以下に添付図面を参照して、本発明に係る貨幣処理装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、説明の便宜上、紙幣処理装置と同様の構成を有する硬貨処理装置の説明を省略するが、本発明の適用範囲を紙幣処理装置に限定するものではなく、紙幣処理装置および硬貨処理装置の両方または片方だけが存在する場合にも本発明を同様に適用することができる。
まず、本実施例に係る紙幣処理装置の全体構成について説明する。図1は、本実施例に係る紙幣処理装置の全体構成を示す構成図である。
図1に示すように、紙幣処理装置1では、当該紙幣処理装置1を紙幣の入出金処理を行う入出金部10、紙幣を収納/繰出する収納繰出部20および紙幣を収納する収納部30に区分けし、異なる3者の当事者が当該当事者に許容される部位だけを取扱可能なように入出金部10、収納繰出部20および収納部30を構成した。
これによって、本実施例では、3者以上の当事者が紙幣の取り扱いに関与することを可能とした。
例えば、図2の(1)〜(4)に示すように、店舗の操作者(オペレータ)、店舗のバックヤード責任者(店舗マネージャ)、銀行員、銀行員の代理人(メンテナンス員)、収集特定者(例えば、警備会社の警備員)などの多様な当事者及びその代理人に多種多様な組合せで入出金部10、収納繰出部20及び収納部30の取扱権限を区分けさせることができる。
ここで、本実施例では、図2に示した取扱権限の区分けの中でも図2の(3)に示した取扱権限を入出金部10、収納繰出部20及び収納部30それぞれに持たせる場合についての実施例を例示することとする。
すなわち、本実施例では、銀行等の金融機関が紙幣処理装置1を店舗にリースし、店舗の営業中には、入出金部10と収納繰出部20の間で現金授受を行うとともに収納繰出部20内の余分な現金を収納部30に現金移動し、警備会社に収納部30内の現金を回収させる運用を想定している。
かかる運用により、店舗の銀行口座の現金として引落や預入を自在にするとともに店舗での過剰な現金残置を予防し、現金運搬に警備会社を介在させることで、店舗および銀行の資金流動を効率化しつつ、資金運搬時の防犯性を高めるためである。
そして、入出金部10を取り扱う際には、後述する操作ターミナル110でのカードもしくはパスワードを用いた認証処理を経た上で入出金可能とし、収納繰出部20を取り扱う際には、操作ターミナル110でのカードもしくはパスワードを用いた認証処理または図示しない金庫ダイヤルや金庫レバーを介した所定の操作を経た上で装置内部への接触を可能とし、また、収納繰出部20を取り扱う際にも、収納繰出部20の場合と同様にして内部の露出を可能なように構成した。
このため、本実施例では、店舗、銀行および警備会社の3者がそれぞれに許容された区分の部位以外の紙幣に接触することを防止することができ、当事者が3者であっても当事者間の不可侵性を担保することができる。
また、本実施例では、収納繰出部20及び収納部30それぞれを別の金庫内に設置し、図1で示した入出金部10と収納繰出部20が隣接する部分、および、収納繰出部20と収納部30が隣接する部分の金庫の隔壁に1つまたは複数の紙幣通路用開口を設けておき、この紙幣通路用開口を通して紙幣を搬送し、収納繰出部20の金庫の扉および収納部30の金庫の扉を電子錠や機械錠などの施錠機構により施錠するように構成したので、当事者以外の第三者(例えば、不正な店舗オペレータや犯罪者等の第三者)に対する防犯性を飛躍的に高めることができる。
なお、本実施例では、収納繰出部20及び収納部30それぞれを別の金庫内に設置することとしたが、必ずしも収納繰出部20及び収納部30を別々の金庫に設置する必要はなく、収納繰出部20及び収納部30を1つの金庫内に設置しておき、収納繰出部20と収納部30の隣接部分を隔壁で遮断して扉をそれぞれに設置するように構成してもかまわない。
続いて、本実施例に係る紙幣処理装置の各部の構成について説明する。図1に示すように、入出金部10は、入金口11と、識別部12と、出金口13と、入金リジェクト口(以下、入金Rj口)14と、リジェクト一時保留部(以下、Rj一時保留部)15と、搬送部16とを有する。
入金口11は、装置の天面を凹状に窪ませて略長方形の開口を形成したボックスであり、ボックスの底面に設けられたローラ等の繰込み手段により入金紙幣を1枚ずつ内部に繰り込む。なお、この入金口11、そして後述する出金口13及び入金Rj口14を常に露出状態に置いておくのは安全性に欠けるため、実際には使用時にだけ開放状態となるシャッタが設けられている。
識別部12は、紙幣を識別するビルバリユニット(billvalid unit)であり、例えば、紙幣の真偽判定、正損判定、金種判定や新旧等の券種判定など各種の鑑別を行う。なお、真偽判定では、貨幣が本物か偽物かを判定する。また、正損判定では、本物の貨幣のうち状態の良いものを正券、汚れや損傷があるものを損券と判定する。
出金口13は、装置の天面を凹状に窪ませて略長方形の開口を形成したボックスであり、出金処理時に識別部12によって適正紙幣と識別された出金紙幣を装置外部から取出可能に投出する。なお、出金口13及び入金Rj口14では、紙幣の抜き取りを検知するべく、図示しない抜き取り検知用のセンサが設けられている。
入金Rj口14は、装置の前面を凹状に窪ませて略長方形の開口を形成したボックスであり、入金処理時に不適正貨幣と識別された入金Rj紙幣を装置外部から取出可能に投出する投出口である。なお、ここで言う入金Rj紙幣とは、入金される紙幣を識別した段階で、識別不能紙幣、偽紙幣、複数枚の紙幣が連なって搬送された連鎖状態での入金紙幣、損傷のひどい紙幣などと識別された紙幣を指す。また、出金取引時には、出金口13と同様に、出金紙幣を装置外部から取出可能に投出することができる。これにより、出金口13と入金Rj口14を用いて、多様な出金取引が可能となる。
Rj一時保留部15は、出金処理時に不適正紙幣と識別された出金Rj紙幣を一時保留する収納繰出部であり、Rj一時保留部15内部に出金Rj紙幣を繰り込む機構およびRj一時保留部15外部に出金Rj紙幣を繰り出す機構を有している。なお、出金Rj紙幣とは、出金される紙幣を識別した段階で、識別不能紙幣、偽紙幣、複数枚の紙幣が連なって搬送された連鎖状態での出金紙幣、損傷のひどい紙幣などと識別された紙幣を指す。
搬送部16は、紙幣を表裏両側から挟持して一枚ずつ搬送する一対のベルトからなるベルトコンベアを有し、入金口11、識別部12、出金口13、入金Rj口14、Rj一時保留部15、後述するスタッカ21A〜21F、精査カセット21G及び集積部31の間で紙幣の搬送を行う。
また、収納繰出部20は、図1に示すように、スタッカ21A〜21Fと、精査カセット21Gとを有する。
スタッカ21A〜21Fは、紙幣を内部に繰り込んで集積して収納するとともに集積紙幣を1枚ずつ搬送部16に繰り出す収納繰出部であり、紙幣の集積量がエンプティである場合にステージがステージ開始位置に所在し、紙幣の集積量が増えるにつれてステージの位置が下方向に移動し、最終的にはステージ下限位置まで移動することができる。一方、繰り出し時には、紙幣を繰り出すにつれてステージが上昇し、全ての紙幣を繰り出すと、ステージがステージ上限位置まで移動する。
なお、本実施例では、スタッカ21Aには$1紙幣を、スタッカ21Bには$5紙幣を、スタッカ21Cには$10紙幣を、スタッカ21Dには$20紙幣を、スタッカEには$50紙幣を、また、スタッカ21Fには$100紙幣を割り当てることとする。ここでは、1つのスタッカにつき1つの金種を割り当てることとしたが、1つのスタッカに2種類の金種を混在収納してもよいし、複数のスタッカに同一金種を収納するようにしてもかまわない。
精査カセット21Gは、スタッカ21A〜21Fと同様に、紙幣を内部に繰り込んで集積して収納するとともに集積紙幣を1枚ずつ搬送部16に繰り出す収納繰出部であり、収納繰出部20に着脱可能な現金カセットとして構成される。
この精査カセット21Gは、紙幣ジャム(紙幣詰り)などが原因でスタッカ21A〜21F(以下、複数のスタッカを総称する場合にはスタッカ21と記載する)の収納枚数が不確定になった場合にそのスタッカ21の収納枚数を精査するためのものであり、精査時に精査対象のスタッカ21の紙幣を受け入れて収納した後、この収納した紙幣を繰り出す動作を行う。
また、精査カセット21Gに補充用紙幣を装てんし、スタッカ21A〜21Fに紙幣を補充することもできる。また、スタッカ21A〜21Fと同様に、収納繰出部として使用することもできる。また、スタッカ21が満杯(フル状態)になった場合、オーバーフローした紙幣を受け入れるオーバーフロースタッカとしても使用できる。
また、収納部30は、紙幣を上下に立てた姿勢のまま紙幣面(表面または裏面)を合わせて整列させた状態で紙幣を水平方向に集積する集積部31を有し、集積部31は、図3に示すように、搬送通過検知部31aと、補助札押えローラ31bと、集積車31cと、札押え31dと、集積紙幣端面検知部31eとを内在する。
この集積部31では、搬送部16によって搬送される搬送紙幣を搬送通過検知部31aによって検知し、搬送紙幣が検知された場合に、補助札押えローラ31bを反時計回りに回転させることよって紙幣のばたつきを抑えながら、集積車31cを時計回りに回転させることにより紙幣を巻き込みながら札押え31dに押し付ける。そして、集積部31は、集積紙幣が集積紙幣端面検知部31eにより検知されると、札押え31dを奥手方向に可動させる。
なお、収納部30に収納される紙幣は、営業終了後に売上金等が入金された状態で回収されることから膨大な量となるケースが多い。このため、本実施例では、店舗の営業終了後に警備会社の警備員が立位体勢で整列した紙幣を手回収して小分け詰めできるように引出し式の集積部31を例示したが、現金カセットとしてもかまわない。その場合は、集積部31と比較して、警備員に直接現金を触らせなくともよい等のメリットが得られる。集積部31を縦長に構成し、麻袋、樹脂袋等の袋に紙幣を落下させてもかまわない。
また、本実施例では、紙幣の収納だけを行う収納部30を第3の部位として例示したが、第2の部位である収納繰出部20と同様に、紙幣の繰り出しもさらに行う収納繰出部として第3の部位を構成することもできる。この場合には、第3の部位である収納繰出部から第2の部位である収納繰出部20に、Rj一時保留部15や精査カセット21G等を介して、紙幣の補充を行うように構成することもできる。
ここで、本実施例では、入出金部10と収納繰出部20の境界で紙幣ジャムが発生した場合でもいずれの取扱権限の区分に紙幣が属するかを明確化する機構を有している。
例えば、搬送部16によってスタッカ21Cに$10紙幣を搬送する際に入出金部10と収納繰出部20の境界で紙幣ジャムが発生した場合を想定する。このとき、図1に拡大して図示したように、入出金部10側の搬送ローラのグリップ力P1と収納繰出部20側の搬送ローラのグリップ力P2の間に差を設け、P1>P2と設定する。
このように両者のグリップ力を設定しておけば、紙幣ジャムが入出金部10と収納繰出部20の境界で発生したとしても、紙幣全体がセンサ18cを通過して収納繰出部20内への移動が確定したと判断される前に入出金部10側に引き戻すことができる。
このため、店舗側だけに完結して紙幣ジャムの解除操作を行うことができ、銀行の代理人(メンテ員)に連絡して訪問を待つ時間と労力を省くことができる。さらに、収納繰出部20と収納部30の間にも同様の機構を備えており、引き戻した紙幣を任意のスタッカ等に収納することができる。
次に、図4〜図8を用いて、本実施例に係る紙幣処理装置の紙幣の流れについて説明する。
まず、入金時における紙幣の流れについて説明する。図4は、入金時における紙幣の流れを説明するための説明図である。図4に示すように、入金時には、入金口11で繰り込んで受け入れた紙幣を搬送部16により識別部12を通過させて紙幣を識別させる。このとき、識別結果に応じて搬送先が決定される。例えば、識別結果が$1紙幣であった場合にはスタッカ21Aに搬送され、識別結果が$5紙幣であった場合にはスタッカ21Bに搬送されるというように、$10紙幣、$20紙幣、$50紙幣、$100紙幣の場合も同様にして搬送される。
続いて、入金返却における紙幣の流れについて説明する。入金返却とは、入金操作に応答して紙幣がスタッカ21に一旦収納されて入金金額とその金種内訳の確認表示が操作ターミナル110でなされた時に、入金金額または金種内訳を不服としてなされた入金の拒否操作に応答して行われる紙幣の返却を指す。
入金返却時には、$1紙幣〜$100紙幣までのいずれの金種の紙幣を返却(出金)する場合でも、スタッカ21から搬送部16に紙幣が繰り出され、該繰出された紙幣が搬送部16によって識別部12に搬送される。
このとき、出金適正紙幣として識別された場合には、搬送部16により紙幣が出金口13に搬送される一方で、出金不適正紙幣(出金Rj紙幣)として識別された場合には、搬送部16により紙幣がRj一時保留部15に搬送される。
そして、Rj一時保留部15に一時保留された出金Rj紙幣は、即座に収納元のスタッカ21に搬送されるか、或いは現在返却中の金種の返却が終了してから収納元のスタッカ21に搬送される。また、取引が連続する場合、一連の取引終了後、この搬送処理を行ってもよい。具体的には一定時間以上取引がない場合に行う。
このように、出金Rj紙幣を収納元のスタッカ21に搬送する戻し搬送を行うのは、Rj一時保留部15が収納繰出部20ではなく、本来的に出金Rj紙幣の所有権を持たない店舗が取扱権限を有する入出金部10に所在するからである。
すなわち、出金Rj紙幣の本来の所有者は銀行であるにもかかわらず、本来の所有者である銀行に取扱権限のないRj一時保留部15で長期間保持される状況が続くことは好ましくない。また、収納繰出部20に本来存在すべき紙幣が店舗に取扱権限がある入出金部10に存在するため、収納繰出部20の在高が不確定な状態になる。
したがって、本実施例では、本来の所有者である銀行が取扱権限を有する収納繰出部20に出金Rj紙幣を可及的速やかに戻し、紙幣が所在する部位の取扱権限と紙幣の所有権との整合性を担保するとともに収納繰出部20の在高を確定状態に戻すこととした。
このことから、Rj一時保留部15が収納繰出部20に所在する場合には、スタッカ21から繰り出されてRj一時保留部15に一時保留された紙幣の枚数が確定しているならば、上記の戻し搬送を必ずしも行う必要はなく、出金Rj紙幣をRj一時保留部15に貯留しておくこともできる。
また、本実施例では、同一の紙幣が所定の回数(例えば、3回)繰り返して出金Rj紙幣と識別された場合には、収納部30の集積部31に収納することとしている。
ここで、同一の紙幣が繰り返し出金Rj紙幣となる原因として、スタッカ21の繰出機構の不具合が挙げられるが、かかる不具合により複数枚の紙幣が重なって出金Rj紙幣として集積部31に搬送される場合には、集積部31に収納される出金Rj紙幣の枚数が不透明になってしまう。
そこで、本実施例では、スタッカ21に紙幣が収納される前段階で識別部12によって識別される紙幣の記番号を後述する記憶部120に登録しておき、さらに、入金返却時に繰り出される段階においても紙幣の記番号を記憶部120に登録し、収納時の記番号と繰出時の記番号を比較して、集積部31に収納される出金Rj紙幣の枚数を特定することとした。
例えば、スタッカ21への収納段階で紙幣の記番号が「0034」、「0209」、「1309」、「0020」という順番で登録されていたとした時には、スタッカ21の繰出機構に不具合がなければ、繰出時には「0020」、「1309」、「0209」、「0034」というように収納時とは逆の順番に記番号が登録されることになる。そして、仮に繰出機構に不具合が発生して繰出時の記番号が「0020」、「不明」、「0034」と登録されていた場合には、収納時の記番号と比較して記番号「1309」及び「0209」を持つ紙幣が欠落しているので、これら2つの記番号を持つ紙幣が重なって「不明」と識別されていたと特定することができ、「1309」及び「0209」の記番号を持つ紙幣2枚が集積部31に収納されたものと見做すことができる。
次に、出金時における紙幣の流れについて説明する。図5は、出金時における紙幣の流れを説明するための説明図である。図5に示すように、出金時には、$1紙幣〜$100紙幣までのいずれの金種の紙幣を出金する場合でも、スタッカ21から搬送部16に紙幣が繰り出され、該繰出された紙幣が搬送部16によって識別部12に搬送される。
このとき、出金適正紙幣として識別された場合には、搬送部16により紙幣が出金口13に搬送される一方で、出金不適正紙幣(出金Rj紙幣)として識別された場合には、搬送部16により紙幣がRj一時保留部15に搬送される。なお、Rj一時保留部15に一時保留された出金Rj紙幣については、上記の入金返却で説明した戻し搬送または集積部31への搬送が行われることになる。
次に、入金口補充時における紙幣の流れについて説明する。入金口補充とは、入金口11から紙幣を投入してスタッカ21A〜21Fに出金用紙幣を補充することを指す。
入金補充時には、入金口11で繰り込んで受け入れた補充用の紙幣を搬送部16により識別部12を通過させて紙幣を識別させる。このとき、識別結果に応じて搬送先が決定される。
例えば、識別結果が$1紙幣であった場合にはスタッカ21Aに搬送され、識別結果が$5紙幣であった場合にはスタッカ21Bに搬送されるというように、$10紙幣、$20紙幣、$50紙幣、$100紙幣の場合も同様にして搬送される。一方、識別結果が入金Rj紙幣であった場合には、いずれのスタッカ21にも収納させずに搬送部16により入金Rj口14から排出させる。なお、補充用の紙幣が入金適正紙幣であると識別された場合でも、その識別金種に対応するスタッカ21がニアフル状態またはフル状態である場合には、搬送部16により出金口13から返却させる。
次に、カセット補充時における紙幣の流れについて説明する。カセット補充とは、紙幣を収納した状態で精査カセット21Gを収納繰出部20に装着してスタッカ21A〜21Fに出金用の紙幣を補充することを指す。
カセット補充時には、精査カセット21Gから搬送部16に紙幣が繰り出され、該繰出された紙幣が搬送部16によって識別部12に搬送される。このとき、識別結果に応じて搬送先が決定される。
例えば、識別結果が$1紙幣であった場合にはスタッカ21Aに搬送され、識別結果が$5紙幣であった場合にはスタッカ21Bに搬送されるというように、$10紙幣、$20紙幣、$50紙幣、$100紙幣の場合も同様にして搬送される。一方、識別結果が入金Rj紙幣であった場合には、いずれのスタッカ21にも収納させずに搬送部16により入金Rj口14から排出させる。なお、補充用の紙幣が入金適正紙幣であると識別された場合でも、その識別金種に対応するスタッカ21がニアフル状態またはフル状態である場合には、搬送部16により出金口13から返却させる。または、Rj一時保留部15へ搬送して保留した後、精査カセット21Gへ搬送して収納しても良い。
次に、引渡時における紙幣の流れについて説明する。図6は、引渡時における紙幣の流れを説明するための説明図である。引渡とは、スタッカ21に収納された紙幣を集積部31に引き渡すことを指す。
図6に示すように、引渡時には、$1紙幣、$5紙幣、$10紙幣及び$20紙幣などの低額紙幣を収納するスタッカ21A〜21Dと、$50紙幣及び$100紙幣などの高額紙幣を収納するスタッカ21E及び21Fとの間で、集積部31に搬送するまでに精査カセット21Gを経由させるか否かが異なる。
なお、この違いは、紙幣処理装置1のスタッカ21のレイアウトによるものであり、低額紙幣または高額紙幣であるかによって引渡経路を異にするものではない。すなわち、図1に示す紙幣処理装置1では、高額紙幣ほど出金用紙幣として用いる機会が少なく、スタッカ21に常備すべき枚数も少なくなることから、紙幣が高額になるにつれてスタッカの容量を小さくしたレイアウトを採用している。
そして、スタッカ21E及び21Fから引渡しを行う場合に精査カセット21Gを経由させるのは、スタッカ21E及び21Fから識別部12まで紙幣を搬送する経路と、識別部12による識別後に紙幣を収納部30まで搬送する経路とが重複するというレイアウト上の理由によるものであり、たとえば入出金部10と隣接するようにスタッカ21E及び21Fを設けることにより、レイアウト上の制約をなくして経路重複がないように構成することもできる。
スタッカ21A〜21Dの紙幣を引き渡す場合には、図6(a)に示すように、スタッカ21A〜21Dのいずれかのスタッカ21から搬送部16に紙幣が繰り出され、該繰出された紙幣が搬送部16によって識別部12に搬送される。
このとき、出金適正紙幣として識別された場合には、搬送部16により紙幣が集積部31に搬送される一方で、出金不適正紙幣(出金Rj紙幣)として識別された場合には、搬送部16により紙幣がRj一時保留部15に搬送される。なお、Rj一時保留部15に一時保留された出金Rj紙幣については、上記の入金返却で説明した戻し搬送または集積部31への搬送が行われることになる。
また、スタッカ21E及び21Fの紙幣を引き渡す場合には、図6(b)に示すように、スタッカ21Eまたは21Fから搬送部16に紙幣が繰り出され、該繰出された紙幣が搬送部16によって精査カセット21Gに搬送される。その後に、精査カセット21Gから搬送部16に紙幣が繰り出され、該繰出された紙幣が搬送部16によって識別部12に搬送される。
このとき、出金適正紙幣として識別された場合には、搬送部16により紙幣が集積部31に搬送される一方で、出金不適正紙幣(出金Rj紙幣)として識別された場合には、搬送部16により紙幣がRj一時保留部15に搬送される。なお、Rj一時保留部15に一時保留された出金Rj紙幣については、上記の入金返却で説明した戻し搬送または集積部31への搬送が行われることになる。この場合には、Rj一時保留部15に保留するために搬送される紙幣の経路と、精査カセット21Gから識別部12に搬送する紙幣の経路とが重複することとなるので、出金Rj紙幣発生時には、精査カセット21Gからの紙幣の繰出しを一時停止して戻し搬送または集積部31への搬送を行う。
次に、精査往路時における紙幣の流れについて説明する。精査とは、紙幣ジャム(紙幣詰り)などが原因でスタッカ21の収納枚数(後述する収納繰出部在高)が不確定になった場合に各スタッカ21の収納枚数を精査することを指し、金種(スタッカ)ごとに精査を行う。なお、精査には、スタッカ21内の紙幣が精査カセット21Gまで搬送される往路と、精査カセット21G内に搬送された紙幣がスタッカ21内に搬送される復路とが存在し、ここではその往路について説明する。
例えば、低額紙幣のスタッカから昇順に精査が行われるとした時には、スタッカ21Aから搬送部16に紙幣が繰り出され、該繰出された紙幣が搬送部16によって識別部12に搬送される。このとき、$1紙幣であるとの識別結果が得られた場合には、搬送部16により紙幣が精査カセット21Gに搬送する一方で、出金不適正紙幣(出金Rj紙幣)として識別された場合には、搬送部16により紙幣がRj一時保留部15に搬送される。なお、Rj一時保留部15に一時保留された出金Rj紙幣については、上記の入金返却で説明した戻し搬送または集積部31への搬送が行われることになる。
このようにして、スタッカ21Aに収納紙幣がなくなるまでスタッカ21A、搬送部16、識別部12の順番で紙幣を搬送してその紙幣の識別を行う。
続いて、精査復路時における紙幣の流れについて説明する。図7は、精査復路時における紙幣の流れを説明するための説明図である。例えば、スタッカ21Aから精査カセット21G内に搬送された紙幣がスタッカ21A内に再び搬送される復路を例に挙げると、精査カセット21Gから搬送部16に紙幣が繰り出され、該繰出された紙幣が搬送部16によって識別部12に搬送される。
このとき、往路で$1紙幣であると識別されたように、復路でも$1紙幣であると再び識別された場合には、当該$1紙幣が搬送部16によってスタッカ21Aに搬送される一方で、出金不適正紙幣(出金Rj紙幣)として識別された場合には、搬送部16により紙幣がRj一時保留部15に搬送される。なお、Rj一時保留部15に一時保留された出金Rj紙幣については、上記の入金返却で説明した戻し搬送または集積部31への搬送が行われることになる。
このようにして、精査カセット21G内に収納された$1紙幣がなくなるまで同様の動作を繰り返し行い、精査カセット21G内に$1紙幣がなくなった時点でスタッカ21Aの精査が完了したことになる。そして、スタッカ21Aに収納された紙幣の精査が往路および復路について完了した場合には、スタッカ21Bについて往路および復路の精査を開始し、最終的には、スタッカ21Fの精査が終了するまで繰り返し行う。
このように、スタッカ21から精査カセット21Gに搬送する往路において識別部12でスタッカ21の金種と合致するか否かを識別させ、精査カセット21Gからスタッカ21に搬送する復路において識別部12でスタッカ21の金種と合致するか否かを再度識別させることにより、紙幣ジャム(紙幣詰り)などが原因でスタッカ21の収納枚数が不確定になった場合でも正確な収納枚数を再特定することができる。
なお、本実施例では、往路および復路の両方で識別を行うこととしたが、往路および復路で行われる識別処理のうち一方の識別処理を省くことも可能である。また、本実施例では、全スタッカ21の精査を行う例を説明したが、紙幣ジャムの発生時等で在高が不確定となったスタッカ21だけを対象に精査を行うこともできる。また、指定したスタッカ21のみを精査することもできる。
次に、整理計数時における紙幣の流れについて説明する。整理計数とは、店舗オペレータが持つ手許金等の金額または金種別の枚数を整理するために計数することを指し、たとえば複数の金種が混在した紙幣の中から指定金種の紙幣を指定枚数抽出する整理を行う。
例えば、複数の金種が混在する紙幣100枚の中から$10紙幣を30枚抽出する整理を行うとした時には、入金口11に載置された金種混在の紙幣を順次繰り込み、入金口11から受け入れた紙幣を搬送部16により識別部12を通過させて紙幣を識別させる。
このとき、識別部12により$10紙幣以外の紙幣であると識別された場合、たとえば他の金種の紙幣であったり、リジェクト紙幣などの整理対象外の紙幣である場合などには、搬送部16により整理対象外の紙幣が入金Rj口14に搬送される。
一方、識別部12により$10紙幣と識別された場合、すなわち整理対象の紙幣である場合には、搬送部16により$10紙幣が出金口13に搬送される。ここで、識別部12で整理対象の$10紙幣を識別した枚数が整理枚数30枚に到達した場合には、出金口13から投出された30枚の$10紙幣が取り除かれたことを検知した後に、$10紙幣を出金口13に再び搬送する。つまり、入金口11に載置された紙幣がなくなるまで、$10紙幣を30枚ずつ出金口13に搬送する処理を繰り返し行う。
このようにして、入金口11から金種が混在した紙幣を受け入れ、出金口13から整理対象である$10紙幣を整理枚数30枚投出する一方で、整理対象外の紙幣を入金Rj口14から投出する。
ここでは、整理対象の紙幣を出金口13に搬送し、整理対象外の紙幣を入金Rj口14に搬送することとしたが、整理対象外の紙幣を出金口13に搬送し、整理対象の紙幣を入金Rj口14に搬送することとしてもかまわない。
また、出金口13に容量以上の紙幣が投出された場合には、出金口13に排出した紙幣の抜き取りを検知するまで入金口11における投入紙幣の繰込みを一時中断してもよいし、出金口13の代わりに入金Rj口14から紙幣を投出させることとしてもよい。
さらに整理計数時、出金口13、入金Rj口14を整理対象紙幣の投出として使い、整理対象以外の紙幣をRj一時保留部15、精査カセット21Gに搬送してもよい。またこの時、出金口13、入金Rj口14には単一金種の紙幣を搬送してもよいし、複数金種の紙幣を搬送してもよい。
ここでは各金種の紙幣を整理する例を記載したが、整理方法は紙幣の金種に限らず、券種、正損、表裏、高額紙幣/低額紙幣、新紙幣/旧紙幣、自国紙幣/他国紙幣、特定紙幣/それ以外の紙幣、正常な紙幣/それ以外の紙幣(偽紙幣、疑わしい紙幣を含む)など、それぞれの種類ごとに整理計数することができる。
次に、入金兼出金時における紙幣の流れについて説明する。入金兼出金とは、後述する「第1の釣銭作成処理」に相当し(図17参照)、たとえば、売上金の入金等を受け付けた際に、釣銭準備金として出金すべき金種別の枚数のうち売上金として入金された紙幣で賄える分はスタッカ21に収納させずにそのまま出金させることを指す。
入金口11で繰り込んで受け入れた紙幣を搬送部16により識別部12を通過させて紙幣を識別させる。そして、識別金種の出金枚数が釣銭準備金を構成する出金内訳の該当金種の設定枚数未満である場合には、当該紙幣を出金口13にそのまま出金させる一方で、識別金種の出金枚数が設定枚数まで投出されている場合には、識別金種に対応するスタッカ21に搬送する。
なお、出金口13に容量以上の紙幣が投出された場合には、出金口13に排出した紙幣の抜き取りを検知するまで入金口11における売上金の繰込みを一時中断してもよいし、出金口13の代わりに入金Rj口14から釣銭準備金を投出させることとしてもよい。
次に、ATMfit出金時における紙幣の流れについて説明する。このATMfit出金とは、店内のATMで使用するために状態の良い紙幣(ATMfit券)を出金することを指す。すなわち、ATMは、紙幣ジャム等の各種トラブルが起こることなく、無人で稼働することが期待されていることから、正券である紙幣の中でも状態の良い紙幣を用いたいというニーズが高い。
ATMfit出金時には、スタッカ21から搬送部16に紙幣が繰り出され、該繰出された紙幣が搬送部16によって識別部12に搬送される。
このとき、正券と識別された紙幣であり、かつ汚損やしわ等の品質項目によって設定された品質レベルが規定した状態よりも良いと識別された紙幣だけが出金口13に搬送される一方で、正券であっても品質レベルが規定した状態よりも良くなければ精査カセット21Gに搬送される。このうち、精査カセット21Gに収納された紙幣は、ATMfit券出金後に識別部12に順次繰出搬送され、識別部12による識別金種に対応するスタッカ21に搬送される。
次に、連続取引出金時における紙幣の流れについて説明する。図8は、連続取引出金時における紙幣の流れを説明するための説明図である。連続取引出金とは、後述する「第2の出金処理」に相当し(図18参照)、複数の出金取引の出金を連続して行う場合に、出金取引ごとに搬送先とする出金口13または入金Rj口14を切り替えて紙幣を出金することを指す。
図8に示すように、連続取引出金時には、$1紙幣〜$100紙幣までのいずれの金種の紙幣を出金する場合でも、スタッカ21から搬送部16に紙幣が繰り出され、該繰出された紙幣が搬送部16によって識別部12に搬送される。
このとき、出金適正紙幣として識別された場合には、搬送部16により出金口13または入金Rj口14のうち当該出金取引にて搬送先として指定されている投出口に紙幣が搬送される一方で、出金不適正紙幣(出金Rj紙幣)として識別された場合には、搬送部16により紙幣がRj一時保留部15に搬送される。なお、Rj一時保留部15に一時保留された出金Rj紙幣については、上記の入金返却で説明した戻し搬送または集積部31への搬送が行われることになる。
次に、本実施例に係る紙幣処理装置の機能構成について説明する。図9は、本実施例に係る紙幣処理装置の機能構成を示すブロック図である。図9に示すように、紙幣処理装置1は、操作ターミナル110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
操作ターミナル110は、店舗オペレータや店舗マネージャなどの店舗関係者に操作されることを基本とするが、収納繰出部20または収納部30の金庫を解錠する場合など特定の用途に限っては、銀行関係者や警備関係者に操作させることもできる。
この操作ターミナル110は、図10に示すように、指示受付部111と、表示部112と、カード読取部113と、印字部114と、報知部115とを有する。
指示受付部111は、指示入力を受け付ける操作キー群であり、例えば、入金取引または出金取引の内容を入力または選択する操作、入金確定の承認または拒否を選択する操作、出金金額を入力または選択する操作、1取引または連続取引で搬送先切替機能の使用を選択する操作や売上金から釣銭準備金を作成する機能の使用を選択する操作などを受け付けたりする。
表示部112は、所定の情報を表示する表示デバイスであり、例えば、入金処理時には入金金額及びその金種内訳を確認表示したり、出金処理時には出金口13及び/又は入金Rj口14で投出される紙幣に関する情報及び出金取引に関する情報を表示したりする。なお、図10では、指示受付部111及び表示部112を個別に構成することとしたが、これら両者を一体として表示・入力部として構成することもできる。
カード読取部113は、カードに記録された情報を読み取るカードリーダであり、店舗関係者が入出金処理を行うための前処理として、店舗関係者に予め付与されたカードからIDやパスワードなどの認証情報を読み取ったり、また、メンテ員または警備員が収納繰出部20または収納部30の金庫を解錠するための前処理として、メンテ員または警備員に予め付与されたカードから認証情報を読み取ったりする。なお、店舗関係者、銀行関係者または警備関係者の本人確認を行うための認証は、必ずしもカード認証を行う必要はなく、指示受付部111を介してパスワード認証を行わせることとしてもよい。また、顔や指紋などの生体情報を用いた認証でもよい。
印字部114は、プリンタなどの印刷装置であり、例えば、釣銭準備金を作成した際には、釣銭準備金の金額または金種別の枚数などを釣銭作成レシートとして印字出力する。なお、入金、出金、引渡や回収の時にも、取り扱った金額や金種別の枚数、取引日時、操作者IDなどの各種項目に関する情報をレシートとして印字することができる。
報知部115は、音声または光を出力するスピーカまたはランプであり、例えば、紙幣ジャムが発生した場合に、音声メッセージや警告音を音声出力したり、ランプを点滅させたりする。
記憶部120は、制御部130による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、各スタッカ21内における収納時の記番号や釣銭作成レシートの印字フォーマットのなどの他、例えば、入出金情報120aと、釣銭情報120bと、各種設定情報120cと、収納繰出部在高情報120dと、収納部在高情報120eとを併せて記憶する。
入出金情報120aは、入金処理および出金処理のログ情報であり、例えば、入金処理の場合には、キャッシュレジスタのID、操作者のID、入金取引時刻、取引種別、入金金額及びその金種内訳などの情報が入金処理後に登録され、また、出金処理(釣銭作成処理を含む)の場合においても、キャッシュレジスタのID、操作者のID、出金取引時刻、取引種別、出金金額及び出金内訳などの情報が出金処理後に登録される。
釣銭情報120bは、釣銭準備金として出金すべき金額および金種別の枚数を表す出金内訳などの情報であり、例えば、紙幣処理装置1に通信接続される上位装置や指示受付部111での操作入力により、店舗に存在するレジスタごとの釣銭準備金の出金内訳(例えば、$1紙幣:40枚、$5紙幣:40枚、$10紙幣:40枚、$20紙幣:20枚、$50紙幣:10枚などの内訳)が登録される。
各種設定情報120cは、紙幣処理装置1における各種の設定情報であり、例えば、紙幣処理装置1に通信接続される上位装置や指示受付部111での操作入力により、スタッカ21から集積部31に紙幣を搬送する引渡制御を行う条件(例えば、収納枚数の上限値や最適値の設定)などが設定登録される。また、出金紙幣の搬送先として出金口13または入金Rj口14のうちいずれを優先するかの設定なども登録される。
収納繰出部在高情報120dは、収納繰出部20のスタッカ21に収納される金額および金種別の枚数である在高を表す情報である。なお、本例では、金種ごとにスタッカ21を割り当てているので、各スタッカ21の紙幣の収納枚数が金種別の枚数と同義となる。
また、収納部在高情報120eは、収納部30の集積部31に収納される金額および金種別の枚数である在高を表す情報である。
また、記憶部120は、入出金部10、収納繰出部20及び収納部30の取扱権限に関する情報を記憶する。具体的には、店舗オペレータ、店舗マネージャ、メンテ員および収集特定者に予め付与されたIDやパスワード等の認証情報と、認証情報に付与された操作権限及び開錠権限とを対応付けた取扱権限を記憶している。
操作権限は、操作者から受け付けた操作に対応する処理を実行する権限であり、たとえば紙幣を受け入れる入金処理を行うことができる入金権限、紙幣を投出する出金処理を行うことができる出金権限や収納繰出部20から収納部30に紙幣を引き渡す引渡処理を行うことができる引渡権限の他、収納繰出部20の在高を閲覧できる収納繰出部在高閲覧権限や収納部30の在高を閲覧できる収納部在高閲覧権限等が含まれる。
例えば、店舗オペレータ及び店舗マネージャは、店舗に所属する人物であるため、入金権限や出金権限等が付与され、銀行のメンテ員は、銀行に所属する人物であり、収納部の現金は銀行の所有物であるので、引渡権限をはじめ、収納繰出部および収納部の両方の在高閲覧権限等が付与される。また、収集特定者は、警備会社に所属する人物であるため、後述する開錠権限さえあればよく、必ずしも操作権限は必要ないが回収金額の確認のため、収納部在高閲覧権限だけは付与することとしてもよい。なお、各種の操作権限は、操作ターミナル110または上位装置から任意に設定することができ、たとえば店舗オペレータと店舗マネージャ等の同一の当事者に所属するものについては、より上位の権限者に多くの操作権限を付与することもできる。
そして、本実施例に係る紙幣処理装置1では、入金処理、出金処理、引渡処理、在高閲覧処理を行うのに先立って、操作者の認証情報を操作ターミナル110を介して入力させ、記憶部120に認証情報に対応付けて記憶された操作権限を確認する。
このとき、紙幣処理装置1では、入力を受け付けた認証情報に対応する操作権限に操作者が要求する処理に対応する権限(入金権限、出金権限、引渡権限または閲覧権限)が付与されているか否かを判定し、操作者が要求する処理に対応する権限が付与されていれば処理の実行段階に移行する。具体的には、操作者の権限に対応する処理が表示部112に表示され、処理が選択可能となる。
一方、入力された認証情報が記憶部120に登録されていない場合、或いは記憶部120に認証情報が登録されていても操作者が要求する処理に対応する権限が付与されていない場合には処理を実行しない。なお、前者の場合には、3者の当事者のいずれにも該当しない可能性が高いので、第三者による不正操作として警報を発するようにしてもよい。
このように、入出金部10、収納繰出部20および/または収納部30を操作する操作者に付与された認証情報に対して操作権限を付与しておき、操作者が入力した認証情報に対応する操作権限に操作者が要求する処理の操作権限が含まれているか否かを判定するので、操作者に操作権限が付与されている場合にだけ操作者が要求する処理を実行させることが可能である。
なお、本実施例では、入金権限と引渡権限とを排他的に付与する例を示したが、入金権限及び引渡権限の両方の操作権限を同一人物に付与するように設定してもかまわず、入金権限だけを有する者、引渡権限だけを有する者、入金権限及び引渡権限の両方を有する者を任意に設定することができる。
また、開錠権限は、紙幣処理装置1の内部の開錠に関する権限であり、たとえば入出金部10の開錠権限、収納繰出部20の開錠権限、収納部30の開錠権限等が含まれる。
例えば、店舗オペレータ及び店舗マネージャには、入出金部10の開錠権限が付与され、銀行のメンテ員には、収納繰出部20および収納部30の両方の開錠権限が付与され、また、収集特定者には、収納部30の開錠権限が付与される。
そして、本実施例に係る紙幣処理装置1では、入出金部10、収納繰出部20または収納部30の開錠を行うのに先立って、操作者の認証情報を操作ターミナル110を介して入力させ、記憶部120に認証情報に対応付けて記憶された開錠権限を確認する。
このとき、紙幣処理装置1では、入力を受け付けた認証情報に対応する開錠権限に操作者が要求する部位(入出金部10、収納繰出部20または収納部30)に対応する開錠権限が付与されているか否かを判定し、操作者が要求する部位に対応する開錠権限が付与されていれば当該部位の施錠(例えば、電子錠など)を開錠する。これによって、本実施例では、操作者が開錠を要求する部位に開錠権限が付与されている場合にだけその部位の開錠を実行することが可能である。
なお、本実施例では、錠を電子的に開錠する場合について説明したが、たとえば予め各部位に対応する鍵を付与しておき、鍵の操作による開錠等の機械的に行うようにしてもよいし、これら両方を併せて行うようにしてもかまわない。
また、本実施例では、入出金部10の開錠権限と収納繰出部20及び収納部30の開錠権限とを排他的に付与する例を示したが、入出金部10、収納繰出部20及び収納部30の開錠権限を同一人物に付与するように設定してもかまわず、入出金部10の開錠権限だけを有する者、収納繰出部20の開錠権限だけを有する者、3つの部位の開錠権限のうち2つの開錠権限を有する者、3つの部位全ての開錠権限を有する者を任意に設定することができる。
制御部130は、紙幣処理装置1を全体制御する制御部であり、入金制御部130aと、出金制御部130bと、引渡制御部130cと、収納繰出部在高更新部130dと、収納部在高更新部130eとを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPUにロードして実行し、入金制御部130a、出金制御部130b、引渡制御部130c、収納繰出部在高更新部130d及び収納部在高更新部130eにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
入金制御部130aは、入金処理に関する制御を行う処理部である。詳細は図11を用いて後述するが、概要としては、入金処理を行う前処理として必要な操作、たとえば認証情報の入力及び紙幣の投入操作を入金操作として受け付けた場合に、搬送部16を制御して、装置内部に受け入れた受入紙幣を識別部12に搬送させる。このとき、識別部12によって受入紙幣が入金適正紙幣であると識別された場合には、搬送部16に受入紙幣を識別金種に対応するスタッカ21へ搬送させるとともに紙幣の収納枚数を金種別に計数し、受入紙幣が入金不適正紙幣であると識別された場合には、搬送部16に受入紙幣を入金Rj口14に搬送させる。この一連の動作を入金口11の投入紙幣がなくなるまで繰り返し行い、投入紙幣がなくなった時点での金種別の収納枚数を入金金額及びその金種内訳として操作ターミナル110に確認表示する。
出金制御部130bは、出金処理に関する制御を行う処理部である。詳細は図12〜図18を用いて後述するが、概要としては、出金紙幣を入金Rj口14に搬送するように搬送部16を制御する搬送制御を行うことにより、出金口13が紙幣ジャム等で出金不能となった場合でも、入金Rj口14をバイパスとして機能させることとした。これによって、出金処理の効率が低減することを防止することができる。
さらに、出金制御部130bでは、複数の出金取引の出金処理を行う場合に、出金取引ごとに搬送先とする出金口13または入金Rj口14を切り替えて、スタッカ21によって繰り出された紙幣を搬送するように搬送部16を制御することとした。
例えば、店舗にレジNO.1からレジNO.7までのキャッシュレジスタが存在する場合には、店舗の営業終了後に翌営業日のレジスタ7つ分の釣銭準備金を作成する作業が締上げ時に行われる。
かかる状況でレジNO.1からレジNO.7までのレジスタの釣銭準備金を出金口13に搬送した場合には、レジNO.1の釣銭準備金の搬送が終了してもその釣銭準備金が出金口13から抜き取られるまでレジNO.2の釣銭準備金の搬送を開始することができず、レジNO.1の釣銭準備金の抜取操作を待機する待機時間がロス時間となってしまう。さらに、釣銭準備金の抜取操作が次の釣銭準備金の出金に影響する回数は6回となり、待機時間が長くなるのは不可避である。
一方、本実施例では、出金口13に対するレジNO.1の釣銭準備金の搬送が終了すると即座に、レジNO.2の釣銭準備金を入金Rj口14に搬送するように搬送部16を制御するので、レジNO.2の釣銭準備金の出金が終了するまでにレジNO.1の釣銭準備金の抜取操作を行えば待機時間をゼロにすることができる。さらに、たとえ待機時間がゼロにならずとも釣銭準備金の抜取操作を行う回数が約半分となるので、抜取操作の待機時間の絶対値を低減させることができる。
このように、本実施例では、出金紙幣の抜取操作を待機する待機時間を少なくとも半分に、最大ではゼロに低減することができ、出金処理を飛躍的に効率化することができる。
引渡制御部130cは、所定の条件を満たした場合に、スタッカ21に収納された紙幣を集積部31に引き渡すように搬送部16を制御する処理部である。例えば、銀行が管理するホストコンピュータ200で引渡の指示入力が行われた場合、メンテ員などの銀行の代理人が指示受付部111で指示入力を行った場合、或いはスタッカ21の収納枚数が上限値に達した場合に、指定金額分の紙幣をスタッカ21から集積部31に搬送させたり、また、指定金種の指定枚数分の紙幣をスタッカ21から集積部31に搬送させたりする。
そして、引渡制御部130cは、各種設定情報120cとしてスタッカ21の集積量や時刻の設定値を記憶部120に登録しておけば、引渡制御を完全自動で行うこともできる。例えば、スタッカ21の集積量に関して条件を設定する場合には、各スタッカ21に対して収納枚数の上限値と最適値またはスタッカ21全体の金額に対して上限金額と最適金額を設定してもよいし、或いは、収納枚数に依らず実際の集積紙幣の嵩(本実施例の場合にはステージの下向度合い)の上限値と最適値を設定してもよい。
前者によれば、銀行側が設定する金額以上の紙幣が収納繰出部20で滞留し続けることを防止することができ、また、後者によれば、収納紙幣にしわがあったり、また、収納紙幣が湿気を含んでいたりすることが原因で、これらの異常がない状態での同一枚数の紙幣と比較してかさばってしまう場合でも、かかる異常状態を検知して引き渡すことができる。
収納繰出部在高更新部130dは、記憶部120に記憶された収納繰出部在高情報120dを更新する処理部である。具体的には、入金制御部130aによって入金処理が行われた場合には、収納繰出部20に収納される金額及び金種別の枚数それぞれに入金金額及びその金種内訳を加算更新し、出金制御部130bによって出金処理が行われた場合には、収納繰出部20に収納される金額及び金種別の枚数それぞれから出金金額及び出金内訳を減算更新し、また、引渡制御部130cによって引渡処理が行われた場合には、収納繰出部20に収納される金額及び金種別の枚数それぞれから引渡金額及びその金種内訳を減算更新する。
収納部在高更新部130eは、記憶部120に記憶された収納部在高情報120eを更新する処理部である。具体的には、引渡制御部130cによって引渡処理が行われた場合には、収納部30の在高に引渡金額及びその金種内訳を加算更新する。
続いて、本実施例に係る入金処理について説明する。図11は、本実施例に係る入金処理の手順を示すフローチャートである。
同図に示すように、入金処理を行う前処理として必要な操作、たとえば認証情報の入力及び紙幣の投入操作を入金操作として受け付けると(ステップS101)、入金制御部130aは、搬送部16を制御して、装置内部に受け入れた受入紙幣を識別部12に搬送させる(ステップS102)。
このとき、識別部12によって受入紙幣が入金適正紙幣であると識別された場合(ステップS103のYes)には、入金制御部130aは、搬送部16を制御して受入紙幣を識別金種に対応するスタッカ21へ搬送させるとともに紙幣の収納枚数を金種別に計数する(ステップS104及びステップS105)。
一方、識別部12によって受入紙幣が入金不適正紙幣であると識別された場合(ステップS103のNo)には、入金制御部130aは、搬送部16に受入紙幣を入金Rj口14に搬送させる(ステップS106)。
そして、入金制御部130aは、上記のステップS102〜S106までの処理を入金口11の投入紙幣がなくなるまで(ステップS107のNo)繰り返し行い、投入紙幣がなくなった場合(ステップS107のYes)に、その時点での金種別の収納枚数を入金金額及びその金種内訳として操作ターミナル110に確認表示する(ステップS108)。
このとき、操作ターミナル110を介して入金の確定入力(承認入力)を受け付けた場合(ステップS109のYes)には、収納繰出部在高更新部130dは、記憶部120に収納繰出部在高情報120dとして記憶された収納繰出部20に収納される金額及び金種別の枚数それぞれに入金金額及びその金種内訳を加算更新し(ステップS110)、銀行のホストコンピュータ200に対して店舗の銀行口座の残高に入金金額を加算するオンライン入金処理を行うように依頼し(ステップS111)、処理を終了する。
一方、操作ターミナル110を介して入金の拒否入力を受け付けた場合(ステップS109のNo)には、入金制御部130aは、入金金額の金種内訳に基づき、各スタッカ21から紙幣を出金口13に搬送するように搬送部16を制御する「入金返却」を行い(ステップS112)、処理を終了する。
このように、銀行が所有する収納繰出部20の在高に入金金額およびその金種内訳を加算更新するとともに、店舗の銀行口座の残高に入金金額を加算するオンライン入金処理をホストコンピュータ200に依頼することとしたので、収納繰出部20の在高を正確に管理するとともに、銀行における預貯金管理も正確に行うことができる。
次に、本実施例に係る第1の出金処理(1取引)について説明する。図12は、本実施例に係る第1の出金処理の手順を示すフローチャートである。
図12に示すように、出金処理を行う前処理として必要な操作、たとえば認証情報の入力及び出金取引の内容(出金金額または出金内訳)の入力を入金操作として受け付けると(ステップS201)、出金制御部130bは、入力を受け付けた出金内訳、もしくは出金金額から所定の条件(例えば、出金枚数が最小枚数となる金種の組合せ)をもとに決定される出金内訳から出金に使用するスタッカ21を特定する(ステップS202)。なお、出金取引の種別が釣銭準備金の作成である場合には、記憶部120に釣銭情報120bとして記憶された釣銭準備金の出金内訳をロードすればよい。
そして、出金制御部130bは、出金口13または入金Rj口14のいずれか一方の投出口に該投出口で投出させる金種種別(スタッカ)を割り当てる(ステップS203)。例えば、記憶部120に各種設定情報120cとして記憶された搬送先の優先設定がなされている投出口に金種種別を優先的に割り当てる。
続いて、出金制御部130bは、割り当てたスタッカ21から紙幣を順次繰出し(ステップS204)、搬送部16によって繰出紙幣を識別部12に搬送させる(ステップS205)。
このとき、識別部12によって出金適正紙幣と識別された場合(ステップS206のYes)に、出金制御部130bは、ステップS203で金種種別が既に割り当てられている方の投出口に紙幣を搬送するように搬送部16を制御し(ステップS207)、識別金種に基づき金種別の出金枚数を計数する(ステップS208)。
一方、識別部12によって出金不適正紙幣と識別された場合(ステップS206のNo)に、出金制御部130bは、搬送部16によって出金Rj紙幣をRj一時保留部15に搬送させる(ステップS209)。なお、Rj一時保留部15の出金Rj紙幣は、入金返却の紙幣の流れで説明した戻し搬送または集積部31への搬送が行われることになる。
そして、出金制御部130bは、投出口に割り当てた金種種別の出金枚数が出金内訳の該当金種の枚数になるまで(ステップS210のNo)、上記のステップS204〜ステップS209までの処理を繰り返し行い、投出口に割り当てた金種種別の出金枚数が出金内訳の該当金種の枚数になった場合(ステップS210のYes)に、出金内訳を構成する全金種について出金したか否かを判定する(ステップS211)。
ここで、出金内訳を構成する全金種について未だ出金していない場合(ステップS211のNo)に、出金制御部130bは、上記のステップS203で金種種別を割り当てた投出口とは別の投出口から異なる金種の紙幣を投出させるべく、ステップS204〜ステップS210までの処理を繰り返し行う。
そして、出金内訳を構成する全金種について出金した場合(ステップS211のYes)に、収納繰出部在高更新部130dは、記憶部120に収納繰出部在高情報120dとして記憶された収納繰出部20の在高から出金金額及び出金内訳(金種別の枚数)をそれぞれ減算更新し(ステップS212)、銀行のホストコンピュータ200に対して店舗の銀行口座の残高から出金金額を減算更新するオンライン出金処理を行うように依頼し(ステップS213)、処理を終了する。
このように、本実施例では、1つの出金取引の出金処理を行う場合に、金種種別ごとに搬送先とする出金口13または入金Rj口14を切り替えて、スタッカ21によって繰り出された紙幣を搬送するように搬送部16を制御することとした。
これによって、たとえば紙幣金種ごとに搬送先とする出金口13または入金Rj口14を切り替えた場合には、出金口13及び入金Rj口14それぞれに金種を区別して投出することができ、出金紙幣として同一金種の紙幣が選り分けられた紙幣を得られる結果、出金処理の選別に係る利便性を高めることができる。
また、ここでは、1つの出金取引の出金処理を行う場合に、金種種別ごとに搬送先とする出金口13または入金Rj口14を切り替えることを説明したが、金種種別だけでなく、国種別、金種、正損、高額/低額、新旧などの券種、その他には表裏などにより搬送先を切り替えることもできる。また、繰り出された紙幣をすべて出金口13または入金Rj口14に搬送してもよい。さらに、一方が満杯になったとき、他方に搬送するようにしてもよい。このような搬送先の指定や切替えは、出金時のみならず入金返却等の返却時にも同様に適用することができる。
さらに、本実施例では、搬送部16への制御により、出金口13および入金Rj口14に投出される紙幣に関する情報またはその出金取引に関する情報を操作ターミナル110に表示させることとしてもよい。
例えば、図13に示す例では、釣銭準備金の作成に際して金種ごとに搬送先を出金口13または入金Rj口14に切り替えて出金する場合の画面例を示している。この中で出金口13及び入金Rj口14の両方から出金している現状に対し、両方の投出口から投出される紙幣が同一の出金取引であることを表示することにより、店舗オペレータが混乱することを防止できる。さらに、釣銭準備金の総額のうち現状で出金が完了している金額や金種別枚数(出金済み金額/出金済み枚数)または出金指定金額のうち出金されていない残りの金額や金種別枚数(未出金金額/未出金枚数)を表示することで、出金取引の進捗を正確に把握することができる。
次に、本実施例に係る第2の出金処理(連続取引)について説明する。図14は、本実施例に係る第2の出金処理の手順を示すフローチャートである。
同図に示すように、まず、出金制御部130bは、出金処理を行う前処理として必要な操作、たとえば認証情報の入力及び連続出金取引の内容(出金金額または出金内訳)の入力を出金操作として受け付ける(ステップS301)。例えば、連続出金取引の種別が釣銭準備金の作成である場合には、記憶部120に釣銭情報120bとして記憶された釣銭準備金の出金内訳をロードすればよい。
そして、出金制御部130bは、出金口13または入金Rj口14のいずれか一方の投出口に該投出口で投出させる出金取引(レジNO.m1の釣銭準備金の作成)を割り当てる(ステップS302)。例えば、記憶部120に各種設定情報120cとして記憶された搬送先の優先設定がなされている投出口に金種種別を優先的に割り当てる。
続いて、出金制御部130bは、割り当てた出金取引の出金内訳の金種ごとにスタッカ21から紙幣を順次繰出し(ステップS303)、搬送部16によって繰出紙幣を識別部12に搬送させる(ステップS304)。
このとき、識別部12によって出金適正紙幣と識別された場合(ステップS305のYes)に、出金制御部130bは、ステップS302で出金取引が既に割り当てられている方の投出口に紙幣を搬送するように搬送部16を制御し(ステップS306)、識別金種に基づき金種別の出金枚数を計数する(ステップS307)。
一方、識別部12によって出金不適正紙幣と識別された場合(ステップS305のNo)に、出金制御部130bは、搬送部16によって出金Rj紙幣をRj一時保留部15に搬送させる(ステップS308)。なお、Rj一時保留部15の出金Rj紙幣は、上記の入金返却で説明した戻し搬送または集積部31への搬送が行われることになる。
そして、出金制御部130bは、当該出金取引の金種種別の出金枚数が出金内訳と等しくなるまで(ステップS309のNo)、上記のステップS303〜ステップS308までの処理を繰り返し行う。
その後、出金取引の金種種別の出金枚数が出金内訳と等しくなった場合(ステップS309のYes)に、収納繰出部在高更新部130dは、記憶部120に収納繰出部在高情報120dとして記憶された収納繰出部の在高から出金金額及び出金内訳(金種別の枚数)をそれぞれ減算更新し(ステップS310)、銀行のホストコンピュータ200に対して店舗の銀行口座の残高から出金金額を減算するオンライン出金処理を行うように依頼する(ステップS311)。
ここで、全ての出金取引(全てのレジスタの釣銭準備金の作成)についてまだ出金していない場合(ステップS312のNo)に、出金制御部130bは、直近に出金取引(レジNO.m1の釣銭準備金の作成)を割り当てた投出口とは別の投出口に搬送先を切り替えて未出金である残りの出金取引金種種別(レジNO.m2の釣銭準備金の作成)を割り当てる(ステップS313)。
このとき、当該別の投出口に紙幣が集積していない場合(ステップS314のYes)に、出金制御部130bは、出金取引の出金内訳の金種ごとにスタッカ21から紙幣を順次繰出し(ステップS303)、上記のステップS304〜ステップS311までの処理を繰り返し行う。
そして、全ての出金取引(全てのレジスタの釣銭準備金の作成)について出金が終了した場合(ステップS312のYes)に、出金制御部130bは、処理を終了する。
さらに、本実施例では、搬送部16への制御により、出金口13および入金Rj口14に投出される紙幣に関する情報またはその出金取引に関する情報を操作ターミナル110に表示させることもできる。
例えば、図15に示す例では、複数のレジスタの釣銭準備金の作成に際してレジスタごとに搬送先を出金口13または入金Rj口14に切り替えて出金する場合の画面例を示している。この中で出金口13及び入金Rj口14の両方から出金している現状に対し、両方の投出口から投出される紙幣それぞれがいずれのレジスタの釣銭準備金を作成しているのかを表示することにより、店舗オペレータが混乱することを防止できる。さらに、出金が終了したレジスタの履歴を表示することにより、全レジスタのうち現状で釣銭準備金の出金が完了しているレジの個数(出金済みレジ数)または全レジスタのうち釣銭準備金が出金されていない残りのレジの個数(未出金レジ数)などを表示することができ、出金取引の進捗を正確に把握することができる。
また、上記の出金制御部130bでは、キャッシュレジスタNoごとに釣銭準備金を出金する場合について説明したが、キャッシュレジスタの操作者No(以下、キャッシャNoと記載)ごとに釣銭情報を記憶部120に登録しておけば、キャッシャごとに釣銭準備金を出金することもできる。
さらに、ここでは、釣銭準備金を自動的に出金する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、操作ターミナル110の指示受付部111または紙幣処理装置1にネットワーク等で接続されたサーバ(上位装置)の入力部から、キャッシュレジスタNoまたはキャッシャNoを受け付けた場合に、釣銭準備金の出金処理を起動することもできる。
すなわち、出金制御部130bでは、操作ターミナル110の指示受付部111または上位装置の入力部からキャッシュレジスタNoまたはキャッシャNoを受け付けた場合に、キャッシュレジスタNoまたはキャッシャNoごとに釣銭準備金を出金することもできる。
このとき、出金制御部130bは、操作ターミナル110の指示受付部111等を介して入力されるキャッシュレジスタNoまたはキャッシャNoと、紙幣処理装置1の記憶部120または上位装置に登録されている開設情報に含まれるキャッシュレジスタNoまたはキャッシャNoとを照合し、開設情報と一致するキャッシュレジスタNoまたはキャッシャNoが登録されている場合に、当該キャッシュレジスタNoまたはキャッシャNoに対応する釣銭準備金を出金するようにしてもかまわない。
この開設情報とは、営業日または営業日種別ごとにその営業日に稼働させるキャッシュレジスタNoまたはキャッシャNoを対応付けられたデータであり、たとえば五十日や土日祝日等の繁忙期とその他の閑散期との間で、1営業日で稼働させるキャッシュレジスタまたはキャッシャの数量、稼働させるキャッシュレジスタの場所、勤務させるキャッシャが区別して登録される。
また、本実施例では、出金紙幣の搬送先である出金口13または入金Rj口14を金種やキャッシュレジスタNoごとに切り替えて出金する場合について説明したが、出金口13または入金Rj口14のうち一方の投出口だけで出金紙幣を投出することを基本とし、所定の条件を満たした場合にだけ、他方の投出口に出金先を自動的または指定受付後に切り替えて出金させることもできる。なお、以下では、出金紙幣の基本出金先として出金口13が設定されているものとして説明を行う。
例えば、かかる所定の条件として、基本出金先である出金口13で出金紙幣が満杯状態、すなわちフル状態またはニアフル状態になったという条件を満たす場合には、出金口13が出金紙幣の基本出金先として設定されていたとしても、操作ターミナル110の指示受付部111を介して入金Rj口14を臨時出金先に指定する操作を受け付けたならば、出金紙幣を入金Rj口14に搬送して出金させる。なお、この場合には、出金口13の紙幣が満杯状態であるか否かを検知するフォトセンサ等の満杯検知手段を出金口13に設ける必要がある。
これによって、基本出金先として設定された一方の投出口(出金口13)からだけでは1度に出金しきれない枚数の紙幣を他方の臨時出金先の投出口(入金Rj口14)に迂回して1度に出金させることができ、出金効率を向上させることが可能になる。
また、かかる所定の条件として、基本出金先である出金口13に出金紙幣を搬送不能な搬送異常を検知したという条件、かつ入金Rj口14に紙幣が存在しないという条件を満たした場合には、操作ターミナル110の指示受付部111を介して入金Rj口14を臨時出金先に指定する操作を受け付けたならば、出金紙幣を入金Rj口14に搬送して出金させる。なお、この場合には、入金Rj口14に紙幣が存在するか否かの紙幣有無を検知する有無検知手段を入金Rj口14に設ける必要がる。
これによって、基本出金先として設定された一方の投出口(出金口13)に出金紙幣を搬送できない搬送異常が搬送部16で検知された場合でも、他方の投出口(入金Rj口14)を臨時出金先として出金紙幣を搬送させることができ、出金効率を向上させることが可能になる。
なお、ここでは、出金口13を基本出金先とし、入金Rj口14を臨時出金先とする場合について説明したが、出金口13を臨時出金先とし、入金Rj口14を基本出金先とする場合についても、同様の構成を採用して同様の効果を得ることができるのは言うまでもない。
なお、本実施例では、釣り銭準備金の出金を行う場合を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ATMなど他の機械へ装填する紙幣の出金、両替時の出金などの他の出金取引についても本発明を同様に適用することができる。
次に、本実施例に係る入金兼出金処理について説明する。図16は、本実施例に係る入金兼出金処理の手順を示すフローチャートである。
図16に示すように、入金兼出金処理を行う前処理として必要な操作、たとえば認証情報の入力、レジスタ番号の入力及び売上金の紙幣の投入操作を入金兼出金操作として受け付けると(ステップS401)、入金制御部130aは、記憶部120に釣銭情報120bとして記憶された釣銭準備金の出金内訳を読み出す(ステップS402)。
入金制御部130aは、出金口13及び入金Rj口14の両方の投出口に該投出口で投出させる金種種別を割り当て(ステップS403)、釣銭準備金として出金すべき金種別の枚数のうち売上金として入金された紙幣で再利用できる分はスタッカ21に収納させずにそのまま出金させる「第1の釣銭作成処理」を行う(ステップS404)。
ここで、本実施例に係る第1の釣銭作成処理について説明する。図17は、本実施例に係る第1の釣銭作成処理の手順を示すフローチャートである。
図17に示すように、入金制御部130aは、搬送部16を制御して、装置内部に受け入れた受入紙幣を識別部12に搬送させる(ステップS501)。
ここで、識別金種の出金枚数が出金内訳の該当金種の設定枚数未満である場合(ステップS502のYes)には、入金制御部130aは、識別金種に割り当てられている投出口に紙幣を搬送するように搬送部16を制御し(ステップS503)、当該識別金種の出金枚数および収納枚数をカウントアップする(ステップS504)。なお、ここで、収納枚数をカウントアップするのは、スタッカ21に売上金が収納されたものとみなすためである。
一方、識別金種の出金枚数が出金内訳の該当金種の設定枚数まで投出されている場合(ステップS502のNo)には、入金制御部130aは、搬送部16に受入紙幣を識別金種に対応するスタッカ21へ搬送させるとともに紙幣の収納枚数を金種別に計数する(ステップS505及びステップS506)。
そして、入金制御部130aは、上記のステップS501〜ステップS506までの処理を入金口11の投入紙幣がなくなるまで(ステップS507のNo)繰り返し行い、投入紙幣がなくなった場合(ステップS507のYes)に、図16のステップS405に移行する。
図16の説明に戻り、入金制御部130aは、「第1の釣銭作成処理」の終了後に、売上金額(すなわち、ステップS504及びステップS506での金種別の収納枚数の計数値)及びその中で釣銭準備金として出金した金額(すなわち、ステップS504の金種別の出金枚数の計数値)を操作ターミナル110に確認表示する(ステップS405)。
そして、操作ターミナル110を介して入金の確定入力(承認入力)を受け付けた場合(ステップS406のYes)には、収納繰出部在高更新部130dは、記憶部120に収納繰出部在高情報120dとして記憶された収納繰出部20の在高に釣銭準備金として再利用されずに入金された入金金額及びその金種内訳それぞれを加算更新し(ステップS407)、銀行のホストコンピュータ200に対して店舗の銀行口座の残高に入金金額を加算するオンライン入金処理を行うように依頼する(ステップS408)。
続いて、出金制御部130bは、ステップS404で行われた第1の釣銭作成処理で出金枚数が釣銭準備金の設定枚数に満たなかった不足分をスタッカ21から出金することにより充填する「第2の釣銭作成処理」を行う(ステップS409)。
ここで、本実施例に係る第2の釣銭作成処理について説明する。図18は、本実施例に係る第2の釣銭作成処理の手順を示すフローチャートである。
図18に示すように、出金制御部130bは、各金種の出金枚数が釣銭準備金の設定枚数に不足する金種が存在するか否かを判定する(ステップS601)。
このとき、各金種の出金枚数が釣銭準備金の設定枚数に不足する金種が存在する場合(ステップS601のYes)に、出金制御部130bは、当該不足する金種の紙幣を収納するスタッカ21から紙幣を順次繰出し(ステップS602)、搬送部16によって繰出紙幣を識別部12に搬送させる(ステップS603)。
このとき、識別部12によって出金適正紙幣と識別された場合(ステップS604のYes)に、出金制御部130bは、識別金種に割り当てられている投出口に紙幣を搬送するように搬送部16を制御し(ステップS605)、識別金種に基づき金種別の出金枚数を計数する(ステップS606)。
一方、識別部12によって出金不適正紙幣と識別された場合(ステップS604のNo)に、出金制御部130bは、搬送部16によって出金Rj紙幣をRj一時保留部15に搬送させる(ステップS607)。なお、Rj一時保留部15の出金Rj紙幣は、上記の入金返却で説明した戻し搬送または集積部31への搬送が行われることになる。
そして、出金制御部130bは、上記のステップS602〜ステップS607までの処理を各金種の出金枚数が釣銭準備金の設定枚数になるまで(ステップS601のYes)繰り返し行い、各金種の出金枚数が釣銭準備金の設定枚数になった場合(ステップS601のNo)に処理を終了する。
図16の説明に戻り、「第2の釣銭作成処理」の終了後に、収納繰出部在高更新部130dは、記憶部120に収納繰出部在高情報120dとして記憶された収納繰出部20の在高から釣銭準備金額及び出金内訳(金種別の枚数)をそれぞれ減算更新し(ステップS410)、銀行のホストコンピュータ200に対して店舗の銀行口座の残高から出金金額を減算するオンライン出金処理を行うように依頼し(ステップS411)、売上金額とその金種内訳および釣銭準備金額とその出金内訳を釣銭作成レシートとして印字部114に印字させ(ステップS412)、処理を終了する。
また、操作ターミナル110を介して入金の拒否入力を受け付けた場合(ステップS406のNo)には、入金制御部130aは、売上金を入金する前の状態に戻すために、釣銭準備金として第1の釣銭作成処理で出金した紙幣の金種別枚数のうち入金金額(売上金)を構成する金種別枚数に満たない金種を対象にその不足枚数分の紙幣を該当金種のスタッカ21から出金口13に搬送する(ステップS413)。
なお、図16に示す例では、オンライン出金処理の依頼が完了した時に釣銭作成レシートを印字することとしたが、たとえば釣銭として出金された紙幣の抜取りを検知した時点またはそれ以降のタイミングで釣銭作成レシートを印字することで、釣銭準備金にレシートを紐付けて印字することができ、印字したレシートが抜き取った釣銭準備金のものであることを直観的に把握することが可能になる。
次に、本実施例に係る引渡処理について説明する。図19は、本実施例に係る引渡処理の手順を示すフローチャートである。
図19に示すように、引渡制御部130cは、収納枚数が記憶部120に各種設定情報120cとして記憶された上限値に達したスタッカ21が存在するか否かを判定する(ステップS701)。
このとき、上限値に達したスタッカ21が存在する場合(ステップS701のYes)には、引渡制御部130cは、当該スタッカ21内に最適値の収納枚数だけを残して最適値からの超過分の紙幣を収納部30の集積部31に搬送する(ステップS702)。
そして、収納繰出部在高更新部130dは、記憶部120に収納繰出部在高情報120dとして記憶された収納繰出部の在高から引渡金額及び出金内訳(金種別の枚数)をそれぞれ減算更新する(ステップS703)。
一方、収納部在高更新部130eは、記憶部120に収納部在高情報120eとして記憶された収納部30の在高に引渡金額及びその金種内訳それぞれを加算更新し(ステップS704)、金融機関内での勘定科目「店舗用資金」の残高から引渡金額を減算するとともに引渡金額を勘定科目「通常資金」の残高に加算する勘定を行い(ステップS705)、処理を終了する。
このように、入出金部10、収納繰出部20及び収納部30の間で現金の移動があった場合でも収納繰出部20及び収納部30の在高を正確に管理することができる。
上述してきたように、本実施例では、当該紙幣処理装置1を紙幣の入出金処理を行う入出金部10、紙幣を収納/繰出する収納繰出部20および紙幣を収納する収納部30に区分けし、異なる3者の当事者が当該当事者に許容される部位だけを取扱可能なように入出金部10、収納繰出部20および収納部30を構成したので、3者以上の当事者が紙幣の取り扱いに関与することが可能になる。
また、本実施例では、出金紙幣を入金Rj口14に搬送するように搬送部16を制御する搬送制御を行うように構成したので、出金口13が紙幣ジャム等で出金不能となった場合でも、入金Rj口14をバイパスとして機能させることができ、出金処理の効率が低減することを防止することができる。
ところで、上記の実施例では、図2に示した取扱権限の区分けの中でも図2の(3)を中心に説明したが、図2の(4)でも好適に適用することができる。ここでは、図2の(3)と図2の(4)の違いについて述べる。
すなわち、図2の(4)の場合には、入出金部10及び収納繰出部20の両方が店舗側の取扱権限となるので、収納繰出部20から収納部30に現金移動がなされて初めてオンライン入金が行われる点が異なる。
また、図2の(3)の場合には、銀行側が引渡条件を設定する場合について説明したが、図2の(4)の場合には、店舗側が収納繰出部20を有するので、収納繰出部20から収納部30へ引き渡す際の条件も店舗側によって主体的に決定される点も異なる。
例えば、店舗の営業終了後に店舗に残し置いておく残置高を設定しておき、この残置高を超過する紙幣を収納部30に引き渡す。この場合には、残置額は在高の推移をもとに算出したり、予め一定額を決めておくことが望ましい。また、引渡金額をあらかじめ設定しておき、この引渡金額を収納部30に引き渡す。この場合には、引渡金額として一定額を設定しておいたり、売上金額をもとに算出したり、収納繰出部20の在高から算出したりすることができる。また、引渡金額を任意に設定したり入力できる。
また、上記の実施例では、ATMfit券を出金口13または入金Rj口14から出金することとしたが、必ずしもATMfit券を出金口13または入金Rj口14から出金する必要はなく、たとえばATMfit券を精査カセット21Gに集積しておき、ATMfit券として規定される品質レベルに満たない紙幣をRj一時保留部15に保留しておき、ATMfit出金後に各スタッカ21に搬送するようにしてもかまわない。
また、上記の実施例では、入出金部10を上部、収納繰出部20を中間部、収納部30を下部に設ける場合(図20の(a)参照)について説明したが本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図20の(b)〜(m)に示すレイアウトを採用する場合にも本発明を同様に適用することができる。
そして、上記の実施例では、図21の(a)に示すように、収納繰出部20からしか収納部30に現金を引き渡すことはできないが、図20の(b)〜(f)及び(h)〜(m)のレイアウトを採用した場合には、図21の(b)及び(d)に示すように、入出金部10から収納部30に現金を直接引き渡すことができる。
また、上記の実施例では、収納繰出部20及び収納部30に紙幣を収納させることとしたが、入出金部10に収納部を設けて紙幣を収納させるようにしてもよい。
さらに、上記の実施例では、収納繰出部20の在高および収納部30の在高を操作ターミナル110に表示することにより店舗、銀行や警備会社等の当事者に閲覧させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、外部装置からのアクセスにより紙幣処理装置1を遠隔操作するようにしてもよい。
この外部装置から紙幣処理装置へのアクセス権限について具体的に説明する。図22は、外部装置に付与するアクセス権限の一例を示す図である。図22に示すように、紙幣処理装置1に接続される外部装置の一例としては、店舗の関係者である店舗オペレータや店舗マネージャなどが扱う端末であって店舗内に配設される店舗内端末、店舗の関係者が扱う端末であって店舗本部に配設される店舗本部端末、銀行の代理人として紙幣処理装置1のメンテナンスを行うメンテ員、銀行の行員などの銀行関係者が扱う銀行端末、警備会社の関係者が扱う警備会社端末などが存在する。
このように、外部装置には、異なる当事者に所属する端末が複数存在するが、入出金部10、収納繰出部20または収納部30のいずれの部位に関する処理を外部からのアクセスによって遠隔操作することを可能としたアクセス権限(例えば、収納繰出部20または収納部30の在高を外部装置から閲覧する権限)の設定は、任意に設定することができる。
図22に示す例では、入出金部10に関する操作権限及び開錠権限については、店舗本部端末及び店舗内端末にアクセス権限が付与されており、収納繰出部20に関する操作権限及び開錠権限については、銀行端末にアクセス権限が付与されており、また、収納部30に関する操作権限及び開錠権限については、警備会社端末にアクセス権限が付与されている。
また、上記の図2の(3)に示した当事者が紙幣処理装置1に関与する場合だけでなく、その他の当事者が紙幣処理装置1に関与する場合、たとえば図2の(4)に示した当事者が紙幣処理装置1に関与する場合にもアクセス権限を設定することができる。
図23は、外部装置に付与するアクセス権限の一例を示す図である。同図に示すように、外部装置の一例としては、店舗本部端末、店舗内端末、警備会社端末、銀行端末などが存在する。各端末は、PCや携帯端末、専用端末等であって、有線または無線のネットワークにより接続される。なお、ここに銀行端末を含めたのは、収納部30に収納される紙幣の所有権が銀行にあるからである。
図23に示す例では、入出金部10及び収納繰出部20に関する操作権限と開錠権限については、店舗本部端末及び店舗内端末にアクセス権限が付与されており、また、収納部30に関する操作権限及び開錠権限については、警備会社端末及び銀行端末にアクセス権限が付与されている。
そして、紙幣処理装置1では、外部装置に付与したアクセス権限を紙幣処理装置1の記憶部120に記憶しておき、外部装置からのアクセスがアクセス権限を有する装置からのものであるか否かを判定し、その結果、外部装置がアクセス権限を有する装置であった場合には、外部装置がアクセスを要求する処理がアクセス権限に含まれるか否かを判定する。
このとき、外部装置からのアクセスがアクセス権限を有する装置からのアクセスであり、かつ外部装置が要求する処理がアクセス権限に含まれる場合には、紙幣処理装置1は、要求に応答した処理を実行する。
一方、外部装置からのアクセスがアクセス権限を有する装置からのアクセスではない場合、外部装置がアクセス権限を有する装置である場合でも外部装置がアクセスを要求する処理がアクセス権限に含まれない場合には、要求された処理を実行しない。
これによって、当事者に所属する外部装置にアクセス権限がある処理だけ外部アクセスにより遠隔操作することができる。
例えば、図22の例で言えば、銀行端末から収納繰出部20の在高の閲覧を要求するアクセスがあった場合にだけ、収納繰出部20の在高を銀行端末に送信したり、また、銀行端末または警備会社端末から収納部30の在高の閲覧を要求するアクセスがあった場合にだけ、収納部30の在高を銀行端末または警備会社端末に送信したりすることができる。
また、図23の例で言えば、店舗本部端末または店舗内端末から収納繰出部20の在高の閲覧を要求するアクセスがあった場合にだけ、収納繰出部20の在高を店舗本部端末または店舗内端末に送信したり、また、警備会社端末または銀行端末から収納部30の在高の閲覧を要求するアクセスがあった場合にだけ、収納部30の在高を警備会社端末または銀行端末に送信したりすることができる。
また、上記の実施例では、オンライン入金処理およびオンライン出金処理を各入出金処理を行う時に行うこととしたが、一定期間内に行われた入出金を予め定めたタイミングで1度にまとめて行うようにしてもよい。
例えば、記憶部120によって入出金情報120aとして記憶された1日分の入出金取引の入出金金額や金種別枚数に基づき、入金計および出金計として集計し、入金計をオンライン入金処理するとともに出金計をオンライン出金処理したり、また、入金計及び出金計の差引集計額または差引集計額の金種別枚数をオンライン入金処理またはオンライン出金処理するようにしてもよい。
また、本発明では、操作ターミナル110や外部装置から要求を受け付けたことを契機にオンライン入金処理及び/又はオンライン出金処理を行うこともできる。例えば、前回にオンライン入金処理及びオンライン出金処理を行った入出金以後で今回指示を受け付けるまで記憶部120に入出金情報120aとして蓄積記憶された入出金取引をまとめてオンライン入金処理及びオンライン出金処理を行うこともできる。
また、上記の実施例では、紙幣の表裏にこだわりなく入出金を行うこととしたが、本発明では、入金時の紙幣の経路または出金時の紙幣の経路にRj一時保留部15や精査カセット21Gを含めることにより表裏反転させ、入金紙幣の表裏を揃えてスタッカ21に収納したり、出金紙幣の表裏を揃えて出金口13または入金Rj口14から出金させることもできる。
例えば、スタッカ21に表面を上にした状態で紙幣を収納する設定が行われていた場合には、入金口11で紙幣の表面が下にした状態で紙幣が内部に繰り込まれると識別部12で紙幣の表面が下であるという状態が識別されて一旦は識別金種のスタッカ21に収納される。そして、スタッカ21に収納した紙幣を繰り出し、Rj一時保留部15に搬送して保留した後に再度識別部12を経由して該当スタッカ21に収納することで、スタッカ21に収納される紙幣すべてを表面を上にした状態で収納することができる。
また、出金口13に表面を上にした状態で紙幣を出金する設定が行われていた場合には、スタッカ21内で表面が下にした状態の紙幣をRj一時保留部15に搬送して保留した後に出金口13から出金することで、出金口13から出金される紙幣すべてを表面を上にした状態で出金することができる。
なお、上記の実施例では、店舗、銀行および警備会社の3者に取扱権限が存在する場合について説明したが、本発明は当事者が3者の場合に限定されるものではなく、少なくとも入出金部10、収納繰出部20または収納部30のいずれかの機能を有する第4の部位を設けることにより当事者が4者以上の場合にも同様に適用することができる。
例えば、図1に示した収納部30とは別に同様の機能を有する収納部40をさらに設けておき、米国銀行が収納部30を所有し、カナダ銀行が収納部40を所有するとした時には、収納繰出部20から繰り出される米ドル紙幣を収納部30に引き渡すとともにカナダドル紙幣を収納部40に引き渡すように紙幣処理装置1を構成することもできる。
また、上記の実施例では、図9に示す操作ターミナル110、記憶部120及び制御部130の機能部を第1の部位、第2の部位または第3の部位のいずれかの部位に集約して設けることとしてもよいし、分散して設けることとしてもよい。また、これらの機能部を各々の部位に設けることもできる。