JP6177653B2 - 車両用シート - Google Patents

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Description

本発明は、車両用シートに係り、特に、シートクッション及びシートバックに配置されるシートヒータを備えた車両用シートに関する。
従来、車両用シートにおいてクッションパッドと表皮との間に面状発熱体からなるシートヒータを配置することによって、乗員の着座時の快適性を確保した技術が種々提案されている。
また、着座時の快適性をさらに向上する技術の一つとして、空調装置を併用した車両用シートの冷暖房化が実用化されている。
具体的には、シートヒータ及び表皮に通気性を持たせた上で、空調装置から暖かい空気や冷たい空気を、クッションパッドに形成された空気通路を通して表皮側に向かって送風することで、車両用シート外表面から空気が吹き出すことになる。
このような車両用シートの一例として、特許文献1には、通気性を向上させた面状発熱体からなるシートヒータを備えた車両用シートが開示されている。
具体的には、シートヒータは、不織布からなるシート基材上にヒータ線を縫製によって固定することで形成されており、シート基材上には、ヒータ線が固定された位置を避けた上で貫通孔が全面にわたって形成されている。
上記のようにシートヒータに通気性を確保することで、空調装置から送風される空気をクッションパッド側から表皮側に向かって通すことができる。
特許第3991750号公報
しかし、特許文献1のような、通気性を有するシートヒータを備えた車両用シートでは、シート基材上においてヒータ線が貫通孔を避けて配置されるため、空調装置から貫通孔を通して送風される空気がヒータ線を効率良く冷却することを抑制してしまっていた。また、ヒータ線の配置自由度も制限されてしまっていた。
そのため、空調装置から送風される空気を効率よく利用してシートヒータの発熱温度を調整することが可能な車両用シートが望まれていた。同時に、ヒータ線の配置自由度を確保したシートヒータを備えた車両用シートが望まれていた。
また、特許文献1のような車両用シートでは、クッションパッドに形成された空気通路と、シートヒータに設けられた貫通孔及びヒータ線との配置、構成について特に配慮されていなかった。
そのため、クッションパッドの空気通路とシートヒータとの配置、構成を考慮した車両用シートが望まれていた。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、空調装置から送風される空気を効率良く利用してシートヒータの発熱温度を調整することが可能な車両用シートを提供することにある。
本発明の他の目的は、ヒータ線の配置自由度を確保したシートヒータを備えた車両用シートを提供することにある。
本発明の他の目的は、クッションパッドに設けられた空気通路と、シートヒータとの配置、構成を考慮した車両用シートを提供することにある。
前記課題は、請求項1の車両用シートによれば、クッションパッドと、該クッションパッドを被覆する表皮と、前記クッションパッドと前記表皮との間に配置されるシートヒータと、を備え、前記クッションパッドに形成された空気通路を通して、前記クッションパッド側から前記表皮側に向かって空気を送ることが可能な車両用シートであって、前記シートヒータは、面状体からなるシート基材と、該シート基材に固定されるヒータ線と、を備え、前記シート基材には、表面側から裏面側まで貫通し、前記空気通路よりも幅狭に形成され、前記ヒータ線よりも幅広に形成される複数の貫通孔が設けられ、前記ヒータ線は、前記クッションパッド上において前記空気通路と一部が重なる位置に配置され、前記シート基材において前記複数の貫通孔と一部が重なる位置に配置され、該貫通孔の中心部を避けて延びていること、により解決される。
上記のように、ヒータ線は、クッションパッド上において空気通路と一部が重なる位置に配置され、シート基材において複数の貫通孔と一部が重なる位置に配置されるため、空調装置から空気通路、貫通孔を通して送風される空気を効率よく利用して、ヒータ線の発熱温度を調整することができる。
また、シート基材には、ヒータ線よりも幅広に形成される複数の貫通孔が設けられ、ヒータ線は、シート基材において複数の貫通孔と一部が重なる位置に配置されるため、シート基材において複数の貫通孔を避けることなく、ヒータ線を自由に配置することができる。
また、ヒータ線は、シート基材において幅広となる貫通孔の中心部を避けて延びているため、乗員の着座荷重が加わったときに最も沈み込み易い位置となる貫通孔の中心部を避けてヒータ線を配置することができ、ヒータ線の変形を極力抑制することができる。
このとき、前記貫通孔は、長孔からなり、前記ヒータ線は、前記シート基材において前記貫通孔の長手方向と交差する方向に延びていると良い。
また、前記ヒータ線は、前記シート基材において前記貫通孔の長手方向に対して鋭角をなして延びていると良い。
さらに、前記ヒータ線は、前記シート基材において前記貫通孔の長手方向と直交する方向に延びていると良い。
上記構成により、シートヒータに所望の通気性を持たせて、ヒータ線の配置自由度を確保しながらも、ヒータ線の変形を極力抑制することができる。
このとき、前記ヒータ線は、屈曲した屈曲部を備え、該屈曲部は、前記シート基材において前記貫通孔を避けた位置に配置されていると良い。
上記構成により、ヒータ線において比較的変形し易い屈曲部が、貫通孔を避けた位置で配置されるため、ヒータ線の変形を一層抑制することができる。
このとき、前記ヒータ線は、直線状に延びる直線部を備え、該直線部のみが、前記シート基材において前記貫通孔と重なる位置に配置されていると良い。
上記構成により、ヒータ線において比較的変形し難い直線部のみが、貫通孔と重なる位置で配置されるため、ヒータ線の変形を一層抑制することができる。
このとき、前記ヒータ線は、前記シート基材において前記貫通孔を跨ぐように配置され、該貫通孔の外周部分と重なる位置に設けられた第1重なり部及び第2重なり部と、前記貫通孔と重なる位置に設けられ、前記第1重なり部と前記第2重なり部との間で屈曲した屈曲部と、を備え、前記第1重なり部と前記第2重なり部とを結ぶ直線の延長線に対する前記屈曲部からの垂線の距離が、前記延長線に対する前記貫通孔の中心部からの垂線の距離よりも短くなると良い。
上記構成により、ヒータ線の屈曲部が貫通孔と重なる配置となる場合であっても、屈曲部及び屈曲部周辺と、貫通孔との重なり部分が極力小さくなるため、ヒータ線の変形を一層抑制することができる。
請求項1の発明によれば、ヒータ線は、クッションパッド上において空気通路と一部が重なる位置に配置され、シート基材において複数の貫通孔と一部が重なる位置に配置されるため、空調装置から空気通路、貫通孔を通して送風される空気を効率よく利用して、ヒータ線の発熱温度を調整することができる。
また、シート基材には、ヒータ線よりも幅広に形成される複数の貫通孔が設けられ、ヒータ線は、シート基材において複数の貫通孔と一部が重なる位置に配置されるため、シート基材において複数の貫通孔を避けることなく、ヒータ線を自由に配置することができる。
また、ヒータ線は、シート基材において幅広となる貫通孔の中心部を避けて延びているため、乗員の着座荷重が加わったときに最も沈み込み易い位置となる貫通孔の中心部を避けてヒータ線を配置することができ、ヒータ線の変形を極力抑制することができる。
請求項2、3、4の発明によれば、シートヒータに所望の通気性を持たせて、ヒータ線の配置自由度を確保しながらも、ヒータ線の変形を極力抑制することができる。
請求項5の発明によれば、ヒータ線において比較的変形し易い屈曲部が、貫通孔を避けた位置で配置されるため、ヒータ線の変形を一層抑制できる。
請求項6の発明によれば、ヒータ線において比較的変形し難い直線部のみが、貫通孔と重なる位置で配置されるため、ヒータ線の変形を一層抑制できる。
請求項7の発明によれば、ヒータ線の屈曲部が貫通孔と重なる配置となる場合であっても、屈曲部及び屈曲部周辺と、貫通孔との重なり部分が極力小さくなるため、ヒータ線の変形を一層抑制できる。
本実施形態に係る車両用シートの概略斜視図である。 図1のシートクッションの縦断面をシート左右方向から見た説明図である。 シートヒータの平面図である。 図3のシートヒータの要部拡大図である。 シートヒータの第2実施例であって要部拡大図である(その1)。 シートヒータの第2実施例であって要部拡大図である(その2)。
以下、本発明の実施形態に係る車両用シートについて、図1〜図6を参照しながら説明する。
本実施形態は、クッションパッドと表皮との間に通気性を有するシートヒータを備えた車両用シートであって、シートヒータのシート基材上に固定されるヒータ線は、クッションパッド上に形成された空気通路と一部が重なる位置に配置されると共に、シート基材上に形成され、ヒータ線よりも幅広の複数の貫通孔と一部が重なる位置に配置され、これら貫通孔の中心部を避けて延びていることを特徴とする車両用シートの発明に関するものである。
なお、車両用シートのシートバックに対して乗員が着座する側がシート前方側となる。
本実施形態の車両用シートSは、図1に示すように、シートクッション1と、シートクッション1の背面側に配置されるシートバック2と、シートバック2の上面側に配置されるヘッドレスト3と、から主に構成されている。
シートクッション1は、乗員を下方から支持する着座部であって、骨格となる不図示のクッションフレームにクッションパッド10を載置して表皮20で被覆されて構成されている。
シートバック2は、乗員の背中を後方から支持する背もたれ部であって、骨格となる不図示のバックフレームにクッションパッド2aを載置して表皮2bで被覆されて構成されている。
ヘッドレスト3は、乗員の頭を後方から支持する頭部であって、芯材となる不図示のピラーにクッションパッド3aを載置して表皮3bで被覆されて構成されている。
また、本実施形態のシートクッション1は、クッションパッド10と表皮20との間にシートヒータ30を備えている。シートバック2も同様に別途シートヒータを備えている。
クッションパッド10は、発泡ウレタン等からなるパッド部材であって、図1に示すように、シート前方側に位置する前方パッド10aと、中央側に位置する中央パッド10bと、シート後方側に位置する後方パッド10cとが一体となって形成されている。
クッションパッド10のシート前後方向の略中央部分の上面には、シート左右方向に長尺なパッド溝11、12が形成されている。
パッド溝11、12は、縦断面略U字形状からなり、シート前後方向に所定の間隔を空けて配置されている。そして、パッド溝11は、シート前後方向においてクッションパッド10の上面を前方パッド10aと中央パッド10bとに区分けし、パッド溝12は、クッションパッド10の上面を中央パッド10bと後方パッド10cとに区分けしている。
クッションパッド10のシート左右方向の略中央部分には、図2に示すように、上面側から底面側まで鉛直方向に貫通する空気通路13が形成されている。
空気通路13は、横断面略円形状の貫通穴からなり、例えば、シートクッション1よりも下方に配置される公知な空調装置から送風される空気を表皮20側に向かって通す通路である。
空気通路13は、所定の配列パターンで形成されており、具体的には、乗員が着座したときに乗員の大腿部を支持する前方パッド10a、及び乗員の臀部を支持する中央パッド10bの着座面全体にわたって複数形成されている。
なお、クッションパッド10は、発泡ウレタン等のパッド部材から形成されており、全体的に通気性を備えていることから、空気通路13以外に全体的に空気を通すことが可能である。
表皮20は、伸縮性を有する公知な革材料等からなり、クッションパッド10を上方から被覆することが可能な形状に形成されている。
表皮20は、シート前後方向において図1に示す前方パッド10a、中央パッド10b、後方パッド10cの各上面に対応する位置に、表皮20aと、表皮20bと、表皮20cとが一体となって設けられている。
表皮20aと表皮20bは、パッド溝11に対応する位置で縫製されて連結されている。同様に、表皮20bと表皮20cもパッド溝12に対応する位置で連結されている。
表皮20のシート左右方向の略中央部分であって空気通路13に対応する位置には、図2に示すように、上面側から底面側まで鉛直方向に貫通する複数の通気孔21が形成されている。
通気孔21は、横断面略円形状からなり、空調装置から空気通路13を通して送風される空気を乗員側に向かって通す孔である。
通気孔21は、所定の配列パターンで形成されており、具体的には、表皮20a及び表皮20bの着座面全体にわたって複数形成されている。
通気孔21は、クッションパッド10上の空気通路13よりも幅狭に形成されており、また、空気通路13よりも広範囲にわたって複数配置されている。そして、空気通路13と少なくとも一部が上下に重なる位置に配置されている。
そのため、空調装置から空気通路13を介して送風される空気を、無数の通気孔21から乗員側に広範囲にわたって効率的に送風することができる。
なお、表皮20のうち、パッド溝11、12の上方部分であって、表皮20a、表皮20b、及び表皮20cがそれぞれ縫製された位置には、表皮20をパッド溝11、12に引き込むための不図示の引き込み布が取り付けられている。
また、クッションパッド10の内部であって、パッド溝11、12の下方部分には、シート左右方向に長尺な断面略円形状の不図示のインサートワイヤが埋め込まれている。
表皮20は、引込み布がC字形状からなる不図示のCリングを介してインサートワイヤと掛け止めされることにより、クッションパッド10側に固定されることになる。
表皮20とクッションパッド10との間であって、表皮20に隣接した部分には、図2に示すように、ワディング材22が配置されている。
ワディング材22は、伸縮性と通気性を兼ね備えたウレタンフォーム材等からなり、表皮20と一体的に接着されている。そして、クッションパッド10側から表皮20側に向かって空気を通すことができる。
ワディング材22は、乗員の着座感を確保するために設けられているが、不要な構成としても良い。
シートヒータ30は、シートクッション1を暖める面状発熱体であって、図1に示すように、上下方向においてクッションパッド10と表皮20との間に配置されている。
シートヒータ30は、クッションパッド10の上面であって、シート左右方向の略中央部分に配置されており、詳しく言うと、着座した乗員の大腿部を支持する前方パッド10a、乗員の臀部を支持する中央パッド10b、及び後方パッド10cの上面に接着剤等で貼り付けられている。
なお、クッションパッド10上面においてシートヒータ30が配置される部分には、シートヒータ30が収容可能な不図示のヒータ取り付け凹部が形成されており、クッションパッド10にシートヒータ30を取り付けたときに、シートヒータ30が表皮側に張り出すことがないように配慮されている。
シートヒータ30は、図3に示すように、ポリエステル繊維を用いた多孔質構造の不織布等からなるシート基材31と、シート基材31に接着固定されたコード状のヒータ線33と、から主に構成されている。
詳しく言うと、シート基材31上においてヒータ線33の延出端部には、コネクタ34が接続されており、コネクタ34を介して車両の電気系統に接続されている。
なお、シート基材31上の所定位置に、不図示の公知な温度制御装置や、乗員が着座したことを検知する不図示の公知な着座センサが接合されていると望ましい。このように構成すれば、乗員の着座の有無を正確に検知した上で、快適な温度制御の下でシートクッション1を暖めることができる。
シート基材31は、略矩形状の面状体からなり、図3に示すように、前方パッド10a、中央パッド10b、後方パッド10cの上面にそれぞれ載置される略矩形状の前方面状体31a、中央面状体31b、後方面状体31cを備えている。また、これら面状体31a、31b、31c同士を連結し、パッド溝11、12内部に一部が差し込まれて載置される略矩形状の連結面状体31d、31eと、を備えている。
詳しく言うと、前方面状体31aと中央面状体31bとが、シート左右方向に間隔をおいて設けられた2つの連結面状体31dを介して連結されている。同様に、中央面状体31bと後方面状体31cとが、2つの連結面状体31eを介して連結されている。
シート基材31には、図3に示すように、上面側から底面側まで鉛直方向に貫通する複数の貫通孔32が形成されている。
なお、これら面状体31a、31b、31cのうち、シート左右方向の略中央部分であって前端部及び後端部には、それぞれクッションパッド10に対する位置決めとなる略V字形状の切欠き部が形成されている。
そのため、シートヒータ30の取り付け作業が効率化し、また、シートヒータ30を所望位置に精度良く取り付けることができるようになる。
切欠き部は、シート左右方向の中央部分に配置された2つの貫通孔32の間のスペースを利用して配置されており、この2つの貫通孔32に近接して配置されている。
貫通孔32は、横断面略円形状からなり、空調装置から空気通路13を介して送風される空気を表皮20側に向かって通す孔であって、シート基材31の上面全体にわたって所定の配列パターンで形成されている。
貫通孔32は、図2に示すように、クッションパッド10上の空気通路13よりも幅狭に形成されており、空気通路13よりも広範囲にわたって複数配置されている。そして、空気通路13と少なくとも一部が上下に重なる位置に配置されている。
また、貫通孔32は、表皮20上の通気孔21よりも幅広に形成されており、通気孔21と略同一範囲にわたって複数配置されている。そして、通気孔21と少なくとも一部が上下に重なる位置に配置されている。
上記構成により、空調装置から空気通路13を介して送風される空気を、無数の貫通孔32、及び無数の通気孔21を通して乗員側に広範囲にわたって効率的に送風することができる。
ヒータ線33は、断面略円形状の長尺な線状物からなるニクロム発熱線等であって、シート基材31上に所定の配列パターンで接着固定されている。
ヒータ線33は、図3に示すように、シート基材31の後方端部から2本に分岐してシート前方に向って互いに略平行となるように蛇行し、分岐した2本のヒータ線33がシート基材31の前方部分において連結されて構成されている。
ヒータ線33は、図2に示すように、クッションパッド10上の空気通路13よりも幅狭に形成されており、空気通路13よりも広範囲にわたって延出して配置されている。そして、空気通路13と少なくとも一部が上下に重なる位置に配置されている。
また、ヒータ線33は、表皮20上の通気孔21と同等の幅、又は通気孔21よりも幅広に形成されており、通気孔21と略同一範囲にわたって配置されている。そして、通気孔21と少なくとも一部が上下に重なる位置に配置されている。
さらに、ヒータ線33は、シート基材31上の貫通孔32よりも幅狭に形成されており、貫通孔32よりも狭い範囲に配置されている。そして、貫通孔32と少なくとも一部が上下に重なる位置に配置されている。
上記構成により、空調装置から空気通路13、貫通孔32を介して送風される空気を利用して、ヒータ線33の発熱温度を調整することができる。また、ヒータ線33が貫通孔32を塞ぐことがなく空気を通すことができる。
次に、シート基材31上においてヒータ線33と貫通孔32との位置関係を図4に基づいて詳細に説明する。
ヒータ線33は、図4に示すように、直線状に延びる直線部33aと、直線部33aから連続して、直線部33aの延出方向に対して交差する方向に屈曲する屈曲部33bと、を備えている。
ヒータ線33の直線部33aは、シート基材31上において貫通孔32と少なくとも一部が重なる位置に配置されており、かつ、貫通孔32の中心部32aを避けて延びている。
屈曲部33bは、シート基材31上において貫通孔32を避けた位置に配置されて延びている。すなわち、ヒータ線33のうち、直線部33aのみが、貫通孔32と重なる位置に配置されることになる。
上記構成により、ヒータ線33において比較的変形し難い直線部33aが貫通孔32と重なり合って配置され、かつ、比較的変形し易い屈曲部33bが貫通孔32を避けた位置で配置されるため、ヒータ線33の変形を一層抑制できる。
なお、ヒータ線33は、全ての貫通孔32の中心部32aを避けて配置されることが望ましいが、少なくとも一部の貫通孔32の中心部32aを避けて配置されることで、ヒータ線33の変形を抑制できる。
また、ヒータ線33の直線部33aは、図4に示すように、貫通孔32の中心部32aを避けた上で、貫通孔32を跨ぐようにシート左右方向に延びて配置されている。
そのため、ヒータ線33が、貫通孔32の外周部分に沿って重なり合うように配置される場合と比較して、ヒータ線33と貫通孔32との重なり面積を大きくすることができる。その結果、空調装置から送風される空気をヒータ線に当て易くなり、ヒータ線の発熱温度を調整し易くなる。
<シートヒータの第2実施形態>
次に、シートヒータ130の第2実施例について、図5、図6に基づいて説明する。
なお、以下の説明において、シートヒータ30と重複する内容は説明を省略する。
第2実施例に係るシートヒータ130は、シートヒータ30と比較して、長孔形状からなる貫通孔132を備えており、シート基材131上においてヒータ線133と貫通孔132との位置関係が異なっている。
ヒータ線133は、図5に示すように、直線部133aと、直線部133aから連続して、直線部33aの延出方向に対して屈曲する屈曲部133bと、を備えている。
ヒータ線133の直線部133aは、シート基材131上において貫通孔132の長手方向と略直交する方向に延びており、貫通孔132と少なくとも一部が上下に重なる位置に配置されている。
屈曲部133bは、シート基材131上において貫通孔132と少なくとも一部が上下に重なる位置に配置されている。
詳しく説明すると、ヒータ線133は、図6に示すように、貫通孔132を跨ぐように配置されている。そして、貫通孔132の外周部分と重なる位置を第1重なり部133c及び第2重なり部133dとしたとき、屈曲部133bが、第1重なり部133cと第2重なり部133dとの間で屈曲し、貫通孔132と上下に重なり合っている。
このとき、第1重なり部133cと第2重なり部133dとを結ぶ直線の延長線に対する屈曲部133bからの垂線の距離Dが、延長線に対する貫通孔132の中心部132aからの垂線の距離dよりも短くなっている。
上記構成により、屈曲部133bが貫通孔132と上下に重なる配置となる場合であっても、屈曲部133b及び屈曲部周辺と、貫通孔132との重なり部分が極力小さくなるため、ヒータ線133の変形を一層抑制することができる。
<その他の実施形態>
上記実施形態において、クッションパッド10の空気通路13は、上面側から底面側まで鉛直方向に貫通しているが、これに限定されることなく、クッションパッド10の着座面に対して交差方向に貫通していても良い。
また、空気通路13は、着座した乗員の大腿部を支持する前方パッド10a、及び乗員の臀部を支持する中央パッド10bの着座面全体にわたって形成されているが、これに限定されることなく、例えば、前方パッド10aのみに形成されていても良く、配置を適宜変更しても良い。
上記実施形態において、表皮20の通気孔21は、上面側から底面側まで鉛直方向に貫通しているが、これに限定されることなく、表皮20の着座面に対して交差方向に貫通していても良い。例えば、底面側から上面側に向かってシート内側方向に傾斜するように通気孔21が形成されていれば、着座した乗員に向かって効率的に空気を集中させて送ることができ、乗員の快適性が向上する。
上記実施形態において、シートヒータ30のシート基材31は、貫通孔32を多数備えて通気性を付与した不織布からなるが、これに限定されることなく、メッシュ構造からなるシート基材を用いる等適宜変更しても良い。
上記実施形態において、貫通孔32は、上面側から底面側まで鉛直方向に貫通しているが、これに限定されることなく、シートヒータ30の着座面に対して交差方向に貫通していても良い。
また、貫通孔32は、横断面略円形状からなるが、これに限定されることなく、例えば、断面略楕円形状、断面略多角形状等、適宜形状変更しても良い。
上記実施形態において、ヒータ線33は、シート基材31上においてシート前後方向に略平行に蛇行しながら延びて固定されているが。これに限定されることなく、ヒータ線33の配置を自由に変更して良い。
また、ヒータ線33は、接着剤によってシート基材31上に固着されているが、例えば、ヒータ線33がシート基材31の内部に編み込まれる等、適宜変更しても良い。
また、ヒータ線133は、長孔形状からなり、貫通孔132の長手方向と略直交する方向に延びて配置されているが、これに限定されることなく、例えば、貫通孔132の長手方向と交差する方向に延びていても良いし、貫通孔132の長手方向に対して鋭角をなして延びていても良く、適宜変更可能である。
上記実施形態において、ヒータ線33は、図4に示すように、貫通孔32の中心部32aを避けた上で、貫通孔32を跨ぐようにシート左右方向に延びて配置されているが、貫通孔32の中心部32aを避けていれば、適宜配置変更可能である。
例えば、ヒータ線33が、貫通孔32の外周部分に沿って重なり合うように配置されることで、ヒータ線33と貫通孔32との重なり面積を極力小さくすることができ、ヒータ線33の変形を抑制することができる。
上記実施形態において、ヒータ線33は、クッションパッド10上の空気通路13と少なくとも一部が上下に重なる位置に配置されているが、このとき空気通路13の中心部を避けて延びていると良い。
このようにすれば、ヒータ線33と空気通路13との位置関係において、ヒータ線33が、乗員の着座荷重が加わったときに最も沈み込み易い位置となる空気通路13の中心部を避けることができ、ヒータ線の変形を一層抑制できる。
上記実施形態では、具体例として自動車に用いられる車両用シートについて説明したが、これに限定されることなく、電車、バス等の車両用シートのほか、飛行機、船等の乗物用シートとしても利用することができる。
本実施形態では、主として本発明に係る車両用シートSに関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
特に、シート基材31、貫通孔32、及びヒータ線33を含むシートヒータ30の形状、配置、及び構成について、上記の実施形態にて説明したものは、あくまで一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
S 車両用シート
1 シートクッション
2 シートバック
2a、3a クッションパッド
2b、3b 表皮
3 ヘッドレスト
10 クッションパッド
10a 前方パッド
10b 中央パッド
10c 後方パッド
11、12 パッド溝
13 空気通路
20 表皮
20a、20b、20c 表皮
21 通気孔
22 ワディング材
30、130 シートヒータ
31、131 シート基材
31a 前方面状体
31b 中央面状体
31c 後方面状体
31d、31e 連結面状体
32、132 貫通孔
32a、132a 中心部
33、133 ヒータ線
33a、133a 直線部
33b、133b 屈曲部
133c 第1重なり部
133d 第2重なり部
34 コネクタ

Claims (7)

  1. クッションパッドと、該クッションパッドを被覆する表皮と、前記クッションパッドと前記表皮との間に配置されるシートヒータと、を備え、
    前記クッションパッドに形成された空気通路を通して、前記クッションパッド側から前記表皮側に向かって空気を送ることが可能な車両用シートであって、
    前記シートヒータは、
    面状体からなるシート基材と、該シート基材に固定されるヒータ線と、を備え、
    前記シート基材には、表面側から裏面側まで貫通し、前記空気通路よりも幅狭に形成され、前記ヒータ線よりも幅広に形成される複数の貫通孔が設けられ、
    前記ヒータ線は、
    前記クッションパッド上において前記空気通路と一部が重なる位置に配置され、
    前記シート基材において前記複数の貫通孔と一部が重なる位置に配置され、該貫通孔の中心部を避けて延びていることを特徴とする車両用シート。
  2. 前記貫通孔は、長孔からなり、
    前記ヒータ線は、前記シート基材において前記貫通孔の長手方向と交差する方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
  3. 前記ヒータ線は、前記シート基材において前記貫通孔の長手方向に対して鋭角をなして延びていることを特徴とする請求項2に記載の車両用シート。
  4. 前記ヒータ線は、前記シート基材において前記貫通孔の長手方向と直交する方向に延びていることを特徴とする請求項2に記載の車両用シート。
  5. 前記ヒータ線は、屈曲した屈曲部を備え、
    該屈曲部は、前記シート基材において前記貫通孔を避けた位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用シート。
  6. 前記ヒータ線は、直線状に延びる直線部を備え、
    前記直線部のみが、前記シート基材において前記貫通孔と重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用シート。
  7. 前記ヒータ線は、
    前記シート基材において前記貫通孔を跨ぐように配置され、
    該貫通孔の外周部分と重なる位置に設けられた第1重なり部及び第2重なり部と、前記貫通孔と重なる位置に設けられ、前記第1重なり部と前記第2重なり部との間で屈曲した屈曲部と、を備え、
    前記第1重なり部と前記第2重なり部とを結ぶ直線の延長線に対する前記屈曲部からの垂線の距離が、前記延長線に対する前記貫通孔の中心部からの垂線の距離よりも短くなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用シート。
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