(SO2F)])のいずれかであることが好ましい。
また前記非電解質中の前記リチウム塩の濃度が7.0mol/L以下であることが好ましい。
また前記アミドアニオンを有する化合物を、前記リチウム塩全量に対して10重量%以上含有してなることが好ましい。
また前記分子内にシアノ基を少なくとも1つ有する炭素数が12以下の化合物が、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、シアノシクロペンタン、1,3−ジシアノシクロペンタン、シアノシクロヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサンであることが好ましい。
また前記分子内にシアノ基を少なくとも1つ有する炭素数が12以下の化合物が、前記非水溶媒の全量に対して5体積%以上、85体積%以下含まれることが好ましい。
また前記チタン含有酸化物が、チタン酸リチウムおよび/又は二酸化チタンであることが好ましい。
また前記正極において、正極活物質がLi1+xMyMn2―x―yO4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、Mは2〜13族でかつ第3〜4周期に属する元素からなる群から選択される少なくとも1種)で表されるスピネル型マンガン酸リチウムを含むことが好ましい。
また上記非水電解質二次電池を複数個接続してなる組電池に関する。
本発明によれば、充放電サイクル時のガス発生がなく、高出力が可能で優れたサイクル安定性を有する非水電解質二次電池が得られる。
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の非水電解質二次電池は、負極、正極、セパレータ、非水電解質、および外装材からなるリチウムイオン電池とすることができる。この正極及び負極には各々、リチウムイオンの挿入及び脱離が可能な活物質を含む活物質層が形成されており、この挿入及び脱離により、本発明のリチウムイオン二次電池の充電及び放電が為される。
<1.負極>
本発明の非水電解質二次電池に用いる負極は、金属製集電体の両面に、少なくとも負極活物質が含まれる負極活物質層が形成されている。負極活物質としてチタン含有酸化物を含む。チタン含有酸化物としては、チタン酸リチウム、二酸化チタンが好ましい。中でも、材料自身の安定性が高いことから、チタン酸リチウムがより好ましく、リチウムイオンの挿入・脱離の反応における活物質の膨張収縮が小さい点から、スピネル構造のチタン酸リチウムが特に好ましい。チタン酸リチウムには、たとえばNbなどのリチウム、チタン以外の元素が微量含まれていてもよい。
本発明の非水電解質二次電池に用いる負極は、金属製集電体の両面に、少なくとも負極活物質が含まれる負極活物質層が形成されている。負極活物質としてチタン含有酸化物を含む。チタン含有酸化物としては、チタン酸リチウム、二酸化チタンが好ましい。中でも、材料自身の安定性が高いことから、チタン酸リチウムがより好ましく、リチウムイオンの挿入・脱離の反応における活物質の膨張収縮が小さい点から、スピネル構造のチタン酸リチウムが特に好ましい。チタン酸リチウムには、たとえばNbなどのリチウム、チタン以外の元素が微量含まれていてもよい。
また、二酸化チタンとしては、B型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、ラムズデライト型二酸化チタン等が例示されるが、不可逆容量が小さいこと、およびサイクル安定性に優れることから、B型二酸化チタンが好ましい。
チタン含有酸化物の表面は、導電性向上、あるいは安定性向上のため、炭素材料、金属酸化物、あるいは高分子等で覆われてもよい。
チタン含有酸化物は1種類でもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る前記チタン含有酸化物の平均粒子径は、副反応の抑制の観点から1μm以上、20μm以下のものを用いることができるが、サイクル特性の観点から2μm以上、15μm以下が好ましく、より好ましくは、3μm以上、10μm以下である。
本発明に係る前記チタン含有酸化物の比表面積は、1m2/g以上、25m2/g以下のものを用いることができるが、良好なサイクル特性を示すことから、1.5m2/g以上、20m2/g以下が好ましく、副反応の抑制とのバランスから、2m2/g以上、15m2/g以下がより好ましい。
本発明の負極には導電助剤を含有させてもよく、導電助材としては、特に限定されないが、金属材料、炭素材料が好ましい。金属材料の場合は、銅、およびニッケルなど、炭素材料の場合は天然黒鉛、人造黒鉛、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、およびファーネスブラックなどが挙げられる。これら導電助材は1種類でもよいし、2種類以上用いてもよい。本発明において、負極に含まれる導電助材の量は、負極活物質100重量部に対して、好ましくは1重量部以上30重量部以下、より好ましくは2重量部以上15重量部以下である。上記範囲であれば、負極の導電性が確保される。また、後述のバインダーとの接着性が維持され、集電体との接着性を十分に得ることができる。
本発明の負極には、活物質を集電体に結着させるためバインダーを使用してよい。バインダーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイミドおよびそれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。バインダーは負極の作製しやすさから、非水溶媒または水に溶解、または分散されていることが好ましい。非水溶媒は、特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、およびテトラヒドロフランなどを挙げることができる。これらに分散剤、増粘剤を加えてもよい。本発明において、負極に含まれるバインダーの量は、負極活物質100重量部に対して、好ましくは1重量部以上30重量部以下、より好ましくは2重量部以上15重量部以下である。上記範囲であれば、負極活物質と導電助材との接着性が維持され、集電体との接着性を十分に得ることができる。
本発明の負極は、負極活物質、導電助材、およびバインダーの混合物を集電体上に形成することによって作製されるが、作製方法の容易さから、上記混合物および溶媒でスラリーを作製し、得られたスラリーを集電体上に塗工した後に、溶媒を除去することによって作製する方法が好ましい。
本発明の負極に用いることのできる集電体は、銅、SUS、ニッケル、チタン、アルミニウムおよびそれらの合金が好ましい。集電体の厚みは、特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。なお、集電体は、金属材料(銅、SUS、ニッケル、チタン、およびそれらの合金)の表面に負極の電位で反応しない金属を被覆したものも用いることもできる。
本発明において、負極の厚みは、特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましい。
本発明において、負極の密度は、1.0g/cm3以上3.0g/cm3以下であることが好ましく、負極活物質、導電助材との接触が十分にあり、かつ後述の非水電解質が負極内に浸透しやすいことから、1.3g/cm3以上、2.7g/cm3以下がさらに好ましく、負極活物質、導電助材との接触と、非水電解質の負極内へ浸透しやすさのバランスが最も取れている、1.5g/cm3以上、2.5g/cm3以下が特に好ましい。
前記負極の密度は、所望の厚みまで電極を圧縮することによって制御することが出来る。前記圧縮は、特に限定されないが、例えば、ロールプレス、油圧プレス等を用いて行うことができる。電極の圧縮は、後述の正極を形成する前でも、後でもよい。
前記負極の密度は、負極活物質層の厚みおよび重量から算出することが出来る。
<2.正極>
本発明の非水電解質二次電池に用いる正極は、金属製集電体の両面に、少なくとも正極活物質が含まれる正極活物質層が形成されている。正極活物質としては特に限定されず、金属酸化物やリチウム遷移金属複合酸化物などが用いられ得る。これらの中で、良好なサイクル特性を示すことから、Li1+xMyMn2―x―yO4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、Mは2〜13族でかつ第3〜4周期に属する元素からなる群から選択される少なくとも1種)で表されるスピネル型マンガン酸リチウムが好ましい。前記Li1+xMyMn2―x―yO4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、Mは2〜13族でかつ第3〜4周期に属する元素からなる群から選択される少なくとも1種)で表されるスピネル型マンガン酸リチウムは、正極活物質自身の安定性向上の効果が大きい点から、2〜13族でかつ第3〜4周期に属する元素は、Al、Mg、Zn、Ni、Co、Fe、Ti、Cu、Zr、およびCrが好ましく、Al、Mg、Zn、Ni、TiおよびCrがより好ましく、正極活物質自身の安定性向上の効果が特に大きいことから、Al、Mg、Zn、TiおよびNiが特に好ましい。
本発明の非水電解質二次電池に用いる正極は、金属製集電体の両面に、少なくとも正極活物質が含まれる正極活物質層が形成されている。正極活物質としては特に限定されず、金属酸化物やリチウム遷移金属複合酸化物などが用いられ得る。これらの中で、良好なサイクル特性を示すことから、Li1+xMyMn2―x―yO4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、Mは2〜13族でかつ第3〜4周期に属する元素からなる群から選択される少なくとも1種)で表されるスピネル型マンガン酸リチウムが好ましい。前記Li1+xMyMn2―x―yO4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、Mは2〜13族でかつ第3〜4周期に属する元素からなる群から選択される少なくとも1種)で表されるスピネル型マンガン酸リチウムは、正極活物質自身の安定性向上の効果が大きい点から、2〜13族でかつ第3〜4周期に属する元素は、Al、Mg、Zn、Ni、Co、Fe、Ti、Cu、Zr、およびCrが好ましく、Al、Mg、Zn、Ni、TiおよびCrがより好ましく、正極活物質自身の安定性向上の効果が特に大きいことから、Al、Mg、Zn、TiおよびNiが特に好ましい。
これらの中でも、後述の非水電解質との組み合わせで、ガス発生減少、および充電終止電圧の高電圧化の効果が大きいことから、Li1+xAlyMn2―x―yO4(0≦x≦0.1、0<y≦0.1)、Li1+xMgyMn2―x―yO4(0≦x≦0.1、0<y≦0.1)、Li1+xZnyMn2―x―yO4(0≦x≦0.1、0<y≦0.1)、Li1+xCryMn2―x―yO4(0≦x≦0.1、0<y≦0.1)Li1+xNiyMn2―x―yO4(0≦x≦0.05、0.45≦y≦0.5)、Li1+xNiy−zAlzMn2―x―yO4(0≦x≦0.05、0.45≦y≦0.5、0.005≦z≦0.03)、およびLi1+xNiy−zTizMn2―x―yO4(0≦x≦0.05、0.45≦y≦0.5、0.005≦z≦0.03)から選ばれる1種が好ましく、より大きい効果が得られる、Li1+xAlyMn2―x―yO4(0≦x≦0.1、0<y≦0.1)、Li1+xMgyMn2―x―yO4(0≦x≦0.1、0<y≦0.1)、Li1+xNiyMn2―x―yO4(0≦x≦0.05、0.45≦y≦0.5)、およびLi1+xNiy−zTizMn2―x―yO4(0≦x≦0.05、0.45≦y≦0.5、0.005≦z≦0.03)が特に好ましい。
これらの中から、負極活物質との組み合わせを考慮して適宜選択すればよい。また、複数の正極活物質を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられる正極活物質の表面は、導電性向上、あるいは安定性向上のため、炭素材料、金属酸化物、あるいは高分子等で覆われてもよい。
本発明の正極には導電助材を含有させてもよい。導電助材としては、特に限定されないが、炭素材料が好ましい。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、およびファーネスブラックなどが挙げられる。これら炭素材料は1種類でもよいし、2種類以上用いてもよい。本発明の正極に含まれる導電助材の量は、正極活物質100重量部に対して、好ましくは1重量部以上30重量部以下、より好ましくは2重量部以上15重量部以下である。上記範囲であれば、正極の導電性が確保される。また、後述のバインダーとの接着性が維持され、集電体との接着性を十分に得ることができる。
本発明の正極にはバインダーを含有させてよい。バインダーは、特に限定されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイミド、およびそれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。バインダーは正極の作製しやすさから、非水溶媒または水に溶解または分散されていることが好ましい。非水溶媒は、特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、およびテトラヒドロフランなどを挙げることができる。これらに分散剤、増粘剤を加えてもよい。本発明の正極に含まれるバインダーの量は、正極活物質100重量部に対して、好ましくは1重量部以上30重量部以下、より好ましくは2重量部以上15重量部以下である。上記範囲であれば、正極活物質と導電助材との接着性が維持され、集電体との接着性を十分に得ることができる。
本発明の正極は、正極活物質、導電助材、およびバインダーの混合物を集電体上に形成することによって作製されるが、作製方法の容易さから、上記混合物および溶媒でスラリーを作製し、得られたスラリーを集電体上に塗工した後に、溶媒を除去することによって作製する方法が好ましい。スラリーの作製は従来公知の条件、方法を使用すればよい。また、塗工、溶媒除去についても従来公知の条件、方法を使用すればよい。
本発明の正極に用いる集電体は、アルミニウムおよびその合金であることが好ましい。前記アルミニウムは、正極反応雰囲気下で安定であることから、特に限定されないが、JIS規格1030、1050、1085、1N90、1N99等に代表される高純度アルミニウムであることが好ましい。集電体の厚みは、特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。なお、集電体は、アルミニウム以外の金属(銅、SUS、ニッケル、チタン、およびそれらの合金)の表面にアルミニウムを被覆したものも用いることもできる。
本発明の正極の厚みは、特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましい。
本発明の正極の密度は、1.0g/cm3以上4.0g/cm3以下であることが好ましく、正極活物質、導電助材との接触が十分にあり、かつ後述の非水電解質が正極内に浸透しやすいことから、1.5g/cm3以上、3.5g/cm3以下がさらに好ましく、正極活物質、導電助材との接触と、非水電解質の正極内への浸透しやすさのバランスが最も取れている、2.0g/cm3以上、3.0g/cm3以下が特に好ましい。
前記正極の密度は、所望の厚みまで電極を圧縮することによって制御することが出来る。前記圧縮は、特に限定されないが、例えば、ロールプレス、油圧プレス等を用いて行うことができる。電極の圧縮は、前述の負極を形成する前でも、後でもよい。
前記正極の密度は、正極活物質層の厚みおよび重量から算出することが出来る。
<3.セパレータ>
本発明の非水電解質二次電池に用いるセパレータは、前述の正極と負極との間に設置され、絶縁性かつ後述の非水電解質を含むことが出来る構造であればよく、例えば、ナイロン、セルロース、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタラート、及びそれらを2種類以上複合したものの織布、不織布、微多孔膜などが挙げられる。
本発明の非水電解質二次電池に用いるセパレータは、前述の正極と負極との間に設置され、絶縁性かつ後述の非水電解質を含むことが出来る構造であればよく、例えば、ナイロン、セルロース、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタラート、及びそれらを2種類以上複合したものの織布、不織布、微多孔膜などが挙げられる。
セパレータは、各種可塑剤、酸化防止剤、難燃剤が含まれてもよいし、金属酸化物等で被覆されていてもよい。
セパレータの厚みは、特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましく、15μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。
前記セパレータの空隙率は、30%以上、90%以下であることが好ましく、リチウムイオンの拡散性の確保、および短絡の防止のバランスの観点から、35%以上、85%以下がより好ましく、前記バランスが特に優れていることから、40%以上、80%以下が特に好ましい。
<4.非水電解質>
本発明の非水電解質二次電池に用いる非水電解質は、前記負極と前記正極との間に介在され、それらの間のイオン伝達を媒介する働きを有する。
本発明の非水電解質二次電池に用いる非水電解質は、前記負極と前記正極との間に介在され、それらの間のイオン伝達を媒介する働きを有する。
前記非水電解質は、非水溶媒と、3.0mol/L以上のリチウム塩を含有してなり、前記リチウム塩が、少なくともアミドアニオンを有する化合物を含み、前記非水溶媒が分子内にシアノ基を少なくとも1つ有する炭素数が12以下の化合物を少なくとも1種類含有している。これにより、アミドアニオンを有する化合物と、分子内にシアノ基を少なくとも1つ有する炭素数が12以下の化合物が、活物質表面で会合層を形成して被膜を形成するため、活物質の異常活性点による非水溶媒の分解のよるガス発生が抑制される。
前記アミドアニオンを有する化合物としては、アミドアニオンの電子供与性が高く、前記会合層を形成しやすいことから、リチウムビストリフルオロメチルスルホニルアミド(Li[N(CF3SO2)2])、リチウムビスペンタフルオロエチルスルホニルアミド(Li[N(C2F5SO2)2])、リチウムビスフルオロスルホニルアミド(Li[N(SO2F)2])、リチウムジシアナミド(Li[N(CN)2])、リチウム−N−フルオロスルホニル−N−トリフルオロメチルスルホニルアミド(Li[N(SO2F)(CF3SO2)])、リチウム−N−フルオロスルホニル−N−ペンタフルオロエチルスルホニルアミド(Li[N(SO2F)(C2F5SO2)])、リチウム−N−シアノ−N−フルオロスルホニルアミド(Li[N(CN)(SO2F)])のいずれかが含まれていれば良く、その他のLiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiCF3SO3、LiBOB(Lithium Bis (Oxalato) Borate)などが含まれていても良い。溶解度が高く、サイクル特性が良好なことから、リチウムビスフルオロスルホニルアミド(Li[N(SO2F)2])、リチウムジシアナミド(Li[N(CN)2])、リチウム−N−フルオロスルホニル−N−トリフルオロメチルスルホニルアミド(Li[N(SO2F)(CF3SO2)])、リチウム−N−シアノ−N−フルオロスルホニルアミド(Li[N(CN)(SO2F)])が特に好ましい。また、高出力特性が得られることから、前記アミドアニオンを有するリチウム塩は、使用するリチウム塩全量に対して10重量%以上含有していることが好ましい。
前記リチウム塩の濃度としては、3.0mol/L以上であれば上記のガス抑制効果が得られるが、大電流充放電時に十分なガスの抑制の効果を得る観点から3.5mol/L以上が好ましく、4.0mol/L以上が特に好ましい。また、出力特性の観点から7.0mol/L以下であることが好ましい。
本発明に用いられる非水溶媒は、分子内にシアノ基少なくとも1つ有する炭素数が12以下の化合物を少なくとも1種類含有していればよく、その他の溶媒としては、環状の非プロトン性溶媒や鎖状の非プロトン性溶媒を用いることができる。環状の非プロトン性溶媒としては、環状カーボネート、環状エステル、環状スルホン及び環状エーテル、鎖状の非プロトン性溶媒としては、鎖状カーボネート、鎖状カルボン酸エステル、鎖状エーテル、などが挙げられる。より具体的には、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、γ−ブチロラクトン(BL)、スルホラン、ジオキソラン、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、プロピオン酸メチルなどが挙げられる。これら溶媒は1種類で用いてもよいし、2種類以上混合しても用いてもよい。
前記分子内にシアノ基少なくとも1つ有する炭素数が12以下の化合物としては、効果的に上記会合層を得られる観点から、アセトニトリル(AN)、プロピオニトリル(PN)、ブチロニトリル(BN)、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、シアノシクロペンタン、1,3−ジシアノシクロペンタン、シアノシクロヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサンが好ましく、出力特性やリチウム塩の溶解のさせやすさの観点からアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリルがさらに好ましく、アセトニトリル、プロピオニトリルが最もバランスが良いため特に好ましい。
前記分子内にシアノ基を少なくとも1つ有する炭素数が12以下の化合物は、効果的に上記会合層を得られる観点から、非水溶媒の全量に対して5体積%以上、85体積%以下であることが好ましく、15体積%以上、80体積%以下であることがガス抑制の観点から、さらに好ましく、特性のバランスが良いことから25体積%以上、75体積%以下が特に好ましい。
非水電解質は、あらかじめ正極、負極およびセパレータに含ませてもよいし、正極と負極との間にセパレータを配置したものを積層した後に添加してもよい。また、非水溶媒に溶質を溶解させた電解液を高分子に含浸させたゲル電解質などを用いることができる。
<5.外装材>
本発明に係る外装材の材料としては、熱融着により封止することが出来、外部からの水分の侵入を防ぎ、逆に内部から非水電解質が漏洩することを防ぐことが出来るラミネートフィルムを用いる。具体的な例としては、金属箔にヒートシール用の熱可塑性樹脂層を設けた複合フィルムが挙げられる。金属箔は外部からの水分の侵入を防ぎつつシート全体の強度を向上させるものであれば特に限定されないが、水分遮断性と重量ならびにコストの面からアルミ箔が好適に用いられ得る。シート全体の強度が確保できるのであれば、金属箔の代わりに蒸着やスパッタリングなどにより金属層を設けても良い。
本発明に係る外装材の材料としては、熱融着により封止することが出来、外部からの水分の侵入を防ぎ、逆に内部から非水電解質が漏洩することを防ぐことが出来るラミネートフィルムを用いる。具体的な例としては、金属箔にヒートシール用の熱可塑性樹脂層を設けた複合フィルムが挙げられる。金属箔は外部からの水分の侵入を防ぎつつシート全体の強度を向上させるものであれば特に限定されないが、水分遮断性と重量ならびにコストの面からアルミ箔が好適に用いられ得る。シート全体の強度が確保できるのであれば、金属箔の代わりに蒸着やスパッタリングなどにより金属層を設けても良い。
熱可塑性樹脂層の組成については特に限定されないが、ヒートシール可能な温度範囲ならびに非水電解質の遮断性の観点から、ポリエチレンやポリプロピレンが好適に用いられ得る。
金属箔と熱可塑性樹脂との密着性を向上させるため、両者の間に接着層を設けていても良いし、金属箔の酸化防止のため、熱可塑性樹脂層を設けるのとは反対側の面に、保護層を設けていても良い。
<6.非水電解質二次電池>
本発明の非水電解質二次電池の正極および負極は、集電体の両面に同じ電極を形成させた形態であってもよく、集電体の片面に正極、一方の面に負極を形成させた形態、すなわち、バイポーラ電極であってもよい。
本発明の非水電解質二次電池の正極および負極は、集電体の両面に同じ電極を形成させた形態であってもよく、集電体の片面に正極、一方の面に負極を形成させた形態、すなわち、バイポーラ電極であってもよい。
本発明の非水電解質二次電池は、正極側と負極側との間にセパレータを配置したものを捲回したものであってもよいし、積層したものであってもよい。正極、負極、およびセパレータには、リチウムイオン伝導を担う非水電解質が含まれている。
本発明の非水電解質二次電池における電極活物質層の面積は電池の設計によって適宜選択することができるが、サイクル安定性、安全性の観点から下記式(1)を満たすことが好ましい。
但し、Aは正極活物質層の面積、Bは負極活物質層の面積を示す。
また、負極活物質層とセパレータとの面積比は特に限定されないが、下記式(2)を満たすことが好ましい。
但し、Bは負極活物質層の面積、Cはセパレータの面積を示す。
本発明の非水電解質二次電池における正極の電気容量と負極の電気容量との比は、下記式(3)を満たすことが好ましい。
但し、上記式(3)中、Eは正極1cm2あたりの電気容量を示し、Dは負極1cm2あたりの電気容量を示す。
本発明の非水電解質二次電池は、上記積層体を捲回、あるいは複数積層した後にラミネートフィルムで外装してもよいし、角形、楕円形、円筒形、コイン形、ボタン形、シート形の金属缶で外装してもよい。外装には発生したガスを放出するための機構が備わっていてもよい。積層体の積層数は、所望の電圧値、電池容量を発現するまで積層させることができる。
<7.組電池>
本発明の非水電解質二次電池は、複数接続することによって組電池とすることができる。本発明の組電池は、所望の大きさ、容量、電圧によって適宜直列、並列に接続することによって作製することができる。また、各電池の充電状態の確認、安全性向上のため、前記組電池に制御回路が付属されていることが好ましい。
本発明の非水電解質二次電池は、複数接続することによって組電池とすることができる。本発明の組電池は、所望の大きさ、容量、電圧によって適宜直列、並列に接続することによって作製することができる。また、各電池の充電状態の確認、安全性向上のため、前記組電池に制御回路が付属されていることが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
(正極の製造例)
正極に用いる正極活物質として、スピネル型のマンガン酸リチウム(Li1.1Al0.1Mn1.8O4)を用いた。
正極に用いる正極活物質として、スピネル型のマンガン酸リチウム(Li1.1Al0.1Mn1.8O4)を用いた。
スピネル型のマンガン酸リチウム(Li1.1Al0.1Mn1.8O4)、導電助材(アセチレンブラック)、およびバインダー(PVdF)を、それぞれ固形分濃度で100重量部、5重量部、および5重量部となるように混合し、スラリーを作製した。なお、バインダーは固形分濃度5wt%のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液に調整したものを使用し、後述の塗工をしやすいように、さらにNMPを加えて粘度調整した。
このスラリーをアルミニウム箔(20μm)に片面塗工して120℃のオーブンで乾燥させた後、裏面も同様に塗工・乾燥を行い、さらに170℃で真空乾燥することによって正極(片面50cm2)を作製した。
正極の容量は次の充放電試験で測定した。
前述と同様にアルミニウム箔の片面に塗工した電極を16mmΦに打ち抜き動作極、Li金属を16mmΦに打ち抜き対極とした。これらの電極を用いて、動作極(片面塗工)/セパレータ/Li金属の順に試験セル(HSセル、宝泉社製)内に積層し、非水電解質(エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート=3/7vol%、LiPF6 1mol/L)を0.15mL入れ、半電池を作製した。この半電池を25℃で一日放置した後、充放電試験装置(HJ1005SD8、北斗電工社製)に接続した。この半電池を25℃、0.4mAで定電流充電(終止電圧:4.5V)および定電流放電(終止電圧:3.5V)を5回繰り返し、5回目の放電容量の結果を正極の容量とした。その結果、正極の容量は、1.0mAh/cm2であった。
(負極の製造例)
負極活物質として、平均粒子径が5μm、比表面積が4m2/gのスピネル型のチタン酸リチウム(Li4/3Ti5/3O4)を用いた。この負極活物質、導電助材(アセチレンブラック)、およびバインダー(PVdF)を、それぞれ固形分濃度で100重量部、5重量部、および5重量部となるように混合し、スラリーを作製した。なお、バインダーは固形分濃度5wt%のNMP溶液に調製したものを使用し、後述の塗工をしやすいように、さらにNMPを加えて粘度調整した。このスラリーをアルミニウム箔(20μm)に塗工した後に、120℃のオーブンで乾燥させた後、さらに170℃で真空乾燥することによって負極(55cm2)を作製した。
負極活物質として、平均粒子径が5μm、比表面積が4m2/gのスピネル型のチタン酸リチウム(Li4/3Ti5/3O4)を用いた。この負極活物質、導電助材(アセチレンブラック)、およびバインダー(PVdF)を、それぞれ固形分濃度で100重量部、5重量部、および5重量部となるように混合し、スラリーを作製した。なお、バインダーは固形分濃度5wt%のNMP溶液に調製したものを使用し、後述の塗工をしやすいように、さらにNMPを加えて粘度調整した。このスラリーをアルミニウム箔(20μm)に塗工した後に、120℃のオーブンで乾燥させた後、さらに170℃で真空乾燥することによって負極(55cm2)を作製した。
負極の容量は次の充放電試験で測定した。
前述と同様の条件でアルミニウム箔の片面に電極を塗工し、16mmΦに打ち抜き動作極を作製した。Li金属を16mmΦに打ち抜き対極とした。これらの電極を用いて、動作極(片面塗工)/セパレータ/Li金属の順に試験セル(HSセル、宝泉社製)内に積層し、非水電解質(エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート=3/7vol%、LiPF6 1mol/L)を0.15mL入れ、半電池を作製した。この半電池を25℃で一日放置した後、充放電試験装置(HJ1005SD8、北斗電工社製)に接続した。この半電池を25℃、0.4mAで定電流放電(終止電圧:1.0V)および定電流充電(終止電圧:2.0V)を5回繰り返し、5回目の放電容量の結果を負極の容量とした。その結果、負極の容量は、1.2mAh/cm2であった。
(実施例1〜18、比較例1〜4)
製造例で作製した正極、負極を用い、セパレータは、セルロース系不職布(25μm、60cm2)を用いた。最初に、正極、負極、およびセパレータを、セパレータ/負極/セパレータ/正極/セパレータ/負極/セパレータの順に積層し、次に、正極および負極それぞれの未塗工部にアルミニウムタブを振動溶着させた後に、上下から二枚のアルミラミネートフィルムで挟み、3辺を180℃×7秒で二回ヒートシールして融着させた。ここに表1に記載の非水電解質を6mL入れた後に、減圧しながら残りの辺を180℃×7秒で二回ヒートシールし、非水電解質二次電池を得た。
製造例で作製した正極、負極を用い、セパレータは、セルロース系不職布(25μm、60cm2)を用いた。最初に、正極、負極、およびセパレータを、セパレータ/負極/セパレータ/正極/セパレータ/負極/セパレータの順に積層し、次に、正極および負極それぞれの未塗工部にアルミニウムタブを振動溶着させた後に、上下から二枚のアルミラミネートフィルムで挟み、3辺を180℃×7秒で二回ヒートシールして融着させた。ここに表1に記載の非水電解質を6mL入れた後に、減圧しながら残りの辺を180℃×7秒で二回ヒートシールし、非水電解質二次電池を得た。
(非水電解質二次電池のサイクル特性評価)
実施例または比較例で作製した非水電解質二次電池を、充放電装置(HJ1005SD8、北斗電工社製)に接続し、エージング工程を経た後に充放電サイクル運転を行った。
実施例または比較例で作製した非水電解質二次電池を、充放電装置(HJ1005SD8、北斗電工社製)に接続し、エージング工程を経た後に充放電サイクル運転を行った。
エージング工程では、各非水電解質二次電池を満充電(2.7V)にしたのちに、60℃で168時間放置し、その後、室温(25℃)まで徐冷した。
エージング工程後に、60℃、25mA定電流充電、50mA定電流放電を500回繰り返した。このときの充電終止電圧および放電終止電圧はそれぞれ2.7Vおよび2.0Vとした。サイクル特性の安定性は、1回目の放電容量を100としたときの、500回目の放電容量の維持率で評価した。ガス発生が無く、500回目の放電容量維持率で80%以上を良好、80%未満を不良とした。この結果を表1〜表4に記載した。なお、ガス発生の判定は、充放電サイクル運転前後の電池の体積をアルキメデス法で測定し、その増加分であるガス発生量が0.5mL/Ah未満であった場合をガス発生なし、0.5mL/Ah以上であった場合をガス発生有とした。
実施例1〜18はリチウム塩の濃度、アミドアニオンの種類、シアノ基を有する化合物のバランスが良いため、負極表面に良好な会合層を形成することからガス発生が無く高い容量維持率を有している。
比較例1、比較例3はアミドアニオンを有するリチウム塩が含まれていないため、会合層が形成されず、ガス発生が抑制できていないものと考えられる。比較例2は、リチウム塩濃度が低いため、会合層を形成するためのアミドアニオンが十分量存在せず、ガス発生が抑制できていない。比較例4は、非水溶媒に会合層を形成するためのシアノ基を有する化合物が含まれていないため、会合層の形成が不十分となり、容量維持率の低下が観測されている。
以上の結果から、非水電解質二次電池において、負極活物質としてチタン含有酸化物を含み、非水電解質に、3.0mol/L以上のリチウム塩を含有してなり、前記リチウム塩が、少なくともアミドアニオンを有するものを含み、非水溶媒として、分子内にシアノ基少なくとも1つ有する炭素数が12以下の化合物を少なくとも1種類含有させることで、ガス発生が抑制され、優れたサイクル特性を有することが明らかとなった。
Claims (9)
- 負極、正極、及び前記負極と前記正極との間に介在される非水電解質を備える二次電池であって、
前記負極が、負極活物質としてチタン含有酸化物を含み、
前記非水電解質が、非水溶媒と、3.0mol/L以上のリチウム塩を含有してなり、
前記リチウム塩が、少なくともアミドアニオンを有する化合物を含み、
前記非水溶媒が、分子内にシアノ基を少なくとも1つ有する炭素数が12以下の化合物を少なくとも1種類含有してなることを特徴とする、非水電解質二次電池。 - 前記アミドアニオンを有する化合物が、リチウムビストリフルオロメチルスルホニルアミド(Li[N(CF3SO2)2])、リチウムビスペンタフルオロエチルスルホニルアミド(Li[N(C2F5SO2)2])、リチウムビスフルオロスルホニルアミド(Li[N(SO2F)2])、リチウムジシアナミド(Li[N(CN)2])、リチウム−N−フルオロスルホニル−N−トリフルオロメチルスルホニルアミド(Li[N(SO2F)(CF3SO2)])、リチウム−N−フルオロスルホニル−N−ペンタフルオロエチルスルホニルアミド(Li[N(SO2F)(C2F5SO2)])、リチウム−N−シアノ−N−フルオロスルホニルアミド(Li[N(CN)(SO2F)])のいずれかである、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
- 前記非電解質中の前記リチウム塩の濃度が7.0mol/L以下である、請求項1〜2のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池。
- 前記アミドアニオンを有する化合物を、前記リチウム塩全量に対して10重量%以上含有してなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池。
- 前記分子内にシアノ基を少なくとも1つ有する炭素数が12以下の化合物が、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、シアノシクロペンタン、1,3−ジシアノシクロペンタン、シアノシクロヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池。
- 前記分子内にシアノ基を少なくとも1つ有する炭素数が12以下の化合物が、前記非水溶媒の全量に対して5体積%以上、85体積%以下含まれる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池。
- 前記チタン含有酸化物が、チタン酸リチウムおよび/又は二酸化チタンである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池。
- 前記正極において、正極活物質がLi1+xMyMn2―x―yO4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、Mは2〜13族でかつ第3〜4周期に属する元素からなる群から選択される少なくとも1種)で表されるスピネル型マンガン酸リチウムを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池を複数個接続してなる組電池。
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