JP2017188305A - リチウムイオン二次電池の出力評価方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リチウムを含む遷移金属酸化物を含有する5V級正極活物質を有する正極と、金属リチウム又はリチウム合金を有する負極と、正極と負極の間に配置されたセパレーターと、正極と負極の間を満たす非水系電解液とを備えるリチウムイオン二次電池を製造する電池製造工程S1と、電池製造工程S1で製造した電池のコンディショニング処理を行うコンディショニング工程S2と、コンディショニング処理後の電池に、測定対象とする充電深度まで充電を行う充電深度調整工程S3と、充電深度調製工程S3後の電池に対して抵抗値を算出して評価を行う出力評価工程S4を有し、コンディショニング工程S2において、電池のコンディショニング処理を−10℃以上5℃以下の環境下で行うことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
1.リチウムイオン二次電池の出力評価方法
1−1.電池製造工程
1−2.コンディショニング工程
1−3.充電深度調整工程
1−4.出力評価工程
図1に、本発明の一実施の形態に係るリチウムイオン二次電池の出力評価方法のプロセスの概略を示す。本発明の一実施形態は、5V級正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池の出力評価方法であって、リチウムを含む遷移金属酸化物を含有する5V級正極活物質を有する正極と、金属リチウム又はリチウム合金を有する負極と、正極と負極の間に配置されたセパレーターと、正極と負極の間を満たす非水系電解液とを備えるリチウムイオン二次電池を製造する電池製造工程S1と、電池製造工程S1で製造した電池のコンディショニング処理を行うコンディショニング工程S2と、コンディショニング処理後の電池に、測定対象とする充電深度まで充電を行う充電深度調整工程S3と、充電深度調製工程S3後の電池に対して抵抗値を算出して評価を行う出力評価工程S4を有し、コンディショニング工程S2において、電池のコンディショニング処理を−10℃以上5℃以下の環境下で行うことを特徴とする。
電池製造工程S1では、リチウムを含む遷移金属酸化物を含有する5V級正極活物質を有する正極と、金属リチウム又はリチウム合金を有する負極と、正極と負極の間に配置されたセパレーターと、正極と負極の間を満たす非水系電解液とを備えるリチウムイオン二次電池を製造する。
コンディショニング工程S2では、電池製造工程S1で製造した電池のコンディショニング処理を行う。
充電深度調整工程S3では、コンディショニング処理終了時の放電容量を100%として、測定対象とする充電深度(SOC:State of Charge)まで充電を行う。充電の条件は、例えば、0.2Cのレートで充電深度60%まで充電する操作を行い、充電深度60%に調整した電池を準備できる。同様にして所望とする充電深度を調整し、後述する抵抗評価を行うことで、リチウムイオン二次電池の出力評価を行う。
出力評価工程S4では、充電深度調整工程S3後の電池に対して抵抗値を算出して評価を行う。
[正極膜]
実施例1では、正極膜として、正極活物質LiNi0.5Mn1.5O4とアセチレンブラック(導電材)とPVDF(バインダー)を質量比85:10:5となるように混合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させてスラリー化した。この正極スラリーを、厚さ20μmのアルミニウム箔(正極集電体)にアプリケーターを用い、単位面積当たり5mg/cm2に塗工した後、乾燥、ロールプレスして正極シートを作製した。この正極シートを、一角に幅10mmの帯状部が突き出た3cm×5cmの長方形に切り出し、帯状部から上記正極活物質層を除去し、アルミニウム箔を露出させて端子部を形成し、端子付きの正極シートを得た。
負極膜は、集電体として厚さ18μmの銅箔を3.2cm×5.2cmで一角が幅10mmの帯状部(端子)が出た長方形に切り出し、その上に厚さ1mmで同サイズの3.2cm×5.2cmに切り出した金属リチウムを乗せ、端子付きの負極シートを得た。
セパレーターは、ガラスろ紙(アドバンテック社製、GF−75)を、付着水分除去するため80℃で8h間減圧乾燥行った後、5.8cm×3.4cmにカットしたものを用いた。
電解液は、電解質LiPF61mol/Lを含有するエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)を容積比でEC:DMC=3:7とした混合液を用いた。
これらの材料を80℃で8h間減圧乾燥したのち、露点−60℃未満のドライルームに持ち込み、外装サイズ80mm×60mmの単層ラミネートセル型電池を組み立てた。
コンディショニング処理は、5℃に制御された恒温槽の中で、電極部に対し、0.2kg/cm2の荷重をかけた状態で拘束し、充放電試験装置(北斗電工製、HJ1001SD8)を用いて0.2Cのレート(5時間で満充電となる電流値)で5Vまで充電する操作と、0.2Cのレートで3Vまで放電させる操作を行い、このとき放電容量を測定した。
コンディショニング終了時の放電容量を100%として、60%となる容量を計算し、コンディショニング処理後の電池を、5℃に制御された恒温槽の中で充放電試験装置(北斗電工製、HJ1001SD8)を用いて0.2Cのレートで充電深度60%まで充電する操作を行い、充電深度60%に調整した電池を得た。
コンディショニング処理と同じく、5℃の環境下で充電深度60%に調整を行った電池に対して、25℃に調整した恒温槽の中で電池の温度が25℃に安定するまで保管し、その後1C/3C/5Cのレートで10秒間充電、放電を繰り返す操作を行い、その際に印可した電流値と、電圧降下量ΔVから抵抗値の計算を行った。その結果を表1に示す。得られた抵抗値は、1.53Ωであった。
実施例2では、実施例1と同じ電池作製条件で作製した電池に対して、コンディショニング処理と充電深度調整時の恒温槽の温度のみ5℃から−10℃に変更した。抵抗評価は、実施例1と同条件で25℃での評価とした。結果を表1に示す。得られた抵抗値は、1.62Ωであり、実施例1の結果とほぼ同等の抵抗値となった。
比較例1では、実施例1と同じ電池作製条件で作製した電池に対して一般的に室温評価に用いられる25℃に調整された恒温槽の中でコンディショ二ング処理と、充電深度60%に調整を行った。抵抗評価は、実施例1と同条件で25℃での評価とした。結果を表1に示す。得られた抵抗値は、2.54Ωであり、実施例1、2と比べ約1.5倍の抵抗値となった。
比較例2では、実施例1と同じ電池構造で負極を金属リチウムから天然黒鉛負極に変更した電池を0℃に調整された恒温槽の中で0.2Cのレート(5時間で満充電となる電流値)で4.9V まで充電する操作と、0.2Cのレートで3.5Vまで放電させる操作を行った。抵抗評価は、実施例1と同条件で25℃での評価とした。結果を表1に示す。得られた抵抗値は、4.41Ωとなり、実施例1の金属リチウムを用いた電池での抵抗値と比べ約2.9倍の抵抗となった。
比較例3では、比較例2と同条件で、コンディショニング処理時の充放電回数のみ1回から5回に変更した。このとき、5回目の最後の放電操作のときの放電容量を測定し、充電深度60%に調整を行った。抵抗評価は、実施例1と同条件で25℃での評価とした。得られた抵抗値は、3.79Ωであり、実施例1と比べおよそ2.5倍の抵抗値であるが、同じ黒鉛負極である比較例2と比べてコンディショニング処理時の充放電回数を増やしたことで約2割程度抵抗が小さくなっている。これはコンディショニング処理時の充放電回数が1回の場合、電極内部への電解液の浸透が不十分、あるいは負極黒鉛表面で電解液の還元分解を抑えるSEI(Solid Electrolyte Interface)の生成が十分でないことが原因であると考えられる。負極に黒鉛を用いた場合には、一般的なコンディショニング処理条件から解離する低温でのコンディショニング処理や、コンディショニング処理時の充放電回数を減らすことは難しく、適当ではないことを示唆している。
Claims (6)
- 5V級正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池の出力評価方法であって、
リチウムを含む遷移金属酸化物を含有する5V級正極活物質を有する正極と、金属リチウム又はリチウム合金を有する負極と、前記正極と前記負極の間に配置されたセパレーターと、前記正極と前記負極の間を満たす非水系電解液とを備えるリチウムイオン二次電池を製造する電池製造工程と、
前記電池製造工程で製造した電池のコンディショニング処理を行うコンディショニング工程と、
前記コンディショニング処理後の電池に、測定対象とする充電深度まで充電を行う充電深度調整工程と、
前記充電深度調製工程後の前記電池に対して抵抗値を算出して評価を行う出力評価工程を有し、
前記コンディショニング工程において、前記電池のコンディショニング処理を−10℃以上5℃以下の環境下で行うことを特徴とするリチウムイオン二次電池の出力評価方法。 - さらに、前記充電深度調整工程を−10℃以上5℃以下の環境下で行うことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の出力評価方法。
- 前記出力評価工程において、一度の電流印可時間を1秒〜10秒とするパルス充放電を繰り返し、その電圧低下量と、印可した電流から前記電池の抵抗を求めることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン二次電池の出力評価方法。
- 前記正極は、前記5V級正極活物質、導電材、バインダー及び溶媒とからなる正極合材スラリーをアルミ集電体に塗工したものであり、該正極合材スラリーの塗工量が5〜10mg/cm2の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の出力評価方法。
- 前記非水系電解液は、LiPF6を支持塩とし、有機溶剤としてエチレンカーボネートとジメチルカーボネートから選ばれる1種を単独であるいは混合して用いることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の出力評価方法。
- 前記5V級正極活物質は、スピネル型リチウムニッケルマンガン酸化物、オリビン型リチウムリン酸コバルト、オリビン型リチウムリン酸ニッケルの何れかであることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のリチウムイオン二次電池の出力評価方法。
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