JP2004095538A - 非水電解液二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】電極群に非水電解液が溶液・液状の状態で含浸されている非水電解液二次電池において、薄型化を図ることが可能で、容量、大電流特性およびサイクル性能が向上された非水電解液二次電池を提供すること。
【解決手段】正極活物質、導電材及び第一のバインダーを含む正極と、負極活性物質、リチウムイオンを吸蔵または放出する炭素質物及び第二のバインダーを含む負極と、前記正極及び負極の間に配置されるセパレータと、非水電解液とを具備した非水電解液二次電池であって、前記第一および第二のバインダーの合計の濃度勾配が、セパレータの中心部で最小で前記正極と負極の界面の向かって次第に上昇し、前記正極および負極の中央部が最大になるようなバインダー濃度の連続曲線を有することを特徴とする、非水電解液二次電池。
【選択図】 図1
【解決手段】正極活物質、導電材及び第一のバインダーを含む正極と、負極活性物質、リチウムイオンを吸蔵または放出する炭素質物及び第二のバインダーを含む負極と、前記正極及び負極の間に配置されるセパレータと、非水電解液とを具備した非水電解液二次電池であって、前記第一および第二のバインダーの合計の濃度勾配が、セパレータの中心部で最小で前記正極と負極の界面の向かって次第に上昇し、前記正極および負極の中央部が最大になるようなバインダー濃度の連続曲線を有することを特徴とする、非水電解液二次電池。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解液二次電池に関し、特に薄型のリチウムイオン二次電池に好適な非水電解液二次電池およびその製造方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】
現在、携帯電話などの携帯機器向けの非水電解液二次電池として、薄型リチウムイオン二次電池が商品化されている。この電池は、正極にリチウムコバルト酸化物(LiCoO2 )、負極に黒鉛質材料や炭素質材料、電解液にリチウム塩を溶解した有機溶媒、セパレータに多孔質膜が用いられている。
【0003】
携帯機器の薄型化に伴って電池の厚さを薄くすることが要望されているものの、厚さ4mm以下の薄型リチウムイオン二次電池の実用化は困難である。このため、従来よりポリマー電解質を用いたカードタイプのリチウム二次電池が提案され、実用化開発が進められている。
【0004】
しかしながら、ポリマー電解質を用いたリチウム二次電池は、通常、ポリマーに非水電解液が保持されたゲル状ポリマーであるため、非水電解液を用いるリチウム二次電池に比べて電極界面のインピーダンスが大きく、かつリウチムイオン伝導度が低いという問題点がある。また、リチウムイオン移動度を高めるために厚さを薄くすると、正負極の活物質量が減少するため、エネルギー密度が低下するという問題点を生じる。
【0005】
従って、ポリマー電解質を用いたリチウム二次電池は、非水電解液が溶液・液状の状態で含浸されている薄型リウチム二次電池に比べて体積エネルギー密度及び大電流特性が劣るという問題点がある。
【0006】
一方、特開平10−177865号公報の特許請求の範囲には、正極と、負極と、電解液を保持した対向面を有するセパレータと、電解液相、電解液を含有する高分子ゲル相及び高分子固相の混相からなり、上記セパレータの対向面に上記正極及び負極を接合する接着性樹脂層とを備えたリチウムイオン二次電池が記載されている。また、特開平10−189054号公報の特許請求の範囲には、正極及び負極集電体上に成形した各電極を形成する工程、主成分ポリフッ化ビニリデンを溶媒に溶解してなるバインダー樹脂溶液をセパレータに塗布する工程、このセパレータ上に上記各電極を重ね合わせ、密着させたまま乾燥し溶剤を蒸発させて電池積層体を形成する工程、この電池積層体に電解液を含浸させる工程を備えたリチウムイオン二次電池の製造方法が記載されている。
【0007】
しかしながら、これらリチウムイオン二次電池においては、正極及びセパレータ間と、負極及びセパレータ間に接着性樹脂層がそれぞれ介在されているため、内部抵抗が高くなり、サイクル寿命及び大電流放電特性が劣るという問題点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、電極群に非水電解液が溶液・液状の状態で含浸されている非水電解液二次電池において、容量、大電流特性およびサイクル性能の向上と薄型化の双方を簡単な方法で同時に図ることが可能な非水電解液二次電池およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る非水電解液二次電池の製造方法は、正極活物質及びバインダーをその構成要素として含む正極と、負極活物質及びバインダーをその構成要素として含む負極と、前記正極及び前記負極の間に配置されるセパレータと、非水電解液とを具備した非水電解液二次電池において、前記正極と負極との間にセパレータを介在させて電極群を作製する工程と、前記正極及び/または負極のバインダーを溶解し得る有機溶媒を前記電極群に含浸させる工程と、前記電極群に乾燥を施し、前記正極とセパレータ及び前記負極とセパレータを接着する工程と、前記電極群に非水電解液を含浸させる工程とを具備することを特徴とするものである。
【0010】
さらに、本発明に係る非水電解液二次電池は、正極、セパレータおよび負極からなる電極群と非水電解液を具備してなる非水電解液二次電池であって、前記正極、セパレータおよび負極からなる電極群の積層された各構成層の少なくとも一部にバインダーが特定の分布にしたがって含有され、前記電極群の断面方向において、セパレータの中心部が低くかつ前記正極および負極の両界面に向かってバインダー濃度がU字状に上昇するようなバインダー濃度の濃度勾配を有することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の製造方法に係わる非水電解液二次電池(例えば、薄型リチウムイオン二次電池)を図1、図2および図4、図5を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明に係わる非水電解液二次電池(例えば、薄型リウチムイオン二次電池)を示す断面図、図2は図1のA部を示す拡大図、図3は正極層、セパレータ及び負極層の境界付近を示す模式図である。
【0013】
また、図4には、正極、負極及びセパレータが捲回されてなる構造を有する非水電解液二次電池を示す斜視図を示す。
【0014】
また、図5には、正極、負極及びセパレータが捲回あるいは折り曲げられてなる構造を有する非水電解液二次電池を示す斜視図を示す。
【0015】
図1に示すように、例えばラミネートフィルムからなる外装材1は、電極群2を包囲している。前記電極群2は、正極、セパレータおよび負極からなる積層物が偏平形状に捲回された構造を有する。前記積層物は、図2に示すように、セパレータ3、正極層4、正極集電体5、正極層4、セパレータ3、負極層6、負極集電体7、負極層6、セパレータ3、正極層4、正極集電体5、正極層4、セパレータ3、負極層6、及び負極集電体7がこの順番に積層されたものからなる。前記電極群2は、最外層に前記負極集電体7が位置している。
【0016】
図3に示すように、電極群2全体にわたって、正極層4、セパレータ3及び負極層6の空隙の少なくとも一部、特に、正極層4とセパレータ3との境界面、負極層6とセパレータ3との境界面には、正極及び/または負極のバインダーの一部が接着層8となって保持されている。これらのバインダーは、電極群2を構成後に、正極及び/または負極のバインダーを溶解し得る有機溶媒を前記電極群に含浸させることによって溶解した一部のバインダーが、電極群2の空隙、特に、正極層4とセパレータ3、負極層6とセパレータ3との境界面の空隙に浸入し、電極群の乾燥によって再析出したものである。それにより、特に、正極とセパレータ間及び負極とセパレータ間が接着固定化され、電極群が一体化されまた固定されている。非水電解液は、前記外装材1内の前記電極群2に含浸されている。帯状の正極リード10は、一端が前記電極群2の前記正極集電体5に接続され、かつ他端が前記外装材1から延出されている。一方、帯状の負極リード11は、一端が前記電極群2の前記負極集電体7に接続され、かつ他端が前記外装材1から延出されている。
【0017】
なお、図示はされてはいないが、本発明の好ましい態様においては、正極とセパレータとの界面、および負極とセパレータとの界面の平面方向において、バインダーが、斑状に不均一に分布していることが接着性と低抵抗化の双方を向上させる上で望ましい。
【0018】
また、本発明の製造方法による非水電解液二次電池は図4に示すように、1組の正極41、負極43及びセパレータ42の積層体が捲回されてなる電極群を有しているものであってもよい。また、図5に示すように、1組の正極51、負極53及びセパレータ52の積層体が折り曲げられてなる電極群を有しているものであってもよい。それにより電極群の製造が容易になり、また機械的強度の強い電極群が得られる。負極43の面積は正極41の面積より大きいことが望ましい。そのような構成にすることにより正極端より負極端は延出する構造となるがそれにより負極端への電流集中が抑制されサイクル性能と安全性が高められる。
【0019】
また、セパレータの短辺は負極の帯状電極の短辺からそれぞれ0.25mm〜4mm延出していることが望ましい。これにより電池に衝撃が加わったときにおいても正極と負極の短絡が生じにくくなる。さらに電池が高温条件下(100℃以上)に存在しセパレータが一部収縮した場合であっても、正極と負極の短絡が防止できるようになり安全性が向上する。
【0020】
図6は、正極61、セパレータ62および負極63からなる電極群の積層された各構成層におけるバインダーの濃度勾配の様子を示す断面図である。すなわち、本発明の電池の上記電極群においては、図6に示すように、正極61、セパレータ62および負極63からなる電極群の積層された各構成層の少なくとも一部にバインダーが特定の分布にしたがって含有され、電極群の断面方向において、セパレータ62の中心部が低くかつ正極61および負極63の両界面に向かってバインダー濃度がU字状に上昇するようなバインダー濃度の濃度勾配を有している。さらにこの場合において、本発明においては、図示のように、正極61とセパレータ62との界面、および負極63とセパレータ62との界面部分におけるバインダーの濃度が、正極61および負極63におけるバインダー濃度の最大値の1/2の濃度未満であることが好ましい。図6において、便宜的にバインダーの最大濃度を1とし、最大値の1/2の濃度を0.5として示した。
【0021】
上記のようなバインダーの濃度勾配を有することによって、接着性バインダーの硬化物によって、各構成層の界面において隣接する層は強固に接合され、しかも従来技術のように界面に接着剤層を別個の連続した層として形成する必要はないので、全体の層厚をより薄く構成できるばかりでなく、界面における抵抗を最小限に低減化することができる点においてもすぐれている。したがって、上記のような接着性バインダーの濃度勾配を実現することによって、接着性と薄膜化と低抵抗化のすべてを調和的に向上させることができる点で相乗的な効果を奏する。
【0022】
次に、前記正極、前記負極、前記セパレータ3、前記接着層8、前記非水電解液及び前記外装材1について詳しく説明する。
【0023】
1)正極
この正極は、活物質を含む正極層4が集電体5の片面もしくは両面に担持された構造を有する。
【0024】
前記正極層は、通常正極活物質、バインダー及び導電材を含む。
【0025】
前記正極活物質としては、種々の酸化物、例えば二酸化マンガン、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム含有ニッケル酸化物、リチウム含有コバルト化合物、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物、リチウム含有鉄酸化物、リチウムを含むバナジウム酸化物や、二硫化チタン、二硫化モリブデンなどのカルコゲン化合物などを挙げることができる。中でも、リチウム含有コバルト酸化物(例えば、LiCoO2 )、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物(例えば、LiNi0.8Co0.2 O2 )、リチウムマンガン複合酸化物(例えば、LiMn2 O4 、LiMnO2 )を用いると、高電圧が得られるために好ましい。
【0026】
前記導電材としては、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。
【0027】
前記バインダーとして、例えばフッ素ゴム(FR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等を用いることができるが、中でもFR、PVdF、PAN、SBRが好ましい。
【0028】
前記正極活物質、導電材および結着剤の配合割合は、正極活物質80〜95重量%、導電材3〜18重量%、バインダー2〜7重量%の範囲にすることが好ましい。
【0029】
前記集電体としては、多孔質構造の導電性基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、アルミニウム、ステンレス、またはチタンから形成することができる。
【0030】
中でも、直径3mm以下の孔が10cm2 当り1個以上の割合で存在する二次元的な多孔質構造を有する導電性基板を用いることが好ましい。すなわち、導電性基板に開口された孔の直径が3mmよりも大きくなると、十分な正極強度が得られなくなる恐れがある。一方、直径3mm以下の孔の存在割合が前記範囲よりも少なくなると、電極群に非水電解液を均一に浸透させることが困難になるため、十分なサイクル寿命が得られなくなる恐れがある。孔の直径は、0.1〜1mmの範囲にすることがより好ましい。また、孔の存在割合は、10cm2 当り10〜20個の範囲にすることがより好ましい。
【0031】
前述した直径3mm以下の孔が10cm2 当り1個以上の割合で存在する二次
元的な多孔質構造を有する導電性基板は、厚さを10〜100μmの範囲にすることが好ましい。厚さを10μm未満にすると、十分な正極強度が得られなくなる恐れがある。一方、厚さが100μmを越えると、電池重量および電極群の厚さが増加し、薄型二次電池の重量エネルギー密度や、体積エネルギー密度を十分に高くすることが困難になる恐れがある。厚さのより好ましい範囲は、15〜80μmである。
【0032】
2)負極
前記負極は、負極層6が集電体7の片面もしくは両面に担持された構造を有する。
【0033】
前記負極層は、通常リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物及び負極材料を結着するバインダーを含む。
【0034】
前記炭素質物としては、黒鉛、コークス、炭素繊維、球状炭素などの黒鉛質材料もしくは炭素質材料、熱硬化性樹脂、等方性ピッチ、メソフェーズピッチ、メソフェーズピッチ系炭素繊維、メソフェーズ小球体など(特に、メソフェーズピッチ系炭素繊維が好ましい)に500〜3000℃で熱処理を施すことにより得られる黒鉛質材料または炭素質材料等を挙げることができる。中でも、前記熱処理の温度を2000℃以上にすることにより得られ、(002)面の面間隔doc2 が0.340nm以下である黒鉛結晶を有する黒鉛質材料を用いるのが好ましい。このような黒鉛質材料を炭素質物として含む負極を備えた非水電解液二次電池は、電池容量および大電流特性を大幅に向上することができる。前記面間隔doc2 は、0.336nm以下であることが更に好ましい。
【0035】
前記バインダーとしては、例えばフッ素ゴム(FR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を用いることができるが、中でもFR、PVdF、PAN、SBRが好ましい。
【0036】
前記炭素質物及び前記バインダーの配合割合は、炭素質物90〜98重量%、バインダー2〜10重量%の範囲であることが好ましい。特に、前記炭素質物は負極を作製した状態で5〜20g/m2 の範囲にすることが好ましい。
【0037】
前記集電体としては、多孔質構造の導電性基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、銅、ステンレス、またはニッケル、チタンなどから形成することができる。
【0038】
中でも、直径3mm以下の孔が10cm2 当り1個以上の割合で存在する二次元的な多孔質構造を有する導電性基板を用いることが好ましい。すなわち、導電性基板の孔の直径が3mmよりも大きくなると、十分な負極強度が得られなくなる恐れがある。一方、直径3mm以下の孔の存在割合が前記範囲よりも少なくなると、電極群に非水電解液を均一に浸透させることが困難になるため、十分なサイクル寿命が得られなくなる恐れがある。孔の直径は、0.1〜1mmの範囲にすることがより好ましい。また、孔の存在割合は、10cm2 当り10〜20個の範囲にすることがより好ましい。
【0039】
前述した直径3mm以下の孔が10cm2 当り1個以上の割合で存在する二次元的な多孔質構造を有する導電性基板は、厚さを10〜50μmの範囲にすることが好ましい。厚さを10μm未満にすると、十分な負極強度が得られなくなる恐れがある。一方、厚さが50μmを越えると、電池重量および電極群の厚さが増加し、薄型二次電池の重量エネルギー密度や、体積エネルギー密度を十分に高くすることが困難になる恐れがある。
【0040】
前記負極としては、前述したリチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物を含むものの他に、金属酸化物か、金属硫化物か、もしくは金属窒化物を含むものや、リチウム金属またはリチウム合金からなるものを用いることができる。
【0041】
前記金属酸化物としては、例えば、スズ酸化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物等を挙げることができる。
【0042】
前記金属硫化物としては、例えば、スズ硫化物、チタン硫化物等を挙げることができる。
【0043】
前記金属窒化物としては、例えば、リチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物等を挙げることができる。
【0044】
前記リチウム合金としては、例えば、リチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金等を挙げることができる。
【0045】
3)セパレータ
このセパレータは、多孔質シートの空隙に接着性を有する高分子が保持されたものから形成される。
【0046】
前記多孔質シートとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはPVdFを含む多孔質フィルム、合成樹脂製不織布等を用いることができる。中でも、ポリエチレンか、あるいはポリプロピレン、または両者からなる多孔質フィルムは、二次電池の安全性を向上できるため、好ましい。
【0047】
前記多孔質シートの厚さは、50μm以下にすることが好ましい。厚さが50μmを越えると、正負極間の距離が大きくなって内部抵抗が大きくなる恐れがある。また、厚さの下限値は、5μmにすることが好ましい。厚さを5μm未満にすると、セパレータの強度が著しく低下して内部ショートが生じやすくなる恐れがある。厚さの上限値は、30μmにすることがより好ましく、また、下限値は10μmにすることがより好ましい。
【0048】
前記多孔質シートは、120℃、1時間での熱収縮率を20%以下であることが好ましい。前記熱収縮率が20%を越えると、正負極およびセパレータの接着強度を十分なものにすることが困難になる恐れがある。前記熱収縮率は、15%以下にすることがより好ましい。
【0049】
前記多孔質シートは、多孔度が30〜60%の範囲であることが好ましい。これは次のような理由によるものである。多孔度を30%未満にすると、セパレータにおいて高い電解液保持性を得ることが困難になる恐れがある。一方、多孔度が60%を越えると、十分なセパレータ強度を得られなくなる恐れがある。多孔度のより好ましい範囲は、35〜50%である。
【0050】
前記多孔質シートは、空気透過率が600秒/100cm3 以下であることが好ましい。空気透過率が600秒/100cm3 を越えると、セパレータにおいて高いリチウムイオン移動度を得ることが困難になる恐れがある。また、空気透過率の下限値は、100秒/100cm3 にすることが好ましい。空気透過率を100秒/100cm3 未満にすると、十分なセパレータ強度を得られなくなる恐れがあるからである。空気透過率の上限値は500秒/100cm3にすることより好ましく、また、下限値は150秒/100cm3 にすることより好ましい。
【0051】
4)非水電解液
前記非水電解液は、非水溶媒に電解質を溶解することにより調製される液体状電解液である。
【0052】
前記非水溶媒としては、リチウム二次電池の溶媒として公知の非水溶媒を用いることができ、特に限定はされないが、プロピレンカーボネート(PC)やエチレンカーボネート(EC)と前記PCやECより低粘度であり且つドナー数が18以下である1種以上の非水溶媒(以下第2溶媒と称す)との混合溶媒を主体とする非水溶媒を用いることが好ましい。
【0053】
前記第2種の溶媒としては、例えば鎖状カーボネートが好ましく、中でもジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン(BL)、アセトニトリル(AN)、酢酸エチル(EA)、トルエン、キシレンまたは、酢酸メチル(MA)などが挙げられる。これらの第2の溶媒は、単独または2種以上の混合物の形態で用いることができる。特に、前記第2種の溶媒はドナー数が16.5以下であることがより好ましい。
【0054】
前記第2溶媒の粘度は、25℃において28mp以下であることが好ましい。前記混合溶媒中の前記エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートの配合量は、体積比率で10〜80%であることが好ましい。より好ましい前記エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートの配合量は体積比率で20〜75%である。
【0055】
前記混合溶媒のより好ましい組成は、ECとMEC、ECとPCとMEC、ECとMECとDEC、ECとMECとDMC、ECとMECとPCとEDC、の混合溶媒で、MECの体積比率は30〜80%とすることが好ましい。より好ましいMECの体積比率は、40〜70%の範囲である。
【0056】
また、他の好ましい組成はECとBL、PCとBL、ECとPCとBL、ECとBLとDEC、ECとBLとMECの混合溶媒で、MECやDECの配合割合は体積比率で0.5〜20%とすることが好ましい。
【0057】
前記非水電解液に含まれる電解質としては、例えば過塩素酸リチウム(LiClO4 )、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、ホウフッ化リチウム(LiBF4 )、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6 )、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3 SO2 )2 ]などのリチウム塩(電解質)が挙げられる。中でも
LiPF6 、LiBF4 を用いるのが好ましい。
【0058】
前記電解質の前記非水溶媒に対する溶解量は、0.5〜2.0モル/1とすることが望ましい。
【0059】
前記非水電解液の量は、電池単位容量100mAh当たり0.2〜0.6gにすることが好ましい。これは次のような理由によるものである。非水電解液量を0.2g/100mAh未満にすると、正極と負極のイオン伝導度を十分に保つことができなくなる恐れがある。一方、非水電解液量が0.6g/100mAhを越えると、電解液量が多量になってフィルム状外装材による封止が困難になる恐れがある。非水電解液量のより好ましい範囲は、0.4〜0.55g/100mAhである。
【0060】
5)接着部8
この接着部8は、特に、正極層とセパレータとの境界面、負極層とセパレータの境界面に存在し、電極群を一体固定化している。
【0061】
前記接着部は正極及び/または負極のバインダーの一部が接着部となっているもので、電極群2を構成後に、正極及び/または負極のバインダーを溶解し得る有機溶媒を前記電極群に含浸させることによって溶解した一部のバインダーが、正極層4とセパレータ3、負極層6とセパレータ3との境界面の空隙に浸入し、電極群の乾燥によって再析出した結果、接着性を示すようになったものである。それにより、特に、正極とセパレータ間及び負極とセパレータ間が接着固定化され、電極群が一体化されまた固定されている。
【0062】
前記接着部は、多孔質構造を有していても良い。多孔質な接着部は、その空隙に非水電解液を保持することができる。
【0063】
6)外装材1
この外装材1は、例えば、可撓性を有する合成樹脂や金属からなる薄膜を用いることができる。特に非水電解液系電池の場合には合成樹脂からなる層にアルミニウム等のバリア層を挿入した多層膜が好ましい。アルミの層を含ませることにより、特に非水電解液電池の場合、電解質への水分の混入を防止できるため電池寿命を長くすることが可能となることから好ましい。
【0064】
前記外装材の厚さは50〜300μmの範囲内であることが好ましい。薄すぎると変形や破損し易くなり、厚すぎると薄型化の効果が小さくなる。
【0065】
以下、本発明に係る非水電解液二次電池の製造方法について説明する。
【0066】
(第1工程)
正極及び負極の間にセパレータとして多孔質シートを介在させて電極群を作製する。
【0067】
前記正極は、例えば、正極活物質に導電材およびバインダーを適当な溶媒に懸濁し、この懸濁物を集電体に塗布、乾燥して薄板状にすることにより作製される。前記正極活物質、導電材、バインダー及び集電体としては、前述した(1)正極の欄で説明したのと同様なものを挙げることができる。
【0068】
前記負極は、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物とバインダーとを溶媒の存在下で混練し、得られた懸濁物を集電体に塗布し、乾燥した後、所望の圧力で1回プレスもしくは2〜5回多段階プレスすることにより作製される。
【0069】
前記炭素質物、バインダー及び集電体としては、前述した(2)負極の欄で説明したのと同様なものを挙げることができる。
【0070】
(第2工程)
袋状に加工された外装材内に前記電極群を積層面が開口部から見えるように収納する。前記正極及び/または負極のバインダーを溶解し得る有機溶媒を前記外装材内の電極群に注入し、前記有機溶媒を前記電極群に含浸させる。
【0071】
前記外装材としては、前述した(6)外装材の欄で説明したのと同様なものを挙げることができる。
【0072】
前記バインダーとしては、前述した(1)の正極の欄で説明したのと同様なものを挙げることができる。特に、PVdFが好ましい。
【0073】
前記溶媒には、沸点が200℃以下の有機溶媒を用いることが望ましい。有機溶媒の沸点が200℃を越えると、後述する真空乾燥の温度を100℃以下にした際、乾燥時間が長く掛かる恐れがある。また、有機溶媒の沸点の下限値は、50℃にすることが好ましい。有機溶媒の沸点を50℃未満にすると、前記溶液を電極群に注入している間に前記有機溶媒が蒸発してしまう恐れがある。沸点の上限値は、180℃にすることがさらに好ましく、また、沸点の下限値は100℃にすることがさらに好ましい。
【0074】
前記有機溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、トリメチルフォスフェート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、エチレンオキサイド、シクロヘキサノン、アクリロニトリル、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが好ましい。中でも、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、アセトン、トリメチルフォスフェートなどが好ましい。
【0075】
(第3工程)
前記電極群を所定厚にプレス成形しながら常圧下、または真空を含む減圧下で乾燥を施すことにより前記有機溶媒を蒸発させ、前記正極層とセパレータ及び前記負極層とセパレータ間が接着固定化され、電極群は成形、一体化されて固定される。また、この乾燥により前記電極群中に含まれる水分の除去を同時に行うことができる。
【0076】
なお、前記正極層、負極層、セパレータ及び接着部は、微量の有機溶媒を含むことを許容する。
【0077】
前記乾燥は、100℃以下で行うことが好ましい。これは次のような理由によるものである。乾燥の温度が100℃を越えると、前記セパレータが大幅に熱収縮する恐れがある。熱収縮が大きくなると、セパレータが反るため、正極、負極及びセパレータを強固に接着することが困難になる。また、前述した熱収縮は、ポリエチレンまたはポリプロピレンを含む多孔質フィルムをセパレータとして用いる場合に顕著に生じやすい。乾燥の温度が低くなるほどセパレータの熱収縮を抑制できるものの、乾燥の温度を40℃未満にすると、十分に溶媒を蒸発させることが困難になる恐れがある。このため、乾燥温度は、40〜100℃にすることがより好ましい。また、乾燥は真空を含む減圧下で行われることが望ましい。
【0078】
(第4工程)
前記外装材内の電極群に非水電解液を注入した後、前記外装材の開口部を封止することにより薄型非水電解液二次電池を製造する。
【0079】
前記非水電解液としては、前述したのと同様なものを用いることができる。
【0080】
前述した製造方法においては、前記正極及び/または負極のバインダーを溶解し得る有機溶媒の注入を外装材に電極群を収納してから行ったが、外装材に収納せずに注入を行っても良い。この場合、まず、正極と負極の間にセパレータを介在させて電極群を作製する。前記電極群に前記有機溶媒を含浸させた後、前記電極群に常圧下あるいは真空を含む減圧下で乾燥を施すことにより前記有機溶媒を蒸発させ、前記正極とセパレータ及び前記負極とセパレータとの境界面に接着部を形成する。このような電極群を外装材に収納した後、非水電解液を注入し、封口等を行うことにより薄型の非水電解液二次電池を製造することができる。
【0081】
なお、本発明に係る製造方法は、前述した図1、2あるいは図3、4に示す構造を有する薄型非水溶媒二次電池を製造することができる。
【0082】
以上説明した本発明の製造方法に係る非水電解液二次電池によれば、正極及び/または負極のバインダーを溶解し得る有機溶媒を前記電極群に含浸させることによって、正極及び/または負極のバインダーのごく微量部が前記有機溶媒中に溶解して電極群の空隙、特に、正極層とセパレータ、負極層とセパレータとの境界面の空隙に浸入し、電極群の乾燥によって再析出した結果、正極層とセパレータ、負極層とセパレータと接着固定化する接着層として機能している。
【0083】
前記接着層として機能しているバインダー量は非常に微量であることから、前記接着層は非常に薄く均一に存在しているか、あるいは、前記接着層は正極層とセパレータ、負極層とセパレータとの境界面の一部に存在していると考えられる。いずれにしてもかような接着層によって、あたかも正極とセパレータ、負極とセパレータとが直接接触しているがごとく状況を実現しつつ電極群を一体固定化することができる。
【0084】
その結果、フィルム状外装材を用いた場合にも正・負極及びセパレータの密着性を十分確保することができるとともに、導電性高分子に起因する内部抵抗の上昇を抑制することができ、容量、大電流特性及びサイクル寿命が向上された非水電解液二次電池を提供することができる。また、フィルム状外装材を用いることが可能であるため、厚さが例えば4mm以下と薄く、容量、大電流特性及びサイクル寿命に優れた薄型の非水電解液二次電池を実現することができる。
【0085】
前記製造方法の電極群を乾燥させる工程において、前記正極、セパレータ、負極を加圧密着した状態で乾燥し、前記正極とセパレータ及び/または前記負極とセパレータを接着成形する事によって、あたかも正極とセパレータ、負極とセパレータとが直接接触しているがごとく状況を実現しつつ電極群を一体固定化することができる。その結果、フィルム状外装材を用いた場合にも正・負極及びセパレータの密着性を十分確保することができるとともに、導電性高分子に起因する内部抵抗の上昇を抑制することができ、薄型で、容量、大電流特性及びサイクル特性に優れた非水電解液二次電池を提供することができる。
【0086】
また、前記電極群の乾燥を40〜100℃で行うことによって、セパレータ、特にポリエチレンまたはポリプロピレンを含むセパレータの熱収縮を抑制することができる。その結果、正極、負極及びセパレータの接着強度をより向上することができるため、前記二次電池の大電流特性及びサイクル特性を向上することができる。
【0087】
また、前記正極及び/または負極のバインダーがフッ素ゴム、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、スチレン−ブタジエンゴムのうちの少なくとも1種から形成されていることによって、正極、負極及びセパレータの接着強度に優れた電極群を構成することができるため、前記二次電池の大電流特性及びサイクル特性を向上することができる。
【0088】
また、前記正極及び/または負極のバインダーを溶解し得る有機溶媒はジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、トリメチルフォスフェート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、エチレンオキサイド、シクロヘキサノン、アクリロニトリル、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレンのうちの少なくとも1種から選択されることによって、前記正極及び/または負極のバインダーが有機溶媒中に適当量溶解する結果、乾燥後に、正極、負極及びセパレータの接着強度に優れた電極群を構成することができるため、前記二次電池の大電流特性及びサイクル特性を向上することができる。
【0089】
また、前記乾燥を100℃以下で行う際に、前記セパレータの120℃、1時間での熱収縮率を20%以下にすることによって、セパレータの熱収縮をより小さくすることができるため、正負極及びセパレータの接着強度を更に高めることができる。
【0090】
【実施例】
以下、本発明の実施例を前述した図面を参照して詳細に説明する。
【0091】
例1
<正極の作製>
まず、リチウムコバルト酸化物(Lix CoO2 ;但し、Xは0≦X≦1である)粉末を90重量%、アセチレンブラックを3.0重量%、グラファイトを3.0重量%、及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末4重量%をN−メチルピロリドン(NMP)中に分散、混合して調整したペーストを、10cm2 当たり10個の割合で直径0.5mmの孔が存在する多孔質アルミニウム箔(厚さが15μm)からなる集電体の両面に塗布した後、プレスすることにより電極密度が3g/cm3 の電極を1枚作製した。
【0092】
<負極の作製>
炭素質材料として3000℃で熱処理したメソフェーズピッチ系炭素繊維(MCF)(繊維径が8μm、平均繊維長が20μm、平均面間隔(doc2 )が0.3360nm)の粉末93重量%と、バインダーとしてPVdF7重量%とをNMP中で分散、混合し、これを10cm2 当たり10個の割合で直径0.5mmの孔が存在する多孔質銅箔(厚さが15μm)からなる集電体に塗布し、乾燥し
、プレスすることにより電極密度が1.3g/cm3 の電極を1枚作製した。
【0093】
<セパレータ>
厚さが25μmで、120℃、1時間での熱収縮が20%で、多孔度が50%のポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータを2枚用意した。セパレータの各辺は正極と負極の各辺よりそれぞれ2mmと1.5mm長く、正極と負極の両端からそれぞれ1mmと0.75mm延出している。
【0094】
<非水電解液の調製>
六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )をエチレンカーボネート(EC)とガンマーブチロラクトン(BL)の混合溶媒(混合体積比率1:2)に1モル/1溶解して非水電解液を調製した。
【0095】
<電極群の作製>
得られた正極、負極及びセパレータをセパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層し、最外周がセパレータとなるように渦巻き状に捲回し、図4の如く偏平形状に成形して電極群を作製した。なお、積層前に前記正極の集電体に帯状の正極リードを溶接し、前記負極の集電体に帯状の負極リードを溶接した。
【0096】
アルミ箔の両面をポリプロピレンで覆った厚さ100μmのラミネートフィルムを袋状に成形し、これに前記電極群を前述した図4に示す積層面が袋の開口部から見えるように収納した。有機溶媒であるメチルエチルケトン(MEK)を前記ラミネートフィルム内の電極群に電池容量100mAh当たりの量が0.25mlとなるように注入し、前記MEKを前記電極群の内部に浸透させた。
【0097】
次いで、前記ラミネートフィルム内の電極群を加圧密着した状態で80℃で真空乾燥を12時間施すことにより前記MEKを蒸発させ、正極・セパレータ・負極が接着固定化した電極群を作製した。
【0098】
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が4.1gとなるように注入し、前述した図1、2に示す構造を有し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
【0099】
例2
負極のバインダーとしてスチレン−ブタジエンゴム(SBR)を4重量%、MCF96重量%を水中で分散、混合して調製したペーストを用い、電極群の作製時に有機溶媒としてアセトンを用いたこと以外は例1と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
【0100】
例3
ラミネートフィルムを袋状に成形したものに例1で説明したのと同様にして作製された電極群を前述した図4に示す積層面が袋の開口部から見えるように収納した。次にジメチルホルムアミド(DMF)を前記ラミネートフィルム内の電極群に電池容量100mAh当たりの量が例1と同様となるように注入し、前記DMFを前記電極群の内部に浸透させた。
【0101】
次いで、前記ラミネートフィルム内の電極群を加圧密着させた状態で40℃で真空乾燥を24時間施すことにより前記DMFを蒸発させ、正極・セパレータ・負極が接着固定化した電極群を作製した。
【0102】
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例1と同様となるように注入し、前述した図1、2に示す構造を有し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
【0103】
例4
真空乾燥の条件を80℃、12時間にすること以外は、例3で説明したのと同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
【0104】
例5
真空乾燥の条件を100℃、6時間にすること以外は、例3で説明したのと同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
【0105】
例6
負極としてアルミニウムを用いること以外は、例4と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
【0106】
比較例1
ラミネートフィルムを袋状に成形したものに前述した例1で説明したのと同様にして作製された電極群を前述した図4に示す積層面が袋の開口部から見えるように収納し、前記電極群に真空乾燥を80℃で12時間施した。前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例1と同様になるように注入し、前述した図1に示す構造を有し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
【0107】
比較例2
非水電解液の代わりにゲル電解質(ポリアクリロニトリル(PAN)、LiPF6、EC及びMECがモル比PAN:LiPF6:EC:MEC=16:5:55:24で混合されたもの)を不織布からなるセパレータに含浸させて用い、かつ例1で行った有機溶媒(MEK)による処理を施さないこと以外は、例1と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
【0108】
比較例3
ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に3重量%溶解させた。得られた溶液を例3で説明したのと同様なセパレータの両面に塗布した。例1で説明したのと同様な正極及び負極A、Bの間に前記セパレータを介在させ、積層物を作製した。前記積層物を80℃で12時間真空乾燥を施すことにより正極とセパレータ間及び負極とセパレータ間に接着層を形成した。次いで、前記積層物を渦巻き状に捲回した後、偏平形状に成形して電極群を作製した。
【0109】
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例1と同様となるように注入し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
【0110】
得られた例1〜5及び比較例1〜3の二次電池について、充電電流300mAで4.2Vまで5時間充電した後、300mAで2.7Vまで放電する充放電サイクル試験を20℃の雰囲気において実施した。一方、例6の二次電池については、充電電流300mAで4.0Vまで5時間充電した後、300mAで2.7Vまで放電する充放電サイクル試験を20℃の雰囲気において実施した。各充放電サイクル試験における1サイクル目の放電容量(初期容量)及び300サイクル時における容量維持率(前記初期容量に対する)を下記表1に示す。
【0111】
また、例1〜5及び比較例1〜3の二次電池について、充電電流300mAで4.2Vまで5時間充電した後、2Cで2.7Vまで放電した際の放電容量を測定し、2C放電レートでの容量維持率(2Cでの放電容量の前記初期容量に対する比率)を算出し、その結果を下記表1に併記する。一方、例6の二次電池については、充電電流300mAで4.0Vまで5時間充電した後、2Cで2.7Vまで放電した際の放電容量を測定して2C放電レートでの容量維持率を算出し、その結果を下記表1に併記する。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
表1〜2から明らかなように、バインダーを溶解する有機溶媒を含浸し乾燥することによって一体固定化している電極群を備える例1〜例6の二次電池は、初期容量及びサイクル寿命に優れ、特に2Cの大電流での放電容量を比較例1〜3の二次電池に比べて改善できることがわかる。
【0114】
これに対し、バインダーを溶解する有機溶媒を含浸させないで製造した比較例1の二次電池は、初期容量、サイクル寿命及び大電流放電容量が例1〜6に比べて格段に低いことがわかる。一方、非水電解液の代わりにゲル状電解質を用いる比較例2の二次電池は、2Cの大電流での放電容量が例1〜6の二次電池に比べて低いことがわかる。また、正極とセパレータ間及び負極とセパレータ間に接着層が配置された電極群を備える比較例3の二次電池は、初期容量、サイクル寿命及び大電流放電容量が例1〜6に比べて低いことがわかる。
【0115】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、放電容量、サイクル性能及び大電流放電特性が向上され、厚さ4mm以下の薄型構造にすることが可能な非水電解液二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる非水電解液二次電池の一例を示す断面図。
【図2】図1のA部を示す拡大断面図。
【図3】図1の非水電解液二次電池の電極群における正極層、セパレータ及び負極層の境界付近を示す模式図。
【図4】1組の正極、負極及びセパレータが捲回されてなる構造を有する非水電解液二次電池を示す斜視図。
【図5】1組の正極、負極及びセパレータが捲回あるいは折り曲げられてなる構造を有する非水電解液二次電池を示す斜視図。
【図6】電極群の積層された各構成層におけるバインダーの濃度勾配の様子を示す断面図。
【符号の説明】
1 外装材
2 電極群
3,42,52,62 セパレータ
4 正極層
5 正極集電体
6 負極層
7 負極集電体
8 接着層
10 正極リード
11 負極リード
41,51,61 正極
43,53,63 負極
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解液二次電池に関し、特に薄型のリチウムイオン二次電池に好適な非水電解液二次電池およびその製造方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】
現在、携帯電話などの携帯機器向けの非水電解液二次電池として、薄型リチウムイオン二次電池が商品化されている。この電池は、正極にリチウムコバルト酸化物(LiCoO2 )、負極に黒鉛質材料や炭素質材料、電解液にリチウム塩を溶解した有機溶媒、セパレータに多孔質膜が用いられている。
【0003】
携帯機器の薄型化に伴って電池の厚さを薄くすることが要望されているものの、厚さ4mm以下の薄型リチウムイオン二次電池の実用化は困難である。このため、従来よりポリマー電解質を用いたカードタイプのリチウム二次電池が提案され、実用化開発が進められている。
【0004】
しかしながら、ポリマー電解質を用いたリチウム二次電池は、通常、ポリマーに非水電解液が保持されたゲル状ポリマーであるため、非水電解液を用いるリチウム二次電池に比べて電極界面のインピーダンスが大きく、かつリウチムイオン伝導度が低いという問題点がある。また、リチウムイオン移動度を高めるために厚さを薄くすると、正負極の活物質量が減少するため、エネルギー密度が低下するという問題点を生じる。
【0005】
従って、ポリマー電解質を用いたリチウム二次電池は、非水電解液が溶液・液状の状態で含浸されている薄型リウチム二次電池に比べて体積エネルギー密度及び大電流特性が劣るという問題点がある。
【0006】
一方、特開平10−177865号公報の特許請求の範囲には、正極と、負極と、電解液を保持した対向面を有するセパレータと、電解液相、電解液を含有する高分子ゲル相及び高分子固相の混相からなり、上記セパレータの対向面に上記正極及び負極を接合する接着性樹脂層とを備えたリチウムイオン二次電池が記載されている。また、特開平10−189054号公報の特許請求の範囲には、正極及び負極集電体上に成形した各電極を形成する工程、主成分ポリフッ化ビニリデンを溶媒に溶解してなるバインダー樹脂溶液をセパレータに塗布する工程、このセパレータ上に上記各電極を重ね合わせ、密着させたまま乾燥し溶剤を蒸発させて電池積層体を形成する工程、この電池積層体に電解液を含浸させる工程を備えたリチウムイオン二次電池の製造方法が記載されている。
【0007】
しかしながら、これらリチウムイオン二次電池においては、正極及びセパレータ間と、負極及びセパレータ間に接着性樹脂層がそれぞれ介在されているため、内部抵抗が高くなり、サイクル寿命及び大電流放電特性が劣るという問題点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、電極群に非水電解液が溶液・液状の状態で含浸されている非水電解液二次電池において、容量、大電流特性およびサイクル性能の向上と薄型化の双方を簡単な方法で同時に図ることが可能な非水電解液二次電池およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る非水電解液二次電池の製造方法は、正極活物質及びバインダーをその構成要素として含む正極と、負極活物質及びバインダーをその構成要素として含む負極と、前記正極及び前記負極の間に配置されるセパレータと、非水電解液とを具備した非水電解液二次電池において、前記正極と負極との間にセパレータを介在させて電極群を作製する工程と、前記正極及び/または負極のバインダーを溶解し得る有機溶媒を前記電極群に含浸させる工程と、前記電極群に乾燥を施し、前記正極とセパレータ及び前記負極とセパレータを接着する工程と、前記電極群に非水電解液を含浸させる工程とを具備することを特徴とするものである。
【0010】
さらに、本発明に係る非水電解液二次電池は、正極、セパレータおよび負極からなる電極群と非水電解液を具備してなる非水電解液二次電池であって、前記正極、セパレータおよび負極からなる電極群の積層された各構成層の少なくとも一部にバインダーが特定の分布にしたがって含有され、前記電極群の断面方向において、セパレータの中心部が低くかつ前記正極および負極の両界面に向かってバインダー濃度がU字状に上昇するようなバインダー濃度の濃度勾配を有することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の製造方法に係わる非水電解液二次電池(例えば、薄型リチウムイオン二次電池)を図1、図2および図4、図5を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明に係わる非水電解液二次電池(例えば、薄型リウチムイオン二次電池)を示す断面図、図2は図1のA部を示す拡大図、図3は正極層、セパレータ及び負極層の境界付近を示す模式図である。
【0013】
また、図4には、正極、負極及びセパレータが捲回されてなる構造を有する非水電解液二次電池を示す斜視図を示す。
【0014】
また、図5には、正極、負極及びセパレータが捲回あるいは折り曲げられてなる構造を有する非水電解液二次電池を示す斜視図を示す。
【0015】
図1に示すように、例えばラミネートフィルムからなる外装材1は、電極群2を包囲している。前記電極群2は、正極、セパレータおよび負極からなる積層物が偏平形状に捲回された構造を有する。前記積層物は、図2に示すように、セパレータ3、正極層4、正極集電体5、正極層4、セパレータ3、負極層6、負極集電体7、負極層6、セパレータ3、正極層4、正極集電体5、正極層4、セパレータ3、負極層6、及び負極集電体7がこの順番に積層されたものからなる。前記電極群2は、最外層に前記負極集電体7が位置している。
【0016】
図3に示すように、電極群2全体にわたって、正極層4、セパレータ3及び負極層6の空隙の少なくとも一部、特に、正極層4とセパレータ3との境界面、負極層6とセパレータ3との境界面には、正極及び/または負極のバインダーの一部が接着層8となって保持されている。これらのバインダーは、電極群2を構成後に、正極及び/または負極のバインダーを溶解し得る有機溶媒を前記電極群に含浸させることによって溶解した一部のバインダーが、電極群2の空隙、特に、正極層4とセパレータ3、負極層6とセパレータ3との境界面の空隙に浸入し、電極群の乾燥によって再析出したものである。それにより、特に、正極とセパレータ間及び負極とセパレータ間が接着固定化され、電極群が一体化されまた固定されている。非水電解液は、前記外装材1内の前記電極群2に含浸されている。帯状の正極リード10は、一端が前記電極群2の前記正極集電体5に接続され、かつ他端が前記外装材1から延出されている。一方、帯状の負極リード11は、一端が前記電極群2の前記負極集電体7に接続され、かつ他端が前記外装材1から延出されている。
【0017】
なお、図示はされてはいないが、本発明の好ましい態様においては、正極とセパレータとの界面、および負極とセパレータとの界面の平面方向において、バインダーが、斑状に不均一に分布していることが接着性と低抵抗化の双方を向上させる上で望ましい。
【0018】
また、本発明の製造方法による非水電解液二次電池は図4に示すように、1組の正極41、負極43及びセパレータ42の積層体が捲回されてなる電極群を有しているものであってもよい。また、図5に示すように、1組の正極51、負極53及びセパレータ52の積層体が折り曲げられてなる電極群を有しているものであってもよい。それにより電極群の製造が容易になり、また機械的強度の強い電極群が得られる。負極43の面積は正極41の面積より大きいことが望ましい。そのような構成にすることにより正極端より負極端は延出する構造となるがそれにより負極端への電流集中が抑制されサイクル性能と安全性が高められる。
【0019】
また、セパレータの短辺は負極の帯状電極の短辺からそれぞれ0.25mm〜4mm延出していることが望ましい。これにより電池に衝撃が加わったときにおいても正極と負極の短絡が生じにくくなる。さらに電池が高温条件下(100℃以上)に存在しセパレータが一部収縮した場合であっても、正極と負極の短絡が防止できるようになり安全性が向上する。
【0020】
図6は、正極61、セパレータ62および負極63からなる電極群の積層された各構成層におけるバインダーの濃度勾配の様子を示す断面図である。すなわち、本発明の電池の上記電極群においては、図6に示すように、正極61、セパレータ62および負極63からなる電極群の積層された各構成層の少なくとも一部にバインダーが特定の分布にしたがって含有され、電極群の断面方向において、セパレータ62の中心部が低くかつ正極61および負極63の両界面に向かってバインダー濃度がU字状に上昇するようなバインダー濃度の濃度勾配を有している。さらにこの場合において、本発明においては、図示のように、正極61とセパレータ62との界面、および負極63とセパレータ62との界面部分におけるバインダーの濃度が、正極61および負極63におけるバインダー濃度の最大値の1/2の濃度未満であることが好ましい。図6において、便宜的にバインダーの最大濃度を1とし、最大値の1/2の濃度を0.5として示した。
【0021】
上記のようなバインダーの濃度勾配を有することによって、接着性バインダーの硬化物によって、各構成層の界面において隣接する層は強固に接合され、しかも従来技術のように界面に接着剤層を別個の連続した層として形成する必要はないので、全体の層厚をより薄く構成できるばかりでなく、界面における抵抗を最小限に低減化することができる点においてもすぐれている。したがって、上記のような接着性バインダーの濃度勾配を実現することによって、接着性と薄膜化と低抵抗化のすべてを調和的に向上させることができる点で相乗的な効果を奏する。
【0022】
次に、前記正極、前記負極、前記セパレータ3、前記接着層8、前記非水電解液及び前記外装材1について詳しく説明する。
【0023】
1)正極
この正極は、活物質を含む正極層4が集電体5の片面もしくは両面に担持された構造を有する。
【0024】
前記正極層は、通常正極活物質、バインダー及び導電材を含む。
【0025】
前記正極活物質としては、種々の酸化物、例えば二酸化マンガン、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム含有ニッケル酸化物、リチウム含有コバルト化合物、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物、リチウム含有鉄酸化物、リチウムを含むバナジウム酸化物や、二硫化チタン、二硫化モリブデンなどのカルコゲン化合物などを挙げることができる。中でも、リチウム含有コバルト酸化物(例えば、LiCoO2 )、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物(例えば、LiNi0.8Co0.2 O2 )、リチウムマンガン複合酸化物(例えば、LiMn2 O4 、LiMnO2 )を用いると、高電圧が得られるために好ましい。
【0026】
前記導電材としては、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。
【0027】
前記バインダーとして、例えばフッ素ゴム(FR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等を用いることができるが、中でもFR、PVdF、PAN、SBRが好ましい。
【0028】
前記正極活物質、導電材および結着剤の配合割合は、正極活物質80〜95重量%、導電材3〜18重量%、バインダー2〜7重量%の範囲にすることが好ましい。
【0029】
前記集電体としては、多孔質構造の導電性基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、アルミニウム、ステンレス、またはチタンから形成することができる。
【0030】
中でも、直径3mm以下の孔が10cm2 当り1個以上の割合で存在する二次元的な多孔質構造を有する導電性基板を用いることが好ましい。すなわち、導電性基板に開口された孔の直径が3mmよりも大きくなると、十分な正極強度が得られなくなる恐れがある。一方、直径3mm以下の孔の存在割合が前記範囲よりも少なくなると、電極群に非水電解液を均一に浸透させることが困難になるため、十分なサイクル寿命が得られなくなる恐れがある。孔の直径は、0.1〜1mmの範囲にすることがより好ましい。また、孔の存在割合は、10cm2 当り10〜20個の範囲にすることがより好ましい。
【0031】
前述した直径3mm以下の孔が10cm2 当り1個以上の割合で存在する二次
元的な多孔質構造を有する導電性基板は、厚さを10〜100μmの範囲にすることが好ましい。厚さを10μm未満にすると、十分な正極強度が得られなくなる恐れがある。一方、厚さが100μmを越えると、電池重量および電極群の厚さが増加し、薄型二次電池の重量エネルギー密度や、体積エネルギー密度を十分に高くすることが困難になる恐れがある。厚さのより好ましい範囲は、15〜80μmである。
【0032】
2)負極
前記負極は、負極層6が集電体7の片面もしくは両面に担持された構造を有する。
【0033】
前記負極層は、通常リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物及び負極材料を結着するバインダーを含む。
【0034】
前記炭素質物としては、黒鉛、コークス、炭素繊維、球状炭素などの黒鉛質材料もしくは炭素質材料、熱硬化性樹脂、等方性ピッチ、メソフェーズピッチ、メソフェーズピッチ系炭素繊維、メソフェーズ小球体など(特に、メソフェーズピッチ系炭素繊維が好ましい)に500〜3000℃で熱処理を施すことにより得られる黒鉛質材料または炭素質材料等を挙げることができる。中でも、前記熱処理の温度を2000℃以上にすることにより得られ、(002)面の面間隔doc2 が0.340nm以下である黒鉛結晶を有する黒鉛質材料を用いるのが好ましい。このような黒鉛質材料を炭素質物として含む負極を備えた非水電解液二次電池は、電池容量および大電流特性を大幅に向上することができる。前記面間隔doc2 は、0.336nm以下であることが更に好ましい。
【0035】
前記バインダーとしては、例えばフッ素ゴム(FR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を用いることができるが、中でもFR、PVdF、PAN、SBRが好ましい。
【0036】
前記炭素質物及び前記バインダーの配合割合は、炭素質物90〜98重量%、バインダー2〜10重量%の範囲であることが好ましい。特に、前記炭素質物は負極を作製した状態で5〜20g/m2 の範囲にすることが好ましい。
【0037】
前記集電体としては、多孔質構造の導電性基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、銅、ステンレス、またはニッケル、チタンなどから形成することができる。
【0038】
中でも、直径3mm以下の孔が10cm2 当り1個以上の割合で存在する二次元的な多孔質構造を有する導電性基板を用いることが好ましい。すなわち、導電性基板の孔の直径が3mmよりも大きくなると、十分な負極強度が得られなくなる恐れがある。一方、直径3mm以下の孔の存在割合が前記範囲よりも少なくなると、電極群に非水電解液を均一に浸透させることが困難になるため、十分なサイクル寿命が得られなくなる恐れがある。孔の直径は、0.1〜1mmの範囲にすることがより好ましい。また、孔の存在割合は、10cm2 当り10〜20個の範囲にすることがより好ましい。
【0039】
前述した直径3mm以下の孔が10cm2 当り1個以上の割合で存在する二次元的な多孔質構造を有する導電性基板は、厚さを10〜50μmの範囲にすることが好ましい。厚さを10μm未満にすると、十分な負極強度が得られなくなる恐れがある。一方、厚さが50μmを越えると、電池重量および電極群の厚さが増加し、薄型二次電池の重量エネルギー密度や、体積エネルギー密度を十分に高くすることが困難になる恐れがある。
【0040】
前記負極としては、前述したリチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物を含むものの他に、金属酸化物か、金属硫化物か、もしくは金属窒化物を含むものや、リチウム金属またはリチウム合金からなるものを用いることができる。
【0041】
前記金属酸化物としては、例えば、スズ酸化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物等を挙げることができる。
【0042】
前記金属硫化物としては、例えば、スズ硫化物、チタン硫化物等を挙げることができる。
【0043】
前記金属窒化物としては、例えば、リチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物等を挙げることができる。
【0044】
前記リチウム合金としては、例えば、リチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金等を挙げることができる。
【0045】
3)セパレータ
このセパレータは、多孔質シートの空隙に接着性を有する高分子が保持されたものから形成される。
【0046】
前記多孔質シートとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはPVdFを含む多孔質フィルム、合成樹脂製不織布等を用いることができる。中でも、ポリエチレンか、あるいはポリプロピレン、または両者からなる多孔質フィルムは、二次電池の安全性を向上できるため、好ましい。
【0047】
前記多孔質シートの厚さは、50μm以下にすることが好ましい。厚さが50μmを越えると、正負極間の距離が大きくなって内部抵抗が大きくなる恐れがある。また、厚さの下限値は、5μmにすることが好ましい。厚さを5μm未満にすると、セパレータの強度が著しく低下して内部ショートが生じやすくなる恐れがある。厚さの上限値は、30μmにすることがより好ましく、また、下限値は10μmにすることがより好ましい。
【0048】
前記多孔質シートは、120℃、1時間での熱収縮率を20%以下であることが好ましい。前記熱収縮率が20%を越えると、正負極およびセパレータの接着強度を十分なものにすることが困難になる恐れがある。前記熱収縮率は、15%以下にすることがより好ましい。
【0049】
前記多孔質シートは、多孔度が30〜60%の範囲であることが好ましい。これは次のような理由によるものである。多孔度を30%未満にすると、セパレータにおいて高い電解液保持性を得ることが困難になる恐れがある。一方、多孔度が60%を越えると、十分なセパレータ強度を得られなくなる恐れがある。多孔度のより好ましい範囲は、35〜50%である。
【0050】
前記多孔質シートは、空気透過率が600秒/100cm3 以下であることが好ましい。空気透過率が600秒/100cm3 を越えると、セパレータにおいて高いリチウムイオン移動度を得ることが困難になる恐れがある。また、空気透過率の下限値は、100秒/100cm3 にすることが好ましい。空気透過率を100秒/100cm3 未満にすると、十分なセパレータ強度を得られなくなる恐れがあるからである。空気透過率の上限値は500秒/100cm3にすることより好ましく、また、下限値は150秒/100cm3 にすることより好ましい。
【0051】
4)非水電解液
前記非水電解液は、非水溶媒に電解質を溶解することにより調製される液体状電解液である。
【0052】
前記非水溶媒としては、リチウム二次電池の溶媒として公知の非水溶媒を用いることができ、特に限定はされないが、プロピレンカーボネート(PC)やエチレンカーボネート(EC)と前記PCやECより低粘度であり且つドナー数が18以下である1種以上の非水溶媒(以下第2溶媒と称す)との混合溶媒を主体とする非水溶媒を用いることが好ましい。
【0053】
前記第2種の溶媒としては、例えば鎖状カーボネートが好ましく、中でもジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン(BL)、アセトニトリル(AN)、酢酸エチル(EA)、トルエン、キシレンまたは、酢酸メチル(MA)などが挙げられる。これらの第2の溶媒は、単独または2種以上の混合物の形態で用いることができる。特に、前記第2種の溶媒はドナー数が16.5以下であることがより好ましい。
【0054】
前記第2溶媒の粘度は、25℃において28mp以下であることが好ましい。前記混合溶媒中の前記エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートの配合量は、体積比率で10〜80%であることが好ましい。より好ましい前記エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートの配合量は体積比率で20〜75%である。
【0055】
前記混合溶媒のより好ましい組成は、ECとMEC、ECとPCとMEC、ECとMECとDEC、ECとMECとDMC、ECとMECとPCとEDC、の混合溶媒で、MECの体積比率は30〜80%とすることが好ましい。より好ましいMECの体積比率は、40〜70%の範囲である。
【0056】
また、他の好ましい組成はECとBL、PCとBL、ECとPCとBL、ECとBLとDEC、ECとBLとMECの混合溶媒で、MECやDECの配合割合は体積比率で0.5〜20%とすることが好ましい。
【0057】
前記非水電解液に含まれる電解質としては、例えば過塩素酸リチウム(LiClO4 )、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、ホウフッ化リチウム(LiBF4 )、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6 )、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3 SO2 )2 ]などのリチウム塩(電解質)が挙げられる。中でも
LiPF6 、LiBF4 を用いるのが好ましい。
【0058】
前記電解質の前記非水溶媒に対する溶解量は、0.5〜2.0モル/1とすることが望ましい。
【0059】
前記非水電解液の量は、電池単位容量100mAh当たり0.2〜0.6gにすることが好ましい。これは次のような理由によるものである。非水電解液量を0.2g/100mAh未満にすると、正極と負極のイオン伝導度を十分に保つことができなくなる恐れがある。一方、非水電解液量が0.6g/100mAhを越えると、電解液量が多量になってフィルム状外装材による封止が困難になる恐れがある。非水電解液量のより好ましい範囲は、0.4〜0.55g/100mAhである。
【0060】
5)接着部8
この接着部8は、特に、正極層とセパレータとの境界面、負極層とセパレータの境界面に存在し、電極群を一体固定化している。
【0061】
前記接着部は正極及び/または負極のバインダーの一部が接着部となっているもので、電極群2を構成後に、正極及び/または負極のバインダーを溶解し得る有機溶媒を前記電極群に含浸させることによって溶解した一部のバインダーが、正極層4とセパレータ3、負極層6とセパレータ3との境界面の空隙に浸入し、電極群の乾燥によって再析出した結果、接着性を示すようになったものである。それにより、特に、正極とセパレータ間及び負極とセパレータ間が接着固定化され、電極群が一体化されまた固定されている。
【0062】
前記接着部は、多孔質構造を有していても良い。多孔質な接着部は、その空隙に非水電解液を保持することができる。
【0063】
6)外装材1
この外装材1は、例えば、可撓性を有する合成樹脂や金属からなる薄膜を用いることができる。特に非水電解液系電池の場合には合成樹脂からなる層にアルミニウム等のバリア層を挿入した多層膜が好ましい。アルミの層を含ませることにより、特に非水電解液電池の場合、電解質への水分の混入を防止できるため電池寿命を長くすることが可能となることから好ましい。
【0064】
前記外装材の厚さは50〜300μmの範囲内であることが好ましい。薄すぎると変形や破損し易くなり、厚すぎると薄型化の効果が小さくなる。
【0065】
以下、本発明に係る非水電解液二次電池の製造方法について説明する。
【0066】
(第1工程)
正極及び負極の間にセパレータとして多孔質シートを介在させて電極群を作製する。
【0067】
前記正極は、例えば、正極活物質に導電材およびバインダーを適当な溶媒に懸濁し、この懸濁物を集電体に塗布、乾燥して薄板状にすることにより作製される。前記正極活物質、導電材、バインダー及び集電体としては、前述した(1)正極の欄で説明したのと同様なものを挙げることができる。
【0068】
前記負極は、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物とバインダーとを溶媒の存在下で混練し、得られた懸濁物を集電体に塗布し、乾燥した後、所望の圧力で1回プレスもしくは2〜5回多段階プレスすることにより作製される。
【0069】
前記炭素質物、バインダー及び集電体としては、前述した(2)負極の欄で説明したのと同様なものを挙げることができる。
【0070】
(第2工程)
袋状に加工された外装材内に前記電極群を積層面が開口部から見えるように収納する。前記正極及び/または負極のバインダーを溶解し得る有機溶媒を前記外装材内の電極群に注入し、前記有機溶媒を前記電極群に含浸させる。
【0071】
前記外装材としては、前述した(6)外装材の欄で説明したのと同様なものを挙げることができる。
【0072】
前記バインダーとしては、前述した(1)の正極の欄で説明したのと同様なものを挙げることができる。特に、PVdFが好ましい。
【0073】
前記溶媒には、沸点が200℃以下の有機溶媒を用いることが望ましい。有機溶媒の沸点が200℃を越えると、後述する真空乾燥の温度を100℃以下にした際、乾燥時間が長く掛かる恐れがある。また、有機溶媒の沸点の下限値は、50℃にすることが好ましい。有機溶媒の沸点を50℃未満にすると、前記溶液を電極群に注入している間に前記有機溶媒が蒸発してしまう恐れがある。沸点の上限値は、180℃にすることがさらに好ましく、また、沸点の下限値は100℃にすることがさらに好ましい。
【0074】
前記有機溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、トリメチルフォスフェート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、エチレンオキサイド、シクロヘキサノン、アクリロニトリル、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが好ましい。中でも、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、アセトン、トリメチルフォスフェートなどが好ましい。
【0075】
(第3工程)
前記電極群を所定厚にプレス成形しながら常圧下、または真空を含む減圧下で乾燥を施すことにより前記有機溶媒を蒸発させ、前記正極層とセパレータ及び前記負極層とセパレータ間が接着固定化され、電極群は成形、一体化されて固定される。また、この乾燥により前記電極群中に含まれる水分の除去を同時に行うことができる。
【0076】
なお、前記正極層、負極層、セパレータ及び接着部は、微量の有機溶媒を含むことを許容する。
【0077】
前記乾燥は、100℃以下で行うことが好ましい。これは次のような理由によるものである。乾燥の温度が100℃を越えると、前記セパレータが大幅に熱収縮する恐れがある。熱収縮が大きくなると、セパレータが反るため、正極、負極及びセパレータを強固に接着することが困難になる。また、前述した熱収縮は、ポリエチレンまたはポリプロピレンを含む多孔質フィルムをセパレータとして用いる場合に顕著に生じやすい。乾燥の温度が低くなるほどセパレータの熱収縮を抑制できるものの、乾燥の温度を40℃未満にすると、十分に溶媒を蒸発させることが困難になる恐れがある。このため、乾燥温度は、40〜100℃にすることがより好ましい。また、乾燥は真空を含む減圧下で行われることが望ましい。
【0078】
(第4工程)
前記外装材内の電極群に非水電解液を注入した後、前記外装材の開口部を封止することにより薄型非水電解液二次電池を製造する。
【0079】
前記非水電解液としては、前述したのと同様なものを用いることができる。
【0080】
前述した製造方法においては、前記正極及び/または負極のバインダーを溶解し得る有機溶媒の注入を外装材に電極群を収納してから行ったが、外装材に収納せずに注入を行っても良い。この場合、まず、正極と負極の間にセパレータを介在させて電極群を作製する。前記電極群に前記有機溶媒を含浸させた後、前記電極群に常圧下あるいは真空を含む減圧下で乾燥を施すことにより前記有機溶媒を蒸発させ、前記正極とセパレータ及び前記負極とセパレータとの境界面に接着部を形成する。このような電極群を外装材に収納した後、非水電解液を注入し、封口等を行うことにより薄型の非水電解液二次電池を製造することができる。
【0081】
なお、本発明に係る製造方法は、前述した図1、2あるいは図3、4に示す構造を有する薄型非水溶媒二次電池を製造することができる。
【0082】
以上説明した本発明の製造方法に係る非水電解液二次電池によれば、正極及び/または負極のバインダーを溶解し得る有機溶媒を前記電極群に含浸させることによって、正極及び/または負極のバインダーのごく微量部が前記有機溶媒中に溶解して電極群の空隙、特に、正極層とセパレータ、負極層とセパレータとの境界面の空隙に浸入し、電極群の乾燥によって再析出した結果、正極層とセパレータ、負極層とセパレータと接着固定化する接着層として機能している。
【0083】
前記接着層として機能しているバインダー量は非常に微量であることから、前記接着層は非常に薄く均一に存在しているか、あるいは、前記接着層は正極層とセパレータ、負極層とセパレータとの境界面の一部に存在していると考えられる。いずれにしてもかような接着層によって、あたかも正極とセパレータ、負極とセパレータとが直接接触しているがごとく状況を実現しつつ電極群を一体固定化することができる。
【0084】
その結果、フィルム状外装材を用いた場合にも正・負極及びセパレータの密着性を十分確保することができるとともに、導電性高分子に起因する内部抵抗の上昇を抑制することができ、容量、大電流特性及びサイクル寿命が向上された非水電解液二次電池を提供することができる。また、フィルム状外装材を用いることが可能であるため、厚さが例えば4mm以下と薄く、容量、大電流特性及びサイクル寿命に優れた薄型の非水電解液二次電池を実現することができる。
【0085】
前記製造方法の電極群を乾燥させる工程において、前記正極、セパレータ、負極を加圧密着した状態で乾燥し、前記正極とセパレータ及び/または前記負極とセパレータを接着成形する事によって、あたかも正極とセパレータ、負極とセパレータとが直接接触しているがごとく状況を実現しつつ電極群を一体固定化することができる。その結果、フィルム状外装材を用いた場合にも正・負極及びセパレータの密着性を十分確保することができるとともに、導電性高分子に起因する内部抵抗の上昇を抑制することができ、薄型で、容量、大電流特性及びサイクル特性に優れた非水電解液二次電池を提供することができる。
【0086】
また、前記電極群の乾燥を40〜100℃で行うことによって、セパレータ、特にポリエチレンまたはポリプロピレンを含むセパレータの熱収縮を抑制することができる。その結果、正極、負極及びセパレータの接着強度をより向上することができるため、前記二次電池の大電流特性及びサイクル特性を向上することができる。
【0087】
また、前記正極及び/または負極のバインダーがフッ素ゴム、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、スチレン−ブタジエンゴムのうちの少なくとも1種から形成されていることによって、正極、負極及びセパレータの接着強度に優れた電極群を構成することができるため、前記二次電池の大電流特性及びサイクル特性を向上することができる。
【0088】
また、前記正極及び/または負極のバインダーを溶解し得る有機溶媒はジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、トリメチルフォスフェート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、エチレンオキサイド、シクロヘキサノン、アクリロニトリル、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレンのうちの少なくとも1種から選択されることによって、前記正極及び/または負極のバインダーが有機溶媒中に適当量溶解する結果、乾燥後に、正極、負極及びセパレータの接着強度に優れた電極群を構成することができるため、前記二次電池の大電流特性及びサイクル特性を向上することができる。
【0089】
また、前記乾燥を100℃以下で行う際に、前記セパレータの120℃、1時間での熱収縮率を20%以下にすることによって、セパレータの熱収縮をより小さくすることができるため、正負極及びセパレータの接着強度を更に高めることができる。
【0090】
【実施例】
以下、本発明の実施例を前述した図面を参照して詳細に説明する。
【0091】
例1
<正極の作製>
まず、リチウムコバルト酸化物(Lix CoO2 ;但し、Xは0≦X≦1である)粉末を90重量%、アセチレンブラックを3.0重量%、グラファイトを3.0重量%、及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末4重量%をN−メチルピロリドン(NMP)中に分散、混合して調整したペーストを、10cm2 当たり10個の割合で直径0.5mmの孔が存在する多孔質アルミニウム箔(厚さが15μm)からなる集電体の両面に塗布した後、プレスすることにより電極密度が3g/cm3 の電極を1枚作製した。
【0092】
<負極の作製>
炭素質材料として3000℃で熱処理したメソフェーズピッチ系炭素繊維(MCF)(繊維径が8μm、平均繊維長が20μm、平均面間隔(doc2 )が0.3360nm)の粉末93重量%と、バインダーとしてPVdF7重量%とをNMP中で分散、混合し、これを10cm2 当たり10個の割合で直径0.5mmの孔が存在する多孔質銅箔(厚さが15μm)からなる集電体に塗布し、乾燥し
、プレスすることにより電極密度が1.3g/cm3 の電極を1枚作製した。
【0093】
<セパレータ>
厚さが25μmで、120℃、1時間での熱収縮が20%で、多孔度が50%のポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータを2枚用意した。セパレータの各辺は正極と負極の各辺よりそれぞれ2mmと1.5mm長く、正極と負極の両端からそれぞれ1mmと0.75mm延出している。
【0094】
<非水電解液の調製>
六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )をエチレンカーボネート(EC)とガンマーブチロラクトン(BL)の混合溶媒(混合体積比率1:2)に1モル/1溶解して非水電解液を調製した。
【0095】
<電極群の作製>
得られた正極、負極及びセパレータをセパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層し、最外周がセパレータとなるように渦巻き状に捲回し、図4の如く偏平形状に成形して電極群を作製した。なお、積層前に前記正極の集電体に帯状の正極リードを溶接し、前記負極の集電体に帯状の負極リードを溶接した。
【0096】
アルミ箔の両面をポリプロピレンで覆った厚さ100μmのラミネートフィルムを袋状に成形し、これに前記電極群を前述した図4に示す積層面が袋の開口部から見えるように収納した。有機溶媒であるメチルエチルケトン(MEK)を前記ラミネートフィルム内の電極群に電池容量100mAh当たりの量が0.25mlとなるように注入し、前記MEKを前記電極群の内部に浸透させた。
【0097】
次いで、前記ラミネートフィルム内の電極群を加圧密着した状態で80℃で真空乾燥を12時間施すことにより前記MEKを蒸発させ、正極・セパレータ・負極が接着固定化した電極群を作製した。
【0098】
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が4.1gとなるように注入し、前述した図1、2に示す構造を有し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
【0099】
例2
負極のバインダーとしてスチレン−ブタジエンゴム(SBR)を4重量%、MCF96重量%を水中で分散、混合して調製したペーストを用い、電極群の作製時に有機溶媒としてアセトンを用いたこと以外は例1と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
【0100】
例3
ラミネートフィルムを袋状に成形したものに例1で説明したのと同様にして作製された電極群を前述した図4に示す積層面が袋の開口部から見えるように収納した。次にジメチルホルムアミド(DMF)を前記ラミネートフィルム内の電極群に電池容量100mAh当たりの量が例1と同様となるように注入し、前記DMFを前記電極群の内部に浸透させた。
【0101】
次いで、前記ラミネートフィルム内の電極群を加圧密着させた状態で40℃で真空乾燥を24時間施すことにより前記DMFを蒸発させ、正極・セパレータ・負極が接着固定化した電極群を作製した。
【0102】
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例1と同様となるように注入し、前述した図1、2に示す構造を有し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
【0103】
例4
真空乾燥の条件を80℃、12時間にすること以外は、例3で説明したのと同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
【0104】
例5
真空乾燥の条件を100℃、6時間にすること以外は、例3で説明したのと同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
【0105】
例6
負極としてアルミニウムを用いること以外は、例4と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
【0106】
比較例1
ラミネートフィルムを袋状に成形したものに前述した例1で説明したのと同様にして作製された電極群を前述した図4に示す積層面が袋の開口部から見えるように収納し、前記電極群に真空乾燥を80℃で12時間施した。前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例1と同様になるように注入し、前述した図1に示す構造を有し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
【0107】
比較例2
非水電解液の代わりにゲル電解質(ポリアクリロニトリル(PAN)、LiPF6、EC及びMECがモル比PAN:LiPF6:EC:MEC=16:5:55:24で混合されたもの)を不織布からなるセパレータに含浸させて用い、かつ例1で行った有機溶媒(MEK)による処理を施さないこと以外は、例1と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
【0108】
比較例3
ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に3重量%溶解させた。得られた溶液を例3で説明したのと同様なセパレータの両面に塗布した。例1で説明したのと同様な正極及び負極A、Bの間に前記セパレータを介在させ、積層物を作製した。前記積層物を80℃で12時間真空乾燥を施すことにより正極とセパレータ間及び負極とセパレータ間に接着層を形成した。次いで、前記積層物を渦巻き状に捲回した後、偏平形状に成形して電極群を作製した。
【0109】
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例1と同様となるように注入し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
【0110】
得られた例1〜5及び比較例1〜3の二次電池について、充電電流300mAで4.2Vまで5時間充電した後、300mAで2.7Vまで放電する充放電サイクル試験を20℃の雰囲気において実施した。一方、例6の二次電池については、充電電流300mAで4.0Vまで5時間充電した後、300mAで2.7Vまで放電する充放電サイクル試験を20℃の雰囲気において実施した。各充放電サイクル試験における1サイクル目の放電容量(初期容量)及び300サイクル時における容量維持率(前記初期容量に対する)を下記表1に示す。
【0111】
また、例1〜5及び比較例1〜3の二次電池について、充電電流300mAで4.2Vまで5時間充電した後、2Cで2.7Vまで放電した際の放電容量を測定し、2C放電レートでの容量維持率(2Cでの放電容量の前記初期容量に対する比率)を算出し、その結果を下記表1に併記する。一方、例6の二次電池については、充電電流300mAで4.0Vまで5時間充電した後、2Cで2.7Vまで放電した際の放電容量を測定して2C放電レートでの容量維持率を算出し、その結果を下記表1に併記する。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
表1〜2から明らかなように、バインダーを溶解する有機溶媒を含浸し乾燥することによって一体固定化している電極群を備える例1〜例6の二次電池は、初期容量及びサイクル寿命に優れ、特に2Cの大電流での放電容量を比較例1〜3の二次電池に比べて改善できることがわかる。
【0114】
これに対し、バインダーを溶解する有機溶媒を含浸させないで製造した比較例1の二次電池は、初期容量、サイクル寿命及び大電流放電容量が例1〜6に比べて格段に低いことがわかる。一方、非水電解液の代わりにゲル状電解質を用いる比較例2の二次電池は、2Cの大電流での放電容量が例1〜6の二次電池に比べて低いことがわかる。また、正極とセパレータ間及び負極とセパレータ間に接着層が配置された電極群を備える比較例3の二次電池は、初期容量、サイクル寿命及び大電流放電容量が例1〜6に比べて低いことがわかる。
【0115】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、放電容量、サイクル性能及び大電流放電特性が向上され、厚さ4mm以下の薄型構造にすることが可能な非水電解液二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる非水電解液二次電池の一例を示す断面図。
【図2】図1のA部を示す拡大断面図。
【図3】図1の非水電解液二次電池の電極群における正極層、セパレータ及び負極層の境界付近を示す模式図。
【図4】1組の正極、負極及びセパレータが捲回されてなる構造を有する非水電解液二次電池を示す斜視図。
【図5】1組の正極、負極及びセパレータが捲回あるいは折り曲げられてなる構造を有する非水電解液二次電池を示す斜視図。
【図6】電極群の積層された各構成層におけるバインダーの濃度勾配の様子を示す断面図。
【符号の説明】
1 外装材
2 電極群
3,42,52,62 セパレータ
4 正極層
5 正極集電体
6 負極層
7 負極集電体
8 接着層
10 正極リード
11 負極リード
41,51,61 正極
43,53,63 負極
Claims (16)
- 正極活物質、導電材及び第一のバインダーを含む正極と、負極活性物質、リチウムイオンを吸蔵または放出する炭素質物及び第二のバインダーを含む負極と、前記正極及び負極の間に配置されるセパレータと、非水電解液とを具備した非水電解液二次電池であって、
前記第一および第二のバインダーの合計の濃度が、セパレータの中心部で最小で前記正極と負極の界面向かって次第に上昇し、前記正極および負極の中央部で最大になるようなバインダー濃度の連続曲線を有することを特徴とする、非水電解液二次電池。 - 前記連続曲線がU字状である、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
- 前記セパレータと正極または前記セパレータと負極との界面における前記第一および第二のバインダーの合計の濃度が、前記正極または負極におけるバインダー濃度の最大値の1/2の未満である、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
- 前記正極活物質が、二酸化マンガン、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム含有ニッケル酸化物、リチウム含有コバルト化合物、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物、リチウム含有鉄酸化物およびリチウム含有バナジウム酸化物からなる群から選ばれたものである、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
- 前記炭素質物が、黒鉛、コークス、炭素繊維、球状炭素などの黒鉛質材料もしくは炭素質材料、および熱硬化性樹脂、等方性ピッチ、メソフェーズピッチ、メソフェーズピッチ系炭素繊維、メソフェーズ小球体などに500〜3000℃で熱処理を施すことにより得られる黒鉛質材料または炭素質材料からなる群から選ばれたものである、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
- 前記第一のバインダーが、フッ素ゴム(FR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)およびスチレン−ブタジエンゴム(SBR)からなる群から選ばれたものである、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
- 前記第二のバインダーが、フッ素ゴム(FR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、中でもFR、PVdF、PANおよびSBR、からなる群から選ばれたものである、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
- 前記正極活物質、導電材およびバインダーの配合割合が、正極活物質80〜95重量%、導電材3〜18重量%、バインダー2〜7重量%である、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
- 前記炭素質物及び前記バインダーの配合割合が、好ましくは炭素質物90〜98重量%、バインダー2〜10重量%である、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
- 前記セパレータが、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはPVdFを含む多孔質フィルム、合成樹脂不織布からなる群から選ばれたものである、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
- 正極、セパレータおよび負極からなる電極群と非水電解液を具備してなる非水電解液二次電池であって、
前記正極、セパレータおよび負極からなる電極群の積層された各構成層の少なくとも一部にバインダーが特定の分布にしたがって含有され、前記電極群の断面方向におけるバインダーの濃度は、セパレータの中心部で最小でかつ前記正極または負極の界面に向かってバインダー濃度が次第に上昇するようなバインダー濃度の濃度勾配を有することを特徴とする、非水電解液二次電池。 - 前記正極とセパレータとの界面、および負極とセパレータとの界面部分におけるバインダーの濃度が、前記正極および負極におけるバインダー濃度の最大値の1/2の濃度未満である、請求項11に記載の非水電解液二次電池。
- 前記正極とセパレータとの界面、および負極とセパレータとの界面の平面方向において、前記バインダーが、斑状に不均一に分布している、請求項11に記載の非水電解液二次電池。
- 前記バインダーが、接着性バインダーの溶媒の蒸発により硬化された接着性バインダーから構成されたものである、請求項11に記載の非水電解液二次電池。
- 前記負極がバインダーを含まないものである、請求項11に記載の非水電解液二次電池。
- 前記負極が、リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物を含むもの、金属酸化物か、金属硫化物か、もしくは金属窒化物を含むもの、リチウム金属またはリチウム合金からなるものである、請求項11に記載の非水電解液二次電池。
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