JP2014022329A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】正極における金属元素の溶出が抑制され、耐久性の高い非水電解液二次電池を提供する。
【解決手段】本発明に係る非水電解液二次電池は、正極10および負極20を含む電極体と非水電解液とを備えている。上記正極10は、正極活物質としてスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物を含み、且つ作動上限電位が金属リチウム基準で4.5V以上である。そして、上記電極体内であって、上記正極10および上記負極20と絶縁された位置に、少なくとも層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物を含有する酸捕捉層44を備えている。
【選択図】図4

Description

本発明は、非水電解液二次電池に関する。より詳しくは、正極の作動電位が金属リチウム基準で4.5V以上に設定されている該電池に関する。
リチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池は、既存の電池に比べて小型、軽量かつ高エネルギー密度であって、出力密度にも優れる。このため、パソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源や、車載用の電源(車両駆動用電源)として好ましく用いられている。
ところで、車両駆動用電源等に用いられる非水電解液二次電池では、更なる高性能化や低コスト化が検討されている。なかでも正極活物質は、電池のエネルギー密度や耐久性を決定し得る重要な構成部材であり、且つ該電池の構成部材の中でも高価である。このため、より高性能で安価な正極活物質材料が求められている。かかる技術として、例えば特許文献1が挙げられる。特許文献1には、正極活物質としてスピネル構造のマンガン酸リチウム(LiMn)と層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物(Li(NiCoMn)O、ただしx+y+z=1)とを混合して用いることにより、安価でサイクル特性の高いリチウムイオン二次電池を得られる旨が記載されている。
特開2011−054516号公報
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1に記載の電池では、正極の作動上限電位を一般的な非水電解液二次電池(作動電位の上限が4.1V〜4.2V程度)よりも高く、例えば金属リチウム基準で凡そ4.5V以上に設定した場合、高電位の影響で正極活物質(典型的には、リチウム遷移金属複合酸化物)に含まれる金属元素が徐々に電解液中に溶出する場合があることがわかった。かかる金属元素の溶出は、正極活物質の結晶構造の変化や負極での析出を生じ電池容量の低下を招いたり、あるいは耐久性(例えば高温サイクル特性)の低下の要因となったりするため好ましくない。本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、正極における上記金属元素の溶出が抑制され、耐久性の高い非水電解液二次電池を提供することである。
本発明者が上記金属元素溶出の原因について鋭意検討したところ、正極の作動上限電位が金属リチウム基準で凡そ4.5V以上になると電解液が酸化分解されて酸(例えばフッ化水素(HF))が発生し、これによって正極活物質からの金属元素(典型的にはマンガン元素)の溶出が加速していることが判明した。このため本発明者は、発生した酸(H)を捕捉(トラップ)することで電解液中の酸の濃度を緩和しようと考えた。そして、上記課題を解決し得る手段を見出し、本発明を完成させた。
本発明により提供される非水電解液二次電池は、正極および負極を含む電極体と非水電解液とを備えている。上記正極は、正極活物質としてスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物(好ましくは、スピネル構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物)を含み、且つ作動上限電位が金属リチウム基準で4.5V以上(以下、金属リチウム基準の電位を「vs.Li/Li」と表記することがある。)である。そして、上記電極体内であって、上記正極および上記負極と絶縁された位置に、少なくとも層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物を含有する酸捕捉層を備えている。
ここで開示される非水電解液二次電池は、従来に比べ正極の作動電位を高く設定し得るため正負極間の電圧を高くし得、すなわち高エネルギー密度を実現し得る。また、かかる構成によれば、正負の電極と絶縁された(すなわち、電位のかからない)位置に酸捕捉層が設けられているため、正極が高電位となった場合でも酸捕捉層に含まれる層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物に劣化が生じ難い。そのため、層状化合物の劣化に起因する容量低下を抑制し得る。さらに、電極体内に酸捕捉層を設けることで、正極活物質からの金属溶出の原因となり得る酸を好適に捕捉し得、電解液の酸性度(pH)を緩和することができる。したがって、上記構成の非水電解液二次電池では、正極における金属元素の溶出が高度に抑制されており、高い電池性能(例えば高い電池容量や耐久性)を発揮し得る。
なお、本明細書において「非水電解液二次電池」とは非水電解液(典型的には、非水溶媒中に支持塩を含む電解液)を備えた電池をいう。また、「リチウムイオン二次電池」とは、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間のリチウムイオンの移動により充放電が実現される二次電池をいう。
ここで、「正極の作動上限電位が4.5V(vs.Li/Li)以上の非水電解液二次電池」とは、SOC(State of Charge:充電状態)0%〜100%の範囲に、正極活物質の酸化還元電位(作動電位)が4.5V(vs.Li/Li)以上の領域にある非水電解液二次電池をいう。かかる電池は、SOC0%〜100%のうち少なくとも一部範囲において、正極の電位が4.5V(vs.Li/Li)以上になる非水電解液二次電池としても把握され得る。なお、本明細書において「SOC」とは、電池が通常使用される電圧範囲を基準とする該電池の充電状態をいい、典型的には端子間電圧(開路電圧(open circuit voltage;OCV))が上限電圧(例えば、4.9V)〜下限電圧(例えば、3.5V)の条件で測定される定格容量を基準とする充電状態をいうものとする。
好適な一態様では、上記正極および上記負極の間にセパレータが介在され、上記セパレータは構成部材としてセパレータ基材と、該本体の少なくとも一方の表面に上記酸捕捉層と、を備えている。なお、上記酸捕捉層は、セパレータ基材の負極側に備えられていることが好ましい。
かかる構成によれば、電池の内部抵抗を抑制しつつ、電解液が強酸性となり得る正極の近傍に酸捕捉層を安定して配置することができる。このため、正極活物質からの金属溶出の原因となり得る酸を好適に捕捉し得、電解液の酸性度(pH)をより一層緩和することができる。また、酸捕捉層をセパレータの負極側に設けることにより、高電位のかかる正極と酸捕捉層とをセパレータによって絶縁し得るため好適である。
そして、上記セパレータは、構成部材として、上記酸捕捉層の表面に無機フィラーを含む耐熱層(Heat Resistant Layer:以下「HRL層」ともいう。)をさらに備えていることが好ましい。なお、上記耐熱層は、セパレータ基材の負極側に備えられていることが好ましい。
上記耐熱層は、電池が発熱して高温(例えば150℃以上、典型的には300℃以上の温度)になった場合でも軟化、溶融せず、形状を保持し得る。このため、正負極の短絡が生じ難く、電池の耐性を向上し得る。また、耐熱層をセパレータの負極側に設けることにより、負極と酸捕捉層とを好適に絶縁し得る。
上記電解液は、構成原子としてフッ素を含む有機溶媒(以下、「フッ素含有非水溶媒」と表記することがある。)を含んでいることが好ましい。好適例として、フッ素化カーボネートの一種または二種以上を含む電解液が挙げられる。ここで、「カーボネート」とは、分子内にカーボネート構造(−O−(C=O)−O−)を少なくとも1つ有する有機化合物をいい、環状カーボネートおよび鎖状カーボネートの双方を包含する。なお、本明細書において「鎖状」とは、直鎖状および分岐鎖状の双方を包含する意味である。また、上記フッ素化カーボネートとして、少なくとも1種類のフッ素化環状カーボネートを含むことがより好ましい。好適例として、モノフルオロエチレンカーボネート(以下「MFEC」と表記することがある。)およびジフルオロエチレンカーボネート(以下「DFEC」と表記することがある。)のいずれか一方または両方を含む電解液が挙げられる。上記電解液はまた、典型的には支持塩および非水溶媒を含んでおり、該非水溶媒は実質的にフッ素含有非水溶媒からなることがより好ましい。
かかる組成の電解液は酸化側に広い電位窓を有する(すなわち耐酸化性が高い)。したがって、該電解液を用いて構築した非水電解液二次電池では、電池の作動電圧をより高く設定した場合であっても正極における電解液の酸化分解が生じ難く、エネルギー密度と耐久性とをより高いレベルで両立し得る。
ここで開示される非水電解液二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)は、エネルギー密度や耐久性に優れたものとなり得る。例えば、初期容量が高く、且つ室温より高い温度環境下(例えば50℃〜60℃)で充放電を繰り返しても容量低下の少ないものとなり得る。したがって、かかる特徴を活かして、例えばハイブリッド車両や電気車両の動力源(駆動電源)として好適に利用し得る。
一実施形態に係る非水電解液二次電池の外形を模式的に示す斜視図である。 図1の非水電解液二次電池のII−II線における断面構造を模式的に示す図である。 一実施形態に係る非水電解液二次電池の捲回電極体の構成を示す模式図である。 図3の捲回電極体のIV−IV線における断面構造を模式的に示す図である。 pHの経時変化を表すグラフである。 一実施形態に係る非水電解液二次電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。
以下、ここで開示される非水電解液二次電池(典型的には、リチウムイオン二次電池)に係る好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここで開示される非水電解液二次電池は、正極と負極とを含む電極体と、非水電解液と、が電池ケース内に収容された構成である。そして上記正極は、正極活物質としてスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物を含んでいる。また、上記電極体内であって上記正極および上記負極と絶縁された位置に、少なくとも層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物を含有する酸捕捉層を備えている。
以下、かかる電池の構成要素について順に説明する。
<正極>
ここで開示される非水電解液二次電池の正極は、正極集電体と、該正極集電体上に形成された、少なくとも正極活物質としてスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物を含む正極活物質層と、を備えている。
このような正極は、正極活物質と必要に応じて用いられる導電材やバインダ等とを適当な溶媒に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物(正極活物質層形成用の分散液)をシート状の正極集電体に付与し、該組成物を乾燥させることにより好ましく作製することができる。上記溶媒としては、水性溶媒および有機溶媒のいずれも使用可能であり、例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いることができる。
正極集電体としては、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性部材が好ましく用いられる。集電体の形状は構築される電池の形状等に応じて異なり得るため特に限定されないが、例えば棒状体、板状体、箔状体、網状体等を用いることができる。なお、捲回電極体を備えた電池では、主に箔状体が用いられる。箔状集電体の厚みは特に限定されないが、電池の容量密度と集電体の強度との兼ね合いから5μm〜50μm(より好ましくは8μm〜30μm)程度のものを用いることができる。
ここで開示される技術における正極は、少なくともSOC0%〜100%のうち一部範囲における作動電位(vs.Li/Li)が一般的な非水電解液二次電池(作動電位の上限が4.1V〜4.2V程度)よりも高く、4.5V以上である。換言すれば、SOC0%〜100%における作動電位の最高値が4.5V(vs.Li/Li)以上の正極活物質を使用することができる。このような正極活物質を用いることにより、正極が4.5V(vs.Li/Li)以上の電位で作動する非水電解液二次電池が実現され得る。なかでも特に、作動電位(vs.Li/Li)が4.5Vを超える(さらには4.6V以上、例えば4.7V以上)の正極活物質の使用がより好ましい。
ここで、正極活物質の作動電位は、例えば以下のように測定することができる。すなわち、測定対象たる正極活物質を含む正極を作用極(WE)として用い、かかる作用極と、対極(CE)としての金属リチウムと、参照極(RE)としての金属リチウムと、使用する非水電解液(例えば、EC:EMC=30:70(体積基準)の混合溶媒中に濃度1MのLiPFを含む電解液)と、を用いて三極式セルを構築する。このセルのSOC値を、当該セルの理論容量に基づいてSOC0%〜100%まで5%刻みで調整する。かかるSOCの調整は、例えば一般的な充放電装置やポテンショスタットを用いて、WEとCEの間で定電流充電することによって行い得る。そして、各SOC値に調整したセルを1時間放置した後のWEとREとの間の電位を測定し、その電位を当該SOC値における上記正極活物質の作動電位(vs.Li/Li)とする。
なお、一般にSOC0%〜100%の間で正極活物質の作動電位が最も高くなるのはSOC100%を含む範囲であるため、通常は、SOC100%(すなわち満充電状態)における正極活物質の作動電位を通じて、当該正極活物質の作動電位の上限(例えば、4.5V以上か否か)を把握することができる。SOC100%における正極活物質の作動電位(vs.Li/Li)は、4.4V以上であることがより好ましく、4.5V以上であることがさらに好ましい。ここで開示される技術は、典型的には、SOC100%における正極活物質の作動電位(vs.Li/Li)が7.0V以下(典型的には6.0V以下、例えば5.5V以下)である非水電解液二次電池に好ましく適用される。
このような高電位を実現し得る正極活物質の好適例として、スピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物が挙げられる。より具体的には、一般式:LiMn2−p4+αで表わされる、典型的にはスピネル構造のリチウム遷移金属化合物(酸化物)。ここで、xは、0.8≦x≦1.2であり;pは、0≦p<2であり、典型的には0≦p≦1(例えば0≦p≦0.5)であり;αは、−0.2≦α≦0.2で電荷中性条件を満たすように定まる値であり;qは、0≦q≦1である。pが0より大きい場合、MはMn以外の任意の金属元素または非金属元素から選択される一種または二種以上であり得る。より具体的には、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pb)、白金(Pt)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ランタン(La)、セリウム(Ce)等であり得、Fe,Co,Ni等の遷移金属元素の少なくとも一種を好ましく採用し得る。また、qが0より大きい場合、AはFまたはClであり得る。
なかでも特に好ましい一態様として、上記一般式におけるMが少なくともNiを含む化合物、より具体的には、一般式:Li(NiMn2−y―z )O4+αで表されるスピネル構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物、が挙げられる。ここで、Mは、Ni,Mn以外の任意の遷移金属元素または典型金属元素(例えば、Fe,Co,Cu,Cr,ZnおよびAlから選択される一種または二種以上)であり得、3価のFeおよびCoの少なくとも一方を含むことが好ましい。或いは、半金属元素(例えば、B,SiおよびGeから選択される一種または二種以上)や非金属元素であってもよい。また、xは、0.8≦x≦1.2であり;yは、0<yであり;zは、0≦zであり;y+z<2(典型的にはy+z≦1)であり;βは上記αと同様であり得る。好ましい一態様では、yは、0.2≦y≦1.0(より好ましくは0.4≦y≦0.6、例えば0.45≦y≦0.55)であり;zは、0≦z<1.0(例えば0≦z≦0.3)である。また、qは、0≦q≦1であり、qが0より大きい場合、AはFまたはClであり得る。具体例としては、LiNi0.5Mn1.5等が挙げられる。かかる化合物は、高エネルギー密度を実現し得、さらに耐久性に優れるため好ましい。なお、化合物(酸化物)がスピネル構造を有しているか否かについては、X線構造解析(好ましくは単結晶X線構造解析)によって判別し得る。より具体的には、CuKα線(波長0.154051nm)を用いたX線回折装置(例えばリガク社製の「単結晶自動X線構造解析装置」)を用いた測定により判別し得る。
このようなリチウムマンガン複合酸化物は、従来公知の方法で調製して用意することができる。例えば、目的の組成に応じて選択される原料化合物(例えばリチウム源とマンガンを含む遷移金属元素源と)を所定の割合で混合し、その混合物を適切な手段によって焼成する。これを適宜粉砕、造粒、分級することによって、所望の性状を有する酸化物を調製することができる。
正極活物質の形状は、平均粒径0.5μm〜20μm(典型的には1μm〜15μm、例えば2μm〜10μm)程度の粒子状であることが好ましい。なお、本明細書中において「平均粒径」とは、レーザ回折・光散乱法に基づく粒度分布測定により測定した体積基準の粒度分布において、微粒子側からの累積50%に相当する粒径(すなわち、50%体積平均粒径。「メジアン径」ということもある。)を示す。また、正極活物質のBET比表面積は、通常、0.1m/g〜30m/g程度が適当であり、典型的には0.2m/g〜10m/g、例えば0.5m/g〜3m/g程度のものを好ましく使用し得る。なお、本明細書中において「比表面積」とは、窒素ガスを用いたBET法(BET3点法)によって測定された表面積(BET比表面積)を示す。正極活物質の性状が上記範囲にある場合、緻密で導電性の高い正極活物質層を作製し得る。また該正極活物質層内に適度な空隙を保持することができるため、非水電解液が浸漬し易く、内部抵抗を低減することができる。
このようなスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物は、使用する全正極活物質のうち、50質量%以上(典型的には50質量%〜100質量%、例えば70質量%〜100質量%、好ましくは80質量%〜100質量%)の割合で含有されることが好ましく、実質的にスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物からなる正極活物質がより好ましい。あるいは、本発明の効果を著しく低下させない限りにおいて、上記スピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物に加えて、必要に応じて他の正極活物質材料を含有させることもできる。典型例としては、オリビン型のリチウム遷移金属化合物が挙げられる。より具体的には、例えば以下(1)〜(3)の化合物を用いることができる。
(1)一般式:LiMPOで表わされる、ポリアニオンを有するオリビン型のリチウム遷移金属化合物(リン酸塩)。ここで、Mは、Mn,Fe,Ni,Co等の遷移金属元素の少なくとも一種を含み、他の金属元素または非金属元素をさらに含み得る。具体例としては、LiMnPO,LiFePO等が挙げられる。
(2)一般式:LiMPOFで表わされる、フッ化オリビン型のリチウム遷移金属化合物(リン酸塩)。ここで、Mは、Mn,Ni,Co等の遷移金属元素の少なくとも一種を含み、他の金属元素または非金属元素をさらに含み得る。具体例としては、LiMnPOF等が挙げられる。
(3)一般式:LiMSiOで表わされる、ケイ酸塩型のリチウム遷移金属化合物。ここで、Mは、Mn,Fe,Ni,Co等の遷移金属元素の少なくとも一種を含み、他の金属元素または非金属元素をさらに含み得る。具体例としては、LiFeSiO等が挙げられる。
他の好ましい一態様として、正極活物質は実質的に層状化合物(典型的には、層状構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物)を含有しないことが好ましい。より具体的には、正極活物質100質量%に占める層状化合物の割合が5質量%以下、典型的には2質量%以下、好ましくは1質量%以下(より好ましくは0.1質量%以下)であることが好ましい。これら層状化合物は4.5V(vs.Li/Li)以上の高電位になると結晶構造が崩れ、構成元素たる遷移金属元素(典型的にはマンガン元素)が電解液中に徐々に溶出し得る。そのため、充放電を繰り返すと電池容量が徐々に低下し、耐久性が悪化する虞があるためである。
導電材としては、典型的には炭素材料を用いることができる。より具体的には、例えば、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック)、コークス、活性炭、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、炭素繊維(PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維)、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン等の炭素材料から選択される、一種または二種以上であり得る。なかでも、比較的粒径が小さく比表面積が大きいカーボンブラック(典型的には、アセチレンブラック)を好ましく用いることができる。
バインダとしては、使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、水性溶媒を用いた正極合剤組成物においては、カルボキシメチルセルロース(CMC;典型的にはナトリウム塩)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース系ポリマー;ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂;スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム類;を好ましく採用することができる。また、非水溶媒を用いた正極合剤組成物においては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)等を好ましく採用することができる。
正極活物質層全体に占める正極活物質の割合は、凡そ50質量%以上(典型的には50質量%〜95質量%)とすることが適当であり、通常は凡そ70質量%〜95質量%であることが好ましい。導電材を使用する場合、正極活物質層全体に占める導電材の割合は、例えば凡そ2質量%〜20質量%とすることができ、通常は凡そ2質量%〜15質量%とすることが好ましい。バインダを使用する場合、正極活物質層全体に占めるバインダの割合は、例えば凡そ0.5質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。
正極集電体の単位面積当たりに設けられる正極活物質層の質量(正極集電体の両面に正極活物質層を有する構成では両面の合計質量)は、例えば5mg/cm〜40mg/cm(典型的には10mg/cm〜20mg/cm)程度とすることが適当である。正極集電体の両面に正極活物質層を有する構成において、正極集電体の各々の面に設けられる正極活物質層の質量は、通常、概ね同程度とすることが好ましい。また、正極活物質層の密度は、例えば1.5g/cm〜4g/cm(典型的には1.8g/cm〜3g/cm)程度とすることができる。正極活物質層の密度を上記範囲とすることで、所望の容量を維持しつつ、リチウムイオンの拡散抵抗を低く抑えることができる。このため、非水電解液二次電池の出力特性とエネルギー密度とをさらに高いレベルで両立させることができる。
<負極>
ここで開示される非水電解液二次電池の負極は、負極集電体と、該負極集電体上に形成された少なくとも負極活物質を含む負極活物質層と、を備えている。このような負極は、負極活物質と必要に応じて用いられるバインダ(結着剤)等とを適当な溶媒に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物(負極活物質層形成用の分散液)をシート状の負極集電体に付与し、該組成物を乾燥させて負極活物質層(負極活物質層)を形成することにより好ましく作製することができる。上記溶媒としては、水性溶媒および有機溶媒のいずれも使用可能であり、例えば水を用いることができる。
負極集電体としては、導電性の良好な金属(例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性材料が好ましく用いられる。また負極集電体の形状は正極集電体と同様であり得る。
負極活物質としては、従来から非水電解液二次電池に用いられる物質の一種または二種以上の材料を特に限定することなく使用することができる。特に限定されるものではないが、例えば、天然黒鉛(石墨)、人造黒鉛、ハードカーボン(難黒鉛化炭素)、ソフトカーボン(易黒鉛化炭素)、カーボンナノチューブ等の炭素材料;酸化ケイ素、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化ニオブ、酸化錫、リチウムケイ素複合酸化物、リチウムチタン複合酸化物(Lithium Titanium Composite Oxide:LTO、例えばLiTi12、LiTi、LiTi)、リチウムバナジウム複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム錫複合酸化物等の金属酸化物材料;窒化リチウム、リチウムコバルト複合窒化物、リチウムニッケル複合窒化物等の金属窒化物材料;スズ、ケイ素、アルミニウム、亜鉛、リチウム等の金属もしくはこれらの金属元素を主体とする金属合金からなる金属材料;等を用いることができる。なかでも特に、還元電位(vs.Li/Li)が凡そ0.5V以下、より好ましくは0.2V以下(例えば0.1V以下)の負極活物質は、高いエネルギー密度を実現し得るため、好ましい。かかる低電位となり得る材料としては、黒鉛系の炭素材料(典型的にはグラファイト粒子)が挙げられる。
或いは、グラファイト粒子が非晶質(アモルファス)な炭素材料でコート(被覆)された形態の粒子であってもよい。かかる粒子は、非晶質な炭素材料で表面をコートされているため非水電解液との反応性が相対的に低く抑えられている。したがって、かかる粒子を負極活物質として用いた非水電解液二次電池では、不可逆容量が抑制され、高い耐久性を発揮することができる。
負極活物質の形状は、通常、平均粒径0.5μm〜20μm(典型的には1μm〜15μm、例えば4μm〜10μm)程度の粒子状であることが好ましい。また、負極活物質のBET比表面積は、通常、0.1m/g〜30m/g程度が適当であり、典型的には0.2m/g〜10m/g、例えば0.5m/g〜3m/g程度のものを好ましく使用し得る。負極活物質の性状が上記範囲にある場合、非水電解液の還元分解が好適に抑制され得る。また、該負極活物質層内に適度な空隙を保持することができるため、非水電解液が浸漬し易く、内部抵抗を低減することができる。
バインダとしては、上記正極活物質層用のバインダとして例示したポリマー材料から適当なものを選択することができる。具体的には、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が例示される。その他、分散剤や導電材等の各種添加剤を適宜使用することもできる。
負極活物質層全体に占める負極活物質の割合は、凡そ50質量%以上とすることが適当であり、好ましくは90質量%〜99質量%(例えば95質量%〜99質量%)である。バインダを使用する場合には、負極活物質層全体に占めるバインダの割合を例えば凡そ1質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが適当である。
負極集電体の単位面積当たりに設けられる負極活物質層の質量(負極集電体の両面に負極活物質層を有する構成では両面の合計質量)は、例えば5mg/cm〜20mg/cm(典型的には5mg/cm〜10mg/cm)程度とすることが適当である。負極集電体の両面に負極活物質層を有する構成において、負極集電体の各々の面に設けられる負極活物質層の質量は、通常、概ね同程度とすることが好ましい。負極活物質層の密度は、例えば0.5g/cm〜2g/cm(典型的には1g/cm〜1.5g/cm)程度とすることができる。負極活物質層の密度を上記範囲とすることで、非水電解液との界面を好適に保ち、耐久性(サイクル特性)と出力特性とを高いレベルで両立させることができる。
<電極体>
上記作製した正極と負極とを積層し、電極体を作製する。ここで開示される技術では、上記電極体内であって、正極および負極と絶縁(離間)された位置に、少なくとも層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物を含有する酸捕捉層を備えている。かかる構成によれば、正負の電極と絶縁された電位のかからない位置に酸捕捉層が設けられているため、正極が高電位となった場合でも酸捕捉層に含まれる層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物に劣化が生じ難く、かかる層状化合物の劣化に起因する電池容量の低下を抑制することができる。さらに、電極体内に酸捕捉層を設けることで、正極活物質からの金属溶出の原因となり得る酸を好適に捕捉し得、電解液の酸性度(pH)を緩和することができる。
<酸捕捉層>
ここで開示される技術において、酸捕捉層は、酸捕捉材(トラップ材)として層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物を含んでいる。層状構造(典型的には層状岩塩構造)の化合物は、基本単位となる結晶層がファンデルワールス力の相互作用によって所定の方向に規則的に積層された結晶構造を有しており、その層間を利用して電荷担体(例えばリチウムイオン)の可逆的な吸蔵・放出や、イオン交換反応等を行い得る。このため、酸性溶液中からプロトン(H)を好適に捕捉(除去)し得、溶液の酸性度(pH)を緩和することができる。すなわち、ここで開示される非水電解液二次電池では、電解液の酸化分解によって生じた酸(H)を好適に捕捉し得、該電解液の酸性度(pH)を緩和することができる。これによって正極活物質からの金属元素の流出が抑制されるため、電池の耐久性を向上させることができる。なお、該酸化物が層状の結晶構造を有しているか否かについては、上述したX線構造解析によって判別し得る。
このような酸捕捉層は、例えば、層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物と必要に応じて用いられるバインダ(結着剤)等とを適当な溶媒に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物(酸捕捉層形成用の分散液)を、所定の担持体の表面に付与し、該組成物を乾燥させることで作製し得る。バインダや溶媒は上述した電極活物質層の形成に用いられ得るものから適宜選択し使用することができる。
層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物としては、例えば、以下(1)〜(4)の化合物を用いることができる。これらの化合物は、プロトン(H)を好適に捕捉(トラップ)し得、且つここで開示される技術において好ましく用いられる電解液中においても結晶構造が安定であるため好適である。
(1)一般式LiMOで表わされる、層状構造のリチウム遷移金属化合物(酸化物)。ここで、Mは、Ni,Co,Mn等の遷移金属元素の少なくとも一種を含み、他の金属元素または非金属元素をさらに含み得る。具体例としては、リチウムニッケル系酸化物(典型的にはLiNiO)、リチウムコバルト系酸化物(典型的にはLiCoO)、リチウムマンガン系酸化物(典型的にはLiMn)等が挙げられる。なかでも、構成元素としてリチウム元素、ニッケル元素、コバルト元素およびマンガン元素を含むリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3)を好ましく用いることができる。
(2)一般式LiMOで表わされる、層状構造のリチウム遷移金属化合物(酸化物)。ここで、Mは、Mn,Fe,Co等の遷移金属元素の少なくとも一種を含み、他の金属元素または非金属元素をさらに含み得る。具体例としては、LiMnO,LiPtO等が挙げられる。
(3)LiMOとLiMOとの固溶体。ここで、LiMOは上記(1)に記載の一般式で表わされる組成を指し、LiMOは上記(2)に記載の一般式で表わされる組成を指す。具体例としては、0.5LiNi1/3Co1/3Mn1/3−0.5LiMnOで表される、いわゆる固溶型のリチウム過剰遷移金属酸化物が挙げられる。
(4)少なくともリチウムとバナジウムとを含む、層状構造のリチウム遷移金属化合物(酸化物)。具体例としては、LiV,LiV等が挙げられる。
酸を捕捉し得るか否かは、以下の方法によって評価することができる。先ず、あらかじめ0.01mol/L(pH≒2)に調製した塩酸水溶液に、評価対象たる化合物(例えばリチウム遷移金属複合酸化物)を加える。その後、かかる水溶液を撹拌しながらpHの経時変化を測定する。本明細書においては、60分後に測定されたpH(pH)から使用した塩酸水溶液のpH(pH、ここではpH≒2)を差し引いた値(pH‐pH、以下、「ΔpH」ということもある。)が1以上である化合物を、酸捕捉材(すなわち酸を捕捉し得る材料)と判断する。好ましい一態様ではΔpHが2以上であり、より好ましくはΔpHが2.5以上である。すなわち、初期のpHを2.0に調整した場合は、60分後のpHが3.0以上(好ましくは4.0以上、より好ましくは4.5以上、例えば5.0以上)となる化合物を使用し得る。なお、本明細書中において、pHの値は、液温25℃を基準とするpH値をいうものとする。
リチウム遷移金属複合酸化物としては、一次粒子が集合した二次粒子の形態を有するものが好ましく用いられる。例えば、上記二次粒子の平均粒径が1μm〜50μm程度のものを使用することができ、通常は2μm〜20μm程度(典型的には3μm〜10μm、例えば3μm〜8μm程度)であることがより好ましい。このような酸化物は、良好な酸捕捉性を安定して発揮することができる。また、製造条件の管理しやすさ、品質安定性、生産性の観点からも好ましい。
リチウム遷移金属複合酸化物は、CuKα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて、ミラー指数(104)の回折面により得られるピークの半値幅Bに対する、ミラー指数(003)の回折面により得られるピークの半値幅Aの比(A/B)が、概ね0.7以下(典型的には0.7未満)であることが好ましく、より好ましくは0.65以下、さらに好ましくは0.6以下(典型的には0.6未満、例えば0.58以下)である。かかる半値幅比(A/B)を示すリチウム遷移金属複合酸化物は、より大きな半値幅比(A/B)を示すリチウム遷移金属複合酸化物に比べて、酸(H)を捕捉し得る面がより広く、かつ結晶内のHイオンの拡散距離が短い。したがって、かかる構成のリチウム遷移金属複合酸化物によると、本発明の効果をより一層発揮することができる。半値幅比(A/B)の下限は特に限定されないが、製造容易性の観点から通常は0.35以上(例えば0.4以上)とすることができる。両者をバランスよく両立させるという観点からは、例えば0.4≦(A/B)<0.7を満たすリチウム遷移金属複合酸化物を好ましく用いることができる。また、0.4<(A/B)≦0.65(さらには0.4<(A/B)<0.6、例えば0.5≦(A/B)<0.6)を満たすリチウム遷移金属複合酸化物によれば、より良好な結果が実現され得る。
酸捕捉層全体に占める酸捕捉材の割合は、凡そ50質量%以上とすることが適当であり、好ましくは90質量%〜99質量%(例えば95質量%〜99質量%)である。バインダを使用する場合には、酸捕捉層全体に占めるバインダの割合を例えば凡そ1質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが適当である。
担持体の単位面積当たりに設けられる酸捕捉層の質量(担持体の両面に負極活物質層を有する構成では両面の合計質量)は、例えば0.1mg/cm〜20mg/cm(典型的には5mg/cm〜10mg/cm)程度とすることが適当である。また、酸捕捉層の密度は、例えば0.5g/cm〜2g/cm(典型的には1g/cm〜1.5g/cm)程度とすることができる。
<セパレータ>
上記担持体としては、セパレータを好ましく用いることができる。すなわち、上記セパレータは、構成部材として、セパレータ基材と、該本体の少なくとも一方の表面に酸捕捉材(すなわち層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物)を含む酸捕捉層と、を備えていることが好ましい。かかる構成によれば、電池の内部抵抗を抑制しつつ、電解液が強酸性になり得る正極近傍に酸捕捉層を安定して配置することができる。このため、正極活物質からの金属溶出の原因となり得る酸を好適に捕捉し得、電解液の酸性度(pH)をより一層緩和することができる。
セパレータ基材としては、一般的な非水電解液二次電池用(例えば、リチウムイオン二次電池用)セパレータと同様のものを特に限定なく用いることができる。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂からなる多孔質シート、不織布等を用いることができる。好適例として、一種または二種以上のポリオレフィン樹脂を主体に構成された単層または多層構造の多孔性シート(微多孔質樹脂シート)が挙げられる。例えば、PEシート、PPシート、PE層の両側にPP層が積層された三層構造(PP/PE/PP構造)のシート等を好適に使用し得る。
セパレータ基材の性状は、孔径が0.001μm〜30μm(典型的には0.01μm〜20μm、例えば0.1μm〜10μm)程度であり、気孔率(空隙率)が20体積%〜80体積%(典型的には30体積%〜70体積%、例えば40体積%〜60体積%)程度であることが好ましい。上記性状を満たす場合、イオン伝導性を確保しつつ該セパレータの強度および耐性を維持し得るため、電池性能と該電池の信頼性の向上(例えば、内部短絡への耐性)とを高いレベルで両立させることができる。なお、本明細書において「孔径(気孔径という場合もある。)」とは、一般的な水銀圧入法測定に基づいて得られる値を指す。また本明細書において、「気孔率」とは、上記測定により得られる気孔容積(Vb(cm))を、見かけの体積(Va(cm))で除して、100を掛けることにより、算出した値を意味する。
<耐熱層(HRL層)>
好ましい一態様では、上記セパレータは、上記酸捕捉層の表面に耐熱性を有する非導電性(絶縁性)の無機化合物の粒子(無機フィラー)を含む耐熱層をさらに備えている。上記耐熱層は、上記酸捕捉層と電極(典型的には負極)とを好適に絶縁(離間)し得るため好ましい。さらに、耐熱層は電池が何らかの要因で変形等を生じ発熱した(例えば150℃以上、典型的には300℃以上の温度になった)場合でも軟化や溶融しない。このため正負極の短絡が生じ難く、電池の信頼性(内部短絡への耐性)を向上し得る。
このような耐熱層は、例えば、無機フィラーと必要に応じて用いられるバインダ(結着剤)等とを適当な溶媒に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物(耐熱層形成用の分散液)を、上記形成した酸捕捉層上に付与し、該組成物を乾燥させることで作製し得る。溶媒は上述した電極活物質層の形成に用いられ得るものから適宜選択し使用することができる。
無機フィラーの構成材料たる無機化合物は、金属元素または非金属元素の酸化物、炭化物、珪化物、窒化物等から選択される一種または二種以上であり得る。より具体的には、酸化アルミニウム(アルミナ:Al)、二酸化ジルコニウム(ジルコニア:ZrO)、酸化マグネシウム(マグネシア:MgO)、酸化ケイ素(シリカ:SiO)、酸化チタン(チタニア:TiO)、酸化セリウム(セリア:CeO)、酸化イットリウム(イットリア:Y)、チタン酸バリウム(BaTiO)等の酸化物系材料;コーディエライト(2MgO・2Al・5SiO)、ムライト(3Al・2SiO)、フォルステライト(2MgO・SiO)、ステアタイト(MgO・SiO)、サイアロン(Si・Al)、ジルコン(ZrO・SiO)、フェライト(MO・Fe)等の複合酸化物系材料;窒化ケイ素(シリコンナイトライド:Si)、窒化アルミニウム(アルミナイトライド:AlN)等の窒化物系材料、炭化ケイ素(シリコンカーバイド:SiC)等の炭化物系材料;ハイドロキシアパタイト等の水酸化物系材料、炭素(C)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)等の元素系材料;もしくはこれらを二種以上含む複合材料が挙げられる。なかでも、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、シリカ、ベーマイト、チタニアのうち少なくとも1種を含んでいることが好ましい。無機フィラーの平均粒径は、例えば凡そ0.1μm〜15μm程度(好ましくは0.2μm〜1.5μm程度)であり得る。
バインダとしては、例えば、上述した電極活物質層に配合され得るバインダから適宜選択し使用することができる。その他に、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、アクリロニトリル−イソプレン共重合体ゴム(NIR)、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム(NBIR)等の共重合成分としてアクリロニトリルを含むゴムや、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル(例えばアルキルエステル)を主な共重合成分とするアクリル系ポリマー等を用いることもできる。
耐熱層全体に占める無機フィラーの割合は、通常凡そ50質量%以上(典型的には80質量%以上、例えば90質量%以上、好ましくは95質量%以上)であって、99.8質量%以下(典型的には99.5質量%以下、例えば99質量%以下)である。バインダを使用する場合には、耐熱層全体に占めるバインダの割合を例えば凡そ1質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが適当である。
上記酸捕捉層の単位面積当たりに設けられる耐熱層の質量は、例えば0.1mg/cm〜20mg/cm(典型的には5mg/cm〜10mg/cm)程度とすることが適当である。また、耐熱層の密度は、例えば0.5g/cm〜2g/cm(典型的には1g/cm〜1.5g/cm)程度とすることができる。
セパレータの総厚み(酸捕捉層および/または耐熱層がセパレータ基材の表面に形成されている場合は、それらの層を含んだ厚み)は特に限定されないが、例えば、5μm〜70μm(典型的には10μm〜60μm、例えば10μm〜50μm)とすることができる。
なお、上記では典型例として、セパレータ基材の表面に酸捕捉層を形成し、さらに酸捕捉層の表面に耐熱層を形成する例を示したが、かかる態様には限定されず、例えば耐熱層は、正極および/または負極の表面に設けることもできる。より具体的には、既に上述した手法により作製した、正極活物質層を有する正極および負極活物質層を有する負極の活物質層の形成された側の表面に、耐熱層を形成し得る。そして、かかる耐熱層の形成された正極または負極のいずれか一方の表面にさらに酸捕捉層を形成し、これらを積層して電極体を作製することもできる。このような構成では、上記セパレータを必ずしも必要としない。あるいは、酸捕捉層を有しないセパレータ(セパレータ基材)と、酸捕捉層を備えたセパレータとを、酸捕捉層を挟みこむようにして重ねる。かかる構成のセパレータを介して正極と負極とを対向させ、これを積層して電極体を作製することもできる。
<正極と負極との容量比>
特に限定するものではないが、上記正極活物質の単位質量当たりの理論容量(mAh/g)と該正極活物質の質量(g)との積で算出される正極容量(C(mAh))と、上記負極活物質の単位質量当たりの理論容量(mAh/g)と該負極活物質の質量(g)との積で算出される負極容量(C(mAh))と、の比(C/C)は、通常、例えば1.0〜2.0とすることが適当であり、1.2〜1.9(例えば1.7〜1.9)とすることが好ましい。対向する正極容量と負極容量の割合は、電池容量(または不可逆容量)やエネルギー密度に直接的に影響し、電池の使用条件等(例えば急速充電)によってはリチウムの析出を招き易くなる。対向する正負極の容量比を上記範囲とすることで、電池容量やエネルギー密度等の電池特性を良好に維持しつつ、リチウムの析出を好適に抑制することができる。
<電解液>
電解液は、非水溶媒中に支持塩(支持電解質)を溶解または分散させたものが用いられる。
上記支持塩としては、一般的な非水電解液二次電池と同様のものを、適宜選択して使用することができる。例えば、リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、Li(CFSON、LiCFSO等が例示される。このような支持塩は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましい支持塩としてLiPFが挙げられる。また、電解液は、例えば上記支持塩の濃度が0.7mol/L〜1.3mol/Lの範囲内となるように調製することが好ましい。さらに、常温(例えば25℃)において液状を呈する電解液を用いることが好ましい。
上記非水溶媒としては、一般的な非水電解液二次電池の電解液に用いられる各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を、特に限定なく用いることができる。具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ビニレンカーボネート(VC)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン等が例示される。なお、上記カーボネート類とは、環状カーボネートおよび鎖状カーボネートを包含する意味であり、上記エーテル類とは、環状エーテルおよび鎖状エーテルを包含する意味である。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
好ましい一態様として、カーボネート類を主体とする非水溶媒が挙げられる。電解液としてかかる非水溶媒を含む場合、後述するセルの充電時において負極活物質表面に良質な被膜を形成し得るため、好ましい。なかでも比誘電率の高いECや、酸化電位が高い(電位窓の広い)DMCやEMC等を好適に用いることができる。例えば、非水溶媒として一種または二種以上のカーボネート類を含み、それらカーボネート類の合計体積が非水溶媒全体の体積の60体積%以上(より好ましくは75体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上であり、実質的に100体積%であってもよい。)を占める非水溶媒を好ましく用いることができる。
電解液の酸化電位(vs.Li/Li)は、正極活物質の作動電位(vs.Li/Li)と同等かそれ以上であることが望ましい。例えば、正極活物質の作動電位(vs.Li/Li)との差が0Vより大(典型的には0.1V〜3.0V程度、好ましくは0.2V〜2.0V程度、例えば0.3V〜1.0V程度)である電解液を好ましく採用することができる。
なお、電解液の酸化電位(vs.Li/Li)は、以下の方法で測定することができる。先ず、LiNi0.5Mn1.5を用いて後述する実施例の正極と同様に作用極(WE)を作製する。上記作製したWEと、対極(CE)としての金属リチウムと、参照極(RE)としての金属リチウムと、測定対象たる電解液とを用いて三極式セルを構築する。この三極式セルに対し、WEから完全にLiを脱離させる処理を行う。具体的には、温度25℃において、該WEの理論容量から予測した電池容量(Ah)の1/5の電流値で4.2Vまで定電流充電を行い、4.2Vにおいて電流値が初期電流値(すなわち、電池容量の1/5の電流値)の1/50となるまで定電圧充電を行う。次いで、測定対象電解液の酸化電位が含まれると予測される電圧範囲(典型的には4.2V以上の電圧範囲)において、任意の電圧で所定時間(例えば10時間)の定電圧充電を行い、その際の電流値を測定する。より具体的には、上記電圧範囲のなかで電圧を段階的に(例えば0.2Vステップで)高くしていき、各段階において定電圧充電を所定時間(例えば、10時間程度)行い、その際の電流値を測定する。定電圧充電時の電流値が0.1mAより大きくなったときの電位を、上記電解液の酸化電位(酸化分解電位)とする。
<フッ素含有非水溶媒>
好ましい一態様では、上記電解液は、フッ素含有非水溶媒を含んでいる。このフッ素含有非水溶媒は、例えば、非水電解液二次電池の電解液に利用し得ることが知られている有機溶媒(有機化合物)のフッ素化物であり得る。換言すれば、構成元素としてフッ素を含まない有機溶媒の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子によって置換された化学構造を有する有機溶媒であり得る。上記「構成元素としてフッ素を含まない非水溶媒」は、各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等であり得る。また、上記カーボネート類とは環状カーボネートおよび鎖状カーボネートを包含する意味であり、上記エーテル類とは環状エーテルおよび鎖状エーテルを包含する意味である。このようなフッ素含有非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
上記フッ素含有非水溶媒におけるフッ素化の程度は、通常、10%以上が適当であり、20%以上が好ましく、より好ましくは30%以上(例えば40%以上)である。ここで「フッ素化の程度」とは、[(フッ素含有非水溶媒の有するフッ素原子の個数)/(対応する非フッ素含有非水溶媒の有する水素原子の個数)]の比を指す(以下、これを「フッ素置換率」ともいう)。フッ素置換率の上限は特に規定されず、100%(すなわち、水素原子の全てがフッ素原子に置き換えられた化合物)であってもよい。また、電解液の低粘度化、イオン伝導性の向上等の観点から、フッ素置換率が90%以下(典型的には80%以下、例えば70%以下)のフッ素含有非水溶媒を好ましく採用し得る。
<フッ素化カーボネート>
好ましい一態様に係る電解液は、上記フッ素含有非水溶媒として、一種または二種以上のフッ素化カーボネート(フッ素化環状カーボネートおよびフッ素化鎖状カーボネートのいずれをも好ましく使用可能である。)を含有する。通常は、1分子内に1個のカーボネート構造を有するフッ素化カーボネートの使用が好ましい。かかるフッ素化カーボネートのフッ素置換率は、通常、10%以上が適当であり、例えば20%以上(典型的には20%以上100%以下、例えば20%以上80%以下)であり得る。フッ素置換率30%以上(典型的には30%以上100%以下、例えば30%以上70%以下)のフッ素化カーボネートを含む電解液によると、より高い酸化電位(高い耐酸化性)を実現し得る。
<フッ素化環状カーボネート>
ここで開示される技術における電解液の好適例として、上記フッ素含有非水溶媒として少なくとも1種のフッ素化環状カーボネートを含む組成の電解液が挙げられる。上記電解液から支持塩を除いた全成分(以下「支持塩以外成分」ともいう。)のうち、上記フッ素化環状カーボネートの量は、例えば5質量%以上とすることができ、通常は10質量%以上が適当であり、20質量%以上(例えば30質量%以上)が好ましい。上記支持塩以外成分の実質的に100質量%(典型的には99質量%以上)がフッ素化環状カーボネートであってもよい。通常は、電解液の低粘度化、イオン伝導性の向上等の観点から、上記支持塩以外成分のうちフッ素化環状カーボネートの量を90質量%以下とすることが適当であり、80質量%以下(例えば70質量%以下)とすることが好ましい。なお、上記フッ素化環状カーボネートの量とは、上記電解液が2種以上のフッ素化環状カーボネートを含む場合には、それらの合計量を指す。
上記フッ素化環状カーボネートとしては、炭素原子数が2〜8(より好ましくは2〜6、例えば2〜4、典型的には2または3)であるものが好ましい。炭素原子数が多すぎると、電解液の粘度が高くなったり、イオン伝導性が低下したりすることがあり得る。例えば、以下の式(C1)で表わされるフッ素環状含有カーボネートを好ましく用いることができる。
Figure 2014022329
上記式(C1)中のR11,R12およびR13は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素原子数1〜4(より好ましくは1〜2、典型的には1)のアルキル基およびハロアルキル基、ならびにフッ素以外のハロゲン原子(好ましくは塩素原子)から選択され得る。上記ハロアルキル基は、上記アルキル基の水素原子の1または2以上がハロゲン原子(例えばフッ素原子または塩素原子、好ましくはフッ素原子)で置換された構造の基であり得る。R11,R12およびR13のうちの1つまたは2つがフッ素原子である化合物が好ましい。例えば、R12およびR13の少なくとも一方がフッ素原子である化合物が好ましい。電解液の低粘度化の観点から、R11,R12およびR13がいずれもフッ素原子または水素原子である化合物を好ましく採用し得る。
上記式(C1)により表されるフッ素化環状カーボネートの具体例としては、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、トリフルオロエチレンカーボネート、パーフルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(ジフルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(トリフルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−4−フルオロエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−5−フルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロー4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロー5,5−ジメチルエチレンカーボネート等が挙げられる。ジフルオロエチレンカーボネートとしては、trans−ジフルオロエチレンカーボネート(trans−DFEC)およびcis−ジフルオロエチレンカーボネート(cis−DFEC)のいずれも使用可能である。通常は、trans−DFECの使用がより好ましい。trans−DFECは、常温(例えば25℃)において液状を呈するので、常温において固体状のcis−DFECに比べて取扱性に優れるという利点がある。
<フッ素化鎖状カーボネート>
ここで開示される技術における電解液は、上記フッ素含有非水溶媒として、上述のようなフッ素化環状カーボネートに代えて、あるいは該フッ素化環状カーボネートに加えて、例えば、以下の式(C2)で表わされるフッ素鎖状カーボネートを用いることができる。
Figure 2014022329
上記式(C2)中のR21およびR22の少なくとも一方(好ましくは両方)はフッ素を含有する有機基であり、例えば、フッ化アルキル基またはフッ化アルキルエーテル基であり得る。フッ素以外のハロゲン原子によりさらに置換されたフッ化アルキル基またはフッ化アルキルエーテル基でであってもよい。R21およびR22の一方は、フッ素を含有しない有機基(例えば、アルキル基またはアルキルエーテル基)であってもよい。R21およびR22の各々は、炭素原子数が1〜6(より好ましくは1〜4、例えば1〜3、典型的には1または2)の有機基であることが好ましい。炭素原子数が多すぎると、電解液の粘度が高くなったり、イオン伝導性が低下したりすることがあり得る。同様の理由から、通常は、R21およびR22の少なくとも一方は直鎖状であることが好ましく、R21およびR22がいずれも直鎖状であることがより好ましい。例えば、R21およびR22がいずれもフッ化アルキル基であり、それらの合計炭素原子数が1または2であるフッ素鎖状カーボネートを好ましく採用し得る。
上記式(C2)で表わされるフッ素化鎖状カーボネートの具体例としては、フルオロメチルメチルカーボネート、ジフルオロメチルメチルカーボネート、トリフルオロメチルメチルカーボネート、フルオロメチルジフルオロメチルカーボネート(以下「TFDMC」と表記することがある。)、ビス(フルオロメチル)カーボネート、ビス(ジフルオロメチル)カーボネート、ビス(トリフルオロメチル)カーボネート、(2−フルオロエチル)メチルカーボネート、エチルフルオロメチルカーボネート、(2,2−ジフルオロエチル)メチルカーボネート、(2−フルオロエチル)フルオロメチルカーボネート、エチルジフルオロメチルカーボネート、(2,2,2−トリフルオロエチル)メチルカーボネート、(2,2−ジフルオロエチル)フルオロメチルカーボネート、(2−フルオロエチル)ジフルオロメチルカーボネート、エチルトリフルオロメチルカーボネート、エチル−(2−フルオロエチル)カーボネート、エチル−(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、ビス(2−フルオロエチル)カーボネート、エチル−(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、2,2−ジフルオロエチル−2’−フルオロエチルカーボネート、ビス(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、2,2,2−トリフルオロエチル−2’−フルオロエチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチル−2’,2’−ジフルオロエチルカーボネート、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、ペンタフルオロエチルメチルカーボネート、ペンタフルオロエチルフルオロメチルカーボネート、ペンタフルオロエチルエチルカーボネート、ビス(ペンタフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。
好ましい一態様に係る電解液は、上記フッ素含有非水溶媒として、少なくとも1種のフッ素化環状カーボネートと、少なくとも1種のフッ素化鎖状カーボネートとを含有する。かかる組成の電解液において、上記フッ素化鎖状カーボネート(好ましくは、フッ素化直鎖状カーボネート)は、該電解液を常温(例えば25℃)で液状とし、あるいは該電解液の粘度を低下させるために役立ち得る。
このようなフッ素含有非水溶媒は、電解液から支持塩を除いた全成分のうち、1質量%以上(典型的には5質量%〜100質量%、例えば30質量%〜100質量%、好ましくは50質量%〜100質量%)の割合で電解液に含有されることが好ましく、上記支持塩以外成分の実質的に100質量%(典型的には99質量%以上)であってもよい。或いは、フッ素含有非水溶媒と、構成元素としてフッ素を含まない非水溶媒と、を両方とも含み得る。かかる場合、フッ素原子を含まない非水溶媒の占める割合は、例えば、該電解液に含まれる支持塩以外成分の70質量%以下の割合であることが好ましく、より好ましくは60質量%(例えば50質量%)以下である。また、本発明の効果を大きく損なわない限度で各種添加剤(例えばリチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)等の被膜形成剤;ビフェニル(BP)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)等の過充電時にガスを発生させ得る化合物;カルボキシメチルセルロース(CMC)等の分散剤;増粘剤;等)を適宜含有することもできる。
他の好ましい一態様では、電解液の還元電位(vs.Li/Li)は、負極活物質の作動下限電位(vs.Li/Li)と同等かそれ以下であることが望ましい。例えば、負極活物質の作動電位(vs.Li/Li)との差が0Vより大(典型的には0.1V〜2.0V程度、好ましくは0.2V〜1.0V程度)である電解液を好ましく採用することができる。
電解液の還元電位(vs.Li/Li)は、以下の方法で測定することができる。先ず、作用極(WE)としてのグラッシーカーボンと、対極(CE)としての金属リチウムと、参照極(RE)としての金属リチウムと、測定対象たる電解液とを用いて三極式セルを作成し、リニアスイープボルタンメトリー(Linear Sweep Voltammetry)の測定を行う。具体的には、温度20℃において、作用極の電位を、セル作成後の開回路電圧(OCV)から0.05Vに至るまで掃引する。掃引速度は1mV/秒とする。測定結果の電流Iおよび電位Vから微分値dI/dVを算出する。このdI/dVを縦軸とし、電位Vを横軸としてグラフを作成する。このグラフにおいて、測定開始から最初に現れたdI/dVのピークに対応する電位Vを還元電位(還元分解電位)とする。例えば後述する実施例で用いた電解液(MFEC:TFDMCの体積比1:1の混合溶媒中に、LiPFを1mol/Lの濃度で含む非水電解液)の還元電位は、凡そ1.9V(vs.Li/Li)である。
<電池ケース>
そして、正極および負極を含む電極体と電解液とを適当な電池ケース内に収容し、前処理用セルを構築する。
電池ケースとしては、従来から非水電解液二次電池に用いられる材料や形状を用いることができる。該ケースの材質としては、例えば、アルミニウム、スチール等の金属材料;ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂材料;が挙げられる。なかでも、放熱性向上やエネルギー密度を高める目的から、比較的軽量な金属(例えば、アルミニウムやアルミニウム合金)を好ましく採用し得る。また、該ケースの形状(容器の外形)は、例えば、円形(円筒形、コイン形、ボタン形)、六面体形(直方体形、立方体形)、袋体形、およびそれらを加工し変形させた形状等であり得る。
特に限定することを意図したものではないが、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池として、扁平に捲回された電極体(捲回電極体)と、非水電解液と、を扁平な直方体形(角形)の容器に収容した形態の非水電解液二次電池(単電池)を例とし、図1〜4にその概略構成を示す。以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、実際の寸法関係を反映するものではない。
ここで開示される技術の一実施形態に係る非水電解液二次電池は、例えば図1および図2に示すように、捲回電極体80が、図示しない非水電解液とともに、該電極体80の形状に対応した扁平な直方体形状(角形)の電池ケース50に収容された構成を有する。この電池ケース50は、上端が開放された扁平な直方体形状(角形)の電池ケース本体52と、その開口部を塞ぐ蓋体54とを備える。電池ケース50の上面(すなわち蓋体54)には、外部接続用の正極端子70および負極端子72が、それら端子の一部が蓋体54から電池の外方に突出するように設けられている。また、蓋体54には電池ケース内部で発生したガスをケースの外部に排出するための安全弁55が備えられている。
かかる構成の非水電解液二次電池100は、例えば、ケース50の開口部から電極体80を内部に収容し、該ケース50の開口部に蓋体54を取り付けた後、蓋体54に設けられた図示しない電解液注入孔から非水電解液を注入し、次いでかかる注入孔を塞ぐことによって構築することができる。
図2〜図4に示すように、捲回電極体80は、正極活物質を含む正極活物質層14が長尺シート状の正極集電体12の両面に保持された正極シート10と、負極活物質を含む負極活物質層24が長尺シート状の負極集電体22の両面に保持された負極シート20とを重ね合わせて捲回し、得られた捲回体を側面方向から押圧して拉げさせることによって扁平形状に成形されている。正極活物質層14と負極活物質層24との間は、両者の直接接触を防ぐ絶縁層が配置されている。ここに示す例では、捲回電極体80を作製するに際して、上記絶縁層として長尺シート状のセパレータ40を使用している。図4に示す例では、下からセパレータシート40、負極シート20、セパレータシート40、正極シート10の順に積層されている。このとき、セパレータシート40は、該セパレータシート40の酸捕捉層44および耐熱層46が負極側となるように配置されている。すなわち、下からセパレータシート40(セパレータ基材42、酸捕捉層44、耐熱層46)、負極シート20(負極活物質層24、負極集電体22、負極活物質層24)、セパレータシート40(耐熱層46、酸捕捉層44、セパレータ基材42)、正極シート10(正極活物質層14、正極集電体12、正極活物質層14)の順で積層されている。
また、正極シート10の正極活物質層14の未塗工部と負極シート20の負極活物質層24の未塗工部とがセパレータ40の幅方向の両側からそれぞれはみ出すように、正極シート10と負極シート20とを幅方向にややずらして重ね合わせる。このように重ね合わせた電極体を捲回し、捲回軸に対して垂直な方向から押しつぶして拉げさせることによって、扁平状の捲回電極体80が作製され得る。そして、正極集電体12の上記未塗工部に正極端子70が、負極集電体22の上記未塗工部には負極端子72がそれぞれ接合されている。
ここで開示される非水電解液二次電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)は各種用途に利用可能であるが、正極活物質からの金属元素の溶出が好適に抑制され、従来に比べ電池性能(例えば、エネルギー密度や耐久性)が優れていることを特徴とする。したがって、このような性質を利用して、例えば図6に示すように車両1に搭載される駆動用電源として好適に用いることができる。車両1は、典型的には自動車であり、例えば、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車、電動車いす、あるいは電動アシスト自転車等であり得る。したがって、本発明の他の側面として、ここで開示されるいずれかの非水電解液二次電池100を、好ましくは動力源として備えた車両1が提供される。車両1は、複数個の非水電解液二次電池100を、典型的にはそれらが接続された組電池の形態で備えるものであり得る。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り質量基準である。
まず、表1の例1〜3に示す材料(リチウム遷移金属複合酸化物)について、既に上述した手法を用いて、酸を捕捉し得るか否か、すなわち酸捕捉材として好適か否か、について検討を行った。結果を表1および図5に示す。
Figure 2014022329
表1および図5より明らかなように、スピネル構造のリチウムマンガン酸化物(例1)では水溶液のpHに大きな変化はみられず、溶液の酸性を緩和することはできなかった。これに対し、層状構造のリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例2)、および例1と例2の固溶体であるリチウム過剰型の複合酸化物(例3)では、60分後にpHが5.0以上となり(換言すればΔpHが1.0以上、典型的にはΔpHが2.0以上、例えばΔpHが2.5以上))、水溶液の酸性が緩和されていた。このことから、層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物を用いることで、酸(H)を捕捉(トラップ)し得ることが示された。
<例1>
(正極シートの作製)
正極活物質として、平均粒径が6μmであり、BET比表面積が0.7m/gのLiNi0.5Mn1.5を用意した。この正極活物質と、アセチレンブラック(導電材)と、PVdF(バインダ)とを、これらの質量比が89:8:3となるようにNMPに分散させて、スラリー状の組成物を調製した。この組成物を厚さ15μmの長尺状アルミニウム箔(正極集電体)の片面に塗付し、乾燥させて正極活物質層を形成した。この正極活物質層付き集電体をロールプレスして、上記正極活物質層の密度を2.3g/cmに調整して、理論容量(設計容量)Cが60mAhの正極シートを得た。
(負極シートの作製)
負極活物質として、平均粒径が20μmであり、BET比表面積が2.5m/gの天然黒鉛系材料を用意した。この負極活物質とCMC(増粘剤)とSBR(バインダ)とを、これらの質量比が98:1:1となるようにイオン交換水と混合して、スラリー状の組成物を調製した。この組成物を厚さ10μmの銅箔(負極集電体)の片面に塗付し、乾燥させて負極活物質層を形成した。この負極活物質層付き集電体をロールプレスして、上記負極活物質層の密度を1.4g/cmに調整し、正極シートと同サイズの長方形状に切り出して負極シートを得た。なお、上記組成物の塗付量は、正極と負極との理論容量比(C/C)が1.5となるように調整した。
(セパレータの作製)
酸捕捉材として、LiNi1/3Co1/3Mn1/3−LiMnOで表されるリチウム過剰型の複合酸化物を用意した。この酸化物とPVdF(バインダ)とを、これらの質量比が97:3となるようにNMPに分散させて、スラリー状の組成物を調製した。この組成物をセパレータ(ここでは、ポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)からなる厚さ20μmの三層構造の多孔質フィルムを用いた。)の片面に塗付し、乾燥させて酸捕捉層を形成した。
次に、無機フィラーとしてのアルミナ(平均粒径0.7μm)と、PVdF(バインダ)とを、これらの質量比が95:5となるようにNMPに分散させて、スラリー状の組成物を調製した。この組成物を上記形成した酸捕捉層の上に塗付し、乾燥させて耐熱層を形成した。セパレータ基材と酸捕捉層と耐熱層とを備えたセパレータをロールプレスして、総厚みが25μmとなるように調整し、上記電極シートよりやや大きい(上記電極シートより縦横の長さが其々凡そ1〜2mm長い)長方形状に切り出してセパレータシートを得た。
(非水電解液二次電池の構築)
上記作製した負極シートとセパレータシートと正極シートとを積層し、電極体を作製した。すなわち作製した電極体は、下から負極(負極集電体、負極活物質層)、セパレータ(耐熱層、酸捕捉層、セパレータ基材)、正極(正極活物質層、正極集電体)の順で積層されている。換言すれば、酸捕捉層および耐熱層はセパレータ基材の負極側に備えられている。
また、環状カーボネートとしてのMFECと、鎖状カーボネートとしてのTFDMC(すなわち、FHCO(C=O)CHFで表されるフルオロメチルジフルオロメチルカーボネート)とを、体積比1:1の割合で含む混合溶媒に、LiPFを1mol/Lの濃度となるように溶解して、非水電解液を調製した。なお、この非水電解液の酸化電位および還元電位を、上述した方法にしたがって測定したところ、酸化電位は4.9〜5.1V(vs.Li/Li)、還元電位は1.9V(vs.Li/Li)であった。
この電極体と非水電解液とを適当なサイズのラミネート製の電池ケースに収容した後、封止して例1に係る非水電解液二次電池(リチウムイオン二次電池)を構築した。なお、上記正極シートおよび上記負極シートは、ラミネートフィルムの外部まで引き出された正極端子および負極端子にそれぞれ接続されている。
<例2>
酸捕捉層を形成する酸捕捉材として、上記リチウム過剰型の複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3−LiMnO)に換えてリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)を用いたこと以外は例1と同様にして、本例に係るリチウムイオン二次電池を構築した。
<例3>
酸捕捉材としての上記リチウム過剰型の複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3−LiMnO)を正極活物質層中に混入し、セパレータ上には酸捕捉層を形成しなかったこと以外は例1と同様にして、本例に係るリチウムイオン二次電池を構築した。すなわち、本例に係る正極活物質層の形成では、上記正極活物質と、酸捕捉材としての上記リチウム過剰型の複合酸化物と、アセチレンブラック(導電材)と、PVdF(バインダ)とを、これらの質量比が79:10:8:3となるようにNMPに分散させて、スラリー状の組成物を調製した。さらに、セパレータ基材上には酸捕捉層を形成せず、セパレータ基材の片面の表面に直接耐熱層のみを形成した。これにより本例に係るリチウムイオン二次電池を構築した。
<例4>
セパレータ上に酸捕捉層を形成しなかった(すなわちセパレータ基材の片面の表面に直接耐熱層を形成した)こと以外は例1と同様にして、本例に係るリチウムイオン二次電池を構築した。
<性能評価>
(初期充放電効率)
温度25℃にて、各例に係る電池に対し、以下の充放電パターンでコンディショニング処理を行った。
(1)正極電位が4.9Vとなるまで1/3Cのレートで定電流(CC)充電した後、10分休止する。
(2)正極電位が3.5Vとなるまで1/3CのレートでCC放電した後、10分休止する。
上記操作を3サイクル繰り返し、3サイクル目の充電容量に対する放電容量の割合((3サイクル目の放電容量/3サイクル目の充電容量)×100(%))を、初期充放電効率として算出した。結果を表2の「初回充放電効率」の欄に示す。また、3サイクル目の放電容量を初期容量(初期放電容量)とした。
(初期抵抗)
初期容量測定後の各電池について、温度25℃にて、1/3CのレートにてSOCが60%となるまでCC充電を行った。そのSOC60%に調製した各電池セルに対し、1C,3C,5C,10Cの放電レートでCC放電を行い、放電から10秒間の電圧降下を測定した。測定された電圧降下の値(V)を、対応する電流値(例えば、1/3Cでは20mA)で除してIV抵抗(Ω)を算出し、その平均値を初期抵抗とした。結果を表2の「初期抵抗」の欄に示す。
Figure 2014022329
(サイクル特性試験)
次に、初期容量測定後の各電池を、温度60℃に設定された恒温槽内に2時間以上静置した後、以下の充放電操作(1)〜(4)を100サイクル繰り返した。
(1)2Cのレートで4.9VまでCC充電する。
(2)10分間休止する。
(3)2Cのレートで3.5VまでCC放電する。
(4)10分間休止する。
その後、上記初期容量と同様に放電容量を測定した。サイクル特性の容量維持率(%)は、初期容量に対する、100サイクル目の放電容量の割合((100サイクル後の容量/初期容量)×100(%))として算出した。結果を表2の「容量維持率」の欄に示す。
表2から明らかなように、正極活物質層内に酸捕捉材を含む例3では、100サイクル後の容量維持率が20%以下だったのに対し、電極体内であって電位のかからない位置に酸捕捉材(酸捕捉層)を含む例1および例2の電池では容量維持率が90%程度と顕著に向上した。これは、電位のかからない位置に酸捕捉材としての層状化合物(層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物)を配置したことで、該層状化合物が高電位となることを回避し得、酸捕捉材としての効果が好適に発揮されたためと考えられる。
このように、上記構成の非水電解液二次電池では、正極における金属元素の溶出が高度に抑制されており、高い電池性能(例えば高い電池容量や耐久性)を発揮し得ることが示された。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 自動車(車両)
10 正極シート(正極)
12 正極集電体
14 正極活物質層
20 負極シート(負極)
22 負極集電体
24 負極活物質層
40 セパレータシート(セパレータ)
42 セパレータ基材
44 酸捕捉層
46 耐熱層
50 電池ケース
52 電池ケース本体
54 蓋体
55 安全弁
70 正極端子
72 負極端子
80 捲回電極体
100 非水電解液二次電池

Claims (10)

  1. 正極および負極を含む電極体と非水電解液とを備える非水電解液二次電池であって、
    前記正極は、
    正極活物質としてスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物を含み、且つ
    作動上限電位が金属リチウム基準で4.5V以上であり、
    ここで、前記電極体内であって、前記正極および前記負極と絶縁された位置に、少なくとも層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物を含有する酸捕捉層を備えることを特徴とする、非水電解液二次電池。
  2. 前記正極活物質は、スピネル構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物を含む、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
  3. 前記正極および前記負極の間にセパレータが介在され、
    前記セパレータは、構成部材として、セパレータ基材と、該本体の少なくとも一方の表面に前記酸捕捉層と、を備える、請求項1または2に記載の非水電解液二次電池。
  4. 前記酸捕捉層を、前記セパレータ基材の負極側に備える、請求項3に記載の非水電解液二次電池。
  5. 前記セパレータは、構成部材として、前記酸捕捉層の表面に無機フィラーを含む耐熱層をさらに備える、請求項3または4に記載の非水電解液二次電池。
  6. 前記非水電解液は、フッ素化カーボネートを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池。
  7. 前記非水電解液は、フッ素化環状カーボネートを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池。
  8. 前記非水電解液は、モノフルオロエチレンカーボネートおよび/またはジフルオロエチレンカーボネートを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池。
  9. 前記非水電解液は、支持塩および非水溶媒を含み、該非水溶媒はフッ素を構成原子として含む有機溶媒から実質的に構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池を備えた、車両。
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