JP7062975B2 - 非水電解質及び非水電解質蓄電素子 - Google Patents
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Description
本発明の一実施形態に係る非水電解質は、電解質塩及び非水溶媒を含む。当該非水電解質は、非水電解質二次電池等、非水電解質蓄電素子の電解質として用いられる。
上記電解質塩としては、一般的な蓄電素子用非水電解質の電解質塩として通常用いられる公知の電解質塩を用いることができる。上記電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等を挙げることができるが、リチウム塩が好ましい。また、上記電解質塩としては、LiPF6、LiPO2F2、LiBF4、LiClO4等の無機塩、イミド塩等の有機塩を挙げることができる。電解質塩は、1種又は2種以上を用いることができる。
LiN(SO2F)2(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド:LiFSI)、LiN(SO2CF3)2(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド:LiTFSI)、LiN(SO2C2F5)2(リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド:LiBETI)、LiN(SO2C4F9)2(リチウムビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド)、CF3-SO2-N-SO2-N-SO2CF3Li2、FSO2-N-SO2-C4F9Li、CF3-SO2-N-SO2-CF2-SO2-N-SO2-CF3Li2、CF3-SO2-N-SO2-CF2-SO3Li2、CF3-SO2-N-SO2-CF2-SO2-C(-SO2CF3)2Li2等のリチウムスルホニルイミド塩;
LiN(POF2)2(リチウムビス(ジフルオロホスホニル)イミド:LiDFPI)等のリチウムホスホニルイミド塩等を挙げることができる。
上記非水溶媒は、フッ素化環状カーボネート、フッ素化鎖状カーボネート、及びフッ素化非カーボネート化合物を含む。フッ素化環状カーボネート、フッ素化鎖状カーボネート、及びフッ素化非カーボネート化合物は、それぞれ1種ずつ又は2種以上混合して用いることができる。当該非水電解質を構成するフッ素化環状カーボネート及びフッ素化鎖状カーボネートへの電解質塩の溶解度は、通常、フッ素化非カーボネート化合物よりも高い。従って、当該非水電解質においては、電解質塩はフッ素化環状カーボネート及びフッ素化鎖状カーボネートに主に溶解している状態であると考えられる。
フッ素化環状カーボネートは、環状カーボネートが有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換された化合物である。フッ素化環状カーボネートは、負極表面に良好な被膜を形成し、容量維持率の向上に寄与する。
フッ素化鎖状カーボネートは、鎖状カーボネートが有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換された化合物である。フッ素化鎖状カーボネートは比較的低粘度の溶媒であり、高粘度化を抑制し、非水電解質蓄電素子の高率放電性能等を高めることもできる。
上記フッ素化非カーボネート化合物は、25℃における粘度が4mPa・s以下であるフッ素化非カーボネート化合物である。フッ素化非カーボネート化合物は、フッ素原子を有する、カーボネート以外の非水溶媒である。なお、フッ素化非カーボネート化合物は、25℃以外においては常温で液体の化合物に限定されるものではない。フッ素化非カーボネート化合物は、フッ素化化合物であり、良好な耐酸化性を有する。このフッ素化非カーボネート化合物は、上述のように、電解質塩のカチオンとアニオンとの相互作用が強い状態を形成しつつ、非水電解質の高粘度化を抑制する、希釈溶媒として機能しているものと考えられる。
1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル(TFEE:25℃における粘度0.65mPa・s)、
1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル(HFE:25℃における粘度1.6mPa・s)、
エチル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル(23℃における粘度0.486mPa・s)、
ヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテル(23℃における粘度0.498mPa・s)等を挙げることができる。
上記非水溶媒は、フッ素化環状カーボネート、フッ素化鎖状カーボネート、及び25℃における粘度が4mPa・s以下であるフッ素化非カーボネート化合物以外の他の溶媒をさらに含有していてもよい。他の溶媒としては、25℃における粘度が4mPa・s超であるフッ素化非カーボネート化合物、フッ素化されていないカーボネート、エステル、エーテル、アミド、スルホン、ラクトン、ニトリル等を挙げることができる。
当該非水電解質は、本発明の効果を阻害しない限り、上記電解質塩及び非水溶媒以外の他の成分を含有していてもよい。上記他の成分としては、一般的な蓄電素子用非水電解質に含有される各種添加剤を挙げることができる。但し、上記他の成分の含有量の上限としては、10質量%が好ましいことがあり、1質量%がより好ましいことがあり、0.1質量%がさらに好ましいことがある。他の成分の含有量が多い場合、これらの成分が電解質塩の溶解度、粘度、耐酸化性等に影響を与え、これを備える非水電解質蓄電素子の容量維持率に影響を与える場合がある。
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子は、正極、負極及び非水電解質を有する。以下、非水電解質蓄電素子の一例として、非水電解質二次電池について説明する。上記正極及び負極は、通常、セパレータを介して積層又は巻回により交互に重畳された電極体を形成する。この電極体はケースに収納され、このケース内に上記非水電解質が充填される。当該非水電解質二次電池においては、非水電解質として、上述した当該非水電解質が用いられている。上記非水電解質は、正極と負極との間に介在する。また、上記ケースとしては、非水電解質二次電池のケースとして通常用いられる公知の金属ケース、樹脂ケース等を用いることができる。
上記正極は、正極基材、及びこの正極基材に直接又は中間層を介して配される正極活物質層を有する。
上記負極は、負極基材、及びこの負極基材に直接又は中間層を介して配される負極活物質層を有する。上記中間層は正極の中間層と同様の構成とすることができる。
上記セパレータの材質としては、例えば織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が用いられる。これらの中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。上記セパレータの主成分としては、強度の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。また、これらの樹脂を複合してもよい。
当該非水電解質二次電池は、上記非水電解質を用いているため、正極の最大到達電位が4.5V(vs.Li/Li+)以上といった高電位に至る場合も、充放電サイクル後の容量維持率が高い。従って当該非水電解質二次電池は、高い充電終止電圧に至る充電条件下で好適に用いることができる。例えば、当該非水電解質二次電池の正極の最大到達電位は、4.5V(vs.Li/Li+)以上に充電されて使用することができ、この正極の最大到達電位は、4.7V(vs.Li/Li+)以上であってもよい。このように正極の最大到達電位が高いことにより、高エネルギー密度化を図ることができる。なお、この正極の最大到達電位の上限は、例えば5.4V(vs.Li/Li+)であってよく、5.2V(vs.Li/Li+)であってよく、5.0V(vs.Li/Li+)であってもよい。また、上記正極の最大到達電位は、通常使用時における当該非水電解質二次電池の充電終止電圧における正極電位であってよい。ここで、通常使用時とは、当該非水電解質二次電池において推奨され、又は指定される充放電条件を採用して当該非水電解質二次電池を使用する場合をいう。充電条件に関しては、当該非水電解質二次電池のための充電器が用意されている場合は、その充電器を適用して当該非水電解質二次電池を使用する場合を通常使用時という。
当該非水電解質二次電池の製造方法は、特に限定されない。当該非水電解質二次電池は、上記非水電解質を用いることにより製造することができる。上記製造方法は、例えば、正極を作製する工程、負極を作製する工程、非水電解質を調製する工程、正極及び負極をセパレータを介して積層又は巻回することにより交互に重畳された電極体を形成する工程、正極及び負極(電極体)を容器に収容する工程、並びに上記容器に上記非水電解質を注入する工程を備える。注入後、注入口を封止することにより非水電解質二次電池を得ることができる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。例えば、正極及び負極において、中間層を設けなくてもよく、明確な層構造を有していなくてもよい。例えば正極及び負極は、メッシュ状の基材に活物質が担持された構造などであってもよい。また、上記実施の形態においては、非水電解質蓄電素子が非水電解質二次電池である形態を中心に説明したが、その他の非水電解質蓄電素子であってもよい。その他の非水電解質蓄電素子としては、キャパシタ(電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ)等が挙げられる。
(電解質塩)
・LiFSI:リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド
・LiPF6
(フッ素化環状カーボネート及びその他の環状カーボネート:溶媒A)
・FEC:フルオロエチレンカーボネート
・EC:エチレンカーボネート
(フッ素化鎖状カーボネート及びその他の鎖状カーボネート:溶媒B)
・MFEC:メチルトリフルオロエチルカーボネート
・EMC:エチルメチルカーボネート
(フッ素化非カーボネート化合物:溶媒C)
・TFEE:1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル(25℃における粘度0.65mPa・s)
・HFE:1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル(25℃における粘度1.6mPa・s)
・TFEP:リン酸トリス(2,2,2-トリフルオロエチル)(25℃における粘度4.6mPa・s)
(非水電解質の調製)
フッ素化環状カーボネート(溶媒A)であるFEC、フッ素化鎖状カーボネート(溶媒B)であるMFEC、及びフッ素化非カーボネート化合物(溶媒C)であるTFEEを10:70:20の体積比で混合した。次いで、この混合溶媒1kgに対して電解質塩であるLiFSIを1.00molの割合で添加し、LiFSIを溶解させ、実施例1の非水電解質を得た。
最大到達電位が4.5V(vs.Li/Li+)以上となる充電条件下で作動する正極活物質として、LiNi0.5Mn1.5O4を用い、正極基材としてアルミニウム箔を用いて正極板を作製した。また、負極活物質としてグラファイトを用いて負極板を作製した。ポリオレフィン製微多孔膜であるセパレータを介して、上記正極板と上記負極板とを積層することにより電極体を作製した。この電極体を金属樹脂複合フィルム製の容器に収納し、内部に上記非水電解質を注入した後、熱溶着により封口し、実施例1の非水電解質蓄電素子(ラミネート型の非水電解質二次電池)を得た。
電解質塩の種類及び濃度、非水溶媒の種類及び体積比を表1及び表2に示すとおりとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2~8及び比較例1~22の各非水電解質の調製及び非水電解質蓄電素子の作製を行った。
得られた各非水電解質蓄電素子について、以下の条件にて初期充放電を行った。25℃で4.8Vまで充電電流0.1Cの定電流にて充電したのちに、4.8Vの定電圧にて充電した。なお、充電終止時の正極電位(正極の最大到達電位)は、4.9V(vs.Li/Li+)であった。充電の終了条件は、充電電流が0.02Cとなるまでとした。充電後に10分間の休止を設けた後に、25℃で3.5Vまで0.1Cの定電流にて放電した。放電後に10分間の休止を設けた後の2サイクル目は充電電流および放電電流は0.2Cの定電流にて実施し、充電終了条件は、1サイクル目と同様に充電電流が0.02Cとなるまでとした。2サイクル目の正極活物質あたりの放電容量を表1に示す。
上記放電容量の測定に続き、以下の条件にて、充放電サイクル試験を行った。25℃で4.8Vまで充電電流0.25Cの定電流にて充電したのちに、4.8Vの定電圧にて充電した。充電の終了条件は、充電電流が0.02Cとなるまでとした。充電後に10分間の休止を設けた後に、25℃で3.5Vまで0.25Cの定電流にて放電した。放電後に10分間の休止を設けた。この充放電サイクルを50サイクル実施した。1サイクル目の放電容量に対する50サイクル目の放電容量を容量維持率(%)として求めた。結果を表1に示す。
実施例3、5及び8の各非水電解質蓄電素子を用い、45℃における充放電サイクル試験及び容量維持率の測定を行った。なお、45℃の環境下で行ったこと以外の測定条件は、上記「25℃における充放電サイクル試験及び容量維持率の測定」と同様である。結果を表2に示す。
2 電極体
3 容器
4 正極端子
4’ 正極リード
5 負極端子
5’ 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置
Claims (6)
- 電解質塩及び非水溶媒を含み、
上記非水溶媒が、フッ素化環状カーボネート、フッ素化鎖状カーボネート、及び25℃における粘度が4mPa・s以下であるフッ素化非カーボネート化合物を含み、
上記25℃における粘度が4mPa・s以下であるフッ素化非カーボネート化合物が1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテルである蓄電素子用の非水電解質。 - 上記電解質塩が、イミド塩を含む請求項1の非水電解質。
- 上記電解質塩に占める上記イミド塩の含有量が、90mol%以上である請求項2の非水電解質。
- 上記電解質塩の濃度が、0.5mol/kg以上3mol/kg以下である請求項1、請求項2又は請求項3の非水電解質。
- 最大到達電位が4.5V(vs.Li/Li+)以上となる充電条件下で作動する正極活物質を含む正極と、
請求項1から請求項4のいずれか1項の非水電解質と
を備える非水電解質蓄電素子。 - 正極と、
請求項1から請求項4のいずれか1項の非水電解質と
を備え、
上記正極の最大到達電位が、4.5V(vs.Li/Li+)以上である非水電解質蓄電素子。
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