JP2013137955A - 非水系二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温環境における充放電サイクル後の容量維持率を高く維持できる非水系二次電池の提供
【解決手段】
非水系二次電池は、負極集電体241Aと、負極集電体241Aに保持された負極活物質層243Aとを備えている。負極活物質層243Aは、少なくとも負極活物質粒子710AとSBR730A(バインダ)とを含んでいる。負極活物質層243A中において、負極活物質層243Aの厚さ方向における、表面側の1/4の部分に分布するSBR(A)と、負極集電体241A側の1/4の部分に分布するSBR(B)との比A/Bが(A/B)≦1.6であるとよい。
【選択図】図11

Description

本発明は非水系二次電池に関する。なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充電可能な電池一般をいい、リチウム二次電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)、ニッケル水素電池等のいわゆる蓄電池を包含する。また、本明細書において「活物質」は、二次電池において電荷担体となる化学種(例えば、リチウムイオン二次電池ではリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出(典型的には挿入および離脱)可能な物質をいう。また、「非水系二次電池」は、非水電解質(例えば、非水電解液)が電解質として用いられた二次電池をいう。
例えば、特開平10−270013号公報には、電極原料粉末をバインダおよび溶剤と共に混練した電極合剤ペーストを集電体上に積層して電極合剤を形成してなる二次電池用電極が開示されている。この公報には、電極合剤層内のバインダを集電体近くで濃くすることが開示されている。同公報によれば、集電体の近くでバインダを濃くすることによって、集電体との密着性が高くなる、とされている。
また、特開平05−08971号公報(特許3152311号)には、金属集電体の上に活物質層が設けられた二次電池電極が開示されている。同公報では、金属集電体上に複合金属酸化物からなる正極活物質の塗膜層が設けられてなる二次電池電極について、該活物質層中におけるバインダがバインダ分布係数0.5〜5.0の範囲に分布しており、該バインダとしてフッ素ゴム、溶剤として酢酸エチルとエチルセルソルブの混合液を用いることが開示されている。
特開平10−270013号公報 特開平05−08971号公報
ところで、非水系二次電池(特に、リチウムイオン二次電池)は、高容量、高出力を実現できる。かかる非水系二次電池は、いわゆるハイブリッド車(HV)や、プラグインハイブリッド車(PHV)や、電気自動車(EV)などにおいて、車両の駆動輪をモータ駆動させる際の駆動用電源として実用化されている。かかる車両の用途では、寒冷地域での使用も考慮する必要がある。かかる非水系二次電池は、例えば、低温環境では、反応抵抗が大きくなり、かつ、充放電を繰り返すことによって容量維持率が低下する傾向がある。例えば、−15℃程度の低温環境では、温度が低くなればなるほど上記傾向が顕著になる。このため、かかる低温環境においても高容量、高出力を維持し得る非水系二次電池を提供することが望まれるところである。
本発明の一実施形態に係る非水系二次電池は、負極集電体と、負極集電体に保持された負極活物質層とを備え、負極活物質層は、少なくとも負極活物質粒子とSBRとを含み、負極活物質層中において、負極活物質層の厚さ方向における、表面側の1/4の部分に分布するSBR(A)と、負極集電体側の1/4の部分に分布するSBR(B)との比A/Bが(A/B)≦1.6である。かかる非水系二次電池によれば、低温環境における充放電サイクル後の容量維持率を高く維持できる。さらに、比A/Bは0.7≦(A/B)であるとよい。これにより、低温環境における充放電サイクル後の容量維持率を高く維持することに加えて、非水系二次電池の直流抵抗を小さく抑えることができる。
また、ここで、負極活物質粒子は、例えば、炭素系材料を用いるとよい。これにより、上述した低温環境における充放電サイクル後の容量維持率を高く維持する効果、或いは、直流抵抗を小さく抑える効果が、より確実に得られる。この場合、負極活物質粒子は、さらに、少なくとも一部が非晶質炭素膜で覆われた天然黒鉛であり、光散乱法における平均粒径(D50)が50μm以下、例えば、30μm以下であるとよい。さらに、負極活物質層中のSBRの質量割合が0.2%以上4%以下であってもよい。また、負極活物質層中にCMCが含まれており、CMCの質量割合が0.3%以上4%以下であってもよい。
本発明の一実施形態に係る非水系二次電池は、リチウムイオン二次電池として構成されているとよい。また、かかる非水系二次電池は、複数組み合わせた組電池を構成できる。また、かかる非水系二次電池は、低温環境における充放電サイクル後の容量維持率を高く維持でき、さらには直流抵抗を小さく抑えることができる。このため、これらの非水系二次電池または組電池は、広い温度環境において、高容量かつ高出力が求められる車両駆動用電池として好適である。
図1は、リチウムイオン二次電池の構造の一例を示す図である。 図2は、リチウムイオン二次電池の捲回電極体を示す図である。 図3は、図2中のIII−III断面を示す断面図である。 図4は、正極合剤層の構造を示す断面図である。 図5は、負極合剤層の構造を示す断面図である。 図6は、捲回電極体の未塗工部と電極端子との溶接箇所を示す側面図である。 図7は、リチウムイオン二次電池の充電時の状態を模式的に示す図である。 図8は、リチウムイオン二次電池の放電時の状態を模式的に示す図である。 図9は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を示す図である。 図10は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池について、捲回電極体の正極シートと負極シートとの積層構造を示す断面図である。 図11は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の負極活物質層の構造を模式的に示す断面図である。 図12は、交流インピーダンス測定法における、Cole−Coleプロット(ナイキスト・プロット)の典型例を示す図である。 図13は、負極活物質層中のSBRの分布を示す比A/Bと、低温環境における充放電サイクル後の容量維持率および直流抵抗との関係を示すグラフである。 図14は、リチウムイオン二次電池を搭載した車両を示す図である。
以下、本発明の一実施形態に係る非水系二次電池を図面に基づいて説明する。ここではまず、非水系二次電池としてのリチウムイオン二次電池の一構造例を説明する。その後、かかる構造例を適宜に参照しつつ、本発明の一実施形態に係る非水系二次電池を説明する。なお、同じ作用を奏する部材、部位には適宜に同じ符号を付している。また、各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。各図面は、一例を示すのみであり、特に言及されない限りにおいて本発明を限定しない。
≪リチウムイオン二次電池100≫
図1は、リチウムイオン二次電池100を示している。このリチウムイオン二次電池100は、図1に示すように、捲回電極体200と電池ケース300とを備えている。図2は、捲回電極体200を示す図である。図3は、図2中のIII−III断面を示している。
捲回電極体200は、図2に示すように、正極シート220、負極シート240およびセパレータ262、264を有している。正極シート220、負極シート240およびセパレータ262、264は、それぞれ帯状のシート材である。
≪正極シート220≫
正極シート220は、帯状の正極集電体221と正極活物質層223とを備えている。正極集電体221には、正極に適する金属箔が好適に使用され得る。正極集電体221には、例えば、所定の幅を有し、厚さが凡そ15μmの帯状のアルミニウム箔を用いることができる。正極集電体221の幅方向片側の縁部に沿って未塗工部222が設定されている。図示例では、正極活物質層223は、図3に示すように、正極集電体221に設定された未塗工部222を除いて、正極集電体221の両面に保持されている。正極活物質層223には、正極活物質が含まれている。正極活物質層223は、正極活物質を含む正極合剤を正極集電体221に塗工することによって形成されている。
≪正極活物質層223および正極活物質粒子610≫
ここで、図4は、正極シート220の断面図である。なお、図4において、正極活物質層223の構造が明確になるように、正極活物質層223中の正極活物質粒子610と導電材620とバインダ630とを大きく模式的に表している。正極活物質層223には、図4に示すように、正極活物質粒子610と導電材620とバインダ630が含まれている。
正極活物質粒子610には、リチウムイオン二次電池の正極活物質として用いることができる物質を使用することができる。正極活物質粒子610の例を挙げると、LiNiCoMnO(リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物)、LiNiO(ニッケル酸リチウム)、LiCoO(コバルト酸リチウム)、LiMn(マンガン酸リチウム)、LiFePO(リン酸鉄リチウム)などのリチウム遷移金属酸化物が挙げられる。ここで、LiMnは、例えば、スピネル構造を有している。また、LiNiO或いはLiCoOは層状の岩塩構造を有している。また、LiFePOは、例えば、オリビン構造を有している。オリビン構造のLiFePOには、例えば、ナノメートルオーダーの粒子がある。また、オリビン構造のLiFePOは、さらにカーボン膜で被覆することができる。
≪導電材620≫
導電材620としては、例えば、カーボン粉末、カーボンファイバーなどのカーボン材料が例示される。導電材620としては、このような導電材から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末などのカーボン粉末を用いることができる。
≪バインダ630≫
また、バインダ630は、正極活物質層223に含まれる正極活物質粒子610と導電材620の各粒子を結着させたり、これらの粒子と正極集電体221とを結着させたりする。かかるバインダ630としては、使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、水性溶媒を用いた正極合剤組成物においては、セルロース系ポリマー(カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)など)、フッ素系樹脂(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)など)、ゴム類(酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)など)などの水溶性または水分散性ポリマーを好ましく採用することができる。また、非水溶媒を用いた正極合剤組成物においては、ポリマー(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリルニトリル(PAN)など)を好ましく採用することができる。
≪増粘剤、溶媒≫
正極活物質層223は、例えば、上述した正極活物質粒子610と導電材620を溶媒にペースト状(スラリ状)に混ぜ合わせた正極合剤を作製し、正極集電体221に塗布し、乾燥させ、圧延することによって形成されている。この際、正極合剤の溶媒としては、水性溶媒および非水溶媒の何れも使用可能である。非水溶媒の好適な例としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が挙げられる。上記バインダ630として例示したポリマー材料は、バインダとしての機能の他に、正極合剤の増粘剤その他の添加剤としての機能を発揮する目的で使用されることもあり得る。
正極合剤全体に占める正極活物質の質量割合は、凡そ50wt%以上(典型的には50〜95wt%)であることが好ましく、通常は凡そ70〜95wt%(例えば75〜90wt%)であることがより好ましい。また、正極合剤全体に占める導電材の割合は、例えば凡そ2〜20wt%とすることができ、通常は凡そ2〜15wt%とすることが好ましい。バインダを使用する組成では、正極合剤全体に占めるバインダの割合を例えば凡そ1〜10wt%とすることができ、通常は凡そ2〜5wt%とすることが好ましい。
≪負極シート240≫
負極シート240は、図2に示すように、帯状の負極集電体241と、負極活物質層243とを備えている。負極集電体241には、負極に適する金属箔が好適に使用され得る。この負極集電体241には、所定の幅を有し、厚さが凡そ10μmの帯状の銅箔が用いられている。負極集電体241の幅方向片側には、縁部に沿って未塗工部242が設定されている。負極活物質層243は、負極集電体241に設定された未塗工部242を除いて、負極集電体241の両面に形成されている。負極活物質層243は、負極集電体241に保持され、少なくとも負極活物質が含まれている。負極活物質層243は、負極活物質を含む負極合剤が負極集電体241に塗工されている。
≪負極活物質層243≫
図5は、リチウムイオン二次電池100の負極シート240の断面図である。負極活物質層243には、図5に示すように、負極活物質粒子710、増粘剤(図示省略)、バインダ730などが含まれている。図5では、負極活物質層243の構造が明確になるように、負極活物質層243中の負極活物質粒子710とバインダ730とを大きく模式的に表している。
≪負極活物質粒子710≫
負極活物質粒子710としては、負極活物質として従来からリチウムイオン二次電池に用いられる材料の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が挙げられる。より具体的には、負極活物質は、例えば、天然黒鉛、非晶質の炭素材料でコートした天然黒鉛、黒鉛質(グラファイト)、難黒鉛化炭素質(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質(ソフトカーボン)、または、これらを組み合わせた炭素材料でもよい。なお、ここでは、負極活物質粒子710は、いわゆる鱗片状黒鉛が用いられた場合を図示しているが、負極活物質粒子710は、図示例に限定されない。
≪増粘剤、溶媒≫
負極活物質層243は、例えば、上述した負極活物質粒子710とバインダ730を溶媒にペースト状(スラリ状)に混ぜ合わせた負極合剤を作製し、負極集電体241に塗布し、乾燥させ、圧延することによって形成されている。この際、負極合剤の溶媒としては、水性溶媒および非水溶媒の何れも使用可能である。非水溶媒の好適な例としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が挙げられる。バインダ730には、上記正極活物質層223(図4参照)のバインダ630として例示したポリマー材料を用いることができる。また、上記正極活物質層223のバインダ630として例示したポリマー材料は、バインダとしての機能の他に、正極合剤の増粘剤その他の添加剤としての機能を発揮する目的で使用されることもあり得る。
≪セパレータ262、264≫
セパレータ262、264は、図1または図2に示すように、正極シート220と負極シート240とを隔てる部材である。この例では、セパレータ262、264は、微小な孔を複数有する所定幅の帯状のシート材で構成されている。セパレータ262、264には、例えば、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成された単層構造のセパレータ或いは積層構造のセパレータを用いることができる。この例では、図2および図3に示すように、負極活物質層243の幅b1は、正極活物質層223の幅a1よりも少し広い。さらにセパレータ262、264の幅c1、c2は、負極活物質層243の幅b1よりも少し広い(c1、c2>b1>a1)。
なお、図1および図2に示す例では、セパレータ262、264は、シート状の部材で構成されている。セパレータ262、264は、正極活物質層223と負極活物質層243とを絶縁するとともに、電解質の移動を許容する部材であればよい。したがって、シート状の部材に限定されない。セパレータ262、264は、シート状の部材に代えて、例えば、正極活物質層223または負極活物質層243の表面に形成された絶縁性を有する粒子の層で構成してもよい。ここで、絶縁性を有する粒子としては、絶縁性を有する無機フィラー(例えば、金属酸化物、金属水酸化物などのフィラー)、或いは、絶縁性を有する樹脂粒子(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの粒子)で構成してもよい。
この捲回電極体200では、図2および図3に示すように、正極シート220と負極シート240とは、セパレータ262、264を介在させた状態で、正極活物質層223と負極活物質層243とが対向するように重ねられている。より具体的には、捲回電極体200では、正極シート220と負極シート240とセパレータ262、264とは、正極シート220、セパレータ262、負極シート240、セパレータ264の順に重ねられている。
また、この際、正極活物質層223と負極活物質層243とは、セパレータ262、264が介在した状態で対向している。そして、正極活物質層223と負極活物質層243とが対向した部分の片側に、正極集電体221のうち正極活物質層223が形成されていない部分(未塗工部222)がはみ出ている。当該未塗工部222がはみ出た側とは反対側には、負極集電体241のうち負極活物質層243が形成されていない部分(未塗工部242)がはみ出ている。また、正極シート220と負極シート240とセパレータ262、264とは、このように重ねられた状態で、正極シート220の幅方向に設定した捲回軸WLに沿って捲回されている。
≪電池ケース300≫
また、この例では、電池ケース300は、図1に示すように、いわゆる角型の電池ケースであり、容器本体320と、蓋体340とを備えている。容器本体320は、有底四角筒状を有しており、一側面(上面)が開口した扁平な箱型の容器である。蓋体340は、当該容器本体320の開口(上面の開口)に取り付けられて当該開口を塞ぐ部材である。
車載用の二次電池では、車両の燃費を向上させるため、重量エネルギ効率(単位重量当りの電池の容量)を向上させることが望まれる。この実施形態では、電池ケース300を構成する容器本体320と蓋体340は、アルミニウム、アルミニウム合金などの軽量金属が採用されている。これにより重量エネルギ効率を向上させることができる。
電池ケース300は、捲回電極体200を収容する空間として、扁平な矩形の内部空間を有している。また、図1に示すように、電池ケース300の扁平な内部空間は、捲回電極体200よりも横幅が少し広い。この実施形態では、電池ケース300は、有底四角筒状の容器本体320と、容器本体320の開口を塞ぐ蓋体340とを備えている。また、電池ケース300の蓋体340には、電極端子420、440が取り付けられている。電極端子420、440は、電池ケース300(蓋体340)を貫通して電池ケース300の外部に出ている。また、蓋体340には注液孔350と安全弁360とが設けられている。
捲回電極体200は、図2に示すように、捲回軸WLに直交する一の方向において扁平に押し曲げられている。図2に示す例では、正極集電体221の未塗工部222と負極集電体241の未塗工部242は、それぞれセパレータ262、264の両側において、らせん状に露出している。図6に示すように、この実施形態では、未塗工部222、242の中間部分224、244を寄せ集め、電極端子420、440の先端部420a、440aに溶接している。この際、それぞれの材質の違いから、電極端子420と正極集電体221の溶接には、例えば、超音波溶接が用いられる。また、電極端子440と負極集電体241の溶接には、例えば、抵抗溶接が用いられる。ここで、図6は、捲回電極体200の未塗工部222(242)の中間部分224(244)と電極端子420(440)との溶接箇所を示す側面図であり、図1のVI−VI断面図である。
捲回電極体200は、扁平に押し曲げられた状態で、蓋体340に固定された電極端子420、440に取り付けられる。かかる捲回電極体200は、図1に示すように、容器本体320の扁平な内部空間に収容される。容器本体320は、捲回電極体200が収容された後、蓋体340によって塞がれる。蓋体340と容器本体320の合わせ目322(図1参照)は、例えば、レーザ溶接によって溶接されて封止されている。このように、この例では、捲回電極体200は、蓋体340(電池ケース300)に固定された電極端子420、440によって、電池ケース300内に位置決めされている。
≪電解液≫
その後、蓋体340に設けられた注液孔350から電池ケース300内に電解液が注入される。電解液は、水を溶媒としていない、いわゆる非水電解液が用いられている。この例では、電解液は、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(例えば、体積比1:1程度の混合溶媒)にLiPFを約1mol/リットルの濃度で含有させた電解液が用いられている。その後、注液孔350に金属製の封止キャップ352を取り付けて(例えば溶接して)電池ケース300を封止する。なお、電解液は、ここで例示された電解液に限定されない。例えば、従来からリチウムイオン二次電池に用いられている非水電解液は適宜に使用することができる。
≪空孔≫
ここで、正極活物質層223は、例えば、正極活物質粒子610と導電材620の粒子間などに、空洞とも称すべき微小な隙間225を有している(図4参照)。かかる正極活物質層223の微小な隙間には電解液(図示省略)が浸み込み得る。また、負極活物質層243は、例えば、負極活物質粒子710の粒子間などに、空洞とも称すべき微小な隙間245を有している(図5参照)。ここでは、かかる隙間225、245(空洞)を適宜に「空孔」と称する。また、捲回電極体200は、図2に示すように、捲回軸WLに沿った両側において、未塗工部222、242が螺旋状に巻かれている。かかる捲回軸WLに沿った両側252、254において、未塗工部222、242の隙間から、電解液が浸み込みうる。このため、リチウムイオン二次電池100の内部では、正極活物質層223と負極活物質層243に電解液が浸み渡っている。
≪ガス抜け経路≫
また、この例では、当該電池ケース300の扁平な内部空間は、扁平に変形した捲回電極体200よりも少し広い。捲回電極体200の両側には、捲回電極体200と電池ケース300との間に隙間310、312が設けられている。当該隙間310、312は、ガス抜け経路になる。例えば、過充電が生じた場合などにおいて、リチウムイオン二次電池100の温度が異常に高くなると、電解液が分解されてガスが異常に発生する場合がある。この実施形態では、異常に発生したガスは、捲回電極体200の両側における捲回電極体200と電池ケース300との隙間310、312を通して安全弁360の方へ移動し、安全弁360から電池ケース300の外に排気される。
かかるリチウムイオン二次電池100では、正極集電体221と負極集電体241は、電池ケース300を貫通した電極端子420、440を通じて外部の装置に電気的に接続される。以下、充電時と放電時のリチウムイオン二次電池100の動作を説明する。
≪充電時の動作≫
図7は、かかるリチウムイオン二次電池100の充電時の状態を模式的に示している。充電時においては、図7に示すように、リチウムイオン二次電池100の電極端子420、440(図1参照)は、充電器290に接続される。充電器290の作用によって、充電時には、正極活物質層223中の正極活物質からリチウムイオン(Li)が電解液280に放出される。また、正極活物質層223からは電荷が放出される。放出された電荷は、導電材(図示省略)を通じて正極集電体221に送られ、さらに、充電器290を通じて負極シート240へ送られる。また、負極シート240では電荷が蓄えられるとともに、電解液280中のリチウムイオン(Li)が、負極活物質層243中の負極活物質に吸収され、かつ、貯蔵される。
≪放電時の動作≫
図8は、かかるリチウムイオン二次電池100の放電時の状態を模式的に示している。放電時には、図8に示すように、負極シート240から正極シート220に電荷が送られるとともに、負極活物質層243に貯蔵されたリチウムイオンが、電解液280に放出される。また、正極では、正極活物質層223中の正極活物質に電解液280中のリチウムイオンが取り込まれる。
このようにリチウムイオン二次電池100の充放電において、電解液280を介して、正極活物質層223と負極活物質層243との間でリチウムイオンが行き来する。また、充電時においては、正極活物質から導電材を通じて正極集電体221に電荷が送られる。これに対して、放電時においては、正極集電体221から導電材を通じて正極活物質に電荷が戻される。
充電時においては、リチウムイオンの移動および電子の移動がスムーズなほど、効率的で急速な充電が可能になると考えられる。放電時においては、リチウムイオンの移動および電子の移動がスムーズなほど、電池の抵抗が低下し、放電量が増加し、電池の出力が向上すると考えられる。
≪他の電池形態≫
なお、上記はリチウムイオン二次電池の一例を示すものである。リチウムイオン二次電池は上記形態に限定されない。また、同様に金属箔に電極合剤が塗工された電極シートは、他にも種々の電池形態に用いられる。例えば、他の電池形態として、円筒型電池或いはラミネート型電池などが知られている。円筒型電池は、円筒型の電池ケースに捲回電極体を収容した電池である。また、ラミネート型電池は、正極シートと負極シートとをセパレータを介在させて積層した電池である。
以下、本発明の一実施形態に係る非水系二次電池としてのリチウムイオン二次電池を説明する。なお、ここで、上述したリチウムイオン二次電池100と同じ作用を奏する部材または部位には、適宜に同じ符号を用い、必要に応じて上述したリチウムイオン二次電池100の図を参照して説明する。
≪リチウムイオン二次電池100A≫
図9は、ここで提案される非水系二次電池としてリチウムイオン二次電池100Aを示している。図10は、捲回電極体200Aの正極シート220と負極シート240Aとの積層構造を示す断面図である。さらに、図11は、かかるリチウムイオン二次電池100Aの負極活物質層243Aの構造を模式的に示す断面図である。
このリチウムイオン二次電池100Aは、図9および図10に示すように、負極集電体241Aと、負極集電体241Aに保持された負極活物質層243Aとを備えている。負極活物質層243Aは、図11に示すように、負極活物質粒子710Aと、バインダとしてSBR730A(スチレン・ブタジエンゴム(styrene-butadiene rubber))とを、少なくとも含んでいる。
このリチウムイオン二次電池100Aでは、負極活物質層243A中において、負極活物質層243Aの厚さ方向における、表面側の1/4の部分(S1)に分布するSBR730A(A)と、負極集電体側の1/4の部分(S2)に分布するSBR730A(B)との比A/Bが(A/B)≦1.6である。かかるリチウムイオン二次電池100Aによれば、特に低温環境における容量維持率、および、出力特性を高くできる。以下、かかるリチウムイオン二次電池100Aをより詳しく説明する。
≪負極活物質層243A≫
負極活物質層243Aは、図11に示すように、少なくとも負極活物質粒子710Aと、バインダとしてのSBR730Aを含んでいる。図示は省略するが、この実施形態では、増粘剤および分散剤として適当量のCMCが含まれている。この実施形態では、負極活物質粒子710Aと、SBR730Aと、CMCとの質量比を、負極活物質粒子:SBR:CMC=98:1:1とした。
≪負極活物質粒子710A≫
ここで、負極活物質粒子710Aとしては、充電時に電解質中のリチウムイオンを吸収し、かつ、吸収したリチウムイオンを放電時に放出しうる粒子が用いられうる。かかる負極活物質粒子710Aには、好適な材料として炭素材料が用いられる。
ここで、炭素材料として、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛が例示される。ここで、天然黒鉛は、自然界において長い年月を掛けて黒鉛化した黒鉛材料である。これに対して、人造黒鉛は、工業生産によって黒鉛化させた黒鉛材料である。これらの黒鉛材料は、炭素六角網平面が複数の層を形成するように重なった層構造を有している。この場合、充電時には、リチウムイオンは黒鉛材料のエッジ部(層のエッジ部)から黒鉛材料の層間に侵入し、層間に広がっていく。
≪非晶質炭素膜≫
また、天然黒鉛には、例えば、鱗片状の黒鉛粒子(鱗片状黒鉛(Flake Graphite)とも称される。)や、球形黒鉛などがある。さらに、天然黒鉛は、例えば、少なくとも一部が非晶質炭素膜によって覆われていてもよい。ここで、非晶質炭素膜は、非晶質な炭素材料よりなる膜である。例えば、核となる天然黒鉛にピッチを混ぜて焼くことによって、少なくとも一部が非晶質炭素膜によって覆われた天然黒鉛を得ることができる。
この場合、非晶質炭素膜で覆われた天然黒鉛中、非晶質炭素膜の重量割合Xは、凡そ0.01≦X≦0.10であるとよい。当該非晶質炭素膜の重量割合Xは、より好ましくは、0.02≦Xであるとよく、また上限は、より好ましくはX≦0.08、さらにはX≦0.06であるとよい。これにより、非晶質炭素膜によって、適当に覆われた天然黒鉛が得られる。非晶質炭素膜によって適当に覆われた天然黒鉛を負極活物質粒子として用いることにより、電解液と天然黒鉛との副反応を抑え、リチウムイオン二次電池100Aの性能低下を防止できる。
ここで、負極活物質粒子710Aとして用いられる天然黒鉛は、例えば、少なくとも一部が非晶質炭素膜で覆われた天然黒鉛であるとよい。この場合、さらにレーザ回析法における平均粒径(D50)が25μm以下、より好ましくは、同平均粒径(D50)が15μm以下、さらに好ましくは10μm以下であるとよい。かかる平均粒径の測定装置としては、例えば、株式会社島津製作所製 島津レーザ回析式粒度分布測定装置 SALD−2200(Laser Diffraction Particle Size Analyzer SALD-2200)を用いるとよい。本発明者の知見によれば、負極活物質粒子710Aの粒径を小さくすることによって、低温環境における充放電サイクル後の容量維持率を高く維持できる傾向がある。
また、負極活物質層243A中のSBR730Aは、バインダとして機能し、主として負極活物質粒子710Aと負極集電体241A、および、負極活物質層243A中の負極活物質粒子710A同士を結着させる。かかる負極活物質層243A中のSBR730Aの質量割合は、上述した実施形態では凡そ1%であるが、負極活物質層243A中のSBR730Aの質量割合は、凡そ0.2%〜4%であるとよく、例えば、0.5%〜2%であるとよい。
また、上述したように負極活物質層243A中にCMCが含まれている。上述した実施形態では、負極活物質層243Aに含まれるCMCの質量割合は凡そ1%であるが、CMCの質量割合は凡そ0.3%〜4%であるとよく、例えば、0.5%〜2%であるとよい。
≪SBRの分布≫
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池100Aでは、負極活物質層243A中のSBR730Aは、負極活物質層243Aの表面側の1/4の部分(S1)に分布するSBR(A)と、負極集電体241A側の1/4の部分に分布するSBR(B)との比A/Bが(A/B)≦1.6である。
ここで、負極活物質層243A中で、SBR730Aがどのように分布しているかは、形成された負極活物質層243Aの断面SEM画像を基に、例えば、EDX分析(エネルギ分散型X線分析:Energy Dispersive Analysis of X-ray (EDAX))によるとよい。これにより、負極活物質層243A中で、SBR730Aがどのように分布しているかを特定することができる。
かかるEDX分析では、例えば、負極活物質層243A中のSBR730Aを臭素(Br)で染色した後、エネルギ分散型X線分析によって、負極活物質層243A中のBrの分布を調べる。これにより、負極活物質層243A中で、SBRがどのように分布しているかを知ることができる。
ここで、EDX分析装置(Energy Dispersive X-ray Analyzer)として、株式会社島津製作所製のMACHS200を用いた。SBRの分布を調べる場合、EDX分析(EDX定量分析)の条件は、例えば、以下の通りにするとよい。
・加速電圧:15kv;
・作動距離:WD=約10mm;
・プローブ電流:60nA〜70nA;
・倍率:1000倍;
≪負極活物質層243A中のSBR730Aの分布の影響≫
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池100Aでは、上述したように、負極活物質層243AのバインダとしてSBR730Aが用いられている。ここで、負極活物質粒子710Aと、増粘剤(CMC)と、バインダ(SBR730A)とを、所定の質量比で調整する。そして、これら負極活物質粒子710Aと、CMCと、SBR730Aとを、イオン交換水と混合することによって負極合剤を調製した。次いで、かかる負極合剤を負極集電体に塗布して高温の乾燥雰囲気において乾燥させ、プレスする。
本発明者は、このように負極活物質層243AにSBRが含まれる場合に、特に、低温環境(例えば、−15℃程度の低温環境)において充放電を繰り返す用途において容量維持率が低下する場合があることを見出した。かかる事象について、本発明者は以下のように推察している。
負極合剤を乾燥させる工程において、負極合剤にマイグレーションが生じる。負極活物質粒子710Aとの粒径の差や、比重の差から、負極合剤中に含まれるSBRは、マイグレーションによって、負極合剤の表面側に移動し、負極活物質層243Aの表面側に偏って分布する傾向がある。負極活物質層243A中において、SBRは、結着剤として機能しているが、他方で、リチウムイオンの移動を妨げる物質である。このため、負極活物質層243Aの表面にSBRが多く存在すると、負極活物質層243Aへリチウムイオンが入り難くなる。また、特に、低温環境(例えば、−15℃程度の低温環境)では、リチウムイオンの移動が鈍くなる。このため、低温環境(例えば、−15℃程度の低温環境)において充放電を繰り返す用途(低温充放電サイクル)では、充放電が繰り返される際に、充電速度がリチウムイオンの移動速度に律速する。そして、負極活物質層243Aに含まれるリチウムイオンが少なくなり、容量維持率が低下すると考えられる。
本発明者は、負極活物質層243A中のSBRの分布と、上述した容量維持率(低温充放電サイクル後の容量維持率)を評価した。その結果、バインダとしてSBRを含む負極活物質層243Aについて、負極活物質層243Aの表面側の半分の部分(Sh1)に分布するSBR(Ah)と、負極集電体241A側の半分の部分(Sh2)に分布するSBR(Bh)との比Ah/Bhが、凡そ(Ah/Bh)≦1.6である場合に、容量維持率を高く維持できることを見出した。さらには、負極活物質層243Aの表面側の1/4の部分(S1)に分布するSBR(A)と、負極集電体241A側の1/4の部分に分布するSBR(B)との比A/Bが、凡そ(A/B)≦1.6である場合に、より確実に容量維持率を高く維持できることを見出した。
しかしながら、SBRをバインダとして用いて、負極活物質層243Aを作成する場合、上述したように、SBRは、負極活物質粒子710Aに比べて粒子が細く、かつ、比重が軽い。このため、通常、マイグレーションによって、負極活物質層243Aの表面側にSBRが多く分布してしまう。したがって、比Ah/Bhを、凡そ(Ah/Bh)≦1.6とすること、さらには上記比A/Bを(A/B)≦1.6とすることは難しい。
そこで、このリチウムイオン二次電池100Aでは、例えば、負極活物質層243Aを作成する際の乾燥工程において、乾燥温度、乾燥時間をきめ細かく制御することによって、マイグレーションを抑えるとよい。また例えば、複数回に分けて負極合剤を塗布、乾燥させることによってSBR730Aが表面側に大きく偏るのを抑えるとよい。これにより、上記比A/Bが(A/B)≦1.6の負極活物質層243Aを作成することができる。また、塗布工程において、塗布する負極合剤の温度を調整してもよい。この場合、塗布温度が高ほど、SBRは負極活物質層243Aの表面側に偏り易い。このため、塗布工程における負極合剤の温度は、凡そ100℃以下、より好ましくは、80℃以下、さらに好ましくは60℃以下にするとよい。また、塗布工程において、負極集電体241AにSBRを先に塗り、その後、負極活物質粒子710Aを含む合剤を塗布してもよい。これにより、SBRが負極活物質層243Aの表面に偏るのを防止できる。
すなわち、上記比A/Bが(A/B)≦1.6の負極活物質層243Aによれば、負極活物質層243A中のSBR730Aが表面側に大きく偏っていない。このため、低温環境における充放電サイクル後において、負極活物質層243Aにリチウムイオンが適宜吸収される。このため、負極活物質層243Aにおいてリチウムイオンが著しく欠乏する状態にならず、容量維持率をより高く維持できる。ここで、比A/Bは(A/B)≦1.5であってもよい。これにより、非水系二次電池について、低温環境における充放電サイクル後の容量維持率をより確実に高く維持できる。
なお、かかる観点から、負極活物質層243Aの表面側の半分の部分(Sh1)では、SBR(A)の質量割合が2.5%以下であるとよい。特に、負極活物質層243Aの表面から10μmの部分(Sx)では、SBR(A)の質量割合が3.5%以下であるとよい。このように、負極活物質層243A中の表面側の部分にSBR730Aが大きく偏るのを解消することによって、非水系二次電池について、低温環境における充放電サイクル後の容量維持率を高く維持できる。
さらに、本発明者は、バインダとしてSBR730Aが含まれる負極活物質層243Aについて、上記比A/Bが小さい場合にはリチウムイオン二次電池100Aの直流抵抗が高くなる傾向を見出した。SBR730Aは多すぎると負極活物質層243A中の電荷の移動を妨げるとされる。上記比A/Bが小さい場合には、負極活物質層243A中のSBRが負極集電体241A側に偏って存在している。上記比A/Bが小さい場合に、直流抵抗が高くなるのは、SBR730Aによって電荷の移動に対する抵抗が高くなるためと考えられる。
直流抵抗を低く抑えるという観点において、上記比A/Bは0.7≦(A/B)であるとよい。これにより、直流抵抗を低く抑えうる非水系二次電池を提供できる。さらに、比A/Bは0.8≦(A/B)であってもよい。これにより、非水系二次電池の直流抵抗をより確実に低く抑えうる。
ここで、バインダとしてSBRを挙げたが、上記特性はSBR特有の傾向である。本発明者の得た知見によれば、例えば、負極活物質層243AのバインダとしてPVDFが用いられうる。しかし、PVDFは、上記特性が異なる。本発明者は、評価用セルを作成して、負極活物質層243A中のSBR730Aの分布の影響を調べた。
≪評価用セル≫
ここで、負極活物質層中のSBRの分布を変えた負極シートと、SBRに変えてPVDFをバインダとして用いた負極シートとを用意した。そして、各負極シートを用いて評価用セルを作成し、容量維持率(低温充放電サイクル後の容量維持率)と、直流抵抗とを評価した。ここで、評価用セルは円筒型のいわゆる18650型セル(図示省略)で構成した。
≪評価用セルの正極≫
正極における正極活物質層を形成するにあたり正極合剤を調製した。ここで、正極合剤は、正極活物質として三元系のリチウム遷移金属酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)、導電材としてアセチレンブラック(AB)、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)をそれぞれ用いた。ここでは、正極活物質と、導電材と、バインダの質量比を、正極活物質:導電材:バインダ=91:6:3とした。これら正極活物質と、導電材と、バインダとを、イオン交換水と混合することによって正極合剤を調製した。次いで、正極合剤を正極集電体に塗布して乾燥させた。ここでは、正極集電体としてのアルミニウム箔(厚さ15μm)を用いた。正極活物質層は、正極集電体の両面に形成した。正極シートは、乾燥後、ローラプレス機によって圧延することによって厚さを110μmにした。正極集電体への正極合剤の塗布量は、正極合剤が乾燥した後において、正極集電体の単位面積あたりに、正極活物質層が25mg/cmになるように設定した。
≪評価用セルの負極≫
ここではまず、負極合剤は、負極活物質粒子、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)、バインダにスチレン・ブタジエンゴム(SBR)を用いた。ここで、負極活物質粒子と、増粘剤(CMC)と、バインダ(SBR)の質量比を、負極活物質粒子:CMC:SBR=98:1:1とした。これら負極活物質粒子と、CMCと、SBRとを、イオン交換水と混合することによって負極合剤を調製した。次いで、負極合剤を負極集電体に塗布して乾燥させた。ここでは、負極集電体としての銅箔(厚さ10μm)を用いた。また、負極活物質層は、負極集電体の両面に形成した。負極シートは、乾燥後、ローラプレス機にて圧延することによって厚さを130μmにした。これにより、負極集電体の両面に形成された負極活物質層の厚さをそれぞれ60μmとした。負極集電体への負極合剤の塗布量は、負極合剤が乾燥した後において、負極集電体の単位面積あたりに、負極活物質層が17mg/cmになるように設定した。
なお、SBRに代えてPVDFを負極活物質層のバインダに用いた形態も用意した。PVDFを負極活物質層のバインダに用いた形態では、負極合剤を調整する際の溶媒にNMPを用いた。また、分散剤としてCMCは用いずに負極合剤を調整した。また、負極活物質層中のPVDFの質量割合は、SBRを用いた場合と凡そ同様になるように調整した。これにより、負極活物質層について、バインダ(SBR,PVDF)の分布が異なる負極シートを用意した。
≪比A/Bの評価≫
ここでは、上述したように負極活物質層中でバインダ(SBR、PVDF)が、負極活物質層の厚さ方向においてどのように分布しているかを調べた。ここでは、負極活物質層の断面SEM画像を基に、例えば、EDX分析(エネルギ分散型X線分析:Energy Dispersive Analysis of X-ray (EDAX))を行なった。これにより、負極活物質層中で、バインダ(SBR、PVDF)がどのように分布しているかを特定した。そして、上述したように、負極活物質層中のバインダ(SBR、PVDF)について、負極活物質層の表面側の半分の部分(Sh1)に分布するバインダ(Ah)と、負極集電体側の半分の部分(Sh2)に分布するバインダ(Bh)との比Ah/Bhを求めた。さらには、負極活物質層の表面側の1/4の部分(S1)に分布するバインダ(A)と、負極集電体側の1/4の部分に分布するバインダ(B)との比A/Bを求めた。
≪評価用セルのセパレータ≫
セパレータとしては、ポリプロピレン(PP)と、ポリエチレン(PE)の三層構造(PP/PE/PP)の多孔質シートからなるセパレータを用いた。
≪評価用セルの組み立て≫
上記で作製した負極と、正極と、セパレータとを用いて、試験用の18650型セル(リチウムイオン二次電池)を構築した。ここでは、セパレータを介在させた状態で、正極シートと負極シートとを積層して捲回した円筒形状の捲回電極体を作製した。そして、捲回電極体を円筒形状の電池ケースに収容し、非水電解液を注液して封口し、評価用セルを構築した。ここで、非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)と、ジメチルカーボネート(DMC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)とを、所定の体積比(EC:DMC:EMC=3:4:3)で混合溶媒に、リチウム塩としての1mol/LのLiPFを溶解させた電解液を用いた。
これにより、負極活物質層においてバインダ(SBR,PVDF)の種類と分布が異なる評価用セルを得る。なお、各評価用セルは負極活物質層の相違を除き、概ね同じ構成とした。ここでは、かかる評価用セルについて、所定のコンディショニングを施した後で、0℃の低温環境における充放電サイクル後の容量維持率と、直流抵抗を評価した。
≪コンディショニング≫
ここでコンディショニングは、次の手順1、2によって行なわれる。
手順1:1Cの定電流充電にて4.1Vに到達した後、5分間休止する。
手順2:手順1の後、定電圧充電にて1.5時間充電し、5分間休止する。
かかるコンディショニングでは、初期充電によって所要の反応が生じてガスが発生する。また、負極活物質層などに所要の被膜形成が形成される。
≪定格容量の測定≫
上記コンディショニングの後、評価用セルについて定格容量が測定される。定格容量の測定は、次の手順1〜3によって測定されている。なお、ここでは温度による影響を一定にするため、定格容量は温度25℃の温度環境において測定されている。
手順1:1Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後、10秒間休止する。
手順2:1Cの定電流充電によって4.1Vに到達後、定電圧充電にて2.5時間充電し、その後、10秒間休止する。
手順3:0.5Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後、10秒間停止する。
ここで、手順3における定電流放電から定電圧放電に至る放電における放電容量(CCCV放電容量)を「定格容量」とする。
≪SOC調整≫
SOC調整は、次の1、2の手順によって調整される。ここで、SOC調整は、上記コンディショニング工程および定格容量の測定の後に行なうとよい。また、ここでは、温度による影響を一定にするため、25℃の温度環境下でSOC調整を行なっている。
手順1:3Vから1Cの定電流で充電し、定格容量の凡そ60%の充電状態(SOC60%)にする。
手順2:手順1の後、2.5時間、定電圧充電する。
これにより、評価用セルは、所定の充電状態に調整することができる。なお、ここでは、SOCを60%に調整する場合を記載しているが、手順1で充電状態を変更することによって、任意の充電状態に調整できる。例えば、SOC90%に調整する場合には、手順1において、評価用セルを定格容量の90%の充電状態(SOC90%)にするとよい。
次に、かかる評価用セルについて、容量維持率と直流抵抗を評価した。
≪容量維持率(サイクル後容量維持率)≫
ここで、容量維持率(サイクル後容量維持率)は、所定の充電状態に調整された評価用セルの初期容量と、所定の充放電サイクル後の評価用セルの容量(以下、適宜に「サイクル後容量」という。)との比(サイクル後容量)/(初期容量)で求められる。
「サイクル後容量維持率」=(サイクル後容量)/(初期容量)×100(%)
≪初期容量≫
ここで初期容量の測定は、例えば、所定の充電状態に調整した評価用セルを、25℃の温度条件下において、端子間電圧が4.1Vになるまで1Cの定電流にて充電し、続いて合計充電時間が2.5時間になるまで定電圧で充電した(CC−CV充電)。充電完了から10分間休止した後、25℃において、4.1Vから3.0Vまで0.33C(1/3C)の定電流で放電させ、続いて合計放電時間が4時間となるまで定電圧で放電させた。このときの放電容量を各電池の初期容量Q1[Ah]とした。
≪サイクル後容量≫
「サイクル後容量」は、評価用セルを、所定の温度環境で所定の充放電サイクルを行う。そして、充放電サイクル後の評価用セルを基に、上述した「初期容量」の測定に準じて、25℃の温度環境において放電容量を測定する。ここで、測定された「放電容量」を「サイクル後容量」とする。
≪低温環境における充放電サイクル後の容量維持率≫
ここでの容量維持率は、特に、低温環境における充放電サイクル後の容量維持率を問題としている。このため、具体的には、0℃の温度環境で所定の充放電サイクルを所定のサイクル数(ここでは、250サイクル)実施した後で、「サイクル後容量」を測定した。充放電サイクルは、ここではまず評価用セルをSOC60%に調整する。そして、30Cの定電流による10秒間の充電、10分間の休止、30Cの定電流による10秒間の放電、10分間の休止を充放電の1サイクルとした。なお、ここでは、充放電サイクルは、かかる1サイクルを50サイクルごとに評価用セルをSOC60%に調整しつつ、250サイクル行なった。
かかる容量維持率(低温環境における充放電サイクル後の容量維持率)によって、リチウムイオン二次電池100Aについて、各評価用セルと同様の負極活物質層243Aを備えた場合において、低温環境における容量維持率を評価できる。
≪直流抵抗≫
ここで、直流抵抗は、リチウムイオン二次電池の中の電子抵抗と電解液抵抗に基づく抵抗であり、交流インピーダンス測定法によって測定することができる。図12は、交流インピーダンス測定法における、Cole−Coleプロット(ナイキスト・プロット)の典型例を示す図である。図12に示すように、交流インピーダンス測定法における等価回路フィッティングによって得られるCole−Coleプロットを基に、直流抵抗(Rsol)と、反応抵抗(Rct)を算出することができる。ここでは、図12で示すように、ナイキスト・プロットのX軸との接点(Rsol)を「直流抵抗」とした。また、反応抵抗(Rct)は、ナイキスト・プロットの変曲点(Rsol+Rct)を基に、下記の式で求めることができる。
ct=(Rsol+Rct)−Rsol
このような測定、および、直流抵抗(Rsol)と反応抵抗(Rct)の算出は、予めプログラムされた市販の装置を用いて実施できる。かかる装置としては、例えば、Solartron社製の電気化学インピーダンス測定装置がある。ここでは、室温(約25℃)の温度環境で、SOC40%(定格容量の凡そ40%の充電状態)に調整された評価用セルを基に、10−1〜10Hzの周波数範囲で複素インピーダンス測定を行なった。
かかる直流抵抗によって、リチウムイオン二次電池100Aについて、各評価用セルと同様の負極活物質層243Aを備えた場合における直流抵抗を評価できる。
≪比A/Bとの関係≫
図13は、上述した負極活物質層中のバインダ分布を示す比A/Bと、低温環境における充放電サイクル後の容量維持率と、直流抵抗との関係を示している。同図において、プロット「◇」は、負極活物質層のバインダにSBRが用いられた場合について、比A/Bと低温環境における充放電後の容量維持率との関係を示している。また、プロット「△」は、負極活物質層のバインダにPVDFが用いられた場合について、比A/Bと低温環境における充放電サイクル後の容量維持率との関係を示している。また同図において、プロット「□」は、負極活物質層のバインダにSBRが用いられた場合について、比A/Bと直流抵抗との関係を示している。また、プロット「○」は、負極活物質層のバインダにPVDFが用いられた場合について、比A/Bと直流抵抗との関係を示している。
図13において、プロット「◇」で示すように、バインダにSBRが用いられている場合、比A/Bが凡そA/B≦1.6程度では、低温環境における充放電サイクル後の容量維持率が高く維持されている。しかしながら、比A/Bが凡そA/B≦1.8程度になると、低温環境における充放電サイクル後の容量維持率が低下する。このため、負極活物質層のバインダにSBRを用いる場合には、低温環境における充放電サイクル後の容量維持率を高く維持するという観点において、上述した比A/Bを凡そA/B≦1.6程度に調整することが望ましい。なお、かかる観点において、上述した比A/Bを凡そA/B≦1.5程度に調整することによって、低温環境における充放電サイクル後の容量維持率をより確実に高く維持することができる。
また、図13において、プロット「□」で示すように、バインダにSBRが用いられている場合、比A/Bが、例えば、0.6程度に小さくなると直流抵抗が高くなる。このため、バインダにSBRが用いられている場合、比A/Bは、0.7≦A/B程度に調整することが望ましい。これにより、直流抵抗が低いリチウムイオン二次電池100Aを得ることができる。なお、かかる観点において、上述した比A/Bを凡そ0.8≦A/B程度に調整することによって、リチウムイオン二次電池100Aの直流抵抗をより確実に低く抑えることができる。
これに対して、図13において、プロット「□」およびプロット「○」で示されるように、バインダにPVDFが用いられている場合には、低温環境における充放電サイクル後の容量維持率と直流抵抗は、上記比A/Bによらず、負極活物質層中のバインダ(PVDF)の分布に依存する傾向は見られない。
このように、負極活物質層243AのバインダとしてSBR730Aを用いる場合(図11参照)には、負極活物質層243Aの表面側の1/4の部分(S1)に分布するSBR730A(A)と、負極集電体241A側の1/4の部分に分布するSBR730A(B)との比A/Bが、凡そA/B≦1.6になるように調整するとよい。これにより、低温環境における充放電サイクル後の容量維持率を高く維持し得るリチウムイオン二次電池100Aを得ることができる。また、かかる比A/Bを0.7≦A/Bとすることによって、リチウムイオン二次電池100Aの直流抵抗を小さく抑えることができる。
以上、負極活物質層243A中のバインダとしてSBRを用いる場合において、負極活物質層243A中のSBRの分布(比A/B)に着目した。そして、リチウムイオン二次電池について、低温環境における充放電サイクル後の容量維持率を高く維持するべく、SBRの分布(比A/B)をA/B≦1.6とするとよい。さらに、直流抵抗を小さく抑えるには、SBRの分布(比A/B)を0.7≦A/Bにするとよい。
ここで、負極活物質層243A中の負極活物質粒子710Aは、例えば、炭素系材料であるとよい。かかる炭素材料としては、例えば、少なくとも一部が非晶質炭素膜で覆われた天然黒鉛であるとよい。さらに、本発明者の知見では、かかる炭素系材料を負極活物質粒子710Aとして用いる場合には、粒径が小さいほど低温環境における充放電サイクル後の容量維持率が高く維持される傾向がある。このため、負極活物質層243A中の負極活物質粒子710Aとして炭素系材料を用いる場合には、レーザ回析法における平均粒径(D50)は30μm以下であるとよい。これにより、上述した低温環境における充放電サイクル後の容量維持率を高く維持する効果がより確実に得られる。
また、負極活物質層243A中のSBR730Aの質量割合は、凡そ0.2%以上4%以下であるとよく、例えば、0.5%以上2%以下であるとよい。また、負極活物質層243A中のSBR730Aは、バインダとしての機能に要するのに適当な量が含まれていればよく、負極活物質層243A中のSBR730Aの質量割合は1.5%以下であるとよい。
また、負極活物質層243AのバインダとしてSBR730Aを用いる場合には、負極合剤に増粘剤として或いは分散剤としてCMCが含まれているとよい。この場合、リチウムイオン二次電池100Aの負極活物質層243Aには、CMCが用いられていてもよい。この場合、負極活物質層243A中のCMCの質量割合は凡そ0.3%以上4%以下であるとよく、例えば、0.5%以上2%以下であるとよい。より好ましくは、CMCの質量割合は1.5%以下であるとよい。
また、上述したように、低温環境における充放電サイクル後の容量維持率を高く維持するという観点において、負極集電体241Aに塗工される負極活物質層243Aの厚さDは、負極集電体241Aの片側において凡そ50μm〜110μm(50μm≦D≦110μm)であるとよい。この場合、負極活物質層243Aの厚さDは、好ましくは53μm≦D、またより好ましくは55μm≦Dであるとよい。また、好ましくはD≦105μm、またより好ましくはD≦100μmであるとよい。
以上、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を説明したが、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、上述した何れの実施形態にも限定されず、種々の変更が可能である。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池は、特に、低温環境における充放電サイクル後の容量維持率を高く維持でき、低温環境において高い性能を発揮するリチウムイオン二次電池等の非水系二次電池を提供することができる。したがって、図14に示されるように、リチウムイオン二次電池100Aは、多様な温度環境で、低抵抗かつ高容量が求められる車両駆動用電池として特に好適である。ここで、車両駆動用電池10は、上記リチウムイオン二次電池100Aを複数個直列に接続して形成される組電池の形態であり得る。かかる車両駆動用電池を電源として備える車両1000には、典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車のような電動機を備える自動車が含まれる。
10 車両駆動用電池
100、100A リチウムイオン二次電池
200、200A 捲回電極体
220 正極シート
221 正極集電体
222 未塗工部
223 正極活物質層
224 中間部分
225 隙間
240、240A 負極シート
241、241A 負極集電体
242、242A 未塗工部
243、243A 負極活物質層
245、245A 隙間
262、264 セパレータ
280 電解液
290 充電器
300 電池ケース
320 容器本体
340 蓋体
350 注液孔
352 封止キャップ
360 安全弁
420 電極端子
440 電極端子
610 正極活物質粒子
620 導電材
630 バインダ
710、710A 負極活物質粒子
730 バインダ
730A SBR(バインダ)
1000 車両
WL 捲回軸

Claims (11)

  1. 負極集電体と、
    前記負極集電体に保持された負極活物質層と
    を備え、
    前記負極活物質層は、
    少なくとも負極活物質粒子とSBRとを含み、
    前記負極活物質層中において、前記負極活物質層の厚さ方向における、前記表面側の1/4の部分に分布するSBR(A)と、前記負極集電体側の1/4の部分に分布するSBR(B)との比A/Bが(A/B)≦1.6である、非水系二次電池。
  2. 前記比A/Bは(A/B)≦1.5である、請求項1に記載された非水系二次電池。
  3. 前記比A/Bは0.7≦(A/B)である、請求項1または2に記載された非水系二次電池。
  4. 前記比A/Bは0.8≦(A/B)である、請求項1から3までの何れか一項に記載された非水系二次電池。
  5. 前記負極活物質粒子は、炭素系材料である、請求項1から4までの何れか一項に記載された非水系二次電池。
  6. 前記負極活物質粒子は、少なくとも一部が非晶質炭素膜で覆われた天然黒鉛であり、光散乱法における平均粒径(D50)が30μm以下である、請求項1から5までの何れか一項に記載された非水系二次電池。
  7. 前記負極活物質層中のSBRの質量割合が、0.2%以上4%以下である、請求項1から6までの何れか一項に記載された非水系二次電池。
  8. 前記負極活物質層中にCMCが含まれており、CMCの質量割合が0.3%以上4%以下である、請求項1から7までの何れか一項に記載された非水系二次電池。
  9. リチウムイオン二次電池として構成された、請求項1から8までの何れか一項に記載された非水系二次電池。
  10. 請求項1から9までの何れか一項に記載された非水系二次電池を複数組み合わせた組電池。
  11. 請求項1から9までの何れか一項に記載された非水系二次電池、又は、請求項10に記載された組電池を備えた車両駆動用電池。
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