JP6899312B2 - 非水電解質、及び非水電解質蓄電素子 - Google Patents

非水電解質、及び非水電解質蓄電素子 Download PDF

Info

Publication number
JP6899312B2
JP6899312B2 JP2017211854A JP2017211854A JP6899312B2 JP 6899312 B2 JP6899312 B2 JP 6899312B2 JP 2017211854 A JP2017211854 A JP 2017211854A JP 2017211854 A JP2017211854 A JP 2017211854A JP 6899312 B2 JP6899312 B2 JP 6899312B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aqueous electrolyte
power storage
fluorinated
positive electrode
negative electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017211854A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018101612A (ja
Inventor
顕 岸本
顕 岸本
敏明 岡本
敏明 岡本
智洋 谷口
智洋 谷口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanto Denka Kyogyo Co.,Ltd.
GS Yuasa International Ltd
Original Assignee
Kanto Denka Kyogyo Co.,Ltd.
GS Yuasa International Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanto Denka Kyogyo Co.,Ltd., GS Yuasa International Ltd filed Critical Kanto Denka Kyogyo Co.,Ltd.
Publication of JP2018101612A publication Critical patent/JP2018101612A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6899312B2 publication Critical patent/JP6899312B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/13Energy storage using capacitors

Description

本発明は、非水電解質、及び非水電解質蓄電素子に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。上記非水電解質二次電池は、一般的には、セパレータで電気的に隔離された一対の電極と、この電極間に介在する非水電解質とを有し、両電極間でイオンの受け渡しを行うことで充放電するよう構成される。また、非水電解質二次電池以外の非水電解質蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等のキャパシタも広く普及している。
一般的に、上記非水電解質は、非水溶媒とこの非水溶媒に溶解する電解質塩とを含み、必要に応じて他の成分が添加される。例えば、フッ素化カルボン酸エステルと特定の被膜形成化合物とが非水溶媒に含有された二次電池用非水電解液が提案されている(特許文献1参照)。
特開2009−289414号公報
フッ素化カルボン酸エステル等を含む非水電解質を用いると、高電圧における充放電サイクル性能が改善される傾向にある。一方、フッ素化カルボン酸エステル等を含む非水電解質が用いられた蓄電素子においても、出入力性能を高めるために、低温での直流抵抗が低いことが望まれる。具体的には、初期の低温での直流抵抗が低いことや、低温での充放電サイクル後も、低温での低い直流抵抗が維持されることが望まれている。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、非水電解質蓄電素子の低温での直流抵抗を低くすることができる非水電解質、及びこの非水電解質を備える非水電解質蓄電素子を提供することである。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと、フッ素化カルボン酸エステルを含む非水溶媒とを備える蓄電素子用の非水電解質である。
本発明の他の一態様は、上記非水電解質を備える非水電解質蓄電素子である。
本発明によれば、非水電解質蓄電素子の低温での直流抵抗を低くすることができる非水電解質、及びこの非水電解質を備える非水電解質蓄電素子を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子を示す外観斜視図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子を複数個集合して構成した蓄電装置を示す概略図である。
本発明の一実施形態に係る非水電解質は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiN(SOF)):LiFSI)と、フッ素化カルボン酸エステルを含む非水溶媒とを備える蓄電素子用の非水電解質である。
当該非水電解質によれば、フッ素化カルボン酸エステルを含む非水溶媒に対して、電解質塩としてLiFSIを用いることで、非水電解質蓄電素子の低温での直流抵抗を低くすることができる。具体的には、初期の低温(例えば、−20℃)での直流抵抗を低くすることや、低温(例えば、0℃)での充放電サイクル後の低温(例えば、−10℃)での直流抵抗を低くすることなどができる。この理由は定かでは無いが、例えば以下の理由が推測される。フッ素化カルボン酸エステルは、電解質塩を解離させにくい性質を有する。このため、フッ素化カルボン酸エステルと、LiFSI以外の一般的な電解質塩とを含む非水電解質を用いた場合、非水電解質蓄電素子の低温での直流抵抗が上昇する。これに対し、LiFSIは、フッ素化カルボン酸エステル溶媒中でも十分に解離することができ、これにより低温での直流抵抗を低くすることができるものと推測される。
上記非水溶媒が、フッ素化環状カーボネートをさらに含むことが好ましい。フッ素化環状カーボネートは、非水電解質蓄電素子の充放電時に生じうる副反応(非水溶媒等の酸化分解等)を抑制すること等ができる。従って、非水溶媒がさらにフッ素化環状カーボネートを含むことで、非水電解質蓄電素子の低温での直流抵抗をより低くすることができると共に、充放電サイクル性能、特に高電圧における充放電サイクル性能を改善することなどができる。
当該非水電解質は、上記LiFSI以外の他のリチウム塩をさらに含むことも好ましい。電解質塩として、LiFSI以外の他のリチウム塩をさらに含むことで、正極基材やケースとしてアルミニウムを用いた場合などにおけるアルミニウムの腐食発生を抑制することなどができる。
上記非水溶媒中のフッ素化化合物の含有量が90質量%以上であることが好ましい。このように、非水溶媒の大部分がフッ素化化合物であることにより、高電圧における充放電サイクル性能をより改善することができると共に、LiFSIとの組み合わせにより低温での直流抵抗をさらに低くすることができるという効果を高めることができる。
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子は、当該非水電解質を備える非水電解質蓄電素子である。当該非水電解質蓄電素子は、本発明の一実施形態に係る非水電解質が用いられているため、低温での直流抵抗を低くすることができる。具体的には、初期の低温での直流抵抗を低くすることや、低温での充放電サイクル後の低温での直流抵抗を低くすることなどができる。
当該非水電解質蓄電素子においては、通常使用時の充電終止電圧における正極電位が、4.4V(vs.Li/Li)より貴となることが好ましい。当該非水電解質蓄電素子は、高電圧で作動する場合においても、低温での直流抵抗が低く、また、良好な充放電サイクル性能を発揮することができる。従って、当該非水電解質蓄電素子は、通常使用時の充電終止電圧における正極電位が、4.4V(vs.Li/Li)より貴となる場合に、本発明の効果をより十分に発揮することができる。ここで、通常使用時とは、当該非水電解質蓄電素子について推奨され、又は指定される充電条件を採用して当該非水電解質蓄電素子を使用する場合であり、当該非水電解質蓄電素子のための充電器が用意されている場合は、その充電器を適用して当該非水電解質蓄電素子を使用する場合をいう。なお、例えば、黒鉛を負極活物質とする非水電解質蓄電素子では、設計にもよるが、充電終止電圧が4.3Vのとき、正極電位は約4.4V(vs.Li/Li)である。
当該非水電解質蓄電素子は、ケイ素を含む負極を備えることが好ましい。非水電解質が、LiFSIとフッ素化カルボン酸エステルとを含み、かつ負極がケイ素を含む場合、特に、低温での充放電サイクル後の低温での直流抵抗を低くすることができる。このような効果が生じる理由は定かでは無いが、以下の理由が推測される。一般的に、低温で繰り返し充放電をおこなうと、非水電解質の粘度上昇、イオン伝導度の低下、黒鉛等の負極活物質の受け入れ性の低下等により、黒鉛等の負極上にLi等の電析が生じやすい。また、フッ素化カルボン酸エステル等は、負極に高抵抗な被膜を形成する傾向にある。特に、フッ素化カルボン酸エステルは金属Liとの反応性が高い。このため、金属Liとフッ素化カルボン酸エステルとの反応によって、上記高抵抗な被膜が形成される。これに対し、カチオンとアニオンとの解離性の高いLiFSIを電解質塩として用いることで、粘度やイオン伝導度の改善を図ることができ、FSIアニオンが黒鉛等の負極上に低抵抗な被膜を形成することで、電析が生じにくい状況となると推測される。この結果、電析したLi等とフッ素化カルボン酸エステル等との反応が抑制されるため、負極上に高抵抗な被膜が形成されにくくなる。また、ケイ素を含む活物質は高容量であることから受け入れ性が高く、電析が生じにくくなる。さらに、LIFSIは、LiPF等と比べてフッ酸を放出しにくいことから、ケイ素を含む活物質の割れの発生が抑制される。このようなことから、低温での充放電サイクル後の低温での直流抵抗が改善されたものと推測される。
以下、本発明の一実施形態に係る非水電解質、及び非水電解質蓄電素子について詳説する。
<非水電解質>
本発明の一実施形態に係る非水電解質は、電解質塩と非水溶媒とを備える蓄電素子用の非水電解質である。当該非水電解質において、電解質塩は非水溶媒に溶解している。
(電解質塩)
当該非水電解質は、電解質塩としてLiFSIを含む。上記電解質塩に占めるLiFSIの含有量の下限としては、10モル%が好ましく、30モル%がより好ましく、50モル%がさらに好ましく、60モル%がよりさらに好ましく、70モル%又は80モル%がよりさらに好ましい。電解質塩に占めるLiFSIの含有量を上記下限以上とすることで、蓄電素子における低温での直流抵抗をより低くすることができる。一方、この含有量としては、100モル%であってもよいが、含有量の上限としては、90モル%であってよく、80モル%であってもよく、70モル%であってもよく、60モル%であってもよい。電解質塩に占めるLiFSIの含有量を上記上限以下とすることで、正極基材等としてアルミニウムを用いた場合などにおけるアルミニウムの腐食発生を抑制することなどができる。
上記電解質塩は、LiFSI以外の他のリチウム塩をさらに含むことができる。このような他のリチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiBF、LiClO等の無機リチウム塩、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiC(SO等のフッ化炭化水素基を有するリチウム塩などを挙げることができる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましく、LiPFがより好ましい。電解質塩に占める他のリチウム塩の含有量の下限としては、例えば10モル%であってよく、30モル%であってもよく、50モル%であってもよい。一方、この含有量の上限としては、80モル%であってもよく、60モル%であってもよく、40モル%であってもよい。他のリチウム塩の含有量を上記範囲とすることで、蓄電素子の低温での直流抵抗を十分に低下させつつ、正極基材等としてアルミニウムを用いた場合などにおけるアルミニウムの腐食を十分に抑制することができる。
上記電解質塩は、LiFSI及びその他のリチウム塩以外の他の電解質塩を含んでいてもよい。他の電解質塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等を挙げることができる。但し、電解質塩に占めるリチウム塩以外の他の電解質塩の含有量の上限としては、10モル%が好ましく、1モル%がより好ましく、0.1モル%がさらに好ましく、実質的に0モル%であってよい。
当該非水電解質における上記電解質塩の含有量の下限としては、0.3mol/Lが好ましく、0.5mol/Lがより好ましく、0.8mol/Lがさらに好ましく、1.0mol /Lが特に好ましい。一方、この上限としては、特に限定されないが、2.5mol/Lが好ましく、2mol/Lがより好ましく、1.4mol/Lがさらに好ましい。
(非水溶媒)
上記非水溶媒は、フッ素化カルボン酸エステルを含む。また、上記非水溶媒は、フッ素化環状カーボネートをさらに含むことが好ましい。
(フッ素化カルボン酸エステル)
上記フッ素化カルボン酸エステルとは、カルボン酸エステルを構成する炭化水素基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換された化合物をいう。フッ素化カルボン酸エステルは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
上記フッ素化カルボン酸エステルとしては、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
−COO−R (1)
式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基又はフッ素化アルキル基である。但し、R及びRの少なくとも一方は、フッ素化アルキル基である。
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜5のアルキル基を挙げることができる。これらの中でも、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
上記フッ素化アルキル基としては、上記炭素数1〜5のアルキル基が有する水素原子の一部又は全部をフッ素原子に置換した基を挙げることができる。これらの中でも、炭素数1〜3のフッ素化アルキル基が好ましい。具体的なフッ素化アルキル基としては、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、4,4,4−トリフルオロブチル基等を挙げることができる。
上記Rとしては、フッ素化アルキル基が好ましく、炭素数1〜3のフッ素化アルキル基がより好ましく、炭素数1〜3のジフルオロアルキル基及びトリフルオロアルキル基がさらに好ましい。また、Rとしては、フルオロエチル基もより好ましく、2,2−ジフルオロエチル基及び2,2,2−トリフルオロエチル基が特に好ましい。
上記Rとしては、アルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。上記Rとしては、フッ素化アルキル基も好ましく、炭素数1〜3のフッ素化アルキル基がより好ましく、炭素数1〜3のジフルオロアルキル基及びトリフルオロアルキル基がさらに好ましい。
具体的なフッ素化カルボン酸エステルとしては、2,2−ジフルオロ酢酸メチル、2,2,2−トリフルオロ酢酸メチル、2,2,2−トリフルオロ酢酸エチル、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチル、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸エチル、酢酸トリフルオロメチル、酢酸2,2−ジフルオロエチル、酢酸2,2,2−トリフルオロエチル、プロピオン酸トリフルオロメチル、プロピオン酸2,2,2−トリフルオロエチル等を挙げることができる。
上記フッ素化カルボン酸エステルとしては、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチル(FMP)及び酢酸−2,2,2−トリフルオロエチル(FEA)が好ましく、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチルがより好ましい。また、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチルと酢酸−2,2,2−トリフルオロエチルとを併用することもより好ましい。
上記非水溶媒に占めるフッ素化カルボン酸エステルの含有量の下限としては、50体積%が好ましく、70体積%がより好ましく、80体積%がさらに好ましい。一方、この含有量の上限としては、98体積%が好ましく、95体積%がより好ましい。フッ素化カルボン酸エステルの含有量を上記範囲とすることで、高電圧における充放電サイクル性能をより高めることなどができる。
(フッ素化環状カーボネート)
上記フッ素化環状カーボネートとは、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネートが有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された化合物をいう。
上記フッ素化環状カーボネートとしては、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート等のフッ素化エチレンカーボネート、フッ素化プロピレンカーボネート、フッ素化ブチレンカーボネート等を挙げることができるが、フッ素化エチレンカーボネートが好ましく、FECがより好ましい。上記フッ素化環状カーボネートは、1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
上記非水溶媒に占めるフッ素化環状カーボネートの含有量の下限としては、2体積%が好ましく、5体積%がより好ましく、8体積%がさらに好ましい。フッ素化環状カーボネートの含有量を上記下限以上とすることで、非水電解質蓄電素子の充放電サイクル性能をより改善することなどができる。一方、この含有量の上限としては、20体積%が好ましく、15体積%がより好ましい。フッ素化環状カーボネートの含有量を上記上限以下とすることで、非水電解質蓄電素子の充放電サイクル性能をより十分なものとすることができると共に、高価なフッ素化環状カーボネートの使用量を抑え、当該非水電解質自体のコストの上昇を抑えることもできる。
(フッ素化化合物等)
上記非水溶媒中のフッ素化化合物の含有量の下限としては、90体積%が好ましく、95体積%がより好ましく、99体積%がさらに好ましい。非水溶媒に占めるフッ素化化合物の含有量を上記下限以上とすることで、高電圧における充放電サイクル性能をより改善することができると共に、低温での直流抵抗を低くすることができるという効果を高めることができる。
上記フッ素化化合物とは、フッ素原子を有する化合物をいい、通常フッ素原子を有する有機化合物である。上記フッ素化化合物には、上記フッ素化カルボン酸エステル及びフッ素化環状カーボネートを含み、その他のフッ素化化合物を含んでもよい。その他のフッ素化化合物としては、フッ素化鎖状カーボネート等を挙げることができる。
上記非水溶媒は、さらにその他の非水溶媒(フッ素化化合物以外の非水溶媒)が含有されていてもよい。フッ素化化合物以外の非水溶媒としては、フッ素化されていない環状カーボネート、鎖状カーボネート、エステル、エーテル、アミド、スルホン、ラクトン、ニトリル等を挙げることができる。
(添加剤等)
当該非水電解質は、上記電解質塩及び非水溶媒以外の添加剤を含有していてもよい。上記添加剤としては、スルホン酸エステル等、一般的な蓄電素子用の非水電解質に含有される各種添加剤を挙げることができる。上記スルホン酸エステルとしては、4−メチルスルホニルオキシメチル−2,2−ジオキソ−1,3,2−ジオキサチオラン、4,4’−ビス(2,2−ジオキソ―1,3,2−ジオキサチオラン)、1、3―プロパ−1−エンスルトン等を挙げることができる。
上記非水溶媒に対する上記電解質塩及び非水溶媒以外の添加剤の含有量の上限としては、例えば5体積%であってよく、3体積%であってよく、2体積%であってもよい。上記添加剤の含有量を上記上限以下とすることで、非水電解質蓄電素子の低温での直流抵抗をより低くすることなどができる。一方、上記添加剤の含有量の下限としては、例えば0.05体積%が好ましく、0.1体積%がより好ましい。添加剤の含有量を上記下限以上とすることで、添加剤の効果を十分に発揮させることなどができる。
当該非水電解質は、通常、上記非水溶媒に電解質塩等の各成分を添加し、溶解させることにより得ることができる。
<非水電解質蓄電素子>
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子は、正極、負極及び非水電解質を有する。以下、非水電解質蓄電素子の一例として、非水電解質二次電池について説明する。上記正極及び負極は、通常、セパレータを介して積層又は巻回により交互に重畳された電極体を形成する。この電極体はケースに収納され、このケース内に非水電解質が充填される。当該非水電解質二次電池においては、非水電解質として、上述した当該非水電解質が用いられている。上記非水電解質は、正極と負極との間に介在する。また、上記ケースとしては、非水電解質二次電池のケースとして通常用いられる公知の金属ケース、樹脂ケース等を用いることができる。
当該非水電解質二次電池(蓄電素子)は、高い作動電圧で用いることができる。例えば、通常使用時の充電終止電圧における正極電位は、4.4V(vs.Li/Li)より貴であることが好ましく、4.45V(vs.Li/Li)より貴であることがより好ましい。一方、この通常使用時の充電終止電圧における正極電位の上限は、例えば5.1V(vs.Li/Li)であり、5.0V(vs.Li/Li)であってもよい。
(正極)
上記正極は、正極基材、及びこの正極基材に直接又は中間層を介して配される正極活物質層を有する。
上記正極基材は、導電性を有する。基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はそれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ及びコストのバランスからアルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。また、正極基材の形成形態としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの面から箔が好ましい。つまり、正極基材としてはアルミニウム箔が好ましい。なお、アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS−H−4000(2014年)に規定されるA1085P、A3003P等が例示できる。
上記中間層は、正極基材の表面の被覆層であり、炭素粒子等の導電性粒子を含むことで正極基材と正極活物質層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば樹脂バインダー及び導電性粒子を含有する組成物により形成できる。なお、「導電性」を有するとは、JIS−H−0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が10Ω・cm以下であることを意味し、「非導電性」とは、上記体積抵抗率が10Ω・cm超であることを意味する。
上記正極活物質層は、正極活物質を含むいわゆる正極合材から形成される。また、正極活物質層を形成する正極合材は、必要に応じて導電剤、バインダー(結着剤)、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
上記正極活物質としては、例えばLiMO(Mは少なくとも一種の遷移金属を表す)で表される複合酸化物(層状のα―NaFeO型結晶構造を有するLiCoO,LiNiO,LiMnO,LiNiαCo(1−α),LiNiαMnβCo(1−α−β)等、スピネル型結晶構造を有するLiMn,LiNiαMn(2−α)等)、LiMe(XO(Meは少なくとも一種の遷移金属を表し、Xは例えばP、Si、B、V等を表す)で表されるポリアニオン化合物(LiFePO,LiMnPO,LiNiPO,LiCoPO,Li(PO,LiMnSiO,LiCoPOF等)が挙げられる。これらの化合物中の元素又はポリアニオンは、他の元素又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。正極活物質層においては、これら化合物の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記正極活物質は、非水電解質二次電池の通常使用時の充電終止電圧における正極電位が4.4V(vs.Li/Li)より貴となり得る正極活物質を含むことが好ましい。当該非水電解質二次電池(蓄電素子)に含有される非水電解質は、フッ素化カルボン酸エステル等を含むことから耐酸化分解性が高い。従って、このような貴な電位となり得る正極活物質を含む場合も、非水電解質の分解が良好に抑制される。従って、4.4V(vs.Li/Li)より貴な特定の電位となり得る正極活物質を用いることで、高エネルギー密度を有し、かつ低温での直流抵抗も低減された非水電解質蓄電素子とすることができる。
4.4V(vs.Li/Li)より貴な電位に至って可逆的なリチウムイオンの挿入脱離が可能な正極活物質としては、例えば、スピネル型結晶構造を有するLiNiαMn(2−α)の一例であるLiNi0.5Mn1.5や、ポリアニオン化合物の一例であるLiNiPO、LiCoPO、LiCoPOF、LiMnSiO等を挙げることができる。
上記正極活物質は、粒径(メジアン径)の異なる2種以上の粒子を混合して用いることが好ましい。このようにすることで、正極活物質層を高充填化し、導電性を高め、低温での直流抵抗をより低くすることなどができる。なお、「メジアン径」は、JIS−Z−8819−2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値(D50)を意味する。具体的には以下の方法による測定値とすることができる。測定装置としてレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社の「SALD−2200」)、測定制御ソフトとしてWing SALD−2200を用いて測定する。散乱式の測定モードを採用し、測定対象試料(正極活物質)が分散溶媒中に分散する分散液が循環する湿式セルにレーザー光を照射し、測定試料から散乱光分布を得る。そして、散乱光分布を対数正規分布により近似し、累積度50%(D50)にあたる粒子径をメジアン径とする。なお、上記測定に基づくメジアン径は、正極のSEM画像から、極端に大きい粒子及び極端に小さい粒子を避けて100個の粒子を抽出して測定するメジアン径とほぼ一致することが確認されている。
上記導電剤としては、蓄電素子性能に悪影響を与えない導電性材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、天然又は人造の黒鉛、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、金属、導電性セラミックス等が挙げられ、アセチレンブラックが好ましい。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。
上記バインダー(結着剤)としては、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
上記増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。また、増粘剤がリチウムと反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させておくことが好ましい。
上記フィラーとしては、電池性能に悪影響を与えないものであれば特に限定されない。フィラーの主成分としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス等が挙げられる。
(負極)
上記負極は、負極基材、及びこの負極基材に直接又は中間層を介して配される負極活物質層を有する。上記中間層は正極の中間層と同様の構成とすることができる。
上記負極基材は、正極基材と同様の構成とすることができるが、材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属又はそれらの合金が用いられ、銅又は銅合金が好ましい。つまり、負極基材としては銅箔が好ましい。銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が例示される。
上記負極活物質層は、負極活物質を含むいわゆる負極合材から形成される。また、負極活物質層を形成する負極合材は、必要に応じて導電剤、バインダー(結着剤)、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等の任意成分は、正極活物質層と同様のものを用いることができる。
上記負極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材質が用いられる。具体的な負極活物質としては、例えばケイ素(Si)、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;ポリリン酸化合物;黒鉛(グラファイト)、非黒鉛質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料等が挙げられる。ここで、「黒鉛」とは、広角X線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.340nm未満の炭素材料をいう。
上記負極活物質の中でも、ケイ素を用いることが好ましく、ケイ素と炭素材料とを併用することがより好ましく、黒鉛とケイ素とを併用することが特に好ましい。すなわち、上記負極は、黒鉛及びケイ素を含むことが好ましい。この場合、低温での充放電サイクル後の低温での直流抵抗を十分に低くすることができる。
ケイ素は、ケイ素単体として存在してもよいし、ケイ素化合物として存在してもよい。ケイ素化合物としては、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物、ケイ素炭化物、金属ケイ素化合物などを挙げることができる。金属ケイ素化合物としては、リチウム、アルミニウム、スズ、亜鉛、ニッケル、銅、チタン、バナジウム、マグネシウム等とケイ素とを含む化合物を挙げることができる。負極活物質としてのケイ素は、これらの中でもケイ素酸化物であることが好ましい。ケイ素酸化物(酸化ケイ素)としては、SiO等が挙げられる。
負極が炭素材料とケイ素とを含む場合、炭素材料(C)とケイ素成分(Si:ケイ素単体及びケイ素化合物)との質量比(C/Si)の下限としては、80/20が好ましく、90/10がより好ましい。一方、この質量比(C/Si)の上限としては、99/1が好ましく97/3がより好ましい。炭素材料とケイ素成分との混合比を上記範囲とすることで、低温での充放電サイクル後の低温での直流抵抗をより低くすることができる。
上記負極活物質層におけるケイ素成分(ケイ素単体及びケイ素化合物)の含有量の下限としては、1質量%が好ましく、3質量%がより好ましい。ケイ素成分の含有量を上記下限以上とすることで、低温での充放電サイクル後の低温での直流抵抗をより低くすることができる。一方、このケイ素成分の含有量の上限としては、20質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。ケイ素成分の含有量を上記上限以下とすることで、負極活物質の割れの発生を抑制し、低温での充放電サイクル後の低温での直流抵抗をより低くすることなどができる。
上記負極活物質層における炭素材料の含有量の下限としては、80質量%が好ましく、90質量%がより好ましい。一方、この炭素材料の含有量の上限としては、98質量%が好ましく、95質量%がより好ましい。
上記負極活物質層における負極活物質の含有量の下限としては、50質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましい。負極活物質の含有量を上記下限以上とすることで、放電容量を高めることなどができる。一方、この含有量の上限としては、例えば99質量%が好ましく、97質量%がより好ましい。
さらに、負極合材(負極活物質層)は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を含有してもよい。
(セパレータ)
上記セパレータの材質としては、例えば織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が用いられる。これらの中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。上記セパレータの主成分としては、強度の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。また、これらの樹脂を複合してもよい。
なお、セパレータと電極(通常、正極)との間に、無機層が配設されていても良い。この無機層は、耐熱層等とも呼ばれる多孔質の層である。また、多孔質樹脂フィルムの一方の面に無機層が形成されたセパレータを用いることもできる。上記無機層は、通常、無機粒子及びバインダーとで構成され、その他の成分が含有されていてもよい。
当該非水電解質蓄電素子は、当該非水電解質を用いることにより得ることができる。当該非水電解質蓄電素子の製造方法は、例えば、正極を作製する工程、負極を作製する工程、非水電解質を調製する工程、正極及び負極をセパレータを介して積層又は巻回することにより交互に重畳された電極体を形成する工程、正極及び負極(電極体)を電池容器に収容する工程、並びに上記電池容器に上記非水電解質を注入する工程を備える。注入後、注入口を封止することにより非水電解質蓄電素子を得ることができる。
<その他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。例えば、上記正極又は負極において、中間層を設けなくてもよい。
また、上記実施の形態においては、非水電解質蓄電素子が非水電解質二次電池である形態を中心に説明したが、その他の非水電解質蓄電素子であってもよい。その他の非水電解質蓄電素子としては、キャパシタ(電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ)等が挙げられる。
図1に、本発明に係る非水電解質蓄電素子の一実施形態である矩形状の非水電解質蓄電素子1(非水電解質二次電池)の概略図を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。図1に示す非水電解質蓄電素子1は、電極体2が電池容器3に収納されている。電極体2は、正極活物質を備える正極と、負極活物質を備える負極とが、セパレータを介して巻回されることにより形成されている。正極は、正極リード4’を介して正極端子4と電気的に接続され、負極は、負極リード5’を介して負極端子5と電気的に接続されている。また、電池容器3には、本発明の一実施形態に係る非水電解質が注入されている。
本発明に係る非水電解質蓄電素子の構成については特に限定されるものではなく、円筒型電池、角型電池(矩形状の電池)、扁平型電池等が一例として挙げられる。本発明は、上記の非水電解質蓄電素子を複数備える蓄電装置としても実現することができる。蓄電装置の一実施形態を図2に示す。図2において、蓄電装置30は、複数の蓄電ユニット20を備えている。それぞれの蓄電ユニット20は、複数の非水電解質蓄電素子1を備えている。上記蓄電装置30は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源として搭載することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(非水電解質の調製)
フッ素化カルボン酸エステルである3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチル(FMP)と、フッ素化環状カーボネートであるフッ素化エチレンカーボネート(FEC)とを90:10の体積比で混合し、非水溶媒を得た。この非水溶媒に、電解質塩としてLiFSIを0.2mol/L(0.2M)及びLiPFを1.0mol/L(1.0M)の濃度で溶解させ、実施例1の非水電解質(非水電解液)を得た。
(正極板の作製)
正極活物質として、大粒子及び小粒子を混合してなるLiNi1/3Mn1/3Co1/3を用いた。質量比で、正極活物質:ポリフッ化ビニリデン(PVdF):アセチレンブラック(AB)=94:3:3の割合(固形物換算)で含み、N−メチルピロリドンを分散媒とする正極ペーストを作製した。この正極ペーストを正極活物質が単位電極面積あたり19mg/cm含まれるように、正極基材としての帯状のアルミニウム箔の両面に塗布した。これをローラープレス機により加圧して正極活物質層を成型した後、100℃で14時間減圧乾燥して、極板中の液分を除去した。このようにして正極板を得た。
(負極板の作製)
負極活物質として、黒鉛を用いた。質量比で、負極活物質(黒鉛):スチレンブタジエンゴム(SBR):カルボキシメチルセルロース(CMC)=97:2:1の割合(固形分換算)で含み、水を分散媒とする負極ペーストを作製した。この負極ペーストを、負極活物質が単位電極面積あたり10mg/cm含まれるように、負極基材としての帯状の銅箔集電体の両面に塗布した。これをローラープレス機により加圧して負極活物質層を成型した後、100℃で12時間減圧乾燥して、極板中の水分を除去した。このようにして負極板を得た。
(非水電解質蓄電素子の作製)
セパレータとして、無機層が表面に形成されたポリオレフィン製微多孔膜を用いた。このセパレータを介して、上記正極板と上記負極板とを積層することにより電極体を作製した。この電極体を金属樹脂複合フィルム製のケースに収納し、内部に上記非水電解質を注入した後、熱溶着により封口し、実施例1の非水電解質蓄電素子(二次電池)を得た。
[実施例2〜6、比較例1〜4]
用いた非水溶媒及び電解質塩の種類及び量を表1に示すとおりとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜6及び比較例1〜4の各非水電解質及び非水電解質蓄電素子(二次電池)を得た。なお、比較例4は、LiFSIの代わりにLiTFSIを用いた。また、表1中、「FEA」は、酢酸−2,2,2−トリフルオロエチルを示し、「EMC」は、エチルメチルカーボネートを示し、「LiTFSI」は、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを示す。また、表1中「−」は、相当する成分を用いていないことを示す。
[評価]
(初期化成)
得られた各二次電池について、以下の条件にて初期化成を行った。1サイクル目は、
25℃で4.3Vまで0.2Cの定電流充電したのちに、4.3Vで定電圧充電した。充電の終了条件は、8時間とした。その後、25℃で2.75Vまで0.2Cの定電流で放電した。2サイクル目は、25℃で4.3Vまで1Cの定電流充電したのちに、4.3Vで定電圧充電した。充電の終了条件は、3時間とした。その後、25℃で2.75Vまで1Cの定電流で放電した。全てのサイクルにおいて、充電後及び放電後に、10分間の休止時間を設定した。
(初期の放電容量及び直流抵抗の測定)
各二次電池を25℃において1Cの定電流で4.3Vまで充電し、さらに4.3Vの定電圧で合計3時間充電した後、1Cの定電流で終止電圧2.75Vまで放電を行うことにより、初期放電容量を測定した。さらに、初期放電容量の確認試験後の各二次電池について、初期容量の50%を充電することで電池の充電状態(SOC)を50%に調整し、−20℃にて5時間保持した後、0.2C(I1)で10秒間放電した時の電圧(E1)、0.5C(I2)で10秒間放電した時の電圧(E2)、及び1C(I3)で10秒間放電した時の電圧(E3)をそれぞれ測定した。これらの測定値(E1、E2、E3)を用いて、直流抵抗を算出した。具体的には、横軸を電流、縦軸を電圧とするグラフ上に、前記測定値E1、E2、E3をプロットし、それら3点を最小二乗法による回帰直線(近似直線)により近似し、その直線の傾きを−20℃でのSOCが50%の直流抵抗(DCR)とした。これを出力抵抗とする。得られた各二次電池における−20℃での初期の直流抵抗(DCR)を表1に示す。また、比較例1の初期の直流抵抗を基準(100%)とした相対値としての直流抵抗の比率もあわせて示す。
Figure 0006899312
上記表1に示されるように、フッ素化カルボン酸エステルを含む非水溶媒に対して、電解質塩としてLiFSIを含有させた実施例1〜6は、電解質塩としてLiPFのみを用いた比較例1と比べて直流抵抗が低くなっていることがわかる。
一方、比較例2と比較例3とを比べると、非水溶媒がフッ素化カルボン酸エステルを含まない場合、電解質塩としてLiFSIを用いても直流抵抗に変化は無いことがわかる。また、比較例4に示されるように、LiFSIと同様のイミド塩であるLiTFSIをLiFSIの代わりに用いても直流抵抗は低下しないことがわかる。すなわち、低温で直流抵抗が低下するという効果は、フッ素化カルボン酸エステルを含む非水溶媒と、LiFSIとを組み合わせて用いた場合に初めて生じる効果であると言える。
[実施例7〜11、比較例5〜7]
用いた非水電解質の組成及び負極活物質を表2に示すとおりとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7〜11及び比較例5〜7の各非水電解質蓄電素子(二次電池)を得た。
なお、表2中のGrは、黒鉛を表す。
[評価]
(低温での充放電サイクル試験)
実施例7〜11及び比較例5〜7の二次電池について、上記と同様に初期化成を行った後、0℃に設定した恒温槽内で充放電サイクル試験を行った。4.3Vまで1.0Cの定電流充電したのちに、4.3Vで定電圧充電した。充電の終了条件は、3時間とした。その後、2.75Vまで1.0Cの定電流で放電した。全てのサイクルにおいて、充電後及び放電後に、10分間の休止時間を設定した。このサイクルを250サイクル実施した。
(充放電試験後の直流抵抗の測定)
上記充放電試験後の各二次電池について、上述した「直流抵抗の測定」と同様の方法にて、−10℃における直流抵抗を測定した。得られた各二次電池における−10℃での低温充放電サイクル試験後の直流抵抗(DCR)を表2に示す。
Figure 0006899312
表2に示されるように、フッ素化カルボン酸エステルを含む非水溶媒に対して、電解質塩としてLiFSIを含有させることで、低温充放電サイクル後の低温での直流抵抗が低くなることがわかる。なかでも、実施例7〜10に示されるように、LiFSIとフッ素化カルボン酸エステルとを用い、さらに負極活物質として黒鉛とケイ素とを用いた場合、低温充放電サイクル後の低温での直流抵抗が特に低くなることがわかる。
なお、負極活物質として黒鉛のみを使用した実施例11は、比較例5、6と比べると低温サイクル試験後の低温での直流抵抗は高い。しかし、負極活物質が同じである比較例7と比べると、直流抵抗は十分に低下しており、また、表1等において、LiFSIとフッ素化カルボン酸エステルとを組み合わせた場合に、初期の低温DCRが低いという効果は裏付けられている。すなわち、実施例11の結果は、低温での直流抵抗を低くすることができるという本発明の効果と相違するものではない。
本発明は、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等の電源として使用される非水電解質蓄電素子、及びこれに備わる蓄電素子用非水電解質等に適用できる。
1 非水電解質蓄電素子
2 電極体
3 電池容器
4 正極端子
4’ 正極リード
5 負極端子
5’ 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置

Claims (5)

  1. リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと、
    フッ素化カルボン酸エステルとフッ素化環状カーボネートとを含む非水溶媒と
    を備え
    上記非水溶媒に占めるフッ素化カルボン酸エステルの含有量が90体積%以上98体積%以下であり、上記非水溶媒に占めるフッ素化環状カーボネートの含有量が2体積%以上10体積%以下である蓄電素子用の非水電解質。
  2. 上記リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド以外の他のリチウム塩をさらに含む請求項1の非水電解質。
  3. 請求項1又は請求項2の非水電解質を備える非水電解質蓄電素子。
  4. 通常使用時の充電終止電圧における正極電位が、4.4V(vs.Li/Li)より貴となる請求項3の非水電解質蓄電素子。
  5. ケイ素を含む負極を備える請求項3又は請求項4の非水電解質蓄電素子。
JP2017211854A 2016-12-19 2017-11-01 非水電解質、及び非水電解質蓄電素子 Active JP6899312B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016245904 2016-12-19
JP2016245904 2016-12-19

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018101612A JP2018101612A (ja) 2018-06-28
JP6899312B2 true JP6899312B2 (ja) 2021-07-07

Family

ID=62714462

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017211854A Active JP6899312B2 (ja) 2016-12-19 2017-11-01 非水電解質、及び非水電解質蓄電素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6899312B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018125219A (ja) * 2017-02-02 2018-08-09 トヨタ自動車株式会社 リチウムイオン二次電池用の電解液
KR20200105482A (ko) * 2018-01-12 2020-09-07 솔베이(소시에떼아노님) 리튬 비스(플루오로설포닐)이미드를 포함하는 비수성 전해질 조성물
CN114762147A (zh) 2019-12-03 2022-07-15 索尔维公司 具有氟化非环状酯和氟化环状碳酸酯的电解质组合物

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101882696B (zh) * 2009-05-05 2014-11-26 中国科学院物理研究所 一种含氟磺酰亚胺基锂盐的非水电解质材料及其应用
JP2015065131A (ja) * 2013-09-26 2015-04-09 旭硝子株式会社 二次電池用非水電解液およびリチウムイオン二次電池
US20170214091A1 (en) * 2014-08-01 2017-07-27 Ube Industries, Ltd. Nonaqueous electrolytic solution and energy storage device using the same
JP6555467B2 (ja) * 2015-03-10 2019-08-07 株式会社豊田自動織機 電解液
JP2017120765A (ja) * 2015-12-25 2017-07-06 パナソニック株式会社 非水電解質二次電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018101612A (ja) 2018-06-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101811935B1 (ko) 비수 전해액 이차 전지
US10141607B2 (en) Nonaqueous electrolyte secondary battery
KR101678798B1 (ko) 비수 전해액 2차 전지의 제조 방법
JP6152825B2 (ja) 非水電解液二次電池
JP6848330B2 (ja) 非水電解質蓄電素子
US10199689B2 (en) Nonaqueous electrolyte secondary battery
KR20150043425A (ko) 리튬 이차 전지 및 그 제조 방법
JP6794658B2 (ja) 蓄電素子用非水電解質、非水電解質蓄電素子及びその製造方法
JP6899312B2 (ja) 非水電解質、及び非水電解質蓄電素子
JP2014022328A (ja) 非水電解液二次電池の製造方法
JPWO2019077919A1 (ja) 非水電解質蓄電素子及び非水電解質蓄電素子の製造方法
JP6390902B2 (ja) 非水電解液二次電池
JP6911655B2 (ja) 蓄電素子用非水電解質、非水電解質蓄電素子、及び非水電解質蓄電素子の製造方法
JP7062975B2 (ja) 非水電解質及び非水電解質蓄電素子
JP7452420B2 (ja) 蓄電素子
JP6119641B2 (ja) 円筒形非水電解液二次電池
JPWO2019031598A1 (ja) 非水電解質及び非水電解質蓄電素子
JP7103344B2 (ja) 非水電解質蓄電素子
JP2018032477A (ja) 非水電解質蓄電素子及びその製造方法
JP7062976B2 (ja) 非水電解質及び非水電解質蓄電素子
JP7119373B2 (ja) 非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池の製造方法
JP6919202B2 (ja) 非水電解質、蓄電素子及び蓄電素子の製造方法
JP2020173998A (ja) 非水電解質蓄電素子及び非水電解質蓄電素子の製造方法
JP6120068B2 (ja) 非水電解液二次電池の製造方法
EP4358220A1 (en) Non-aqueous electrolyte power storage element

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20171101

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201014

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201020

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201217

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210608

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210614

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6899312

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150