JP6164117B2 - 液晶配向剤、位相差フィルム及び位相差フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明における重合体成分は、同一の重合体又は異なる重合体中に、光配向性基を有する繰り返し単位(a)と、5員環以上の複素環、環状ケトン、芳香環及びアルキル鎖よりなる群から選ばれる少なくとも一種を側鎖に有する繰り返し単位(b)と、オキセタニル基及びオキシラニル基よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する繰り返し単位(c)と、を含有する。
本発明における繰り返し単位(a)は光配向性基を有する。ここで、光配向性基とは、光照射による光異性化反応、光二量化反応又は光分解反応によって膜に異方性を付与可能な官能基である。光配向性基として具体的には、例えばアゾベンゼン又はその誘導体を基本骨格として含有するアゾベンゼン含有基、桂皮酸又はその誘導体を基本骨格として含有する桂皮酸構造を有する基、カルコン又はその誘導体を基本骨格として含有するカルコン含有基、ベンゾフェノン又はその誘導体を基本骨格として含有するベンゾフェノン含有基、クマリン又はその誘導体を基本骨格として有するクマリン含有基、ポリイミド又はその誘導体を基本骨格として含有するポリイミド含有構造等が挙げられる。これらの中でも、本発明における重合体が有する光配向性基としては、高い配向能を有する点及び重合体への導入が容易である点において、桂皮酸構造を有する基であることが好ましい。
のそれぞれで表される基などを;
上記式(cn−2)で表される基の具体例としては、例えば下記式
のそれぞれで表される基などを;挙げることができる。
本発明における繰り返し単位(b)は、5員環以上の複素環、環状ケトン、芳香環及びアルキル鎖よりなる群から選ばれる少なくとも一種の構造(以下、「密着性付与構造」ともいう。)を側鎖に有する。
上記繰り返し単位(b)における複素環は、芳香族複素環であってもよく、芳香族性を示さない非芳香族複素環であってもよい。当該複素環としては、例えば、環骨格中に酸素原子を含む酸素含有複素環、窒素原子を含む窒素含有複素環、硫黄原子を含む硫黄含有複素環などが挙げられる。
また、上記非芳香族複素環の具体例としては、酸素含有複素環として、例えばテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ヘキサメチレンオキシド、ジオキソラン、ジオキサン、ピラン等の環状エーテルなどを、窒素含有複素環として、例えばピロリジン、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン等の環状イミン;γ−ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム等のラクタム;グルタルイミド等の環状イミドなどを、硫黄含有複素環として、例えばテトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、ヘキサメチレンスルフィド等を、それぞれ挙げることができる。
上記繰り返し単位(b)が有する複素環としては、液晶配向膜の基板に対する密着性の改善効果が高い点において、非芳香族複素環であることが好ましく、中でも酸素含有複素環又は窒素含有複素環がより好ましく、環状エーテル又はラクタムであることが特に好ましい。
上記複素環の環員数は、5以上であり、5〜10であることが好ましく、5〜8であることがより好ましく、5〜7であることが更に好ましい。
上記繰り返し単位(b)における芳香環(但し、複素環に該当するものは除く。)は、炭素数5〜15であることが好ましく、具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、フルオレン環等が挙げられる。上記芳香環としては、基板に対する溶解性が良好である点及び重合体側鎖に導入しやすい点において、上記の中でもベンゼン環又はナフタレン環であることが好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
上記芳香環における環骨格には置換基が結合されていてもよい。当該置換基としては、例えば炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン原子等を挙げることができる。
重合体成分中における上記繰り返し単位(b)の含有割合は、当該繰り返し単位(b)の導入による液晶配向膜の密着性向上の効果を十分に得つつ、その他の効果を損なわないようにする観点において、重合体成分が有する全繰り返し単位に対する上記繰り返し単位(b)の総量を、0.1〜95モル%とすることが好ましく、1〜60モル%とすることがより好ましく、5〜40モル%とすることが更に好ましい。
本発明における重合体成分は、オキセタニル基及びオキシラニル基よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する繰り返し単位(c)を更に有する。当該基を重合体側鎖に有することにより、液晶配向膜の基板に対する密着性及び液晶配向性の改善を図ることが可能となる。
重合体成分中に含有されるオキセタニル基及びオキシラニル基は、重合体の主骨格に対して直接結合されていてもよいし、2価の連結基を介して結合されていてもよい。当該2価の連結基としては、上記繰り返し単位(a)で説明した2価の連結基の例示を適用することができる。低温硬化性が良好である点において、中でもオキシラニル基を有することが好ましい。
重合体成分中における上記繰り返し単位(c)の含有割合は、当該繰り返し単位(b)の導入による液晶配向性及び基板への密着性の改善効果を得つつ、その他の効果を損なわないようにする観点において、重合体成分が有する全繰り返し単位に対する上記繰り返し単位(b)の総量を、0.1〜90モル%とすることが好ましく、1〜80モル%とすることがより好ましく、5〜70モル%とすることが更に好ましい。
例えば、本発明の液晶配向剤が、重合体成分として1種の重合体のみを含む場合、本発明の液晶配向剤は、重合体成分として上記重合体[C]のみを含むことを意味する。また、本発明の液晶配向剤が、重合体成分として2種以上の重合体を含む場合、上記繰り返し単位(a)〜(c)の全てを重合体成分中に含んでいる限り、複数種の重合体の組み合わせの態様は特に限定しない。具体例を挙げるならば、上記繰り返し単位(a)〜(c)の少なくともいずれかを有する重合体の複数種の組み合わせであってもよいし、当該組み合わせにおいて、上記繰り返し単位(a)、上記繰り返し単位(b)及び上記繰り返し単位(c)のいずれも有さない重合体(以下、「その他の重合体」ともいう。)をさらに含有する態様であってもよいし、あるいは、上記重合体[C]と上記その他の重合体との組み合わせであってもよい。
[I]上記繰り返し単位(a)を有する重合体[A]と、上記繰り返し単位(b)及び上記繰り返し単位(c)を有する重合体[B]と、を含有する態様。
[II]上記繰り返し単位(a)、上記繰り返し単位(b)及び上記繰り返し単位(c)を有する重合体[C]を含有する態様。
[III]上記重合体[A]と上記重合体[B]と上記重合体[C]とを含有する態様。
などを挙げることができる。なお、上記[I]〜[III]の液晶配向剤は、重合体成分として上記その他の重合体をさらに含んでいてもよい。
これらのうち、液晶配向膜の基板に対する密着性及び液晶配向性の改善効果が高い点で、上記[I]の態様又は上記[II]の態様であることが好ましく、上記[I]の態様が特に好ましい。
本発明における重合体[A]は、光配向性基を有する重合体である。当該重合体[A]の主骨格は、例えばポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド、ポリオルガノシロキサン、(メタ)アクリル系重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール誘導体、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体等により形成される骨格を挙げることができる。これらのいずれを適用するかは液晶配向剤の用途等に応じて適宜選択すればよいが、位相差フィルム用とする場合、(メタ)アクリル系重合体及びポリオルガノシロキサンよりなる群から選ばれる少なくとも一種とすることが好ましく、低沸点溶剤に対する溶解性が良好である点、光配向性基を導入しやすい点及び液晶配向性をより高くすることができる点において、ポリオルガノシロキサンであることがより好ましい。
重合体[A]における光配向性基の含有割合は、重合体[A]の1gあたりの光配向性基のモル数として、0.1〜3ミリモルとすることが好ましく、0.2〜2ミリモルとすることがより好ましい。
上記重合体[A]は、上記繰り返し単位(b)を実質的に有していないことが好ましい。なお、「実質的に有していない」とは、上記重合体[A]の1gあたりの上記繰り返し単位(b)のモル数として、0.01ミリモル以下とすることが好ましく、0.005ミリモル以下とすることがより好ましい。
[光配向性基を有するポリオルガノシロキサン]
上記重合体[A]としての光配向性基を有するポリオルガノシロキサン(以下、「ポリオルガノシロキサン[A]」ともいう。)は、例えば、
(a-I)オキセタニル基又はオキシラニル基を有する加水分解性のシラン化合物(ms−1)、又は当該シラン化合物(ms−1)とその他のシラン化合物との混合物を加水分解縮合して得られる重合体(以下、「エポキシ含有ポリオルガノシロキサン」ともいう。)と、光配向性基を有するカルボン酸(mc−1)とを反応させる方法;
(a-II)光配向性基を有する加水分解性のシラン化合物(ms−2)、又は当該シラン化合物(ms−2)とその他のシラン化合物との混合物を加水分解縮合させる方法;
などを挙げることができる。
シラン化合物(ms−1)は、オキセタニル基又はオキシラニル基を有する加水分解性のシラン化合物である。その具体例としては、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、2−グリシドキシエチルジメチルメトキシシラン、2−グリシドキシエチルジメチルエトキシシラン、4−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、4−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、4−グリシドキシブチルメチルジメトキシシラン、4−グリシドキシブチルメチルジエトキシシラン、4−グリシドキシブチルジメチルメトキシシラン、4−グリシドキシブチルジメチルエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。シラン化合物(ms−1)としては、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
シラン化合物(ms−2)は、光配向性基を有する加水分解性のシラン化合物である。シラン化合物(ms−2)としては、光配向性基として桂皮酸構造を有するアルコキシシラン化合物などを好ましく用いることができ、例えば上記式(cn−1)で表される基又は上記式(cn−2)で表される基を有するアルコキシシラン化合物などを挙げることができる。このようなアルコキシシラン化合物としては、例えば下記式(ms−2−1)及び式(ms−2−2)のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。なお、シラン化合物(ms−2)としては、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
その他のシラン化合物は、加水分解性を示すシラン化合物である限り特に限定せず、目的とする重合体[A]に応じて適宜選択することができる。例えば、その他のシラン化合物として、(メタ)アクリロキシ基を有する加水分解性のシラン化合物(ms−3)を用いることにより、(メタ)アクリロキシ基を側鎖に有するポリオルガノシロキサンを合成することができる。シラン化合物(ms−3)の具体例としては、例えば3−(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリクロロシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、4−(メタ)アクリロキシブチルトリクロロシラン、4−(メタ)アクリロキシブチルトリメトキシシラン、4−(メタ)アクリロキシブチルトリエトキシシランなどを挙げることができる。シラン化合物(ms−3)としては、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
また、上記方法(a-II)によりポリオルガノシロキサン[A]を合成する場合、シラン化合物(ms−2)とその他のシラン化合物との使用割合は、本発明における重合体[A]としてのポリオルガノシロキサン[A]が有する光配向性基の濃度が上記好ましい範囲になるように調整することが好ましい。
加水分解・縮合反応の際に使用することができる触媒としては、例えば酸、アルカリ金属化合物、有機塩基、チタン化合物、ジルコニウム化合物などを挙げることができる。これら触媒の具体例としては、酸として、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、フタル酸、マロン酸、ギ酸、シュウ酸等の有機酸などを;アルカリ金属化合物として、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシドなどを;有機塩基として、例えばエチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、ピロールの如き1〜2級有機アミン:トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウンデセンの如き3級の有機アミン:テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの如き4級の有機アミンなどを;それぞれ挙げることができる。
上記触媒としては、エポキシ基の開環などの副反応を抑制できる点や、加水分解縮合速度を速くできる点、保存安定性に優れている点などにおいて、これらの中でもアルカリ金属化合物又は有機塩基が好ましく、特に有機塩基が好ましい。また、有機塩基としては、3級の有機アミン又は4級の有機アミンが好ましい。
有機塩基の使用量は、有機塩基の種類、温度などの反応条件などにより異なり、適宜に設定されるべきであるが、例えば全シラン化合物に対して、好ましくは0.01〜3倍モルであり、より好ましくは0.05〜1倍モルである。
加水分解縮合反応における有機溶媒の使用割合は、反応に使用する全シラン化合物100重量部に対して、好ましくは10〜10,000重量部であり、より好ましくは50〜1,000重量部である。
カルボン酸(mc−1)は、光配向性基及びカルボキシル基を少なくとも1つずつ有する化合物であればよく、特に、光配向性基として桂皮酸構造を有する基を有するカルボン酸を好ましく使用することができる。このようなカルボン酸(mc−1)としては、例えば上記(cn−1)及び上記式(cn−2)のそれぞれで表される基における結合手の部分に水素原子が結合したカルボン酸などを挙げることができる。より具体的には、例えば上記式(cn−1)の具体例として挙げたそれぞれの基、及び上記式(cn−2)の具体例として挙げたそれぞれの基における結合手に水素原子が結合したカルボン酸などが挙げられる。
また、ポリオルガノシロキサン[A]の合成に際して使用するその他のカルボン酸としては、上記カルボン酸(mc−2)以外の化合物を必要に応じて使用することができる。例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、メチル安息香酸等が挙げられる。
上記有機塩基としては、例えばエチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、ピペリジンの如き1〜2級有機アミン;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジンの如き3級有機アミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの如き4級有機アミン;などを挙げることができる。有機塩基としては、これらのうち、3級有機アミン又は4級有機アミンが好ましい。
上記硬化促進剤としては、例えばベンジルジメチルアミンなどの3級アミン;2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物;ジフェニルフォスフィンなどの有機リン化合物;ベンジルトリフェニルフォスフォニウムクロライドなどの4級フォスフォニウム塩;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7などのジアザビシクロアルケン;オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫などの有機金属化合物;テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミドなどの4級アンモニウム塩;三フッ化ホウ素などのホウ素化合物;塩化亜鉛、塩化第二錫などの金属ハロゲン化合物;などを挙げることができるほか、潜在性硬化促進剤として公知のものを使用することができる。
上記触媒は、カルボン酸と反応させるポリオルガノシロキサン100重量部に対して、好ましくは100重量部以下、より好ましくは0.01〜100重量部、更に好ましくは0.1〜20重量部の割合で使用することができる。
本発明において、重合体[A]としての光配向性基を有する(メタ)アクリル系重合体(以下、「(メタ)アクリル系重合体[A]」ともいう。)は、例えば、オキセタニル基及びオキシラニル基の少なくともいずれかを有する(メタ)アクリル系単量体(ma−1)、又は当該(メタ)アクリル系単量体(ma−1)とその他の(メタ)アクリル系単量体(ma−2)との混合物を重合開始剤の存在下で重合させた後、その得られた重合体(以下、「エポキシ含有(メタ)アクリル系重合体」ともいう。)と、光配向性基を有するカルボン酸(mc−1)とを反応させる方法によって得ることができる。
不飽和カルボン酸エステルとして、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−イソブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸オクトキシポリエチレングリコール、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル:α−メトキシアクリル酸メチル、α−エトキシアクリル酸メチル等のα−アルコキシアクリル酸エステル:クロトン酸メチル、クロトン酸エチル等のクロトン酸エステル等を;
不飽和多価カルボン酸無水物として、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、シス−1,2,3,4−テトラヒドロフタル酸無水物等を;
その他、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等を;それぞれ挙げることができる。なお、(メタ)アクリル系単量体(ma−2)としては、上記のものを一種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、合成に使用するモノマーとしては、本発明の効果を奏する範囲内において、上記(メタ)アクリル系単量体(ma−1)及び(ma−2)以外に、例えば1,3−ブタジエンやイソプレン等のビニル系単量体、スチレン、ヒドロキシスチレン等のスチレン系単量体、N−イソプロピルアクリルアミドやN,N−ジメチルメタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド化合物、メチルビニルケトン等の不飽和ケトン化合物などのその他の単量体を含んでいてもよい。
重合開始剤の使用割合は、反応に使用する全モノマー100重量部に対して、0.01〜50重量部とすることが好ましく、0.1〜40重量部とすることがより好ましい。
エポキシ含有(メタ)アクリル系重合体と反応させるカルボン酸の使用割合は、(メタ)アクリル系重合体が有するエポキシ基の合計1モルに対して、0.001〜0.95モルとすることが好ましい。0.001モル以上とすることにより、光配向性基の導入を好適に行うことができ、0.95モル以下とすることにより、重合体[B]との反応に十分な量のオキセタニル基又はオキシラニル基を重合体[A]中に残存させておくことができる。より好ましくは、0.01〜0.9モルであり、0.05〜0.8モルとすることが更に好ましい。
上記エポキシ含有(メタ)アクリル系重合体とカルボン酸との反応に際し、反応温度は、0〜200℃とすることが好ましく、50〜150℃とすることがより好ましい。反応時間は、0.1〜50時間とすることが好ましく、0.5〜20時間とすることがより好ましい。
本発明における重合体[B]は、上記繰り返し単位(b)及び上記繰り返し単位(c)を有しており、これによりオキセタニル基及びオキシラニル基の少なくともいずれかと、上記密着性付与構造とを側鎖に有するものとなっている。このような重合体[B]を液晶配向剤中に含有させることにより、形成される液晶配向膜に対して基板への良好な密着性を付与することができる。また、オキセタニル基及びオキシラニル基の導入により、液晶配向性の向上を図ることが可能となる。
重合体[B]の主骨格は、上記重合体[A]と同じでも異なっていてもよい。重合体[B]としては、ポリオルガノシロキサン及び(メタ)アクリル系重合体であることが好ましく、基板に対する密着性が良好である点及び透明性が高い点において、(メタ)アクリル系重合体であることが特に好ましい。
重合体[B]における上記密着性付与構造の含有割合は、重合体[B]の1gあたりの上記密着性付与構造のモル数の合計量として、0.05〜5ミリモルとすることが好ましく、0.1〜4ミリモルとすることがより好ましい。
また、重合体[B]におけるオキセタニル基及びオキシラニル基の含有割合は、重合体[B]の1gあたりのオキセタニル基及びオキシラニル基のモル数の合計量として、0.1〜6ミリモルとすることが好ましく、0.3〜5ミリモルとすることがより好ましい。
上記アルコキシシリル基は、重合体の主骨格に対して直接結合していてもよいし、2価の連結基を介して結合していてもよい。当該2価の連結基としては、例えば2価の鎖状炭化水素基、鎖状炭化水素基の炭素−炭素結合間に、−O−、−CO−、−COO−、−NH−、−CO−NH−などを含む2価の基、鎖状炭化水素基における少なくとも1つの水素原子が、フッ素原子や塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子などで置換された2価の基などが挙げられる。
重合体[B]におけるアルコキシシリル基の含有割合は、重合体[B]の1gあたりのアルコキシシリル基のモル数として、0.05〜3ミリモルとすることが好ましく、0.1〜2ミリモルとすることがより好ましい。
(b-I)上記密着性付与構造を有する(メタ)アクリル系単量体(ma−3)と上記(メタ)アクリル系単量体(ma−1)との混合物、又は当該(メタ)アクリル系単量体(ma−3)と上記(メタ)アクリル系単量体(ma−1)とその他の(メタ)アクリル系単量体との混合物を重合開始剤の存在下で重合させる方法;
(b-II)上記エポキシ含有(メタ)アクリル系重合体と、上記密着性付与構造を有するカルボン酸(mc−3)とを反応させる方法;などによって得ることができる。
芳香環を有する(メタ)アクリレートとして、例えばベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどを;
アルキル鎖を有する(メタ)アクリレートとして、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどを;それぞれ挙げることができる。
上記(メタ)アクリル系単量体(ma−1)としては、上記エポキシ含有(メタ)アクリル系重合体の合成に際して使用することができる化合物として例示したものなどを挙げることができる。
なお、上記エポキシ含有(メタ)アクリル系重合体とカルボン酸との反応は、好ましくは触媒及び有機溶媒の存在下で行うことができる。反応に使用する触媒及び有機溶媒、反応温度及び時間等については、上記重合体[A]における説明を適用することができる。
本発明における重合体[C]は、上記繰り返し単位(a)、上記繰り返し単位(b)及び上記繰り返し単位(c)を有する。つまり、当該重合体[C]は、上記光配向性基を有するとともに、重合体側鎖に、上記密着性付与構造と、オキセタニル基及びオキシラニル基の少なくともいずれかとを有するものとなっている。
重合体[C]における光配向性基の含有割合については、上記重合体[A]の説明を適用することができる。また、重合体[C]における上記密着性付与構造の含有割合、並びにオキセタニル基及びオキシラニル基の含有割合については、上記重合体[B]の説明を適用することができる。
上記エポキシ含有ポリオルガノシロキサンとカルボン酸との反応において、エポキシ含有ポリオルガノシロキサンと反応させるカルボン酸の使用割合は、十分な量のオキセタニル基及びオキシラニル基を残存させるべく、エポキシ含有ポリオルガノシロキサンが有するエポキシ基の合計1モルに対して1.0モル未満とし、0.01〜0.9モルとすることが好ましく、0.05〜0.8モルとすることがより好ましい。
なお、上記エポキシ含有ポリオルガノシロキサンとカルボン酸との反応は、好ましくは触媒及び有機溶媒の存在下で行うことができる。反応に使用する触媒及び有機溶媒、反応温度及び時間等については、上記重合体[A]における説明を適用することができる。
上記エポキシ含有(メタ)アクリル系重合体とカルボン酸との反応において、エポキシ含有(メタ)アクリル系重合体と反応させるカルボン酸の使用割合は、十分な量のオキセタニル基及びオキシラニル基を残存させるべく、(メタ)アクリル系重合体が有するエポキシ基の合計1モルに対して1.0モル未満とし、0.01〜0.9モルとすることが好ましく、0.05〜0.8モルとすることがより好ましい。
なお、上記エポキシ含有(メタ)アクリル系重合体とカルボン酸との反応は、好ましくは触媒及び有機溶媒の存在下で行うことができる。反応に使用する触媒及び有機溶媒、反応温度及び時間等については、上記重合体[A]における説明を適用することができる。
本発明の液晶配向剤は、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。かかるその他の成分としては、例えば、特定の官能基を有するシラン化合物[D]、上記その他の重合体、金属キレート化合物、硬化促進剤、界面活性剤、シリカ粒子、(メタ)アクリレート化合物[E]などを挙げることができる。
本発明の液晶配向剤は、添加剤として、(メタ)アクリロキシ基、オキセタニル基、オキシラニル基、ビニル基、イソシアネート基、アミノ基及びチオール基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を有するシラン化合物[D]を含むものとすることができる。このようなシラン化合物[D]を液晶配向剤中に含有させることにより、形成される液晶配向膜の液晶配向性及び基板との密着性を更に向上させることができる。
R9は、炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、その具体例としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、へキサンジイル基、ヘプタンジイル基、オクタンジイル基、ノナンジイル基などの直鎖状又は分岐状のアルカンジイル基;シクロヘキシレン基などの2価の脂環式炭化水素基、フェニレン基などの2価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。R9としては、炭素数2〜6であることが好ましい。
X1は、(メタ)アクリロキシ基、ビニル基、イソシアネート基、アミノ基、チオール基、又はエポキシ含有基(グリシドキシ基、エポキシシクロヘキシル基)である。但し、ビニル基については(メタ)アクリロキシ基が有する不飽和二重結合は該当しないものとする。また、ここでいう「アミノ基」は、1級アミノ基、2級アミノ基及び3級アミノ基を含む。X1は、塗膜の基板に対する密着性の観点から、(メタ)アクリロキシ基、ビニル基、エポキシ含有基、1級アミノ基又はイソシアネート基であることが好ましく、(メタ)アクリロキシ基、エポキシ含有基又はイソシアネート基であることがより好ましい。
nは0〜2の整数であり、0又は1が好ましい。
ビニル基を有するシラン化合物として、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、p−スチレントリメトキシシラン、p−スチレントリエトキシシラン等を;
イソシアネート基を有するシラン化合物として、例えば3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等を;
アミノ基を有するシラン化合物として、例えばN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−メチル−3−(トリメトキシシリル)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどを;
チオール基を有する化合物として、例えば3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどを;
エポキシ含有基を有する化合物として、例えば上記シラン化合物(ms−1)として例示した化合物などを;それぞれ挙げることができる。
また、反応性シリル基と有機ポリマーとが結合してなるシラン化合物としては、例えば(メタ)アクリロキシ基を1つ又は2つ以上有する化合物を挙げることができ、具体的には、品名「X−12−1048」、「X−12−1049」、「X−12−1050」(以上、信越化学(株)製)などのシランカップリング剤を使用することができる。
上記その他の重合体は、溶液特性等の改善のために使用することができる。かかるその他の重合体の主骨格としては、例えばポリオルガノシロキサン、(メタ)アクリル系重合体、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
上記その他の重合体を液晶配向剤に添加する場合、その配合割合は、液晶配向剤中に含まれる重合体の合計100重量部に対して、50重量部以下とすることが好ましく、0.1〜40重量部とすることがより好ましく、0.1〜30重量部とすることが更に好ましい。
上記金属キレート化合物は、液晶配向剤の重合体成分がエポキシ構造(オキセタニル基又はオキシラニル基を有する構造)を有する場合に、エポキシ構造間の架橋反応に対する触媒作用を有する成分であり、低温処理によって形成した膜の機械的強度を担保することを目的として液晶配向剤中に含有される。
金属キレート化合物としては、アルミニウム、チタニウム及びジルコニウムから選択される金属のアセチルアセトン錯体又はアセト酢酸錯体が好ましい。具体的には、アルミニウムのキレート化合物として、例えばジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトネートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトネート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトネート)アルミニウム、モノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどを;チタニウムのキレート化合物として、例えばジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)チタニウムなどを;ジルコニウムのキレート化合物として、例えばトリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトネート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどを、それぞれ挙げることができる。金属キレート化合物としては、これらのうちから選択される1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記金属キレート化合物の使用割合は、エポキシ構造を含む構成成分の合計100重量に対して、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは0.1〜40重量部であり、1〜30重量部とすることが更に好ましい。
上記硬化促進剤は、液晶配向剤中の重合体成分がエポキシ構造を有している場合に、エポキシ構造間の架橋反応を促進する機能を有する成分であり、形成される液晶配向膜の機械的強度及び液晶配向性の経時的安定性を担保するために液晶配向剤中に含有される。
硬化促進剤としては、例えばフェノール基、シラノール基、チオール基、リン酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基などを有する化合物を使用することができる。これらのうち、フェノール基、シラノール基又はカルボキシル基を有する化合物が好ましく、フェノール基又はシラノール基を有する化合物がより好ましい。
フェノール基又はシラノール基を有する化合物の具体例としては、フェノール基を有する硬化促進剤として、例えばシアノフェノール、ニトロフェノール、メトキシフェノキシフェノール、チオフェノキシフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシナフチル)スルホン、(3−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、フェニル(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、(メトキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ベンジルフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどを;
シラノール基を有する硬化促進剤として、例えばトリメチルシラノール、トリエチルシラノール、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジシロキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン、トリフェニルシラノール、トリ(p−トリル)シラノール、トリ(m−トリフルオロメチルフェニル)シラノール、トリ(o−トリフルオロメチルフェニル)シラノール、トリ(m−フルオロフェニル)シラノール、トリ(o−フルオロフェニル)シラノール、ジフェニルシランジオール、ジ(o−トリル)シランジオールなどを、それぞれ挙げることができる。なお、硬化促進剤としては、これらのうちから選択される1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記界面活性剤は、液晶配向剤の基板に対する塗布性を向上させることを目的として液晶配向剤中に含有させることができる。このような界面活性剤としては、例えばノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコン界面活性剤、ポリアルキレンオキシド界面活性剤、含フッ素界面活性剤などを挙げることができる。なお、界面活性剤としては、これらのうちから選択される1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
界面活性剤の使用割合は、液晶配向剤の全量100重量部に対して、10重量部以下とすることが好ましく、1重量部以下とすることがより好ましい。
上記シリカ粒子は、基板と塗膜との密着性を向上させることを目的として液晶配向剤中に含有させることができる。シリカ粒子の好ましい粒子径は1〜200nm、より好ましくは2〜100nm、特に好ましくは5〜50nmである。また、その形状は球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状又は不定形状の粉体の中から選ばれ、好ましくは球状のシリカ粒子が選ばれる。
(メタ)アクリレート化合物[E]は、一分子中に(メタ)アクリロイル基を有する化合物であり、基板に対する膜の密着性を改善することを目的として液晶配向剤中に含有される。(メタ)アクリレート化合物[E]は単官能化合物であっても多官能化合物であってもよく、又はこれらの混合物であってもよい。
(メタ)アクリレート化合物[E]の使用割合は、液晶配向剤に含有される重合体成分の全体量100重量部に対して、50重量部以下とすることが好ましく、1〜40重量部とすることがより好ましく、2〜30重量部以下とすることが更に好ましい。なお、(メタ)アクリレート化合物[E]は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ケトンとして、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトンなどを;
アミドとして、例えばN,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドンなどを;
炭化水素として、例えばn−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素:ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレンなどの芳香族炭化水素等を;それぞれ挙げることができる。なお、溶媒としては、これらのうちから選択される1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記に説明した本発明の液晶配向剤を用いることにより液晶配向膜を製造することができる。本発明の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜は、位相差フィルムの製造用として好適である。以下に、本発明の液晶配向剤を用いて位相差フィルムを製造する方法について説明する。本発明の位相差フィルムは、以下の工程(1)〜(3)を経ることによって製造することができる。
先ず、本発明の液晶配向剤を基板上に塗布して塗膜を形成する。ここで使用される基板としては、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネートなどの合成樹脂からなる透明基板を好適に例示することができる。これらのうち、TACは、液晶表示素子における偏光フィルムの保護層として一般的に使用されている。また、ポリ(メタ)アクリレートは、溶媒の吸湿性が低い点、光学特性が良好である点及び低コストである点において、基板として好ましく使用することができる。
なお、液晶配向剤の塗布に使用する基板に対しては、基板表面と塗膜との密着性を更に良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成する面において、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、プライマー処理などの従来公知の前処理が実施されていてもよい。
次いで、上記のようにして基板上に形成された塗膜に対し光照射することにより、塗膜に液晶配向能を付与して液晶配向膜とする。ここで照射する光としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線、可視光線などを挙げることができる。これらのうち、300〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。照射光は偏光であっても非偏光であってもよい。偏光としては、直線偏光を含む光を使用することが好ましい。
光の照射は、用いる光が偏光である場合には、基板面に垂直の方向から行っても斜め方向から行ってもよく、あるいはこれらを組み合わせて行ってもよい。非偏光を照射する場合には、基板面に対して斜めの方向から行う必要がある。
使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、水銀−キセノンランプ(Hg−Xeランプ)などを挙げることができる。偏光は、これらの光源を、例えばフィルター、回折格子などと併用する手段などにより得ることができる。
光の照射量は、0.1mJ/cm2以上1,000mJ/cm2未満とすることが好ましく、1〜500mJ/cm2とすることがより好ましく、2〜200mJ/cm2とすることがさらに好ましい。なお、本発明の液晶配向剤を用いると、光照射量が500mJ/cm2以下、さらに200mJ/cm2以下であっても、光配向法によって良好な液晶配向能を付与することができ、液晶配向膜の製造コストの削減に資する。
次いで、上記のようにして光照射した後の塗膜上に、重合性液晶を塗布して硬化させる。これにより、重合性液晶を含む塗膜(液晶層)を形成する。ここで使用される重合性液晶は、加熱及び光照射のうちの少なくとも1種の処理によって重合する液晶化合物又は液晶組成物である。このような重合性液晶としては、従来公知のものを使用することができ、具体的には、例えば非特許文献1(「UVキュアラブル液晶とその応用」、液晶、第3巻第1号(1999年)、pp34〜42)に記載されているネマチック液晶化合物を挙げることができる。また、コレステリック液晶;ディスコティック液晶;カイラル剤を添加されたツイストネマティック配向型液晶などであってもよい。重合性液晶は、複数の液晶化合物の混合物であってもよい。重合性液晶は、さらに、公知の重合開始剤、適当な溶媒などを含有する組成物であってもよい。
形成された液晶配向膜上に上記のような重合性液晶を塗布するには、例えばバーコーター法、ロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法などの適宜の塗布方法を採用することができる。
塗膜の加熱温度は、使用する重合性液晶の種類によって適宜に選択されるべきである。例えばメルク社製のRMS03−013Cを使用する場合、40〜80℃の範囲の温度で加熱することが好ましい。加熱時間は、好ましくは0.5〜5分である。
照射光としては、200〜500nmの範囲の波長を有する非偏光の紫外線を好ましく使用することができる。光の照射量としては、50〜10,000mJ/cm2とすることが好ましく、100〜5,000mJ/cm2とすることがより好ましい。
形成される液晶層の厚さとしては、所望の光学特性によって適宜に設定される。例えば波長540nmの可視光における1/2波長板を製造する場合は、形成した位相差フィルムの位相差が240〜300nmとなるような厚さが選択され、1/4波長板であれば、位相差が120〜150nmとなるような厚さが選択される。目的の位相差が得られる液晶層の厚さは、使用する重合性液晶の光学特性によって異なる。例えばメルク製のRMS03−013Cを使用する場合、1/4波長板を製造するための厚さは、0.6〜1.5μmの範囲である。
上記のようにして得られた位相差フィルムは、液晶表示素子の位相差フィルムとして好ましく適用することができる。本発明の液晶配向剤を用いて製造された位相差フィルムが適用される液晶表示素子は、その駆動方式に制限がなく、例えばTN方式、STN方式、IPS方式、FFS方式、VA方式(VA−MVA方式、VA−PVA方式などを含む)などの公知の各種方式であるものとすることができる。
液晶表示素子は、一般に、電極対及び液晶配向膜が形成された一対の基板を備え、その基板間に液晶を挟持してなる液晶セルの両面に偏光フィルムが貼付された構造を有する。上記位相差フィルムは、液晶表示素子の視認側に配置された偏光フィルムの外側面に対し、位相差フィルムにおける基板側の面が貼付されて用いられる。従って、位相差フィルムの基板をTAC製又はアクリル基材とし、該位相差フィルムの基板を偏光フィルムの保護膜としても機能させる態様とすることが好ましい。
[重合体の重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn]
Mw及びMnは、以下の条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値である。
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶剤:テトラヒドロフラン
温度:40℃
圧力:68kgf/cm2
[エポキシ当量]
エポキシ当量は、JIS C 2105に記載の塩酸−メチルエチルケトン法により測定した。
[合成例1]
冷却管を備えた500mLの三口フラスコに、1−ブロモ−4−シクロヘキシルベンゼン19.2g、酢酸パラジウム0.18g、トリス(2−トリル)ホスフィン0.98g、トリエチルアミン32.4g、及びジメチルアセトアミド135mLを加えて混合した。次いで、シリンジでアクリル酸7gを混合溶液に加えて撹拌した。この混合溶液を更に120℃で3時間、加熱しながら撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応の終了を確認した後、反応溶液を室温まで冷却した。沈殿物をろ別した後、ろ液を1N塩酸水溶液300mLに注ぎ、沈殿物を回収した。これらの沈殿物を酢酸エチルとヘキサンの1:1(重量比)溶液で再結晶することにより、下記式(1)で表される桂皮酸誘導体(mc−1−1)を10.2g得た。
[合成例2−1:エポキシ含有ポリオルガノシロキサンの合成]
撹拌機、温度計、滴下漏斗及び還流冷却管を備えた反応容器に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン100.0g、メチルイソブチルケトン500g及びトリエチルアミン10.0gを仕込み、室温で混合した。次いで、脱イオン水100gを滴下漏斗より30分かけて滴下した後、還流下で混合しつつ、80℃で6時間反応させた。反応終了後、有機層を取り出し、0.2重量%硝酸アンモニウム水溶液により洗浄後の水が中性になるまで洗浄した後、減圧下で溶媒及び水を留去することにより、エポキシ含有ポリオルガノシロキサンを粘調な透明液体として得た。
このエポキシ含有ポリオルガノシロキサンについて、1H−NMR分析を行ったところ、化学シフト(δ)=3.2ppm付近にオキシラニル基に基づくピークが理論強度どおりに得られ、反応中にエポキシ基の副反応が起こっていないことが確認された。このエポキシ含有ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量Mwは2,200、エポキシ当量は186g/モルであった。
100mLの三口フラスコに、合成例2−1で得たエポキシ含有ポリオルガノシロキサン10.1g、アクリル基含有カルボン酸(東亜合成株式会社、商品名「アロニックスM−5300」、アクリル酸ω−カルボキシポリカプロラクトン(重合度n≒2))0.5g、酢酸ブチル20g、合成例1で得た桂皮酸誘導体(mc−1−1)1.5g、及びテトラブチルアンモニウムブロミド0.3gを仕込み、90℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応溶液と等量(重量)の酢酸ブチルで希釈し、3回水洗した。この溶液を濃縮し、酢酸ブチルで希釈する操作を2回繰り返し、最終的に、重合体[A]として光配向性基を有するポリオルガノシロキサン[A−1]を含む溶液を得た。このポリオルガノシロキサン[A−1]の重量平均分子量Mwは9,000であった。
100mLの三口フラスコに、合成例2−1で得たエポキシ含有ポリオルガノシロキサン10.5g、アクリル基含有カルボン酸(東亜合成株式会社、商品名「アロニックスM−5300」、アクリル酸ω−カルボキシポリカプロラクトン(重合度n≒2))0.4g、酢酸ブチル20g、合成例1で得た桂皮酸誘導体(mc−1−1)0.5g、2−テトラヒドロ焦性粘液酸(和光純薬工業(株))0.5g、及びテトラブチルアンモニウムブロミド0.3gを仕込み、90℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応溶液と等量(重量)の酢酸ブチルで希釈し、3回水洗した。この溶液を濃縮し、酢酸ブチルで希釈する操作を2回繰り返し、最終的に、重合体[C]として光配向性基、オキシラニル基及び複素環を側鎖に有するポリオルガノシロキサン[C−1]を含む溶液を得た。このポリオルガノシロキサン[C−1]の重量平均分子量Mwは10,000であった。
冷却管及び攪拌機を備えたフラスコに、重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)1重量部、及び溶媒としてジエチレングリコールメチルエチルエーテル180重量部を仕込んだ。ここに、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート70重量部及び3−メチル−3−オキセタニルメチルメタクリレート30重量部を加え、フラスコ内を窒素置換した後、緩やかに攪拌を始めた。溶液温度を80℃に上昇させ、この温度を5時間維持することにより、エポキシ基を有するポリメタクリレートを32.8重量%含有する重合体溶液を得た。得られたエポキシ含有ポリメタクリレートの数平均分子量Mnは16,000であった。
冷却管及び攪拌機を備えたフラスコに、重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)1重量部、及び溶媒としてメチルプロキシトールアセテート220重量部を仕込んだ。ここに、モノマーとしてテトラヒドロフルフリルメタクリレート46重量部、グリシジルメタクリレート39重量部、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン15重量部を加え、フラスコ内を窒素置換した後、緩やかに攪拌を始めた。溶液温度を80℃に上昇させ、この温度を4時間維持することにより、重合体[B]として複素環、オキシラニル基及びアルコキシシリル基を側鎖に有するメタクリル系重合体[B−1]を31.5重量%含有する重合体溶液を得た。得られたメタクリル系重合体[B−1]の数平均分子量Mnは16,000であった。
合成に使用するモノマーをN−ビニル−2−ピロリドン36重量部、グリシジルメタクリレート46重量部、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン18重量部に変更した以外は合成例2−5と同様の操作を行い、重合体[B]として複素環、オキシラニル基及びアルコキシシリル基を側鎖に有するメタクリル系重合体[B−2]を31.5重量%含有する重合体溶液を得た。得られたメタクリル系重合体[B−2]の数平均分子量Mnは17,000であった。
合成に使用するモノマーをベンジルメタクリレート47重量部、グリシジルメタクリレート38重量部、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン15重量部に変更した以外は合成例2−5と同様の操作を行い、重合体[B]としてベンゼン環、オキシラニル基及びアルコキシシリル基を側鎖に有するメタクリル系重合体[B−3]を31.5重量%含有する重合体溶液を得た。得られたメタクリル系重合体[B−3]の数平均分子量Mnは17,000であった。
合成に使用するモノマーをテトラヒドロフルフリルメタクリレート65重量部、及びグリシジルメタクリレート35重量部に変更した以外は合成例2−5と同様の操作を行い、重合体[B]として複素環及びオキシラニル基を側鎖に有するメタクリル系重合体[B−4]を31.5重量%含有する重合体溶液を得た。得られたメタクリル系重合体[B−4]の数平均分子量Mnは16,000であった。
合成に使用するモノマーをテトラヒドロフルフリルメタクリレート50重量部、及びメタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル50重量部に変更した以外は合成例2−5と同様の操作を行い、重合体[B]として複素環及びオキセタニル基を側鎖に有するメタクリル系重合体[B−5]を31.5重量%含有する重合体溶液を得た。得られたメタクリル系重合体[B−5]の数平均分子量Mnは17,000であった。
合成に使用するモノマーをグリシジルメタクリレート50重量部、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン50重量部に変更した以外は合成例2−5と同様の操作を行い、メタクリル系重合体[pa−1]を31.4重量%含有する重合体溶液を得た。得られたメタクリル系重合体[pa−1]の数平均分子量Mnは17,000であった。
合成に使用するモノマーをテトラヒドロフルフリルメタクリレート100重量部に変更した以外は合成例2−5と同様の操作を行い、メタクリル系重合体[pa−2]を31.4重量%含有する重合体溶液を得た。得られたメタクリル系重合体[pa−2]の数平均分子量Mnは17,000であった。
[実施例1]
(液晶配向剤の調製)
重合体[A]として上記合成例2−2で得たポリオルガノシロキサン[A−1]100重量部に、重合体[B]として上記合成例2−5で得たメタクリル系重合体[B−1]30重量部、シリカ粒子としてコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製、品名「MEK-ST」、粒径10〜20nm、TSC31.6%)10重量部、化合物[D]として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学株式会社製、品名「KBM-403」)5重量部、硬化促進剤としてトリ(p−トリル)シラノール40重量部、金属キレート化合物としてトリス(アセチルアセトネート)アルミニウム(川研ファインケミカル(株)製、品名「アルミキレートA(W)」)10重量部、及び溶媒として酢酸ブチルを加えて攪拌した後、孔径1μmのフィルターでろ過することにより、固形分濃度7.5重量%の液晶配向剤を調製した。なお、得られた液晶配向剤では、ポリオルガノシロキサン[A−1]及びメタクリル系重合体[B−1]が溶媒に十分に溶解していた。
アクリルフィルム(200mm×100mm、厚さ100μm)の片面全面に、上記で調製した液晶配向剤をバーコーターによって塗布し、温度90℃に調整したオーブン内で1分間ベークして厚さ100nmの塗膜を形成した。この塗膜の表面に、Hg−Xeランプ及びグランテーラープリズムを用いて発生させた波長313nmの輝線を含む直線偏光紫外線10mJ/cm2を、塗膜面に対して垂直の方向から照射して液晶配向膜を形成した。
次いで、孔径0.2μmのフィルターでろ過した直後の重合性液晶(メルク社製、品名「RMS03−013C」)をバーコーターにより塗布して重合性液晶の塗膜を形成した。温度50℃に調整したオーブン内で1分間ベークした後、Hg−Xeランプから発生させた波長365nmの輝線を含む非偏光の紫外線1,000mJ/cm2を塗膜面に対して垂直の方向から照射し、重合性液晶を硬化して液晶層を形成することにより位相差フィルムを製造した。
(1)液晶配向性
上記で製造した位相差フィルムにつき、クロスニコル下における目視による観察及び偏光顕微鏡による観察(倍率2.5倍)によって液晶配向性を評価した。評価は、目視による観察及び偏光顕微鏡による観察の双方で異常ドメインが観察されなかった場合を液晶配向性「優良(◎)」、偏光顕微鏡による観察では異常ドメインが観察されたが、目視による観察では異常ドメインが観察されなかった場合を液晶配向性「良好(○)」、目視による観察及び偏光顕微鏡による観察の双方で異常ドメインがわずかに観察された場合を液晶配向性「可(△)」、目視による観察及び偏光顕微鏡による観察の双方で異常ドメインが明確に観察された場合を液晶配向性「不可(×)」として行った。その結果、この位相差フィルムは液晶配向性「優良」であった。
液晶配向膜を形成する際のベーク温度を100℃に変更した以外は上記と同様の操作により製造した位相差フィルムを用いて、液晶配向膜の基板との密着性について評価した。具体的には、ガイドの付いた等間隔スペーサーを用い、カッターナイフにより位相差フィルムの液晶層側の面から切り込みを入れ、1cm×1cmの範囲内に10個×10個の格子パターンを形成した。各切込みの深さは、液晶層表面から基板厚さの中ほどまで達するようにした。次いで、上記格子パターンの全面を覆うようにセロハンテープを密着させた後、該セロハンテープを引き剥がした。引き剥がし後の格子パターンの切込み部をクロスニコル下における目視によって観察して密着性を評価した。評価は、切込み線に沿った部分及び格子パターンの交差部分に剥離が確認されなかった場合を密着性「優良(◎)」、上記部分に剥離が観察された格子目の個数が14個未満であった場合を密着性「良好(○)」、上記部分に剥離が観察された格子目の個数が15個以上50個未満であった場合を密着性「可(△)」、上記部分に剥離が観察された格子目の個数が50個以上であった場合を密着性「不可(×)」として行った。その結果、本実施例の位相差フィルムは、密着性「優良」であった。なお、この評価方法は、完全剥離した格子目の個数を数えるJIS K 5400よりも厳しい基準の評価である。
使用する重合体[B]を上記合成例2−6で得たメタクリル系重合体[B−2]30重量部に変更、シリカ粒子の配合量を40重量部に変更、化合物[D]を3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学株式会社製、品名「KBM-5103」)50重量部に変更した点以外は、実施例1と同様にして液晶配向剤を調製した。なお、得られた液晶配向剤では、ポリオルガノシロキサン[A−1]及びメタクリル系重合体[B−2]が溶媒に十分に溶解していた。また、液晶配向剤として上記で調製した液晶配向剤を使用したほかは実施例1と同様にして位相差フィルムを製造し、性能評価を行った。その結果、この位相差フィルムでは、液晶配向性「優良」かつ密着性「優良」であった。
使用する重合体[B]を上記合成例2−7で得たメタクリル系重合体[B−3]10重量部に変更、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランの配合量を10重量部に変更した点以外は、実施例1と同様にして液晶配向剤を調製した。なお、得られた液晶配向剤では、ポリオルガノシロキサン[A−1]及びメタクリル系重合体[B−3]が溶媒に十分に溶解していた。また、液晶配向剤として上記で調製した液晶配向剤を使用したほかは実施例1と同様にして位相差フィルムを製造し、性能評価を行った。その結果、この位相差フィルムでは、液晶配向性「優良」かつ密着性「良好」であった。
使用する重合体[B]を上記合成例2−8で得たメタクリル系重合体[B−4]50重量部に変更、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランの配合量を10重量部に変更した点以外は、実施例1と同様にして液晶配向剤を調製した。なお、得られた液晶配向剤では、ポリオルガノシロキサン[A−1]及びメタクリル系重合体[B−4]が溶媒に十分に溶解していた。また、液晶配向剤として上記で調製した液晶配向剤を使用したほかは実施例1と同様にして位相差フィルムを製造し、性能評価を行った。その結果、この位相差フィルムでは、液晶配向性「良好」かつ密着性「良好」であった。
使用する重合体[B]を上記合成例2−9で得たメタクリル系重合体[B−5]30重量部に変更した点、シリカ粒子及び化合物[D]を配合しなかった点以外は、実施例1と同様にして液晶配向剤を調製した。なお、得られた液晶配向剤では、ポリオルガノシロキサン[A−1]及びメタクリル系重合体[B−5]が溶媒に十分に溶解していた。また、液晶配向剤として上記で調製した液晶配向剤を使用したほかは実施例1と同様にして位相差フィルムを製造し、性能評価を行った。その結果、この位相差フィルムでは、液晶配向性「良好」かつ密着性「優良」であった。
使用する重合体[A]を上記合成例2−4で得たメタクリル系重合体[A−2]100重量部に変更した点、化合物[D]を配合しなかった点以外は実施例1と同様にして液晶配向剤を調製した。また、液晶配向剤として上記で調製した液晶配向剤を使用したほかは実施例1と同様にして位相差フィルムを製造し、性能評価を行った。その結果、この位相差フィルムでは、液晶配向性「良好」かつ密着性「優良」であった。
使用する重合体[B]を上記合成例2−5で得たメタクリル系重合体[B−1]40重量部に変更した点、シリカ粒子及び化合物[D]を配合しなかった点以外は、実施例1と同様にして液晶配向剤を調製した。また、液晶配向剤として上記で調製した液晶配向剤を使用したほかは実施例1と同様にして位相差フィルムを製造し、性能評価を行った。その結果、この位相差フィルムでは、液晶配向性「良好」かつ密着性「良好」であった。
重合体成分として重合体[A]及び重合体[B]を使用せず、重合体[C]として上記合成例2−3で得たポリオルガノシロキサン[C−1]を使用した点、シリカ粒子及び化合物[D]を配合しなかった点以外は、実施例1と同様にして液晶配向剤を調製した。また、液晶配向剤として上記で調製した液晶配向剤を使用したほかは実施例1と同様にして位相差フィルムを製造し、性能評価を行った。その結果、この位相差フィルムでは、液晶配向性「良好」かつ密着性「優良」であった。
重合体[B]を使用せず、上記合成例2−10で得たメタクリル系重合体(pa−1)30重量部を使用した点、シリカ粒子及び化合物[D]を配合しなかった点以外は、実施例1と同様にして液晶配向剤を調製した。また、液晶配向剤として上記で調製した液晶配向剤を使用したほかは実施例1と同様にして位相差フィルムを製造し、性能評価を行った。その結果、この位相差フィルムでは、液晶配向性「可」かつ密着性「可」であった。
[比較例2]
重合体[B]を使用せず、上記合成例2−11で得たメタクリル系重合体(pa−2)30重量部を使用した点、シリカ粒子及び化合物[D]を配合しなかった点以外は、実施例1と同様にして液晶配向剤を調製した。また、液晶配向剤として上記で調製した液晶配向剤を使用したほかは実施例1と同様にして位相差フィルムを製造し、性能評価を行った。その結果、この位相差フィルムでは、液晶配向性「不可」かつ密着性「可」であった。
重合体[B]及びシリカ粒子を配合しなかった点、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランの配合量を30重量部に変更した点以外は、実施例1と同様にして液晶配向剤を調製した。また、液晶配向剤として上記で調製した液晶配向剤を使用したほかは実施例1と同様にして位相差フィルムを製造し、性能評価を行った。その結果、この位相差フィルムでは、液晶配向性「不可」かつ密着性「可」であった。
[比較例4]
重合体[B]を配合しなかった点以外は、実施例6と同様にして液晶配向剤を調製した。また、液晶配向剤として上記で調製した液晶配向剤を使用したほかは実施例1と同様にして位相差フィルムを製造し、性能評価を行った。その結果、この位相差フィルムでは、液晶配向性「不可」かつ密着性「不可」であった。
上記実施例及び比較例で調製した液晶配向剤の組成及び評価結果を下記表1に示す。
(シリカ粒子)
m1:コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製、品名「MEK-ST」、粒径10〜20nm、TSC31.6%)
(シラン化合物[D])
S1:3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
S2:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン
表1中の数値は、重合体[A−1]又は重合体[A−2]の100重量部に対する各成分の使用量(重量部)を示す(実施例8を除く)。「−」は、当該欄に相当する成分を使用しなかったことを示す。
3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランに代えてテトラヒドロフルフリルメタクリレート5重量部を配合した点以外は、実施例1と同様にして液晶配向剤を調製した。なお、得られた液晶配向剤では、ポリオルガノシロキサン[A−1]及びメタクリル系重合体[B−1]が溶媒に十分に溶解していた。また、液晶配向剤として上記で調製した液晶配向剤を使用したほかは実施例1と同様にして位相差フィルムを製造し、性能評価を行った。その結果、この位相差フィルムでは、液晶配向性「優良」かつ密着性「優良」であった。ここで調製した液晶配向剤の組成及び評価結果を下記表2に示す。
E1:テトラヒドロフルフリルメタクリレート
表2中の数値は、重合体[A−1]の100重量部に対する各成分の使用量(重量部)を示す。「−」は、当該欄に相当する成分を使用しなかったことを示す。
Claims (10)
- 重合体成分として1種又は2種以上の重合体を含み、
前記重合体成分中に、光配向性基を有する繰り返し単位(a)と、5員環以上の複素環を側鎖に有する繰り返し単位(b)と、オキセタニル基及びオキシラニル基よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する繰り返し単位(c)と、を含有する、液晶配向剤。 - 前記重合体成分として、前記繰り返し単位(a)を有する重合体[A]と、前記繰り返し単位(b)及び前記繰り返し単位(c)を有する重合体[B]と、を含有する、請求項1に記載の液晶配向剤。
- 前記重合体[B]はアルコキシシリル基を有する、請求項2に記載の液晶配向剤。
- 前記重合体成分として、前記繰り返し単位(a)、前記繰り返し単位(b)及び前記繰り返し単位(c)を有する重合体[C]を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 前記繰り返し単位(a)、前記繰り返し単位(b)及び前記繰り返し単位(c)よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する重合体は、ポリオルガノシロキサン及び(メタ)アクリル系重合体よりなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- (メタ)アクリロキシ基、オキセタニル基、オキシラニル基、ビニル基、イソシアネート基、アミノ基及びチオール基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を有するシラン化合物[D]を更に含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- (メタ)アクリレート化合物[E]を更に含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 位相差フィルムの製造用である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の液晶配向剤を基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜に光照射する工程と、
前記光照射した後の塗膜上に重合性液晶を塗布して硬化させる工程と、を含む位相差フィルムの製造方法。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を具備する位相差フィルム。
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