JP5828314B2 - 液晶配向剤 - Google Patents

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Description

本発明は液晶配向剤に関する。詳しくは、液晶表示素子の位相差フィルムにおける液晶配向膜を形成するために好適に用いられる液晶配向剤に関する。
液晶表示素子は、テレビ、各種モニタなどの用途に広く利用されている。
液晶表示素子の構造としては、電極が形成された基板間に液晶を配置してなる液晶セルに、種々の光学材料を組み合わせて配置した多数の構成が提案されている。その代表的な例として、例えば、液晶セルの両面を偏光フィルムで挟持し、視聴者側の面に、さらに保護層および位相差フィルムを貼付した構造を挙げることができる。この位相差フィルムは、表示画像の色づき(イエローモード表示、ブルーモード表示など)の解消、コントラストおよび表示色の視角依存性の解消(特許文献1および2)などのほか、3Dテレビにおける左右視野の分割などの目的のために設置される。
位相差フィルムの製造方法としては、例えばロール・トゥー・ロール方式が知られている(特許文献3)。この方法は、長尺状の基材フィルムの巻回体からフィルムを巻き出し、該フィルム上への液晶配向膜形成;重合性液晶の塗布、配向処理および硬化(液晶層の形成);ならびに場合により保護フィルムの積層までを連続工程で行い、工程後のフィルムを巻回体として回収する方法である。
ロール・トゥー・ロール方式は、良質の位相差フィルムを工業的規模で製造できる可能性を持った技術であるが、該方式に公知の液晶配向膜材料をそのまま適用すると、液晶配向膜と基材フィルムとの間の密着性が不十分であり、工程後のフィルムを巻回体とする際などに、基材フィルムと液晶配向膜との間に剥離が起こる場合があり、製品歩留り上の問題が生ずる。特に、使用する基材フィルムの種類によっては、液晶配向膜形成時のベーク温度が制限されるため、より低い処理温度でより高い密着性を実現することが求められている。
特開平4−229828号公報 特開平4−258923号公報 特開2000−86786号公報
「UVキュアラブル液晶とその応用」、液晶、第3巻第1号(1999年)、pp34〜42
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、基材フィルムとの密着性に優れ、液晶表示素子の位相差フィルムに好適な液晶配向材料を提供することにある。特に、液晶配向膜の形成工程において、従来よりも低い温度で処理した場合であっても、良好な密着性および液晶配向性を示す前記材料を提供することにある。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、
桂皮酸構造を有する基が表面に結合している無機酸化物粒子を含有することを特徴とする、液晶配向剤によって達成される。
本発明によれば、液晶表示素子の位相差フィルムにおいて、基材フィルムとの密着性および液晶配向性に優れる液晶配向膜を与える液晶配向剤が提供される。
本発明の液晶配向剤は、処理温度が低い場合であっても良好な密着性および液晶配向性を発現する液晶配向膜を形成することができるから、耐熱性の低い基材フィルムを用いた場合でも該フィルムの特性を損なうことがなく、高い品質の位相差フィルムを得ることができる。さらに、本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を有する位相差フィルムは、液晶配向膜と基材フィルムとの間の密着性に優れるから、これを巻回体として製造および保管することができ、従って液晶表示素子の大量生産に資するものである。
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、桂皮酸構造を有する基が表面に結合している無機酸化物粒子を含有する。このような無機酸化物粒子を、本明細書において、以下、「液晶配向性無機酸化物粒子」ということがある。
上記無機酸化物粒子としては、例えばケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を主成分とする粒子を挙げることができる。このような粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化セリウムなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができ、あるいはこれらのうちから選択される2種以上からなる複合酸化物を使用することができる。複合酸化物の例としては、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)などを挙げることができる。
本発明における無機酸化物粒子としては、上記のうち、シリカ、アルミナ、ジルコニアおよび酸化アンチモンよりなる群から選択される1種以上からなる粒子が好ましく、特にシリカ粒子が好ましい。
本発明における液晶配向性無機酸化物粒子は、その表面に、桂皮酸構造を有する基のほかに、エポキシ構造を有する基および重合性二重結合を有する基のうちから選択される少なくとも1種の基が、さらに結合していてもよい。
本発明における液晶配向性無機酸化物粒子の表面に結合している桂皮酸構造を有する基は、例えば、場合により適当な置換基を有する桂皮酸のカルボキシ基の水素原子を除去して得られる1価の基(以下、「順シンナメート基」ともいう。);場合により適当な置換基を有する桂皮酸のカルボキシ基の水素原子がアルキル基に置換されたエステルとなり、且つ桂皮酸のベンゼン環に2価の有機基が結合してなる1価の基(以下、「逆シンナメート基」ともいう。)などを挙げることができる。
上記順シンナメート基の例として、例えば下記式(1)で表される基などを;上記逆シンナメート基の例として、例えば下記式(2)で表される基などを、それぞれ挙げることができる。
Figure 0005828314
(上記式(1)において、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基またはシアノ基であり、
は下記式
Figure 0005828314
(上記式において、Sは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基またはシアノ基であり、
b2は、それぞれ独立に、0または1であり、
「+」は、それぞれ、結合手であることを表す。)
のいずれかで表される2価の基であり、
は単結合、酸素原子、エステル結合、アミド結合、1,2−エチレニレン基または炭素数が2〜6の偶数であるアルキレン基であり、
a1は0または1であり、
はハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基またはシアノ基であり、
b1は0または1であり、そして
「*」は結合手であることを表し;
上記式(2)において、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、
はメチレン基または炭素数2〜6のアルキレン基であり、
は酸素原子、エステル結合またはアミド結合であり、
a2は0または1であり、
はハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基またはシアノ基であり、
b3は0または1であり、そして
「*」は結合手であることを表す。)
上記式(1)におけるAがアルキレン基であるとき、その炭素数は2であることが好ましい。上記式(1)において、Aは酸素原子または1,2−エチレニレン基(−CH=CH−)であることが;
は水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基またはシアノ基であることが;
b1は0であることが、それぞれ好ましい。
上記式(2)において、Rはメチル基であることが;
は酸素原子であることが;
はメトキシ基であることが、それぞれ好ましい。
上記式(1)で表される順シンナメート基の具体例としては、例えば下記式
Figure 0005828314
(上記式において、「*」は、それぞれ、結合手であることを表す。)
のそれぞれで表される基などを;
上記式(2)で表される逆シンナメート基の具体例としては、例えば下記式
Figure 0005828314
Figure 0005828314
(上記式において、「*」は、それぞれ、結合手であることを表す。)
のそれぞれで表される基などを、それぞれ挙げることができる。
本発明における液晶配向性無機酸化物粒子の表面に結合している桂皮酸構造を有する基の濃度は、液晶配向性無機酸化物粒子1gあたりの桂皮酸構造を有する基のモル数として、好ましくは1.0×10−5モル/g以上であり、より好ましくは2.0×10−5〜2.0×10−3モル/gであり、さらに好ましくは1.0×10−4〜1.0×10−3モル/gである。
上記エポキシ構造を有する基におけるエポキシ構造とは、オキシラニル構造(1,2−エポキシ構造)およびオキセタニル構造(1,3−エポキシ構造)の双方を含む概念である(エポキシ構造の概念について、以下同じ。)。これらのうち、オキシラニル構造が好ましい。
本発明における液晶配向性無機酸化物粒子の表面に結合しているエポキシ構造を有する基としては、例えば3−グリシジルオキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基などを挙げることができる。
本発明における液晶配向性無機酸化物粒子の表面に結合しているエポキシ構造を有する基の濃度は、液晶配向性無機酸化物粒子1gあたりのエポキシ構造を有する基のモル数として、好ましくは1.0×10−5モル/g以上であり、より好ましくは2.0×10−5〜2.0×10−3モル/gであり、さらに好ましくは1.0×10−4〜1.0×10−3モル/gである。
上記重合性二重結合を有する基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニル基(ただし、(メタ)アクリロイル基、アリル基またはスチリル基に含まれる場合を除く。)などを挙げることができる。
本発明における液晶配向性無機酸化物粒子の表面に結合している重合性二重結合を有する基の濃度は、液晶配向性無機酸化物粒子1gあたりの重合性二重結合を有する基のモル数として、好ましくは1.0×10−5モル/g以上であり、より好ましくは2.0×10−5〜2.0×10−3モル/gであり、さらに好ましくは1.0×10−4〜1.0×10−3モル/gである。
上記のような桂皮酸構造を有する基ならびに場合によりエポキシ構造を有する基および重合性二重結合を有する基は、無機酸化物粒子の表面にどのような態様で結合していてもよい。しかしながら合成の容易性および効果発現の有効性などの観点から、以下のような態様であることが好ましい。
エポキシ構造を有する基および重合性二重結合を有する基は、それぞれ、上記のような基が、シリルオキシ基を介して無機酸化物粒子の表面と結合していることが好ましい。重合性二重結合を有する基の場合、上記のような基とシリルオキシ基との間に適当な結合基を介していてもよい。桂皮酸構造を有する基は、上記式(1)または(2)で表される基の結合手に水素原子が結合したカルボン酸と、上記のようなエポキシ構造を有する基との反応によって得られた構造が、シリルオキシ基を介して無機酸化物粒子の表面と結合していることが好ましい。
表面にこのような基を有する液晶配向性無機酸化物粒子は、いかなる方法によって得られたものであってもよいが、例えば無機酸化物粒子(原料無機酸化物粒子)と、上記のような基を有するアルコキシシラン化合物またはその混合物と、を反応させることにより、容易に得ることができる。
ここで原料として使用される無機酸化物粒子の形状の形状は、例えば球状、棒状、板状、繊維状などであることができ、不定形状であってもよいが、球状であることが好ましい。無機酸化物粒子は中実体、中空体および多孔質体のいずれであってもよい。無機酸化物粒子の平均粒子径(動的光散乱法によって測定した数平均粒子径)としては、0.001〜20μmであることが好ましく、0.001〜2μmであることがより好ましく、0.001〜0.1μmであることがさらに好ましく、特に0.001〜0.05μmであることが好ましい。無機酸化物粒子について、BET法で測定した比表面積は、0.1〜3,000m/gであることが好ましく、10〜1,500m/gであることがより好ましい。
無機酸化物粒子は、乾燥した粉末の状態または水もしくは有機分散媒中に分散された懸濁液の状態で使用することができる。ここで使用される有機分散媒としては、例えばアルコール、エーテル、ケトン、芳香族炭化水素、非プロトン性極性溶媒などを挙げることができる。これらの具体例としては、上記アルコールとして、例えばメタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどを;上記エーテルとして、例えばテトラヒドロフラン、エチレングリコールモノプロピルエーテルなどを;上記ケトンとして、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを;上記芳香族炭化水素として、例えばトルエン、キシレンなどを;上記非プロトン性極性溶媒として、例えばジメチルホルムアミドなどを、それぞれ挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を用いることができる。これらのうちの親水性の分散媒と水との混合物を用いてもよい。
上記したとおり、無機酸化物粒子としてはシリカ粒子を使用することが好ましい。無機酸化物粒子としてシリカ粒子を使用する場合、当業界においてコロイダルシリカと通称されている微粒子状のシリカの分散液、または紛体状のシリカを用いることが好ましい。コロイダルシリカの分散液のpHは、2〜10であることが好ましく、3〜7であることがより好ましい。
シリカの市販品としては、コロイダルシリカとして、例えばメタノ−ルシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL(以上、日産化学工業(株)製)などを;
紛体状のシリカとして、例えばAEROSIL130、AEROSIL300、AEROSIL380、AEROSILTT600、AEROSILOX50(以上、日本アエロジル(株)製)、シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122(以上、旭硝子(株)製)、E220A、E220(以上、日本シリカ工業(株)製)、SYLYSIA470(富士シリシア(株)製)、SGフレ−ク(日本板硝子(株)製)などを、それぞれ挙げることができる。
桂皮酸構造を有する基を有するアルコキシシラン化合物は、例えば上記式(1)または(2)で表される基の結合手に水素原子が結合したカルボン酸と、
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物と、の反応生成物であることができる。両者の反応は、例えば適当な触媒および溶媒の存在下または不存在下に、公知の条件によって行うことができる。
上記エポキシ構造を有する基を有するアルコキシシラン化合物としては、例えば3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を用いることができる。
ここで使用される触媒としては、例えばトリエチルアミン、テトラエチルアンモニムブロミド、2−メチルイミダゾール、トリフェニルホスフィンなどを挙げることができる。触媒の使用割合は、アルコキシシラン化合物の合計100重量部に対して、好ましくは30重量部以下であり、より好ましくは0.01〜10重量部である。
溶媒としては、例えば酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフランなどを挙げることができる。溶媒の使用割合は、反応系の固形分濃度(反応系のうち溶媒以外の成分の合計重量が反応系の全重量に対して占める割合)として、5重量%以上となる割合とすることが好ましく、20重量%以上となる割合とすることがより好ましい。溶媒を使用せず、neatの状態で反応を行ってもよい。
桂皮酸構造を有する基を有するアルコキシシラン化合物の合成反応は、好ましくは40〜150℃、より好ましくは60〜100℃の温度において、好ましくは3〜36時間、より好ましくは6〜24時間行うことができる。
この反応において、エポキシ構造を有する基を有するアルコキシシラン化合物の使用割合を桂皮酸構造を有する基を有するアルコキシシラン化合物と当量に設定することにより、アルコキシシラン化合物として桂皮酸構造を有する基を有するアルコキシシラン化合物のみを得ることができる。一方、エポキシ構造を有する基を有するアルコキシシラン化合物の使用割合を桂皮酸構造を有する基を有するアルコキシシラン化合物に対して過剰とすることにより、桂皮酸構造を有する基を有するアルコキシシラン化合物とエポキシ構造を有する基を有するアルコキシシラン化合物との混合物を得ることができる。この混合物は、そのまま液晶配向性無機酸化物粒子の合成に供してよい。
液晶配向性無機酸化物粒子の合成に使用される桂皮酸構造を有する基を有するアルコキシシラン化合物の割合は、原料無機酸化物粒子100重量部に対して、好ましくは0.01〜100重量部であり、より好ましくは0.1〜80重量部であり、特に0.5〜50重量部であることが好ましい。
上記エポキシ構造を有する基を有するアルコキシシラン化合物としては、桂皮酸構造を有する基を有するアルコキシシラン化合物の合成に使用されるものとして上記に例示したのと同じ化合物を使用することができる。
エポキシ構造を有する基を有するアルコキシシラン化合物の使用割合は、原料無機酸化物粒子100重量部に対して、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは0.1〜30重量部であり、特に0.5〜20重量部であることが好ましい。
上記重合性二重結合を有する基を有するアルコキシシラン化合物としては、例えば3−((メタ)アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−((メタ)アクリロイルオキシ)プロピルトリエトキシシランなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を用いることができる。
重合性二重結合を有する基を有するアルコキシシラン化合物の使用割合は、原料無機酸化物粒子100重量部に対して、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは0.01〜30重量部であり、特に0.1〜10重量部であることが好ましい。
本発明における好ましい液晶配向性無機酸化物粒子は、例えば上記のような原料無機酸化物粒子と、上記のような基を有するアルコキシシラン化合物またはその混合物と、を反応させることにより、得ることができる。この反応は加水分解反応であるから、反応の進行に水の存在が必要である。
従って、本発明における好ましい液晶配向性無機酸化物粒子の合成は、原料無機酸化物粒子とアルコキシシラン化合物またはその混合物とを、水および好ましくは適当な触媒の存在下に、好ましくは適用な溶媒中で反応させることによって行われる。
上記水の使用割合としては、アルコキシシラン化合物の合計の100重量部に対して、好ましくは0.001〜30重量部であり、より好ましくは0.01〜20重量部である。
上記触媒としては、酸、塩基または塩を使用することができる。酸としては、無機酸および有機酸を挙げることができる。これらの具体例としては、無機酸として、例えば塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などを;
有機酸として、例えばメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フタル酸、マロン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸などを、それぞれ挙げることができる。塩基としては、例えば無機塩基、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミン、4級アンモニウムヒドロキシドなどを挙げることができる。これらの具体例としては、無機塩基として例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを;
脂肪族アミンとして、例えばジエチルアミン、トリエチルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミンなどを;
芳香族アミンとして、例えばピリジンなどを;
4級アンモニウムヒドロキシドとして、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムなどを、それぞれ挙げることができる。上記塩としては、例えばテトラメチルアンモニウムの塩化水素酸塩、テトラブチルアンモニウムの塩化水素酸塩などを挙げることができる。
上記のような触媒の使用割合としては、使用するアルコキシシラン化合物の合計100重量部に対して、0.001〜1重量部とすることが好ましく、0.01〜0.1重量部とすることがより好ましい。
上記溶媒としては、有機溶媒を使用することが好ましい。好ましい有機溶媒としては、原料無機酸化物粒子の有機分散媒として上記に例示したアルコール、エーテル、ケトン、芳香族炭化水素、非プロトン性極性溶媒などを好ましく使用することができる。溶媒の使用割合は、反応系の固形分濃度(反応系中の溶媒以外の成分の合計重量が反応系の全重量に対して占める割合)が、好ましくは0.01〜70重量%、より好ましくは0.1〜40重量%となる割合である。
液晶配向性無機酸化物粒子の合成反応は、好ましくは30〜120℃、より好ましくは40〜90℃において、好ましくは10〜360分、より好ましくは30〜120分行われる。
上記のようにして得られた液晶配向性無機酸化物粒子は、特に精製を行わない反応混合物である懸濁液のまま、あるいは単離した状態で、本発明の液晶配向剤の調製に供することができる。
本発明の液晶配向剤は、上記のような液晶配向性無機酸化物粒子を必須の成分として含有する。本発明の液晶配向剤は、液晶配向性無機酸化物粒子のほかに、バインダー成分をさらに含有することが好ましい。
このバインダー成分は、基板上に液晶配向性無機酸化物粒子を固定するための成分であり、例えば分子内に重合性二重結合基を複数個有する化合物(以下、「多官能モノマー」ともいう)および光重合開始剤の組み合わせ、有機重合体などであることができる。
上記の多官能モノマーとしては、例えばチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイロキシエチル)フォスフェート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を好ましく使用することができる。これらのうち、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートよりなる群から選択される1種以上を使用することが、架橋反応が迅速に進行する点から特に好ましい。
これらの市販品としては、例えばアロニックスM−309、同M−400、同M−405、同M−450、同M−7100、同M−8030、同M−8060(以上、東亞合成(株)製)、KAYARAD TMPTA、同DPHA、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同DPCA−120(以上、日本化薬(株)製)、ビスコート295、同300、同360、同GPT、同3PA、同400(以上、大阪有機化学工業(株)製)などを挙げることができる。
本発明の液晶配向剤が多官能モノマーを含有する場合、その含有割合としては、上記の液晶配向性無機酸化物粒子100重量部に対して、好ましくは0.1〜1,000重量部であり、より好ましくは1〜500重量部であり、さらに10〜200重量部であることが好ましい。
上記光重合開始剤としては、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾ−ル、3−メチルアセトフェノン、4−クロロアセトフェノン、4,4’−ジメトキシアセトフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラ−ケトン、ベンゾインプロピルエ−テル、ベンゾインエチルエ−テル、ベンジルジメチルケタ−ル、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]などを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
これらの市販品としては、例えばIRUGACURE184、651、500、907、CGI1369、CG24−61、OXE 01、LUCIRINE LR8728(以上、BASF社製);DAROCURE1116、1173(以上、メルク社製);ユベクリルP36(UCB(株)製);およびVICURE55(アクゾノーベル社製)などを挙げることができる。
本発明の液晶配向剤が多官能モノマーとともに光重合開始剤を含有する場合、その含有割合としては、多官能モノマー100重量部に対して、好ましくは0.001〜40重量部であり、より好ましくは0.01〜30重量部であり、さらに0.1〜20重量部であることが好ましい。
上記有機重合体としては、例えばポリアミック酸、ポリイミド、ポリオルガノシロキサン、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を好ましく使用することができる。これらのうち、ポリ(メタ)アクリレートを使用することが、バインダー性能の高い有機重合体を容易に合成できることおよび後述の溶媒に対する溶解性の観点から好ましい。
本発明の液晶配向剤に含有される有機重合体としてのポリ(メタ)アクリレートは、エポキシ構造および重合性二重結合のうちから選択される少なくとも1種を有するものであることが好ましい。
ポリ(メタ)アクリレートにおけるエポキシ構造の含有割合は、ポリ(メタ)アクリレート1gあたりのエポキシ構造のモル数として、5.0×10−5モル/g以上であることが好ましく、1.0×10−4〜1.0×10−2モル/gであることがより好ましく、さらに好ましくは5.0×10−4〜5.0×10−3モル/gである。ポリ(メタ)アクリレートにおける重合性二重結合の含有割合は、ポリ(メタ)アクリレート1gあたりの重合性二重結合のモル数として、5.0×10−5モル/g以上であることが好ましく、1.0×10−4〜1.0×10−2モル/gであることがより好ましく、さらに好ましくは5.0×10−4〜5.0×10−3モル/gである。
ポリ(メタ)アクリレートについて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の数平均分子量は、形成される液晶配向膜の液晶配向性を良好とし、該液晶配向性の経時的安定性を確保するとの観点から、250〜500,000であることが好ましく、500〜100,000であることがより好ましく、特に1,000〜50,000であることが好ましい。
エポキシ構造を有するポリ(メタ)アクリレートは、例えばエポキシ構造を有する(メタ)アクリレートまたはエポキシ構造を有する(メタ)アクリレートとその他の(メタ)アクリレートとの混合物からなるモノマーを、適当な重合触媒および溶媒の存在下に重合させることにより得ることができる。
重合性二重結合を有するポリ(メタ)アクリレートは、例えばエポキシ構造を有するポリ(メタ)アクリレートのエポキシ基に、重合性二重結合を有するカルボン酸を反応させて付加することにより、得ることができる。ここで、重合性二重結合を有するカルボン酸の使用割合を適宜に調整することにより、重合性二重結合およびエポキシ構造の双方を有するポリ(メタ)アクリレートと、重合性二重結合を有するがエポキシ構造を有さないポリ(メタ)アクリレートとを作り分けることができる。
上記エポキシ構造を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル、α−エチルアクリル酸3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−メチル−3−オキセタニルメチル、(メタ)アクリル酸6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。これらのうち、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−メチル−3−オキセタニルメチルおよび(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテルよりなる群から選択される1種以上を使用することが好ましい。
上記その他の(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレ−ト、エチル(メタ)アクリレ−ト、プロピル(メタ)アクリレ−ト、ブチル(メタ)アクリレ−ト、フェニル(メタ)アクリレ−ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、アミル(メタ)アクリレ−ト、ペンチル(メタ)アクリレ−ト、オクチル(メタ)アクリレ−ト、ラウリル(メタ)アクリレ−ト、ステアリル(メタ)アクリレ−ト、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレ−ト、ブトキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ベンジル(メタ)アクリレ−ト、エトキシジエチレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、フェノキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ポリエチレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、ポリプロピレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、メトキシポリプロピレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、メトキシポリエチレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレ−ト、トリシクロデカニル(メタ)アクリレ−ト、ボルニル(メタ)アクリレ−ト、イソボルニル(メタ)アクリレ−ト、ジアセトン(メタ)アクリレ−ト、イソブトキシメチル(メタ)アクリレ−トなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
エポキシ構造を有する(メタ)アクリレートを合成するにあたっては、エポキシ構造を有する(メタ)アクリレートを、モノマーの全量に対して、1重量%以上使用することが好ましく、5重量%以上使用することがより好ましい。
エポキシ構造を有する(メタ)アクリレートを合成するにあたって使用される触媒としては、例えば2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物;
ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1’−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどの有機過酸化物;
過酸化水素;
上記有機過酸化物または過酸化水素と還元剤とからなるレドックス型開始剤などを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。これらのうち、アゾ化合物を使用することが好ましく、特に2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を使用することがより好ましい。
触媒の使用割合は、モノマーの全量100重量部に対して、0.01〜50重量部とすることが好ましく、0.1〜40重量部とすることがより好ましい。
エポキシ構造を有するポリ(メタ)アクリレートを合成するにあたって使用される溶媒としては、有機溶媒が好ましく、例えばアルコール、エーテル、ケトン、アミド、エステル、炭化水素などを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。これらのうち、アルコールおよびエーテルよりなる群から選択される1種以上を使用することが好ましく、多価アルコールの部分エーテルを使用することがより好ましく、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのうちの1種以上を使用することがさらに好ましく、特にジエチレングリコールメチルエチルエーテルを使用することが好ましい。
溶媒の使用割合は、モノマーの全量100重量部に対して、1〜10,000重量部とすることが好ましく、10〜5,000重量部とすることがより好ましい。
エポキシ構造を有するポリ(メタ)アクリレートの合成は、好ましくは30〜120℃、より好ましくは60〜110℃の温度において、好ましくは1〜36時間、より好ましくは5〜24時間行われる。
このようにして得られた重合混合物は、これをそのまままたは公知の方法によって精製したうえで、次工程の重合性二重結合を有するカルボン酸との反応または本発明の液晶配向剤の調製に供することができる。
重合性二重結合を有するポリ(メタ)アクリレートは、上記のようにして得られたエポキシ構造を有するポリ(メタ)アクリレートのエポキシ基に、重合性二重結合を有するカルボン酸を反応させて付加することにより、得ることができる。この付加反応は、好ましくは適当な触媒の存在下、適当な溶媒中で行うことができる。
上記重合性二重結合を有するカルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ω−カルボキシポリカプロラクトン、クロトン酸、α−エチルアクリル酸、α−n−プロピルアクリル酸、α−n−ブチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸;および無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、シス−1,2,3,4−テトラヒドロフタル酸無水物などの不飽和多価カルボン酸無水物をあげることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
ここで、重合性二重結合を有するカルボン酸を、エポキシ構造を有するポリ(メタ)アクリレートの有するエポキシ構造に対して当量使用することにより、重合性二重結合を有するがエポキシ構造を有さないポリ(メタ)アクリレートを得ることができ;
一方、重合性二重結合を有するカルボン酸の使用割合を、エポキシ構造を有するポリ(メタ)アクリレートの有するエポキシ構造に対して当量未満とすることにより、重合性二重結合およびエポキシ構造の双方を有するポリ(メタ)アクリレートを得ることができる。
ここで使用される重合性二重結合を有するカルボン酸の使用割合は、エポキシ構造を有するポリ(メタ)アクリレートの有するエポキシ構造の1モルに対して、0.01〜50モルとすることが好ましく、0.1〜20モルとすることがより好ましい。
本付加反応において使用される触媒としては、例えば3級アミン、イミダゾール化合物、有機リン化合物、4級ホスホニウム塩、ジアザビシクロアルケン、ジアザビシクロアルケンの有機酸塩、有機金属化合物、4級アンモニウム塩、ホウ素化合物、金属ハロゲン化物、高融点分散型潜在性触媒、マイクロカプセル型潜在性触媒、アミン塩型潜在性触媒、熱カチオン重合型潜在性触媒などを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。これらのうち、4級アンモニウム塩を使用することが好ましく、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムクロリドおよびテトラブチルアンモニウムクロリドよりなる群から選択される少なくとも1種を使用することがより好ましく、特にテトラブチルアンモニウムブロミドを使用することが好ましい。
触媒の使用割合は、エポキシ構造を有するポリ(メタ)アクリレート100重量部に対して、100重量部以下とすることが好ましく、0.01〜100重量部とすることがより好ましく、特に0.1〜20重量部とすることが好ましい。
本付加反応において使用される溶媒としては、エポキシ構造を有するポリ(メタ)アクリレートを合成する際に使用される溶媒として上記に例示したものと同じものを好ましく使用することができる。溶媒の使用割合は、反応系の固形分濃度(反応系の溶媒以外の成分の合計重量が反応系の全重量に対して占める割合)が、0.1〜80重量%となる割合とすることが好ましく、1〜50重量%となる割合とすることがより好ましい。
本付加反応は、好ましくは0〜200℃、より好ましくは50〜150℃の温度において、好ましくは0.1〜50時間、より好ましくは0.5〜20時間行われる。
本発明の液晶配向剤が有機重合体を含有する場合、その含有割合は、上記液晶配向性無機酸化物粒子の100重量部に対して、0.1〜1,000重量部とすることが好ましく、1〜500重量部とすることがより好ましく、特に10〜200重量部とすることが好ましい。
このようにして得られた重合混合物は、これをそのまままたは公知の方法によって精製したうえで、本発明の液晶配向剤の調製に供することができる。しかしながら、重合性二重結合を有するポリ(メタ)アクリレートを単離精製したうえで液晶配向剤の調製に供することが好ましい。
本発明の液晶配向剤は、上記のような液晶配向性無機酸化物粒子を含有し、好ましくはさらに上記のようなバインダー成分を含有し、好ましくはこれらが後述の溶媒に溶解・分散された液状の組成物として調製されるが、必要に応じてさらにその他の成分を含有してもよい。そのようなその他の成分としては、例えば金属キレート化合物、硬化促進剤、界面活性剤などを挙げることができる。
上記金属キレート化合物は、液晶配向性無機酸化物粒子およびバインダー成分の少なくとも片方がエポキシ構造を有している場合、エポキシ構造間の架橋反応に対する触媒作用を有する成分であり、低温処理においても形成される膜の機械的強度を担保するために本発明の液晶配向剤に好ましく含有されることができる。
金属キレート化合物としては、アルミニウム、チタニウムおよびジルコニウムから選択される金属のアセチルアセトン錯体またはアセト酢酸錯体が好ましく、アルミニウムのキレート化合物として、例えばジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトネートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトネート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトネート)アルミニウム、モノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどを;
チタニウムのキレート化合物として、例えばジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)チタニウムなどを;
ジルコニウムのキレート化合物として、例えばトリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトネート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどを、それぞれ挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を好ましく使用することができる。
これらのうち、アルミニウムのキレート化合物を使用することが好ましく、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(アセチルアセトネート)アルミニウムおよびトリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムよりなる群から選択される1種以上を使用することがより好ましく、特にトリス(アセチルアセトネート)アルミニウムを使用することが好ましい。
このような金属キレート化合物の使用割合は、エポキシ構造を含む構成成分の合計100重量に対して、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは0.1〜40重量部であり、特に1〜30重量部とすることが好ましい。ここで、「エポキシ構造を含む構成成分の合計」とは、液晶配向性無機酸化物粒子およびバインダー成分のうちのエポキシ構造を含むものの合計重量を意味する(以下同じ。)。
上記硬化促進剤は、液晶配向性無機酸化物粒子およびバインダー成分の少なくとも片方がエポキシ構造を有している場合、エポキシ構造間の架橋反応を促進する機能を有する成分であり、形成される液晶配向膜の機械的強度および液晶配向性の経時的安定性を担保するために、本発明の液晶配向剤に含有されることができる。
硬化促進剤としては、例えばフェノール基、シラノール基、チオール基、リン酸基、スルホン酸基、カルボキシ基、カルボン酸無水物基などを有する化合物を使用することができる。これらのうち、フェノール基、シラノール基またはカルボキシ基を有する化合物が好ましく、フェノール基またはシラノール基を有する化合物がより好ましい。
フェノール基を有する硬化促進剤としては、例えばシアノフェノール、ニトロフェノール、メトキシフェノキシフェノール、チオフェノキシフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシナフチル)スルホン、(3−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、フェニル(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、(メトキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ベンジルフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどを;
シラノール基を有する硬化促進剤としては、例えばトリメチルシラノール、トリエチルシラノール、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジシロキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン、トリフェニルシラノール、トリ(p−トリル)シラノール、トリ(m−トリフルオロメチルフェニル)シラノール、トリ(o−トリフルオロメチルフェニル)シラノール、トリ(m−フルオロフェニル)シラノール、トリ(o−フルオロフェニル)シラノール、ジフェニルシランジオール、ジ(o−トリル)シランジオールなどを、それぞれ挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を好ましく使用することができる。
硬化促進剤としては、シラノール基を有する化合物を使用することが特に好ましい。
硬化促進剤の使用割合は、エポキシ構造を含む構成成分の合計100重量に対して、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは0.1〜40重量部であり、特に1〜30重量部とすることが好ましい。
上記界面活性剤は、塗布性を向上するために本発明の液晶配向剤中に含有されることができる。
本発明の液晶配向剤に含有されることのできる界面活性剤としては、例えば
ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン界面活性剤、ポリアルキレンオキシド界面活性剤、含フッ素界面活性剤などを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
界面活性剤の使用割合は、液晶配向剤の全量100重量部に対して、10重量
部以下とすることが好ましく、1重量部以下とすることがより好ましい。ここで、液晶配向剤の全量とは、該液晶配向剤が後述の溶媒を含有するものである場合には、該溶媒も含めた量として理解されるべきである。
本発明の液晶配向剤は、上記のような液晶配向性無機酸化物粒子および認定に使用されるその他の成分が、好ましくは適当な溶媒中に分散または溶解してなる液状の組成物として調製される。
ここで使用することのできる溶媒としては、有機溶媒を使用することが好ましく、例えばアルコール、エーテル、ケトン、アミド、エステル、炭化水素などを好適に使用することができる。上記アルコールとしては、例えばモノアルコール、多価アルコール、多価アルコールの部分エステルなどを;
上記炭化水素としては、例えば脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素などを、それぞれ挙げることができる。これらの具体例は、例えば以下の如くである。
モノアルコールとして、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどを;
多価アルコールとして、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールなどを;
多価アルコールの部分エステルとして、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどを;
エーテルとして、例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルなどを;
ケトンとして、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトンなどを;
アミドとして、例えばN,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドンなどを;
エステルとして、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸t−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどを;
脂肪族炭化水素として、例えばn−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどを;
芳香族炭化水素として、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレンなどを、それぞれ挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。上記のうち、多価アルコールの部分エステル、エーテル、ケトンおよびエステルから選択される1種以上を使用することが好ましい。多価アルコールの部分エステルとしてはプロピレングリコールモノメチルエーテルが;
エーテルとしてはジエチレングリコールエチルメチルエーテルが;
ケトンとしてはメチルエチルケトン、シクロペンタノンおよびシクロヘキサノンから選択される1種以上が;そして
エステルとしてはエステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸t−ブチル、アセト酢酸エチルおよび酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテルから選択される1種以上が、それぞれより好ましい。
本発明の液晶配向剤における溶媒は、上記の範囲から、液晶配向性無機酸化物粒子の分散性、使用する基板に対するダメージ、形成される液晶配向膜の基板への密着性などを勘案のうえ、適宜に設定されるべきである。適正な溶媒種または混合溶媒の組成は、当業者による少しの予備実験によって容易に知ることができる。
溶媒の使用割合は、液晶配向剤の塗布性および形成される塗膜の膜厚のバランスをとる観点から、液晶配向剤の固形分濃度(液晶配向剤中の溶媒以外の全成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)が0.2〜10重量%となる割合とすることが好ましく、この値が3〜10重量%となる割合とすることがより好ましい。
<液晶配向膜および位相差フィルム>
上記に説明したような本発明の液晶配向剤を用いて、液晶配向膜を形成することができる。本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜は、位相差フィルム用の液晶配向膜として好適である。
以下、本発明の液晶配向剤を用いて位相差フィルムを製造する方法について説明する。
上記位相差フィルムは、以下の工程(1)〜(4)を経ることにより製造することができる。
(1)基板上へ本発明の液晶配向膜を塗布し、塗膜を形成する工程、
(2)上記塗膜へ光照射して、液晶配向膜とする工程、
(3)上記液晶配向膜上へ重合性液晶の塗膜を形成する工程、および
(4)上記重合性液晶の塗膜を硬化して液晶層を形成する工程。
(1)基板上へ本発明の液晶配向膜を塗布し、塗膜を形成する工程
ここで使用される基板としては、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートなどの合成樹脂からなる透明基板を好適に例示することができる。これらのうち、TACは、液晶表示素子における偏光フィルムの保護層として一般的に使用されている。
位相差フィルムは、多くの場合、偏光フィルムと組み合わせて使用される。このとき、その所期する光学特性を発揮できるように、偏光フィルムの偏光軸に対する角度を特定の方向に精密に制御して位相差フィルムを貼り合わせる必要がある。従って、ここで、所定角度の方向に液晶配向能を有する液晶配向膜をTACフィルム上に形成すれば、位相差フィルムを偏光フィルム上にその角度を制御しつつ行う貼り合わせる工程を省略することができ、液晶表示素子の生産性の向上に寄与することができる。所定角度の方向に液晶配向能を有する液晶配向膜の形成は、本発明の液晶配向剤を用いて、光配向法によって行うことができる。
従って、基板としてTACフィルムを使用することにより、上記の利点を享受することができるほか、液晶表示素子の小型化・軽量化にも寄与し、さらにフレキシブルディスプレイへの適用も可能となる。
基板上への液晶配向剤の塗布は、適宜の塗布方法によることができ、例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法、バーコーター法、エクストリューションダイ法、ダイレクトグラビアコーター法、チャンバードクターコーター法、オフセットグラビアコーター法、一本ロールキスコーター法、小径のグラビアロールを使ったリバースキスコーター法、3本リバースロールコーター法、4本リバースロールコーター法、スロットダイ法、エアードクターコーター法、正回転ロールコーター法、ブレードコーター法、ナイフコーター法、含浸コーター法、MBコーター法、MBリバースコーター法などを採用することができる。
塗布後、塗布面を加熱(ベーク)して塗膜を形成する。この時の加熱温度は、40〜150℃とすることが好ましく、80〜140℃とすることがより好ましい。加熱時間は、0.1〜15分とすることが好ましく、1〜10分とすることがより好ましい。
なお従来知られている液晶配向膜材料は、良好な密着性および液晶配向性を確保するために、この塗膜形成の時点で120℃程度以上の加熱を要していた。ところが本発明の液晶配向剤は、この加熱温度を例えば100℃としても、良好な密着性および液晶配向性を示すことができる。従って、本発明の液晶配向剤は、これを適用する基板の耐熱性をさほど考慮する必要がないから、基板選択の自由度が高くなるという利点を有する。
ここで形成される塗膜の膜厚は、好ましくは1〜1,000nmであり、より
好ましくは5nm〜500nmである。
(2)上記塗膜へ光照射して、液晶配向膜とする工程
上記のようにして基板上に形成された塗膜に、次いで光を照射して液晶配向能を付与し、液晶配向膜とする。
ここで照射する光としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線、可視光線などを挙げることができる。これらのうち、300〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。照射光は偏光であっても非偏光であってもよい。偏光としては、直線偏光を含む光を使用することが好ましい。
光の照射は、用いる光が偏光である場合には、基板面に垂直の方向から行っても斜め方向から行ってもよく、あるいはこれらを組み合わせて行ってもよい。非偏光を照射する場合には、基板面に対して斜めの方向から行う必要がある。
使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、水銀−キセノンランプ(Hg−Xeランプ)などを挙げることができる。偏光は、これらの光源を、例えばフィルター、回折格子などと併用する手段などにより得ることができる。
光の照射量は、0.1mJ/cm以上1,000mJ/cm未満とすることが好ましく、1〜500mJ/cmとすることがより好ましく、2〜200mJ/cmとすることがさらに好ましい。従来知られている液晶配向剤から形成される塗膜に光配向法により液晶配向能を付与する場合、1,000mJ/cm以上の放射線照射量が必要であった。しかし、本発明の液晶配向剤を用いると、光照射量が500mJ/cm以下、さらに200mJ/cm以下であっても、光配向法によって良好な液晶配向能を付与することができ、液晶配向膜の製造コストの削減に資する。
(3)上記液晶配向膜上へ重合性液晶の塗膜を形成する工程
上記のようにして形成された液晶配向膜上に、次いで重合性液晶の塗膜を形成する。
ここで使用される重合性液晶は、加熱および光照射のうちの少なくとも1種の処理によって重合する液晶化合物または液晶組成物である。
このような重合性液晶としては、例えば非特許文献1(「UVキュアラブル液晶とその応用」、液晶、第3巻第1号(1999年)、pp34〜42)に記載されているネマティック液晶化合物を挙げることができる。コレステリック液晶;ディスコティック液晶;カイラル剤を添加されたツイストネマティック配向型液晶などであってもよい。重合性液晶は、複数の液晶化合物の混合物であってもよい。重合性液晶は、さらに、公知の重合開始剤、適当な溶媒などを含有する組成物であってもよい。
形成された液晶配向膜上に上記のような重合性液晶を塗布するには、例えばバーコーター法、ロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法などの適宜の塗布方法を採用することができる。
(4)上記重合性液晶の塗膜を硬化して液晶層を形成する工程
上記のように形成された重合性液晶の塗膜に対して、加熱および光照射から選択される1種以上の処理を施すことにより、該塗膜を硬化して、液晶層を形成する。これらの処理を重畳的に行うことが、良好な配向が得られることから好ましい。
塗膜の加熱温度は、使用する重合性液晶の種類によって適宜に選択されるべきである。例えばメルク社製のRMS03−013Cを使用する場合、40〜80℃の範囲の温度で加熱することが好ましい。加熱時間は、好ましくは0.5〜5分である。
照射光としては、200〜500nmの範囲の波長を有する非偏光の紫外線を好ましく使用することができる。光の照射量としては、50〜10,000mJ/cmとすることが好ましく、100〜5,000mJ/cmとすることがより好ましい。
形成される液晶層の厚さとしては、所望の光学特性によって適宜に設定される。例えば波長540nmの可視光における1/2波長板を製造する場合は、形成した位相差フィルムの位相差が240〜300nmとなるような厚さが選択され、1/4波長板であれば、位相差が120〜150nmとなるような厚さが選択される。目的の位相差が得られる液晶層の厚さは、使用する重合性液晶の光学特性によって異なる。例えばメルク製のRMS03−013Cを使用する場合、1/4波長板を製造するための厚さは、0.6〜1.5μmの範囲である。
<液晶表示素子>
上記のようにして得られた位相差フィルムは、液晶表示素子の位相差フィルムとして好適に適用することができる。
本発明の液晶配向剤を用いて製造された位相差フィルムが適用される液晶表示素子は、その駆動方式に制限がなく、例えばTN方式、STN方式、IPS方式、FFS方式、VA方式(VA−MVA方式、VA−PVA方式などを含む)など、公知の各種方式であることができる。
液晶表示素子は、一般に、電極対および液晶配向膜が形成された一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶セルの両面に偏光フィルムが貼付された構造を有する。上記位相差フィルムは、液晶表示素子の視聴者側の偏光フィルムの外側面に基板側の面が貼付されて用いられる。従って、位相差フィルムの基板をTAC製とし、該位相差フィルムの基板を偏光フィルムの保護膜としても機能させる態様が最も好ましい。
上記のような本発明の液晶配向剤を用いて製造された位相差フィルムを具備する液晶表示素子は、優れた液晶配向性が長期的に安定して発現するという利点を有する。
<アルコキシシラン化合物の合成>
以下の合成例1−1〜1−3では、アルコキシシラン化合物またはその混合物を合成した。
合成例1−1
冷却管を備えた50mLの三口フラスコに、(2E)−3−(4−シクロヘキシルフェニル)−2−プロペン酸3.45g、2−{[3−(トリメトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキシラン(C3ES)5.34gおよびトリエチルアミン300mgを仕込み、60℃において12時間撹拌下に反応を行った。得られた反応混合液から減圧下でトリエチルアミンを除去することにより、目的物を黄色い液体として得た。
本合成例における目的物は、化合物(S−1)およびC3ESの混合物である((S−1):C3ES=1:0.5(モル比))。
合成例1−2
冷却管を備えた50mLの三口フラスコに、(2E)−3−(4−シクロヘキシルフェニル)−2−プロペン酸2.30g、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(C6ES)3.70gおよびトリエチルアミン200mgを仕込み、70℃において12時間撹拌下に反応を行った。得られた反応混合液から減圧下でトリエチルアミンを除去することにより、目的物を黄色い液体として得た。
本合成例における目的物は、化合物(S−2)およびC6ESの混合物である((S−3):C6ES=1:0.5(モル比))。
合成例1−3
上記合成例2において、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(C6ES)の使用量を2.46gとしたほかは合成例2と同様に実施して、目的物を黄色い液体として得た。
本合成例における目的物は、化合物(S−2)である。
ただし上記において、上記化合物(S−1)は下記式(S−1)で表される化合物であり、化合物(S−2)は下記式(S−2)で表される化合物である。
Figure 0005828314
<液晶配向性シリカ粒子の合成>
合成例2−1
窒素気流下、反応容器中に、MEK−ST(商品名、日産化学(株)製、平均粒子径0.01〜0.015μmのメチルエチルケトン分散コロイダルシリカ、シリカ濃度=30重量%)90重量部(シリカ換算30重量部)、上記合成例1−1で得た化合物(S−1)とC3ESとの混合物5重量部、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン3重量部、テトラヒドロフラン147重量部およびイオン交換水0.1重量部を仕込み、60℃において3時間撹拌下に反応を行った。次いでここに、オルトギ酸トリメチル2重量部を添加して、同一温度でさらに1時間撹拌を継続することにより、液晶配向性シリカ粒子1aを15重量%含有する無色透明の分散液を得た。
合成例2−2
上記合成例2−1において、化合物(S−1)とC3ESとの混合物の代わりに上記合成例1−2で得た化合物(S−2)とC6ESとの混合物5重量部を使用し、テトラヒドロフランの使用量を150重量部としたほかは合成例2−1と同様に実施することにより、液晶配向性シリカ粒子1bを15重量%含有する無色透明の分散液を得た。
合成例2−2
上記合成例2−1において、化合物(S−1)とC3ESとの混合物の代わりに上記合成例1−2で得た化合物(S−2)とC6ESとの混合物5重量部を使用し、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシランを使用せず、そしてテトラヒドロフランの使用量を150重量部としたほかは合成例2−1と同様に実施することにより、液晶配向性シリカ粒子1bを15重量%含有する無色透明の分散液を得た。
合成例2−3
上記合成例2−1において、化合物(S−1)とC3ESとの混合物の代わりに上記合成例1−3で得た化合物(S−2)5重量部を使用したほかは合成例2−1と同様に実施することにより、液晶配向性シリカ粒子1cを15重量%含有する無色透明の分散液を得た。
<有機重合体の合成>
以下において、重合体のMnおよびMwとは、それぞれ、該重合体についてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)である。
合成例3−1
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)1重量部および溶媒としてジエチレングリコールメチルエチルエーテル180重量部を仕込んだ。ここに、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート70重量部および3−メチル−3−オキセタニルメチルメタクリレート30重量部を加え、フラスコ内を窒素置換した後、緩やかに攪拌を始めた。溶液温度を80℃に上昇し、この温度を5時間維持することにより、エポキシ基を有するポリメタクリレートを32.8重量%含有する重合体溶液を得た。ここで得られたポリメタクリレートのMnは16,000であった。
別の反応容器中に、上記で得たポリメタクリレートを含有する溶液305重量部(ポリメタクリレーに換算して100重量部)、アクリロイル基を有するカルボン酸(東亞合成(株)製、品名「アロニックスM−5300」、アクリル酸ω−カルボキシポリカプロラクトン(重合度n≒2))20重量部、触媒としてテトラブチルアンモニウムブロミド10重量部および希釈溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150重量部を仕込み、窒素雰囲気下、90℃において12時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100重量部を加えて希釈し、これを3回水洗した。水洗後の有機層を大過剰のメタノール中に投入して重合体を沈殿させ、回収した沈殿物を40℃において12時間乾燥することにより、ポリメタクリレート(P−1)を得た。
合成例3−2
攪拌機、温度計、滴下漏斗および還流冷却管を装着した反応容器に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン100.0g、メチルイソブチルケトン500gおよびトリエチルアミン10.0gを仕込み、室温において混合した。次いでここに、滴下漏斗から脱イオン水100gを30分かけて滴下した後、還流下で撹拌しつつ、80℃において6時間反応を行った。
反応終了後、有機層を取り出し、洗浄後の水が中性になるまで0.2重量%硝酸アンモニウム水溶液によって洗浄した後、減圧下で水および溶媒を留去することにより、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサン(エポキシ当量186g/モル)を粘ちょうな透明液体として得た。
容量100mLの3口フラスコ中に、上記で得たエポキシ基を有するポリオルガノシロキサン9.3g、メチルイソブチルケトン26g、4−フェノキシ桂皮酸3gおよびテトラブチルアンモニウム0.93gを仕込み、80℃において12時間撹拌下に反応を行った。
反応終了後、反応混合物に酢酸ブチル100gを加えて希釈し、これを3回水洗した。水洗後の有機層を減圧下で濃縮した後に酢酸ブチルで希釈する操作を2回繰り返すことにより、光配向性基を有するポリオルガノシロキサン(P−2)を30重量%含有する溶液を得た。このポリオルガノシロキサン(P−2)のMwは3,500であった。
<液晶配向剤の調製および評価>
実施例1
[液晶配向剤の調製]
上記合成例2−1で得た液晶配向性シリカ粒子1aを含有する分散液333重量部(シリカ粒子換算で50重量部)に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート30重量部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート10重量部およびIRUGACURE OXE 01(商品名、BASF社製、下記式で表される化合物である。)10重量部、ならびに溶媒としてのメチルエチルケトン30重量部および酢酸ブチルを加えて良く攪拌した後、孔径1μmのフィルタでろ過することにより、固形分濃度5重量%の液晶配向剤を調製した。
Figure 0005828314
[位相差フィルムの製造]
TACフィルム(200mm×100mm、厚さ60μm)の片面全面に、上記で調製した液晶配向剤をバーコーターによって塗布し、温度120℃に調整したオーブン内で2分間ベークして厚さ100nmの塗膜を形成した。この塗膜の表面に、Hg−Xeランプおよびグランテーラープリズムを用いて発生させた波長313nmの輝線を含む直線偏光紫外線10mJ/cmを塗膜面に対して垂直の方向からの照射量で照射して液晶配向膜を形成した。
次いで、孔径0.2μmのフィルターでろ過した直後の重合性液晶(メルク社製、品名「RMS03−013C」)をバーコーターにより塗布して重合性液晶の塗膜を形成した。温度50℃に調整したオーブン内で1分間ベークした後、Hg−Xeランプから発生させた波長365nmの輝線を含む非偏光の紫外線1,000mJ/cm2を塗膜面に対して垂直の方向から照射し、重合性液晶を硬化して液晶層を形成することにより、位相差フィルムを製造した。
上記の操作において、液晶配向剤塗布後のベーク温度を110℃および100℃に変更したほかは上記と同様に操作して、ベーク温度の異なる位相差フィルムをさらに2個製造し、以下の評価に供した。
[位相差フィルムの評価]
(1)液晶配向性
上記で製造した位相差フィルムの液晶配向性を、クロスニコル下における目視観察および偏光顕微鏡観察(倍率2.5倍)によって調べ、以下の基準で液晶配向性を評価した。評価結果は表1に示した。
目視観察および偏光顕微鏡観察の双方で異常ドメインが観察されなかった場合:液晶配向性A(良好)
目視観察では異常ドメインが観察されなかったが偏光顕微鏡観察では異常ドメインが観察された場合:液晶配向性B(可)
目視観察および偏光顕微鏡観察の双方で異常ドメインが観察された場合には液晶配向性C(不良)
(2)密着性
本評価には、ベーク温度100℃にて製造した位相差フィルムを用いた。
ガイドの付いた等間隔スペーサーを用い、カッターナイフにより位相差フィルムの液晶層側の面から切り込みを入れ、10×10個の格子パターンを形成した。各切込みの深さは、液晶層表面から基板厚さの中ほどまで達するようにした。次いで、上記格子パターンの全面を覆うようにセロハンテープを密着させた後、該セロハンテープを引き剥がした。
引き剥がし後の格子パターンの切込み部をクロスニコル下における目視によって観察し、以下の基準で密着性を評価した。評価結果は表1に示した。
切込み線に沿った部分および格子パターンの交差部分に剥離が確認されなかった場合:密着性A(良好)
上記部分に剥離が観察された格子目の個数が14個未満であった場合:密着性B(可)
上記部分に剥離が観察された格子目の個数が15個以上であった場合:密着性C(不良)
なお、この評価方法は、完全剥離した格子目の個数を数えるJIS K 5400よりも厳しい基準の評価である。
実施例2
[液晶配向剤の調製]
上記合成例2−3で得た液晶配向性シリカ粒子1cを含有する分散液433重量部(シリカ粒子換算で65重量部)に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート20重量部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート5重量部およびIRUGACURE OXE 01の10重量部、ならびに溶媒としてのメチルエチルケトン35重量部および酢酸ブチルを加えて良く攪拌した後、孔径1μmのフィルタでろ過することにより、固形分濃度5重量%の液晶配向剤を調製した。
[位相差フィルムの製造および評価]
上記実施例1において、液晶配向剤として上記で調製した液晶配向剤を使用したほかは、実施例1と同様にして位相差フィルムを製造し、評価した。評価結果は表1に示した。
実施例3
[液晶配向剤の調製]
上記合成例2−1で得た液晶配向性シリカ粒子1aを含有する分散液533重量部(シリカ粒子換算で80重量部)に、上記合成例3−1で得たポリメタクリレート(P−1)20重量部、トリ(p−トリル)シラノール40重量部およびトリス(アセチルアセトネート)アルミニウム(川研ファインケミカル(株)製、品名「アルミキレートA(W)」)10重量部、ならびに溶媒としてのメチルエチルケトン30重量部および酢酸ブチルを加えて良く攪拌した後、孔径1μmのフィルタでろ過することにより、固形分濃度5重量%の液晶配向剤を調製した。
[位相差フィルムの製造および評価]
上記実施例1において、液晶配向剤として上記で調製した液晶配向剤を使用したほかは、実施例1と同様にして位相差フィルムを製造し、評価した。評価結果は表1に示した。
実施例4
[液晶配向剤の調製]
上記合成例2−2で得た液晶配向性シリカ粒子1bを含有する分散液667重量部(シリカ粒子換算で100重量部)に、トリ(p−トリル)シラノール40重量部およびトリス(アセチルアセトネート)アルミニウム(川研ファインケミカル(株)製、品名「アルミキレートA(W)」)10重量部、ならびに溶媒としてのメチルエチルケトン30重量部および酢酸ブチルを加えて良く攪拌した後、孔径1μmのフィルタでろ過することにより、固形分濃度5重量%の液晶配向剤を調製した。
[位相差フィルムの製造および評価]
上記実施例1において、液晶配向剤として上記で調製した液晶配向剤を使用したほかは、実施例1と同様にして位相差フィルムを製造し、評価した。評価結果は表1に示した。
比較例1
[液晶配向剤の調製]
上記合成例3−2で得たポリオルガノシロキサン(P−2)を含有する溶液100重量部(ポリオルガノシロキサン換算で30重量部)、上記合成例3−1で得たポリメタクリレート(P−1)70重量部、トリ(p−トリル)シラノール40重量部およびトリス(アセチルアセトネート)アルミニウム10重量部、ならびに溶媒としてのメチルエチルケトン30重量部および酢酸ブチルを加えて良く攪拌した後、孔径1μmのフィルタでろ過することにより、固形分濃度5重量%の液晶配向剤を調製した。
[位相差フィルムの製造および評価]
上記実施例1において、液晶配向剤として上記で調製した液晶配向剤を使用したほかは、実施例1と同様にして位相差フィルムを製造し、評価した。評価結果は表1に示した。
Figure 0005828314
表1における成分名の略称は、それぞれ以下の意味である。
[液晶配向性シリカ粒子]
1a:上記合成例2−1で合成したシリカ粒子1a
1b:上記合成例2−2で合成したシリカ粒子1b
1c:上記合成例2−3で合成したシリカ粒子1c
[多官能モノマー]
HEXIA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
PE3A:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
[光重合開始剤]
OXE01:BASF社製、品名「IRUGACURE OXE 01」
[有機重合体]
P−1:上記合成例3−1で合成したポリメタクリレート(P−1)
P−2:上記合成例3−2で合成したポリオルガノシロキサン(P−2)
[その他の成分]
TTSL:トリ(p−トリル)シラノール
A(W):トリス(アセチルアセトネート)アルミニウム(川研ファインケミカル(株)製、品名「アルミキレートA(W)」)
表1中の数値は、各成分の使用量である(単位は重量部)。「−」は、当該欄に相当する成分を使用しなかったことを示す。

Claims (9)

  1. 桂皮酸構造を有する基が表面に結合している無機酸化物粒子を含有することを特徴とする、液晶配向剤。
  2. 上記無機酸化物粒子がシリカ粒子である、請求項1に記載の液晶配向剤。
  3. 上記桂皮酸構造を有する基が、下記式(1)または(2)で表される構造である、請求項1または2に記載の液晶配向剤。
    Figure 0005828314
    (上記式(1)において、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基またはシアノ基であり、
    は下記式
    Figure 0005828314
    (上記式において、Sは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基またはシアノ基であり、
    b2は、それぞれ独立に、0または1であり、
    「+」は、それぞれ、結合手であることを表す。)
    のいずれかで表される2価の基であり、
    は単結合、酸素原子、エステル結合、アミド結合、1,2−エチレニレン基または炭素数が2〜6の偶数であるアルキレン基であり、
    a1は0または1であり、
    はハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基またはシアノ基であり、
    b1は0または1であり、そして
    「*」は結合手であることを表し;
    上記式(2)において、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、
    はメチレン基または炭素数2〜6のアルキレン基であり、
    は酸素原子、エステル結合またはアミド結合であり、
    はハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基またはシアノ基であり、
    b3は0または1であり、そして
    「*」は結合手であることを表す。)
  4. さらにバインダー成分を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  5. 上記無機酸化物粒子の表面に、エポキシ構造を有する基がさらに結合している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  6. 上記無機酸化物粒子の表面に、重合性二重結合を有する基がさらに結合している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  7. 液晶表示素子の位相差フィルムにおける液晶配向膜を形成するために用いられる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  8. 基板上に、請求項7に記載の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成し、次いで該塗膜に光照射する工程を経ることを特徴とする、液晶表示素子の位相差フィルムにおける液晶配向膜の形成方法。
  9. 請求項7に記載の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を有することを特徴とする、液晶表示素子の位相差フィルム。
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