JP2015099344A - Psaモード液晶表示素子用液晶配向剤、psaモード液晶表示素子用液晶配向膜、並びにpsaモード液晶表示素子及びその製造方法 - Google Patents

Psaモード液晶表示素子用液晶配向剤、psaモード液晶表示素子用液晶配向膜、並びにpsaモード液晶表示素子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】少ない光照射量で適正なプレチルト角を示すとともに、光照射後において高い電圧保持率を維持でき、応答速度が速いPSAモード液晶表示素子を得る。【解決手段】PSAモードの液晶表示素子における液晶配向膜を形成するために用いる液晶配向剤において、光照射によりラジカルを発生するラジカル発生機能及び光照射により増感作用を示す光増感機能の少なくともいずれかの機能を発現可能な構造(a)を有する化合物(A)を含有させる。【選択図】なし

Description

本発明は、PSAモード液晶表示素子用の液晶配向剤及び液晶配向膜、並びにPSAモード液晶表示素子及びその製造方法に関し、詳しくは、PSA処理時の光照射量を少なくするための技術に関する。
従来、液晶表示素子としては、電極構造や使用する液晶分子の物性等が異なる種々の駆動方式が開発されている。例えば、垂直配向モードとして従来知られているMVA(Multi−Domain Vertical Alignment)型パネルは、液晶パネル中に形成した突起物によって液晶分子の倒れ込み方向を規制することにより視野角の拡大を図っている。しかしながら、この方式によると、突起物に由来する透過率及びコントラストの不足が不可避であり、また液晶分子の応答速度が遅い傾向にある。
近年、MVA型パネルの問題点を解決すべく、液晶分子の配向を制御するための新たな駆動モードとしてPSA(Polymer Sustained Alignment)モードが提案されている。PSAモードは、光重合性モノマーを液晶材料中に混入しておき、液晶セルを組み立てた後、液晶層を挟む一対の電極間に電圧を印加した状態で液晶セルに光照射することにより、光重合性モノマーを重合して液晶分子の分子配向を制御する技術である。この技術によれば、視野角の拡大や高速応答化を図ることができるといった利点がある。また近年では、PSA型液晶パネルの更なる高速応答化が検討されており、かかる技術として、アルケニル基及びフルオロアルケニル基のうちいずれかを1つ有する単官能性の液晶性化合物(以下、「アルケニル系液晶」ともいう。)を液晶層に導入する試みがなされている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2010−285499号公報 特開平9−104644号公報 特開平6−108053号公報
PSAモードによれば、視野角の拡大や高速応答化を図ることができる反面、光重合性モノマーの重合反応に多量の紫外線照射が必要であり、紫外線照射に起因してパネルの表示品位が低下するといった問題がある。また、光照射量が不足した場合には、未反応の光重合性モノマーが液晶層中に残存することとなり、未反応モノマーに起因して画像の焼き付き(残像)が生じやすくなる。こうしたことから、PSAモードでは、できるだけ少ない光照射量で光重合性モノマーを重合でき、しかも未反応モノマーをできるだけ少なくする必要がある。
また、アルケニル系液晶を用いた液晶表示素子では、応答速度の高速化を図ることができる反面、光重合性モノマーの重合のための光照射によって、アルケニル系液晶を液晶層に含まない液晶セルに比べて電圧保持率の低下が大きくなることが明らかになっている。液晶表示素子の表示品位を更に改善する観点からすると、光重合性モノマーの重合のための光照射後において高い電圧保持率を保持する必要がある。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、少ない光照射量で適正なプレチルト角を示すとともに、光照射後において高い電圧保持率を維持でき、応答速度が速いPSAモード液晶表示素子を得ることができるPSAモード液晶表示素子用液晶配向剤を提供することを主たる目的とする。
本発明者らは、上記のような従来技術の課題を達成するべく鋭意検討した結果、特定の化合物を含む液晶配向剤を用いて液晶配向膜を形成することにより、上記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明により以下のPSAモード液晶表示素子用の液晶配向剤、液晶配向膜、並びに液晶表示素子及びその製造方法が提供される。
本発明は一つの側面において、光照射によりラジカルを発生するラジカル発生機能及び光照射により増感作用を示す光増感機能の少なくともいずれかの機能を発現可能な構造(a)を有する化合物(A)を含有するPSAモード液晶表示素子用液晶配向剤を提供する。
本発明は別の一つの側面において、本発明の液晶配向剤を、導電膜を有する一対の基板の該導電膜上にそれぞれ塗布し、次いでこれを加熱して塗膜を形成する第1の工程と、該塗膜を形成した一対の基板を、液晶性化合物を含む液晶層を介して上記塗膜が相対するように対向配置して液晶セルを構築する第2の工程と、一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で液晶セルに光照射する第3の工程と、を含む液晶表示素子の製造方法を提供する。
本発明は、別の一つの側面において、本発明の液晶配向剤を用いて形成されたPSAモード液晶表示素子用液晶配向膜、及びその液晶配向膜を具備するPSAモード液晶表示素子を提供する。
本発明の液晶配向剤を用いて製造したPSAモード型の液晶表示素子は、液晶配向膜中に化合物(A)を含むことにより、少ない光照射量で適正なプレチルト角を示すことができる。また、高い電圧保持率及び速い応答速度を有する液晶表示素子を得ることができる。
特に、アルケニル系液晶を含む液晶層を備える液晶表示素子の液晶配向膜を、本発明の液晶配向剤を用いて形成することにより、液晶表示素子において応答速度の高速化を図りつつ、アルケニル系液晶の添加に起因する、光照射に伴う電圧保持率の低下を好適に抑制することができる。
実施例及び比較例にて使用した透明電極膜の電極パターンを示す図。 実施例及び比較例にて使用した透明電極膜の電極パターンを示す図。 実施例及び比較例にて使用した透明電極膜の電極パターンを示す図。
以下に、本発明のPSAモード液晶表示素子用液晶配向剤(以下、単に液晶配向剤ともいう。)に含まれる各成分、及び必要に応じて任意に配合されるその他の成分について説明する。
<化合物(A)>
本発明の液晶配向剤は、化合物(A)として、光照射によりラジカルを発生するラジカル発生機能及び光照射により増感作用を示す光増感機能の少なくともいずれかの機能を発現可能な構造(a)(以下、「特定構造」とも言う。)を有する化合物を含有する。ここで、「光増感機能」とは、光の照射によって一重項励起状態となった後、速やかに項間交差を起こして三重項励起状態へ遷移する機能をいう。この三重項励起状態において他の分子と衝突すると、相手を励起状態に変え、自らは基底状態に戻ることとなる。この光増感機能は、光照射によりラジカルを発生するラジカル発生機能と併存していてもよい。
化合物(A)が有する上記特定構造としては、少なくとも光増感機能を発現可能な構造、すなわち、光増感機能のみを発現可能な構造であるか、又は光増感機能とラジカル発生機能とを発現可能な構造であることが好ましい。また、ラジカル発生機能のみを発現可能な構造であってもよい。
上記化合物(A)は、繰り返し単位を有さない比較的低分子の化合物であってもよく、重合体であってもよい。なお、化合物(A)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
低分子化合物としての化合物(A)は、分子量1,000以下であることが好ましく、800以下であることがより好ましい。なお、ここでいう「低分子化合物」とは重合体でない化合物をいい、繰り返し単位を2個以上有していれば分子量1,000以下であっても「重合体」に含むものとする。化合物(A)が低分子化合物である場合の具体例としては、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、3−メチルアセトフェノン等のアセトフェノン構造を有する化合物;
ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、3,4−ジメチルベンゾフェノン、3−(4−ベンゾイル−フェノキシ)プロピル、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)等のベンゾフェノン構造を有する化合物;
3,5−ジニトロベンゼン、4−メチル−3,5−ジニトロベンゼン、3−(3,5−ジニトロフェノキシ)プロピル、2−メチル−3,5−ジニトロベンゼン等のニトロアリール構造を有する化合物;の他、
9,10−ジオキソジヒドロアントラセン、3−(9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イル)プロピル、3−(4,5−ジメトキシ−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)プロピル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
重合体としての化合物(A)は、上記特定構造を重合体の主鎖及び側鎖のいずれに有していてもよい。
上記特定構造を有する重合体(以下、「重合体(A)」とも称する。)の主骨格としては、例えばポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリオルガノシロキサン、ポリシラン、セルロース誘導体、ポリアセタール誘導体、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレート誘導体などからなる骨格を挙げることができる。上記重合体(A)としては、これらの中から選択される骨格を有する重合体の1種以上を、液晶表示素子の用途等に応じて適宜に選択して用いることができる。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレート及びメタクリレートを含むことを意味する。
重合体(A)としては、上記の中でも、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリオルガノシロキサン、ポリシラン及びポリ(メタ)アクリレートから選択される骨格を有することが好ましく、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリオルガノシロキサン及びポリシランから選択される骨格を有することがより好ましい。
上記重合体(A)における上記特定構造としては、当該特定構造を主鎖に有する場合、ベンゾフェノン構造、ポリシラン構造であることが好ましい。
また、上記特定構造を側鎖に有する場合において、当該特定構造の具体例としては、ラジカル発生機能を発現可能な構造として、例えばアセトフェノン構造、ベンゾフェノン構造、キサントン構造、フルオレノン構造、ベンズアルデヒド構造、フルオレン構造、アントラキノン構造、トリフェニルアミン構造、カルバゾール構造、アルキルフェノン構造、ベンゾイン構造、チオキサントン構造、アシルフォスフィンオキシド構造、ポリシラン構造等を;
光増感機能を発現可能な構造として、例えばアセトフェノン構造、ベンゾフェノン構造、アントラキノン構造、ビフェニル構造、カルバゾール構造、ニトロアリール構造(ニトロベンゼン構造、1,3−ジニトロベンゼン構造など)、ナフタレン構造、フルオレン構造、アントラセン構造、アクリジン構造、インドール構造、1,4−ジオキソシクロヘキサ−2,5−ジエン構造等が挙げられる。なお、これらの各構造は、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、アルキルフェノン、ベンゾイン、チオキサントン、アシルフォスフィンオキシド、ビフェニル、ニトロベンゼン、1,3−ジニトロベンゼン、ナフタレン、アントラセン、アクリジン、インドール、1,4−ジオキソシクロヘキサ−2,5−ジエンから1〜4個の水素原子を除去して得られる基からなる構造である。
上記特定構造を側鎖に有する場合において、当該特定構造としては、中でも、アセトフェノン構造、ベンゾフェノン構造、アントラキノン構造、ビフェニル構造、カルバゾール構造、ニトロアリール構造及びナフタレン構造よりなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましく、アセトフェノン構造、ベンゾフェノン構造及びニトロアリール構造よりなる群から選択される少なくとも一種であることがより好ましい。
[重合体(A):ポリアミック酸]
本発明において、重合体(A)としてのポリアミック酸(以下、「ポリアミック酸(A)」とも称する。)は、例えばテトラカルボン酸二無水物と、上記特定構造を有するジアミンとを反応させることにより得ることができる。
[テトラカルボン酸二無水物]
本発明におけるポリアミック酸(A)を合成するのに用いるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物などを;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2:4,6:8−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物などを;
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸二無水物などを;
それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物等を用いることができる。なお、上記テトラカルボン酸二無水物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリアミック酸(A)を合成するために用いるテトラカルボン酸二無水物としては、脂環式テトラカルボン酸二無水物を含むものであることが好ましく、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物及び1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物の少なくともいずれかを含むことがより好ましく、特に、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を含むものであることが好ましい。また、ポリアミック酸(A)を合成するために用いるテトラカルボン酸二無水物としては、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物及び1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物の含有量(合計量)が、合成に使用するテトラカルボン酸二無水物の全体量に対して、60モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがより好ましい。
[ジアミン]
本発明におけるポリアミック酸を合成するために用いるジアミンとしては、上記特定構造を有することにより、重合体に対してラジカル発生機能及び光増感機能の少なくともいずれかの機能を付与可能なジアミン(以下、「特定ジアミン」とも称する。)が挙げられる。このような特定ジアミンの具体例としては、例えば4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、{4−[2−(3,5−ジアミノフェノキシ)−エトキシ]−フェニル}−エタノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン、{4−[2−(3,5−ジアミノフェノキシ)−エトキシ]−フェニル}−フェニル−メタノン、{4−[2−(2,4−ジアミノフェノキシ)−エトキシ]−フェニル}−フェニル−メタノン、{4−[2−(2,4−ジアミノフェノキシ)−エトキシ]−フェニル}−p−トルイル−メタノン、{4−[2−(2,4−ジアミノフェノキシ)−エトキシ]−フェニル}−o−トルイル−メタノン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンなどを挙げることができる。上記特定ジアミンは、これらのうちから選択される1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明におけるポリアミック酸(A)を合成するためのジアミンとしては、上記特定ジアミンを単独で使用してもよいが、上記特定ジアミンと共に、上記特定ジアミン以外のジアミン(以下、「その他のジアミン」ともいう。)を使用してもよい。
ここで、上記その他のジアミンとしては、例えば脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、ジアミノオルガノシロキサンなどを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族ジアミンとして、例えばメタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどを;脂環式ジアミンとして、例えば1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどを;
芳香族ジアミンとして、例えばp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、
N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルベンジジン、1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジン、3,5−ジアミノ安息香酸、ドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、テトラデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ドデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、テトラデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル、3,5−ジアミノ安息香酸コレステニル、3,5−ジアミノ安息香酸ラノスタニル、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン、3,6−ビス(4−アミノフェノキシ)コレスタン、4−(4’−トリフルオロメトキシベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾエート、4−(4’−トリフルオロメチルベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾエート、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ブチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェノキシ)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)シクロヘキサン、1−(4−アミノフェニル)−2,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−1H−インデン−5−アミン、1−(4−アミノフェニル)−2,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−1H−インデン−6−アミン、3−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)コレスタン、及び下記式(D−1)
(式(D−1)中、XI及びXIIは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−COO−又は−OCO−であり、Rは、炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、aは0又は1であり、bは0〜2の整数であり、cは1〜20の整数であり、nは0又は1である。但し、a及びbが同時に0になることはない。)
で表される化合物などを;
ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンなどを、それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のジアミンを用いることができる。
上記式(D−1)における「−X−(R−XII−」で表される2価の基としては、炭素数1〜3のアルカンジイル基、*−O−、*−COO−又は*−O−C−O−(ただし、「*」を付した結合手がジアミノフェニル基と結合する。)であることが好ましい。
基「−C2c+1」の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基などを挙げることができる。ジアミノフェニル基における2つのアミノ基は、他の基に対して2,4−位又は3,5−位にあることが好ましい。
上記式(D−1)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式(D−1−1)〜(D−1−4)のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。
なお、他のジアミンとしては、これら化合物の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記ポリアミック酸(A)の合成に際し、上記特定ジアミンの使用量は、合成に使用するジアミンの全体量に対して、0.1〜80モル%とすることが好ましく、1〜60モル%とすることがより好ましく、5〜50モル%とすることが更に好ましい。
<ポリアミック酸の合成>
本発明におけるポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、0.3〜1.2当量となる割合がより好ましい。また、ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において行われる。このときの反応温度は、−20℃〜150℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。また、反応時間は、0.5〜24時間が好ましく、2〜10時間とすることがより好ましい。
ここで、反応に使用する有機溶媒としては、合成されるポリアミック酸を溶解可能であればよく、具体的には、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン性極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒;等を挙げることができる。なお、これらの有機溶媒は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
また、反応に使用する有機溶媒としては、合成されるポリアミック酸が析出しない範囲内で、該ポリアミック酸の貧溶媒を併用してもよい。このような貧溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン;乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、シュウ酸ジエチル、イソアミルプロピオネートなどのエステル;ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソペンチルエーテルなどのエーテル;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素などが挙げられる。なお、これらの貧溶媒は1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
反応に使用する有機溶媒として上記ポリアミック酸の貧溶媒を使用する場合、その使用割合は、合成に使用する有機溶媒の全体量に対して、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、更に好ましくは30重量%以下である。
有機溶媒の使用量(x)は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計量(y)が、反応溶液の全量(x+y)に対して0.1〜50重量%になるような量とすることが好ましく、5〜30重量%になるような量とすることがより好ましい。
以上のようにして、ポリアミック酸(A)を溶解してなる反応溶液が得られる。この反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸(A)を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、又は単離したポリアミック酸(A)を精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。また、ポリアミック酸(A)を脱水閉環してポリイミドとする場合には、上記反応溶液をそのまま脱水閉環反応に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸(A)を単離したうえで脱水閉環反応に供してもよく、又は単離したポリアミック酸(A)を精製したうえで脱水閉環反応に供してもよい。ポリアミック酸(A)の単離及び精製は公知の方法に従って行うことができる。
<重合体(A):ポリイミド>
本発明において、重合体(A)としてのポリイミド(以下、「ポリイミド(A)」ともいう。)は、例えば上記の如くして合成されたポリアミック酸(A)を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。
上記ポリイミド(A)は、その前駆体であるポリアミック酸(A)が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造が併存する部分イミド化物であってもよい。本発明におけるポリイミド(A)は、そのイミド化率が40%以上であることが好ましく、50〜99%であることがより好ましい。このイミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。なお、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
ポリアミック酸(A)の脱水閉環は、(i)ポリアミック酸(A)を加熱する方法により、又は(ii)ポリアミック酸(A)を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行うことができる。
上記(i)の方法において、反応温度は、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜170℃である。反応温度が50℃未満であると脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると、得られるポリイミド(A)の分子量が低下する場合がある。反応時間は、好ましくは0.5〜48時間であり、より好ましくは2〜20時間である。
一方、上記(ii)の方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸等の酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、アミック酸構造単位の1モルに対して0.01〜20モルとすることが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミン、N−メチルピペリジン等の3級アミンを用いることができる。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとすることが好ましい。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸(A)の合成に用いる有機溶媒として例示した溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0〜180℃であり、より好ましくは10〜150℃である。反応時間は、好ましくは0.5〜20時間であり、より好ましくは1〜8時間である。
上記方法(i)により得られるポリイミド(A)は、これをそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、あるいは得られるポリイミド(A)を精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。一方、上記方法(ii)においては、ポリイミド(A)を含有する反応溶液が得られる。この反応溶液は、これをそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、例えば溶媒置換等の方法により反応溶液から脱水剤及び脱水閉環触媒を除いたうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミド(A)を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、又は単離したポリイミド(A)を精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。ポリイミド(A)の単離及び精製操作は公知の方法に従って行うことができる。
<重合体(A):ポリアミック酸エステル>
本発明における重合体(A)としてのポリアミック酸エステル(以下、「ポリアミック酸エステル(A)」とも称する。)は、例えば、上記ポリアミック酸(A)の合成に使用する化合物として例示したテトラカルボン酸二無水物とその他のジアミンとを反応させてポリアミック酸を得た後、その得られたポリアミック酸と、上記特定構造及びエポキシ基を有する化合物と、を反応させることにより合成することができる。なお、ポリアミック酸エステル(A)は、アミック酸エステル構造のみを有していてもよく、アミック酸構造とアミック酸エステル構造とが併存する部分エステル化物であってもよい。
以上のようにして得られるポリアミック酸(A)、ポリアミック酸エステル(A)及びポリイミド(A)は、これを濃度10重量%の溶液としたときに、10〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、15〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。なお、上記重合体の溶液粘度(mPa・s)は、それら重合体の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドンなど)を用いて調製した濃度10重量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。また、上記ポリアミック酸(A)、ポリアミック酸エステル(A)及びポリイミド(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が、500〜300,000であることが好ましく、1,000〜200,000であることがより好ましい。
[重合体(A):ポリオルガノシロキサン]
上記重合体(A)としてのポリオルガノシロキサン(以下、「ポリオルガノシロキサン(A)」とも称する。)は、有機化学の定法を適宜組み合わせることにより合成することができる。その一例としては、例えば、エポキシ基を有する加水分解性のシラン化合物(s1)、又は当該シラン化合物(s1)とその他のシラン化合物との混合物を加水分解縮合することにより重合体(以下、「エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン」ともいう。)を合成した後、その得られたエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンと、上記特定構造を有するカルボン酸(c1)と、を反応させる方法などを挙げることができる。
上記シラン化合物(s1)は、エポキシ基を有する加水分解性のシラン化合物であれば特に限定しない。その具体例としては、例えば3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルジメチルエトキシシラン、2−グリシジロキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシジロキシエチルトリエトキシシラン、2−グリシジロキシエチルメチルジメトキシシラン、2−グリシジロキシエチルメチルジエトキシシラン、2−グリシジロキシエチルジメチルメトキシシラン、2−グリシジロキシエチルジメチルエトキシシラン、4−グリシジロキシブチルトリメトキシシラン、4−グリシジロキシブチルトリエトキシシラン、4−グリシジロキシブチルメチルジメトキシシラン、4−グリシジロキシブチルメチルジエトキシシラン、4−グリシジロキシブチルジメチルメトキシシラン、4−グリシジロキシブチルジメチルエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。シラン化合物(s1)としては、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの合成に際し、必要に応じて使用することができるその他のシラン化合物としては、例えばメチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルジクロロシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、クロロジメチルシラン、メトキシジメチルシラン、エトキシジメチルシラン、クロロトリメチルシラン、ブロモトリメチルシラン、ヨードトリメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。その他のシラン化合物としては、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリロキシ」は、アクリロキシ及びメタクリロキシを含む意である。
ポリオルガノシロキサン(A)の合成に際し使用するシラン化合物は、上記シラン化合物(s1)を、シラン化合物の全量に対して10〜100モル%含むものであることが好ましく、20〜100モル%含むものであることがより好ましい。上記その他のシラン化合物を使用する場合、その含有割合は、合成に使用するシラン化合物の全量に対して、30モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。
上記におけるシラン化合物の加水分解・縮合反応は、上記の如きシラン化合物の1種又は2種以上と水とを、好ましくは適当な触媒及び有機溶媒の存在下で反応させることにより行うことができる。加水分解・縮合反応に際し、水の使用割合は、シラン化合物(合計量)1モルに対して、好ましくは0.5〜100モルであり、より好ましくは1〜30モルである。
加水分解・縮合反応の際に使用することができる触媒としては、例えば酸、アルカリ金属化合物、有機塩基、チタン化合物、ジルコニウム化合物などを挙げることができる。これら触媒の具体例としては、酸として、例えば塩酸、硫酸、硝酸、蟻酸、蓚酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、リン酸などを;アルカリ金属化合物として、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシドなどを;有機塩基として、例えばエチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、ピロールの如き1〜2級有機アミン:トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウンデセンの如き3級の有機アミン:テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの如き4級の有機アミンなどを;それぞれ挙げることができる。
上記触媒としては、エポキシ基の開環などの副反応を抑制できる点や、加水分解縮合速度を速くできる点、保存安定性に優れている点などにおいて、これらの中でもアルカリ金属化合物又は有機塩基が好ましく、特に有機塩基が好ましい。また、有機塩基としては、3級の有機アミン又は4級の有機アミンが好ましい。
有機塩基の使用量は、有機塩基の種類、温度などの反応条件などにより異なり、適宜に設定されるべきであるが、例えば全シラン化合物に対して、好ましくは0.01〜3倍モルであり、より好ましくは0.05〜1倍モルである。
上記の加水分解・縮合反応の際に使用することができる有機溶媒としては、例えば炭化水素、ケトン、エステル、エーテル、アルコールなどを挙げることができる。それらの具体例としては、炭化水素として、例えばトルエン、キシレンなどを;ケトンとして、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノンなどを;エステルとして、例えば酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、乳酸エチルなどを;エーテルとして、例えばエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどを;アルコールとして、例えば1−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルなどを;それぞれ挙げることができる。これらのうち非水溶性の有機溶媒を用いることが好ましい。なお、これらの有機溶媒は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
加水分解縮合反応における有機溶媒の使用割合は、反応に使用する全シラン化合物100重量部に対して、好ましくは10〜10,000重量部であり、より好ましくは50〜1,000重量部である。
上記の加水分解・縮合反応は、上記の如きシラン化合物を有機溶媒に溶解し、この溶液を有機塩基及び水と混合して、例えば油浴などにより加熱して実施することが好ましい。加水分解・縮合反応時には、加熱温度を130℃以下とすることが好ましく、40〜100℃とすることがより好ましい。加熱時間は、0.5〜12時間とすることが好ましく、1〜8時間とすることがより好ましい。加熱中は、混合液を撹拌してもよいし、還流下に置いてもよい。また、反応終了後において、反応液から分取した有機溶媒層を水で洗浄することが好ましい。この洗浄に際しては、少量の塩を含む水(例えば、0.2重量%程度の硝酸アンモニウム水溶液など)を用いて洗浄することにより、洗浄操作が容易になる点で好ましい。洗浄は、洗浄後の水層が中性になるまで行い、その後、有機溶媒層を、必要に応じて無水硫酸カルシウム、モレキュラーシーブなどの乾燥剤で乾燥した後、溶媒を除去することにより、目的とするポリオルガノシロキサン(エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン)を得ることができる。
次いで、上記加水分解・縮合反応により得られたエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンを、上記特定構造を有するカルボン酸(c1)と反応させる。これにより、上記特定構造を側鎖に有するポリオルガノシロキサン(A)を得ることができる。この反応に際し使用するカルボン酸は、カルボン酸(c1)単独であってもよいし、カルボン酸(c1)と共に、液晶分子を配向させる機能を有する基(以下、「液晶配向性基」ともいう。)を有するカルボン酸(c2)及びその他のカルボン酸(c3)の少なくともいずれかを使用してもよい。
ここで、カルボン酸(c1)は、上記特定構造とカルボキシル基とを有する限り、その余の構造は特に限定しない。具体的には、3−ベンゾイル安息香酸、4−ベンゾイル安息香酸、3−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、4−(2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、3−(2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、2−(2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、4−(4−メチルベンゾイル)安息香酸、4−(3,4−ジメチルベンゾイル)安息香酸、3−(4−ベンゾイル−フェノキシ)プロピオン酸、9,10−ジオキソジヒドロアントラセン−2−カルボン酸(アントラキノン−2−カルボン酸)、3−(9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イル)プロピオン酸、[3−(4,5−ジメトキシ−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)プロポキシ]アセチル酸、3,5−ジニトロ安息香酸、4−メチル−3,5−ジニトロ安息香酸、3−(3,5−ジニトロフェノキシ)プロピオン酸、2−メチル−3,5−ジニトロ安息香酸、4−フェニル安息香酸、11−((4’−ニトロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)オキシ)ウンデカン酸などを挙げることができる。
上記カルボン酸(c2)は、液晶配向性基とカルボキシル基とを有する限り、その余の構造は特に限定しない。液晶配向性基としては、例えば炭素数4〜20のアルキル基、アルコキシ基若しくはフルオロアルキル基、炭素数17〜51のステロイド骨格を有する基、多環構造を有する基などを挙げることができる。
かかるカルボン酸(c2)の具体例としては、例えば4−ブチロキシ安息香酸、4−ペンタロキシ安息香酸、4−ヘキサロキシ安息香酸、4−ヘプタロキシ安息香酸、4−オクチロキシ安息香酸、4−ノナロキシ安息香酸、4−デカロキシ安息香酸、4−ウンデカロキシ安息香酸、4−ドデカロキシ安息香酸、4−トリデカロキシ安息香酸、4−テトラデカロキシ安息香酸、4−ペンタデカロキシ安息香酸、4−ヘキサデカロキシ安息香酸、4−ヘプタデカロキシ安息香酸、4−オクタデカロキシ安息香酸、4−ノナデカロキシ安息香酸、4−イコサロキシ安息香酸、4−(4−プロピルシクロヘキシル)安息香酸、4−(4−ブチルシクロヘキシル)安息香酸、4−(4−ペンチルシクロヘキシル)安息香酸、4−(4−ヘキシルシクロヘキシル)安息香酸、4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)安息香酸、4−(4−オクチルシクロヘキシル)安息香酸、4−(4’−プロピルビシクロヘキシル−4−イル)安息香酸、4−(4’−ブチルビシクロヘキシル−4−イル)安息香酸、4−(4’−ペンチルビシクロヘキシル−4−イル)安息香酸、4−(4’−ヘキシルビシクロヘキシル−4−イル)安息香酸、4−(4’−ヘプチルビシクロヘキシル−4−イル)安息香酸、4−(4’−オクチルビシクロヘキシル−4−イル)安息香酸、コハク酸=5ξ−コレスタン−3−イル、11−(4−(4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ)ウンデカン酸などを挙げることができる。
上記カルボン酸(c3)は、上記カルボン酸(c1)及び(c2)以外のカルボン酸である。その具体例としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、メチル安息香酸等が挙げられる。
カルボン酸(c1)の使用割合は、反応に使用するエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンのエポキシ基1モルに対して、0.02〜0.5モルとすることが好ましく、0.05〜0.4モルとすることがより好ましく、0.05〜0.3モルとすることが更に好ましい。また、カルボン酸(c2)の使用割合は、反応に使用するエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンのエポキシ基1モルに対して、0.7モル以下とすることが好ましく、0.2〜0.6モルとすることがより好ましい。カルボン酸(c3)の使用割合は、反応に使用するエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンのエポキシ基1モルに対して、0.3モル以下とすることが好ましく、0.2モル以下とすることがより好ましい。
本発明におけるポリオルガノシロキサン(A)は、そのエポキシ当量が5,000g/モル以下であることが好ましく、500〜3,000g/モルであることがより好ましい。したがって、上記カルボン酸(c1)、(c2)及び(c3)の合計の使用割合については、ポリオルガノシロキサン(A)のエポキシ当量が上記範囲になるように適宜調整することが好ましい。
エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンが有するエポキシ基とカルボン酸との反応は、好ましくは触媒及び有機溶媒の存在下で行うことができる。ここで、反応に使用する触媒としては、例えば有機塩基、エポキシ化合物の反応を促進するいわゆる硬化促進剤として公知の化合物などを用いることができる。
上記有機塩基としては、例えばエチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、ピロールの如き1〜2級有機アミン;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウンデセンの如き3級有機アミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの如き4級有機アミン;などを挙げることができる。有機塩基としては、これらのうち、3級有機アミン又は4級有機アミンが好ましい。
また、上記硬化促進剤としては、例えば3級アミン、イミダゾール化合物、有機リン化合物、4級フォスフォニウム塩、ジアザビシクロアルケン、有機金属化合物、4級アンモニウム塩、ホウ素化合物、金属ハロゲン化合物などを挙げることができるほか、潜在性硬化促進剤として公知のものを使用することができる。
上記触媒は、カルボン酸と反応させるポリオルガノシロキサン100重量部に対して、好ましくは100重量部以下、より好ましくは0.01〜100重量部、更に好ましくは0.1〜20重量部の割合で使用することができる。
ポリオルガノシロキサンとカルボン酸との反応において使用することのできる有機溶媒としては、例えば炭化水素、エーテル、エステル、ケトン、アミド、アルコール等を挙げることができる。これらのうち、原料及び生成物の溶解性並びに生成物の精製のしやすさの観点から、エーテル、エステル、ケトンが好ましい。当該有機溶媒は、固形分濃度(反応溶液中の溶媒以外の成分の合計重量が、溶液の全重量に対して占める割合)が、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは5〜50重量%となる割合で使用される。
反応温度は、好ましくは0〜200℃であり、より好ましくは50〜150℃である。反応時間は、好ましくは0.1〜50時間であり、より好ましくは0.5〜20時間である。また、反応終了後においては、反応液から分取した有機溶媒層を水で洗浄することが好ましい。水洗後、有機溶媒層を、必要に応じて適当な乾燥剤で乾燥した後、溶媒を除去することにより、目的とするポリオルガノシロキサンを得ることができる。なお、ポリオルガノシロキサン(A)の単離操作を行わずに、反応溶液に溶解した状態のポリオルガノシロキサン(A)を、そのまま次の液晶配向剤の調製に供してもよい。
本発明の液晶配向剤に含有させるポリオルガノシロキサン(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が、500〜100,000であることが好ましく、1,000〜30,000であることがより好ましい。
また、本発明における重合体(A)がポリ(メタ)アクリレート誘導体を主骨格とする場合、例えば次のようにして合成することができる。先ず、エポキシ基を有するモノマーを含むモノマー原料を重合して、エポキシ基を有するポリ(メタ)アクリレート誘導体を合成し、次いで該誘導体と、上記特定構造及びカルボキシル基を有する化合物(例えば上記カルボン酸(c1))と、を反応させる。これにより、上記特定構造を側鎖に有するポリ(メタ)アクリレート誘導体を得ることができる。
[重合体(A):ポリシラン]
本発明において、重合体(A)としてのポリシラン(以下、「ポリシラン(A)」とも称する。)は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のうちの1種のポリシラン構造を有していてもよいし、それらの2種以上を組み合わせてなるポリシラン構造を有していてもよい。また、同一の繰り返し単位からなる重合体であってもよく、2種類以上の繰り返し単位からなる共重合体であってもよい。上記ポリシラン(A)の具体例としては、例えば下記式(X)で表されるポリシラン構造を有する化合物などが挙げられる。
(式(X)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子又は1価の有機基である。nは2以上の整数である。「*」は結合手を示す。)
及びRのハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。R及びRの1価の有機基としては、例えば炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基などの直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基;炭素数3〜20のシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ビシクロアルキル基などの脂環式基;炭素数6〜20のアリール基又はアラルキル基、あるいは芳香族複素環基などの芳香族基;等を挙げることができる。
ここで、アルキル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基などを;アルケニル基としては、例えばプロペニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、3−ヘキセニル基などを;アルキニル基としては、例えばプロパルギル基、3−メチルプロパルギル基、3−エチルプロパルギル基などを;それぞれ挙げることができる。また、シクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを;ビシクロアルキル基としては、例えば2−ノルボルニル基などを;それぞれ挙げることができる。また、アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基などを;アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基などを;芳香族複素環基としては、例えばα−チオフェン基、β−チオフェン基などを;それぞれ挙げることができる。なお、1つの繰り返し単位中におけるRとRは互いに同じでも異なっていてもよい。また、ポリシラン(A)中の複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
nは2以上の整数であり、2〜1,000の整数であることが好ましく、10〜1,000の整数であることがより好ましく、10〜500の整数であることが更に好ましい。
上記ポリシラン(A)は、有機化学の定法を適宜組み合わせることにより合成することができる。その合成方法は特に限定しないが、例えば、(i)テトラハロゲン化ケイ素及び1価の有機基を有するシラン化合物と、金属リチウム若しくは金属マグネシウム又はその双方とを反応させ、得られた反応生成物をMgHで還元することにより合成する方法、(ii)ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(ビス(トリメチルシリル)メチル)ネオジムなどのランタノイド錯体を触媒としてヒドロシラン類を重合させて合成する方法、などが挙げられる。また、上記ポリシラン(A)としては市販品を用いてもよい。
本発明の液晶配向剤に含有させるポリシラン(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が、500〜50,000であることが好ましく、1,000〜30,000であることがより好ましい。なお、液晶配向剤中にポリシラン(A)を含有させた場合、ラジカル発生機能において高い活性を示す点で有効である。その理由は定かではないが、例えば、紫外光の照射によってポリシラン(A)の主鎖のケイ素−ケイ素結合が切断されることに伴うものと推察される。
本発明の液晶配向剤に含有される上記化合物(A)は、上記低分子化合物及び重合体(A)からなる群より選択される1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。液晶配向膜の膜表面上の液晶配向を好適に制御して、PSA処理時の光照射による電圧保持率の低下をより少なくできる点において、本発明の液晶配向剤は、上記化合物(A)として少なくとも重合体(A)を含むことが好ましく、上記化合物(A)が重合体(A)であることがより好ましい。
<重合体(B)>
本発明の液晶配向剤が上記化合物(A)として低分子化合物のみを含有する場合、当該液晶配向剤は、上記化合物(A)と共に、重合体成分として、上記特定構造を有さない重合体(B)を含有する。当該重合体(B)としては、主骨格として例えばポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリオルガノシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール誘導体、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレート誘導体などからなる骨格を有する重合体を挙げることができる。重合体(B)は、これらのうちから選択される骨格を有する重合体の1種以上を適宜選択して用いることができる。
重合体(B)としては、これらの中でも、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド及びポリオルガノシロキサンよりなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましく、ポリアミック酸、ポリイミド及びポリオルガノシロキサンよりなる群から選択される少なくとも一種であることがより好ましい。
上記重合体(B)は、有機化学の定法を適宜組み合わせることにより合成することができる。例えば、重合体(B)としてのポリアミック酸は、上記ポリアミック酸(A)の合成に使用する化合物として例示したテトラカルボン酸二無水物と、その他のジアミンとを反応させることにより得ることができる。重合体(B)としてのポリイミドは、上記重合体(B)としてのポリアミック酸を脱水閉環することにより得ることができ、ポリアミック酸エステルは、当該ポリアミック酸をエステル化することにより得ることができる。また、ポリオルガノシロキサンは、上記シラン化合物(s1)及び上記その他のシラン化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を加水分解縮合することにより得ることができる。なお、各重合体の反応条件については、上記重合体(A)の説明を適用することができる。
本発明の液晶配向剤に含有される上記化合物(A)が低分子化合物である場合、上記化合物(A)の含有割合は、本発明の効果を十分に得る観点から、液晶配向剤中に含まれる重合体100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、0.5〜15重量部であることがより好ましい。
また、本発明の液晶配向剤が上記化合物(A)として重合体(A)を含む場合において、溶液特性や電気特性の改善のために、液晶配向剤の重合体成分として、重合体(A)と共に上記重合体(B)を用いてもよい。例えば、重合体(A)が、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル及びポリオルガノシロキサンよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体である場合、重合体(A)の含有割合は、液晶配向剤中に含まれる重合体の全体量に対して、1重量%以上とすることが好ましく、5〜50重量%とすることがより好ましい。
また、上記化合物(A)としてポリシラン(A)を液晶配向剤に添加する場合、その配合比率は、液晶配向剤に含有させる重合体の合計100重量部に対して、50重量部以下が好ましく、0.01〜30重量部がより好ましく、1〜10重量部が更に好ましい。
本発明の液晶配向剤における好ましい態様としては、重合体成分として、(I)ポリオルガノシロキサン(A)のみからなる態様;(II)ポリアミック酸(A)及びポリイミド(A)よりなる群から選択される少なくとも一種のみからなる態様;(III)ポリオルガノシロキサン(A)と、ポリアミック酸(A)及びポリイミド(A)よりなる群から選択される少なくとも一種と、からなる態様;(IV)ポリオルガノシロキサン(A)とその他の重合体(B)とからなり、かつその他の重合体(B)が、上記特定構造を有さないポリアミック酸及びポリイミドよりなる群から選択される少なくとも一種である態様;(V)ポリアミック酸(A)及びポリイミド(A)よりなる群から選択される少なくとも一種と、その他の重合体とからなり、かつその他の重合体が、上記特定構造を有さないポリオルガノシロキサン、ポリアミック酸及びポリイミドよりなる群から選択される少なくとも一種である態様;(VI)ポリシラン(A)と、ポリアミック酸(A)及びポリイミド(A)よりなる群から選択される少なくとも一種とからなる態様;(VII)ポリシラン(A)とその他の重合体(B)とからなり、かつその他の重合体(B)が、上記特定構造を有さないポリアミック酸及びポリイミドよりなる群から選択される少なくとも一種である態様;などを挙げることができる。なお、各態様におけるポリオルガノシロキサン、ポリシラン、ポリアミック酸及びポリイミドの配合割合は、適用する液晶表示素子の用途等に応じて任意に設定することができる。
これらの中でも、機械的強度や電気的特性、液晶との親和性等の点において、ポリアミック酸及びポリイミドの少なくともいずれかを含む態様が好ましく、上記(II)、(IV)、(VI)及び(VII)の態様がより好ましく、上記(IV)及び(VII)の態様が特に好ましい。
上記(IV)の態様におけるポリオルガノシロキサン(A)と、ポリアミック酸及びポリイミド(合計)との使用割合は、ポリオルガノシロキサン(A)、ポリアミック酸及びポリイミドの合計量100重量部に対して、ポリオルガノシロキサン(A)を1〜50重量部含むものであることが好ましく、2〜40重量部含むものであることがより好ましく、3〜30重量部含むものであることが更に好ましい。
上記(VII)の態様におけるポリシラン(A)と、ポリアミック酸及びポリイミド(合計)との使用割合は、ポリシラン(A)、ポリアミック酸及びポリイミドの合計量100重量部に対して、ポリシラン(A)の含有割合が50重量部以下であることが好ましく、0.01〜30重量部であることがより好ましく、1〜10重量部であることが更に好ましい。
重合体(A)は、液晶配向剤中の重合体成分の全体に対して、上記特定構造を0.5〜5ミリモル/g含むものであることが好ましく、1〜4ミリモル/g含むものであることがより好ましい。
なお、本発明では、化合物(A)を含む液晶配向剤を用いて液晶配向膜を形成することによって、PSA処理時の光照射の際に、液晶層中に含有される光重合性化合物(光重合性モノマー)の反応を液晶配向膜側からアシストすることができるものと推察される。これにより、少ない光照射量でも十分なプレチルト角を付与できるとともに、光照射による電圧保持率の低下及び応答速度の低下を抑制できるものと推察される。
<その他の成分>
本発明の液晶配向剤は、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。かかるその他の成分としては、例えば分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ基含有化合物」という)、官能性シラン化合物等を挙げることができる。
[エポキシ化合物]
エポキシ化合物は、液晶配向膜における基板表面との接着性や電気特性を向上させるために使用することができる。ここで、エポキシ化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−シクロヘキシルアミン等を好ましいものとして挙げることができる。これらエポキシ化合物を液晶配向剤に添加する場合、その配合割合は、液晶配向剤中に含まれる重合体の合計100重量部に対して、40重量部以下が好ましく、0.1〜30重量部がより好ましい。
[官能性シラン化合物]
官能性シラン化合物は、液晶配向剤の印刷性の向上を目的として使用することができる。このような官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
これら官能性シラン化合物を液晶配向剤に添加する場合、その配合比率は、重合体の合計100重量部に対して、2重量部以下が好ましく、0.02〜0.2重量部がより好ましい。
なお、上記その他の成分としては、上記で例示した化合物のほか、分子内に少なくとも一つのオキセタニル基を有する化合物、酸化防止剤などを使用することができる。
<溶剤>
本発明の液晶配向剤は、重合体成分や、必要に応じて任意に配合されるその他の成分が、好ましくは有機溶媒中に溶解されて構成される。
ここで、本発明の液晶配向剤の調製に使用される溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明の液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより、液晶配向膜である塗膜又は液晶配向膜となる塗膜が形成される。このとき、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得にくい。一方、固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得にくく、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する方法によって異なる。例えばスピンナー法による場合には、固形分濃度を1.5〜4.5重量%の範囲とすることが特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それにより溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは10〜50℃であり、より好ましくは20〜30℃である。
<液晶配向膜及び液晶表示素子>
本発明の液晶配向膜は、上記のように調製された液晶配向剤により形成されたものであり、PSAモード液晶表示素子の液晶配向膜として用いられる。また、本発明のPSAモード液晶表示素子は、当該液晶配向膜を具備するものである。当該液晶表示素子の製造方法は、以下の(i)〜(iii);
(i)本発明の液晶配向剤を、導電膜を有する一対の基板の該導電膜上にそれぞれ塗布し、次いでこれを加熱して塗膜を形成する第1の工程、
(ii)該塗膜を形成した一対の基板を、液晶性化合物を含む液晶層を介して塗膜が相対するように対向配置して液晶セルを構築する第2の工程、
(iii)一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で液晶セルに光照射する第3の工程、を含む。以下、これら各工程について詳しく説明する。
[第1の工程:塗膜の形成]
上記基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。上記導電膜としては、透明導電膜を用いることが好ましく、例えば酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜などを用いることができる。この導電膜は、複数の領域に区画されたパターン状導電膜であることが好ましい。このような導電膜とすれば、導電膜間に電圧を印加する際に、各領域で異なる電圧を印加することによって領域ごとに液晶分子のプレチルト角の方向を変えることができ、これにより視野角特性をより広くすることが可能となる。
一対の基板における透明導電膜の形成面上に本発明の液晶配向剤を塗布する方法としては、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法又はインクジェット印刷法により行うことができる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面及び透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成するべき面に、官能性シラン化合物、官能性チタン化合物などを予め塗布する前処理を施しておいてもよい。
液晶配向剤を基板に塗布した後、塗布した液晶配向剤の液垂れ防止などの目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30〜200℃であり、より好ましくは40〜150℃であり、特に好ましくは40〜100℃である。プレベーク時間は、好ましくは0.25〜10分であり、より好ましくは0.5〜5分である。その後、溶剤を完全に除去し、必要に応じて重合体に存在するアミック酸構造を熱イミド化することを目的として焼成(ポストベーク)工程が実施される。ポストベーク温度は、好ましくは80〜300℃であり、より好ましくは120〜250℃である。ポストベーク時間は、好ましくは5〜200分であり、より好ましくは10〜100分である。このようにして、形成される膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
液晶配向剤を塗布した後の加熱によって有機溶媒を除去することにより、配向膜となる塗膜が形成される。このとき、本発明の液晶配向剤に含有される重合体が、ポリアミック酸であるか、ポリアミック酸エステルであるか、又はイミド環構造とアミック酸構造とを有するイミド化重合体である場合には、塗膜形成後に更に加熱することによって脱水閉環反応を進行させ、よりイミド化された塗膜としてもよい。
このようにして形成された塗膜は、これをそのまま以下の第2の工程に供してもよく、必要に応じて塗膜面に対するラビング処理を行った後に第2の工程に供してもよい。このラビング処理は、塗膜面に対して、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦ることにより行うことができる。
[第2の工程:液晶セルの構築]
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に、液晶性化合物及び光重合性化合物を含む液晶層を配置することにより液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば以下の2つの方法が挙げられる。第一の方法は、従来から知られている方法(真空注入方式)である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶性化合物及び光重合性化合物を注入して充填した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造する。第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に、例えば紫外光硬化性のシール剤を塗布し、さらに液晶配向膜面上の所定の数箇所に、液晶性化合物と光重合性化合物との混合物を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに、液晶性化合物を基板の全面に押し広げ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶セルを製造する。
いずれの方法による場合でも、上記のようにして製造した液晶セルにつき、さらに、用いた液晶性化合物が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去してもよい。
シール剤としては、例えば硬化剤及びスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
液晶性化合物としては、負の誘電異方性を有するネマチック液晶を好ましく用いることができ、例えばジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、ターフェニル系液晶などを用いることができる。また、液晶性化合物としては、PSAモード液晶表示素子の応答速度をより速くできる点において、アルケニル基及びフルオロアルケニル基のうちいずれかを1つ有する単官能性の液晶性化合物であるアルケニル系液晶を併用することが好ましい。このようなアルケニル系液晶としては、従来公知のものを使用することができ、例えば下記式(L1−1)〜式(L1−9)のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。
光重合性化合物としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基などといったラジカル重合が可能な官能基を有する化合物を用いることができる。反応性の観点からすると、中でもアクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくともいずれかを2つ以上有する多官能性の化合物を用いることが好ましい。また、液晶分子の配向性を安定に維持する観点から、光重合性化合物としては、液晶骨格として、シクロヘキサン環及びベンゼン環のうちの少なくともいずれか一種の環を合計2つ以上有する化合物を用いることが好ましい。なお、このような光重合性化合物としては、従来公知のものを使用することができる。光重合性化合物の配合割合は、使用する液晶性化合物の全体量に対して0.1〜0.5重量%とすることが好ましい。液晶層の厚さは、1〜5μmとすることが好ましい。
[第3の工程:光照射工程]
液晶セルの構築後、一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で液晶セルに光照射する。ここで印加する電圧は、例えば5〜50Vの直流又は交流とすることができる。また、照射する光としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線及び可視光線を用いることができるが、300〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。照射光の光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマレーザーなどを使用することができる。なお、上記の好ましい波長領域の紫外線は、光源を、例えばフィルター回折格子などと併用する手段などにより得ることができる。光の照射量としては、好ましくは1,000J/m以上200,000J/m未満であり、より好ましくは1,000〜100,000J/mである。
なお、従来知られているPSAモード液晶表示素子の製造に際しては、100,000J/m程度の光を照射することが必要であったが、本発明の方法によれば、光照射量を50,000J/m以下、さらに10,000J/m以下とした場合であっても所望の液晶表示素子を得ることができる。したがって、液晶表示素子の製造コストの削減に資するほか、強い光の照射に起因する電圧保持率の低下、液晶の応答速度の低下を回避することができる。
そして、光照射後の液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、PSAモード液晶表示素子を得ることができる。ここで使用する偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板又はH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
本発明のPSAモード液晶表示素子は、種々の装置に有効に適用することができ、例えば、時計、携帯型ゲーム、ワープロ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、PDA、デジタルカメラ、携帯電話、スマートフォン、各種モニター、液晶テレビ、インフォメーションディスプレイなどの各種表示装置に用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
各合成例における各重合体の重量平均分子量、エポキシ当量、各重合体溶液の溶液粘度、及びポリイミドのイミド化率は、以下の方法により測定した。
[重合体の重量平均分子量]
重合体の重量平均分子量Mwは、以下の条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値である。
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶剤:テトラヒドロフラン
温度:40℃
圧力:68kgf/cm
[エポキシ当量]
エポキシ当量は、JIS C2105の「塩酸−メチルエチルケトン法」に準じて測定した値である。
[重合体溶液の溶液粘度]
重合体溶液の溶液粘度[mPa・s]は、所定の溶媒を用い、重合体濃度10重量%に調製した溶液について、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
[ポリイミドのイミド化率]
ポリイミドの溶液を純水に投入し、得られた沈殿を室温で十分に減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温でH−NMRを測定した。得られたH−NMRスペクトルから、下記数式(1)で示される式によりイミド化率[%]を求めた。
イミド化率[%]=(1−A/A×α)×100 …(1)
(数式(1)中、Aは化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、Aはその他のプロトン由来のピーク面積であり、αは重合体の前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
<重合体の合成>
[合成例P1:ポリイミド(A)の合成(側鎖導入型)]
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物(TCA)112g(0.50モル)、並びにジアミンとしてコレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン49g(0.10モル)、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン52g(0.15モル)、1−(4−アミノフェニル)2,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−1H−インデン−6−アミン67g(0.25モル)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)750gに溶解し、60℃で6時間反応を行い、ポリアミック酸を含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は900mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にNMP63gを追加し、N−メチルピペリジン3.8g及び無水酢酸10.6gを添加して80℃で8時間脱水閉環反応を行った。次いで、反応混合物を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈澱させた。回収した沈殿物をメタノールで洗浄した後、減圧下40℃において15時間乾燥することにより、重合体(A)として、イミド化率約50%のポリイミド(P−1)を得た。得られたポリイミド(P−1)をNMPにて10重量%となるように調整した。この溶液の粘度を測定したところ330mPa・sであった。
[合成例P2:ポリイミド(A)の合成(主鎖導入型)]
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンに代えて4,4’−ジアミノベンゾフェノン32g(0.15モル)を使用した以外は合成例P1と同様の操作を行い、ポリアミック酸を含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は1,050mPa・sであった。また、得られたポリアミック酸溶液を用いて合成例P1と同様の操作を行うことにより、重合体(A)として、イミド化率約50%のポリイミド(P−2)を得た。得られたポリイミド(P−2)をNMPにて10重量%となるように調製した。この溶液の粘度を測定したところ420mPa・sであった。
[合成例P3:重合体(B)の合成(ポリイミドの合成)]
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンに代えて3,5−ジアミノ安息香酸23g(0.15モル)を使用した以外は合成例P1と同様の操作を行い、ポリアミック酸を含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は2,400mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にNMP330gを追加し、N−メチルピペリジン25g及び無水酢酸25.5gを添加して80℃で8時間脱水閉環反応を行った。次いで、反応混合物を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈澱させた。回収した沈殿物をメタノールで洗浄した後、減圧下40℃において15時間乾燥することにより、重合体(B)として、イミド化率約50%のポリイミド(P−3)を得た。得られたポリイミド(P−3)をNMPにて10重量%となるように調製した。この溶液の粘度を測定したところ340mPa・sであった。
[合成例S1:ポリオルガノシロキサン(A)の合成]
撹拌機、温度計、滴下漏斗及び還流冷却管を備えた反応容器に、加水分解性シラン化合物として2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(ECETS)246g、溶媒としてメチルイソブチルケトン500g、及び触媒としてトリエチルアミン10.0gを仕込み、室温で混合した。次いで、脱イオン水100gを滴下漏斗より30分かけて滴下した後、撹拌しつつ、還流下、80℃にて6時間反応を行った。反応終了後、有機層を取り出し、0.2重量%硝酸アンモニウム水溶液により洗浄後の水が中性になるまで洗浄した後、減圧下で溶媒及び水を留去することにより、エポキシ基を有する加水分解縮合物(PECETS)を粘調な透明液体として得た。この加水分解縮合物について、H−NMR分析を行ったところ、化学シフト(δ)=3.2ppm付近にエポキシ基に帰属するピークが理論強度どおりに得られ、反応中にエポキシ基の副反応が起こっていないことが確認された。
次いで、200mLの三口フラスコに、上記で得たエポキシ基を有する加水分解縮合物(PECETS)、溶媒としてメチルイソブチルケトン30.0g、カルボン酸として4−オクチロキシ安息香酸25.0g(原料として用いた加水分解性シラン化合物に対して20モル%に相当する。)及び11−((4’−ニトロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)オキシ)ウンデカン酸19.9g(原料として用いた加水分解性シラン化合物に対して10モル%に相当する。)、並びに触媒としてテトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB、エポキシ化合物の硬化促進剤である。)0.10gを仕込み、100℃で2時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物に酢酸エチルを加えて得た有機層を5回水洗し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、溶剤を留去することにより、重合体(A)であるポリオルガノシロキサン(S−1)を251.2g得た。このポリオルガノシロキサン(S−1)につき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは7,200であった。
[合成例S2:ポリオルガノシロキサン(A)の合成]
使用するカルボン酸を、11−(4−(4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ)ウンデカン酸(原料として用いた加水分解性シラン化合物に対して20モル%に相当する。)及び4−フェニル安息香酸(原料として用いた加水分解性シラン化合物に対して10モル%に相当する。)に変更した以外は合成例S1と同様の操作を行うことにより、重合体(A)であるポリオルガノシロキサン(S−2)を得た。このポリオルガノシロキサン(S−2)につきGPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは7,500であった。
重合体の合成に用いた化合物の配合量(モル比)を下記表1に示す。なお、ポリイミドについては、合成に使用したテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計のモル数に対する各化合物の比率を示す。ポリオルガノシロキサンについては、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの合成に使用した加水分解性シラン化合物の合計に対する各化合物の使用割合(モル比)を示す。
上記表1における各化合物の略称はそれぞれ以下の意味である。
(ジアミン)
d−1;9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン
d−2;4,4’−ジアミノベンゾフェノン
d−3;コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン
d−4;1−(4−アミノフェニル)−2,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−1H−インデン−6−アミン
d−5;3,5−ジアミノ安息香酸
(カルボン酸)
CA−1;4−オクチロキシ安息香酸
CA−2;11−((4’−ニトロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)オキシ)ウンデカン酸
CA−3;11−(4−(4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ)ウンデカン酸
CA−4;4−フェニル安息香酸
<液晶組成物の調製>
[液晶組成物LC1の調製]
ネマチック液晶(メルク社製、MLC−6608)10gに対し、上記式(L1−1)で表される液晶性化合物を5重量%、及び下記式(L2−1)で表される光重合性化合物を0.3重量%、を添加して混合することにより液晶組成物LC1を得た。
[実施例1]
<液晶配向剤の調製>
化合物(A)として上記合成例P1で得たポリイミド(P−1)を含有する溶液に、有機溶媒としてNMP及びブチルセロソルブ(BC)を加え、溶媒組成がNMP:BC=50:50(重量比)、固形分濃度6.0重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いてろ過することにより液晶配向剤を調製した。
<印刷性の評価>
上記で調製した液晶配向剤の印刷性を評価した。まず、上記の液晶配向剤につき、オフセット型の液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いて、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、200℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、蝕針式膜厚計(KLAテンコール社製)で測定した平均膜厚が600Åである塗膜を形成した。この塗膜を倍率20倍の顕微鏡で観察して印刷ムラ及びピンホールの有無を調べた。評価は、印刷ムラ及びピンホールが観察されなかった場合を印刷性「良好」、印刷ムラ及びピンホールの少なくともいずれかが観察された場合を印刷性「不良」として行った。その結果、上記で調整した液晶配向剤を用いて形成した塗膜には印刷ムラ及びピンホールとも観察されず、印刷性が「良好」であった。
<膜厚均一性の評価>
上記で形成した塗膜につき、蝕針式膜厚計(KLAテンコール社製)を用いて、基板の中央部における膜厚と、基板の外側端から15mm中央に寄った位置における膜厚とをそれぞれ測定した。両者の膜厚差が20Å以下であった場合を膜厚均一性「良好」、膜厚差20Åを超えた場合を膜厚均一性「不良」として評価した。その結果、上記液晶配向剤を用いて形成した塗膜では、中央部と端部との膜厚差が小さく、膜厚均一性が「良好」であった。
<液晶セルの製造及び評価>
上記で調製した液晶配向剤を用いて、透明電極のパターン(2種類)及び紫外線照射量(3水準)を変更して、計6個の液晶表示素子を製造した。また、それら製造した液晶セルについて各種評価を行った。
[パターンなし透明電極を有する液晶セルの製造]
上記液晶配向剤を、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いてITO膜からなる透明電極を有するガラス基板の透明電極面上に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、150℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚600Åの塗膜を形成した。この塗膜に対し、レーヨン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数400rpm、ステージ移動速度3cm/秒、毛足押しこみ長さ0.1mmでラビング処理を行った。その後、超純水中で1分間超音波洗浄を行い、次いで100℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、液晶配向膜を有する基板を得た。この操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)得た。なお上記ラビング処理は、液晶の倒れ込みを制御し、配向分割を簡易な方法で行う目的で行った弱いラビング処理である。
次に、上記一対の基板のうちの1枚につき、液晶配向膜を有する面の外縁に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、一対の基板を液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化させた。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、上記で調製した液晶組成物LC1を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することにより、液晶セルを製造した。
上記の操作を繰り返し行い、パターンなし透明電極を有する液晶セルを3個製造した。そのうちの1個はそのまま後述のプレチルト角の評価に供した。残りの2個の液晶セルについては、それぞれ電極間に周波数60Hzの交流10Vを印加し、液晶が駆動している状態で、光源にメタルハライドランプを使用した紫外線照射装置を用いて、10,000J/m又は100,000J/mの照射量にて紫外線を照射し、その後、プレチルト角及び電圧保持率の評価に供した。なお、この照射量は、波長365nm基準で計測される光量計を用いて計測した値である。
[プレチルト角の評価]
上記で製造した液晶セルを用いて、文献「T. J. Scheffer et. al. J. Appl. Phys. vo. 19, p. 2013(1980)」に記載の方法に準拠してHe−Neレーザー光を用いる結晶回転法により測定した液晶分子の基板面からの傾き角の値をプレチルト角とした。光未照射の液晶セル、照射量10,000J/mの液晶セル、及び照射量100,000J/mの液晶セルのそれぞれのプレチルト角を下記表2に示す。
[電圧保持率の評価]
上記で製造した各液晶セルに対し、23℃において5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。測定装置としては(株)東陽テクニカ製、VHR−1を使用した。
照射量10,000J/mの液晶セル及び照射量100,000J/mの液晶セルのそれぞれの電圧保持率を下記表2に示す。
[パターニングされた透明電極を有する液晶セルの製造]
上記で調製した液晶配向剤を、図1に示したようなスリット状にパターニングされ、複数の領域に区画されたITO電極をそれぞれ有するガラス基板2枚の各電極面上に液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いて塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した。次いで、150℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚600Åの塗膜を形成した。この塗膜につき、超純水中で1分間超音波洗浄を行った後、100℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、液晶配向膜を有する基板を得た。この操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)得た。
次いで、上記一対の基板のうちの1枚の基板につき、液晶配向膜を有する面の外縁に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、一対の基板を液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、上記で調製した液晶組成物LC1を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することにより、液晶セルを製造した。
上記の操作を繰り返し行い、パターニングされた透明電極を有する液晶セルを3個製造した。そのうちの1個はそのまま後述の応答速度の評価に供した。残りの2個の液晶セルについては、上記パターンなし透明電極を有する液晶セルの製造におけるのと同様の方法により、導電膜間に電圧を印加した状態で10,000J/m又は100,000J/mの照射量にて光照射した後に応答速度の評価に供した。なお、ここで用いた電極のパターンは、PSAモードにおける電極パターンと同種のパターンである。
[応答速度の評価]
上記で製造した各液晶セルをクロスニコル状態に配置した2枚の偏光板で挟持したうえで、先ず電圧を印加せずに可視光ランプを照射して液晶セルを透過した光の輝度をフォトマルチメーターにて測定し、この値を相対透過率0%とした。次に、液晶セルの電極間に交流10Vを5秒間印加したときの透過率を上記と同様にして測定し、この値を相対透過率100%とした。各液晶セルに対して交流10Vを印加したときに、相対透過率が10%から90%に移行するまでの時間を測定し、この時間を応答速度と定義して評価した。光未照射の液晶セル、照射量10,000J/mの液晶セル及び照射量100,000J/mの液晶セルのそれぞれの応答速度を上記表2に示す。
[実施例2]
化合物(A)として上記合成例P2で得たポリイミド(P−2)を用いた点以外は実施例1と同様の操作を行うことにより液晶配向剤を調製した。また、この液晶配向剤を用いて実施例1と同様にして各種評価を行った。評価結果を上記表2に示す。
[実施例3]
上記合成例P3で得たポリイミド(P−3)を含有する溶液に、有機溶媒としてNMP及びBCを加え、更に化合物(A)としてベンゾフェノンを、ポリイミド(P−3)80重量部に対して5重量部(ポリイミド(P−3)100重量部に対して6.25重量部)加えて、溶媒組成がNMP:BC=50:50(重量比)、固形分濃度6.0重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いてろ過することにより、液晶配向剤を調製した。また、この液晶配向剤を用いて、実施例1と同様にして各種評価を行った。評価結果を上記表2に示す。
[実施例4]
上記合成例P3で得たポリイミド(P−3)を含有する溶液に、有機溶媒としてNMP及びBCを加え、更に化合物(A)として上記合成例S1で得たポリオルガノシロキサン(S−1)を、ポリイミド(P−3)95重量部に対して5重量部加えて、溶媒組成がNMP:BC=50:50(重量比)、固形分濃度6.0重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いてろ過することにより液晶配向剤を調製した。また、この液晶配向剤を用いて、実施例1と同様にして各種評価を行った。評価結果を上記表2に示す。
[実施例5]
上記実施例4において、ポリオルガノシロキサン(S−1)に代えてポリオルガノシロキサン(S−2)を使用した以外は実施例4と同様の操作を行うことにより液晶配向剤を調製した。また、この液晶配向剤を用いて、実施例1と同様にして各種評価を行った。評価結果を上記表2に示す。
[実施例6]
上記実施例4において、ポリオルガノシロキサン(S−1)に代えてポリメチルフェニルシラン(PMPS)(大阪ガスケミカル(株)製、オグソールSI−10−20)を使用した以外は実施例4と同様の操作を行うことにより液晶配向剤を調製した。また、この液晶配向剤を用いて、実施例1と同様にして各種評価を行った。評価結果を下記表3に示す。
[比較例1]
上記実施例1において、ポリイミド(P−1)を含有する溶液の代わりに上記合成例P3で得たポリイミド(P−3)を含有する溶液を用いたほかは実施例1と同様の操作を行うことにより液晶配向剤を調製した。また、この液晶配向剤を用いて、実施例1と同様にして各種評価を行った。評価結果を上記表2に示す。
上記表に示すように、実施例1〜6では、液晶セルに対する紫外線照射後において高い電圧保持率を維持しており、応答速度も良好であった。また、実施例1〜6では、10,000J/mの光照射量で適正なプレチルト角を示した。さらに、少ない光照射量でも十分に速い応答速度が得られており、電圧保持率も良好であった。特に、液晶としてアルケニル系液晶を用いた場合、紫外線照射による電圧保持率の低下が大きくなる傾向にあるが、実施例1〜6では、紫外線照射後においても高い電圧保持率を示した。また、液晶配向剤の印刷性及び膜均一性も良好であった。これらの結果から、本発明の液晶配向剤によれば、PSAモードのメリットを少ない光照射量で発現できると言える。これに対し、比較例1では、10,000J/mの光照射量では適正なプレチルト角を示さなかった。また、紫外線照射による電圧保持率の低下が顕著に現れた。
実施例1〜6で使用した液晶配向剤の各々について、ガラス基板上のITO電極のパターンを図2及び図3の電極パターンにそれぞれ変更したほかは上記実施例1と同様にして液晶セルを製造するとともに各種評価を行った。この場合にも、実施例1〜6とそれぞれ同様の効果を示した。
1…ITO電極、2…スリット部、3…遮光膜

Claims (11)

  1. 光照射によりラジカルを発生するラジカル発生機能及び光照射により増感作用を示す光増感機能の少なくともいずれかの機能を発現可能な構造(a)を有する化合物(A)を含有する、PSAモード液晶表示素子用液晶配向剤。
  2. 前記化合物(A)が、前記構造(a)を側鎖に有する重合体である、請求項1に記載のPSAモード液晶表示素子用液晶配向剤。
  3. 前記化合物(A)が、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル及びポリオルガノシロキサンよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体である、請求項1又は2に記載のPSAモード液晶表示素子用液晶配向剤。
  4. 前記化合物(A)が、前記構造(a)として、少なくとも前記光増感機能を発現可能な構造を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のPSAモード液晶表示素子用液晶配向剤。
  5. 前記化合物(A)が、前記構造(a)を主鎖に有する重合体である、請求項1に記載のPSAモード液晶表示素子用液晶配向剤。
  6. 前記化合物(A)が、ポリシラン骨格を有する重合体である、請求項5に記載のPSAモード液晶表示素子用液晶配向剤。
  7. アルケニル基及びフルオロアルケニル基のいずれかを1つ有する単官能性の液晶性化合物を液晶層に含む液晶表示素子の製造用である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のPSAモード液晶表示素子用液晶配向剤。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶配向剤を、導電膜を有する一対の基板の該導電膜上にそれぞれ塗布し、次いでこれを加熱して塗膜を形成する第1の工程と、
    前記塗膜を形成した一対の基板を、液晶性化合物を含む液晶層を介して前記塗膜が相対するように対向配置して液晶セルを構築する第2の工程と、
    前記一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で前記液晶セルに光照射する第3の工程と、
    を含む液晶表示素子の製造方法。
  9. 前記液晶層に、前記液晶性化合物として、アルケニル基及びフルオロアルケニル基のいずれかを1つ有する単官能性の液晶性化合物を含有させる、請求項8に記載の液晶表示素子の製造方法。
  10. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成されたPSAモード液晶表示素子用液晶配向膜。
  11. 請求項10に記載の液晶配向膜を有するPSAモード液晶表示素子。
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