JP6756141B2 - 液晶配向剤、保護膜形成用重合体組成物、保護膜及びその製造方法、並びに液晶素子 - Google Patents

液晶配向剤、保護膜形成用重合体組成物、保護膜及びその製造方法、並びに液晶素子 Download PDF

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Description

本発明は、液晶配向剤、保護膜形成用重合体組成物、保護膜及びその製造方法、並びに液晶素子に関する。
液晶素子等の光デバイスは、製造工程中に、例えば溶剤、酸、アルカリ溶液等による薬品処理が施されたり、配線電極層を製膜する際にスパッタリングにより表面が局所的に高温加熱されたりすることがある。そのため、液晶素子等には、製造時の変質や品質の劣化を防ぐために、基材や各種層の表面に保護膜が設けられることがある。こうした保護膜には、製造工程で施される各種処理に耐え得る諸特性が要求される。具体的には、平坦性や十分な表面硬度、透明性、基材又は下層との密着性、耐熱性、耐溶剤性等が要求される。
液晶素子は、液晶セル中の液晶分子の配向を制御するための液晶配向膜を備えている。液晶素子の表示特性には、用いる液晶材料はもとより、その液晶を均一に配向させるための液晶配向膜が重要な役割を果している。配向膜材料としては、液晶分子の配向性及び電気特性等といった、液晶素子に要求される各種特性を担保する観点から、ポリアミック酸やポリイミドが一般に使用されている(例えば、特許文献1参照)。
また近年では、液晶配向膜としての機能と、保護膜としての機能とを兼ね備えた有機薄膜及び当該薄膜を形成するための重合体組成物が種々提案されている(例えば、特許文献2〜5参照)。こうした有機薄膜によれば、例えば液晶表示素子用のカラーフィルターの表面に保護膜としての機能と液晶分子の配向機能とを付与する場合には、保護膜と配向膜とを別々に形成しなくて済み、製造工程の簡略化やプロセス数の低減によってコスト低減を図ることが可能となる。
特開2011−154100号公報 特許第4019404号公報 特開2014−84355号公報 特許第4930143号公報 特許第5435230号公報
液晶配向能を有する保護膜を液晶表示素子に適用する場合、高表示品位を可能するためには、保護膜の液晶配向性が高いことに加えて電圧保持率が高いことが要求される。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、液晶配向能を有する保護膜の液晶配向性及び電圧保持率をより良好にすることができる液晶配向剤を提供することを一つの目的とする。
本発明者らは、上記のような従来技術の課題を達成するべく鋭意検討し、特定の組成からなる重合体組成物によれば上記課題を解決できることを見出すに至った。具体的には、本開示により以下の手段が提供される。
<1>下記の重合体[A]及び化合物[B]を含有する液晶配向剤。
重合体[A]:エチレン性不飽和結合を有する単量体に由来する構造単位を有し、且つエポキシ基を有する重合体
化合物[B]:光配向性を有する化合物
<2>液晶配向能を有する保護膜を形成するための重合体組成物であって、上記重合体[A]及び上記化合物[B]を含有する、保護膜形成用重合体組成物。
<3>上記<1>の液晶配向剤を用いて形成された、液晶配向能を有する保護膜。
<4>上記<1>の液晶配向剤を基板上に塗布して塗膜を形成し、前記基板上に形成した塗膜に光照射を行って前記塗膜に液晶配向能を付与する、液晶配向能を有する保護膜の製造方法。
<5>上記<3>の保護膜を備える液晶素子。
上記重合体[A]及び上記化合物[B]を含む液晶配向剤によれば、良好な液晶配向性及び電圧保持率を示す保護膜を形成することができる。また、光配向処理によって膜に液晶配向能を付与することから、静電気や埃の発生を抑えつつ膜に均一な液晶配向性を付与することができ、しかも液晶配向方向の精密な制御も可能である。
本開示の重合体組成物は、エチレン性不飽和結合を有する単量体に由来する構造単位を有し且つエポキシ基を有する重合体[A]と、光配向性を有する化合物[B]とを含有する。当該重合体組成物は、液晶配向能を有する有機膜を形成するための液晶配向剤として用いられ、中でも特に、液晶配向能を有する保護膜を形成するための保護膜形成用重合体組成物として好適に用いることができる。以下、本開示の重合体組成物に含まれる各成分について説明する。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルを含む意味である。
<重合体[A]>
重合体[A]は、エチレン性不飽和結合及びエポキシ基を有する化合物(以下「化合物(a1)」と略す。)を含む単量体を重合することによって得ることができる。化合物(a1)は、得られる膜の透明性の観点から、(メタ)アクリル化合物であることが好ましい。その具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸6,7−エポキシヘプチル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらのうち、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等が、得られる保護膜の膜強度を高める点から好ましく用いられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
重合体[A]の合成に際して使用する単量体は化合物(a1)のみであってもよいが、化合物(a1)以外のその他の単量体を併用してもよい。その他の単量体は、エチレン性不飽和結合を有する化合物であれば特に限定されない。エポキシ基との三次元架橋構造の形成によって膜強度や耐溶剤性を向上させる観点から、その他の単量体として、カルボキシル基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方と、エチレン性不飽和結合とを有する化合物(以下「化合物(a2)」と略す。)を少なくとも一部に用いてもよい。こうした化合物(a2)を用いた重合により、重合体[A]として、カルボキシル基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方をさらに有する重合体が得られる。
化合物(a2)は、得られる膜の透明性の観点から、(メタ)アクリル化合物であることが好ましい。こうした化合物(a2)の具体例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;及びこれらジカルボン酸の無水物等が挙げられる。これらのうち、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などが、共重合反応性、アルカリ水溶液に対する溶解性及び入手容易性の点から好ましく用いられる。なお、化合物(a2)は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、その他の単量体としては、得られる膜の耐熱性及び耐溶剤性を改善することが可能な点で、芳香環構造及び脂環式構造の少なくとも一方と、エチレン性不飽和結合とを有する化合物(以下「化合物(a3)」と略す。)を用いてもよい。こうした化合物(a3)を用いた重合により、重合体[A]として、芳香環構造及び脂環式構造の少なくとも一方を側鎖に有する重合体が得られる。化合物(a3)の具体例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル等の(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;スチレン、メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン等の芳香族ビニル化合物、等が挙げられる。なお、化合物(a3)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他の単量体としては、化合物(a2)及び化合物(a3)のほか、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸;
1,3−ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,3−ブタジエン等の共役ジエン化合物;N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド基含有化合物;(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル等が挙げられる。なお、その他の単量体は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
重合体[A]の合成に際し、化合物(a1)の使用割合は、重合に使用する単量体の合計量に対して、10〜90質量%とすることが好ましく、20〜85質量%とすることがより好ましく、20〜80質量%とすることがさらに好ましい。化合物(a1)の使用割合を10質量%未満とすると、得られる膜の材料強度、耐熱性及び耐溶剤性が低下する傾向があり、一方、90質量%を超えると、重合体[A]の保存安定性が低下する傾向がある。
重合体[A]として、カルボキシル基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方をさらに有する重合体を用いる場合、重合体[A]の合成に際しての化合物(a2)の使用割合は、架橋構造の不足に伴い材料強度、耐熱性及び耐溶剤性が低くなりすぎることを抑制する観点から、重合に使用する単量体の合計量に対して、3質量%以上とすることが好ましく、5質量%以上とすることがより好ましい。また、重合体組成物の保存安定性を十分に確保する観点から、重合に使用する単量体の合計量に対して、25質量%以下とすることが好ましく、15質量%以下とすることがより好ましい。
化合物(a3)の使用割合は、材料強度、耐熱性及び耐溶剤性の改善効果を十分に得る点で、重合に使用する単量体の合計量に対して、3質量%以上とすることが好ましく、5質量%以上とすることがより好ましい。また、重合体組成物の塗布性を確保する点で、儒号に使用する単量体の合計に対して、70質量%以下とすることが好ましく、60質量%以下とすることがより好ましい。
重合体[A]としては、重合体組成物の保存安定性を十分に確保する観点から、化合物(a2)に由来する構造単位の含有割合が、重合体[A]を構成する単量体単位の全体量に対して2質量%以下である重合体を用いるとよい。この場合、重合体[A]における化合物(a2)に由来する単量体単位の含有割合は、より好ましくは1質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
重合体[A]は、上記の単量体を重合開始剤の存在下で重合して得ることができる。使用する重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が好ましい。重合開始剤の使用割合は、反応に使用する単量体の合計100質量部に対して、0.01〜30質量部とすることが好ましい。上記重合反応は、好ましくは有機溶媒中で行われる。反応に使用する有機溶媒としては、例えばアルコール、エーテル、ケトン、アミド、エステル、炭化水素化合物などが挙げられ、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチル3−メトキシプロピオネート等を含むことが好ましい。上記重合反応に際し、反応温度は30℃〜120℃とすることが好ましく、反応時間は1〜36時間とすることが好ましい。有機溶媒の使用量(a)は、反応に使用する単量体の合計量(b)が、反応溶液の全体量(a+b)に対して、0.1〜60質量%になるような量にすることが好ましい。
重合体[A]につき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、2,000〜500,000であることが好ましく、3,000〜100,000であることがより好ましい。Mwが2,000未満であると、得られる塗膜につき材料強度や耐熱性、耐溶剤性に劣ることがあり、一方、500,000を超えると、基板への塗布性(印刷性)が劣ることがある。
<化合物[B]>
化合物[B]は、光配向性を有する化合物であれば特に限定されない。化合物[B]は、光異性化反応、光二量化反応又は光分解反応によって膜に異方性を付与する官能基である光配向性基を有する。当該光配向性基の具体例としては、例えばアゾベンゼン又はその誘導体を基本骨格として含むアゾベンゼン含有基、桂皮酸又はその誘導体(桂皮酸構造)を基本骨格として含む桂皮酸構造含有基、カルコン又はその誘導体を基本骨格として含むカルコン含有基、ベンゾフェノン又はその誘導体を基本骨格として含むベンゾフェノン含有基、クマリン又はその誘導体を基本骨格として含むクマリン含有基、ポリイミド又はその誘導体を基本骨格として含むポリイミド含有構造等が挙げられる。
化合物[B]は、低分子化合物であってもよく重合体であってもよい。化合物[B]が低分子化合物(以下「低分子化合物[B1]」と記す。)である場合、その分子量は特に限定されないが、好ましくは1000以下、より好ましくは800以下である。低分子化合物[B1]は、光感度が高く、良好な液晶配向性を膜に付与できる点で、桂皮酸構造含有基を有する化合物であることが好ましく、具体的には、例えば下記式(B1−1)及び式(B1−2)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。
Figure 0006756141
(式(B1−1)中、Rは、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基又はシクロヘキシレン基であり、環部分に炭素数1〜10のアルキル基、フッ素原子若しくはシアノ基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、フッ素原子又はシアノ基を有していてもよい。Rは、単結合、炭素数1〜3のアルカンジイル基、酸素原子、硫黄原子、−CH=CH−、−NH−、−COO−又は−OCO−である。Rは、炭素数1〜10のアルキル基、フッ素原子若しくはシアノ基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、フッ素原子又はシアノ基である。aは0〜3の整数であり、bは0〜4の整数である。ただし、aが2又3の場合、複数のR及び複数のRは、互いに同一でも異なっていてもよい。
式(B1−2)中、Rは、フェニレン基又はシクロヘキシレン基であり、環部分に炭素数1〜10のアルキル基、フッ素原子若しくはシアノ基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、フッ素原子又はシアノ基を有していてもよい。Rは、単結合、炭素数1〜3のアルカンジイル基、酸素原子、硫黄原子又は−NH−である。Rは、炭素数1〜10のアルキル基、フッ素原子若しくはシアノ基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、フッ素原子又はシアノ基である。Rは、酸素原子、−COO−*、又は−OCO−*であり、*を付した結合手がRと結合する。Rは、2価の芳香族基、脂環式基、複素環式基又は縮合環式基である。Rは、単結合、−OCO−(CH−*、又は−O(CH−*であり、*を付した結合手がカルボキシル基と結合する。cは1〜3の整数であり、dは0〜4の整数であり、f及びgはそれぞれ独立に1〜10の整数であり、eは0〜3の整数である。ただし、cが2以上の場合、複数のR及び複数のRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、eが2以上の場合、複数のR及び複数のRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
低分子化合物[B1]の具体例としては、上記式(B1−1)で表される化合物として、例えば下記式(b−1−1)〜式(b−1−22)のそれぞれで表される化合物等を;上記式(B1−2)で表される化合物として、例えば下記式(b−2−1)及び式(b−2−2)のそれぞれで表される化合物等を、挙げることができる。
Figure 0006756141
Figure 0006756141
(式(b−2−1)及び式(b−2−2)中、Qは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のシクロアルキル基、−O−R10(R10は、炭素数1〜10のアルキル基又はシクロアルキル基である。)、フッ素原子又はシアノ基である。)
化合物[B]として低分子化合物[B1]を使用する場合、その配合割合は、重合体組成物中の重合体[A]100質量部に対して、1〜100質量部とすることが好ましい。低分子化合物[B1]の配合割合を1質量部未満とした場合、得られる膜の光配向性を十分に確保できず、液晶分子の配向規制力に劣るおそれがある。一方、100質量部を超える量とすると、低分子量成分の凝集によって重合体組成物の保存安定性の悪化や製膜後の異物発生の原因となるおそれがある。低分子化合物[B1]の配合割合は、より好ましくは3〜50質量部であり、さらに好ましくは5〜40質量部である。なお、低分子化合物[B1]は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。得られる液晶素子の電気特性及び膜の平坦性を良好にできる点で、化合物[B]としては低分子化合物[B1]を用いることが好ましい。
化合物[B]が重合体(以下「重合体[B2]」とする。)である場合、その主骨格は特に制限されず、例えばポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリオルガノシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール誘導体、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルアレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレート誘導体等からなる骨格が挙げられる。重合体[B2]は、これらの中でも、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル及びポリオルガノシロキサンよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。重合体[B2]は、光異性化型、光二量化型及び光分解型のいずれであってもよいが、得られる液晶素子の電気特性を良好にできる点や、光配向性が良好である点、重合体への官能基の導入が比較的容易である点で、桂皮酸構造含有基を側鎖に有する重合体であることが特に好ましい。
重合体[B2]としてのポリアミック酸は、例えばテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを反応させることにより得ることができる。使用するテトラカルボン酸二無水物は特に制限されないが、例えば、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物;1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−8−メチル−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2:4,6:8−二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物等の脂環式テトラカルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメート、プロピレングリコールビスアンヒドロトリメート、ブチレングリコールビスアンヒドロトリメート等の芳香族テトラカルボン酸二無水物、等を挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。なお、これらは1種を単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
上記反応に使用するジアミン化合物としては、例えば、メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂環式ジアミン;
ドデカノキシジアミノベンゼン、コレスタニルオキシジアミノベンゼン、ジアミノ安息香酸コレスタニル、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン、3,6−ビス(4−アミノフェノキシ)コレスタン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、ビス[2−(4−アミノフェニル)エチル]ヘキサン二酸、N,N−ビス(4−アミノフェニル)メチルアミン、1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、下記式(E−1)
Figure 0006756141
(式(E−1)中、Rは、炭素数3〜12のアルキル基又は炭素数3〜12のフルオロアルキル基であり、Xは、単結合又は酸素原子であり、RIIは、1,4−シクロヘキシレン基又は1,4−フェニレン基であり、XIIは、単結合、酸素原子又は*−COO−(ただし、「*」を付した結合手がRIIと結合する。)であり、nは0又は1である。XIIIは、−CH=CH−又は−C≡C−である。RIIIは、単結合、メチレン基又は炭素数1〜6のアルカンジイル基であり、ただし、アルカンジイル基は水酸基によって置換されていてもよい。XIVは、単結合、酸素原子又は*−OCO−(ただし、「*」を付した結合手がRIIIと結合する。)である。ただし、RIIIが単結合であるとき、XIVは単結合である。)
で表される桂皮酸構造含有ジアミン等の芳香族ジアミン;1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサン等のジアミノオルガノシロキサン、等を挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のジアミンを用いることができる。上記式(E−1)で表される桂皮酸構造含有ジアミンの具体例としては、例えば特開2011−100099号公報に記載の化合物等が挙げられる。なお、ジアミン化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
重合体[B2]としてのポリアミック酸は、上記のようなテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを、必要に応じて分子量調整剤(例えば、酸一無水物やモノアミン等)とともに反応させることにより得ることができる。テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との使用割合は、ジアミン化合物のアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましい。ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中で行われる。このときの反応温度は−20℃〜150℃が好ましく、反応時間は0.1〜24時間が好ましい。反応に使用する有機溶媒としては、例えば非プロトン性極性溶媒、フェノール系溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素等が挙げられる。有機溶媒の使用量は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の合計量が、反応溶液の全量に対して0.1〜50質量%になる量とすることが好ましい。
重合体[B2]としてのポリアミック酸エステルは、例えば、上記のポリアミック酸とエステル化剤(例えばメタノールやエタノール、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール等)とを反応させる方法等によって得ることができる。当該ポリアミック酸エステルは、アミック酸エステル構造のみを有していてもよく、アミック酸構造とアミック酸エステル構造とが併存する部分エステル化物であってもよい。
重合体[B2]としてのポリイミドは、例えば上記の如くして合成されたポリアミック酸を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。ポリイミドは、その前駆体であるポリアミック酸が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造とが併存する部分イミド化物であってもよい。ポリイミドは、そのイミド化率が20〜99%であることが好ましく、30〜90%であることがより好ましい。このイミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。ここで、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。ポリアミック酸の脱水閉環は、例えば、ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行う。
重合体[B2]としてのポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドの溶液粘度は、重合体を濃度10質量%の溶液としたときに、10〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、15〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。なお、溶液粘度(mPa・s)は、これら重合体の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等)を用いて調製した濃度10質量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは2,000〜300,000である。Mwと、GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下である。
重合体[B2]としてのポリオルガノシロキサンは、原料である加水分解性シラン化合物の少なくとも一部にエポキシ基含有シラン化合物を用い、加水分解・縮合反応によりエポキシ基を側鎖に有するポリオルガノシロキサン(以下、「エポキシ基含有ポリシロキサン」とする。)を合成した後、次いでエポキシ基含有ポリシロキサンと、光配向性基を有するカルボン酸とを反応させる方法が挙げられる。この方法は簡便であって、しかも光配向性基の導入率を高くできる点で好ましい。
上記合成に使用するエポキシ基含有シラン化合物としては、エポキシ基を有する加水分解性のシラン化合物であれば特に制限されないが、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、エポキシ基含有ポリシロキサンの合成に際しては、エポキシ基含有シラン化合物以外のその他のシラン化合物を用いてもよい。当該その他のシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のアルコキシシラン化合物;3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−シクロヘキシルアミノ)プロピルトリメトキシシラン等の窒素・硫黄含有アルコキシシラン化合物;3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン等の不飽和結合含有アルコキシシラン化合物;トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物等を挙げることができる。シラン化合物は、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記の加水分解・縮合反応は、上記の如きシラン化合物の1種又は2種以上と水とを、好ましくは適当な触媒及び有機溶媒の存在下で反応させることにより行う。反応に際し、水の使用割合は、シラン化合物(合計量)1モルに対して、好ましくは1〜30モルである。使用する触媒としては、例えば酸、アルカリ金属化合物、有機塩基、チタン化合物、ジルコニウム化合物等が挙げられる。触媒の使用量は、例えばシラン化合物の合計量に対して、好ましくは0.01〜3倍モルである。使用する有機溶媒としては、例えば炭化水素、ケトン、エステル、エーテル、アルコール等が挙げられ、非水溶性又は難水溶性の有機溶媒を用いることが好ましい。有機溶媒の使用割合は、反応に使用するシラン化合物の合計100質量部に対して、好ましくは10〜10,000質量部である。
上記の加水分解・縮合反応は、例えば油浴などにより加熱して実施することが好ましい。その際、加熱温度は130℃以下とすることが好ましく、加熱時間は0.5〜12時間とすることが好ましい。反応終了後において、反応液から分取した有機溶媒層を、必要に応じて乾燥剤で乾燥した後、溶媒を除去することにより、エポキシ基含有ポリシロキサンが得られる。なお、ポリオルガノシロキサンの合成方法は上記の加水分解・縮合反応に限らず、例えば加水分解性シラン化合物をシュウ酸及びアルコールの存在下で反応させる方法等により行ってもよい。
エポキシ基含有ポリシロキサンとカルボン酸との反応は、好ましくは触媒及び有機溶媒の存在下で行うことができる。使用するカルボン酸は、桂皮酸構造を有するカルボン酸を含むことが好ましく、具体的には、例えば上記式(b−1−1)〜式(b−1−22)、式(b−2−1)及び式(b−2−2)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。上記反応において、カルボン酸の使用割合は、エポキシ基含有ポリシロキサンが有するエポキシ基1モルに対して0.001〜1.5モルとすることが好ましい。上記反応に使用する触媒としては、例えば有機塩基(ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等)、エポキシ化合物の硬化促進剤(ベンジルジメチルアミン、2−メチルイミダゾール、ジフェニルフォスフィン等)などが挙げられる。上記触媒の使用割合は、エポキシ基含有ポリシロキサン100質量部に対して、0.1〜20質量部の割合とすることが好ましい。使用する有機溶媒の好ましい具体例としては、2−ブタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル等が挙げられる。有機溶媒は、固形分濃度が5〜50質量%となる割合で使用することが好ましい。反応温度は、好ましくは0〜200℃であり、反応時間は、好ましくは0.1〜50時間である。
重合体[B2]としてのポリオルガノシロキサンは、これを濃度15質量%の溶液としたときに、2〜600mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、4〜300mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。なお、ポリオルガノシロキサンの溶液粘度(mPa・s)は、ポリオルガノシロキサンの良溶媒(例えばN−メチル−2−ピロリドンなど)を用いて調製した濃度15質量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
また、ポリオルガノシロキサンにつき、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、形成される膜の液晶配向性を良好にするとともに、その液晶配向性の経時的安定性を確保する観点から、500〜50000とすることが好ましく、1000〜30000とすることがより好ましい。
化合物[B]として重合体[B2]を使用する場合、その配合割合は、重合体組成物中の重合体[A]100質量部に対して、1〜100質量部とすることが好ましい。重合体[B2]の配合割合を1質量部未満とした場合、得られる膜の光配向性が十分でなく、液晶分子の配向規制力に劣る傾向がある。一方、100質量部を超える量とすると、重合体組成物の保存安定性の低下や、液晶分子の配向制御性の低下が生じる傾向にある。重合体[B2]の配合割合は、より好ましくは3〜50質量部であり、さらに好ましくは5〜40質量部である。なお、重合体[B2]は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<その他の成分>
本開示の重合体組成物は、上記の如き重合体[A]及び化合物[B]を含有するが、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。かかるその他の成分としては、例えば、重合性化合物、エポキシ硬化剤、多官能エポキシ化合物、界面活性剤、密着助剤、架橋促進剤等が挙げられる。
重合性化合物は、重合体[A]がカルボキシル基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を側鎖に有する場合に、得られる膜の平坦性を向上させるために好ましく使用することができる。重合性化合物としては、光又は熱によって重合性を発現する化合物等が挙げられ、エチレン性不飽和結合を有する化合物を好ましく用いることができる。中でも、単官能又は多官能の(メタ)アクリロイル基含有化合物を用いると、膜の平坦性や耐溶剤性等の改善効果が高く好ましい。こうした重合性化合物の具体例としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
重合性化合物の配合割合は、重合体組成物に含有させる重合体[A]の100質量部に対して、50〜400質量部とすることが好ましい。50質量部未満とした場合、膜の平坦性の改善効果を十分に得ることができないおそれがあり、一方、400質量部を超える量とすると、重合体成分との相溶性が低下し、アウトガスや密着性の低下等を招くおそれがある。より好ましくは80〜300質量部、さらに好ましくは100〜250質量部である。
エポキシ硬化剤は、得られる膜の機械的強度や、液晶配向性の経時的安定性を担保することを目的として使用することができる。エポキシ硬化剤としては、例えば酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、潜在性硬化剤等を使用することができ、中でも酸無水物系硬化剤を好ましく使用することができる。酸無水物系硬化剤の具体例としては、例えば無水マレイン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロトリメリット酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物等が挙げられる。
エポキシ硬化剤の配合割合は、重合体組成物中の重合体[A]の100質量部に対して、1〜80質量部とすることが好ましく、3〜60質量部とすることがより好ましい。1質量部未満とした場合、膜の機械的強度が低下するおそれがあり、80質量部を超える量とした場合、保存安定性が低下するおそれがあるからである。
多官能エポキシ化合物は、得られる膜の機械的強度及び基板との密着性を向上させる目的で使用することができる。こうした多官能エポキシ化合物の具体例としては、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールADジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
多官能エポキシ化合物の配合割合は、重合体組成物に含有させる重合体[A]の100質量部に対して、1〜150質量部とすることが好ましく、2〜130質量部とすることがより好ましく、3〜100質量部とすることがさらに好ましい。1質量部未満とした場合には、膜の機械的強度や基板との密着性が低下するおそれがあり、150質量部を超える量とした場合には、膜中の未反応物の残存量が多くなり、耐溶剤性の低下や硬化の低下を招くおそれがあるからである。
界面活性剤は、重合体組成物の基板に対する塗布性を向上させるために使用することができる。このような界面活性剤としては、例えばノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤の配合割合は、重合体組成物中の重合体[A]の100質量部に対して、膜の白化を抑制する観点から、5質量部以下とすることが好ましく、2質量部以下とすることがより好ましい。
密着助剤は、膜と基板との密着性を向上させる目的で使用することができる。このような密着助剤としては、官能性シランカップリング剤を好ましく使用することができ、例えば、カルボキシル基、(メタ)アクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基等の官能基を有するシランカップリング剤が挙げられる。具体的には、例えばトリメトキシシリル安息香酸、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
官能性シランカップリング剤を重合体組成物に配合させる場合、その配合割合は、膜中に残存する未反応物によって硬化の低下やアウトガスの発生を招くことを抑制する観点から、重合体[A]の合計100質量部に対して50質量部以下とすることが好ましい。より好ましくは1〜40質量部である。
なお、本開示の重合体組成物には、本開示の目的及び効果を妨げない範囲内において、上記以外のその他の添加剤が適宜配合されていてもよい。その他の添加剤としては、例えば架橋促進剤、充填剤、消泡剤、増感剤、分散剤、酸化防止剤、帯電防止剤、レベリング剤、抗菌剤、ラジカル発生剤等が挙げられる。
本開示の重合体組成物は、重合体[A]、化合物[B]及び必要に応じて使用されるその他の成分が、好ましくは適当な有機溶媒に分散又は溶解してなる液状の組成物として調製される。使用する有機溶媒としては、重合体[A]、化合物[B]及び必要に応じて使用されるその他の成分を均一に溶解でき、かつ各成分と反応しない化合物であれば特に限定されない。このような溶媒のうち、各成分の溶解性、各成分との非反応性及び塗布性の観点から、グリコールエーテル類、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、エステル類及びジエチレングリコール類を好ましく用いることができる。
これらの具体例としては、グリコールエーテル類として、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等を;エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類として、例えばメチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等を;エステル類として、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−ブトキシプロピオン酸エチル、3−ブトキシプロピオン酸プロピル、3−ブトキシプロピオン酸ブチル等を;ジエチレングリコール類として、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等を、それぞれ挙げることができる。なお、溶剤としては、これらの1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、溶剤として、高沸点溶媒を併用してもよい。こうした高沸点溶媒としては、例えばN−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
本開示の重合体組成物における固形分濃度は、粘性、揮発性、使用目的、基板等に塗布する際に用いる方法などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは5〜50質量%の範囲である。固形分濃度が5質量%未満である場合には、塗膜の膜厚が過小となり、一方、固形分濃度が50質量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となり、良好な膜が得にくい。また、重合体組成物の粘性が増大して塗布性が低下しやすい。重合体組成物を調製する際の温度は、好ましくは10〜100℃であり、より好ましくは20〜80℃である。重合体組成物が液状の場合には、例えば孔径0.1〜1.0μm程度のフィルター等を用いてろ過した後、膜の形成に供してもよい。重合体組成物の濃度調整は、上記で例示した有機溶媒を用いて行うことができる。
<保護膜及びその製造方法>
上記の如くして調製した重合体組成物は、高い表面硬度や透明性を必要とする技術用途に有効に適用することができ、特に、液晶配向能を有する保護膜を形成するために好ましく用いることができる。具体的には、例えばカラーフィルター用保護膜(オーバーコート膜)や、液晶表示装置における内蔵位相差材及びパターン化位相差材等に適用できる。
本開示の保護膜は、上記重合体組成物を基板上に塗布して塗膜を形成し、該基板上に形成した塗膜に光照射を行って塗膜に液晶配向能を付与する方法により製造することができる。当該製造方法において、上記重合体組成物を塗布する基板は特に限定されず、例えばガラス又は樹脂からなる透明基板等が挙げられる。その具体例としては、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等のガラス基板;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチックからなる樹脂基板が挙げられる。
基板上に重合体組成物を塗布した後、液垂れの防止等のために塗布面を加熱(プリベーク)することが好ましい。重合体組成物を塗布する方法は特に制限されず、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法、インクジェット塗布法等の方法を採用することができる。プレベーク温度は、好ましくは50〜120℃であり、プレベーク時間は、好ましくは1〜15分である。加熱後の塗膜の膜厚は、好ましくは0.01〜4μm、より好ましくは0.03〜3μmである。
硬化反応を効率よく進行させ、高い表面硬度を有する硬化膜を得るために、プレベーク後に加熱処理(ポストベーク)をさらに実施してもよい。ポストベーク温度は、100〜280℃とすることが好ましく、100〜250℃の温度範囲内とすることがより好ましい。ポストベーク時間は、好ましくは10秒〜120分、より好ましくは60秒〜60分である。
次いで、上記で得られた塗膜表面に放射線を照射することにより、液晶配向能を有する保護膜が得られる。こうした光配向処理において、塗膜に照射する放射線としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線及び可視光線を用いることができる。好ましくは、200〜400nmの波長の光を含む紫外線である。放射線が偏光である場合、直線偏光であっても部分偏光であってもよい。また、用いる放射線が直線偏光又は部分偏光である場合には、照射は基板面に垂直の方向から行ってもよく、斜め方向から行ってもよく、又はこれらを組み合わせて行ってもよい。非偏光の放射線を照射する場合には、照射の方向は斜め方向とする。
使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマレーザーなどを使用することができる。放射線の照射量は、好ましくは400〜50,000J/mであり、より好ましくは1,000〜20,000J/mである。塗膜に対する光照射は、反応性を高めるために塗膜を加温しながら行ってもよい。
なお、本開示の保護膜を、スペーサー機能を有する保護膜とすることもできる。この場合、上記で得られた塗膜に対してパターン露光を行い、次いで現像処理を施すことにより、所望のパターンが形成された硬化膜を得ることができる。パターン露光によりスペーサー機能を有する保護膜を得る場合には、上記重合体組成物中に光開始剤を配合することが好ましい。
本開示の重合体組成物を用いて形成された保護膜を液晶素子用とする場合、当該液晶素子における液晶の動作モードは特に限定されず、例えばTN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、VA(Vertical Alignment)型(VA−MVA型、VA−PVA型などを含む。)、IPS(In-Plane Switching)型、FFS(fringe field switching)型、OCB(Optically Compensated Bend)型等といった種々のモードに適用することができる。
本開示の液晶素子は、例えば以下の方法により製造される。まず、本開示の液晶配向能を有する保護膜が形成された基板を2枚作成し、それぞれの保護膜における液晶配向方向が直交又は逆平行となるように、2枚の基板を間隙(セルギャップ)を介して対向させ、2枚の基板の周辺部をシール剤によって貼り合わせ、セルギャップ内に液晶(例えば、ネマチック液晶、スメクチック液晶等)を充填し、充填孔を封止して液晶セルを構成する。そして、液晶セルの外表面に偏光板を、その偏光方向が当該基板の一面に形成された保護膜の液晶配向方向と一致又は直交するように貼り合わせることにより液晶素子が得られる。なお、本開示の液晶素子は、一対の基板のうちの一方のみに、本開示の液晶配向能を有する保護膜を有していてもよい。この場合、他方の基板は液晶配向膜を有していなくてもよく、あるいは、本開示の重合体組成物とは組成が異なる液晶配向剤によって液晶配向膜が形成されていてもよい。
本開示の液晶素子は種々の用途に有効に適用することができ、例えば、時計、携帯型ゲーム、ワープロ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、PDA、デジタルカメラ、携帯電話、スマートフォン、各種モニター、液晶テレビ、インフォメーションディスプレイなどの各種表示装置や、調光フィルム等に用いることができる。また、本開示の重合体組成物を用いて形成された硬化膜は、位相差フィルムの配向膜として適用することもできる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
以下の合成例において、各物性は以下の方法により測定した。
<重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mn>:以下の条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値である。
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶剤:テトラヒドロフラン
温度:40℃
圧力:68kgf/cm
<重合体溶液の溶液粘度(mPa・s)>:所定の溶媒を用い、重合体濃度10質量%に調製した溶液について、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
<エポキシ当量>:JIS C2105の「塩酸−メチルエチルケトン法」に準じて測定した。
なお、以下では「式(X)で表される化合物」を「化合物(X)」と記すことがある。
[合成例1]
冷却管及び攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5質量部、及びメチル3−メトキシプロピオネート220質量部を仕込んだ。引き続き、スチレン20質量部、及びメタクリル酸グリシジル80質量部を仕込み、窒素置換した後、緩やかに撹拌を始めた。溶液の温度を95℃に上昇させ、この温度を5時間保持することにより、重合体[A]として重合体(A−1)を固形分濃度31.0質量%含む重合体溶液を得た。得られた重合体(A−1)のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は11000、分子量分布(Mw/Mn)は2.5であった。
[合成例2]
冷却管及び攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3質量部、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン2質量部、及びジエチレングリコールメチルエチルエーテル220質量部を仕込んだ。引き続き、メタクリル酸20質量部、メタクリル酸グリシジル40質量部、スチレン18質量部、及びシクロヘキシルマレイミド22質量部を仕込み、窒素置換した後、緩やかに撹拌を始めた。溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を4時間保持することにより、重合体[A]として重合体(A−2)を固形分濃度32.0質量%含む重合体溶液を得た。得られた重合体(A−2)のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は30000、分子量分布(Mw/Mn)は2.6であった。
[合成例3]
冷却管及び攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.6質量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を仕込んだ。引き続き、メタクリル酸グリシジル50質量部、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル50質量部を仕込み、窒素置換した後、緩やかに撹拌を始めた。溶液の温度を95℃に上昇させ、この温度を5時間保持することにより、重合体[A]として重合体(A−3)を固形分濃度39.0質量%含む重合体溶液を得た。得られた重合体(A−3)のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は75000、分子量分布(Mw/Mn)は2.3であった。
[合成例4]
冷却管及び攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)9質量部、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン6質量部、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル90質量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート90質量部を仕込んだ。引き続き、メタクリル酸14質量部、メタクリル酸グリシジル29質量部、スチレン26質量部、及びメタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル31質量部を仕込み、窒素置換した後、緩やかに撹拌を始めた。溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を7時間保持することにより、重合体[A]として重合体(A−4)を固形分濃度38.0質量%含む重合体溶液を得た。得られた重合体(A−4)のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は9000、分子量分布(Mw/Mn)は2.4であった。
[比較合成例1]
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口及び窒素ガス導入口を備えた1000mLの四つ口フラスコに、脱水精製した3−メトキシプロピオン酸メチル(MMP)446.96g、1,4−ブタンジオール31.93g、ベンジルアルコール25.54g、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物183.20gを仕込み、乾燥窒素気流下130℃で3時間攪拌した。その後、反応液を25℃まで冷却し、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン29.33g、MMP183.04gを投入し、20〜30℃で2時間攪拌した後、115℃で1時間攪拌し、30℃以下に冷却することにより、淡黄色透明なポリエステルアミド酸(以下「重合体(Q−1)」と示す。)を固形分濃度30質量%含む溶液を得た。この溶液のポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは4200であった。
[比較合成例2]
冷却管及び攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4質量部、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン10質量部、及びメチル3−メトキシプロピオネート170質量部を仕込んだ。引き続き、スチレン50質量部、及びメタクリル酸50質量部を仕込み、窒素置換した後、緩やかに撹拌を始めた。溶液の温度を95℃に上昇させ、この温度を4時間保持することにより、スチレンとメタクリル酸の共重合体(以下「重合体(Q−2)」と示す。)を固形分濃度39.0質量%含む重合体溶液を得た。得られた重合体(Q−2)のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は10000、分子量分布(Mw/Mn)は2.5であった。
[合成例5]
撹拌機、温度計、滴下漏斗及び還流冷却管を備えた反応容器に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン100.0g、メチルイソブチルケトン500g、及びトリエチルアミン10.0gを仕込み、室温で混合した。次いで、脱イオン水100gを滴下漏斗より30分かけて滴下した後、還流下で混合しつつ、80℃で6時間反応させた。反応終了後、有機層を取り出し、0.2質量%硝酸アンモニウム水溶液により洗浄後の水が中性になるまで洗浄した後、減圧下で溶媒及び水を留去することにより、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンを粘調な透明液体として得た。このエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンについて、H−NMR分析を行ったところ、化学シフト(δ)=3.2ppm付近にエポキシ基に基づくピークが理論強度どおりに得られ、反応中にエポキシ基の副反応が起こっていないことが確認された。このエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンの重量平均分子量Mwは2200、エポキシ当量は186g/モルであった。
次に、200mLの三口フラスコに、上記で得たエポキシ基を有するポリオルガノシロキサン5.0g、メチルイソブチルケトン46.4g、下記式(x−1)で表される桂皮酸誘導体4.76g、及び商品名「UCAT 18X」(サンアプロ(株)製の4級アミン塩である。)0.10gを仕込み、80℃で12時間撹拌した。反応終了後、メタノールで再沈殿を行い、沈殿物を酢酸エチルに溶解して溶液を得て、この溶液を3回水洗した後、溶剤を留去することにより、化合物[B]として重合体(B−1)を白色粉末として2.8g得た。重合体(B−1)の重量平均分子量Mwは10100であった。
Figure 0006756141
[合成例6]
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物7.0g、及びジアミン化合物として下記式(x−2)で表される化合物13g(2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物1モルに対して1モルに相当する。)をNMP80gに溶解し、60℃で4時間反応を行うことにより、化合物[B]としてポリアミック酸(これを「重合体(B−2)」とする。)を20質量%含有する溶液を得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は2000mPa・sであった。
Figure 0006756141
化合物(x−2)は、下記スキーム1に従って合成した。
Figure 0006756141
・化合物(x−2−1)の合成
還流管、温度計及び窒素導入管を備えた5Lの三口フラスコに、4−(4−ペンチルシクロヘキシル)ブロモベンゼン310g、酢酸パラジウム2.3g、トリ(o−トリル)ホスフィン12g、トリエチルアミン560mL、アクリル酸82mL、及びN,N−ジメチルアセトアミド2000mLを仕込み、120℃で3時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物をろ過した。このろ液に酢酸エチルを10L加えて得た有機層を、希塩酸で2回及び水で3回、順次に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を除去して得られた固体を酢酸エチル及びテトラヒドロフランからなる混合溶媒から再結晶することにより、化合物(x−2−1)の結晶を150g得た。
・化合物(x−2−2)の合成
攪拌機、温度計及び窒素導入管を備えた500mLの三口フラスコに、上記で合成した化合物(x−2−1)30g、3,5−ジニトロベンジルクロリド22g、炭酸カリウム42g、ヨウ化ナトリウム30g、及びN,N−ジメチルホルムアミド150mLを仕込み、60℃で8時間反応を行った。反応終了後、反応混合物にクロロホルム300mLを加えて得た有機層を水で3回洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮して析出した固体を回収し、これをエタノールで洗浄することにより、化合物(x−2−2)の淡黄色の粉末を41g得た。
・化合物(x−2)の合成
攪拌機、温度計及び窒素導入管を備えた1Lの三口フラスコに、上記で合成した化合物(x−2−2)41g、塩化スズ二水和物192g、及び酢酸エチル400mLを仕込んで4時間還流下に反応を行った。反応終了後、反応混合物をフッ化カリウム水溶液及び水で順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで減圧にて溶媒を除去して得られた固体をエタノールから再結晶することにより、化合物(x−2)の淡黄色結晶を21g得た。
[合成例7]
攪拌機及び窒素導入管を備えた3000mL四つ口フラスコに、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を1378g加えて、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を98.05g(0.502mol)添加した。このテトラカルボン酸二無水物のスラリー液を撹拌しながら、p−フェニレンジアミンを52.18g(0.483mol)添加し、さらに固形分濃度が8質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸(これを重合体(B−3)とする。)を含む溶液を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は182mPa・sであった。また、得られたポリアミック酸の分子量は、Mn=18712、Mw=41702であった。
<重合体組成物の調製及び評価>
[実施例1]
(1)重合体組成物の調製
重合体[A]として合成例1で得た重合体(A−1)を含む重合体溶液(固形分換算で100質量部)に、エポキシ硬化剤として無水トリメリット酸40質量部、多官能エポキシ化合物としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂(商品名「EP−152」、三菱化学製)40質量部、密着助剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン20質量部、架橋促進剤として2−フェニル−4−メチルイミダゾール0.008質量部、界面活性剤としてシリコーン系界面活性剤(商品名「8610Additive」、東レダウコーニング製)0.25質量部、及び化合物[B]として(E)−3−(4’−(3−シアノプロポキシ)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)アクリル酸(上記式(b−1−21)で表される化合物)30質量部を加えた。次いで、固形分濃度が25質量%となるようにジエチレングリコールエチルメチルエーテルを加え、この溶液を孔径0.5μmのフィルターを用いてろ過することにより重合体組成物を調製した。
(2)平坦性の評価
上記(1)で調製した重合体組成物を、カラーフィルター基板の基板表面上にスピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った後、庫内を窒素置換した230℃のオーブンで30分間加熱(ポストベーク)することにより、平均膜厚2.0μmの塗膜を形成した。なお、重合体組成物を基板上に複数回塗布することによって所望の膜厚とした。得られた膜付きカラーフィルター基板につき、ブラックマトリックスを含むR,G,Bの画素間での段差の最大値を最大段差とし、この最大段差により平坦性を評価した。膜表面の段差は、触針式膜厚計(P−15、KLAテンコール社製)を用いて測定した。なお、カラーフィルター基板には、最大段差約1.1μmの樹脂ブラックマトリックスを用いた顔料分散カラーフィルターを用いた。評価は、最大段差が0.2μm未満であった場合を「良好(◎)」、0.2μm以上0.45μm未満であった場合を「可(○)」、0.45μm以上であった場合を「不良(×)」とした。その結果、この実施例では最大段差が0.33μmであり、平坦性「可」であった。
(3)透明性の評価
カラーフィルター基板に替えてガラス基板を用いた点以外は上記(2)と同様の方法により基板上に塗膜を形成した。得られた膜付きガラス基板につき、分光光度計(日立製作所製、150−20型ダブルビーム)を用いて、膜を形成していないガラス基板をリファレンスとして波長400nmでの光透過率を測定した。光透過率が95T%以上であった場合を「良好(○)」、95T%未満であった場合を「不良(×)」としたところ、この実施例では透明性「良好」の評価であった。
(4)耐熱性の評価
上記(3)で得た膜付きガラス基板を250℃のオーブンで1時間加熱し、上記(3)と同様の方法により光透過率を測定した。加熱前後の光透過率の変化率ΔT[%]を下記数式(1)により求め、変化率ΔTにより耐熱性を評価した。
ΔT=((加熱後の光透過率)/(加熱前の光透過率))×100 …(1)
評価は、光透過率の変化率ΔTが−5%未満であった場合に「良好(○)」、−5%以上であった場合に「不良(×)」としたところ、この実施例では耐熱性「良好」の評価であった。
(5)耐溶剤性の評価
カラーフィルター基板に替えてガラス基板を用いた点以外は上記(2)と同様の方法により基板上に塗膜を形成した。この膜付き基板を25℃のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に30分浸漬し、膜厚の変化を測定した。浸漬前後の膜厚の変化率ΔDnmpを下記数式(2)により求め、変化率ΔDnmpにより耐溶剤性を評価した。
ΔT=((浸漬後の膜厚)/(浸漬前の膜厚))×100 …(2)
評価は、変化率ΔDnmpが−5%以上5%以下であった場合に「良好(○)」、5%よりも大きいか又は−5%よりも小さかった場合に「不良(×)」としたところ、この実施例では耐溶剤性「良好」の評価であった。
(6)保存安定性の評価
上記(1)で調製した重合体組成物を40℃で保管し、増粘率が200%になるまでに要した日数により保存安定性を評価した。重合体組成物の溶液粘度(mPa・s)は、E型回転粘度計を用いて40℃で測定した。増粘率が200%になるまでに要した日数が30日以上であった場合を保存安定性「良好(◎)」、10日以上30日未満であった場合を「可(○)」、10日未満であった場合を「不良(×)」と評価した。その結果、この実施例では、保存安定性「良好」の評価であった。
(7)液晶配向性の評価
カラーフィルター基板に替えてガラス基板を用いた点以外は上記(2)と同様の方法により基板表面上に塗膜を形成した。この膜付き基板の膜表面に、塗布面に対して90°の方向から313nmの輝線を含む直線偏光紫外線を500mJ/cmの照射量で照射した。次いで、重合性液晶(RMS03−013C、メルク社製)を孔径0.2μmのフィルターでろ過した後、この重合性液晶を基板の膜形成面上にバーコーターにより塗布して重合性液晶の塗膜を形成した。温度50℃に調整したオーブン内で1分間ベークした後、Hg−Xeランプを用いて365nmの輝線を含む非偏光の紫外線1000mJ/cmを塗膜面に対して垂直の方向から照射し、重合性液晶を硬化して液晶層を形成した。
得られた基板につき、クロスニコル下での目視及び偏光顕微鏡(倍率2.5倍)によって異常ドメインの有無を観察することにより液晶配向性(光配向性)を評価した。評価は、目視にて配向性が良好と観察され、かつ偏光顕微鏡にて異常ドメインが観察されなかった場合を「良好(◎)」、目視では異常ドメインが観察されなかったが偏光顕微鏡にて異常ドメインが観察された場合を「可(○)」、目視及び偏光顕微鏡にて異常ドメインが観察された場合を「不良(×)」とした。その結果、この実施例では液晶配向性「可」と評価された。
(8)液晶表示素子の製造
櫛歯状にパターニングされたクロムからなる一対の電極を有するガラス基板と、電極が設けられていない対向ガラス基板とを一対とし、ガラス基板の電極を有する面と対向ガラス基板の一面とに、上記(1)で調製した重合体組成物をスピンナーによりそれぞれ塗布した。次いで、80℃のホットプレートで1分間プレベークを行い、その後、庫内を窒素置換したオーブン中で、200℃で1時間加熱(ポストベーク)し、膜厚2.0μmの塗膜を形成した。なお、所望の膜厚を得るために、必要に応じて重合体組成物を複数回塗布してもよい。
次に、これら塗膜表面のそれぞれに、Hg−Xeランプ及びグランテーラープリズムを用いて、313nmの輝線を含む偏光紫外線10,000J/mを基板面の垂直方向から照射して光配向能を付与し、液晶配向膜を有する一対の基板を得た。次いで、一対の基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外周に、直径3.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷により塗布した後、一対の基板の液晶配向膜面を対向させ、偏光紫外線を照射した際の各基板の向きが逆になるように重ね合わせて圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化した。次いで、液晶注入口より基板間の間隙にメルク社製液晶「MLC−7028」を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを150℃で加熱してから室温まで徐冷した。次に、基板の外側両面に、偏光板を、その偏光方向が互いに直交し、かつ、液晶配向膜の偏光紫外線の光軸の基板面への射影方向と直交するように貼り合わせることにより液晶表示素子を製造した。
(9)電圧保持率の測定
上記(8)で製造した液晶表示素子に対し、60℃において1Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167マイクロ秒のスパンで印加した後、電圧印加の解除から167ミリ秒後の電圧保持率(VHR)を測定した。測定は、(株)東陽テクニカ製「VHR−1」を用いて行った。この実施例では、電圧保持率は91%であった。
[実施例2〜12及び比較例1〜4]
重合体組成物を下記表1に示す組成に変更した点以外は実施例1と同様の操作により重合体組成物を調製した。また、得られた重合体組成物を用いて、実施例1と同様の評価を行った。それらの結果を下記表2に示した。
Figure 0006756141
なお、表1中の括弧内の数値は、各化合物の配合割合(質量部)を示す。表1中の化合物の略称は以下の通りである。
(化合物[B])
b−1−21:(E)−3−(4’−(3−シアノプロポキシ)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)アクリル酸
b−1−22:(E)−3−(4−(5−シアノペンチルオキシ)フェニル)アクリル酸
B−1:合成例5で得られた重合体(B−1)
B−2:合成例6で得られた重合体(B−2)
B−3:合成例7で得られた重合体(B−3)
(重合性化合物)
C−1:ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート
C−2:コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
(エポキシ硬化剤)
D−1:無水トリメリット酸
(多官能エポキシ化合物)
F−1:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(商品名「EP−152」、三菱化学製)
F−2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「EP−157S65」、三菱化学製)
(密着助剤)
G−1:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(架橋促進剤)
H−1:2−フェニル−4−メチルイミダゾール
H−2:アルミニウムN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン
(界面活性剤)
I−1:シリコーン系界面活性剤(商品名「8610Additive」、東レダウコーニング製)
I−2:フッ素系界面活性剤(商品名「FXT−218D」、ネオス製)
Figure 0006756141
実施例1と、化合物(b−1−21)を含まない以外は実施例1と同じ組成とした比較例1とを対比すると、比較例1では液晶配向性「不良」であったのに対し、実施例1では液晶配向性「可」の評価であり、液晶配向性が改善されていることが分かった。
また、化合物(b−1−21)を含むが重合体成分の種類が異なる実施例、比較例として、実施例1〜7,9と、比較例3,4とを対比すると、実施例1〜7,9は、比較例3との対比で、液晶配向性及び電圧保持率が良好であり、比較例4との対比で電圧保持率が良好であった。
また、化合物[B]としての重合体(B−3)を含み、重合体[A]を含まない比較例2では電圧保持率が18%と低かったが、重合体(B−3)と共に重合体[A]を含む実施例12では、比較例2との対比で電圧保持率が改善されていた。

Claims (9)

  1. 下記の重合体[A]及び化合物[B]を含有する液晶配向剤。
    重合体[A]:エチレン性不飽和結合を有する単量体に由来する構造単位を有し、且つエポキシ基を有する重合体
    化合物[B]:下記式(B1−1)で表される化合物及び下記式(B1−2)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
    Figure 0006756141
    (式(B1−1)中、R は、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基又はシクロヘキシレン基であり、環部分に炭素数1〜10のアルキル基、フッ素原子若しくはシアノ基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、フッ素原子又はシアノ基を有していてもよい。R は、単結合、炭素数1〜3のアルカンジイル基、酸素原子、硫黄原子、−CH=CH−、−NH−、−COO−又は−OCO−である。R は、炭素数1〜10のアルキル基、フッ素原子若しくはシアノ基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、フッ素原子又はシアノ基である。aは0〜3の整数であり、bは0〜4の整数である。ただし、aが2又3の場合、複数のR 及び複数のR は、互いに同一でも異なっていてもよい。
    式(B1−2)中、R は、フェニレン基又はシクロヘキシレン基であり、環部分に炭素数1〜10のアルキル基、フッ素原子若しくはシアノ基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、フッ素原子又はシアノ基を有していてもよい。R は、単結合、炭素数1〜3のアルカンジイル基、酸素原子、硫黄原子又は−NH−である。R は、炭素数1〜10のアルキル基、フッ素原子若しくはシアノ基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、フッ素原子又はシアノ基である。R は、酸素原子、−COO−*、又は−OCO−*であり、*を付した結合手がR と結合する。R は、2価の芳香族基、脂環式基、複素環式基又は縮合環式基である。R は、単結合、−OCO−(CH −*、又は−O(CH −*であり、*を付した結合手がカルボキシル基と結合する。cは1〜3の整数であり、dは0〜4の整数であり、f及びgはそれぞれ独立に1〜10の整数であり、eは0〜3の整数である。ただし、cが2以上の場合、複数のR 及び複数のR は、互いに同一であっても異なっていてもよく、eが2以上の場合、複数のR 及び複数のR は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
  2. 前記化合物[B]は、分子量1000以下の低分子化合物である、請求項1に記載の液晶配向剤。
  3. 前記重合体[A]は、カルボキシル基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する単量体に由来する構造単位の含有割合が、重合体[A]を構成する単量体単位の全体量に対して2質量%以下である、請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
  4. 前記重合体[A]は、カルボキシル基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方をさらに有する重合体である、請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
  5. 重合性化合物をさらに含有する、請求項4に記載の液晶配向剤。
  6. 液晶配向能を有する保護膜を形成するための重合体組成物であって、下記の重合体[A]及び化合物[B]を含有する、保護膜形成用重合体組成物。
    重合体[A]:エチレン性不飽和結合を有する単量体に由来する構造単位を有し、且つエポキシ基を有する重合体
    化合物[B]:下記式(B1−1)で表される化合物及び下記式(B1−2)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
    Figure 0006756141
    (式(B1−1)中、R は、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基又はシクロヘキシレン基であり、環部分に炭素数1〜10のアルキル基、フッ素原子若しくはシアノ基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、フッ素原子又はシアノ基を有していてもよい。R は、単結合、炭素数1〜3のアルカンジイル基、酸素原子、硫黄原子、−CH=CH−、−NH−、−COO−又は−OCO−である。R は、炭素数1〜10のアルキル基、フッ素原子若しくはシアノ基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、フッ素原子又はシアノ基である。aは0〜3の整数であり、bは0〜4の整数である。ただし、aが2又3の場合、複数のR 及び複数のR は、互いに同一でも異なっていてもよい。
    式(B1−2)中、R は、フェニレン基又はシクロヘキシレン基であり、環部分に炭素数1〜10のアルキル基、フッ素原子若しくはシアノ基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、フッ素原子又はシアノ基を有していてもよい。R は、単結合、炭素数1〜3のアルカンジイル基、酸素原子、硫黄原子又は−NH−である。R は、炭素数1〜10のアルキル基、フッ素原子若しくはシアノ基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、フッ素原子又はシアノ基である。R は、酸素原子、−COO−*、又は−OCO−*であり、*を付した結合手がR と結合する。R は、2価の芳香族基、脂環式基、複素環式基又は縮合環式基である。R は、単結合、−OCO−(CH −*、又は−O(CH −*であり、*を付した結合手がカルボキシル基と結合する。cは1〜3の整数であり、dは0〜4の整数であり、f及びgはそれぞれ独立に1〜10の整数であり、eは0〜3の整数である。ただし、cが2以上の場合、複数のR 及び複数のR は、互いに同一であっても異なっていてもよく、eが2以上の場合、複数のR 及び複数のR は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された、液晶配向能を有する保護膜。
  8. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶配向剤を基板上に塗布して塗膜を形成し、前記基板上に形成した塗膜に光照射を行って前記塗膜に液晶配向能を付与する、液晶配向能を有する保護膜の製造方法。
  9. 請求項7に記載の保護膜を備える液晶素子。
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