〔第1の実施の形態〕
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。図1乃至図7は、本実施の形態に係る貨幣処理システムを示す図である。このうち、図1は、本実施の形態における貨幣処理システムの構成を示す斜視図であり、図2は、図1に示す貨幣処理システムの機能ブロック図である。また、図3は、図1に示す貨幣処理システムにおける貨幣処理機の紙幣処理装置の構成の概略を示す概略構成図であり、図4は、図1に示す貨幣処理システムにおける貨幣処理機の硬貨処理装置の構成の概略を示す概略構成図である。また、図5は、図1に示す貨幣処理システムにおける貨幣処理機の機能ブロック図である。また、図6は、図1に示す貨幣処理システムにおける棒金収納庫の構成を示す斜視図であり、図7は、図6に示す棒金収納庫において、筐体からドロアを引き出したときの状態を示す斜視図である。
まず、本実施の形態による貨幣処理システム1の全体構成について図1および図2を用いて説明する。なお、図1および図2に示すような本実施の形態による貨幣処理システム1は、例えば飲食店等の店舗の事務所に設置されている。また、飲食店等の店舗では、紙幣釣銭機および硬貨釣銭機が組み合わせられて一体となった貨幣釣銭機(図示せず)が設置されており、顧客から受け取った紙幣や硬貨を店員が貨幣釣銭機に入金するとともに、釣銭としての紙幣や硬貨が貨幣釣銭機から出金されるようになっている。本実施の形態による貨幣処理システム1および釣銭準備金が設置された店舗では、営業時間前に、貨幣処理システム1から釣銭準備金としての貨幣を出金し、この釣銭準備金としての貨幣を貨幣釣銭機に補充するようになっている。また、営業時間後に、店舗における売上金としての貨幣を貨幣釣銭機から取り出し、貨幣処理システム1に入金するようになっている。
図1に示すように、本実施の形態による貨幣処理システム1は、貨幣の入出金処理を行う貨幣入出金機10と、所定枚数(例えば、50枚)の硬貨を棒状に包装した棒金硬貨を収納する3つの棒金収納庫110、120、130と、を備えている。より詳細には、3つの棒金収納庫110、120、130はそれぞれ支持ラック100により一体的に支持されており、縦に積み重ねられた状態で貨幣入出金機10の上方に配置されるようになっている。
図1に示すように、貨幣入出金機10は略直方体形状の筐体11を備えており、この筐体11には、貨幣入出金機10を前方から見て上部右側に配置された紙幣処理装置20と、貨幣入出金機10を前方から見て上部左側に配置された硬貨処理装置30とがそれぞれ設けられている。また、貨幣入出金機10の筐体11において、紙幣処理装置20および硬貨処理装置30の下方には、硬貨および紙幣の収納を行う貨幣収納部40が設けられている。
本実施の形態の貨幣処理システム1では、貨幣入出金機10により、当該貨幣入出金機10および各棒金収納庫110、120、130の両方の操作を行うことができるようになっている。より詳細には、図2に示すように、3つの棒金収納庫110、120、130および1つの貨幣入出金機10が直列に通信接続されており、この貨幣入出金機10により各棒金収納庫110、120、130に対して指令を与えることにより、各棒金収納庫110、120、130における筐体112からのドロア114の引き出しを許容したり禁止したりするようになっている。ここで、3つの棒金収納庫110、120、130および1つの貨幣入出金機10を直列に通信接続することによって、貨幣入出金機10における通信用の接続端子の数を1つとすることができる。また、図1および図2に示すように、3つの棒金収納庫110、120、130が直接に通信接続されているため、貨幣処理システム1において棒金収納庫の増設を行ったり棒金収納庫の数を減らしたりすることが可能となる。なお、各棒金収納庫110、120、130の構成の詳細については後述する。
次に、貨幣入出金機10における紙幣処理装置20、硬貨処理装置30および貨幣収納部40の各構成要素の詳細について説明する。
まず、紙幣処理装置20の構成について図1および図3を用いて説明する。図1および図3に示すように、紙幣処理装置20は、当該紙幣処理装置20内への紙幣の取り込みを行う紙幣投入口21と、紙幣処理装置20内に取り込まれた紙幣のうち偽札や識別不能な紙幣等のリジェクトを行う紙幣リジェクト口22と、紙幣処理装置20内に取り込まれた紙幣のうち貨幣収納部40に収納されない紙幣や出金紙幣を紙幣処理装置20の外部に返却する紙幣返却口23とを備えている。また、図3に示すように、紙幣処理装置20の内部には、紙幣投入口21に投入された紙幣を紙幣処理装置20内で搬送する搬送部25が設けられている。
紙幣投入口21は、操作者により1または束状態の複数の紙幣が短手方向に一括して投入されるよう構成されている。紙幣投入口21には紙幣ステージ28(図5参照、図1および図3では図示せず)が配設されており、この紙幣ステージ28は、待機時には上昇位置にありこの際には操作者は紙幣投入口21に紙幣を投入することができず、一方、紙幣の入金処理時には下降して操作者が紙幣投入口21に紙幣を投入することができるように構成されている。また、図3に示すように、紙幣投入口21は搬送部25に接続されており、紙幣投入口21に投入された1または束状態の複数の紙幣は、1枚ずつ搬送部25で搬送されるようになっている。また、紙幣リジェクト口22は、図3に示すように搬送部25に接続されており、紙幣投入口21により紙幣処理装置20内に取り込まれた紙幣のうち後述する識別部26によりリジェクトすべき紙幣であると識別された紙幣や識別部26で識別することができなかった紙幣が搬送部25から送られるようになっている。操作者はこの紙幣リジェクト口22に送られた紙幣を取り出すことができるようになっている。
紙幣返却口23には、図3に示すように、搬送部25に接続された紙幣保留部29が設けられている。この紙幣保留部29には、搬送部25から紙幣が送られるようになっている。また、紙幣返却口23には開閉可能な扉24が設けられている。紙幣保留部29にある紙幣を返却する場合には、紙幣保留部29の装置前面側の壁面が開いて、操作者は扉24から紙幣を取り出すことができるようになっている。扉24は、紙幣の取り出しが可能な状態になれば、自動的に開くようになっている。なお、後述のように、紙幣保留部29内に保留された紙幣は、操作者により紙幣返却口23から取り出される代わりに、貨幣収納部40内に配置された紙幣収納カセット41(後述)に送られる場合もある。
搬送部25は、紙幣処理装置20の内部で紙幣を1枚ずつ順次搬送する機能を有している。具体的には、搬送部25において、紙幣は一対のベルト間に挟まれて搬送路に沿って搬送されるようになっている。また、図3に示すように、搬送部25に設けられた搬送路は様々な箇所で分岐するようになっており、この搬送路が分岐する箇所には分岐部材(図示せず)が設けられている。各分岐部材は例えば分岐爪からなり、これらの分岐部材はそれぞれ後述する制御部15により制御されるようになっている。また、搬送部25には、当該搬送部25で搬送される紙幣の識別を1枚ずつ行う識別部26が介設されている。この識別部26は、搬送部25で搬送される紙幣の金種、真偽、正損等を識別するようになっている。識別部26による紙幣の識別結果は後述する制御部15に送られるようになっている。
紙幣処理装置20の内部には、リサイクル式紙幣収納部27が複数(例えば3つ)並列に設けられている。ここで、複数のリサイクル式紙幣収納部27a〜27cは、概して金種別に紙幣を一時的に収納するようになっている。図3に示すように、各リサイクル式紙幣収納部27は、正逆両方向に回転可能なドラム27pをそれぞれ有しており、各ドラム27pに一対のテープが巻き付けられている。そして、紙幣を搬送部25から各リサイクル式紙幣収納部27に送り込みながらドラム27pを正転させると、当該紙幣は順次ドラム27pに巻き取られる。一方、ドラム27pを逆転させると当該ドラム27pに巻き取られていた紙幣が1枚ずつ搬送部25へ送り出される。なお、各リサイクル式紙幣収納部27は、上述のような、ドラム27pおよび一対のテープからなり紙幣が一対のテープの間に挟まれた状態でこの一対のテープごとドラム27pにより巻き取られるような構成に限定されることはなく、他の構成とすることもできる。例えば、各リサイクル式紙幣収納部27をスタッカ式(積層式)のものとしてもよい。
紙幣保留部29は、前述のように紙幣返却口23に設けられており、図3に示すように搬送部25に接続されている。この紙幣保留部29には、紙幣投入口21に投入された紙幣や、各リサイクル式紙幣収納部27に収納された紙幣が搬送部25により送られるようになっており、搬送部25から送られた紙幣を束状態で複数保留することができるようになっている。ここで、紙幣保留部29にある紙幣を返却する場合には、前述のように、紙幣保留部29の装置前面側の壁面が開いて、操作者は扉24から紙幣を取り出すことができるようになっている。扉24は、紙幣の取り出しが可能な状態になれば、自動的に開くようになっている。また、紙幣保留部29に紙幣が保留される際に、紙幣は一時保留板に載せられるようになっており、紙幣保留部29にある紙幣を紙幣収納カセット41に収納させる際には、この紙幣収納カセット41に設けられたステージが紙幣保留部29の一時保留板に載せられた紙幣を迎えにいき、一時保留板が退避して紙幣が落下すると、紙幣をステージ上に載せて紙幣保留部29から紙幣収納カセット41へ下降し、そしてステージ上の紙幣を上から押さえ部材で押さえて紙幣収納カセット41へ収納するようになっている。
次に、硬貨処理装置30の構成について図1および図4を用いて説明する。図1および図4に示すように、硬貨処理装置30は、当該硬貨処理装置30内への硬貨の取り込みを行う硬貨投入口31と、硬貨処理装置30内に取り込まれた硬貨のうち後述する識別部35aにより識別不能な硬貨等のリジェクトを行ったり、硬貨処理装置30内に取り込まれた硬貨のうち貨幣収納部40に収納されない硬貨を硬貨処理装置30の外部に返却したり、出金硬貨を払い出したりする硬貨返却口32とを備えている。また、図4に示すように、硬貨処理装置30の内部には、硬貨投入口31に投入された硬貨を硬貨処理装置30内で搬送する搬送部35が設けられている。
硬貨投入口31は、操作者により1または複数の硬貨が一括して投入されるよう構成されている。この硬貨投入口31に投入された硬貨は、硬貨処理装置30の内部に送られるようになっている。硬貨返却口32は、搬送部35の下流側端部に接続されており、この搬送部35から送られた硬貨を貯留するようになっている。操作者はこの硬貨返却口32に貯留された硬貨を取り出すことができるようになっている。ここで、硬貨返却口32には、前述のように、硬貨処理装置30内に取り込まれた硬貨のうち後述する識別部35aにより識別不能な硬貨等が送られるとともに、硬貨処理装置30内に取り込まれた硬貨のうち貨幣収納部40に収納されない硬貨が送られたり、後述するリサイクル式硬貨収納部34から繰り出された出金硬貨が送られたりするようになっており、このような硬貨が硬貨返却口32により硬貨処理装置30の外部に返却されるようになっている。
図4に示すように、硬貨処理装置30の内部には硬貨繰出部33が設けられている。この硬貨繰出部33は硬貨投入口31に連通しており、操作者により硬貨投入口31から投入された硬貨を一時的に貯留するとともに、この貯留された硬貨を後述する搬送部35に繰り出すようになっている。
搬送部35は、硬貨処理装置30の内部で硬貨を1枚ずつ順次搬送する機能を有している。図4に示すように、搬送部35の上流側端部および下流側端部は、硬貨繰出部33および硬貨返却口32にそれぞれ接続されている。また、搬送部35には、当該搬送部35で搬送される硬貨の識別を1枚ずつ行う識別部35aが介設されている。この識別部35aは、搬送部35で搬送される硬貨の金種や真偽等を識別するようになっている。識別部35aによる紙幣の識別結果は後述する制御部15に送られるようになっている。
硬貨処理装置30の内部には、筒状の上入れ上出しタイプのリサイクル式硬貨収納部34が複数(例えば6つ)並列に設けられており、各リサイクル式硬貨収納部34はそれぞれ鉛直方向に延びるようになっている。ここで、複数のリサイクル式硬貨収納部34a〜34fは、概して金種別に硬貨を積層状態で一時的に収納するようになっている。
図4に示すように、搬送部35の途中部分には、硬貨繰出部33から下流側に向かって順に、間隔をおいて7つの選別孔36が設けられている。ここで、7つの選別孔36のうち最も上流側にある選別孔36(オーバーフロー用の選別孔36)は、搬送部35から後述する横方向搬送部38に直接硬貨を送るために設けられている。具体的には、最も上流側にある選別孔36は、識別部35aによる硬貨の識別結果が所定の条件を満たしたときに(例えば、識別部35aにより識別された硬貨の金種に対応するリサイクル式硬貨収納部34が満杯であったときに)、この硬貨を横方向搬送部38上に送るようになっている。また、上流側から2番目〜7番目の選別孔36は、それぞれ各リサイクル式硬貨収納部34a〜34fに対応するものである。
図4に示すように、鉛直方向にそれぞれ延びる各リサイクル式硬貨収納部34の上部には、硬貨を一時的に保留する金種別硬貨一時保留部39が設けられている。7つの選別孔36のうち最も上流側にある選別孔36以外の各選別孔36を介して搬送部35から落下した硬貨は、まず金種別硬貨一時保留部39により一時的に保留されるようになっている。そして、この金種別硬貨一時保留部39に保留された硬貨が各リサイクル式硬貨収納部34に収納されるようになっている。また、この金種別硬貨一時保留部39は投出部材を有しており、この投出部材により、金種別硬貨一時保留部39に保留された硬貨を後述する横方向搬送部38上に投げ出すこともできるようになっている。一方、各リサイクル式硬貨収納部34内に収納された硬貨がこのリサイクル式硬貨収納部34から取り出される場合には、まずリサイクル式硬貨収納部34の下部に設けられたステージ(図示せず)が上方に持ち上げられ、ステージ上の硬貨が金種別硬貨一時保留部39に送られ、そしてこの硬貨は金種別硬貨一時保留部39の投出部材により横方向搬送部38上に投げ出されるようになっている。
図4に示すように、硬貨処理装置30の内部には硬貨保留部37aが設けられており、この硬貨保留部37aの上部にはシュート37bが設置されている。ここで、後述する横方向搬送部38からシュート37bの上部に送られた硬貨は、当該シュート37b内を通過して硬貨保留部37aに送られるようになっている。硬貨保留部37aに一時的に保留された硬貨は、貨幣収納部40内に配置された硬貨収納カセット42(後述)に送られるようになっている。
図4に示すように、硬貨処理装置30の内部において、鉛直方向にそれぞれ延びる各リサイクル式硬貨収納部34の近傍には、例えば略水平方向に延びる循環ベルト38aを有する横方向搬送部38が設けられている。循環ベルト38aは図4の時計回りおよび反時計回りの両方に循環移動可能となっている。また、横方向搬送部38の一端は硬貨繰出部33内に位置しており、横方向搬送部38の他端はシュート37bの上部の近傍に位置している。ここで、循環ベルト38aが図4における反時計回りに回転したときには、横方向搬送部38上にある硬貨は硬貨繰出部33に送られるようになっている。一方、循環ベルト38aが図4における時計回りに回転したときには、横方向搬送部38上にある硬貨はシュート37bに送られ、硬貨保留部37aで保留されることとなる。
次に、貨幣収納部40の構成について図1を用いて説明する。図1に示すように、貨幣収納部40は、貨幣入出金機10の筐体11の下部に設けられている。この貨幣収納部40は、図3および図4に示すように、紙幣を収納する紙幣収納カセット41、および硬貨を収納する硬貨収納カセット42を有している。紙幣収納カセット41には、紙幣処理装置20の紙幣保留部29に保留された紙幣が収納されるようになっている(図3参照)。硬貨収納カセット42には、硬貨処理装置30の硬貨保留部37aに保留された硬貨が収納されるようになっている(図4参照)。そして、例えば売上金の回収業務を委託された警備会社の警備員等の収集特定者によって、貨幣収納部40の各カセット41、42が筐体11の前面側へ引き出され、この収集特定者が各カセット41、42自体を回収するようになっている。
次に、貨幣入出金機10に設けられた他の様々な機構について説明する。図1に示すように、貨幣入出金機10の筐体11の上面には、操作者が貨幣入出金機10の制御部15(後述)に対して様々な指令を行うための操作部45、および貨幣入出金機10における貨幣の処理内容等を表示する表示部44が設けられている。ここで、操作部45は、例えばテンキーや確定キー、スタートキー、取消キーならびにリセットキーを有しており、操作者が各キーを押すことにより貨幣入出金機10の制御部15に対して様々な指令を行うことができるようになっている。表示部44は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)から構成されている。
また、筐体11の前面には、貨幣入出金機10における貨幣の処理内容等を印字するプリンタ43、および操作者の操作権限の確認を行うためのカードリーダ46がそれぞれ設けられている。カードリーダ46は、操作者が携帯するIDカードのID情報の読み取りを行うようになっている。
次に、貨幣入出金機10における各構成要素の制御を行う制御部15について図5を用いて説明する。制御部15は貨幣入出金機10の筐体11内に設置されている。
図5に示すように、制御部15には、紙幣処理装置20の各構成要素(例えば、搬送部25、識別部26、リサイクル式紙幣収納部27、紙幣ステージ28、紙幣保留部29、扉24等)、硬貨処理装置30の各構成要素(例えば、硬貨繰出部33、搬送部35、識別部35a、横方向搬送部38、金種別硬貨一時保留部39を含むリサイクル式硬貨収納部34、硬貨保留部37a等)、貨幣収納部40、表示部44、操作部45、プリンタ43、カードリーダ46、記憶部47等が接続されている。
制御部15には、紙幣処理装置20の識別部26による紙幣の識別結果や、硬貨処理装置30の識別部35aによる硬貨の識別結果が送られるようになっている。また、制御部15には、操作部45からの入力やカードリーダ46によりカードから読み取られた操作者のID情報等の情報が送られるようになっている。
また、制御部15は、貨幣入出金機10の操作が行われる際は操作部45やカードリーダ46から入力された操作者のID情報をもとに操作者の権限の確認を行う。また、制御部15は、紙幣処理装置20や硬貨処理装置30の各構成要素を制御したり、表示部44、プリンタ43等を制御したりするようになっている。
また、図5に示すように、制御部15には比較手段60が接続されている。この比較手段60は、貨幣処理システム1において貨幣の出金処理を行う際に、出金すべき貨幣の金額と、貨幣入出金機10から出金された貨幣の金額および後述する各棒金収納庫110、120、130から取り出された棒金硬貨の金額の合計額とを比較するようになっている。ここで、出金すべき貨幣の金額とは、後述する出金処理を行う際に、操作者が最初に操作部45により制御部15に入力する貨幣の金額のことをいう。
また、制御部15は、貨幣処理システム1において貨幣の入金処理を行う際に、貨幣入出金機10に入金された貨幣の金額と、後述する各棒金収納庫110、120、130に入金された棒金硬貨の金額の合計金額を、入金金額として出力する出力手段としても機能するようになっている。出力手段により出力された入金金額は、表示部44に表示されたり、プリンタ43により印字されたりするようになる。
また、制御部15にはインターフェース48が接続されており、このインターフェース48を介して制御部15は後述する各棒金収納庫110、120、130に対して信号の送受信を行うようになっている。
次に、各棒金収納庫110、120、130の構成の詳細について図6および図7を用いて説明する。以下の記載では、3つの棒金収納庫110、120、130を代表して、棒金収納庫110の構成について述べる。図6および図7に示すように、棒金収納庫110は、略直方体形状の筐体112と、筐体112に対して引き出し自在に設けられたドロア114とを有している。図6は、棒金収納庫110の筐体112にドロア114を完全に収容したときの状態を示し、図7は、棒金収納庫110の筐体112からドロア114を手前側に引き出したときの状態を示している。
図7に示すように、棒金収納庫110は、所定枚数(例えば、50枚)の硬貨を棒状に包装した棒金硬貨をそれぞれ1本ずつ収納可能な複数の棒金収納部115が設けられている。また、筐体112の前面には電源スイッチカバー116が設けられており、この電源スイッチカバー116を操作者が指で開くことにより、棒金収納庫110の電源スイッチを操作者が操作することができるようになっている。
各棒金収納庫110、120、130において、各棒金収納部115に棒金硬貨がそれぞれ収納されているか否かおよび棒金硬貨の金種を検知する棒金硬貨検知部(図示せず)が設けられている。このような棒金硬貨検知部は、例えば各棒金収納庫110、120、130の筐体112の前面に設けられており、筐体112からドロア114を引き出したり筐体112にドロア114を押し込んだりする度に棒金硬貨検知部によって棒金硬貨の検知が行われるようになっている。あるいは、各棒金収納部115に棒金硬貨検知部がそれぞれ設けられており、各棒金収納部115に棒金硬貨が収納されると、この棒金収納部115に対応する棒金硬貨検知部によって当該棒金硬貨が検知されるようになっていてもよい。
また、各棒金収納庫110、120、130において、通常時は筐体112内にドロア114がロックされており当該筐体112からドロア114を引き出すことができないようになっているが、貨幣の入金処理や出金処理等を行う際に、貨幣入出金機10の制御部15は、全ての棒金収納庫110、120、130におけるドロア114のロックを解除するよう各棒金収納庫110、120、130を制御することができるようになっている。このことにより、各棒金収納庫110、120、130において筐体112からドロア114を引き出すことができるようになる。なお、本実施の形態による貨幣処理システム1はこのような態様に限定されることはない。他の例として、貨幣の入金処理や出金処理等を行う際に、棒金硬貨が棒金収納部115から取り出されたり棒金収納部115に収納されたりする予定の棒金収納庫のみにおいてドロア114のロックが解除され、他の棒金収納庫ではドロア114のロックが解除されないようになっていてもよい。この場合、各棒金収納庫110、120、130のドロア114等に表示ランプが設けられており、ロックが解除された棒金収納庫のドロア114のみにおいて表示ランプが点灯するようになっていてもよい。ドロア114を開放する前の金種別の在高情報と、ドロア114を閉じた後の金種別の在高情報とを比較することにより、入金内容あるいは出金内容を把握することができる。例えば、金種別の在高情報が増加していれば、その金種の棒金硬貨が増加分だけ入金されたことがわかる。逆に、金種別の在高情報が減少していれば、その金種の棒金硬貨が減少分だけ取り出されたことがわかる。
次に、このような構成からなる貨幣処理システム1の動作について説明する。
本実施の形態による貨幣処理システム1では、貨幣入出金機10の在高および各棒金収納庫110、120、130の在高が一括で管理されるようになっている。具体的には、図2に示すように、貨幣入出金機10および各棒金収納庫110、120、130は互いに通信接続されており、貨幣入出金機10の制御部15により、貨幣入出金機10および各棒金収納庫110、120、130が制御されるようになっており、操作者は、貨幣入出金機10の操作部45によって、貨幣入出金機10および各棒金収納庫110、120、130の両方の操作が可能となる。また、各棒金収納庫110、120、130の機内在高に係る情報がこれらの棒金収納庫110、120、130から貨幣入出金機10に送信されることにより、貨幣入出金機10の制御部15は、各棒金収納庫110、120、130の在高を管理することができる。
本実施の形態による貨幣処理システム1において、貨幣の入金処理を行う際に、一度の取引で貨幣入出金機10および各棒金収納庫110、120、130の両方へ貨幣を入金することができるようになっている。より詳細には、貨幣の入金処理を行う際に、基本的には紙幣およびバラ硬貨をそれぞれ貨幣入出金機10の紙幣処理装置20および硬貨処理装置30に入金するが、制御部15が棒金収納庫110、120、130の一部または全部を制御してドロア114のロックを解除することにより、各棒金収納庫110、120、130の筐体112からドロア114を手前側に引き出し、引き出されたドロア114の棒金収納部115に棒金硬貨を収納した後、ドロア114を筐体112内に戻すことが可能となり、このようにして棒金硬貨を各棒金収納庫110、120、130に入金することもできる。このとき、貨幣入出金機10に入金されたバラ硬貨および紙幣と、各棒金収納庫110、120、130に入金された棒金硬貨とを合わせた貨幣が、当該操作者が入金した貨幣として記録・管理される。従って、入金伝票は、バラ硬貨、紙幣および棒金硬貨の入金情報が1枚にまとめて出力される。
また、本実施の形態による貨幣処理システム1において、貨幣の出金処理を行う際に、一度の取引で貨幣入出金機10および各棒金収納庫110、120、130の両方から貨幣を出金することができるようになっている。より詳細には、貨幣の出金処理を行う際に、基本的には紙幣およびバラ硬貨をそれぞれ貨幣入出金機10の紙幣処理装置20および硬貨処理装置30から出金するが、制御部15が棒金収納庫110、120、130の一部または全部を制御してドロア114のロックを解除することにより、各棒金収納庫110、120、130の筐体112からドロア114を手前側に引き出し、引き出されたドロア114の棒金収納部115に収納されている棒金硬貨を取り出すことが可能となり、このようにして棒金硬貨を各棒金収納庫110、120、130から出金することもできる。このとき、貨幣入出金機10から出金されたバラ硬貨および紙幣と、各棒金収納庫110、120、130から取り出された棒金硬貨とを合わせた貨幣が、当該操作者が出金した貨幣として記録・管理される。従って、出金伝票は、バラ硬貨、紙幣および棒金硬貨の出金情報が1枚にまとめて出力される。
ここで、貨幣の出金処理を行う際に、貨幣入出金機10における制御部15に接続された比較手段60により、出金すべき貨幣の金額と、貨幣入出金機10から出金された貨幣の金額および各棒金収納庫110、120、130から取り出された棒金硬貨の金額の合計額との比較を行う。ここで、出金すべき貨幣の金額とは、前述したように、貨幣の出金処理を行う際に操作者が最初に操作部45により制御部15に入力した出金額のことをいう。なお、この際に、操作者は出金すべき貨幣について金種毎の枚数を操作部45により制御部15に入力し、制御部15において、操作者によって入力された情報に基づいて出金額が自動的に計算されるようになっていてもよい。比較手段60によって上述のような比較が行われたときに、出金すべき貨幣の金額と、貨幣入出金機10から出金された貨幣の金額および各棒金収納庫110、120、130から取り出された棒金硬貨の金額の合計額とが一致しなかった場合には、制御部15においてこの情報が出力されるようになる。具体的には、操作者が各棒金収納庫110、120、130から棒金硬貨を取り出す際に誤った本数の棒金硬貨や誤った金種の棒金硬貨を取り出してしまうと両者の金額が一致しないようになるが、この場合には、両者の金額が一致しなかったという情報が例えば表示部44に表示されるようになり、操作者は各棒金収納庫110、120、130からの棒金硬貨の取り出しに誤りがあったことを気付くことができるようになる。
また、本実施の形態では、貨幣処理システム1において貨幣の出金処理を行う際に、出金すべき硬貨の中で、所定枚数の倍数の枚数の硬貨を各棒金収納庫110、120、130から出金するとともに、所定枚数未満の枚数の硬貨を貨幣入出金機10から出金するようになっている。前述したように、「所定枚数」とは、1つの棒金硬貨を作成する際に用いられる硬貨の枚数のことをいい、例えば50枚である。この場合には、例えば貨幣処理システム1において105枚の100円硬貨を出金する場合に、2本の100円の棒金硬貨(すなわち、100枚の100円硬貨)を各棒金収納庫110、120、130から出金するとともに、5枚の100円硬貨を貨幣入出金機10から出金するようになる。ただし、各棒金収納庫110、120、130内の棒金硬貨の在高が足りない場合は、棒金硬貨が足りない分を、貨幣入出金機10から払い出す。例えば、105枚の100円硬貨を出金する場合に、100円の棒金硬貨が1本しかない場合は、棒金収納庫110、120、130から100円の棒金硬貨を1本取り出させるとともに、貨幣入出金機10から55枚の100円硬貨を払い出す。
また、本実施の形態による貨幣処理システム1において、貨幣の回収処理を行う際に、貨幣入出金機10および各棒金収納庫110、120、130の両方から貨幣を回収するようになっている。より詳細には、貨幣の回収処理を行う際に、例えば売上金の回収業務を委託された警備会社の警備員等の収集特定者によって、貨幣入出金機10における貨幣収納部40の各カセット41、42が筐体11の前面側へ引き出され、この収集特定者が各カセット41、42自体を回収する。また、制御部15が棒金収納庫110、120、130の一部または全部を制御してドロア114のロックを解除することにより、収集特定者は、各棒金収納庫110、120、130の筐体112からドロア114を手前側に引き出し、引き出されたドロア114の棒金収納部115に収納されている棒金硬貨を取り出すことが可能となり、このようにして棒金硬貨を各棒金収納庫110、120、130から回収する。
また、本実施の形態による貨幣処理システム1において、貨幣の補充処理を行う際に、貨幣入出金機10および各棒金収納庫110、120、130の両方に貨幣を補充するようになっている。より詳細には、貨幣の補充処理を行う際に、紙幣およびバラ硬貨をそれぞれ貨幣入出金機10の紙幣処理装置20および硬貨処理装置30に補充する。また、制御部15が棒金収納庫110、120、130の一部または全部を制御してドロア114のロックを解除することにより、各棒金収納庫110、120、130の筐体112からドロア114を手前側に引き出し、引き出されたドロア114の棒金収納部115に棒金硬貨を収納した後、ドロア114を筐体112内に戻すことが可能となり、このようにして棒金硬貨を各棒金収納庫110、120、130に補充する。また、硬貨の補充処理を行う際に、棒金硬貨の包装を解いてバラ硬貨とし、当該バラ硬貨を貨幣入出金機10の硬貨処理装置30に補充してもよい。
また、本実施の形態による貨幣処理システム1において、貨幣の両替処理を行う際に、紙幣からバラ硬貨への両替処理、およびバラ硬貨から紙幣への両替処理は貨幣入出金機10により行う。一方、バラ硬貨や紙幣から棒金硬貨への両替処理や、棒金硬貨からバラ硬貨や紙幣への両替処理は貨幣処理システム1における貨幣入出金機10および各棒金収納庫110、120、130の両方を用いて行うようになる。
以上のように本実施の形態の貨幣処理システム1によれば、貨幣入出金機10および各棒金収納庫110、120、130は互いに通信接続されており、一度の取引で貨幣入出金機10および棒金収納庫110、120、130の両方から貨幣を出金したり両方に貨幣を入金したりすることができる。このため、硬貨や紙幣の入出金処理を行う際の操作者の負担を軽減することができる。また、各棒金収納庫110、120、130を設けることにより、貨幣入出金機10単体を用いる場合と比較して、硬貨の収納容量を擬似的に増やすことができる。
また、本実施の形態の貨幣処理システム1では、図1に示すように、3つの棒金収納庫110、120、130はそれぞれ支持ラック100により一体的に支持されており、縦に積み重ねられた状態で貨幣入出金機10の上方に配置されるようになっている。このため、貨幣処理システム1が設置されるスペースを小さくすることができる。このような省スペース化は、貨幣処理システム1が飲食店等の店舗に設置される場合にとりわけ有効である。
また、本実施の形態の貨幣処理システム1においては、前述したように、貨幣の出金処理を行う際に、比較手段60により、出金すべき貨幣の金額と、貨幣入出金機10から出金された貨幣の金額および各棒金収納庫110、120、130から取り出された棒金硬貨の金額の合計額とを比較するようになっている。また、貨幣の出金処理を行う際に、出金すべき硬貨の中で、所定枚数の倍数の枚数の硬貨を各棒金収納庫110、120、130から出金するとともに所定枚数未満の枚数の硬貨を貨幣入出金機10から出金するようになっている。
また、本実施の形態の貨幣処理システム1においては、前述したように、貨幣入出金機10は操作部45を有しており、該操作部45により貨幣入出金機10および各棒金収納庫110、120、130の両方の操作が可能となっている。この場合には、貨幣処理システム1にPOSレジスタや高機能の管理ターミナル等を設置する必要がなくなり、貨幣入出金機10および各棒金収納庫110、120、130のみの構成で、両方の操作を貨幣入出金機10の操作部45により行うことができるようになる。このように、POSレジスタや高機能の管理ターミナル等の設置を省略できるため、貨幣処理システム1の設置費用やランニングコストを低減することができる。
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、以下に示す第2の実施の形態において、上述した第1の実施の形態と同一の内容についてはその説明を省略する。以下に示す第2の実施の形態では、貨幣処理システムにおける貨幣入出金機10および各棒金収納庫110、120、130の通信接続の方法が異なるのみであり、貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の構成自体については第1の実施の形態と同様となっている。
図8に示すように、第2の実施の形態に係る貨幣処理システム1aでは、貨幣入出金機10および各棒金収納庫110、120、130の管理を行う管理ターミナル150が設けられている。より具体的に説明すると、貨幣入出金機10および各棒金収納庫110、120、130はそれぞれ管理ターミナル150に通信接続されており、管理ターミナル150により貨幣入出金機10および各棒金収納庫110、120、130に対して指令を与えることにより、貨幣入出金機10における紙幣処理装置20および硬貨処理装置30の動作を制御したり、各棒金収納庫110、120、130におけるドロア114のロックのオンオフを制御したりするようになっている。
このように、図8に示す貨幣処理システム1aでは、管理ターミナル150により貨幣入出金機10および各棒金収納庫110、120、130の両方の操作が可能となっているため、操作者は管理ターミナル150により一度の取引で貨幣入出金機10および棒金収納庫110、120、130の両方から貨幣を出金したり両方に貨幣を入金したりすることができる。このため、硬貨や紙幣の入出金処理を行う際の操作者の負担を軽減することができる。
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、以下に示す第3の実施の形態において、上述した第1の実施の形態や第2の実施の形態と同一の内容についてはその説明を省略する。以下に示す第3の実施の形態では、貨幣処理システム1において、機体内に投入された貨幣を売上金として計上して貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機体内に収納する入金処理(以下、売上入金処理ともいう)の他に、機体内に投入された貨幣を売上金として計上せず預かり貨幣として貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機体内に収納する預け入れ処理を行うことができるようになっている。なお、第3の実施の形態において、貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の構成自体については第1の実施の形態と同様となっている。
第3の実施の形態の貨幣処理システム1において、売上入金処理の他に預け入れ処理を行うことができるようになっている理由について以下に説明する。本実施の形態における貨幣処理システム1、および紙幣釣銭機および硬貨釣銭機が組み合わせられて一体となった貨幣釣銭機が設置されるような飲食店等の店舗では、昼食時や夕食時等の、貨幣釣銭機において貨幣の入出金処理が頻繁に行われるようなピークタイム(繁忙時期)と、それ以外の時間帯である、貨幣釣銭機において貨幣の入出金が頻繁に行われることのないオフタイム(閑散時期)とがある。ピークタイムでは、釣銭としての紙幣や硬貨が不足しないよう貨幣釣銭機(およびその近く)に紙幣や硬貨をできるだけ多く収納させておくことが望ましい。一方、オフタイムでは、防犯上の理由により、貨幣釣銭機等に収納される紙幣や硬貨の枚数をできるだけ減少させることが望ましい。このため、オフタイムでは、貨幣処理システム1において預かり処理を行うことにより、貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機体内に投入された貨幣を売上金として計上せず預かり貨幣として機体内に収納することができるようになるため、貨幣釣銭機等から引き上げてきた余分な紙幣やバラ硬貨、棒金硬貨を貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機体内に投入し、これらの貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130内で預かり貨幣として安全に保管することができるようになる。
本実施の形態では、操作者が貨幣入出金機10を操作する際に、表示部44には図9に示すような機能選択画面が表示されるようになっている。ここで、操作者が操作部45により「枚数計数」モードを選択すると、貨幣入出金機10の紙幣処理装置20や硬貨処理装置30において機体内に投入された紙幣や硬貨の枚数が識別部26、35aにより計数され、計数された紙幣や硬貨が紙幣処理装置20や硬貨処理装置30から払い出されるようになる。また、操作者が操作部45により「準備金」モードを選択すると、釣銭準備金としての紙幣や硬貨、棒金硬貨が貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130から出金されるようになる。また、操作者が操作部45により「回収」「両替」「入金」モードを選択すると、それぞれ貨幣処理システム1において貨幣の回収処理、両替処理、入金処理が行われるようになる。ここで、図9に示す機能選択画面において「入金」モードが選択されることにより貨幣処理システム1において入金処理が行われる場合には、貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機体内に投入された貨幣を売上金として計上して各リサイクル式紙幣収納部27や各リサイクル式硬貨収納部34、各棒金収納部115に収納する。
一方、操作者が操作部45により「預かり」モードを選択すると、貨幣処理システム1において以下に記載されるような預け入れ処理が行われるようになる。すなわち、貨幣処理システム1において預け入れ処理が行われる場合には、貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機体内に投入された貨幣は売上金として計上せず預かり貨幣として各リサイクル式紙幣収納部27や各リサイクル式硬貨収納部34、各棒金収納部115に収納される。
その後、貨幣入出金機10の表示部44に図9に示すような機能選択画面が表示されているときに、操作者が操作部45により「戻し」モードを選択すると、貨幣処理システム1において以下に記載されるような戻し処理が行われるようになる。すなわち、戻し処理では、上述したような預け入れ処理によって貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機体内に収納された預かり貨幣の一部または全部が機体外に返却されるようになる。このことにより、オフタイムでは、貨幣処理システム1において預かり処理を行うことにより、貨幣釣銭機等から引き上げてきた余分な紙幣やバラ硬貨、棒金硬貨を貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機体内に投入し、これらの貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130内で預かり貨幣として保管し、ピークタイムになると、貨幣処理システム1において戻し処理を行うことにより、預け入れ処理によって貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機体内に収納された預かり貨幣の一部または全部を機体外に返却することにより、貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130から返却された預かり貨幣を貨幣釣銭機等に収納させることができるようになる。このことにより、ピークタイムでは、釣銭としての紙幣や硬貨が不足しないよう貨幣釣銭機等に紙幣や硬貨をできるだけ多く収納させておくことができる。
本実施の形態の貨幣処理システム1では、上述したような預け入れ処理を行う際に、貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機体内に投入された預かり貨幣に関する情報と、操作者の識別番号やレジ番号等のID情報とを紐付けることができるようになっている。この場合には、戻し処理を行う際に、制御部15に入力されたID情報に対応する預かり貨幣が出金されるようになる。より詳細に説明すると、上述したような預け入れ処理を行う際に、制御部15に対して操作者の識別番号やレジ番号等のID情報を入力手段により入力する。入力手段として、例えば操作部45やカードリーダ46が用いられる。すなわち、操作者が操作部45により操作者の識別番号やレジ番号等のID情報を入力したり、操作者が携帯するIDカードをカードリーダ46により読み取らせたりすることによって、制御部15に対して操作者の識別番号やレジ番号等のID情報が入力されるようになる。そして、制御部15は、貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機体内に投入された貨幣に関する情報と、入力手段によって制御部15に入力されたID情報とを紐付けて記憶部47に記憶させる。
その後、上述した戻し処理を行う際に、図9に示すような機能選択画面において操作者が操作部45により「戻し」モードを選択するとともに、操作部45により操作者の識別番号やレジ番号等のID情報を入力したり、操作者が携帯するIDカードをカードリーダ46により読み取らせたりすることによって、制御部15にID情報を入力する。そうすると、記憶部47に記憶された関係に基づいて、貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機体内に収納された預かり貨幣のうち、制御部15に入力されたID情報に対応する預かり金に関する情報が表示部44に表示され、操作部45によって操作者により承認操作が行われると、貨幣が機体外に返却される。このようにして、操作者別やレジ別に、売上金として計上しない預かり貨幣を貨幣処理システム1に一時的に保管することができる。
また、本実施の形態の貨幣処理システム1では、上述した戻し処理を行う際に、制御部15にID情報を入力するような方法の代わりに、貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機体内に収納された預かり貨幣の全部を機体外に返却するか、または一部を機体外に返却するかを選択可能となっていてもよい。
また、戻し処理を行う際に、機体外に返却されるべき預かり貨幣について、預け入れ処理における貨幣の金種と枚数の組み合わせとは異なる金種と枚数の組み合わせで機体外に返却可能となっていてもよい。
また、本実施の形態の貨幣処理システム1では、上述した預け入れ処理を行った後、図9に示すような機能選択画面において操作者が操作部45により「回収」モードを選択することによって貨幣の回収処理を行う場合に、貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機体内に収納された預かり貨幣を機体外に返却しないで売上金として計上するようになっている。また、本実施の形態の貨幣処理システム1では、上述した預け入れ処理を行った後、当該預かり貨幣の戻し処理が行われないまま、貨幣処理システム1において締め処理を行う場合に、貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機体内に収納された預かり貨幣の全部または一部を機体外に返却するか、あるいは機体外に返却しないで売上金として計上するかを選択可能となっている。
以上のように本実施の形態の貨幣処理システム1によれば、制御部15は、貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機体内に投入された貨幣を売上金として計上して各リサイクル式紙幣収納部27や各リサイクル式硬貨収納部34、各棒金収納部115に収納する売上入金処理、および貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機体内に投入された貨幣を売上金として計上せず預かり貨幣として各リサイクル式紙幣収納部27や各リサイクル式硬貨収納部34、各棒金収納部115に収納する預け入れ処理を含む複数の処理のうち何れかの処理を選択的に行うようになっている。このことにより、本実施の形態における貨幣処理システム1、および紙幣釣銭機および硬貨釣銭機が組み合わせられて一体となった貨幣釣銭機が設置されるような飲食店等の店舗において、オフタイムでは、貨幣処理システム1において預かり処理を行うことにより、貨幣釣銭機等から引き上げてきた余分な紙幣やバラ硬貨、棒金硬貨を貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機体内に投入し、これらの貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130内で預かり貨幣として安全に保管することができるようになる。このことによって、貨幣釣銭機等に収納される紙幣や硬貨の枚数をできるだけ減少させることができ、飲食店等の店舗の防盗性を高めることができる。一方、ピークタイムでは、釣銭としての紙幣や硬貨が不足しないよう貨幣釣銭機等に紙幣や硬貨をできるだけ多く収納させておくことができる。また、オフタイムとなったときに店舗の売り場にある紙幣やバラ硬貨、棒金硬貨を貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130に入金した場合に、これらの貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機体内に投入された貨幣は売上金として計上せず預かり貨幣として機体内に収納されるので、管理データと実際の貨幣の状態とが一致しなくなってしまうというトラブルの発生を防止することができる。
また、本実施の形態の貨幣処理システム1は、貨幣釣銭機が設置されずに釣銭準備金をドロア等に保管する店舗でも活用することができる。すなわち、オフタイムでは、防犯上の理由により、店舗の売り場にある紙幣や硬貨の枚数をできるだけ減少させることが望ましい。このため、オフタイムでは、店舗の売り場にある紙幣や硬貨を貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130に入金することにより、セキュリティ性を高めることができる。また、この際に、貨幣処理システム1において、機体内に投入された貨幣は売上金として計上せず預かり貨幣として機体内に収納されるので、管理データと実際の貨幣の状態とが一致しなくなってしまうというトラブルの発生を防止することができる。
また、本実施の形態の貨幣処理システム1においては、前述したように、制御部15は、戻し指令が与えられたときに、預け入れ処理によって貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機体内に収納された預かり貨幣の少なくとも一部を機体外に返却する戻し処理を行うようになっている。
また、本実施の形態の貨幣処理システム1においては、制御部15は、預け入れ処理を行う際に、機体内に投入された貨幣に関する情報と、操作部45やカードリーダ46等の入力手段により入力されたID情報とを紐付けて記憶部47に記憶させるようになっている。そして、このような貨幣処理システム1では、戻し処理を行う際に、戻し指令が制御部15に与えられるとともに入力手段によりID情報が入力されたときに、記憶部47に記憶された関係に基づいて、貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機体内に収納された預かり貨幣のうち入力手段により入力されたID情報に対応する貨幣が機体外に返却されるようになっている。
なお、本実施の形態では、貨幣処理システム1において各棒金収納庫110、120、130を必ずしも設置する必要がない。すなわち、貨幣入出金機10単体でも、上述した動作が実施可能である。
〔第4の実施の形態〕
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、以下に示す第4の実施の形態において、上述した第1乃至第3の実施の形態と同一の内容についてはその説明を省略する。以下に示す第4の実施の形態では、貨幣処理システム1において、貨幣釣銭機で用いられる釣銭準備金として所定の合計金額の紙幣や硬貨を出金する際に、機内在高を考慮して釣銭準備金として出金される紙幣や硬貨の金種毎の枚数を柔軟に変更できるようになっている。なお、第4の実施の形態において、貨幣処理システム1における貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130自体の構成については第1の実施の形態と同様となっている。
本実施の形態の貨幣処理システム1では、釣銭準備金として所定の合計金額の紙幣や硬貨を出金する際に、貨幣入出金機10の制御部15は、貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機体内に収納された紙幣や硬貨の金種毎の枚数に基づいて、出金される紙幣や硬貨の金種毎の枚数を設定するようになっている。このような制御部15による設定方法の詳細について図10を用いて説明する。図10では、釣銭準備金として合計金額が50,000円である紙幣や硬貨を貨幣処理システム1から出金する場合における、出金される紙幣や硬貨の金種毎の設定枚数を示している。
本実施の形態の貨幣処理システム1では、釣銭準備金として出金される貨幣に関して、貨幣入出金機10の記憶部47に、貨幣の金種毎の基準枚数が記憶されるようになっている。具体的には、図10(a)における「基準」の欄に示すように、例えば、5000円札が1枚、1000円札が10枚、500円硬貨が20枚、100円硬貨が150枚、50円硬貨が50枚、10円硬貨が150枚、5円硬貨が50枚、1円硬貨が150枚、それぞれ基準枚数として設定されており、貨幣処理システム1から釣銭準備金としての紙幣や硬貨を出金する際に、この基準枚数分の紙幣や硬貨が優先的に出金されるようになる。なお、記憶部47に記憶される紙幣や硬貨の金種毎の基準枚数は、操作者が例えば貨幣入出金機10の操作部45等で変更可能となっている。
また、図10(a)における「優先」の欄に示すように、紙幣や硬貨の各金種について優先順位が設定されている。この優先順位は、貨幣処理システム1の貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130に残したい紙幣や硬貨の金種の順番となっている。すなわち、図10(a)に示す表によれば、10円硬貨、1円硬貨、100円硬貨の優先順位が高くなっているが、その理由について以下に説明する。すなわち、1円硬貨、10円硬貨および100円硬貨は、貨幣釣銭機において釣銭として頻繁に用いられるようになっているため、貨幣処理システム1における貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130から釣銭準備金としての紙幣や硬貨を出金する際にこれらの金種の硬貨の機内在高が少ない場合には、当該金種の硬貨についてできるだけ出金枚数を少なくする必要がある。なぜならば、次回以降の釣銭準備金(他の貨幣釣銭機用や売り場用であることが多い)としての貨幣の出金時に、これらの金種の硬貨の出金枚数が不足してしまうことをできるだけ防止しなければならないからである。このようにして、貨幣処理システム1の貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130に残したい紙幣や硬貨の金種の順番が予め設定されており、このような紙幣や硬貨の各金種についての優先順位に関する情報は例えば貨幣入出金機10の記憶部47に記憶されるようになっている。なお、記憶部47に記憶される紙幣や硬貨の各金種についての優先順位は、操作者が例えば貨幣入出金機10の操作部45等で変更可能となっている。
本実施の形態の貨幣処理システム1では、釣銭準備金として所定の合計金額の紙幣や硬貨を出金する際に、記憶部47に記憶された金種毎の基準枚数に係る紙幣や硬貨を優先して出金し、残りの金額について、貨幣処理システム1の貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130に収納されている紙幣や硬貨の金種毎の枚数、および記憶部47に記憶された紙幣や硬貨の各金種についての優先順位に基づいて、出金される紙幣や硬貨の金種毎の枚数を設定するようになっている。具体的には、貨幣処理システム1の貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130における紙幣や硬貨の金種毎の収納枚数が図10(a)における「収納枚数」の欄の値となっている場合には、まず、金種毎の基準枚数に係る紙幣や硬貨(合計44,400円分の紙幣や硬貨)が優先して出金され、残りの金額(5,600円)について、貨幣処理システム1の貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130に収納されている紙幣や硬貨の金種毎の枚数、および記憶部47に記憶された紙幣や硬貨の各金種についての優先順位に基づいて、例えば5000円札が1枚、500円硬貨が1枚、50円硬貨が2枚というように、出金される紙幣や硬貨の金種毎の枚数が設定される。この場合には、図10(a)における「残り枚数」の欄に示すように、紙幣や硬貨の各金種について、残り枚数が0とはならない。
その後、貨幣処理システム1の貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130における紙幣や硬貨の金種毎の収納枚数が図10(b)における「収納枚数」の欄の値となっている場合には、まず、金種毎の基準枚数に係る紙幣や硬貨(合計44,400円分の紙幣や硬貨)が優先して出金されるが、残りの金額(5,600円)について、もし仮に記憶部47に記憶された紙幣や硬貨の各金種についての優先順位に基づいて、出金される紙幣や硬貨の金種毎の枚数を設定すると、収納枚数が足りずに不足してしまう金種の紙幣や硬貨が生じてしまう。具体的には、100円硬貨、50円硬貨、1円硬貨については収納枚数が足りずに不足してしまう。このため、貨幣処理システム1の貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130に収納されている枚数に余裕がある金種の紙幣や硬貨を、より多く釣銭準備金として出金させるようにする。すなわち、残りの金額(5,600円)について、例えば5000円札が1枚、500円硬貨が1枚、50円硬貨が1枚、5円硬貨が10枚というように、出金される紙幣や硬貨の金種毎の枚数が設定される。このようにして、図10(a)(b)を参照してもわかるように、基準枚数および優先順位が同じ場合でも、貨幣処理システム1の貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130に収納されている紙幣や硬貨の金種毎の枚数によって、釣銭準備金として貨幣処理システム1から出金される紙幣や硬貨の金種毎の枚数が変わることがある。
また、本実施の形態では、図10(a)(b)に示すように釣銭準備金として貨幣処理システム1から出金される紙幣や硬貨の金種毎の枚数を設定した後、操作者は操作部45により設定枚数を修正することができるようになっている。このように、釣銭準備金として貨幣処理システム1から出金される紙幣や硬貨の金種毎の設定枚数について手動で微調整を行うことにより、貨幣処理システム1における貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の在高の実情等に基づいてより柔軟な運用が可能となる。
以上のように本実施の形態による貨幣処理システム1によれば、釣銭準備金として所定の合計金額の紙幣や硬貨を出金する際に、貨幣入出金機10の制御部15は、貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130に収納された紙幣や硬貨の金種毎の枚数に基づいて、出金される紙幣や硬貨の金種毎の枚数を設定するようになっている。このため、貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130の機内在高を考慮して釣銭準備金として出金される貨幣の金種毎の枚数を柔軟に変更できる。例えば、貨幣釣銭機において釣銭として頻繁に用いられる1円硬貨、10円硬貨および100円硬貨に関して、貨幣処理システム1から釣銭準備金としての貨幣を出金する際にこれらの金種の硬貨の機内在高が少ない場合には、当該金種の硬貨についてできるだけ出金枚数を少なくすることができる。このことにより、次回以降の釣銭準備金としての貨幣の出金時に、これらの金種の硬貨の出金枚数が不足してしまうことを防止することができる。
また、本実施の形態による貨幣処理システム1は、貨幣釣銭機が設置されずに釣銭準備金をドロア等に保管する店舗でも活用することができる。すなわち、貨幣処理システム1から所定の合計金額の貨幣を出金する際に、出金される貨幣の金種毎の枚数は予め設定されており、1金種でも貨幣処理システム1の機内在高(枚数)が設定枚数を下回ると、当該取引およびそれ以降の出金処理を行うことができないようになっている場合がある。この場合には、特定の金種の貨幣、例えば1円硬貨、10円硬貨および100円硬貨が店舗の売り場において例えば釣銭として頻繁に使用される場合には、貨幣処理システム1から貨幣を出金する際にこれらの金種の硬貨の機内在高が少ない場合には、当該金種の硬貨についてできるだけ出金枚数を少なくする必要がある。これに対して、本実施の形態による貨幣処理システム1では、貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130に収納された紙幣や硬貨の金種毎の枚数に基づいて、出金される紙幣や硬貨の金種毎の枚数を設定することができるため、貨幣処理システム1における次回以降の貨幣の出金時に、これらの金種の硬貨の出金枚数が不足してしまうことを防止することができる。
なお、本実施の形態による貨幣処理システム1は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
例えば、上記の態様では、制御部15は、釣銭準備金として所定の合計金額の紙幣や硬貨を出金する際に、記憶部47に記憶された金種毎の基準枚数に係る紙幣や硬貨を優先して出金し、残りの金額について、貨幣処理システム1の貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130に収納されている紙幣や硬貨の金種毎の枚数、および記憶部47に記憶された紙幣や硬貨の各金種についての優先順位に基づいて、出金される紙幣や硬貨の金種毎の枚数を設定するようになっているが、このような動作に制限されることはない。例えば、記憶部47には、紙幣や硬貨の金種毎の基準枚数が記憶されるが、紙幣や硬貨の金種の優先順位は記憶されないようになっていてもよい。この場合には、制御部15は、釣銭準備金として所定の合計金額の紙幣や硬貨を出金する際に、記憶部47に記憶された金種毎の基準枚数に係る紙幣や硬貨を優先して出金し、残りの金額について、貨幣処理システム1の貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130に収納されている紙幣や硬貨の金種毎の枚数に基づいて、出金される紙幣や硬貨の金種毎の枚数を設定するようになる。具体的には、例えば、貨幣処理システム1の貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130における紙幣や硬貨の金種毎の収納枚数が図10(a)に示す状態となっている場合には、まず、金種毎の基準枚数に係る紙幣や硬貨(合計44,400円分の紙幣や硬貨)が優先して出金され、残りの金額(5,600円)について、貨幣処理システム1の貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130に収納されている紙幣や硬貨の金種毎の枚数が多い順に、出金される紙幣や硬貨の金種毎の枚数が設定されるようになる。
また、記憶部47には、紙幣や硬貨の金種の優先順位が記憶されるが、紙幣や硬貨の金種毎の基準枚数は記憶されないようになっていてもよい。この場合には、制御部15は、釣銭準備金として所定の合計金額の紙幣や硬貨を出金する際に、貨幣処理システム1の貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130に収納されている紙幣や硬貨の金種毎の枚数、および記憶部47に記憶された紙幣や硬貨の各金種についての優先順位に基づいて、出金される紙幣や硬貨の金種毎の枚数を設定するようになる。具体的には、例えば、貨幣処理システム1の貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130における紙幣や硬貨の金種毎の収納枚数が図10(a)に示す状態となっている場合には、釣銭準備金として出金されるべき所定の合計金額(50,000円)について、貨幣処理システム1の貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130に収納されている紙幣や硬貨の金種毎の枚数、および記憶部47に記憶された紙幣や硬貨の各金種についての優先順位に基づいて、優先順位が低い金種の紙幣や硬貨をできるだけ多く出金するよう、紙幣や硬貨の金種毎の枚数が設定される。
また、更に他の態様では、制御部15は、釣銭準備金として所定の合計金額の紙幣や硬貨を出金する際に、紙幣や硬貨の金種毎の基準枚数や紙幣や硬貨の金種の優先順位を考慮することなく、貨幣処理システム1の貨幣入出金機10や各棒金収納庫110、120、130に収納されている紙幣や硬貨の金種毎の枚数のみに基づいて、出金される紙幣や硬貨の金種毎の枚数を設定するようになっていてもよい。
また、本実施の形態では、貨幣処理システム1において各棒金収納庫110、120、130を必ずしも設置する必要がない。すなわち、貨幣入出金機10単体でも、上述した動作が実施可能である。