以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る電子機器1の上面を前側から臨む斜視図である。図2は電子機器1の正面図であり、図3は平面図であり、図4は側面図である。図5は電子機器1が備える下カバー20、上カバー30及びフレーム50の分解斜視図である。図6は図3に示すVI−VI線での断面図であり、図7は図3に示すVII−VII線での断面図である。図8は電子機器の底面を後側から臨む斜視図である。図9は下カバー20の斜視図である。図10は上カバー30の内側を臨む斜視図である。以下の説明において、図1に示すY1及びY2はそれぞれ前方及び後方である。X1及びX2はそれぞれ右方向及び左方向である。Z1及びZ2はそれぞれ上方及び下方である。
電子機器1はゲーム装置やオーディオ・ビジュアル機器として機能するエンタテインメント装置である。電子機器1は、例えば、光ディスクなどの記録媒体からゲームプログラムや映像・音声データを取得する。電子機器1は、無線及び/又は有線の通信機能を有している。したがって、他の例では、電子機器1は通信機能を利用してゲームプログラムや映像・音声データを取得する。電子機器1は、ゲームプログラムの実行により生成した動画像データや、取得した映像・音声データをテレビジョンなどの表示装置に出力する。
電子機器1の前面には、光ディスクを挿入するための挿入口52cが設けられている(図2参照)。また、電子機器1の前面には、ゲームコントローラや外部装置などを接続するためのコネクタ7が設けられている。図2の例では、2つのコネクタ7が前面に設けられている。なお、これら挿入口52cやコネクタ7は必ずしも設けられていなくてもよい。図3に示すように、電子機器1は、CPUやメモリーなどの集積回路が実装された回路基板2や、外部の空気を吸い込むための冷却ファン3、電源ユニット(不図示)などを有している。回路基板2上の集積回路や電源ユニットは、冷却ファン3が形成する空気流によって冷却される。
電子機器1の概略の外形は、6つの面のそれぞれが四角形で、対向する2面が実質的に平行な六面体である。すなわち、電子機器1の上面及び底面は実質的に平行であり、前面及び後面も実質的に平行であり、左右の側面も実質的に平行である。左右の側面は平らである。そのため、電子機器1は、底面が下側に位置する横置きと、側面が下側に位置する縦置きとを選択できる。ここで説明する例の電子機器1は、側面視において略平行四辺形となっている(図4参照)。電子機器1のその他の面は略長方形である。
電子機器1は、その外形を構成する下カバー20と上カバー30とを有している。ここで説明する例では、上カバー30は右上カバー30Rと左上カバー30Lとを含み、これらは左右方向で分割可能となっている(図5参照)。電子機器1は、回路基板2や冷却ファン3など、電子機器1が内蔵する種々の部品や装置が取り付けられるフレーム50を含んでいる(図5参照)。下カバー20はフレーム50の下側を覆い、フレーム50に取り付けられている。上カバー30はフレーム50の上側を覆い、フレーム50に取り付けられている。フレーム50は、電子機器1が内蔵する装置が配置されるスペースを規定している。例えば、スペースS1には冷却ファン3が配置される。また、挿入口52cの後側には光ディスクドライブが配置され、フレーム50は光ディスクドライブを覆っている。フレーム50は例えば樹脂によって成形される。
図1に示すように、電子機器1の側面には、電子機器1の内部と外部とを連通する複数の通気穴hが設けられている。ここで説明する例の通気穴hは吸気用の穴である。冷却ファン3の駆動により、空気は通気穴hを通して電子機器1の内部に吸い込まれる。電子機器1の側面には前後方向に延びている溝a1が形成されている。ここで説明する例では、側面には1つの溝a1が形成されている。溝a1は上下方向における側面の中心を通り、且つ、電子機器1の上面及び底面とに対して実質的に平行となっている。
複数の通気穴hは溝a1の内面に形成され、溝a1の延伸方向(前後方向)で並んでいる。側面に形成される複数の通気穴hの全部又は大部分が溝a1に位置している。すなわち、複数の通気穴hの位置は溝a1に集中している。図1の例では、複数の通気穴hの全部が溝a1の内面に形成され、側面における他の部分には通気穴hは形成されていない。こうすることにより、電子機器1を縦置きしている場合でも、通気穴hが塞がらないので、縦置き時の吸気効率の低下を抑えることができる。溝a1と通気穴hは電子機器1の左右の側面の双方に形成されている。通気穴hは一方の側面にのみ形成されてもよい。
図1に示すように、溝a1は電子機器1の側面の前縁b1まで延びている。溝a1の前端は前方に向かって開口している。また、溝a1は電子機器1の側面の後縁c1まで延びている。溝a1の後端は後方に向かって開口している。この構造によれば、電子機器1を縦置きしている場合、溝a1の前端と後端とを通して溝a1に空気が流れる。この空気は通気穴hを通して電子機器1に吸い込まれる。
図4に示すように、電子機器1の前面と後面は鉛直面に対して傾斜している。具体的には、前面は底面から上方に延びるとともに後側に傾斜している。後面は底面から上方に延びるとともに後側に傾斜している。このため、棚などの狭い場所に電子機器1を収納した場合でも、前面の前側と後面の後側とにスペースが形成される。その結果、溝a1の前端と後端とを通して溝a1に流れる空気の流れを円滑化できる。
図6に示すように、フレーム50は、電子機器1の側面に沿った側壁部51を有している。側壁部51には、側方に張り出し且つ上下方向で向き合う張り出し部51a,51bが形成されている。張り出し部51a,51bは前後方向において延びている。側壁部51と張り出し部51a,51bとによって溝a1が構成されている。通気穴hは張り出し部51a,51bに形成されている。側壁部51には通気穴hは形成されていない。
換言すると、溝a1の内面は、上下方向で対向する2つの面を有している。すなわち、溝a1は、張り出し部51aが形成している第1面と、張り出し部51bが形成している第2面とを有している。また、溝a1の内面は、第1面と第2面とを繋ぐ第3面(側壁部51が形成している面)を有している。通気穴hは第1面及び第2面に形成されている。この構造によれば、電子機器1の外観において通気穴hが目立つことを抑えることができる。通気穴hは下側の張り出し部51a(第1面)と上側の張り出し部51b(第2面)のうちいずれか一方にのみ形成されてもよい。
上述の張り出し部51a,51bの端縁には、前後方向に延びている取付壁部51c,51dが形成されている。取付壁部51cは張り出し部51aに対して溝a1とは反対側(下側)に突出している。同様に、取付壁部51dは張り出し部51bに対して溝a1とは反対側(上側)に突出している。下カバー20は、電子機器1の底面を構成する底面部21と、電子機器1の側面を構成する側面部22とを有している。側面部22に通気穴は形成されておらず、側面部22は平らな外面を有している。張り出し部51aと取付壁部51cは、下カバー20の底面部21と側面部22の内側に配置されている。側面部22は取付壁部51cに沿って配置され、その内面に形成され且つ前後方向において並ぶ複数の係合部22aを通して取付壁部51cに取り付けられている。図6の例では、係合部22aは突起である。取付壁部51cには複数の穴又は凹部が形成されている。係合部22aは取付壁部51cに形成された穴又は凹部に嵌まっている。
上カバー30は、電子機器1の上面を構成する上面部31と、電子機器1の側面を構成する側面部32とを有している。側面部32に通気穴は形成されておらず、側面部32は平らな外面を有している。張り出し部51bと取付壁部51dは、上面部31と側面部32の内側に配置されている。側面部32は取付壁部51dに沿って配置され、その内面に形成された複数の係合部32aを通して取付壁部51dに取り付けられている。図6の例では、係合部32aは突起である。取付壁部51dには複数の穴又は凹部が形成されている。係合部32aは取付壁部51dに形成された穴又は凹部に嵌まっている。
溝a1の構造は、以上説明したものに限られない。例えば、張り出し部51aは下カバー20と一体的に形成され、張り出し部51bは上カバー30と一体的に形成されていてもよい。
図6に示すように、張り出し部51aは、隣接する2つの通気穴hを仕切る壁部51eを有している。壁部51eは上下方向に対して直交する方向に向いている。ここで説明する例では、壁部51eは前後方向に対して斜めに配置されている。壁部51の縦幅は、電子機器1の内部が露出しないように設定されている。
電子機器1は、その前面に、左右方向に延びている溝a2を有している。溝a2は上下方向における前面の中心を通っている。上述したように、前面には、挿入口52cとコネクタ7とが設けられている。挿入口52cとコネクタ7は溝a2に位置し、左右方向において並んでいる。これにより、挿入口52cとコネクタ7が電子機器1の外観において目立ち難くなる。また、塵がコネクタ7や挿入口52cに入ることを抑えることができる。溝a2は前面の右端から左端まで延びている。溝a2の端部は側面に形成した溝a1に繋がっている。
図7に示すように、フレーム50は電子機器1の前面に沿って配置される前壁部52を有している。前壁部52にはコネクタ7を露出させるための開口や、挿入口52cが形成されている。下カバー20は、底面部21の前縁から上方に延び、電子機器1の前面を構成する前面部23を有している。前面部23は前壁部52の前側に位置している。前面部23の上縁には前壁部52に向かって延びる張り出し部23aが形成されている。上カバー30は、上面部31の前縁から下方に延び電子機器1の前面を構成する前面部33を有している。前面部33は前壁部52の前側に位置している。前面部33の下縁にも、前壁部52に向かって延びている張り出し部33aが形成されている。張り出し部23a,33aは上下方向で向き合っている。張り出し部23a,33aと前壁部52とによって溝a2が形成されている。すなわち、溝a2の内面は、溝a1と同様に、上下方向で対向する第1面と第2面と、第1面と第2面とを繋ぐ第3面とを有している。第1面と第2面は張り出し部23a,33aによってそれぞれ形成され、第3面は前壁部52によって形成されている。挿入口52cとコネクタ7を露出させるための開口は、溝a2の第3面に形成されている。ここで説明する例の前面部23は後側に傾斜している。また、前面部33は下方に延びるとともに前側に傾斜している。これらは溝a2を挟んで互いに反対側に位置し、同一平面を構成している。
張り出し部23a,33aの縁と、前壁部52との間には、通気穴(ここで説明する例では吸気用の穴)として機能するクリアランスCが形成されている。冷却ファン3の駆動により、クリアランスCを通して空気が吸い込まれる。すなわち、溝a1の内面だけでなく溝a2の内面にも通気穴が設けられている。
前壁部52には、クリアランスCを確保するための複数のリブ52a,52bが形成されている。リブ52aは前壁部52から前面部23及び底面部21に向かって突出している。リブ52bは前壁部52から前面部33に向かって突出している。
前壁部52は、張り出し部33aの位置を超えて上方に延びている。また、前壁部52は張り出し部23aの位置を超えて下方に延びている。このため、クリアランスCを通して電子機器1の内部が露出することを、防ぐことができる。なお、クリアランスCは必ずしも設けられていなくてもよい。この場合、張り出し部23a,33aは前壁部52に形成されてもよい。
図9に示すように、下カバー20の前面部23に形成している張り出し部23aは、側面部22の前端の上縁まで延びている。すなわち、側面部22の上縁と前面部23の上縁との間の角に張り出し部23aの端部23bが設けられている。張り出し部23aの端部23bはそれらの角からフレーム50に向かって延びている。また、この例の下カバー20は、後において詳説するように、後面部24を有している。後面部24の上縁にも張り出し部24aが形成されている。張り出し部24aは側面部22の後端の上縁まで延び、側面部22の上縁と後面部24の上縁との間の角に張り出し部24aの端部24dが設けられている。つまり、下カバー20の上縁の4角に張り出し部が設けられている。4角の張り出し部は全体としてフレーム50を取り囲んでいる。角に設けられた張り出し部はフレーム50の張り出し部51aとともに溝a1の第1面を構成する。この構造によれば、下カバー20とフレーム50の角において隙間が生じていた場合でも、その隙間が目立ちにくくなるので、良好な外観を確保し易くなる。また、前面部23と側面部22と後面部24の剛性を確保し易くなる。
上カバー30も、下カバー20と同様に、その角に張り出し部を有している。詳細には、図10に示すように、前面部33の張り出し部33aは、側面部32の前端の下縁まで延びている。すなわち、側面部32の下縁と前面部33の下縁との間の角に張り出し部33aの端部33bが設けられている。また、上カバー30は、後において詳説するように、後面部34を有している。後面部34の下縁にも張り出し部34aが形成されている。張り出し部34aは側面部32の後端の下縁まで延びており、側面部32の下縁と後面部34の下縁との角に、張り出し部34aの端部34dが設けられている。つまり、上カバー30の下縁の4角に張り出し部が設けられている。角に設けられた張り出し部はフレーム50の張り出し部51bとともに溝a1の第2面を構成する。この構造によれば、上カバー30とフレーム50の角において隙間が生じていた場合でも、その隙間が目立ちにくくなるので、良好な外観を確保し易くなる。また、前面部33と側面部32と後面部34の剛性を確保し易くなる。
図1に示すように、電子機器1の前面にはボタン9a,9bが設けられている。ボタン9a,9bのうち一方は、例えば電源ボタンであり、他方は例えば光ディスクの取り出しボタンである。ボタン9aは溝a2の下側に位置し、ボタン9bは溝a2の上側に位置している。ボタン9a,9bは電子機器1の前面に対して前方に突出していない。すなわち、ボタン9a,9bの前面は、前面部23,33が構成する平面と同一平面に、或いは、前面部23,33が構成する平面よりも僅かに後方に、位置している。上述したように、電子機器1の前面は後側に傾斜している。このため、ボタン9a,9bが死角になることを抑えることができる。例えば、電子機器1が縦置きされ、電子機器1の底面が棚の奥の面に当てられている場合でも、電子機器1の前面が傾斜しているのでユーザはボタン9a,9bを見ることができる。
下カバー20の前面部23には、上下方向において延びている溝が形成されている。ボタン9aは縦に細長い部材であり、前面部23の溝に配置されている。上カバー30の前面部33にも上下方向において延びている溝が形成されている。ボタン9bは縦に細長い部材であり、前面部33の溝に配置されている。前面部23の溝の延長上に前面部33の溝が位置している。すなわち、左右方向における下カバー20の溝の位置と、左右方向における上カバー30の溝の位置は一致している。
上述したように,上カバー30は左上カバー30Lと右上カバー30Rとを含み、それらは左右方向で分離可能となっている。図5の例では、左上カバー30Lの右縁と右上カバー30Rの左縁とに、互いに係合する係合部31c,31dがそれぞれ形成されている。例えば、係合部31c,31dのうち一方の係合部は、他方の係合部に引っ掛かるばね部を有する。
左上カバー30Lと右上カバー30Rの間には、それらが結合した状態で、溝が形成される。詳細には、左上カバー30Lの前面部33Lと右上カバーの前面部33Rの間に、ボタン9bが配置される上述の溝が形成される。左上カバー30Lの上面部31Lと、右上カバー30Rの上面部31Rとの間には前後方向において延びる溝a4(図1)が形成されている。上面部31L,31Rの間の溝は、それらの前縁から後縁まで延びている。この溝a4の前端は前面部33L,33Rの溝に繋がっている。上面部31L,31Rの間の溝a4には、電子機器1の動作状態(例えば、電源のオン/オフ状態)を示すインジケータが設けられてもよい。すなわち、上面部31L,31Rの溝a4には、電子機器1の動作状態に応じた色で光る発光部が設けられてもよい。
ここで説明する例では、電子機器1の前面及び上面に設けられている上述の溝は、さらに背面及び底面に延伸し、電子機器1の全体を取り囲んでいる。すなわち、図8に示すように、下カバー20の底面部21には前後方向に延びる溝a5が形成されている。底面部21の溝a5の前端は、ボタン9aが配置された溝に繋がっている。後述する下カバー20の後面部24には、底面部21の溝a5から延びる溝a6が形成されている。また、後述する上カバー30の後面部34には、上面部31の溝a4から延びる溝a7が形成されている。
図8に示すように、下カバー20の底面部21の溝の前端と後端とには、底面部21に対して僅かに突出した支持部21cが設けられている。電子機器1が横置きされる場合に、支持部21cは電子機器1を支持する。支持部21cは溝a5に対応した幅を有している。これによれば、支持部21cが目立ちにくくなる。また、底面部21の右側又は左側の縁(ここで説明する例では右縁)には、底面部21に対して僅かに突出した支持部21dが設けられる。
電子機器1はユーザによる取り替えが可能な部品を有している。電子機器1は、この部品の例として、ハードディスクドライブ8を有している(図3及び図5参照)。ハードディスクドライブ8はフレーム50上に配置され、左上カバー30Lによって覆われている。上述したように、左上カバー30Lは右上カバー30Rから分離可能となっている。ユーザは左上カバー30Lを外すことで、ハードディスクドライブ8を交換できる。
左上カバー30Lは電子機器1の4つの面を構成している。すなわち、図1に示すように、左上カバー30Lは上面部31Lと側面部と前面部33Lと後面部34Lとを含み、これらは電子機器1の上面、側面、前面、及び後面を構成している。そのため、左上カバー30Lを取り外すと、フレーム50の広い範囲が露出する。そのため、ハードディスクドライブ8の取り替え作業の作業性を向上できる。
図8に示すように、電子機器1の背面には複数のコネクタが設けられている。コネクタ6aは電源コネクタである。コネクタ6b,6c,6d,6eは、例えば、AV端子や、イーサネット(登録商標)などの通信用端子、外部機器を接続するためのAUX端子などである。コネクタ6aは背面における下側部分に設けられ、コネクタ6b,6c,6d,6eは背面における上側部分に設けられている。上述したように、電子機器1の後面は後側に傾斜している。そのため、コネクタ6b,6c,6d,6eに接続したケーブルの端部に外力が作用することを抑えることができる。コネクタ6a,6b,6c,6d,6eは後面における左右方向の一方側(ここで説明する例では右側)に配置されている。電子機器1の縦置き時には、当該一方側が下側になるように配置される。
後において説明するように、下カバー20と右上カバー30Rは後面の螺子によってフレーム50に取り付けられている。その一方で、左上カバー30Lのフレーム50への取付には螺子は利用されておらず、係合部31c,31dの係合を解消することにより、左上カバー30Lは取り外すことができる。すなわち、左上カバー30Lは下カバー20と右上カバー30Rとに比べて容易に取り外すことができる。コネクタ6a,6b,6c,6d,6eはいずれも取り外しが比較的困難なカバー(下カバー20と右上カバー30R)の内側に位置している。
電子機器1の背面には複数の通気穴pが設けられている(ここで説明する例では、通気穴pは排気用の穴である)。冷却ファン3の駆動により、通気穴pを通して空気が排出される。上述したように、電子機器1の背面は後方に傾斜している。そのため、電子機器1を棚など比較的狭い場所に収納した場合でも、背面の後側にスペースが形成されるため、排気効率が低下することを抑えることができる。
図8に示すように、下カバー20は、底面部21の後縁から上方に延びるとともに後側に傾斜している後面部24(図9参照)を有している。上カバー30は上面部31の後縁から下方に延びるとともに前側に傾斜している後面部34(図10参照)を有している。フレーム50は、後面部24,34の内側に位置し、且つ後面部24,34に沿って配置される後壁部53(図5参照)を有している。通気穴pはフレーム50の後壁部53に形成されている。隣接する2つの通気穴pはルーバー53aによって仕切られている。カバー20,30の後面部24,34には、通気穴p或いはコネクタ6a,6b,6c,6d,6eを露出させるための開口24b,34b(図9及び図10参照)が形成されている。
上カバー30と下カバー20とに後面部24,34を設けることにより、これらの剛性を増すことができている。図10に示すように、後面部34の下縁には、後壁部53に向かって延びる張り出し部34aが形成されている。図9に示すように、後面部24の上縁には後壁部53に向かって延びる張り出し部24aが形成されてる。後面部34の張り出し部34aと後面部24の張り出し部24aは上下方向で対向している。これにより、電子機器1の背面においては、2つの張り出し部24a,34a及び後壁部53で構成される溝a3(図4参照)が形成されている。すなわち、溝a3の内面は、溝a1と同様に、上下方向で対向する第1面と第2面と、第1面と第2面とを繋ぐ第3面とを有している。第1面と第2面は張り出し部24a,34aによってそれぞれ形成され、第3面は後壁部53によって形成されている。第3面に複数の通気穴pが形成されている。溝a3の左右の端部は側面に形成された溝a1に繋がっている。すなわち、電子機器1の全周に一連の溝a1,a2,a3が形成されている。なお、背面の溝a3は必ずしも形成されていなくてもよい。
電子機器1には、通気穴h,p、コネクタ7を露出させるための開口、及び記録媒体の挿入口52cが形成されている。これらの穴や開口は溝a1,a2,a3の内面に形成されている。特に電子機器1の側面及び前面においては、通気穴h、コネクタ7を露出させるための開口、及び記録媒体の挿入口52cの位置は溝a1,a2に集中している。この構造によれば、穴や開口の位置が電子機器1の外面において分散している構造に比して、電子機器1の外装部材の剛性を確保することが容易となる。この例では、通気穴h、コネクタ7を露出させるための開口及び記録媒体の挿入口52cはフレーム50に形成されている。そのため、外装部材であるカバー20,30の剛性を確保することが容易となる。また、ボタン9a,9b及びインジケータは前面に形成された溝及び上面に形成された溝a4に配置されている。つまり、ボタン9a,9b及びインジケータも比較的小さな領域に集約している。そのため、これらがが電子機器1の外面において分散している構造に比して、外装部材の剛性を確保することが容易となる。
図9に示すように、下カバー20の後面部24には、下カバー20をフレーム50に固定する螺子を差し込むための穴24cが形成されている。上述したように、下カバー20の左右の側面部22にはフレーム50の側壁部51に取り付けるための係合部22aが設けられている。右上カバー30Rの後面部34Rには、右上カバー30Rをフレーム50に固定する螺子を差し込むための穴34c(図8参照)が形成されている。また、右上カバー30Rの左縁に設けられた係合部31dも螺子でフレーム50に取り付けられる。一方、左上カバー30Lのフレーム50への取り付けに螺子は利用されていない。すなわち、左上カバー30Lは、右上カバー30Rに係合する係合部31cと、左上カバー30Lの側面部に形成された係合部32a(図6参照)とによって固定されている。そのため、ユーザはハードディスクドライブ8の交換時にそれらの係合を解消することにより、左上カバー30Lを取り外すことができる。
以上説明したように、電子機器1では、側面に溝a1が形成され、側面に設けられた複数の通気穴hは溝a1に形成されている。そのため、電子機器の縦置き時においても通気穴hが塞がることを抑えることができるので、通気効率の低下を抑えることができる。
なお、本発明は以上説明した電子機器1に限られず、種々の変更がなされてよい。
例えば、側面の溝a1には通気穴として排気用の穴が設けられてもよい。
フレーム50は必ずしも設けられていなくてもよい。この場合、上カバー30と下カバー20とが合体して箱状の筐体を構成してもよい。
上カバー30は必ずしも左上カバー30Lと右上カバー30Rとに分離されなくてもよい。
電子機器1は必ずしも側面視において平行四辺形でなくてもよい。例えば、電子機器1は側面視において略長方形でもよい。