JP2015153535A - 非水電解質二次電池およびその製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池およびその製造方法 Download PDF

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義友 竹林
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Abstract

【課題】高い出力特性を保ちつつ容量維持率を高く維持できる非水電解質二次電池の提供【解決手段】ここで提案される非水電解質二次電池は、正極集電体51と、正極集電体51に保持された正極活物質層53とを備えているとよい。正極活物質層53は、正極活物質210と、第1導電材221と、第2導電材222と、バインダ(図示省略)とを含んでいる。第1導電材は、バインダを介さずに正極活物質210に直接付着している。また、第2導電材222は、正極活物質層53中に分散している。この場合、第1導電材221のDBP吸油量は第2導電材222よりも大きいとよい。【選択図】図4

Description

本発明は、非水電解質二次電池に関する。ここで、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充電可能な電池一般をいう。「非水電解質二次電池」とは、電解質塩を溶解した非水溶媒からなる非水電解質が用いられた二次電池をいう。「非水電解質二次電池」の一種である「リチウムイオン二次電池」は、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。一般に「リチウム二次電池」のように称される電池は、本明細書におけるリチウムイオン二次電池に包含されうる。
例えば、特開2005−203249号公報には、非水電解質二次電池の正極の製造方法が開示されている。ここで開示された正極の製造方法は、以下の工程を有している。
A.正極活物質粒子の表面に炭素系の導電材に付着させる工程;
B.炭素系の導電材をバインダとともに溶液中に混練・分散させて導電材ペーストを作製する工程;
C.炭素系の導電材が付着した正極活物質粒子と導電材ペーストとを混練・分散させて正極ペーストを作製する工程;
D.および、正極ペーストを正極芯体に塗り着ける工程。
この製造方法で得られる正極によれば、極板抵抗が低く、負荷性能、サイクル性能の優れ、高容量で高寿命の非水電解質二次電池が得られるとされている。
また、特開2011−129442号公報には、金属リチウム基準で4.5V以上の高電位を発現する正極活物質と、導電剤として難黒鉛化炭素とカーボンブラックと、を有する正極が開示されている。ここでは、正極活物質層に占める正極活物質の表面積(SA)に対する導電剤の表面積(SC)の比率(SC)/(SA)が、0.5以上2.5以下となるよう正極を構成することが提案されている。これによって、4.5V以上の高電位を発現する正極活物質が用いられたリチウムイオン二次電池において、非水電解液の溶媒の酸化分解によるクーロン効率の低下、または、導電剤としての黒鉛の膨張収縮によるサイクル特性の低下が抑制されることが開示されている。
また、特開2013−93109号公報では、過充電時に正極において分解されてガスを発生する添加剤を含む非水電解液が用いられた非水電解質二次電池が開示されている。ここでは、非水電解質二次電池は、第1導電材として鱗片状黒鉛を合わせて混ぜた正極活物質層を有している。また、正極活物質の表面の一部は、第2導電材としてアセチレンブラックで被覆されている。ここで提案された非水電解質二次電池は、電池特性を低下させることなく、過充電時におけるガスの発生量を増加させることができるとされている。
また、特開2008−181714号公報では、正極活物質としてジルコニウム、チタン、アルミニウム、マグネシウムの少なくとも1種が均質に分散するように焼結された異種金属元素添加コバルト酸リチウムを含む正極活物質層が開示されている。ここでは、正極活物質層には、BET比表面積が60〜100m/gかつDBP吸油量が250〜350cm/100gであるカーボンブラックが添加されている。
特開2005−203249号公報 特開2011−129442号公報 特開2013−93109号公報 特開2008−181714号公報
ところで、本発明者は、非水電解質二次電池について、金属リチウム基準で4.3V以上(例えば、4.6〜4.7V程度、さらには4.9V程度)の高電位を発現する正極活物質を用いることを検討している。かかる高電位を発現する正極活物質を用いた非水電解質二次電池は、正極の電位が高いために正極側で電解液が分解される。このため、非水電解質二次電池の耐久性が低くなる傾向がある。高電位を発現する正極活物質を用いた場合でも、非水電解質二次電池は、出力特性が高く維持され、かつ、非水電解質二次電池の耐久性が向上することが望まれる。
ここで提案される非水電解質二次電池は、正極集電体と、正極集電体に保持された正極活物質層とを備えている。正極活物質層は、正極活物質と、第1導電材と、第2導電材と、バインダ(図示省略)とを含んでいる。ここでは、正極活物質の作動電位は、開回路電圧が4.3V(vs.Li/Li)以上である。また、第1導電材は、バインダを介さずに正極活物質に直接付着している。また、第2導電材は、正極活物質層中に分散している。そして、第1導電材のDBP吸油量は第2導電材よりも大きい。かかる構成によって、高電位を発現する正極活物質が用いられた場合でも、高い出力特性を保ちつつ、容量維持率を高く維持することを実現できる。ここで、DBP吸収量[mL/100g]は、JIS K6217−4「ゴム用カーボンブラック‐基本特性‐第4部:DBP吸収量の求め方」に基づいて評価されうる。
この場合、出力を向上させるとの観点において、第1導電材のDBP吸油量は、例えば、190mL/100g以上であるとよい。また、容量維持率を高く維持するとの観点において、第2導電材のDBP吸油量は、例えば、190mL/100g未満であるとよい。また、出力を向上させ、かつ、容量維持率を高くするとの観点において、正極活物質層中の第1導電材の添加量は、第2導電材の添加量よりも少ないとよい。例えば、正極活物質層中の前記第1導電材の添加量は3wt%以下であるとよい。
上述したように、正極活物質210の作動電位は、開回路電圧が4.3V(vs.Li/Li)以上である。本案は、このような高電位を発現する正極活物質が用いられる場合に特に有意である。例えば、正極活物質は、スピネル型のマンガン酸リチウムまたはオリビン型のリン酸リチウムでもよい。この場合、マンガン酸リチウムまたはリン酸リチウムは、Cr、Ti、Fe、Co、Ni、Cuのうちから選択される一種または複数種を含有していてもよい。
また、かかる非水電解質二次電池の製造方法としては、例えば、以下の工程A〜工程Dを含んでいるとよい。
工程Aは、DBP吸油量が190mL/100g以上の第1導電材がバインダを介さずに付着した正極活物質210を用意する工程である。
工程Bは、DBP吸油量が190mL/100g未満である第2導電材を用意する工程である。
工程Cは、第1導電材が付着した正極活物質と、第2導電材と、バインダとを混合する工程である。
工程Dは、正極活物質と第2導電材とバインダとを混合した混合物を、正極集電体としての正極集電箔に付着させる工程である。
かかる製造方法によって、上述した非水電解質二次電池を具現化できる。
この場合、例えば、上記混合する工程(工程C)では、例えば、第1導電材が付着した正極活物質と、第2導電材と、バインダとを溶媒中で混合した合材ペーストが作製されてもよい。この場合、付着させる工程(工程D)では、工程Cにおいて作製された合材ペーストを正極集電体に塗布した後、乾燥させてもよい。
また、混合する工程(工程C)では、第1導電材が付着した正極活物質と、第2導電材と、バインダとを混合した混合粉体を作製してもよい。この場合、付着させる工程(工程D)では、工程Cで作製された混合粉体を正極集電体の上に堆積させてもよい。
図1は、リチウムイオン二次電池10を示す断面図である。 図2は、リチウムイオン二次電池10に内装される電極体40を示す図である。 図3は、正極活物質層53中の正極活物質210と、導電材220とを模式的に示している。 図4は、ここで提案される非水電解質二次電池の正極活物質層53中の正極活物質210と、第1導電材221、第2導電材222とを模式的に示している。
以下、ここで提案される非水電解質二次電池についての一実施形態を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、各図は模式的に描かれており、例えば、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜に省略または簡略化する。
ここでは、まず非水電解質二次電池としてリチウムイオン二次電池10を例に挙げ、適用されうるリチウムイオン二次電池10の構造例を説明する。その後、リチウムイオン二次電池10について、ここで提案される構造を説明する。
《リチウムイオン二次電池10》
図1は、リチウムイオン二次電池10を示す断面図である。図2は、当該リチウムイオン二次電池10に内装される電極体40を示す図である。なお、図1および図2に示されるリチウムイオン二次電池10は、本発明が適用されうるリチウムイオン二次電池の一例を示すものに過ぎず、本発明が適用されうるリチウムイオン二次電池を特段限定するものではない。
リチウムイオン二次電池10は、図1に示すように、電池ケース20と、電極体40(図1では、捲回電極体)とを備えている。
《電池ケース20》
電池ケース20は、ケース本体21と、封口板22とを備えている。ケース本体21は、一端に開口部を有する箱形を有している。ここで、ケース本体21は、リチウムイオン二次電池10の通常の使用状態における上面に相当する一面が開口した有底直方体形状を有している。この実施形態では、ケース本体21には、矩形の開口が形成されている。封口板22は、ケース本体21の開口を塞ぐ部材である。封口板22は凡そ矩形のプレートで構成されている。かかる封口板22がケース本体21の開口周縁に溶接されることによって、略六面体形状の電池ケース20が構成されている。
電池ケース20の材質は、例えば、軽量で熱伝導性の良い金属材料を主体に構成された電池ケース20が好ましく用いられうる。このような金属製材料としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルめっき鋼等が例示される。本実施形態に係る電池ケース20(ケース本体21および封口板22)はアルミニウム若しくはアルミニウムを主体とする合金によって構成されている。
図1に示す例では、封口板22に外部接続用の正極端子23(外部端子)および負極端子24(外部端子)が取り付けられている。封口板22には、安全弁30と、注液口32が形成されている。安全弁30は、電池ケース20の内圧が所定レベル(例えば、設定開弁圧0.3MPa〜1.0MPa程度)以上に上昇した場合に該内圧を開放するように構成されている。また、図1では、電解液80が注入された後で、注液口32が封止材33によって封止された状態が図示されている。かかる電池ケース20には、電極体40が収容されている。
《電極体40(捲回電極体)》
電極体40は、図2に示すように、帯状の正極(正極シート50)と、帯状の負極(負極シート60)と、帯状のセパレータ(セパレータ72,74)とを備えている。
《正極シート50》
正極シート50は、帯状の正極集電箔51と正極活物質層53とを備えている。正極集電箔51には、正極に適する金属箔が好適に使用され得る。正極集電箔51には、例えば、所定の幅を有し、厚さが凡そ15μmの帯状のアルミニウム箔を用いることができる。正極集電箔51の幅方向片側の縁部に沿って露出部52が設定されている。図示例では、正極活物質層53は、正極集電箔51に設定された露出部52を除いて、正極集電箔51の両面に形成されている。ここで、正極活物質層53は、正極集電箔51に保持され、少なくとも正極活物質が含まれている。この実施形態では、正極活物質層53は、正極活物質を含む正極合剤が正極集電箔51に塗工されている。また、「露出部52」は、正極集電箔51に正極活物質層53が保持(塗工、形成)されない部位をいう。
正極活物質には、従来からリチウムイオン電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。好適例として、リチウムニッケル酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO)、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMn)等のリチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物(リチウム遷移金属酸化物)や、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等のリチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含むリン酸塩等が挙げられる。
〈導電材〉
導電材としては、例えば、カーボン粉末、カーボンファイバーなどのカーボン材料が例示される。このような導電材から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末などのカーボン粉末を用いることができる。
〈バインダ〉
また、バインダは、正極活物質層53に含まれる正極活物質と導電材の各粒子を接着させたり、これらの粒子と正極集電箔51とを接着させたりする。かかるバインダとしては、使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、水性溶媒を用いた正極合剤組成物においては、セルロース系ポリマー(カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)など)、フッ素系樹脂(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)など)、ゴム類(酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)など)などの水溶性または水分散性ポリマーを好ましく採用することができる。また、非水溶媒を用いた正極合剤組成物においては、ポリマー(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリルニトリル(PAN)など)を好ましく採用することができる。
《負極シート60》
負極シート60は、図2に示すように、帯状の負極集電箔61と、負極活物質層63とを備えている。負極集電箔61には、負極に適する金属箔が好適に使用され得る。この負極集電箔61には、所定の幅を有し、厚さが凡そ10μmの帯状の銅箔が用いられている。負極集電箔61の幅方向片側には、縁部に沿って露出部62が設定されている。負極活物質層63は、負極集電箔61に設定された露出部62を除いて、負極集電箔61の両面に形成されている。負極活物質層63は、負極集電箔61に保持され、少なくとも負極活物質が含まれている。この実施形態では、負極活物質層63は、負極活物質を含む負極合剤が負極集電箔61に塗工されている。また、「露出部62」は、負極集電箔61に負極活物質層63が保持(塗工、形成)されない部位をいう。
〈負極活物質〉
負極活物質としては、従来からリチウムイオン電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。好適例として、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属窒化物等が挙げられる。
《セパレータ72、74》
セパレータ72、74は、図2に示すように、正極シート50と負極シート60とを隔てる部材である。この例では、セパレータ72、74は、微小な孔を複数有する所定幅の帯状のシート材で構成されている。セパレータ72、74には、樹脂製の多孔質膜、例えば、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成された単層構造のセパレータ或いは積層構造のセパレータを用いることができる。この例では、図2に示すように、負極活物質層63の幅b1は、正極活物質層53の幅a1よりも少し広い。さらにセパレータ72、74の幅c1、c2は、負極活物質層63の幅b1よりも少し広い(c1、c2>b1>a1)。
また、セパレータ72、74は、正極活物質層53と負極活物質層63とを絶縁するとともに、電解質の移動を許容する。図示は省略するが、セパレータ72、74は、プラスチックの多孔質膜からなる基材の表面に耐熱層が形成されていてもよい。耐熱層は、フィラーとバインダとからなる。耐熱層は、HRL(Heat Resistance Layer)とも称される。
《電極体40の取り付け》
この実施形態では、電極体40は、図2に示すように、捲回軸WLを含む一平面に沿って扁平に押し曲げられている。図2に示す例では、正極集電箔51の露出部52と負極集電箔61の露出部62とは、それぞれセパレータ72、74の両側において、らせん状に露出している。図1に示すように、電極体40は、セパレータ72、74からはみ出た正負の露出部52、62が、正負の電極端子23、24の電池ケース20の内部に配置された先端部23a、24aに溶接されている。
図1に示す形態では、捲回軸WLを含む一平面に沿って扁平な捲回電極体40が電池ケース20に収容されている。電池ケース20には、さらに電解液が注入される。電解液80は、捲回軸WL(図2参照)の軸方向の両側から電極体40の内部に浸入する。
《電解液(液状電解質)》
電解液80としては、従来からリチウムイオン電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解液は、典型的には、適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する。上記非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(以下、適宜に「EC」という。)、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート(以下、適宜に「DMC」という。)、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート(以下、適宜に「EMC」という。)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等からなる群から選択された一種または二種以上を用いることができる。また、上記支持塩としては、例えば、LiPF,LiBF,LiAsF,LiCFSO,LiCSO,LiN(CFSO,LiC(CFSO等のリチウム塩を用いることができる。一例として、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(例えば組成比1:1)にLiPFを約1mol/Lの濃度で含有させた非水電解液が挙げられる。
なお、図1は、電池ケース20内に注入される電解液80を模式的に示しており、電池ケース20内に注入される電解液80の量を厳密に示すものではない。また、電池ケース20内に注入された電解液80は、捲回電極体40の内部において、正極活物質層53や負極活物質層63の空隙などに十分に染み渡っている。
かかるリチウムイオン二次電池10の正極集電箔51と負極集電箔61は、電池ケース20を貫通した電極端子23、24を通じて外部の装置に電気的に接続される。以下、充電時と放電時のリチウムイオン二次電池10の動作を説明する。
《充電時の動作》
充電時、リチウムイオン二次電池10は、正極シート50と負極シート60との間に、電圧が印加され、正極活物質層53中の正極活物質からリチウムイオン(Li)が電解液に放出され、正極活物質層53から電荷が放出される。負極シート60では電荷が蓄えられるとともに、電解液中のリチウムイオン(Li)が、負極活物質層63中の負極活物質に吸収され、かつ、貯蔵される。これにより、負極シート60と正極シート50とに電位差が生じる。
《放電時の動作》
放電時、リチウムイオン二次電池10は、負極シート60と正極シート50との電位差によって、負極シート60から正極シート50に電荷が送られるとともに、負極活物質層63に貯蔵されたリチウムイオンが電解液に放出される。また、正極では、正極活物質層53中の正極活物質に電解液中のリチウムイオンが取り込まれる。
このようにリチウムイオン二次電池10の充放電において、正極活物質層53中の正極活物質や負極活物質層63中の負極活物質にリチウムイオンが吸蔵されたり、放出されたりする。そして、電解液を介して、正極活物質層53と負極活物質層63との間でリチウムイオンが行き来する。
《車両用途の特徴》
このようなリチウムイオン二次電池10は、例えば、4Vを超えるような高い出力を実現しうる。このため、特に発進時や加速時に高い出力が求められる電気車両やハイブリッド車両の駆動用電源として好適に用いられうる。また、リチウムイオン二次電池10は、充電効率が高く、急速な充電にも適用でき、例えば、車両の減速時(ブレーキ時)に運動エネルギを電気エネルギに回生して充電するようなエネルギ回生システムにも適用されうる。また、車両用途では、特に、街中での走行などで、加速や減速が繰返し行われる。これに伴い、電気車両やハイブリッド車両の駆動用電源にリチウムイオン二次電池10が用いられる場合には、高出力の放電や急速充電が繰返される。このため、かかるハイレートでの充放電が繰り返される用途では、電池抵抗の増加が低く抑えられ、かつ、出力が高く維持されることが望ましい。
本発明者は、かかる非水電解質二次電池について、金属リチウム基準で4.3V以上(例えば、4.6〜4.7V程度、さらには4.9V程度)の高電位を発現する正極活物質を用いることを検討している。本発明者の知見によれば、この場合、正極では、特に高電位となり、電解液が分解される電位を超える場合がある。
図3は、正極活物質層53中の正極活物質210と、導電材220とを模式的に示している。ここで、正極活物質層53にはバインダ(図示省略)が含まれており、正極活物質210と導電材220とはバインダ(図示省略)によって互いに付着している。かかる形態においてDBP吸油量が小さい導電材220を用いて正極活物質層53を作製した場合には、導電材220が保持する電解液の量が少ない。このため、分解される電解液の量が少なく耐久性は高く維持されるが、出力が低下する傾向が見られる。これに対して、DBP吸油量が大きい導電材220を用いて正極活物質層53を作製した場合には、導電材220が保持する電解液の量が多い。このため、高い出力が得られるが、分解される電解液の量が多くなり、耐久性が悪くなる傾向が見られる。
つまり、金属リチウム基準で4.3V以上の高電位を発現する正極活物質を用いた場合に、耐久性を高く維持することと、高い出力を得ることとは背反する関係にある。このような事象を鑑み、ここでは、金属リチウム基準で4.3V以上の高電位を発現する正極活物質を用いた場合でも、高い出力が得られ、かつ、電解液が分解され難い非水電解質二次電池を提案する。
《提案される非水電解質二次電池》
ここで提案される非水電解質二次電池は、例えば、図1に示すように、正極集電体としての正極集電箔51と、正極集電箔51に保持された正極活物質層53とを備えている。図4は、ここで提案される非水電解質二次電池の正極活物質層53中の正極活物質210と、第1導電材221、第2導電材222とを模式的に示している。
ここで、正極活物質層53は、正極活物質210と、第1導電材221と、第2導電材222と、バインダ(図示省略)とを含んでいる。第1導電材221のDBP吸油量は第2導電材222よりも大きい。第1導電材221は、バインダを介さずに正極活物質210に直接付着している。第2導電材222は、正極活物質層53中に分散している。
《正極活物質210》
ここで、正極活物質210は、金属リチウム基準で4.3V以上の高電位を発現する活物質材料が好ましい。かかる材料として、正極活物質210は、例えば、例えば、正極活物質は、スピネル型のマンガン酸リチウムまたはオリビン型のリン酸リチウムが例示される。この場合、マンガン酸リチウムまたは前記リン酸リチウムは、Cr、Ti、Fe、Co、Ni、Cuのうちから選択される一種または複数種を含有していてもよい。
例えば、スピネル型のニッケルマンガン酸リチウムが例示される。好ましくは、ニッケルマンガン酸リチウムは、少なくともTiとFeを含有しているとよい。かかる正極活物質210としては、例えば、LiNi0.45Ti0.05Fe0.05Mn1.45が例示される。また、金属リチウム基準で4.3V以上の高電位を発現する活物質材料としては、他に、LiM0.5Mn1.5(ここで、M=Cr,Fe,Co,Ni,Cu)やLiMMnO(ここで、M=Cr,Co)などのスピネル型の活物質、LiMPO(ここで、M=Co,Ni)のようなオリビン型の活物質が例示される。
《第1導電材221》
この場合、例えば、第1導電材のDBP吸油量は、190mL/100g以上(より好ましくは、200mL/100g以上、さらに好ましくは、220mL/100g以上)であるとよい。また、第2導電材のDBP吸油量は、190mL/100g未満(より好ましくは、175mL/100g未満、140mL/100g未満)であるとよい。
また、第1導電材221は、バインダを介さずに正極活物質210に直接付着しているが、例えば、メカノフュージョンを利用した複合化装置にて、正極活物質210と第1導電材221とを複合化するとよい。かかる複合化には、例えば、株式会社ホソカワミクロンのノビルタを用いることができる。この装置は、回転ドラムを所定の回転数で回転させて、遠心力によって正極活物質210と第1導電材221との混合粉末を回転ドラムの内周面と押圧剪断ヘッドとの間に押し付けて、強い圧縮力と剪断力とによって、正極活物質210の表面に第1導電材221を擦り込むように付着させることができる。これによって、バインダを介さずに正極活物質210に第1導電材221を付着させることができる。
本発明者の知見によれば、第1導電材221には、DBP吸油量が190mL/100g以上である導電材材料を用いるとよく、例えば、DBP吸油量が190mL/100g以上のアセチレンブラックやケッチョンブラックなどを用いるとよい。また、正極活物質層53に第1導電材221が添加された量は、3wt%以下であることが好ましい。つまり、バインダを介さずに正極活物質210に直接付着した第1導電材221は、3wt%以下と少ない方がよい。
《第2導電材222》
また、第2導電材222は、正極活物質層53中に分散している。例えば、バインダを介さずに第1導電材221が付着した正極活物質210を用意する。別途、DBP吸油量が190mL/100g未満である第2導電材222を用意する。そして、第1導電材221が付着した正極活物質210と、第2導電材222と、バインダとを混合する。そして、かかる混合物を、正極集電箔51(図2参照)に付着させる。第1導電材221が付着した正極活物質210と第2導電材222とバインダとを混合した混合物を、正極集電体に付着させる。これによって、図4に示すように、第1導電材221が正極活物質210にバインダを介さずに付着しており、かつ、当該正極活物質層53中に第2導電材222が分散した正極活物質層53が得られる。
なお、この場合、第1導電材221が付着した正極活物質210と、第2導電材222と、バインダとを混合する工程では、第1導電材221が付着した正極活物質210と、第2導電材222と、バインダとを溶媒中で混合した合材ペーストを作製してもよい。この場合、当該合材ペーストを正極集電箔51(図2参照)に塗布した後、乾燥させとよい。
また、他の形態として、第1導電材221が付着した正極活物質210と、第2導電材222と、バインダとを混合した混合粉体を作製し、当該混合粉体を正極集電箔51(図2参照)の上に堆積させてもよい。
このように、正極活物質層53では、第1導電材221が、バインダを介さずに正極活物質210に直接付着している。これに対して、第2導電材222は、正極活物質層53中に分散している。換言すれば、当該第1導電材221は正極活物質210に(バインダを介さずに)直接付着しているが、第2導電材222はバインダによって正極活物質210に付着している。ここで、第1導電材221のDBP吸油量は、第2導電材222よりも大きい。
この正極活物質層53では、正極活物質210の周りにDBP吸油量が大きい第1導電材221が付着している。このため、正極活物質210の周りに電解液を多く保つことができる。このため、正極活物質210の周りで電解液不足になる事象が生じ難く、非水電解質二次電池の出力を高く維持できる。また、正極活物質層53全体では、DBP吸油量が小さい第2導電材222が用いられている。このため、正極活物質層53全体では、電解液の量が少なく抑えられる。正極の電位が上昇しても分解される電解液の量は少なく抑えられる。このため、非水電解質二次電池の耐久性は高く維持される。
以下、上記非水電解質二次電池を具現化した試験用の電池(評価用セル)を製作し、種々の試験を行ない、非水電解質二次電池の出力特性と耐久性の傾向を調べた。以下、かかる試験を説明する。
《評価用セル》
ここでは、いわゆるラミネート型のセルを作製した。
《評価用セルの正極》
ここでは、評価用セルの作製では、正極活物質としてNiMnスピネル型のリチウム遷移金属酸化物(LiNi0.45Ti0.05Fe0.05Mn0.45)を用いた。DBP吸油量が異なる複数のアセチレンブラック(AB)を用意した。また、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いた。また、正極活物質210には、適宜に、第1導電材221(図4参照)としての導電材をバインダを介さずに付着させた。かかる複合化には、メカノフュージョンを利用した複合化装置を用いた。かかる複合化装置には、株式会社ホソカワミクロンのノビルタを用いた。その後、これら正極活物質と、導電材(第2導電材222)と、バインダとを、イオン交換水と混合することによって正極合材を調製した。なお、ここでは、正極活物質210と、導電材(第1導電材221と第2導電材222を合わせた質量)と、バインダとの質量比を、正極活物質:導電材:バインダ=89:8:3とした。次いで、調整された正極合材を正極集電箔の片面に塗布して乾燥させ、正極集電箔51の片面に正極活物質層が形成された正極(正極シート)を作製した。
ここでは、正極集電箔51としてアルミニウム箔(厚さ15μm)を用いた。ここで例示した評価用セルでは、正極合材の塗布量は凡そ11mg/cmになるように設定した。また、圧延後の正極活物質層53の合材密度を凡そ2.2g/cmとした。
《評価用セルの負極》
負極では、負極活物質としてアモルファスコートグラファイト、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)、バインダをそれぞれ用いた。バインダには、ゴム系バインダであるスチレン・ブタジエンゴム(SBR)を用いた。負極活物質と、増粘剤(CMC)と、バインダ(SBR)との質量比は、負極活物質:CMC:SBR=98.3:1:0.7とした。これら負極活物質と、CMCと、SBRとを、イオン交換水と混合することによって負極合材を調製した。次いで、負極合材を負極集電箔の片面に塗布して乾燥させ、負極集電箔の片面に負極活物質層が形成された負極(負極シート)を作製した。
ここでは、負極集電箔61として銅箔(厚さ10μm)を用いた。ここで例示した評価用セルでは、負極合材の塗布量は凡そ7.2mg/cmになるように設定した。また、圧延後の負極活物質層63の合材密度を凡そ1.1g/cmとした。
《評価用セルの組み立て》
次いで、評価用セルとしてのラミネート型セルでは、上記のように作製された正極シートを正極活物質層の寸法が4.5cm×4.7cmとなるように打ち抜いて正極とした。また、上記のように作製された負極シートを負極活物質層の寸法が4.5cm×4.7cmとなるように打ち抜いて負極とした。この正極の集電箔にアルミリードを取り付け、負極にニッケルリードを取り付ける。そして、正極活物質層と負極活物質層とをセパレータを介して対向配置し、非水電解液とともにラミネート袋(7cm×7cm)に挿入して、評価用セルとしてのリチウムイオン電池(ラミネートセル)を構築した。
ここでは、セパレータには、PP/PE/PPの三層構造を有する微多孔質シートを使用した。また、非水電解液としては、非水電解液としては、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)と、トリフルオロジメチルカーボネート(TFDMC)とを、所定の体積比(ここでは、MFEC:TFDMC=50:50)で混合溶媒に、リチウム塩としての1mol/LのLiPFを溶解させた電解液を用いた。
《評価用セルの評価》
ここでは、正極活物質層に用いる第1導電材221の種類や第2導電材222の種類を代えた複数のサンプルを用意した。各サンプルは同じ条件で複数の評価用セルを作成した。作製された評価用セルは、例えば、所定のコンディショニング工程を行い、予め定められた初期IV抵抗と容量維持率をそれぞれを測定した。
《コンディショニング》
次に、上記のように構築した評価用セルについて、10時間程度放置し、初期充電を行なった。コンディショニング工程は、凡そ25℃の温度環境において、次の手順1、2を3サイクル行なった。
手順1:1/3Cの定電流にて充電し、電圧が4.9Vに到達した後、10分間休止する。
手順2:手順1の後、1/3の定電流にて放電し、電圧が3.5Vに到達した後、10分間休止する。
《初期IV抵抗(出力特性:初期放電時間)》
次に、上記コンディショニング工程後の評価用セルを用いて初期IV抵抗を測定する。
初期IV抵抗は、コンディショニング工程の後、評価用セルをSOC36%に調整する。そして、25℃の温度環境において、50Cの定電流で電圧が2.5Vになるまで放電する。そして、50Cの定電流で電圧が2.5Vになるまで放電時間を測定した。この場合、放電時間が長いほど、出力特性が良いことを示している。そして、この放電時間(初期放電時間)によって、評価用セルの出力特性を評価した。
《容量維持率(耐久試験)》
また、上記コンディショニング工程後の評価用セルを用いて容量維持率を測定する。
容量維持率の測定では、凡そ60℃の温度環境において、次の手順1、2を200サイクル行なった。
手順1:2Cの定電流にて充電し、電圧が4.9Vに到達した後、10分間休止する。
手順2:手順1の後、2Cの定電流にて放電し、電圧が3.5Vに到達した後、10分間休止する。
容量維持率Zは、1サイクル目の放電容量(X)を100%としたときの200サイクル目の放電容量Yを比(Z=(Y/X)×100(%))で評価した。
各評価用セルと、その評価は、表1および表2に示すとおりである。
まず、表1に挙げたサンプルを説明する。
Figure 2015153535
表1では、導電材Aとして、DBP吸油量が220(mL/100g)の導電材を用意し、導電材Bとして、DBP吸油量が140(mL/100g)の導電材を用意し、適宜に第1導電材221あるいは第2導電材222として用いた。ここでは、導電材A,Bは、ともにアセチレンブラックである。
〈サンプル1〉
ここで、表1に示されたサンプル1の評価用セルは、導電材Aを第1導電材221に用い、導電材Bを第2導電材222に用いて作製されている。ここで、サンプル1では、第1導電材221としての導電材Aの添加量を1wt%とし、第2導電材222としての導電材Bの添加量を7wt%とした。このサンプル1では、DBP吸油量が大きい導電材(導電材A)が第1導電材221として正極活物質に直接付着している。また、DBP吸油量が小さい導電材(導電材B)が第2導電材222として正極活物質層に含まれている。かかるサンプル1の出力特性(初期放電時間)は9.8秒であり、容量維持率は65%であった。この場合、出力特性および容量維持率はそれぞれ高く維持される傾向がある。
〈サンプル2〉
サンプル2の評価用セルは、第1導電材221としての導電材Aの添加量を3wt%とし、第2導電材222としての導電材Bの添加量を5wt%とした他は、サンプル1と同じ条件で作製されている。かかるサンプル2の出力特性(初期放電時間)は11.1秒であり、容量維持率は61.8%であった。この場合も、凡そサンプル1と同様の構造であり、出力特性および容量維持率はそれぞれ高く維持される傾向がある。
〈サンプル3〉
サンプル3の評価用セルでは、第1導電材221は用いず、導電材として第2導電材222のみを用いた。そして、第2導電材222として導電材Aを用い、その添加量を8wt%とした。かかるサンプル3の出力特性(初期放電時間)は12.8秒であり、容量維持率は42%であった。この場合、出力特性は向上するが、容量維持率(換言すれば、耐久性)は低下する傾向がある。本発明者の考察では、このサンプル3では、DBP吸油量が大きい導電材(導電材A)が第2導電材222として正極活物質層に含まれているのみである。かかるサンプル3では、導電材の保液性(ここでは、電解液を保つ性質)が高く、出力特性を向上させ得るが、反対に高電位時に、電解液が分解され易く、容量維持率が大きく低下したと考えられる。
〈サンプル4〉
サンプル4の評価用セルでは、第1導電材221としての導電材Aの添加量を4wt%とし、第2導電材222としての導電材Bの添加量を4wt%とした他は、サンプル1と同じである。かかるサンプル4の出力特性(初期放電時間)は、9.5秒であり、容量維持率は、56%であった。ここでは、サンプル2に比べて、容量維持率が劣化する傾向が見られたが、サンプル3に比べて容量維持率は高く維持される傾向がある。なお、サンプル4は、サンプル3に比べて優れているものの、サンプル2に比べて容量維持率が劣化する傾向がある。この傾向は、サンプル4では、第1導電材221として用いられたDBP吸油量が大きい導電材Aの添加量が多く、電解液の分解が多くなったことが原因と考えられる。
〈サンプル5〉
サンプル5の評価用セルでは、第1導電材221は用いず、導電材として第2導電材222のみを用いた。そして、第2導電材222として導電材Aと導電材Bを両方用いた。ここでは、導電材Aの添加量を3wt%とし、導電材Bの添加量を5wt%とした。つまり、かかるサンプル5は、用いた導電材および導電材の添加量は、サンプル2と同じであるが、導電材Aを第1導電材221として用いたか否かにおいて異なっている。
かかるサンプル5の出力特性(初期放電時間)は9.5秒であり、容量維持率は63%であった。この場合、サンプル2に比べて、出力特性、容量維持率がともに低下する傾向がある。本発明者の考察では、サンプル2では、サンプル5と比べ、DBP吸油量が大きい導電材(導電材A)が第1導電材221として、正極活物質210に直接付着させることによって、特に出力特性が顕著に向上したものと考えられる。
〈サンプル6〉
サンプル6の評価用セルでは、第1導電材221は用いず、導電材として第2導電材222のみを用いた。そして、第2導電材222として導電材Bを用いた。ここでは、導電材Bの添加量を8wt%とした。つまり、かかるサンプル6は、サンプル3に対して、第2導電材222にDBP吸油量が小さい導電材Bを用いた点で異なっている。この場合、容量維持率は高く維持されるものの、出力特性は悪い傾向となる。
以上のとおりであり、非水電解質二次電池の正極活物質層では、DBP吸油量が大きい第1導電材221がバインダを介さずに正極活物質に直接付着しており、かつ、DBP吸油量が大きい第2導電材222が正極活物質層53中に分散しているとよい。この場合、出力特性と容量維持率がともに高く維持される傾向がある。
次に、表2に挙げたサンプルを説明する。
Figure 2015153535
表2は、第1導電材221に用いる導電材のDBP吸油量と、第2導電材222に用いる導電材のDBP吸油量をそれぞれ代えて、出力特性と容量維持率を測定したものである。ここで、サンプル11〜17は、第1導電材221のDBP吸油量を220(mL/100g)とし、第2導電材222のDBP吸油量を125(mL/100g)から220(mL/100g)の間で変えたものである。また、サンプル21〜27は、第2導電材222のDBP吸油量を125(mL/100g)とし、第1導電材221のDBP吸油量を125(mL/100g)から220(mL/100g)の間で変えたものである。
ここで、表2に示すように、第1導電材221のDBP吸油量が同程度であれば、第2導電材222のDBP吸油量が高いほど出力特性が高くなる。この際、サンプル16、17に示されるように、容量維持率を高く維持するとの観点において、第2導電材222に用いられる導電材のDBP吸油量は大きすぎない方がよい。さらに、高い出力特性を得るとの観点において、サンプル11〜15、サンプル26、27に示すように、第1導電材221に用いられる導電材のDBP吸油量は小さすぎない方がよい。本発明者の知見では、高い出力を得るとの観点において、第1導電材221のDBP吸油量は凡そ190mL/100g以上であるとよい。また、容量維持率を高く維持するとの観点において、第2導電材222のDBP吸油量は凡そ190mL/100g未満であるとよい。
以上のとおり、ここで提案される非水電解質二次電池は、例えば、図1および図2に示すように、正極集電体(例えば、正極集電箔51)と、正極集電体51に保持された正極活物質層53とを備えているとよい。
ここで、正極活物質層53は、図4に示すように、正極活物質210と、第1導電材221と、第2導電材222と、バインダ(図示省略)とを含んでいる。第1導電材は、バインダを介さずに正極活物質210に直接付着している。また、第2導電材222は、正極活物質層53中に分散している。この場合、第1導電材221のDBP吸油量は第2導電材222よりも大きいとよい。これにより、高電位を発現する正極活物質が用いられた場合でも、高い出力特性を保ちつつ、容量維持率を高く維持することを実現できる。
この場合、出力を向上させるとの観点において、第1導電材のDBP吸油量は、例えば、190mL/100g以上であるとよい。また、容量維持率を高く維持するとの観点において、第2導電材のDBP吸油量は、例えば、190mL/100g未満であるとよい。また、出力を向上させ、かつ、容量維持率を高くするとの観点において、正極活物質層中の第1導電材の添加量は、第2導電材の添加量よりも少ないとよい。例えば、正極活物質層中の前記第1導電材の添加量は3wt%以下であるとよい。
また、正極活物質210の作動電位は、開回路電圧が4.3V(vs.Li/Li)以上であるとよい。換言すれば、正極活物質210は、金属リチウムを基準として、4.3Vの電位を発現するものでもよい。本案は、このような高電位を発現する正極活物質210が用いられる場合に特に有意である。
また、かかる非水電解質二次電池の製造方法としては、例えば、以下の工程A〜工程Dを含んでいるとよい。
工程A:DBP吸油量が190mL/100g以上の第1導電材221がバインダを介さずに付着した正極活物質210を用意する工程;
工程B:DBP吸油量が190mL/100g未満である第2導電材222を用意する工程;
工程C:第1導電材221が付着した正極活物質210と、第2導電材222と、バインダとを混合する工程;
工程D:正極活物質210と第2導電材222とバインダとを混合した混合物を、正極集電体としての正極集電箔51(図2参照)に付着させる工程;
かかる製造方法によれば、上述した非水電解質二次電池を具現化できる。
この場合、例えば、上記混合する工程(工程C)では、第1導電材221が付着した正極活物質210と、第2導電材222と、バインダとを溶媒中で混合した合材ペーストが作製されてもよい。この場合、付着させる工程(工程D)では、工程Cにおいて作製された合材ペーストを正極集電体に塗布した後、乾燥させてもよい。
また、混合する工程(工程C)では、第1導電材221が付着した正極活物質210と、第2導電材222と、バインダとを混合した混合粉体を作製してもよい。この場合、付着させる工程(工程D)では、工程Cで作製された混合粉体を正極集電体の上に堆積させてもよい。
以上、ここで提案される非水電解質二次電池およびその製造方法を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、試験例で例示した非水電解液の溶媒の組成は、特に言及されない限り上記に限定されない。第1導電材221および第2導電材222に挙げられた材料も特に言及されない限り上記に限定されない。
また、ここで開示される非水電解質二次電池は、特に、高電位を発現する正極活物質が用いられた場合に有意である。そして、ハイレートでの充放電が繰り返される用途において、出力特性を高く維持し、かつ、容量維持率を高く維持できる点で有意である。このため、高い性能を備え、性能が安定したリチウムイオン二次電池を提供することができる。したがって、例えば、高い出力と安定した性能が求められる車両駆動用電池として特に好適でありうる。ここで、車両駆動用電池は、例えば、かかる非水電解質二次電池を複数個直列に接続して形成される組電池の形態であり得る。かかる車両駆動用電池を電源として備える車両には、典型的には自動車、特にハイブリッド自動車(プラグインハイブリッド車を含む)、電気自動車のような電動機を備える自動車が含まれる。
また、ここで提案されるリチウムイオン二次電池に関する構成は、内部構造が凡そ同じである他の非水電解質二次電池にも適用されうる。また、ここで提案される組電池に関する構成は、単電池としての構造が同じであれば、同様に非水電解質二次電池を単電池とする組電池にも適用されうる。ここで、他の非水電解質二次電池としては、例えば、ナトリウムイオン二次電池、ポリマーリチウムイオン二次電池でもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 リチウムイオン二次電池
20 電池ケース
21 ケース本体
40 捲回電極体
50 正極シート
51 正極集電箔(正極集電体)
52 露出部
53 正極活物質層
60 負極シート
61 負極集電箔
62 露出部
63 負極活物質層
72,74 セパレータ
80 電解液
210 正極活物質
221 第1導電材
222 第2導電材

Claims (8)

  1. 正極集電体と、
    前記正極集電体に保持された正極活物質層と
    を備え、
    前記正極活物質層は、
    正極活物質と、第1導電材と、第2導電材と、バインダと
    を含み、
    前記正極活物質の作動電位は、開回路電圧が4.3V(vs.Li/Li)以上であり、
    前記第1導電材のDBP吸油量は前記第2導電材よりも大きく、
    前記第1導電材は、
    前記バインダを介さずに前記正極活物質に直接付着しており、
    前記第2導電材は、
    前記正極活物質層中に分散している、
    非水電解質二次電池。
  2. 前記第1導電材のDBP吸油量は、190mL/100g以上である、
    請求項1に記載された非水電解質二次電池。
  3. 前記第2導電材のDBP吸油量は、190mL/100g未満である、
    請求項1または2に記載された非水電解質二次電池。
  4. 前記正極活物質層中の前記第1導電材の添加量は、前記第2導電材の添加量よりも少ない、請求項1から3までの何れか一項に記載された非水電解質二次電池。
  5. 前記正極活物質層中の前記第1導電材の添加量は3wt%以下である、
    請求項1から4までの何れか一項に記載された非水電解質二次電池。
  6. 前記正極活物質は、スピネル型のマンガン酸リチウムまたはオリビン型のリン酸リチウムである、請求項1から5までの何れか一項に記載された非水電解質二次電池。
  7. 前記マンガン酸リチウムまたは前記リン酸リチウムは、Cr、Ti、Fe、Co、Ni、Cuのうちから選択される一種または複数種を含有している、請求項6に記載された非水電解質二次電池。
  8. DBP吸油量が190mL/100g以上の第1導電材がバインダを介さずに付着した正極活物質を用意する工程と、
    DBP吸油量が190mL/100g未満である第2導電材を用意する工程と、
    前記第1導電材が付着した前記正極活物質と、前記第2導電材と、バインダとを混合する工程と、
    前記正極活物質と前記第2導電材と前記バインダとを混合した混合物を、正極集電体に付着させる工程と
    を含む、非水電解質二次電池の製造方法。
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