WO2010110089A1

WO2010110089A1 - 貨幣処理機

Info

Publication number: WO2010110089A1
Application number: PCT/JP2010/054204
Authority: WO
Inventors: 佐中元; 一宏土井; 康浩松本
Original assignee: グローリー株式会社
Priority date: 2009-03-23
Filing date: 2010-03-12
Publication date: 2010-09-30
Also published as: US20120012436A1; EP2413296A4; US8540068B2; EP2413296A1

Abstract

　制御部（５０）において、釣銭用等の出金すべき貨幣である準備貨幣の所定の貨幣量（準備貨幣の所定の金種およびその金種毎の枚数、あるいは所定の合計金額）が設定されている。この制御部（５０）は、投入部（１２）により筐体（１０）の外部から内部に貨幣を取り込み、この取り込まれた貨幣を一時保留部（２０）に送るような入金処理を行った後に、準備貨幣の所定の貨幣量分の貨幣を収納部（２２）から投出部（１４）に送るような出金処理を自動的に行うよう、投入部（１２）、搬送部（１６）、収納部（２２）および一時保留部（２０）の制御を行うようになっている。

Description

貨幣処理機

　本発明は、筐体の外部から内部に投入された紙幣や硬貨等からなる貨幣を収納する貨幣処理機に関する。なお、本明細書における「貨幣」は紙幣であっても硬貨であってもよい。

　従来から、硬貨や紙幣からなる貨幣を筐体内に収納させる貨幣処理機として、例えば特開２００２－３１２８３３号公報（特許文献１）や特開２００４－１４５６００号公報（特許文献２）等に開示されるものが知られている。このような貨幣処理機は例えば小売店等の店舗内に設置され、その店舗における売上金に係る貨幣が入金されるようになっている。また、店舗等において、営業時間の終了後、次の営業時間において各レジで使用する予定の釣銭用の準備貨幣が貨幣処理機から出金されるようになっている。

　特許文献１には、貨幣入出金処理システムにおいて、入出金機が、店舗側が管理する現金を収納し入出金が可能なリサイクル収納部と、現金を収納するカセット収納部とを備えていることが開示されている。より詳細に説明すると、リサイクル収納部は店舗が管理し、カセット収納部は売上金の回収業務を委託された収集業者が管理するようになっている。特許文献１に示す貨幣入出金処理システムにおいて、入出金機に投入された現金はリサイクル収納部に収納されるようになっている。そして、リサイクル収納部からカセット収納部に現金を送ることにより、店舗側から収集業者側に現金が引き渡される。ここで、リサイクル収納部に収納された現金は釣銭用の準備貨幣として管理され、一方、カセット収納部に収納された現金は売上金として管理されるようになっている。

　また、特許文献２には、リサイクル式の紙幣入出金機が開示されている。特許文献２におけるリサイクル式の紙幣入出金機において、入金部により筐体の内部に投入された貨幣を識別計数した後、一時保留部にこの貨幣を保留し、操作者に対する確認行為の後に、一時保留部にある貨幣を金庫の中にある複数のスタッカーに金種別に収納する入金処理と、指定された金額または金種毎の枚数の貨幣を出金する出金処理を行うようになっている。ここで、収納部に収納された貨幣は、売上金の回収業務を委託された収集業者の管理下にある。

特開２００２－３１２８３３号公報特開２００４－１４５６００号公報

　前述のように、店舗等において、営業時間の終了後、各レジから回収された紙幣や硬貨等の貨幣を貨幣処理機で計数するとともに、この貨幣処理機により、次の営業時間において各レジで使用する予定の釣銭用の準備貨幣の作成が行われる。また、売上金に係る貨幣は、売上金の回収業務を委託された収集業者に引き渡される。

　ここで、特許文献１や特許文献２に開示される貨幣処理機においては、貨幣の入金処理の終了を待って出金処理の操作を操作者が改めて行っており、あるいは貨幣の出金処理を行ってから入金処理の操作を操作者が改めて行っている。このため、貨幣処理機における１つ目の処理が終了してから２つ目の処理が始まるまで操作者は待つ必要がある。しかしながら、営業時間の終了後等、操作者が多くの業務を短時間で行わなければならない場合においては、このような待ち時間が発生するのは効率が悪いという問題がある。また、貨幣処理機における１つ目の処理の操作を操作者が行った後に他の業務を行い、１つ目の処理の終了後に２つ目の処理を行うことも可能であるが、操作者は貨幣処理機の操作を２度行う必要があるため、貨幣処理機における２つ目の処理の操作を忘れてしまいこの２つ目の処理が行われないまま放置されてしまう場合がある。

　また、特許文献２に開示されるリサイクル式の紙幣入出金機においては、一時保留部に一時的に保留した紙幣を金種別のスタッカーに移動させるための時間が必要となるため、紙幣の入金処理に要する時間が更に長くなってしまう。このため、紙幣の入金処理の後に出金処理を行う場合は、その分だけ紙幣の処理時間が長くなってしまうという問題がある。

　本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、一度の操作で貨幣の入金処理と出金処理の両方を行うことができ、このためこれらの２つの処理の間に発生する操作者の待ち時間を削減することができるとともに操作者が出金処理の操作を忘れてしまい出金処理が行われないままとなってしまうことを防止することができる貨幣処理機を提供することを目的とする。

　本発明の貨幣処理機は、貨幣を処理する貨幣処理機であって、筐体と、前記筐体の外部から内部に貨幣を投入するための投入部と、前記筐体の内部にある貨幣を外部に投出するための投出部と、前記筐体の内部に設けられ、前記投入部および前記投出部にそれぞれ接続され、前記筐体内で貨幣を搬送するための搬送部と、前記搬送部に設けられ、前記投入部により前記筐体の外部から内部に投入された貨幣の識別を行う識別部と、前記筐体の内部において前記搬送部に接続され、前記搬送部から送られた貨幣を収納するとともに、収納した貨幣を前記搬送部に繰り出す収納部と、前記筐体の内部において前記搬送部に接続され、前記投入部により前記筐体の外部から内部に投入され前記識別部により識別が行われた貨幣を一時的に保留するための一時保留部と、前記投入部、前記搬送部、前記収納部および前記一時保留部の制御を行う制御部と、を備え、前記制御部において、出金すべき貨幣である準備貨幣の所定の貨幣量が設定されており、前記制御部は、前記投入部により前記筐体の外部から内部に貨幣を取り込み、この取り込まれた貨幣を前記一時保留部に送るような入金処理を行った後に、前記準備貨幣の所定の貨幣量分の貨幣を前記収納部から前記投出部に送るような出金処理を自動的に行うよう制御を行うことを特徴とする。ここで、出金すべき貨幣である準備貨幣の所定の貨幣量とは、所定の金種およびその金種毎の枚数、あるいは所定の合計金額のことをいう。

　このような貨幣処理機によれば、制御部において、釣銭用等の出金すべき貨幣である準備貨幣の所定の貨幣量（準備貨幣の所定の金種およびその金種毎の枚数、あるいは所定の合計金額）が設定されており、この制御部は、投入部により筐体の外部から内部に貨幣を取り込み、この取り込まれた貨幣を一時保留部に送るような入金処理を行った後に、準備貨幣の所定の貨幣量分の貨幣を収納部から投出部に送るような出金処理を自動的に行うよう制御を行うようになっている。このように、貨幣の入金処理を行った後、制御部に設定された所定の貨幣量分の貨幣の出金処理を自動的に行うことができるので、操作者は一度の操作で貨幣の入金処理と出金処理の両方を行うことができるようになり、このためこれらの２つの処理の間に発生する操作者の待ち時間を削減することができるとともに操作者が出金処理の操作を忘れてしまい出金処理が行われないままとなってしまうことを防止することができるようになる。

　本発明の貨幣処理機においては、前記制御部は、前記出金処理を行った後に、前記一時保留部から前記収納部へ貨幣を送るような収納処理を自動的に行うよう制御を行うことが好ましい。このことにより、投入部により筐体の外部から内部に取り込まれた貨幣を一時保留部に送り、この一時保留部から収納部へ貨幣を送った後に貨幣の出金処理を行う場合と比較して、収納処理よりも先に出金処理を行うようにしたことにより、操作者はより迅速に釣銭用等の準備貨幣を筐体の外部に取り出すことができるようになる。また、この場合、出金処理の後に収納処理が自動的に行われるので、操作者が収納処理の操作を忘れてしまい収納処理が行われないままとなってしまうことを防止することができる。

　本発明の貨幣処理機においては、前記一時保留部は第１の管理権限下にあり、前記収納部は前記第１の管理権限下とは異なる第２の管理権限下にあり、前記一時保留部から前記収納部へ貨幣を送る際に、この貨幣の管理権限が前記第１の管理権限下から前記第２の管理権限下に移されることがより好ましい。

　本発明の貨幣処理機は、貨幣を処理する貨幣処理機であって、筐体と、前記筐体の外部から内部に貨幣を投入するための投入部と、前記筐体の内部にある貨幣を外部に投出するための投出部と、前記筐体の内部に設けられ、前記投入部および前記投出部にそれぞれ接続され、前記筐体内で貨幣を搬送するための搬送部と、前記搬送部に設けられ、前記投入部により前記筐体の外部から内部に投入された貨幣の識別を行う識別部と、前記筐体の内部において前記搬送部に接続され、前記搬送部から送られた貨幣を収納するとともに、収納した貨幣を前記搬送部に繰り出す収納部と、前記投入部、前記搬送部および前記収納部の制御を行う制御部と、を備え、前記制御部において、出金すべき貨幣である準備貨幣の所定の貨幣量が設定されており、前記制御部は、前記投入部により前記筐体の外部から内部に貨幣を取り込み、この取り込まれた貨幣を前記収納部に送るような収納処理を行った後に、前記準備貨幣の所定の貨幣量分の貨幣を前記収納部から前記投出部に送るような出金処理を自動的に行うよう制御を行うことを特徴とする。ここで、出金すべき貨幣である準備貨幣の所定の貨幣量とは、所定の金種およびその金種毎の枚数、あるいは所定の合計金額のことをいう。

　このような貨幣処理機によれば、制御部において、釣銭用等の出金すべき貨幣である準備貨幣の所定の貨幣量（準備貨幣の所定の金種およびその金種毎の枚数、あるいは所定の合計金額）が設定されており、この制御部は、投入部により筐体の外部から内部に貨幣を取り込み、この取り込まれた貨幣を収納部に送るような入金収納処理を行った後に、準備貨幣の所定の貨幣量分の貨幣を収納部から投出部に送るような出金処理を自動的に行うよう制御を行うようになっている。このように、貨幣の入金収納処理を行った後、制御部に設定された所定の貨幣量分の貨幣の出金処理を自動的に行うことができるので、操作者は一度の操作で貨幣の入金収納処理と出金処理の両方を行うことができるようになり、このためこれらの２つの処理の間に発生する操作者の待ち時間を削減することができるとともに操作者が出金処理の操作を忘れてしまい出金処理が行われないままとなってしまうことを防止することができるようになる。

本発明の第１の実施の形態における貨幣処理機の構成を示す斜視図である。図１に示す貨幣処理機の筐体の内部の構成を示す概略側面図である。図１に示す貨幣処理機の制御ブロック図である。本発明の第２の実施の形態における貨幣処理機の構成を示す斜視図である。図４に示す貨幣処理機における紙幣処理装置の構成の概略を示す概略構成図である。図４に示す貨幣処理機における硬貨処理装置の構成の概略を示す概略構成図である。図４に示す貨幣処理機の制御ブロック図である。紙幣を収納するための収納部の他の構成を示す側面図である。本発明の第３の実施の形態における貨幣処理機の構成を示す斜視図である。図９に示す貨幣処理機における紙幣処理装置の構成の概略を示す概略構成図である。図９に示す貨幣処理機における硬貨処理装置の構成の概略を示す概略構成図である。図９に示す貨幣処理機における制御ブロック図である。図９に示す貨幣処理機において、貨幣収納部を筐体から手前側に引き出したときの状態を示す斜視図である。

〔第１の実施の形態〕
　以下、図面を参照して本発明の第１の実施の形態の貨幣処理機について説明する。本実施の形態に係る貨幣処理機は、筐体の外部から内部に取り込まれた紙幣を収納部に収納するとともに、この収納部に収納された紙幣を筐体の内部から外部に投出する紙幣処理機に関するものである。図１乃至図３は、本発明による貨幣処理機の第１の実施の形態を示す図である。このうち、図１は、本実施の形態における貨幣処理機の構成を示す斜視図であり、図２は、図１に示す貨幣処理機の筐体の内部の構成を示す概略側面図であり、図３は、図１に示す貨幣処理機の制御ブロック図である。

　図１に、本実施の形態における紙幣処理機１の斜視図を示す。このような紙幣処理機１の概要について図１乃至図３、とりわけ図２を用いて説明する。紙幣処理機１は、略直方体形状の筐体１０と、筐体１０の外部から内部に紙幣を投入するための紙幣投入部１２と、筐体１０の内部にある紙幣を外部に投出するための紙幣投出部１４と、を備えている。筐体１０の内部には、紙幣投入部１２により筐体１０の外部から内部に投入された紙幣を筐体１０内で搬送する搬送部１６が設けられている。また、筐体１０の内部において搬送部１６には一時保留部２０が接続されており、この一時保留部２０は、紙幣投入部１２により筐体１０の外部から内部に投入された紙幣を一時的に保留するようになっている。

　また、筐体１０の内部において搬送部１６には複数、具体的には例えば６つの収納部２２が接続されている。各収納部２２は、紙幣投入部１２により筐体１０の外部から内部に投入されて搬送部１６により搬送された紙幣を収納するようになっている。また、各収納部２２は、当該収納部２２に収納された紙幣を搬送部１６に繰り出すことができるようになっている。搬送部１６に繰り出された紙幣は紙幣投出部１４に送られ、操作者がこの紙幣投出部１４に送られた紙幣を取り出すことができるようになっている。図３に示すように、紙幣処理機１には、当該紙幣処理機１における各構成要素を制御するための制御部５０が設けられている。

　以下、このような紙幣処理機１における各構成要素について詳述する。

　前述のように、紙幣処理機１は略直方体形状の筐体１０を備えている。筐体１０は、左右方向の横幅が狭く、前後方向の奥行きが長いとともに上下方向の高さが高いような縦型に構成されている。

　筐体１０の内部には、図２に示すように、上部ユニット１０ｐおよび下部ユニット１０ｑが筐体１０の前面（図２の左側の側面）側からそれぞれ図２の左方向に引き出し可能に設けられている。

　上部ユニット１０ｐの上面には、筐体１０の内部からの紙幣の投出を行うための投出口１４ａ、および筐体１０の内部に紙幣を投入するための投入口１２ａがそれぞれ設けられている。また、上部ユニット１０ｐの上面には、紙幣処理機１における紙幣の処理状況等を表示するとともに、操作者が紙幣処理機１の制御部５０に対して様々な指令を行うための表示操作部３４が設けられている。ここで、表示操作部３４は例えばタッチパネルより構成されている。

　上部ユニット１０ｐの前面には、この上部ユニット１０ｐを筐体１０に収納した状態で施錠や解錠を行うための、操作者により操作されるユニット錠４０が設けられている。そして、このユニット錠４０の解錠により、上部ユニット１０ｐを筐体１０の内部から図２の左方向に引き出し可能となっている。

　筐体１０の前面下部域には扉３０が開閉自在に取り付けられている。そして、この扉３０には、下部ユニット１０ｑを筐体１０の内部に収納して扉３０を閉じた状態で施錠や解錠を行うためのナンバー式のロック機構４６が設けられている。このロック機構４６は、売上金の回収業務を委託された収集業者の収集特定者しか操作できないようになっている。すなわち、このロック機構４６は店舗側の店員では解錠できないようになっている。そして、ロック機構４６により扉３０を解錠して開放することにより、下部ユニット１０ｑを筐体１０の内部から図２の左方向に引き出し可能となっている。また、図１に示すように、扉３０には、当該扉３０の開閉を行うための取手４４が設けられている。

　図２に示すように、上部ユニット１０ｐの投出口１４ａおよび投入口１２ａの下部には、それぞれ、紙幣を立位姿勢でかつ長方形の紙幣の短手方向を上下方向として収納するボックス状の紙幣投出部１４および紙幣投入部１２が配置されている。紙幣投出部１４には、紙幣の投出処理中にこの紙幣投出部１４を閉じるとともに紙幣の投出処理の終了後に開くような透明シャッター１４ｃが開閉可能に設けられている。そして、搬送部１６から紙幣投出部１４への紙幣の投出処理中においては、閉じている透明シャッター１４ｃを介して紙幣投出部１４に送られる紙幣を視認することができるようになっている。

　紙幣投入部１２は、投入口１２ａから当該紙幣投入部１２に投入された紙幣を立位姿勢で受け入れるトレイ（図示せず）と、紙幣の投入処理の開始時に移動するトレイで押し付けられる紙幣を１枚ずつ下方へ蹴り出すキッカローラ１２ｄとが設けられている。また、紙幣投入部１２には、キッカローラ１２ｄで下方へ蹴り出される紙幣を挟持して搬送部１６へ紙幣を１枚ずつ送り込むフィードローラ１２ｂおよびゲートローラ１２ｃがそれぞれ配設されている。

　紙幣投出部１４には、搬送部１６から搬送された紙幣を立位姿勢で紙幣投出部１４内に１枚ずつ繰り込むための札叩き用羽根車１４ｂが設けられている。また、紙幣投出部１４には、札叩き用羽根車１４ｂにより当該紙幣投出部１４内に繰り込まれる紙幣を立位姿勢で受け入れるためのトレイ（図示せず）が設けられている。このトレイは、紙幣を受け入れる位置を一定にして紙幣の立位姿勢を保ちながら前方へ整列集積するために、受け入れた紙幣量に応じて移動するようになっている。

　図２に示すように、上部ユニット１０ｐには一時保留部２０が設けられている。この一時保留部２０は、紙幣投入部１２により筐体１０の外部から内部に投入され搬送部１６により搬送された紙幣を金種混合状態で一括して一時的に保留する機能を有している。より具体的には、一時保留部２０には搬送部１６から紙幣が１枚ずつ送られるようになっており、この送られた紙幣を一括して積層状態で一時的に保留するようになっている。そして、一時保留部２０は、この一時保留部２０で一時的に保留された紙幣を、搬送部１６に一枚ずつ繰り出すこともできるようになっている。

　図２に示すように、一時保留部２０には、当該一時保留部２０に収納された積層状態の紙幣を上側から順に１枚ずつ搬送部１６に向かって蹴り出すキッカローラ２０ｃが設けられている。また、一時保留部２０には、キッカローラ２０ｃで蹴り出される紙幣を挟持して搬送部１６へこの紙幣を１枚ずつ送り込むフィードローラ２０ａおよびゲートローラ２０ｂがそれぞれ配設されている。

　また、一時保留部２０には、当該一時保留部２０に紙幣が投入されたときにこのことを検知する紙幣投入検知センサ２０ｄが設けられている。紙幣投入検知センサ２０ｄにより一時保留部２０に紙幣が投入されたことが検知されたときには、この検知情報が制御部５０に送られるようになっている。

　また、筐体１０の内部には、当該筐体１０内で紙幣の搬送を行う搬送部１６が設けられている。この搬送部１６は、紙幣投入部１２から搬送部１６に繰り出された紙幣を１枚ずつ搬送路に沿って搬送し、一時保留部２０や収納部２２、リジェクトボックス２４等に送るようになっている。また、搬送部１６は、一時保留部２０に一時的に保留された紙幣を紙幣投出部１４や収納部２２等に１枚ずつ送るようになっている。さらに、搬送部１６は、収納部２２に収納された紙幣を紙幣投出部１４等に１枚ずつ送るようになっている。搬送部１６は、例えば循環ベルト機構が組み合わされたものからなり、搬送路における紙幣の搬送方向を正逆に反転させることができるようになっている。

　図２に示すように、搬送部１６における搬送路の分岐箇所には分岐部材２６が設けられており、この分岐部材２６により紙幣の搬送経路が切り換えられるようになっている。この分岐部材２６による紙幣の搬送経路の切り換えは、後述する制御部５０により制御されるようになっている。

　また、図２に示すように、搬送部１６における搬送路には識別部１８が介設されている。この識別部１８は、例えば紙幣投入部１２から搬送部１６に１枚ずつ繰り出された紙幣の金種、真偽、正損等を１枚ずつ識別するようになっている。識別部１８による紙幣の識別結果は、後述する制御部５０に送られるようになっている。

　図２に示すように、下部ユニット１０ｑには、筐体１０の前側域に、リジェクト紙幣を収納するリジェクトボックス２４が固定的に配置されている。このリジェクトボックス２４の後部域には、例えば金種別に紙幣を収納する複数の（例えば６つの）収納部２２が前後方向に並んで固定的に配置されている。これらのリジェクトボックス２４および各収納部２２はそれぞれ搬送部１６に接続されている。

　各収納部２２には、紙幣が集積される集積台２２ａが昇降自在に設けられており、この集積台２２ａ上に紙幣が積層状態で集積されるようになっている。

　図２に示すように、各収納部２２には、紙幣を当該収納部２２に収納する際に搬送部１６からの紙幣を集積台２２ａ上に繰り込む繰込ローラ２２ｂ、２２ｃと、この収納部２２に収納された紙幣を当該収納部２２から繰り出す際に集積台２２ａ上の紙幣を１枚ずつ蹴り出すキッカローラ２２ｄと、このキッカローラ２２ｄにより蹴り出された紙幣を搬送部１６に繰り出すフィードローラ２２ｅおよびゲートローラ２２ｆとを備えている。そして、各収納部２２に紙幣を収納する際に、集積台２２ａ上に紙幣を集積収納する毎に紙幣の上面高さが高くなるため、集積台２２ａを順次下降させる。また、収納部２２に収納された紙幣を当該収納部２２から繰り出す際には、集積台２２ａを上昇させて紙幣をキッカローラ２２ｄに押し付け、キッカローラ２２ｄの回転により紙幣を１枚ずつフィードローラ２２ｅおよびゲートローラ２２ｆに向かって蹴り出す。

　リジェクトボックス２４は、識別部１８により正常な紙幣ではないと識別された紙幣や識別部１８により識別することができなかった紙幣がリジェクト紙幣として搬送部１６から送られるようになっており、このリジェクト紙幣はリジェクトボックス２４内で金種混合状態にて集積される。

　図３に示すように、制御部５０は、紙幣処理機１の各構成要素、具体的には、紙幣投入部１２、紙幣投出部１４、搬送部１６、識別部１８、一時保留部２０、各収納部２２、分岐部材２６、紙幣投入検知センサ２０ｄ、表示操作部３４にそれぞれ接続されている。制御部５０は、識別部１８から当該識別部１８による紙幣の識別結果に係る情報が送られるようになっている。また、操作者が表示操作部３４により制御部５０に対して様々な指令を送ることができるようになっている。また、制御部５０は、紙幣投入部１２、紙幣投出部１４、搬送部１６、一時保留部２０、各収納部２２、分岐部材２６、および表示操作部３４の各々の制御を行うようになっている。制御部５０による各構成要素の制御方法については後述する。

　また、図３に示すように、制御部５０にはインターフェース５２が接続されており、このインターフェース５２は上位装置に接続されている。このことにより、制御部５０は上位装置に対して信号の送受信を行うことができる。

　次に、上述のような構成からなる紙幣処理機１の動作について以下に説明する。以下に説明する紙幣処理機１の動作は、制御部５０が紙幣処理機１の各構成要素を制御することにより行われる。

　まず、操作者は、表示操作部３４により、制御部５０に対して紙幣の処理モードを入金出金連動モードとするよう指令を行う。より具体的には、操作者が表示操作部３４により入金処理モードを選択すると、表示操作部３４における入金処理モード時の表示において「釣銭出金」キーが表示される。そして、操作者がこの入金処理モード時の表示において「釣銭出金」キーを押下することにより、入金出金連動モードが選択されることとなる。なお、表示操作部３４における前述の入金処理モード時の表示において、「取引確定・終了」キーも表示されており、「釣銭出金」キーおよび「取引確定・終了」キーは表示操作部３４における同一の画面上に表示されるようになっている。あるいは、操作者が表示操作部３４により出金処理モードを選択すると、表示操作部３４における出金処理モード時の表示において「入金」キーが表示される。そして、操作者がこの出金処理モード時の表示において「入金」キーを押下することにより、入金出金連動モードが選択されることとなる。なお、当然のことながら、操作者は、制御部５０に対して入金出金連動モード以外の処理方法、具体的には例えば入金処理のみを行わせるような指令を送ることもできる。

　制御部５０において、紙幣の処理モードを入金出金連動モードとすることが設定された場合、操作者は、釣銭用等の出金すべき貨幣である準備貨幣について、表示操作部３４により準備貨幣の貨幣量（具体的には、準備貨幣の金種およびその金種毎の枚数、あるいは合計金額）を入力する。これらの入力内容は制御部５０に設定される。なお、準備貨幣の貨幣量は、以前から制御部５０において予め設定されており、操作者が紙幣処理機１の操作を行う度に表示操作部３４により準備貨幣の貨幣量を入力しなくてもいいようになっていてもよい。また、操作者が表示操作部３４により制御部５０に対して様々な指令を行う代わりに、上位装置からインターフェース５２を介して制御部５０に対して上述のような指令が行われるようになっていてもよい。

　その後、操作者は、投入口１２ａを介して、金種が混合した状態で紙幣を紙幣投入部１２に投入する。紙幣投入部１２に投入された紙幣は１枚ずつ搬送部１６に繰り出され、搬送部１６により識別部１８に送られる。そして、識別部１８により紙幣の金種、真偽、正損等の識別が１枚ずつ行われる。識別部１８により識別が行われた紙幣のうち、正常な紙幣は一時保留部２０に送られてこの一時保留部２０で一時的に保留される。一方、識別部１８により識別を行うことができなかった紙幣や、識別により正常ではないと判断された紙幣はリジェクト紙幣として紙幣投出部１４に送られる。なお、このような紙幣の入金処理中において透明シャッター１４ｃは閉じている。そして、紙幣投入部１２から一時保留部２０または紙幣投出部１４への紙幣の搬送が終了すると、透明シャッター１４ｃが自動的に開き、操作者は紙幣投出部１４にあるリジェクト紙幣を取り出し、場合によっては紙幣投入部１２にこの紙幣を再投入することとなる。

　また、紙幣投入部１２から一時保留部２０または紙幣投出部１４への紙幣の搬送が終了すると、自動的に、制御部５０に設定された準備貨幣の金種毎の枚数分だけ、あるいは合計金額分だけ、搬送部１６により各収納部２２から紙幣投出部１４に紙幣が送られる。より詳細には、各収納部２２に収納された紙幣は１枚ずつ搬送部１６に繰り出され、搬送部１６により１枚ずつ搬送されるが、この搬送部１６に繰り出された紙幣は識別部１８を通り、この識別部１８により正常と判断された紙幣は紙幣投出部１４に送られ、正常でないと判断された紙幣はリジェクトボックス２４に送られることとなる。このような紙幣の出金処理中において透明シャッター１４ｃは閉じている。そして、各収納部２２から紙幣投出部１４またはリジェクトボックス２４への紙幣の搬送が終了すると、透明シャッター１４ｃが自動的に開き、操作者は紙幣投出部１４にある紙幣を釣銭用等の準備貨幣として取り出すことができるようになる。

　なお、上述のような紙幣の出金処理において、表示操作部３４には、各収納部２２から紙幣投出部１４に送られた釣銭用等の準備貨幣としての紙幣の金種毎の枚数、および／または合計金額がカウントアップ（加算表示）式で表示されるようになっている。あるいは、表示操作部３４には、予め制御部５０に設定された準備貨幣の所定の金種毎の枚数、および／または所定の合計金額がまず表示されており、この所定の金種毎の枚数または合計金額から、実際に各収納部２２から紙幣投出部１４に送られた紙幣の枚数または金額を減算して表示するようなカウントダウン（減算表示）式で紙幣の金種毎の枚数、および／または合計金額が表示されるようになっていてもよい。この場合、ある金種において、実際に各収納部２２から紙幣投出部１４に送られた紙幣の枚数が、予め制御部５０に設定された準備貨幣の所定の枚数に満たないときには、あるいは、実際に各収納部２２から紙幣投出部１４に送られた紙幣の合計金額が、予め制御部５０に設定された準備貨幣の所定の合計金額に満たないときには、このことが表示操作部３４に表示されることとなる。

　また、ある金種について、当該金種に対応する収納部２２の紙幣の収納枚数が、予め制御部５０に設定された準備貨幣の所定の枚数に対して不足している場合には、他の収納部２２に収納された下位の金種の紙幣を代替させることができる。すなわち、例えば五千円札を収納する収納部２２における五千円札の実際の収納枚数が、予め制御部５０に設定された準備貨幣の所定の枚数に対して不足している場合には、千円札を収納する他の収納部２２における千円札を準備貨幣として五千円札の代わりに紙幣投出部１４に搬送することにより、紙幣投出部１４における準備貨幣の合計金額が不足しないようにする。なお、このような準備貨幣に関する不足紙幣の代替については、代替を行うか否かを表示操作部３４により予め設定することができるようになっている。

　また、各収納部２２から紙幣投出部１４またはリジェクトボックス２４への紙幣の搬送が終了すると、自動的に、一時保留部２０で一時的に保留された紙幣は１枚ずつ搬送部１６に繰り出され、識別部１８により再び識別が行われ、金種別に各収納部２２に収納される。ここで、一時保留部２０は店舗側に管理権限（第１の管理権限）があり、各収納部２２は収集特定者側に管理権限（第２の管理権限）があるので、上述のような紙幣の収納処理により、この紙幣の管理権限が店舗側から収集特定者側に移されることとなる。

　以上のように本実施の形態の紙幣処理機１によれば、制御部５０において、釣銭用等の出金すべき貨幣である準備貨幣の所定の貨幣量（準備貨幣の所定の金種およびその金種毎の枚数、あるいは所定の合計金額）が設定されており、この制御部５０は、紙幣投入部１２により筐体１０の外部から内部に紙幣を取り込み、この取り込まれた紙幣を一時保留部２０に送るような入金処理を行った後に、出金すべき準備貨幣として設定された所定の貨幣量分の紙幣を各収納部２２から紙幣投出部１４に送るような出金処理を自動的に行うよう制御を行うようになっている。このように、紙幣の入金処理を行った後、制御部５０に設定された所定の貨幣量分の紙幣の出金処理を自動的に行うことができるので、操作者は表示操作部３４における一度の操作で紙幣の入金処理と出金処理の両方を行うことができるようになり、このためこれらの２つの処理の間に発生する操作者の待ち時間を削減することができるとともに操作者が出金処理の操作を忘れてしまい出金処理が行われないままとなってしまうことを防止することができるようになる。

　また、制御部５０は、出金処理を行った後に、一時保留部２０から各収納部２２へ紙幣を送るような収納処理（引渡処理）を自動的に行うよう制御を行うようになっている。このため、紙幣投入部１２により筐体１０の外部から内部に取り込まれた紙幣を一時保留部２０に送り、この一時保留部２０から各収納部２２へ紙幣を送った後に紙幣の出金処理を行う場合と比較して、収納処理よりも先に出金処理を行うようにしたことにより、操作者はより迅速に釣銭用等の準備貨幣を筐体１０の外部に取り出すことができるようになる。また、この場合、出金処理の後に収納処理が自動的に行われるので、操作者が収納処理の操作を忘れてしまい収納処理が行われないままとなってしまうことを防止することができる。また、上述のような収納処理（引渡処理）が行われる際に、紙幣の管理権限が店舗側から収集特定者側に移されることとなる。

　なお、本実施の形態による貨幣処理機は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。例えば、本実施の形態による貨幣処理機は、紙幣の処理を行うものに限定されることはなく、硬貨の処理を行うようになっていてもよい。この場合、筐体の内部には、投入部により筐体の外部から内部に投入され識別部により識別が行われた硬貨を一時的に保留するための一時保留部が設けられることとなる。

　また、制御部５０において準備貨幣の貨幣量（準備貨幣の金種およびその金種毎の枚数、あるいは合計金額）が以前から予め設定されている場合において、制御部５０に対して紙幣の処理モードを入金出金連動モードとするよう指令を行う際に、ある金種について、当該金種に対応する収納部２２の紙幣の収納枚数が、予め制御部５０に設定されている準備貨幣の所定の枚数に対して不足しているときには、あるいは、収納部２２に収納されている紙幣の合計金額が、予め制御部５０に設定されている準備貨幣の所定の合計金額に対して不足しているときには、「釣銭出金」キーが表示されないようになっていてもよい。

　また、制御部５０において、紙幣の入金処理の際に出金処理を必ず連動させるような設定が行われていてもよい。この場合には、操作者が表示操作部３４により入金処理モードを選択しても、表示操作部３４における入金処理モード時の表示において、「釣銭」キーを押下した後でなければ「取引確定・終了」キーが表示されないようになっている。この場合、紙幣の入金処理およびそれに引き続く出金処理が行われた後に、操作者が「取引確定・終了」キーを押下することにより入金処理および出金処理の取引が確定するとともに一連の処理が終了することとなる。

　また、紙幣の収納を行うための収納部としては、図２等に示すような、集積台上に紙幣が積層状態で集積されるようなタイプのものに限定されることはなく、図８に示すようなタイプのものを用いてもよい。図８に示す収納部２３は、正逆両方向に回転可能なドラム２３ａおよび一対のテープ２３ｂ、２３ｃを有し、紙幣が一対のテープ２３ｂ、２３ｃの間に挟まれた状態でこの一対のテープ２３ｂ、２３ｃごとドラム２３ａにより巻き取られるような構成となっている。

　また、紙幣投入部１２と紙幣投出部１４とが別々に設けられる代わりに、紙幣投入部１２と紙幣投出部１４が一体となっていてもよい。

〔第２の実施の形態〕
　以下、図面を参照して本発明の第２の実施の形態の貨幣処理機について説明する。本実施の形態に係る貨幣処理機は、筐体の外部から内部に取り込まれた紙幣や硬貨等からなる貨幣を貨幣収納部に収納する貨幣処理機に関するものである。図４乃至図７は、本発明による貨幣処理機の第２の実施の形態を示す図である。このうち、図４は、本実施の形態における貨幣処理機の構成を示す斜視図であり、図５は、図４に示す貨幣処理機における紙幣処理装置の構成の概略を示す概略構成図である。また、図６は、図４に示す貨幣処理機における硬貨処理装置の構成の概略を示す概略構成図であり、図７は、図４に示す貨幣処理機の制御ブロック図である。

　図４に示すように、貨幣処理機６０は略直方体形状の筐体６１を備えており、この筐体６１には、貨幣処理機６０を前方から見て上部右側に配置された紙幣処理装置７０と、貨幣処理機６０を前方から見て上部左側に配置された硬貨処理装置８０とがそれぞれ設けられている。また、貨幣処理機６０の筐体６１において、紙幣処理装置７０および硬貨処理装置８０の下方には、硬貨および紙幣の収納を行う貨幣収納部９０が設けられている。ここで、貨幣処理機６０のうち、紙幣処理装置７０および硬貨処理装置８０は店舗側の管理権限下（第１の管理権限下）にあり、貨幣収納部９０は収集特定者側の管理権限下（第２の管理権限下）にある。

　以下、紙幣処理装置７０、硬貨処理装置８０および貨幣収納部９０の各構成要素について説明する。

　まず、紙幣処理装置７０の構成について図４および図５を用いて説明する。図４および図５に示すように、紙幣処理装置７０は、当該紙幣処理装置７０内への紙幣の取り込みを行う紙幣投入口７１と、紙幣処理装置７０内に取り込まれた紙幣のうち偽札や識別不能な紙幣等のリジェクトを行う紙幣リジェクト口７２と、紙幣処理装置７０内に取り込まれた紙幣のうち貨幣収納部９０に収納されない紙幣を紙幣処理装置７０の外部に返却する紙幣返却口７３とを備えている。また、図５に示すように、紙幣処理装置７０の内部には、紙幣投入口７１に投入された紙幣を紙幣処理装置７０内で搬送する搬送部７５が設けられている。

　紙幣投入口７１は、操作者により１または束状態の複数の紙幣が短手方向に一括して投入されるよう構成されている。図４に示すように、この紙幣投入口７１には紙幣ステージ７８が配設されている。紙幣ステージ７８は、待機時には上昇位置にありこの際には操作者は紙幣投入口７１に紙幣を投入することができず、一方、紙幣の処理時には下降して操作者が紙幣投入口７１に紙幣を投入することができるように構成されている。また、図５に示すように、紙幣投入口７１は搬送部７５に接続されており、紙幣投入口７１に投入された１または束状態の複数の紙幣は、１枚ずつ搬送部７５で搬送されるようになっている。また、紙幣リジェクト口７２は、図５に示すように搬送部７５に接続されており、紙幣投入口７１により紙幣処理装置７０内に取り込まれた紙幣のうち後述する識別部７６によりリジェクトすべき紙幣であると識別された紙幣や識別部７６で識別することができなかった紙幣が搬送部７５から送られるようになっている。操作者はこの紙幣リジェクト口７２に送られた紙幣を取り出すことができるようになっている。

　紙幣返却口７３には、図５に示すように、搬送部７５に接続された紙幣保留部７９が設けられている。この紙幣保留部７９には、搬送部７５から紙幣が送られるようになっている。また、紙幣返却口７３には開閉可能な扉７４が設けられている。紙幣保留部７９にある紙幣を返却する場合には、紙幣保留部７９の装置前面側の壁面が開いて、操作者は扉７４から紙幣を取り出すことができるようになっている。扉７４は、紙幣の取り出しが可能な状態になれば、自動的に開くようになっている。なお、後述のように、紙幣保留部７９内に保留された紙幣は、操作者により紙幣返却口７３から取り出される代わりに、貨幣収納部９０内に配置された紙幣収納カセット９１（後述）に送られる場合もある。

　搬送部７５は、紙幣処理装置７０の内部で紙幣を１枚ずつ順次搬送する機能を有している。具体的には、搬送部７５において、紙幣は一対のベルト間に挟まれて搬送路に沿って搬送されるようになっている。また、図５に示すように、搬送部７５に設けられた搬送路は様々な箇所で分岐するようになっており、この搬送路が分岐する箇所には分岐部材（図示せず）が設けられている。各分岐部材は例えば分岐爪からなり、これらの分岐部材はそれぞれ後述する制御部６５により制御されるようになっている。また、搬送部７５には、当該搬送部７５で搬送される紙幣の識別を１枚ずつ行う識別部７６が介設されている。この識別部７６は、搬送部７５で搬送される紙幣の金種、真偽、正損等を識別するようになっている。識別部７６による紙幣の識別結果は後述する制御部６５に送られるようになっている。

　紙幣処理装置７０の内部には、リサイクル式紙幣収納部７７が複数（例えば３つ）並列に設けられている。ここで、複数のリサイクル式紙幣収納部７７ａ～７７ｃは、概して金種別に紙幣を一時的に収納するようになっている。図５に示すように、各リサイクル式紙幣収納部７７は、正逆両方向に回転可能なドラム７７ｐをそれぞれ有しており、各ドラム７７ｐに一対のテープが巻き取られるようになっている。搬送部７５から各リサイクル式紙幣収納部７７に送られた紙幣は、この一対のテープの間に挟まれた状態で１枚ずつ順次ドラム７７ｐにより巻き取られるようになっている。

　紙幣保留部７９は、前述のように紙幣返却口７３に設けられており、図５に示すように搬送部７５に接続されている。この紙幣保留部７９には、紙幣投入口７１に投入された紙幣や、各リサイクル式紙幣収納部７７に収納された紙幣が搬送部７５により送られるようになっており、搬送部７５から送られた紙幣を束状態で保留することができるようになっている。ここで、紙幣保留部７９にある紙幣を返却する場合には、前述のように、紙幣保留部７９の装置前面側の壁面が開いて、操作者は扉７４から紙幣を取り出すことができるようになっている。扉７４は、紙幣の取り出しが可能な状態になれば、自動的に開くようになっている。また、紙幣保留部７９に紙幣が保留される際に、紙幣は一時保留板に載せられるようになっており、紙幣保留部７９にある紙幣を紙幣収納カセット９１に収納させる際には、この紙幣収納カセット９１に設けられたステージが紙幣保留部７９の一時保留板に載せられた紙幣を迎えにいき、紙幣をステージ上に載せて紙幣保留部７９から紙幣収納カセット９１へ下降し、そしてステージ上の紙幣を上から押さえ部材で押さえて紙幣収納カセット９１へ収納するようになっている。

　次に、硬貨処理装置８０の構成について図４および図６を用いて説明する。図４および図６に示すように、硬貨処理装置８０は、当該硬貨処理装置８０内への硬貨の取り込みを行う硬貨投入口８１と、硬貨処理装置８０内に取り込まれた硬貨のうち後述する識別部８５ａにより識別不能な硬貨等のリジェクトを行ったり、硬貨処理装置８０内に取り込まれた硬貨のうち貨幣収納部９０に収納されない硬貨を硬貨処理装置８０の外部に返却したりする硬貨返却口８２とを備えている。また、図６に示すように、硬貨処理装置８０の内部には、硬貨投入口８１に投入された硬貨を硬貨処理装置８０内で搬送する搬送部８５が設けられている。

　硬貨投入口８１は、操作者により１または複数の硬貨が一括して投入されるよう構成されている。この硬貨投入口８１に投入された硬貨は、硬貨処理装置８０の内部に送られるようになっている。硬貨返却口８２は、搬送部８５の下流側端部に接続されており、この搬送部８５から送られた硬貨を貯留するようになっている。操作者はこの硬貨返却口８２に貯留された硬貨を取り出すことができるようになっている。ここで、硬貨返却口８２には、前述のように、硬貨処理装置８０内に取り込まれた硬貨のうち後述する識別部８５ａにより識別不能な硬貨等が送られるとともに、硬貨処理装置８０内に取り込まれた硬貨のうち貨幣収納部９０に収納されない硬貨が送られるようになっており、このような硬貨が硬貨返却口８２により硬貨処理装置８０の外部に返却されるようになっている。

　図６に示すように、硬貨処理装置８０の内部には硬貨繰出部８３が設けられている。この硬貨繰出部８３は硬貨投入口８１に連通しており、操作者により硬貨投入口８１から投入された硬貨を一時的に貯留するとともに、この貯留された硬貨を後述する搬送部８５に繰り出すようになっている。

　搬送部８５は、硬貨処理装置８０の内部で硬貨を１枚ずつ順次搬送する機能を有している。図６に示すように、搬送部８５の上流側端部および下流側端部は、硬貨繰出部８３および硬貨返却口８２にそれぞれ接続されている。また、搬送部８５には、当該搬送部８５で搬送される硬貨の識別を１枚ずつ行う識別部８５ａが介設されている。この識別部８５ａは、搬送部８５で搬送される硬貨の金種や真偽等を識別するようになっている。識別部８５ａによる紙幣の識別結果は後述する制御部６５に送られるようになっている。

　硬貨処理装置８０の内部には、筒状の上入れ上出しタイプのリサイクル式硬貨収納部８４が複数（例えば６つ）並列に設けられており、各リサイクル式硬貨収納部８４はそれぞれ鉛直方向に延びるようになっている。ここで、複数のリサイクル式硬貨収納部８４ａ～８４ｆは、概して金種別に硬貨を積層状態で一時的に収納するようになっている。

　図６に示すように、搬送部８５の途中部分には、硬貨繰出部８３から下流側に向かって順に、間隔をおいて７つの選別孔８６が設けられている。ここで、７つの選別孔８６のうち最も上流側にある選別孔８６（オーバーフロー用の選別孔８６）は、搬送部８５から後述する横方向搬送部８８に直接硬貨を送るために設けられている。具体的には、最も上流側にある選別孔８６は、識別部８５ａによる硬貨の識別結果が所定の条件を満たしたときに（例えば、識別部８５ａにより識別された硬貨の金種に対応するリサイクル式硬貨収納部８４が満杯であったときに）、この硬貨を横方向搬送部８８上に送るようになっている。また、上流側から２番目～７番目の選別孔８６は、それぞれ各リサイクル式硬貨収納部８４ａ～８４ｆに対応するものである。

　図６に示すように、鉛直方向にそれぞれ延びる各リサイクル式硬貨収納部８４の上部には、硬貨を一時的に保留する金種別硬貨一時保留部８９が設けられている。７つの選別孔８６のうち最も上流側にある選別孔８６以外の各選別孔８６を介して搬送部８５から落下した硬貨は、まず金種別硬貨一時保留部８９により一時的に保留されるようになっている。そして、この金種別硬貨一時保留部８９に保留された硬貨が各リサイクル式硬貨収納部８４に収納されるようになっている。また、この金種別硬貨一時保留部８９は投出部材を有しており、この投出部材により、金種別硬貨一時保留部８９に保留された硬貨を後述する横方向搬送部８８上に投げ出すこともできるようになっている。一方、各リサイクル式硬貨収納部８４内に収納された硬貨がこのリサイクル式硬貨収納部８４から取り出される場合には、まずリサイクル式硬貨収納部８４の下部に設けられたステージ（図示せず）が上方に持ち上げられ、ステージ上の硬貨が金種別硬貨一時保留部８９に送られ、そしてこの硬貨は金種別硬貨一時保留部８９の投出部材により横方向搬送部８８上に投げ出されるようになっている。

　図６に示すように、硬貨処理装置８０の内部には硬貨保留部８７ａが設けられており、この硬貨保留部８７ａの上部にはシュート８７ｂが設置されている。ここで、後述する横方向搬送部８８からシュート８７ｂの上部に送られた硬貨は、当該シュート８７ｂ内を通過して硬貨保留部８７ａに送られるようになっている。硬貨保留部８７ａに一時的に保留された硬貨は、貨幣収納部９０内に配置された硬貨収納カセット９２（後述）に送られるようになっている。

　図６に示すように、硬貨処理装置８０の内部において、鉛直方向にそれぞれ延びる各リサイクル式硬貨収納部８４の近傍には、例えば略水平方向に延びる循環ベルト８８ａを有する横方向搬送部８８が設けられている。循環ベルト８８ａは図６の時計回りおよび反時計回りの両方に循環移動可能となっている。また、横方向搬送部８８の一端は硬貨繰出部８３内に位置しており、横方向搬送部８８の他端はシュート８７ｂの上部の近傍に位置している。ここで、循環ベルト８８ａが図６における反時計回りに回転したときには、横方向搬送部８８上にある硬貨は硬貨繰出部８３に送られるようになっている。一方、循環ベルト８８ａが図６における時計回りに回転したときには、横方向搬送部８８上にある硬貨はシュート８７ｂに送られ、最終的には硬貨保留部８７ａで保留されることとなる。

　次に、貨幣収納部９０の構成について図４を用いて説明する。図４に示すように、貨幣収納部９０は、貨幣処理機６０の筐体６１の下部に設けられている。この貨幣収納部９０は、図５および図６に示すように、紙幣を収納する紙幣収納カセット９１、および硬貨を収納する硬貨収納カセット９２を有している。紙幣収納カセット９１には、紙幣処理装置７０の紙幣保留部７９に保留された紙幣が収納されるようになっている（図５参照）。硬貨収納カセット９２には、硬貨処理装置８０の硬貨保留部８７ａに保留された硬貨が収納されるようになっている（図６参照）。そして、例えば売上金の回収業務を委託された収集業者の収集特定者によって、貨幣収納部９０の各カセット９１、９２が筐体６１の前面側へ引き出され、この収集特定者が各カセット９１、９２自体を回収するようになっている。

　ここで、前述のように、紙幣処理装置７０や硬貨処理装置８０は店舗側に管理権限（第１の管理権限）がある。一方、貨幣収納部９０は収集特定者側に管理権限（第２の管理権限）がある。このため、紙幣処理装置７０におけるリサイクル式紙幣収納部７７や、硬貨処理装置８０におけるリサイクル式硬貨収納部８４にある紙幣や硬貨に対する様々な処理や、この紙幣や硬貨の入出金情報や在高データへのアクセスは店舗側の権限のある操作者のみが行うことができる。一方、貨幣収納部９０にある紙幣や硬貨の回収は収集業者の収集特定者のみが行うことができる。

　次に、貨幣処理機６０に設けられた他の様々な機構について説明する。図４に示すように、貨幣処理機６０の筐体６１の上面には、操作者が貨幣処理機６０の制御部６５（後述）に対して様々な指令を行うための操作部９５、および貨幣処理機６０における貨幣の処理状況等を表示する表示部９４が設けられている。ここで、操作部９５は、例えばテンキーや確定キー、スタートキー、取消キーならびにリセットキーを有しており、操作者が各キーを押すことにより貨幣処理機６０の制御部６５に対して様々な指令を行うことができるようになっている。表示部９４は、例えば液晶ディスプレイ（ＬＣＤ）から構成されている。

　また、筐体６１の前面には、貨幣処理機６０における貨幣の処理内容等を印字するプリンタ９３、および操作者の操作権限の確認を行うためのカードリーダ９６がそれぞれ設けられている。カードリーダ９６は、操作者が携帯するＩＤカードのＩＤ情報の読み取りを行うようになっている。

　次に、貨幣処理機６０における各構成要素の制御を行う制御部６５について図４を用いて説明する。制御部６５は貨幣処理機６０の筐体６１内に設置されている。

　図４に示すように、制御部６５には、紙幣処理装置７０の各構成要素（例えば、搬送部７５、識別部７６、リサイクル式紙幣収納部７７、紙幣ステージ７８、紙幣保留部７９、扉７４等）、硬貨処理装置８０の各構成要素（例えば、硬貨繰出部８３、搬送部８５、識別部８５ａ、横方向搬送部８８、金種別硬貨一時保留部８９を含むリサイクル式硬貨収納部８４、硬貨保留部８７ａ等）、貨幣収納部９０、表示部９４、操作部９５、プリンタ９３、カードリーダ９６、記憶部９７等が接続されている。また、制御部６５にはインターフェース６６を介して上位装置が接続されている。

　制御部６５には、紙幣処理装置７０の識別部７６による紙幣の識別結果や、硬貨処理装置８０の識別部８５ａによる硬貨の識別結果が送られるようになっている。また、制御部６５には、操作部９５からの入力情報やカードリーダ９６によりカードから読み取られた操作者のＩＤ情報等の情報が送られるようになっている。

　また、制御部６５は、貨幣処理機６０の操作が行われる際は操作部９５やカードリーダ９６から入力された操作者のＩＤ情報をもとに操作者の権限の確認を行う。また、制御部６５は、紙幣処理装置７０や硬貨処理装置８０の各構成要素を制御したり、表示部９４、プリンタ９３等を制御したりするようになっている。

　以下、図４乃至図７に示す貨幣処理機６０において、筐体６１の外部から内部に取り込まれた紙幣や硬貨等からなる貨幣を貨幣収納部９０に収納するような、貨幣の一連の処理について説明する。

　まず、操作者は、操作部９５により、制御部６５に対して貨幣の処理モードを入金出金連動モードとするよう指令を行う。そして、操作者は、釣銭用等の出金すべき貨幣である準備貨幣について、操作部９５により、準備貨幣の貨幣量（準備貨幣の金種およびその金種毎の枚数、あるいは合計金額）を入力する。これらの入力内容は制御部６５に設定される。なお、操作者が操作部９５により制御部６５に対して様々な指令を行う代わりに、上位装置からインターフェース６６を介して制御部６５に対して上述のような指令が行われるようになっていてもよい。

　そして、店舗の売上金等の貨幣のうち紙幣を操作者が紙幣処理装置７０の紙幣投入口７１に投入したときには、紙幣投入口７１に投入された紙幣は１枚ずつ搬送部７５により搬送され、識別部７６において紙幣の金種、真偽、正損等の識別が行われる。識別部７６により識別が行われた紙幣のうち、正常な紙幣は各リサイクル式紙幣収納部７７に収納される。一方、識別部７６により識別を行うことができなかった紙幣や、識別により正常ではないと判断された紙幣はリジェクト紙幣として紙幣リジェクト口７２に送られる。そして、紙幣投入口７１から各リサイクル式紙幣収納部７７または紙幣リジェクト口７２への紙幣の搬送が終了すると、操作者は紙幣リジェクト口７２にあるリジェクト紙幣を取り出す。

　その後、自動的に、制御部６５に設定された準備貨幣の所定の貨幣量分だけ（準備貨幣の金種毎の枚数分だけ、あるいは合計金額分だけ）、搬送部７５により各リサイクル式紙幣収納部７７から紙幣保留部７９に紙幣が送られる。より詳細には、各リサイクル式紙幣収納部７７に収納された紙幣は１枚ずつ搬送部７５に繰り出され、搬送部７５により紙幣が１枚ずつ搬送されるが、この搬送部７５に繰り出された紙幣は識別部７６を通り、この識別部７６により正常と判断された紙幣は紙幣保留部７９に送られ、正常でないと判断された紙幣は紙幣リジェクト口７２に送られることとなる。そして、各リサイクル式紙幣収納部７７から紙幣保留部７９または紙幣リジェクト口７２への紙幣の搬送が終了すると、紙幣保留部７９の装置前面側の壁面が開いて、操作者は紙幣保留部７９にある紙幣を釣銭用等の準備貨幣として扉７４から取り出すことができるようになる。

　なお、上述のような紙幣の出金処理において、表示部９４には、各リサイクル式紙幣収納部７７から紙幣保留部７９に送られた釣銭用等の準備貨幣としての紙幣の金種毎の枚数、および／または合計金額がカウントアップ（加算表示）式で表示されるようになっている。あるいは、表示部９４には、予め制御部６５に設定された準備貨幣の所定の金種毎の枚数、および／または所定の合計金額がまず表示されており、この所定の金種毎の枚数または所定の合計金額から、実際に各リサイクル式紙幣収納部７７から紙幣保留部７９に送られた紙幣の枚数または金額を減算して表示するようなカウントダウン（減算表示）式で紙幣の金種毎の枚数および／または合計金額が表示されるようになっていてもよい。この場合、ある金種において、実際に各リサイクル式紙幣収納部７７から紙幣保留部７９に送られた紙幣の枚数が、予め制御部６５に設定された準備貨幣の所定の枚数に満たないときには、あるいは、実際に各リサイクル式紙幣収納部７７から紙幣保留部７９に送られた紙幣の合計金額が、予め制御部６５に設定された準備貨幣の所定の合計金額に満たないときには、表示部９４にこのことが表示されることとなる。

　また、ある金種について、当該金種に対応するリサイクル式紙幣収納部７７の紙幣の実際の収納枚数が、予め制御部６５に設定された準備貨幣の所定の枚数に対して不足している場合には、他のリサイクル式紙幣収納部７７に収納された下位の金種の紙幣を代替させることができる。すなわち、例えば五千円札を収納するリサイクル式紙幣収納部７７における五千円札の収納枚数が、予め制御部６５に設定された準備貨幣の所定の枚数に対して不足している場合には、千円札を収納する他のリサイクル式紙幣収納部７７における千円札を準備貨幣として五千円札の代わりに紙幣保留部７９に搬送することにより、紙幣保留部７９における準備貨幣の合計金額が不足しないようにする。なお、このような準備貨幣に関する不足紙幣の代替については、代替を行うか否かを操作部９５により予め設定することができるようになっている。

　次に、店舗の売上金等の貨幣のうち硬貨を操作者が硬貨処理装置８０の硬貨投入口８１に投入した場合について説明する。操作者が硬貨処理装置８０の硬貨投入口８１に硬貨を投入したときには、まず硬貨投入口８１から硬貨繰出部８３に硬貨が送られ、この硬貨繰出部８３から硬貨は１枚ずつ搬送部８５に繰り出される。そして、搬送部８５により硬貨は１枚ずつ搬送され、識別部８５ａにより硬貨の金種、真偽、正損等の識別が行われる。識別部８５ａにより識別が行われた硬貨のうち、正常な硬貨は選別孔８６を介して搬送部８５から落下し、金種別硬貨一時保留部８９に送られる。そして、金種別硬貨一時保留部８９から各リサイクル式硬貨収納部８４に硬貨が送られ、このリサイクル式硬貨収納部８４に硬貨が金種別に収納される。一方、識別部８５ａにより識別を行うことができなかった硬貨や、識別により正常ではないと判断された硬貨はリジェクト硬貨として硬貨返却口８２に送られる。そして、硬貨繰出部８３から各リサイクル式硬貨収納部８４または硬貨返却口８２への硬貨の搬送が終了すると、操作者は硬貨返却口８２にあるリジェクト硬貨を取り出す。

　その後、自動的に、制御部６５に設定された準備貨幣の所定の貨幣量分だけ（準備貨幣の金種毎の枚数分だけ、あるいは所定の合計金額分だけ）、各リサイクル式硬貨収納部８４から金種別硬貨一時保留部８９を経て横方向搬送部８８に硬貨が送られ、この横方向搬送部８８から硬貨繰出部８３に硬貨が送られる。そして、硬貨繰出部８３から搬送部８５に硬貨が１枚ずつ繰り出され、この繰り出された硬貨は搬送部８５により硬貨返却口８２に搬送される。そして、各リサイクル式硬貨収納部８４から硬貨返却口８２への硬貨の搬送が終了すると、操作者は硬貨返却口８２にある硬貨を釣銭用等の準備貨幣として取り出すこととなる。

　なお、上述のような紙幣の出金処理において、表示部９４には、各リサイクル式硬貨収納部８４から硬貨返却口８２に送られた釣銭用等の準備貨幣としての硬貨の金種毎の枚数、および／または合計金額がカウントアップ（加算表示）式で表示されるようになっている。あるいは、表示部９４には、予め制御部６５に設定された準備貨幣の所定の金種毎の枚数、および／または所定の合計金額がまず表示されており、この所定の金種毎の枚数または所定の合計金額から、実際に各リサイクル式硬貨収納部８４から硬貨返却口８２に送られた硬貨の枚数または金額を減算して表示するようなカウントダウン（減算表示）式で硬貨の金種毎の枚数、および／または合計金額が表示されるようになっていてもよい。この場合、ある金種において、実際に各リサイクル式硬貨収納部８４から硬貨返却口８２に送られた硬貨の枚数が、予め制御部６５に設定された準備貨幣の所定の枚数に満たないときには、あるいは、実際に各リサイクル式硬貨収納部８４から硬貨返却口８２に送られた硬貨の合計金額が、予め制御部６５に設定された準備貨幣の所定の合計金額に満たないときには、表示部９４にこのことが表示されることとなる。

　また、ある金種について、当該金種に対応するリサイクル式硬貨収納部８４の硬貨の実際の収納枚数が、予め制御部６５に設定された準備貨幣の所定の枚数に対して不足している場合には、他のリサイクル式硬貨収納部８４に収納された下位の金種の硬貨を代替させることができる。すなわち、例えば百円硬貨を収納するリサイクル式硬貨収納部８４における百円硬貨の収納枚数が、予め制御部６５に設定された準備貨幣の所定の枚数に対して不足している場合には、十円硬貨を収納する他のリサイクル式硬貨収納部８４における十円硬貨を準備貨幣として百円硬貨の代わりに硬貨返却口８２に搬送することにより、硬貨返却口８２における準備貨幣の合計金額が不足しないようにする。なお、このような準備貨幣に関する不足紙幣の代替については、代替を行うか否かを操作部９５により予め設定することができるようになっている。

　以上のように本実施の形態の貨幣処理機６０によれば、制御部６５において、釣銭用等の出金すべき準備貨幣の所定の貨幣量（準備貨幣の所定の金種およびその金種毎の枚数、あるいは所定の合計金額）が設定されており、この制御部６５は、紙幣投入口７１や硬貨投入口８１により筐体６１の外部から内部に紙幣や硬貨を取り込み、この取り込まれた紙幣や硬貨を貨幣収納部９０の紙幣収納カセット９１や硬貨収納カセット９２に送るような入金収納処理を行った後に、準備貨幣の所定の貨幣量分の紙幣や硬貨を各リサイクル式紙幣収納部７７や各リサイクル式硬貨収納部８４から紙幣保留部７９や硬貨返却口８２に送るような出金処理を自動的に行うよう制御を行うようになっている。このように、紙幣や硬貨の入金収納処理を行った後、制御部６５に設定された所定の貨幣量分の紙幣や硬貨の出金処理を自動的に行うことができるので、操作者は操作部９５における一度の操作で貨幣の入金収納処理と出金処理の両方を行うことができるようになり、このためこれらの２つの処理の間に発生する操作者の待ち時間を削減することができるとともに操作者が出金処理の操作を忘れてしまい出金処理が行われないままとなってしまうことを防止することができるようになる。

　なお、本実施の形態の貨幣処理機６０においては、紙幣処理装置７０や硬貨処理装置８０において紙幣や硬貨の投入部と投出部とは別々のものとなっているが、投入部および投出部が一体となっていてもよい。

〔第３の実施の形態〕
　以下、図面を参照して本発明の第３の実施の形態の貨幣処理機について説明する。本実施の形態に係る貨幣処理機は、筐体の外部から内部に取り込まれた紙幣や硬貨等からなる貨幣を貨幣収納部に収納する機能を有している。図９乃至図１３は、本発明による貨幣処理機の第３の実施の形態を示す図である。このうち、図９は、本実施の形態における貨幣処理機を示す斜視図であり、図１０は、図９に示す貨幣処理機における紙幣処理装置の構成の概略を示す概略構成図であり、図１１は、図９に示す貨幣処理機における硬貨処理装置の構成の概略を示す概略構成図である。また、図１２は、図９に示す貨幣処理機における制御ブロック図である。また、図１３は、図９に示す貨幣処理機において、貨幣収納部を筐体から手前側に引き出したときの状態を示す斜視図である。

　図９に示すように、貨幣処理機１１０は略直方体形状の筐体１１１を備えており、この筐体１１１には、貨幣処理機１１０を前方から見て右側に配置された紙幣処理装置１２０と、左側に配置された硬貨処理装置１３０とがそれぞれ左右に並ぶよう設けられている。また、貨幣処理機１１０の筐体１１１において、紙幣処理装置１２０および硬貨処理装置１３０の下方には、硬貨および紙幣をそれぞれ収納する貨幣収納部１４０が設けられている。ここで、貨幣処理機１１０のうち、紙幣処理装置１２０および硬貨処理装置１３０は店舗側の管理権限下にあり、貨幣収納部１４０は収集特定者側の管理権限下にある。以下、紙幣処理装置１２０、硬貨処理装置１３０および貨幣収納部１４０の各構成要素について詳述する。

　まず、貨幣収納部１４０の構成について図９乃至図１３、とりわけ図１３を用いて説明する。図９等に示すように、貨幣処理機１１０の筐体１１１の下部に貨幣収納部１４０が設けられている。図１３は、図９に示す貨幣処理機１１０において、貨幣収納部１４０を筐体１１１から手前側に引き出したときの状態を示す斜視図である。図１３に示すように、貨幣収納部１４０は、２つの紙幣収納カセット１４１ａ、１４１ｂおよび２つの硬貨収納カセット１４２ａ、１４２ｂを有している。ここで、図１０に示すように、２つの紙幣収納カセット１４１ａ、１４１ｂは紙幣処理装置１２０に対応して設けられており、一方、図１１に示すように、２つの硬貨収納カセット１４２ａ、１４２ｂは硬貨処理装置１３０に対応して設けられている。

　各紙幣収納カセット１４１ａ、１４１ｂには、紙幣処理装置１２０の一時保留部１２９（後述）に搬送された紙幣がこの一時保留部１２９から送られるようになっている。また、各硬貨収納カセット１４２ａ、１４２ｂには、硬貨処理装置１３０の一時保留部１３７（後述）に搬送された硬貨が送られるようになっている。

　そして、例えば売上金の回収業務を行う収集特定者によって、貨幣収納部１４０が筐体１１１から手前側に引き出され、各収納カセット１４１ａ、１４１ｂ、１４２ａ、１４２ｂが貨幣収納部１４０の本体部分１４０ａから取り出され、収集特定者が各収納カセット１４１ａ、１４１ｂ、１４２ａ、１４２ｂ自体を回収するようになっている。より具体的には、図１０に示すように、紙幣収納カセット１４１ａ、１４１ｂには、それぞれ規制ユニット１４１ｃ、１４１ｄが設けられている。そして、規制ユニット１４１ｃは、本体部分１４０ａからの紙幣収納カセット１４１ａの取り出しを規制するようになっており、規制ユニット１４１ｄは、本体部分１４０ａからの紙幣収納カセット１４１ｂの取り出しを規制するようになっている。また、図１１に示すように、各硬貨収納カセット１４２ａ、１４２ｂには、それぞれ規制ユニット１４２ｃ、１４２ｄが設けられている。そして、規制ユニット１４２ｃは、本体部分１４０ａからの硬貨収納カセット１４２ａの取り出しを規制するようになっており、規制ユニット１４２ｄは、本体部分１４０ａからの硬貨収納カセット１４２ｂの取り出しを規制するようになっている。

　図１３に示すように、貨幣収納部１４０の本体部分１４０ａの上面において、各収納カセット１４１ａ、１４１ｂ、１４２ａ、１４２ｂの近傍には、それぞれ鍵穴１４１ｅ、１４１ｆ、１４２ｅ、１４２ｆが設けられている。各鍵穴１４１ｅ、１４１ｆ、１４２ｅ、１４２ｆの構成は互いに異なるようになっており、それぞれ異なる構成の鍵が各鍵穴１４１ｅ、１４１ｆ、１４２ｅ、１４２ｆに差し込まれるようになっている。そして、各鍵穴１４１ｅ、１４１ｆ、１４２ｅ、１４２ｆにそれぞれ鍵を差し込み、この鍵を回すことにより、各規制ユニット１４１ｃ、１４１ｄ、１４２ｃ、１４２ｄを動作させ、本体部分１４０ａからの各収納カセット１４１ａ、１４１ｂ、１４２ａ、１４２ｂの取り出しの規制を解除するようになっている。

　あるいは、各規制ユニット１４１ｃ、１４１ｄ、１４２ｃ、１４２ｄは、例えば自動ロック機構からなり、操作者が持つＩＤカードによって操作者のＩＤ情報を確認してその操作者に権限があるか否かを上位装置（後述）に照会し、操作者に権限があることが確認された場合に自動ロック機構の解除を行うようになっていてもよい。

　なお、紙幣や硬貨を収納するために貨幣収納部１４０に設置されるものはカセットに限定されることはない。例えば、複数の収納袋を貨幣収納部１４０に設置し、貨幣収納部１４０において紙幣や硬貨を各収納袋に収納させるようにしてもよい。

　次に、紙幣処理装置１２０の構成について図９および図１０を用いて説明する。図９および図１０に示すように、紙幣処理装置１２０は、当該紙幣処理装置１２０内への紙幣の取り込みを行う紙幣投入口１２１と、紙幣処理装置１２０内に取り込まれた紙幣のうち偽札や識別不能な紙幣等のリジェクトを行う紙幣リジェクト口１２２と、紙幣処理装置１２０内に取り込まれた紙幣のうち貨幣収納部１４０に収納されない紙幣を紙幣処理装置１２０の外部に返却する紙幣返却口１２３とを備えている。また、図１０に示すように、紙幣処理装置１２０の内部には、紙幣投入口１２１に投入された紙幣を紙幣処理装置１２０内で搬送する搬送部１２５が設けられている。

　紙幣投入口１２１は、操作者により１または束状態の複数の紙幣が短手方向に一括して投入されるよう構成されている。図９に示すように、この紙幣投入口１２１には手動で開閉可能な紙幣投入口カバー１２８が配設されており、紙幣投入口カバー１２８が開いたときのみに操作者は紙幣を紙幣投入口１２１に投入することができるようになっている。図１０に示すように、紙幣投入口１２１は搬送部１２５に接続されており、紙幣投入口１２１に投入された１または束状態の複数の紙幣は、１枚ずつ繰り出されて搬送部１２５で搬送されるようになっている。

　紙幣リジェクト口１２２は、図１０に示すように搬送部１２５に接続されており、紙幣投入口１２１により紙幣処理装置１２０内に取り込まれた紙幣のうち後述する識別部１２６によりリジェクトすべき紙幣であると識別された紙幣等が搬送部１２５から送られるようになっている。操作者はこの紙幣リジェクト口１２２に送られた紙幣を取り出すことができるようになっている。紙幣リジェクト口１２２にはカバー（図示せず）が設けられており、待機時にはこのカバーは開状態となっており、処理時にはこのカバーは閉状態となる。

　紙幣返却口１２３には、図１０に示すように、搬送部１２５に接続された一時保留部１２９が設けられている。この一時保留部１２９には、搬送部１２５から紙幣が送られて集積されるようになっている。また、紙幣返却口１２３には開閉可能な扉１２４が設けられている。一時保留部１２９にある紙幣を返却する場合には、一時保留部１２９の装置前面側の壁面が開いて、操作者は扉１２４から紙幣を取り出すことができるようになっている。扉１２４は、紙幣が取れる状態になれば、自動的に開くようになっている。なお、後述のように、一時保留部１２９内に保留された紙幣は、操作者により紙幣返却口１２３から取り出される代わりに、貨幣収納部１４０内に配置された紙幣収納カセット１４１ａ、１４１ｂに送られる場合もある。

　搬送部１２５は、紙幣処理装置１２０の内部で紙幣を１枚ずつ順次搬送する機能を有している。具体的には、搬送部１２５において、紙幣は一対のベルト間に挟まれて搬送されるようになっている。また、図１０に示すように、搬送部１２５に設けられた搬送路は様々な箇所で分岐するようになっており、この搬送路が分岐する箇所には分岐部材（図示せず）が設けられている。各分岐部材は例えば分岐爪からなり、これらの分岐部材はそれぞれ後述する制御部１１５により制御されるようになっている。図１０に示すように、搬送部１２５は、紙幣投入口１２１に投入された紙幣を紙幣リジェクト口１２２または一時保留部１２９に搬送するよう構成されている。

　図１０に示すように、搬送部１２５には、当該搬送部１２５で搬送される紙幣の識別を１枚ずつ行う識別部１２６が設置されている。この識別部１２６は、搬送部１２５で搬送される紙幣の金種、真偽、正損等を識別するようになっている。具体的には、識別部１２６は、磁気センサや光学センサを有し、これらのセンサにより紙幣の金種や真偽等を１枚ずつ識別するようになっている。識別部１２６による紙幣の識別結果は後述する制御部１１５に送られるようになっている。

　一時保留部１２９は、前述のように紙幣返却口１２３に設けられており、図１０に示すように搬送部１２５に接続されている。この一時保留部１２９には、紙幣投入口１２１に投入された紙幣が搬送部１２５により送られるようになっており、搬送部１２５から送られた紙幣を束状態で複数保留することができるようになっている。ここで、操作者により扉１２４が開かれることによって操作者は一時保留部１２９内に収納された紙幣を取り出すことができるようになっている。また、一時保留部１２９の底面には開閉が可能な底板が設けられ、紙幣は底板に載せられるようになっている。ここで、図１０に示すように、一時保留部１２９は、紙幣収納カセット１４１ａの上方の位置（図１０における実線の位置）と、紙幣収納カセット１４１ｂの上方の位置（図１０における二点鎖線の位置）との間で往復移動するようになっている。そして、一時保留部１２９に搬送された紙幣を紙幣収納カセット１４１ａに収納させる際には、一時保留部１２９を紙幣収納カセット１４１ａの上方の位置に移動させ、一方、一時保留部１２９に搬送された紙幣を紙幣収納カセット１４１ｂに収納させる際には、一時保留部１２９を紙幣収納カセット１４１ｂの上方の位置に移動させるようになっている。

　一時保留部１２９にある紙幣を紙幣収納カセット１４１ａまたは紙幣収納カセット１４１ｂに収納させる動作について以下に説明する。ここでは、一時保留部１２９にある紙幣を紙幣収納カセット１４１ａに収納させる動作について説明するが、一時保留部１２９にある紙幣を紙幣収納カセット１４１ｂに収納させる動作についても同様である。一時保留部１２９にある紙幣を紙幣収納カセット１４１ａに収納させる際に、まず、この紙幣収納カセット１４１ａに設けられたステージが上昇し、ステージ上の紙幣の上面が一時保留部１２９の底板のすぐ下まで移動する。そして、底板が水平に移動して開き、一時保留部１２９内の紙幣はステージ上の紙幣の上に落下する。そして、ステージ上の紙幣を上から押さえ部材で押さえた状態で、ステージが下降し、紙幣を紙幣収納カセット１４１ａへ収納するようになっている。

　次に、硬貨処理装置１３０の構成について図９および図１１を用いて説明する。図９および図１１に示すように、硬貨処理装置１３０は、当該硬貨処理装置１３０内への硬貨の取り込みを行う硬貨投入口１３１と、硬貨処理装置１３０内に取り込まれた硬貨のうち後述する識別部１３５ａにより識別不能な硬貨等のリジェクト硬貨の返却を行うとともに硬貨処理装置１３０内に取り込まれた硬貨のうち貨幣収納部１４０に収納されない硬貨を硬貨処理装置１３０の外部に返却する硬貨返却口１３３とを備えている。硬貨投入口１３１には、開閉可能な硬貨投入口カバー１３１ａが配置されている。また、硬貨返却口１３３には、硬貨返却ボックス１３３ａが引き出し可能に配置されている。

　硬貨処理装置１３０の内部には、硬貨投入口１３１から投入された硬貨を受け入れて貯留し、硬貨を１枚ずつ繰り出すとともに、下部を開放して変形硬貨や異物等の落下放出を可能とした貯留繰出部１３４が設けられている。この貯留繰出部１３４の下部には開閉機構（図示せず）が設けられており、この開閉機構が開状態となったときに、貯留繰出部１３４内の変形硬貨や異物等は下方に落下放出されるようになっている。

　また、硬貨処理装置１３０の内部には、貯留繰出部１３４から繰り出された硬貨を１枚ずつ搬送し、搬送中に識別部１３５ａで硬貨の金種、真偽、正損等を識別し、その識別結果に基づき硬貨を搬送先別に分岐させる搬送部１３５が設けられている。また、搬送部１３５は、硬貨返却ボックス１３３ａに接続され、当該搬送部１３５からリジェクトされた硬貨等を硬貨返却ボックス１３３ａに返却する。搬送部１３５は、貯留繰出部１３４に接続された上流側端部から筐体１１１の奥側に向かって（図１１の右方に向かって）延設されるとともに、筐体１１１の奥側で上側に折り返されて筐体１１１の前側に向かって（図１１の左方に向かって）延設され、硬貨返却ボックス１３３ａ内に硬貨を落下可能に配設されている。

　搬送部１３５における、識別部１３５ａよりも搬送方向下流側の途中位置には、識別部１３５ａで正規の硬貨であると識別された硬貨を搬送部１３５から分岐させる分岐部材１３５ｂが設けられている。この分岐部材１３５ｂは、識別部１３５ａによる硬貨の識別結果に基づいて搬送部１３５の搬送通路内に進退し、後述する一時保留部１３７に搬送される硬貨を搬送部１３５から分岐させるとともに、リジェクトする硬貨をそのまま搬送部１３５で搬送させる。分岐部材１３５ｂの位置には、当該分岐部材１３５ｂで分岐された硬貨を受け入れて下方へ案内するシュート１３５ｃの上端部が配置されている。シュート１３５ｃの下端部は、第１の収納位置ａ（後述）に位置する一時保留部１３７の上方に配置されている。

　図１１に示すように、硬貨処理装置１３０の内部には、搬送部１３５から送り出された硬貨を一時的に保留することが可能な一時保留部１３７が設けられている。この一時保留部１３７は、上下方向に開口された枠状に形成されており、筐体１１１内の貯留繰出部１３４の下側に配置されるとともに、駆動機構１３７ｂによって筐体１１１の奥行き方向に往復移動するようになっている（すなわち、一時保留部１３７は図１１の左右方向に往復移動するようになっている）。なお、一時保留部１３７は、貯留繰出部１３４の硬貨収納容量より多い硬貨を収納することができるようになっている。

　一時保留部１３７の停止位置は、硬貨収納カセット１４２ａの上方の位置である第１の収納位置ａ、貯留繰出部１３４の下方の位置である排除位置ｂ、硬貨返却ボックス１３３ａの上方の位置である返却位置ｃ、および硬貨収納カセット１４２ｂの上方の位置である第２の収納位置ｄの４位置となっている（図１１参照）。一時保留部１３７の各位置ａ～ｄは、位置検知手段１３７ｃによって検知されるようになっている。一時保留部１３７は第１の収納位置ａを定位置としている。

　また、一時保留部１３７の下側には、この一時保留部１３７の下面を閉塞する底板１３７ａが配設されている。この底板１３７ａは略水平方向に延びており、駆動機構１３７ｆによって筐体１１１の奥行き方向に往復移動するようになっている（すなわち、底板１３７ａは図１１の左右方向に往復移動するようになっている）。底板１３７ａの停止位置は、第１の収納位置ａにある一時保留部１３７の真下の位置である第１の位置ｍ、および第２の収納位置ｄにある一時保留部１３７の真下の位置である第２の位置ｎの２位置となっている（図１１参照）。底板１３７ａの各位置ｍ、ｎは、位置検知手段１３７ｇによって検知されるようになっている。底板１３７ａは第１の位置ｍを定位置としている。

　また、第１の収納位置ａに位置する一時保留部１３７の下側には、この一時保留部１３７内の硬貨を硬貨収納カセット１４２ａに送るための硬貨収納シュート１３７ｄが設けられている。また、第２の収納位置ｄに位置する一時保留部１３７の下側には、この一時保留部１３７内の硬貨を硬貨収納カセット１４２ｂに送るための硬貨収納シュート１３７ｅが設けられている。

　一時保留部１３７が定位置（第１の収納位置ａ）にあるとともに、底板１３７ａが定位置（第１の位置ｍ）にある場合には、図１１に示すように、一時保留部１３７は、搬送部１３５からシュート１３５ｃを介して送り出されてくる硬貨を受け取り、この受け取った硬貨を一時的に保留するようになっている。一方、一時保留部１３７が定位置（第１の収納位置ａ）にあるとともに、底板１３７ａが第２の位置ｎにある場合には、搬送部１３５からシュート１３５ｃを介して送り出されてくる硬貨は、一時保留部１３７を通過して（すなわち、一時保留部１３７で一時的に保留されることなく）そのまま硬貨収納シュート１３７ｄに送られ、最終的に硬貨収納カセット１４２ａに送られることとなる。

　このように、一時保留部１３７が定位置（第１の収納位置ａ）にあるとともに、底板１３７ａが第２の位置ｎにある場合には、搬送部１３５からシュート１３５ｃを介して一時保留部１３７に送り出されてくる硬貨を硬貨収納カセット１４２ａにダイレクト入金（一時的な保留を行わないような入金）することができる。

　一時保留部１３７が排除位置ｂにあるとともに、底板１３７ａが定位置（第１の位置ｍ）にある場合には、この一時保留部１３７は、貯留繰出部１３４から落下放出される硬貨を受け入れる。この際に、一時保留部１３７が底板１３７ａから部分的に外れることにより一時保留部１３７の底面が部分的に開口され、この一時保留部１３７に受け入れられた硬貨の一部は下方にある硬貨返却ボックス１３３ａに落下放出されるようになっている。さらに、落下放出終了後に、一時保留部１３７が返却位置ｃに移動し、全ての硬貨を硬貨返却ボックス１３３ａに落下放出して返却する。

　一時保留部１３７が第１の収納位置ａから返却位置ｃに移動した場合には、一時保留部１３７が底板１３７ａから外れることにより一時保留部１３７の底面が開口され、この一時保留部１３７に搬送された硬貨は下方にある硬貨返却ボックス１３３ａに落下することとなる。

　また、底板１３７ａが定位置（第１の位置ｍ）にとどまったまま、一時保留部１３７が第１の収納位置ａから第２の収納位置ｄに移動した場合には、一時保留部１３７が底板１３７ａから外れることにより一時保留部１３７の底面が開口され、この一時保留部１３７に搬送された硬貨は下方にある硬貨収納シュート１３７ｅに落下し、最終的に硬貨収納カセット１４２ｂに送られることとなる。

　次に、貨幣処理機１１０に設けられた他の様々な機構について説明する。図９に示すように、貨幣処理機１１０の筐体１１１の上面には、操作者が貨幣処理機１１０の制御部１１５（後述）に対して様々な指令を行うための操作部１４５、および貨幣処理機１１０における貨幣の処理内容等を表示する表示部１４４が設けられている。ここで、操作部１４５は、例えばテンキーや確定キー、スタートキー、取消キーならびにリセットキーを有しており、操作者が各キーを押すことにより貨幣処理機１１０の制御部１１５に対して様々な指令を行うことができるようになっている。

　より具体的には、操作者は、操作部１４５により、紙幣処理装置１２０の紙幣投入口１２１や硬貨処理装置１３０の硬貨投入口１３１に投入された紙幣や硬貨等の貨幣に関する取引における貨幣の取引金額を入力することができるようになっている。この場合、操作部１４５によって操作者により入力される貨幣の取引金額は、実際に操作者により紙幣処理装置１２０の紙幣投入口１２１や硬貨処理装置１３０の硬貨投入口１３１に投入される貨幣の金額と同じ金額となっている。また、操作者は、操作部１４５により、紙幣処理装置１２０の紙幣投入口１２１や硬貨処理装置１３０の硬貨投入口１３１に投入される紙幣や硬貨等の貨幣に関する取引の取引情報を入力することができるようになっている。ここで、取引情報とは、例えば、操作者のＩＤ情報等、操作者に関する情報や操作を行った日時、店舗の情報、レジの情報等のことをいう。このように、操作部１４５は、紙幣処理装置１２０の紙幣投入口１２１や硬貨処理装置１３０の硬貨投入口１３１に投入された貨幣に関する取引における貨幣の取引金額を入力するための取引金額入力手段や、当該取引の取引情報を入力するための取引情報入力手段としての機能を果たすようになっている。

　表示部１４４は、例えば液晶ディスプレイ（ＬＣＤ）から構成されている。また、貨幣処理機１１０の筐体１１１の上面には、貨幣処理機１１０における貨幣の処理内容等を印字するプリンタ１４３が設けられている。

　また、筐体１１１の前面には、操作者の操作権限の確認を行うためのカードリーダ１４６が設けられている。カードリーダ１４６は、操作者が携帯するＩＤカードのＩＤ情報の読み取りを行うようになっている。また、筐体１１１の内部には、様々な情報を記憶する記憶部１４７が設けられている。

　次に、貨幣処理機１１０における各構成要素の制御を行う制御部１１５について図１２を用いて説明する。制御部１１５は貨幣処理機１１０の筐体１１１内に設置されている。

　図１２に示すように、制御部１１５には、紙幣処理装置１２０の各構成要素（例えば、搬送部１２５、識別部１２６、扉１２４、一時保留部１２９等）、硬貨処理装置１３０の各構成要素（例えば、貯留繰出部１３４、搬送部１３５、識別部１３５ａ、一時保留部１３７の駆動機構１３７ｂ、一時保留部１３７の位置検知手段１３７ｃ、底板１３７ａの駆動機構１３７ｆ、底板１３７ａの位置検知手段１３７ｇ等）、表示部１４４、操作部１４５、
プリンタ１４３、カードリーダ１４６、記憶部１４７等が接続されている。

　制御部１１５には、紙幣処理装置１２０の識別部１２６による紙幣の識別結果や、硬貨処理装置１３０の識別部１３５ａによる硬貨の識別結果、位置検知手段１３７ｃによる一時保留部１３７の位置情報、位置検知手段１３７ｇによる底板１３７ａの位置情報等が送られるようになっている。また、制御部１１５には、カードリーダ１４６により読み取られた操作者のＩＤカードのＩＤ情報が送られるようになっている。また、制御部１１５は、紙幣処理装置１２０や硬貨処理装置１３０の各構成要素を制御したり、表示部１４４、操作部１４５、プリンタ１４３を制御したりするようになっている。さらに、制御部１１５は、当該制御部１１５に接続されたインターフェース１１６を介して、例えば回収業務を行う収集業者が設置した上位装置と通信可能となっている。また、制御部１１５には記憶部１４７が接続され、上述の識別結果や各種の情報等が記憶されるようになっている。

　次に、本実施の形態について、発明が解決しようとする課題について以下に説明する。

　まず、比較例として、従来の貨幣処理機について以下に説明する。例えば、多数のレジが設けられたショッピングセンター等の店舗では、１台または複数台の、特開２００１－６７５２６号公報に開示されるような貨幣処理機が設置されており、店舗の閉店後にレジにて余剰となった売上金に係る貨幣を貨幣処理機に入金する作業が行われている。この際に、貨幣処理機には、紙幣や硬貨等の貨幣の収納を行う貨幣収納部が設けられており、この貨幣収納部の管理権限は、収集業者の収集特定者側にある。そして、貨幣が貨幣収納部に収納されると、収集特定者に貨幣が引き渡されるようになっている。収集特定者は、この貨幣収納部に引き渡された貨幣を適宜回収するようになっている。また、上述のような貨幣の引渡処理に伴って、収集特定者側に引き渡された貨幣の金額が、店舗側の所定の銀行口座に入金される等の処理が行われる。

　一方で、店舗の各レジでは、翌日の営業日に備え、釣銭を準備しておく必要がある。この釣銭となる紙幣や硬貨は、収集業者に注文することにより店舗まで配達されるようになっている。配達された釣銭は、両替機等に装填され、レジ内の貨幣と両替を行うことにより、各レジで釣銭が準備されることとなる。

　しかしながら、前述のように、店舗の閉店後にレジにて余剰となった売上金は全額収集特定者により回収されるとともに、釣銭用の貨幣が収集業者から配達されるため、必要な釣銭額が大きくなり、この釣銭用の貨幣の配達に要する手数料も大きくなるという問題がある。また、貨幣処理機の貨幣収納部が満杯になるのを防ぐために、収集特定者による売上金の貨幣の回収作業を頻繁に行わなければならないという問題がある。

　このときに、貨幣収納部に収納された貨幣の一部を釣銭として使用することができれば、店舗側としては、配達される釣銭用の貨幣の数量を減らすことができ、釣銭用の貨幣の配達に要する手数料を減らすことができる。また、収集業者側としても、貨幣収納部に収納された貨幣の一部が釣銭として使用されるため、貨幣収納部が満杯になるまでに要する期間が延び、貨幣の回収の頻度を減らすことができる。

　このように、貨幣収納部に収納された貨幣の一部を釣銭として使用することができるようにするために、本実施の形態においては、図９に示す貨幣処理機１１０において、これらの貨幣処理機に入金される貨幣を、店舗で釣銭として使用する店舗側の貨幣と、収集特定者側の貨幣とに区別して貨幣収納部１４０に収納することができるようにする。

　より具体的には、図９に示す貨幣処理機１１０において、貨幣収納部１４０の２つの紙幣収納カセット１４１ａ、１４１ｂのうち、一方の紙幣収納カセット１４１ａを収集特定者側の管理権限下のものとし、他方の紙幣収納カセット１４１ｂを店舗側の管理権限下のものとする。同様に、貨幣収納部１４０の２つの硬貨収納カセット１４２ａ、１４２ｂのうち、一方の硬貨収納カセット１４２ａを収集特定者側の管理権限下のものとし、他方の硬貨収納カセット１４２ｂを店舗側の管理権限下のものとする。

　より詳細には、店舗側の操作者と、収集特定者との両者が、図１３に示すように貨幣収納部１４０の本体部分１４０ａを筐体１１１から手前側に引き出すことができるようにする。そして、収集特定者は、紙幣収納カセット１４１ａおよび硬貨収納カセット１４２ａの近傍にそれぞれ設けられた鍵穴１４１ｅ、１４２ｅに対応する鍵を有し、店舗側の操作者は、紙幣収納カセット１４１ｂおよび硬貨収納カセット１４２ｂの近傍にそれぞれ設けられた鍵穴１４１ｆ、１４２ｆに対応する鍵を有するようにする。このことにより、収集特定者は、筐体１１１から紙幣収納カセット１４１ａおよび硬貨収納カセット１４２ａを取り出すことができるようになり、一方、店舗側の操作者は、筐体１１１から紙幣収納カセット１４１ｂおよび硬貨収納カセット１４２ｂを取り出すことができるようになる。各収納カセット１４１ａ、１４２ａは、少なくとも筐体１１１から引き出されたとき、中の貨幣が取り出し不可能な状態に入口等がロックされている。

　次に、上述のような貨幣収納部１４０の管理権限が２つに分けられた貨幣処理機１１０において、当該貨幣処理機１１０に入金される貨幣を、店舗で釣銭として使用する店舗側の貨幣と、収集特定者側の貨幣とに区別して貨幣収納部１４０に収納する動作について以下に説明する。

　最初に、紙幣処理装置１２０に投入される紙幣を、収集特定者側の紙幣として貨幣収納部１４０に収納するような紙幣の第１の引渡処理（入金処理）について以下に説明する。紙幣の第１の引渡処理が行われる際に、操作者が紙幣処理装置１２０の紙幣投入口１２１に紙幣を投入したときには、紙幣投入口１２１に投入された紙幣は１枚ずつ搬送部１２５により搬送され、識別部１２６において紙幣の識別が行われる。識別部１２６により正常な紙幣であると識別された場合には、この紙幣は搬送部１２５により一時保留部１２９に送られる。一方、識別部１２６により偽札等のリジェクト紙幣であると識別された紙幣は、搬送部１２５により紙幣リジェクト口１２２に送られる。

　上述のような紙幣の処理が行われた後、操作者が操作部１４５における「確定キー」を押し、引渡確定処理の指令を制御部１１５に送ったときには、一時保留部１２９に保留された紙幣は、貨幣収納部１４０の紙幣収納カセット１４１ａに送られる。

　次に、紙幣処理装置１２０に投入される紙幣を、店舗で釣銭として使用する店舗側の紙幣として貨幣収納部１４０に収納するような紙幣の第２の引渡処理（入金処理）について以下に説明する。紙幣の第２の引渡処理が行われる際に、操作者が紙幣処理装置１２０の紙幣投入口１２１に紙幣を投入したときには、紙幣投入口１２１に投入された紙幣は１枚ずつ搬送部１２５により搬送され、識別部１２６において紙幣の識別が行われる。識別部１２６により正常な紙幣であると識別された場合には、この紙幣は搬送部１２５により一時保留部１２９に送られる。一方、識別部１２６により偽札等のリジェクト紙幣であると識別された紙幣は、搬送部１２５により紙幣リジェクト口１２２に送られる。

　上述のような紙幣の処理が行われた後、操作者が操作部１４５における「確定キー」を押し、引渡確定処理の指令を制御部１１５に送ったときには、一時保留部１２９は紙幣収納カセット１４１ｂの上方の位置に移動し、この一時保留部１２９に保留された紙幣は、貨幣収納部１４０の紙幣収納カセット１４１ｂに送られる。

　次に、硬貨処理装置１３０に投入される硬貨を、収集特定者側の硬貨として貨幣収納部１４０に収納するような硬貨の第１の引渡処理（入金処理）について以下に説明する。硬貨の第１の引渡処理が行われる際に、操作者が硬貨処理装置１３０の硬貨投入口１３１に硬貨を投入したときには、硬貨投入口１３１に投入された硬貨はまず貯留繰出部１３４に送られ、この貯留繰出部１３４から硬貨が１枚ずつ搬送部１３５に繰り出される。この際に、一時保留部１３７は第１の収納位置ａに位置しており、底板１３７ａは第１の位置ｍに位置している。搬送部１３５に繰り出された硬貨は識別部１３５ａにおいて識別が行われる。識別部１３５ａにより正常な硬貨であると識別された場合は、この硬貨は分岐部材１３５ｂにより搬送部１３５の搬送通路から分岐され、シュート１３５ｃを介して一時保留部１３７に送られる。一方、識別部１３５ａにより識別不能な硬貨等のリジェクト硬貨であると識別された硬貨は、搬送部１３５の搬送通路から分岐させられることなく、そのまま硬貨返却口１３３に送られる。

　上述のような硬貨の処理が行われた後、操作者が操作部１４５における「確定キー」を押し、引渡確定処理の指令を制御部１１５に送ったときには、駆動機構１３７ｆによって底板１３７ａが第１の位置ｍから第２の位置ｎに移動させられることにより、一時保留部１３７の底部が開口状態となるので、一時保留部１３７に搬送された硬貨が貨幣収納部１４０の硬貨収納カセット１４２ａに落下し、この硬貨収納カセット１４２ａ内に収納される。

　次に、硬貨処理装置１３０に投入される硬貨を、店舗で釣銭として使用する店舗側の硬貨として貨幣収納部１４０に収納するような硬貨の第２の引渡処理（入金処理）について以下に説明する。硬貨の第２の引渡処理が行われる際に、操作者が硬貨処理装置１３０の硬貨投入口１３１に硬貨を投入したときには、硬貨投入口１３１に投入された硬貨はまず貯留繰出部１３４に送られ、この貯留繰出部１３４から硬貨が１枚ずつ搬送部１３５に繰り出される。この際に、一時保留部１３７は第１の収納位置ａに位置しており、底板１３７ａは第１の位置ｍに位置している。搬送部１３５に繰り出された硬貨は識別部１３５ａにおいて識別が行われる。識別部１３５ａにより正常な硬貨であると識別された場合は、この硬貨は分岐部材１３５ｂにより搬送部１３５の搬送通路から分岐され、シュート１３５ｃを介して一時保留部１３７に送られる。一方、識別部１３５ａにより識別不能な硬貨等のリジェクト硬貨であると識別された硬貨は、搬送部１３５の搬送通路から分岐させられることなく、そのまま硬貨返却口１３３に送られる。

　上述のような硬貨の処理が行われた後、操作者が操作部１４５における「確定キー」を押し、引渡確定処理の指令を制御部１１５に送ったときには、駆動機構１３７ｂによって一時保留部１３７が第１の収納位置ａから第２の収納位置ｄに移動させられることにより、一時保留部１３７の底部が開口状態となるので、一時保留部１３７に搬送された硬貨が貨幣収納部１４０の硬貨収納カセット１４２ｂに落下し、この硬貨収納カセット１４２ｂ内に収納される。

　また、制御部１１５において、貨幣収納部１４０の紙幣収納カセット１４１ｂや硬貨収納カセット１４２ｂに収納されるべき、店舗で釣銭として使用する店舗側の紙幣や硬貨の金種毎の枚数が予め設定されており、記憶部１４７には、この紙幣や硬貨の金種毎の枚数を記憶するようになっている。

　上述のように、貨幣収納部１４０の管理権限が２つに分けられた貨幣処理機１１０において、貨幣収納部１４０における紙幣収納カセット１４１ａおよび硬貨収納カセット１４２ａが第１の管理権限下（収集特定者側の管理権限下）にあり、貨幣収納部１４０における紙幣収納カセット１４１ｂおよび硬貨収納カセット１４２ｂが第２の管理権限下（店舗側の管理権限下）にある。ここで、制御部１１５は、識別部１２６、１３５ａによる識別結果に基づいて、一時保留部１２９および一時保留部１３７に搬送した紙幣や硬貨の金種毎の枚数を計数するようになっている。そして、識別部１２６、１３５ａにより識別された一の紙幣や硬貨について、当該一の紙幣や硬貨の金種に関して一時保留部１２９や一時保留部１３７に一時的に保留された紙幣や硬貨の枚数と、紙幣収納カセット１４１ｂや硬貨収納カセット１４２ｂに収納された紙幣や硬貨の枚数とを合計した紙幣や硬貨の合計枚数が記憶部１４７に記憶された設定枚数に満たない場合には、この一の紙幣や硬貨を一時保留部１２９や一時保留部１３７に搬送する。一方、識別部１２６、１３５ａにより識別された一の紙幣や硬貨について、当該一の紙幣や硬貨の金種に関して一時保留部１２９や一時保留部１３７に一時的に保留された紙幣や硬貨の枚数と、紙幣収納カセット１４１ｂや硬貨収納カセット１４２ｂに収納された紙幣や硬貨の枚数とを合計した紙幣や硬貨の合計枚数が記憶部１４７に記憶された設定枚数以上である場合には、この貨幣を紙幣リジェクト口１２２や硬貨返却口１３３に搬送する。

　そして、投入された全ての紙幣や硬貨の搬送の終了後、または、一時保留部１２９および一時保留部１３７に搬送した紙幣や硬貨の金種毎の枚数と、紙幣収納カセット１４１ｂや硬貨収納カセット１４２ｂに収納された紙幣や硬貨の枚数とを合計した紙幣や硬貨の合計枚数が、記憶部１４７に記憶された紙幣や硬貨の金種毎の枚数と同一となったときに、制御部１１５は、一時保留部１２９および一時保留部１３７に一時的に保留された貨幣を貨幣収納部１４０に搬送して紙幣収納カセット１４１ｂおよび硬貨収納カセット１４２ｂに収納する。このことにより、予め設定された金種毎の枚数になるまで紙幣や硬貨が紙幣収納カセット１４１ｂおよび硬貨収納カセット１４２ｂに収納されるので、これらの紙幣収納カセット１４１ｂおよび硬貨収納カセット１４２ｂに収納された紙幣や硬貨を店舗側の操作者が店舗の釣銭として使用することができるようになる。

　一方、操作者は、紙幣処理装置１２０や硬貨処理装置１３０に投入される紙幣や硬貨を収集特定者側に引き渡ししたい場合には、操作部１４５により、紙幣処理装置１２０や硬貨処理装置１３０が上述のような紙幣や硬貨の第１の引渡処理を行うようにする。このことにより、紙幣処理装置１２０や硬貨処理装置１３０に投入された紙幣や硬貨は、貨幣収納部１４０における紙幣収納カセット１４１ａや硬貨収納カセット１４２ａに収納されることとなる。ここで、貨幣収納部１４０における紙幣収納カセット１４１ａや硬貨収納カセット１４２ａは、前述のように収集特定者側に管理権限があるので、この紙幣や硬貨は収集特定者側に引き渡されることとなる。

　なお、貨幣収納部１４０の管理権限が２つに分けられた貨幣処理機１１０の動作は、上述のものに限定されることはない。他の動作方法としては、操作者が操作部１４５により、上述の第１の引渡処理（入金処理）および第２の引渡処理（入金処理）のどちらを行うかを都度選択することができるようになっていてもよい。

Claims

　貨幣を処理する貨幣処理機であって、
　筐体と、
　前記筐体の外部から内部に貨幣を投入するための投入部と、
　前記筐体の内部にある貨幣を外部に投出するための投出部と、
　前記筐体の内部に設けられ、前記投入部および前記投出部にそれぞれ接続され、前記筐体内で貨幣を搬送するための搬送部と、
　前記搬送部に設けられ、前記投入部により前記筐体の外部から内部に投入された貨幣の識別を行う識別部と、
　前記筐体の内部において前記搬送部に接続され、前記搬送部から送られた貨幣を収納するとともに、収納した貨幣を前記搬送部に繰り出す収納部と、
　前記筐体の内部において前記搬送部に接続され、前記投入部により前記筐体の外部から内部に投入され前記識別部により識別が行われた貨幣を一時的に保留するための一時保留部と、
　前記投入部、前記搬送部、前記収納部および前記一時保留部の制御を行う制御部と、
　を備え、
　前記制御部において、出金すべき貨幣である準備貨幣の所定の貨幣量が設定されており、前記制御部は、前記投入部により前記筐体の外部から内部に貨幣を取り込み、この取り込まれた貨幣を前記一時保留部に送るような入金処理を行った後に、前記準備貨幣の所定の貨幣量分の貨幣を前記収納部から前記投出部に送るような出金処理を自動的に行うよう制御を行うことを特徴とする貨幣処理機。
　前記制御部は、前記出金処理を行った後に、前記一時保留部から前記収納部へ貨幣を送るような収納処理を自動的に行うよう制御を行うことを特徴とする請求項１記載の貨幣処理機。
　前記一時保留部は第１の管理権限下にあり、前記収納部は前記第１の管理権限下とは異なる第２の管理権限下にあり、前記一時保留部から前記収納部へ貨幣を送る際に、この貨幣の管理権限が前記第１の管理権限下から前記第２の管理権限下に移されることを特徴とする請求項２記載の貨幣処理機。
　貨幣を処理する貨幣処理機であって、
　筐体と、
　前記筐体の外部から内部に貨幣を投入するための投入部と、
　前記筐体の内部にある貨幣を外部に投出するための投出部と、
　前記筐体の内部に設けられ、前記投入部および前記投出部にそれぞれ接続され、前記筐体内で貨幣を搬送するための搬送部と、
　前記搬送部に設けられ、前記投入部により前記筐体の外部から内部に投入された貨幣の識別を行う識別部と、
　前記筐体の内部において前記搬送部に接続され、前記搬送部から送られた貨幣を収納するとともに、収納した貨幣を前記搬送部に繰り出す収納部と、
　前記投入部、前記搬送部および前記収納部の制御を行う制御部と、
　を備え、
　前記制御部において、出金すべき貨幣である準備貨幣の所定の貨幣量が設定されており、前記制御部は、前記投入部により前記筐体の外部から内部に貨幣を取り込み、この取り込まれた貨幣を前記収納部に送るような収納処理を行った後に、前記準備貨幣の所定の貨幣量分の貨幣を前記収納部から前記投出部に送るような出金処理を自動的に行うよう制御を行うことを特徴とする貨幣処理機。