以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態の貨幣処理機について説明する。本実施の形態に係る貨幣処理機は、筐体の外部から内部に取り込まれた紙幣や硬貨等からなる貨幣を貨幣収納部に収納する機能を有している。図1乃至図5は、本発明による貨幣処理機の一の実施の形態を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態における貨幣処理機を示す斜視図であり、図2は、図1に示す貨幣処理機における紙幣処理装置の構成の概略を示す概略構成図であり、図3は、図1に示す貨幣処理機における硬貨処理装置の構成の概略を示す概略構成図である。また、図4は、図1に示す貨幣処理機における制御ブロック図である。また、図5は、図1に示す貨幣処理機において、貨幣収納部を筐体から手前側に引き出したときの状態を示す斜視図である。
図1に示すように、貨幣処理機10は略直方体形状の筐体11を備えており、この筐体11には、貨幣処理機10を前方から見て右側に配置された紙幣処理装置20と、左側に配置された硬貨処理装置30とがそれぞれ左右に並ぶよう設けられている。また、貨幣処理機10の筐体11において、紙幣処理装置20および硬貨処理装置30の下方には、硬貨および紙幣をそれぞれ収納する貨幣収納部40が設けられている。ここで、貨幣処理機10のうち、紙幣処理装置20および硬貨処理装置30は店舗側の管理権限下にあり、貨幣収納部40は収集特定者側の管理権限下にある。以下、紙幣処理装置20、硬貨処理装置30および貨幣収納部40の各構成要素について詳述する。
まず、貨幣収納部40の構成について図1乃至図5、とりわけ図5を用いて説明する。図1等に示すように、貨幣処理機10の筐体11の下部に貨幣収納部40が設けられている。図5は、図1に示す貨幣処理機10において、貨幣収納部40を筐体11から手前側に引き出したときの状態を示す斜視図である。図5に示すように、貨幣収納部40は、2つの紙幣収納カセット41a、41bおよび2つの硬貨収納カセット42a、42bを有している。ここで、図2に示すように、2つの紙幣収納カセット41a、41bは紙幣処理装置20に対応して設けられており、一方、図3に示すように、2つの硬貨収納カセット42a、42bは硬貨処理装置30に対応して設けられている。
各紙幣収納カセット41a、41bには、紙幣処理装置20の一時保留部29(後述)に搬送された紙幣がこの一時保留部29から送られるようになっている。また、各硬貨収納カセット42a、42bには、硬貨処理装置30の一時保留部37(後述)に搬送された硬貨が送られるようになっている。
そして、例えば売上金の回収業務を行う収集特定者によって、貨幣収納部40が筐体11から手前側に引き出され、各収納カセット41a、41b、42a、42bが貨幣収納部40の本体部分40aから取り出され、収集特定者が各収納カセット41a、41b、42a、42b自体を回収するようになっている。より具体的には、図2に示すように、紙幣収納カセット41a、41bには、それぞれ規制ユニット41c、41dが設けられている。そして、規制ユニット41cは、本体部分40aからの紙幣収納カセット41aの取り出しを規制するようになっており、規制ユニット41dは、本体部分40aからの紙幣収納カセット41bの取り出しを規制するようになっている。また、図3に示すように、各硬貨収納カセット42a、42bには、それぞれ規制ユニット42c、42dが設けられている。そして、規制ユニット42cは、本体部分40aからの硬貨収納カセット42aの取り出しを規制するようになっており、規制ユニット42dは、本体部分40aからの硬貨収納カセット42bの取り出しを規制するようになっている。
前述のように、貨幣収納部40の管理権限は収集特定者側にある。このため、貨幣収納部40を筐体11から引き出したり、各規制ユニット41c、41d、42c、42dによる各収納カセット41a、41b、42a、42bの取り出しの規制を解除したりすることはできるのは収集特定者に限定される。すなわち、店舗側の操作者は、貨幣収納部40を筐体11から引き出したり、各規制ユニット41c、41d、42c、42dによる各収納カセット41a、41b、42a、42bの取り出しの規制を解除したりすることはできないようになっている。
より具体的に説明すると、図5に示すように、貨幣収納部40の本体部分40aの上面において、各収納カセット41a、41b、42a、42bの近傍には、それぞれ鍵穴41e、41f、42e、42fが設けられている。各鍵穴41e、41f、42e、42fの構成は互いに異なるようになっており、それぞれ異なる構成の鍵が各鍵穴41e、41f、42e、42fに差し込まれるようになっている。そして、各鍵穴41e、41f、42e、42fにそれぞれ鍵を差し込み、この鍵を回すことにより、各規制ユニット41c、41d、42c、42dを動作させ、本体部分40aからの各収納カセット41a、41b、42a、42bの取り出しの規制を解除するようになっている。この場合、各鍵穴41e、41f、42e、42fに対応する各鍵は全て収集特定者が有している。
あるいは、各規制ユニット41c、41d、42c、42dは、例えば自動ロック機構からなり、収集特定者が持つIDカードによって収集特定者のID情報を確認してその収集特定者に権限があるか否かを上位装置(後述)に照会し、収集特定者に権限があることが確認された場合に自動ロック機構の解除を行うようになっていてもよい。
なお、紙幣や硬貨を収納するために貨幣収納部40に設置されるものはカセットに限定されることはない。例えば、複数の収納袋を貨幣収納部40に設置し、貨幣収納部40において紙幣や硬貨を各収納袋に収納させるようにしてもよい。
次に、紙幣処理装置20の構成について図1および図2を用いて説明する。図1および図2に示すように、紙幣処理装置20は、当該紙幣処理装置20内への紙幣の取り込みを行う紙幣投入口21と、紙幣処理装置20内に取り込まれた紙幣のうち偽札や識別不能な紙幣等のリジェクトを行う紙幣リジェクト口22と、紙幣処理装置20内に取り込まれた紙幣のうち貨幣収納部40に収納されない紙幣を紙幣処理装置20の外部に返却する紙幣返却口23とを備えている。また、図2に示すように、紙幣処理装置20の内部には、紙幣投入口21に投入された紙幣を紙幣処理装置20内で搬送する搬送部25が設けられている。
紙幣投入口21は、操作者により1または束状態の複数の紙幣が短手方向に一括して投入されるよう構成されている。図1に示すように、この紙幣投入口21には手動で開閉可能な紙幣投入口カバー28が配設されており、紙幣投入口カバー28が開いたときのみに操作者は紙幣を紙幣投入口21に投入することができるようになっている。図2に示すように、紙幣投入口21は搬送部25に接続されており、紙幣投入口21に投入された1または束状態の複数の紙幣は、1枚ずつ繰り出されて搬送部25で搬送されるようになっている。
紙幣リジェクト口22は、図2に示すように搬送部25に接続されており、紙幣投入口21により紙幣処理装置20内に取り込まれた紙幣のうち後述する識別部26によりリジェクトすべき紙幣であると識別された紙幣等が搬送部25から送られるようになっている。操作者はこの紙幣リジェクト口22に送られた紙幣を取り出すことができるようになっている。紙幣リジェクト口22にはカバー(図示せず)が設けられており、待機時にはこのカバーは開状態となっており、処理時にはこのカバーは閉状態となる。
紙幣返却口23には、図2に示すように、搬送部25に接続された一時保留部29が設けられている。この一時保留部29には、搬送部25から紙幣が送られて集積されるようになっている。また、紙幣返却口23には開閉可能な扉24が設けられている。一時保留部29にある紙幣を返却する場合には、一時保留部29の装置前面側の壁面が開いて、操作者は扉24から紙幣を取り出すことができるようになっている。扉24は、紙幣が取れる状態になれば、自動的に開くようになっている。なお、後述のように、一時保留部29内に保留された紙幣は、操作者により紙幣返却口23から取り出される代わりに、貨幣収納部40内に配置された紙幣収納カセット41a、41bに送られる場合もある。
搬送部25は、紙幣処理装置20の内部で紙幣を1枚ずつ順次搬送する機能を有している。具体的には、搬送部25において、紙幣は一対のベルト間に挟まれて搬送されるようになっている。また、図2に示すように、搬送部25に設けられた搬送路は様々な箇所で分岐するようになっており、この搬送路が分岐する箇所には分岐部材(図示せず)が設けられている。各分岐部材は例えば分岐爪からなり、これらの分岐部材はそれぞれ後述する制御部15により制御されるようになっている。図2に示すように、搬送部25は、紙幣投入口21に投入された紙幣を紙幣リジェクト口22または一時保留部29に搬送するよう構成されている。
図2に示すように、搬送部25には、当該搬送部25で搬送される紙幣の識別を1枚ずつ行う識別部26が設置されている。この識別部26は、搬送部25で搬送される紙幣の金種、真偽、正損等を識別するようになっている。具体的には、識別部26は、磁気センサや光学センサを有し、これらのセンサにより紙幣の金種や真偽等を1枚ずつ識別するようになっている。識別部26による紙幣の識別結果は後述する制御部15に送られるようになっている。
一時保留部29は、前述のように紙幣返却口23に設けられており、図2に示すように搬送部25に接続されている。この一時保留部29には、紙幣投入口21に投入された紙幣が搬送部25により送られるようになっており、搬送部25から送られた紙幣を束状態で複数保留することができるようになっている。ここで、操作者により扉24が開かれることによって操作者は一時保留部29内に収納された紙幣を取り出すことができるようになっている。また、一時保留部29の底面には開閉が可能な底板が設けられ、紙幣は底板に載せられるようになっている。ここで、図2に示すように、一時保留部29は、紙幣収納カセット41aの上方の位置(図2における実線の位置)と、紙幣収納カセット41bの上方の位置(図2における二点鎖線の位置)との間で往復移動するようになっている。そして、一時保留部29に搬送された紙幣を紙幣収納カセット41aに収納させる際には、一時保留部29を紙幣収納カセット41aの上方の位置に移動させ、一方、一時保留部29に搬送された紙幣を紙幣収納カセット41bに収納させる際には、一時保留部29を紙幣収納カセット41bの上方の位置に移動させるようになっている。
一時保留部29にある紙幣を紙幣収納カセット41aまたは紙幣収納カセット41bに収納させる動作について以下に説明する。ここでは、一時保留部29にある紙幣を紙幣収納カセット41aに収納させる動作について説明するが、一時保留部29にある紙幣を紙幣収納カセット41bに収納させる動作についても同様である。一時保留部29にある紙幣を紙幣収納カセット41aに収納させる際に、まず、この紙幣収納カセット41aに設けられたステージが上昇し、ステージ上の紙幣の上面が一時保留部29の底板のすぐ下まで移動する。そして、底板が水平に移動して開き、一時保留部29内の紙幣はステージ上の紙幣の上に落下する。そして、ステージ上の紙幣を上から押さえ部材で押さえた状態で、ステージが下降し、紙幣を紙幣収納カセット41aへ収納するようになっている。
次に、硬貨処理装置30の構成について図1および図3を用いて説明する。図1および図3に示すように、硬貨処理装置30は、当該硬貨処理装置30内への硬貨の取り込みを行う硬貨投入口31と、硬貨処理装置30内に取り込まれた硬貨のうち後述する識別部35aにより識別不能な硬貨等のリジェクト硬貨の返却を行うとともに硬貨処理装置30内に取り込まれた硬貨のうち貨幣収納部40に収納されない硬貨を硬貨処理装置30の外部に返却する硬貨返却口33とを備えている。硬貨投入口31には、開閉可能な硬貨投入口カバー31aが配置されている。また、硬貨返却口33には、硬貨返却ボックス33aが引き出し可能に配置されている。
硬貨処理装置30の内部には、硬貨投入口31から投入された硬貨を受け入れて貯留し、硬貨を1枚ずつ繰り出すとともに、下部を開放して変形硬貨や異物等の落下放出を可能とした貯留繰出部34が設けられている。この貯留繰出部34の下部には開閉機構(図示せず)が設けられており、この開閉機構が開状態となったときに、貯留繰出部34内の変形硬貨や異物等は下方に落下放出されるようになっている。
また、硬貨処理装置30の内部には、貯留繰出部34から繰り出された硬貨を1枚ずつ搬送し、搬送中に識別部35aで硬貨の金種、真偽、正損等を識別し、その識別結果に基づき硬貨を搬送先別に分岐させる搬送部35が設けられている。また、搬送部35は、硬貨返却ボックス33aに接続され、当該搬送部35からリジェクトされた硬貨等を硬貨返却ボックス33aに返却する。搬送部35は、貯留繰出部34に接続された上流側端部から筐体11の奥側に向かって(図3の右方に向かって)延設されるとともに、筐体11の奥側で上側に折り返されて筐体11の前側に向かって(図3の左方に向かって)延設され、硬貨返却ボックス33a内に硬貨を落下可能に配設されている。
搬送部35における、識別部35aよりも搬送方向下流側の途中位置には、識別部35aで正規の硬貨であると識別された硬貨を搬送部35から分岐させる分岐部材35bが設けられている。この分岐部材35bは、識別部35aによる硬貨の識別結果に基づいて搬送部35の搬送通路内に進退し、後述する一時保留部37に搬送される硬貨を搬送部35から分岐させるとともに、リジェクトする硬貨をそのまま搬送部35で搬送させる。分岐部材35bの位置には、当該分岐部材35bで分岐された硬貨を受け入れて下方へ案内するシュート35cの上端部が配置されている。シュート35cの下端部は、第1の収納位置a(後述)に位置する一時保留部37の上方に配置されている。
図3に示すように、硬貨処理装置30の内部には、搬送部35から送り出された硬貨を一時的に保留することが可能な一時保留部37が設けられている。この一時保留部37は、上下方向に開口された枠状に形成されており、筐体11内の貯留繰出部34の下側に配置されるとともに、駆動機構37bによって筐体11の奥行き方向に往復移動するようになっている(すなわち、一時保留部37は図3の左右方向に往復移動するようになっている)。なお、一時保留部37は、貯留繰出部34の硬貨収納容量より多い硬貨を収納することができるようになっている。
一時保留部37の停止位置は、硬貨収納カセット42aの上方の位置である第1の収納位置a、貯留繰出部34の下方の位置である排除位置b、硬貨返却ボックス33aの上方の位置である返却位置c、および硬貨収納カセット42bの上方の位置である第2の収納位置dの4位置となっている(図3参照)。一時保留部37の各位置a〜dは、位置検知手段37cによって検知されるようになっている。一時保留部37は第1の収納位置aを定位置としている。
また、一時保留部37の下側には、この一時保留部37の下面を閉塞する底板37aが配設されている。この底板37aは略水平方向に延びており、駆動機構37fによって筐体11の奥行き方向に往復移動するようになっている(すなわち、底板37aは図3の左右方向に往復移動するようになっている)。底板37aの停止位置は、第1の収納位置aにある一時保留部37の真下の位置である第1の位置m、および第2の収納位置dにある一時保留部37の真下の位置である第2の位置nの2位置となっている(図3参照)。底板37aの各位置m、nは、位置検知手段37gによって検知されるようになっている。底板37aは第1の位置mを定位置としている。
また、第1の収納位置aに位置する一時保留部37の下側には、この一時保留部37内の硬貨を硬貨収納カセット42aに送るための硬貨収納シュート37dが設けられている。また、第2の収納位置dに位置する一時保留部37の下側には、この一時保留部37内の硬貨を硬貨収納カセット42bに送るための硬貨収納シュート37eが設けられている。
一時保留部37が定位置(第1の収納位置a)にあるとともに、底板37aが定位置(第1の位置m)にある場合には、図3に示すように、一時保留部37は、搬送部35からシュート35cを介して送り出されてくる硬貨を受け取り、この受け取った硬貨を一時的に保留するようになっている。一方、一時保留部37が定位置(第1の収納位置a)にあるとともに、底板37aが第2の位置nにある場合には、搬送部35からシュート35cを介して送り出されてくる硬貨は、一時保留部37を通過して(すなわち、一時保留部37で一時的に保留されることなく)そのまま硬貨収納シュート37dに送られ、最終的に硬貨収納カセット42aに送られることとなる。
このように、一時保留部37が定位置(第1の収納位置a)にあるとともに、底板37aが第2の位置nにある場合には、搬送部35からシュート35cを介して一時保留部37に送り出されてくる硬貨を硬貨収納カセット42aにダイレクト入金(一時的な保留を行わないような入金)することができる。
一時保留部37が排除位置bにあるとともに、底板37aが定位置(第1の位置m)にある場合には、この一時保留部37は、貯留繰出部34から落下放出される硬貨を受け入れる。この際に、一時保留部37が底板37aから部分的に外れることにより一時保留部37の底面が部分的に開口され、この一時保留部37に受け入れられた硬貨の一部は下方にある硬貨返却ボックス33aに落下放出されるようになっている。さらに、落下放出終了後に、一時保留部37が返却位置cに移動し、全ての硬貨を硬貨返却ボックス33aに落下放出して返却する。
一時保留部37が第1の収納位置aから返却位置cに移動した場合には、一時保留部37が底板37aから外れることにより一時保留部37の底面が開口され、この一時保留部37に搬送された硬貨は下方にある硬貨返却ボックス33aに落下することとなる。
また、底板37aが定位置(第1の位置m)にとどまったまま、一時保留部37が第1の収納位置aから第2の収納位置dに移動した場合には、一時保留部37が底板37aから外れることにより一時保留部37の底面が開口され、この一時保留部37に搬送された硬貨は下方にある硬貨収納シュート37eに落下し、最終的に硬貨収納カセット42bに送られることとなる。
次に、貨幣処理機10に設けられた他の様々な機構について説明する。図1に示すように、貨幣処理機10の筐体11の上面には、操作者が貨幣処理機10の制御部15(後述)に対して様々な指令を行うための操作部45、および貨幣処理機10における貨幣の処理内容等を表示する表示部44が設けられている。ここで、操作部45は、例えばテンキーや確定キー、スタートキー、取消キーならびにリセットキーを有しており、操作者が各キーを押すことにより貨幣処理機10の制御部15に対して様々な指令を行うことができるようになっている。
より具体的には、操作者は、操作部45により、紙幣処理装置20の紙幣投入口21や硬貨処理装置30の硬貨投入口31に投入された紙幣や硬貨等の貨幣に関する取引における貨幣の取引金額を入力することができるようになっている。この場合、操作部45によって操作者により入力される貨幣の取引金額は、実際に操作者により紙幣処理装置20の紙幣投入口21や硬貨処理装置30の硬貨投入口31に投入される貨幣の金額と同じ金額となっている。また、操作者は、操作部45により、紙幣処理装置20の紙幣投入口21や硬貨処理装置30の硬貨投入口31に投入される紙幣や硬貨等の貨幣に関する取引の取引情報を入力することができるようになっている。ここで、取引情報とは、例えば、操作者のID情報等、操作者に関する情報や操作を行った日時、店舗の情報、レジの情報等のことをいう。このように、操作部45は、紙幣処理装置20の紙幣投入口21や硬貨処理装置30の硬貨投入口31に投入された貨幣に関する取引における貨幣の取引金額を入力するための取引金額入力手段や、当該取引の取引情報を入力するための取引情報入力手段としての機能を果たすようになっている。
表示部44は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)から構成されている。また、貨幣処理機10の筐体11の上面には、貨幣処理機10における貨幣の処理内容等を印字するプリンタ43が設けられている。
また、筐体11の前面には、操作者の操作権限の確認を行うためのカードリーダ46が設けられている。カードリーダ46は、操作者が携帯するIDカードのID情報の読み取りを行うようになっている。また、筐体11の内部には、様々な情報を記憶する記憶部47が設けられている。
次に、貨幣処理機10における各構成要素の制御を行う制御部15について図4を用いて説明する。制御部15は貨幣処理機10の筐体11内に設置されている。
図4に示すように、制御部15には、紙幣処理装置20の各構成要素(例えば、搬送部25、識別部26、扉24、一時保留部29等)、硬貨処理装置30の各構成要素(例えば、貯留繰出部34、搬送部35、識別部35a、一時保留部37の駆動機構37b、一時保留部37の位置検知手段37c、底板37aの駆動機構37f、底板37aの位置検知手段37g等)、表示部44、操作部45、プリンタ43、カードリーダ46、記憶部47等が接続されている。
制御部15には、紙幣処理装置20の識別部26による紙幣の識別結果や、硬貨処理装置30の識別部35aによる硬貨の識別結果、位置検知手段37cによる一時保留部37の位置情報、位置検知手段37gによる底板37aの位置情報等が送られるようになっている。また、制御部15には、カードリーダ46により読み取られた操作者のIDカードのID情報が送られるようになっている。また、制御部15は、紙幣処理装置20や硬貨処理装置30の各構成要素を制御したり、表示部44、操作部45、プリンタ43を制御したりするようになっている。さらに、制御部15は、当該制御部15に接続されたインターフェース16を介して、例えば回収業務を行う収集業者が設置した上位装置と通信可能となっている。また、制御部15には記憶部47が接続され、上述の識別結果や各種の情報等が記憶されるようになっている。
次に、このような構成からなる貨幣処理機10の動作について説明する。
上述のような貨幣処理機10の動作としては、インターフェース確認モード、運用モードおよび保守メンテナンスモードの3つのモードがある。操作者は、操作部45により、インターフェース確認モード、運用モードあるいは保守メンテナンスモードを選択することができる。
インターフェース確認モードとは、貨幣処理機10の初期状態において、すなわち貨幣処理機10が導入された際に、インターフェース16により貨幣処理機10が上位装置等に通信接続されるか否かを確認するためのモードである。このようなインターフェース確認モードにおいて、インターフェース16により貨幣処理機10が上位装置等に通信接続されたときには、上位装置等から貨幣処理機10に様々な設定データが送られる。
運用モードには、貨幣処理機10が上位装置等に通信接続された状態のオンラインモードと、貨幣処理機10と外部との通信接続が遮断された状態のオフラインモードの2つの状態がある。オンラインモードには開店モードと閉店モードの2つのモードがあり、開店モードにおいて、操作者は後述する引渡処理等の様々な処理を行うことができる。また、この開店モードにおいては、例えば売上金の回収業務を行う収集業者の収集特定者によって、貨幣収納部40の各カセット41a、41b、42a、42b自体の回収を行うこともできる。一方、閉店モードにおいては、収集特定者による貨幣収納部40の各カセット41a、41b、42a、42bの回収のみしか行うことができない。なお、これらの開店モードおよび閉店モードの切り換えは、時間帯等による自動での切り替えも可能である。一方、オフラインモードにおいては、上位装置等に対する情報の伝達は行われず、納金処理等の処理結果は貨幣処理機10内に設けられた記憶媒体(図示せず)に記憶されることとなる。上述の各モードの選択は、操作者が操作部45により選択することができる。
保守メンテナンスモードの際に、保守員が貨幣処理機10の紙幣処理装置20や硬貨処理装置30の各構成要素の保守メンテナンスを行う。このような保守メンテナンスは、貨幣処理機10が設置された現場で行ってもよく、貨幣処理機10を工場等に持ち帰ってこの工場内で行ってもよい。
ここで、筐体11の外部から内部に取り込まれた紙幣や硬貨等からなる貨幣を貨幣収納部40に収納するような、貨幣の引渡処理(入金処理)の詳細について以下に説明する。本実施の形態においては、複数の取引に係る引渡処理が行われる場合について説明する。なお、「引渡処理」とは、貨幣処理機10内の金銭を店舗から収集業者へ引き渡す処理という意味で用いており、上述のような貨幣処理機10では、筐体11の外部から内部に取り込まれた貨幣が貨幣収納部40に収納されたことにより、貨幣が引き渡されたものとしている。そして、引渡処理が行われた貨幣は、その管理権限が店舗側から収集特定者側(収集業者側)に移されるようになっている。
まず、第1の操作者により、第1の店舗の売上金等に係る貨幣について貨幣処理機10への入金処理(第1の取引)が行われる。より具体的には、第1の操作者は、操作部45により、第1の店舗の売上金等に係る貨幣の取引金額を入力するとともに、取引情報(例えば、第1の操作者のID情報等、第1の操作者に関する情報や操作を行った日時、店舗の情報、レジの情報等)を入力する。これらの入力内容は記憶部47に記憶される。そして、第1の操作者が紙幣処理装置20の紙幣投入口21に紙幣を投入したときには、紙幣投入口21に投入された紙幣は1枚ずつ搬送部25により搬送され、識別部26において紙幣の識別が行われる。識別部26により正常な紙幣であると識別された紙幣は、その金額が取引金額以下である場合は搬送部25により一時保留部29に送られる。一方、その金額が取引金額より大きい場合や識別部26により偽札等のリジェクト紙幣であると識別された紙幣は、搬送部25により紙幣リジェクト口22に送られる。
また、第1の操作者が硬貨処理装置30の硬貨投入口31に硬貨を投入したときには、硬貨投入口31に投入された硬貨はまず貯留繰出部34に送られ、この貯留繰出部34から硬貨が1枚ずつ搬送部35に繰り出される。この際に、一時保留部37は第1の収納位置aに位置しており、底板37aは第1の位置mに位置している。搬送部35に繰り出された硬貨は識別部35aにおいて識別が行われる。識別部35aにより正常な硬貨であると識別された硬貨は、その金額が取引金額以下である場合は、分岐部材35bにより搬送部35の搬送通路から分岐され、シュート35cを介して一時保留部37に送られる。一方、その金額が取引金額より大きい場合や識別部35aにより識別不能な硬貨等のリジェクト硬貨であると識別された硬貨は、搬送部35の搬送通路から分岐させられることなく、そのまま硬貨返却ボックス33aに送られる。このとき、硬貨返却ボックス33aではなく、搬送路を設けて貯留繰出部34に送るようにしてもよい。
上述のように紙幣処理装置20や硬貨処理装置30への紙幣や硬貨の入金処理を開始し、第1の操作者によって操作部45により入力された貨幣の取引金額から、最初に一時保留部29または一時保留部37に搬送された紙幣または硬貨の金額を減算することにより、差額を算出する。そして、引き続いて識別部26や識別部35aにより識別された一の紙幣や硬貨の金額がこの差額以下である場合には、この紙幣や硬貨を一時保留部29や一時保留部37に搬送するとともに、この差額から、この紙幣や硬貨の金額を減算することにより新たな差額を算出する。このような処理を差額が0になるまで繰り返す。すなわち、第1の操作者によって操作部45により入力された貨幣の取引金額が例えば5000円であり、一時保留部29および一時保留部37に搬送された紙幣および硬貨の合計金額が4960円である場合に、差額は40円(=5000円−4960円)となる。ここで、貯留繰出部34から10円玉が搬送部35に繰り出され、この10円玉が搬送部35により搬送され、識別部35aにより識別された場合には、この10円玉は一時保留部37に送られるとともに、差額は30円となる。一方、識別部26や識別部35aにより識別された一の紙幣や硬貨の金額がこの差額より大きい場合には、この紙幣や硬貨を紙幣リジェクト口22や硬貨返却口33に搬送する。すなわち、前述のように差額が40円であるときに、貯留繰出部34から50円玉が搬送部35に繰り出され、この50円玉が搬送部35により搬送され、識別部35aにより識別された場合には、この50円玉は硬貨返却口33に送られることとなる。このような処理を差額が0になるまで繰り返す。
そして、第1の操作者によって操作部45により入力された貨幣の取引金額から、一時保留部29および一時保留部37に搬送された紙幣および硬貨の合計金額を減算した差額が0となったときに、制御部15は、表示部44において入金処理の確定を行うか否かのメッセージを表示させ、第1の操作者に対して入金処理の確定の入力を要求する。そして、第1の操作者が操作部45の「確定キー」を押した場合には、制御部15は、一時保留部29および一時保留部37に搬送された紙幣および硬貨の合計金額と、第1の操作者によって操作部45により入力された取引情報とを関連づけて記憶部47に記憶させる。また、差額が0となり、第1の操作者が操作部45の「確定キー」を押したときに、一時保留部29および一時保留部37に搬送された紙幣および硬貨を貨幣収納部40に搬送し、紙幣を紙幣収納カセット41a、41bに収納するとともに硬貨を硬貨収納カセット42a、42bに収納するような入金処理を行う。
本実施の形態においては、第1の操作者が第1の店舗の売上金等に係る貨幣について貨幣処理機10への入金処理を行う間に、第2の操作者により第2の店舗の売上金等に係る貨幣について操作部45により取引金額が入力されるとともにこの第2の店舗の売上金等に係る貨幣についての取引の取引情報が入力されると、第1の店舗の売上金等に係る貨幣に関連する入金処理の後に、第2の店舗の売上金等に係る貨幣に関連する入金処理(第2の取引)が自動的に行われる。
より具体的には、第1の店舗の売上金等に係る貨幣について貨幣処理機10への入金処理が行われている最中に、第2の操作者が第2の店舗の売上金等に係る紙幣や硬貨を紙幣処理装置20の紙幣投入口21や硬貨処理装置30の硬貨投入口31に予め投入しておき、しかも、第2の操作者が、操作部45により、第2の店舗の売上金等に係る貨幣の取引金額を入力するとともに、取引情報(例えば、第2の操作者のID情報等、第2の操作者に関する情報や操作を行った日時、店舗の情報、レジの情報等)を入力した場合には、以下の動作が行われる。なお、第1の操作者および第2の操作者が第1の店舗の売上金等に係る貨幣および第2の店舗の売上金等に係る貨幣を同時に貨幣処理機10に投入してもよいし、順次、別々のタイミングで投入してもよい。
第1の操作者によって操作部45により入力された貨幣の取引金額から、一時保留部29および一時保留部37に搬送された紙幣および硬貨の合計金額を減算した差額が0となり、第1の操作者が操作部45の「確定キー」を押したときに、一時保留部29および一時保留部37に搬送された紙幣および硬貨を貨幣収納部40に搬送するが、その後、引き続き、第2の店舗の売上金等に係る貨幣の入金処理が行われる。この場合、第2の操作者によって操作部45により入力された貨幣の取引金額から、一時保留部29および一時保留部37に搬送された紙幣および硬貨の合計金額を減算することにより、差額を算出する。そして、差額が0となったときに、制御部15は、表示部44において入金処理の確定を行うか否かのメッセージを表示させ、第2の操作者に対して入金処理の確定の入力を要求する。そして、第2の操作者が操作部45の「確定キー」を押した場合には、制御部15は、一時保留部29および一時保留部37に搬送された紙幣および硬貨の合計金額と、第2の操作者によって操作部45により入力された取引情報とを関連づけて記憶部47に記憶させる。また、差額が0となり、第2の操作者が操作部45の「確定キー」を押したときに、一時保留部29および一時保留部37に搬送された紙幣および硬貨を貨幣収納部40に搬送し、紙幣を紙幣収納カセット41a、41bに収納するとともに硬貨を硬貨収納カセット42a、42bに収納するような入金処理を行う。
取引金額の入力において、紙幣と硬貨について別個に入力してもよく、あるいは紙幣と硬貨の合計の取引金額を入力してもよい。また、紙幣または硬貨のいずれか一方のみについて取引金額を入力して、紙幣処理装置20または硬貨処理装置30のいずれか一方のみに上述の入金処理を行わせてもよい。また、取引金額の代わりに投入した金種毎の枚数を入力してもよい。
また、紙幣処理装置20と硬貨処理装置30で同時に入金処理を行ってもよく、または、紙幣処理装置20による入金処理の終了後に硬貨処理装置30による入金処理を行ってもよい。あるいは、硬貨処理装置30による入金処理の終了後に紙幣処理装置20による入金処理を行ってもよい。
紙幣と硬貨の合計の取引金額が入力された場合には、差額が所定の金額になったときに紙幣処理装置20または硬貨処理装置30のうちいずれか一方の装置による入金処理を停止して、他方の装置による入金処理によって差額を0とする。例えば、差額が紙幣の最低額金種より小さくなったときに紙幣処理装置20による入金処理を停止して、硬貨処理装置30による入金処理を続ける。または、差額が紙幣の最低額金種の金額の倍数と一致するときに硬貨処理装置30による入金処理を停止して、紙幣処理装置20による入金処理を続ける。
また、投入された紙幣や硬貨を全て処理しても差額が0にならないとき、または、差額以上の金額の貨幣が所定枚数以上連続して搬送されてきたときは、差額を表示して処理を停止する。このとき、「確定キー」を押すと一時保留部29、37にある貨幣は収納され、「取消キー」を押すと返却される。
以上のように本実施の形態の貨幣処理機10によれば、紙幣や硬貨等の貨幣の入金処理を行う際に、操作者によって操作部45(取引金額入力手段)により入力された貨幣の取引金額から、一時保留部29および一時保留部37に搬送された紙幣および硬貨の合計金額を減算することにより差額を算出する。そして、識別部26、35aにより識別された一の紙幣や硬貨の金額が前述の差額以下である場合にはこの紙幣や硬貨を一時保留部29や一時保留部37に搬送し、識別部26、35aにより識別された一の紙幣や硬貨の金額が前述の差額より大きい場合にはこの貨幣を紙幣リジェクト口22や硬貨返却口33に搬送する。そして、差額が0となったときに、制御部15は、一時保留部29および一時保留部37に搬送された貨幣の金額と、操作部45(取引情報入力手段)により入力された取引情報とを関連づけて記憶部47に記憶させる。また、この際に、一時保留部29および一時保留部37に搬送された紙幣や硬貨を貨幣収納部40に搬送して紙幣収納カセット41a、41bや硬貨収納カセット42a、42bに収納する。このことにより、一の取引において、操作部45(取引金額入力手段)に入力された取引金額分の貨幣を貨幣収納部40に収納させることができるとともに、貨幣収納部40に収納される前に一時保留部29および一時保留部37に搬送された紙幣および硬貨の合計金額と、操作部45(取引情報入力手段)により入力された取引情報とを関連づけて記憶させることができる。
また、第1の取引(例えば、第1の店舗の売上金等の貨幣に関する取引)に関連する入金処理を行う間に、第2の操作者により、第2の取引における貨幣(例えば、第2の店舗の売上金等の貨幣)の取引金額が操作部45(取引金額入力手段)により入力されるとともに第2の取引の取引情報が操作部45(取引情報入力手段)により入力されると、第1の取引に関連する入金処理の後に、第2の取引に関連する入金処理を自動的に行うようになっている。このため、第1の操作者および第2の操作者は、各取引における入金処理に関する貨幣を同時に投入することができる。あるいは、第1の操作者が第1の店舗の売上金等の貨幣を貨幣処理機10に投入した後に、第2の操作者が第2の店舗の売上金等の貨幣を貨幣処理機10に投入するようにしてもよい。
また、第1の店舗の売上金等の貨幣について入金処理を行う間に、次の入金処理(第2の店舗の売上金等の貨幣の入金処理)に関する操作を操作部45で行うとともに貨幣を予め貨幣処理機10に投入しておけば、先の入金処理の終了後に自動的に次の入金処理が始まる。このことにより、第2の取引を行う第2の操作者は第1の取引に係る先の入金処理の終了を待たずに貨幣処理機10から離れることができる。したがって、第2の取引を行う第2の操作者は、先の入金処理が行われる間、待ち時間を有効に使うことができる。
また、制御部15は、表示部44における表示等により、貨幣の入金処理を行う間に差額が0となったときに操作者に対して確定の入力を要求し、例えば操作部45の「確定キー」を押すことにより確定の入力が行われた後に、一時保留部29および一時保留部37に搬送された紙幣および硬貨の合計金額と、取引情報とを関連づけて記憶部47に記憶させるとともに、一時保留部29および一時保留部37に搬送された紙幣および硬貨を貨幣収納部40に搬送するようになっている。このことにより、操作者は、入金処理の結果を都度確認することができる。
なお、本実施の形態による貨幣処理機10は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。例えば、紙幣投入口21や硬貨投入口31に投入された紙幣や硬貨に関する取引における貨幣の取引金額を入力するための取引金額入力手段や、紙幣投入口21や硬貨投入口31に投入された紙幣や硬貨に関する取引の取引情報を入力するための取引情報入力手段としては、上述のような操作部45に限定されることはない。具体的には、例えば、カードリーダ46により操作者のIDカードのID情報を読み取らせ、この操作者のID情報を、取引に係る情報としてもよい。また、上位装置からインターフェース16を介して、制御部15に対して貨幣の取引金額や取引情報が入力されるようになっていてもよい。
次に、本実施の形態に係る貨幣処理機の他の態様について図6を用いて説明する。図6は、本実施の形態における他の貨幣処理機を示す斜視図である。
図6に示す貨幣処理機10aは、図1に示す貨幣処理機10の横に、追加の紙幣処理装置60および追加の硬貨処理装置70が設けられたものである。
図6に示す貨幣処理機10aにおいて、追加の紙幣処理装置60の構成は図2に示す紙幣処理装置20の構成と略同一となっている。また、追加の硬貨処理装置70の構成は図3に示す硬貨処理装置30の構成と略同一となっている。図6において、追加の紙幣処理装置60における参照符号61は紙幣投入口を示し、参照符号62は紙幣リジェクト口を示し、参照符号63は紙幣返却口を示し、参照符号64は扉を示し、参照符号68は紙幣投入口カバーを示している。ここで、追加の紙幣処理装置60の紙幣投入口61、紙幣リジェクト口62、紙幣返却口63、扉64および紙幣投入口カバー68は、それぞれ、紙幣処理装置20の紙幣投入口21、紙幣リジェクト口22、紙幣返却口23、扉24および紙幣投入口カバー28と略同一の構成となっている。
また、図6において、追加の硬貨処理装置70における参照符号71は硬貨投入口を示し、参照符号71aは硬貨投入口カバーを示し、参照符号73は硬貨返却口を示し、参照符号73aは硬貨返却ボックスを示している。ここで、追加の硬貨処理装置70の硬貨投入口71、硬貨投入口カバー71a、硬貨返却口73、硬貨返却ボックス73aは、それぞれ、硬貨処理装置30の硬貨投入口31、硬貨投入口カバー31a、硬貨返却口33、硬貨返却ボックス33aと略同一の構成となっている。
また、追加の紙幣処理装置60や追加の硬貨処理装置70の下方にも、硬貨および紙幣をそれぞれ収納する貨幣収納部40が設けられている。
なお、追加の紙幣処理装置60や追加の硬貨処理装置70には、表示部44、操作部45、プリンタ43およびカードリーダ46は設けられていない。また、貨幣処理機10aに設けられた制御部15は、紙幣処理装置20や硬貨処理装置30の各構成要素のみならず、追加の紙幣処理装置60や追加の硬貨処理装置70の各構成要素の制御も行うようになっている。
次に、図6に示すような構成からなる貨幣処理機10aの動作について説明する。
図6に示すような貨幣処理機10aにおいては、紙幣処理装置20および硬貨処理装置30をまとめて第1の貨幣処理ユニットとみなしている。また、追加の紙幣処理装置60および追加の硬貨処理装置70をまとめて第2の貨幣処理ユニットとみなしている。そして、第1の操作者が第1の店舗の売上金等の貨幣を貨幣処理機10aに入金処理している最中に、第2の操作者が第2の店舗の売上金等の貨幣を貨幣処理機10aに入金処理しようとする場合、第1の店舗の売上金等の貨幣を第1の貨幣処理ユニットに入金し、第2の店舗の売上金等の貨幣を第2の貨幣処理ユニットに入金する。
より詳細に述べると、制御部15は、紙幣処理装置20、硬貨処理装置30、追加の紙幣処理装置60、追加の硬貨処理装置70のうち、貨幣が投入された装置(例えば、紙幣処理装置20)における筐体11内へ投入された貨幣の金額を当該装置に設けられた識別部(例えば、識別部26)により計数し、この計数された貨幣の金額と、操作者によって操作部45等により入力された取引情報(例えば、操作者のID情報等、操作者に関する情報や操作を行った日時、店舗の情報、レジの情報等)とを関連づけて記憶部47に記憶させる。また、この際に、貨幣が投入された装置における一時保留部(例えば、一時保留部29)に搬送された貨幣を貨幣収納部40に送り、この貨幣収納部40で収納させる。
また、図6に示すような貨幣処理機10aにおいて、第1の取引(例えば、第1の店舗の売上金等の貨幣)に関連する入金処理を第1の操作者が第1の貨幣処理ユニット(すなわち、紙幣処理装置20および硬貨処理装置30)で行う間に、第2の操作者により、例えば、第2の店舗の売上金等の貨幣が予め第2の貨幣処理ユニット(すなわち、追加の紙幣処理装置60および追加の硬貨処理装置70)に投入されるとともに、第2の取引(例えば、第2の店舗の売上金等の貨幣)の取引情報が操作部45(取引情報入力手段)により入力されると、貨幣の入金処理を追加の紙幣処理装置60や追加の硬貨処理装置70で自動的に行うようになっている。
このため、複数の入金処理に関する貨幣を、取引毎に複数の処理装置20、30、60、70の各々に同時にまたは順次投入することができ、第1の店舗の売上金等の貨幣について第1の貨幣処理ユニット(紙幣処理装置20や硬貨処理装置30)で入金処理を行う間に、次の入金処理(第2の店舗の売上金等の貨幣の入金処理)に関する操作を操作部45で行うとともに貨幣を予め第2の貨幣処理ユニット(追加の紙幣処理装置60や追加の硬貨処理装置70)に投入しておけば、紙幣処理装置20や硬貨処理装置30における先の入金処理が行われている最中でも、自動的に次の入金処理が追加の紙幣処理装置60や硬貨処理装置70で始まる。このことにより、第2の取引を行う第2の操作者は第1の取引に係る先の入金処理の終了を待たずに貨幣処理機10から離れることができる。したがって、第2の取引を行う第2の操作者は、先の入金処理が行われる間、待ち時間を有効に使うことができる。
なお、図6に示すような、硬貨処理装置が2つ設けられた貨幣処理機においては、次のような運用を行ってもよい。
図6に示す貨幣処理機10aにおいて、以下の2つの運用方法が設定されている。第1の運用方法においては、硬貨処理装置30および追加の硬貨処理装置70を同時に使用する。この第1の運用方法は、1取引あたりの硬貨の取引量が、各々の硬貨処理装置30、70の硬貨投入口31、71の投入口容量(例えば、400枚)を超える場合が多く、かつ、1取引あたりの硬貨の取引量が、貨幣収納部40の硬貨収納カセット42a、42bの容量(例えば、4500枚)よりも少ない場合に用いられる。このような運用方法によれば、硬貨処理装置30および追加の硬貨処理装置70を同時に使用することにより、一度に2つの硬貨処理装置30、70の硬貨投入口31、71の合計の投入口容量(例えば、800枚)の硬貨の処理を行うことができ、硬貨の処理時間を短縮することができる。
また、第2の運用方法においては、まず硬貨処理装置30を使用し、硬貨処理装置30に対応する硬貨収納カセット42a、42bがそれぞれフルになった場合に追加の硬貨処理装置70を使用する。この第2の運用方法は、1取引あたりの硬貨の取引量が、各々の硬貨処理装置30、70の硬貨投入口31、71の投入口容量(例えば、400枚)よりも小さい場合が多く、かつ、各々の硬貨処理装置30、70に対応する貨幣収納部40の硬貨収納カセット42a、42bがフルになりやすい場合に用いられる。このような運用方法によれば、硬貨処理装置30および追加の硬貨処理装置70を同時に使用することがないため、硬貨の取引量が各々の硬貨収納カセット42a、42bの容量よりも小さい場合には、回収される硬貨収納カセットの数を少なくすることができる。
上述のような第1の運用方法および第2の運用方法のうちどちらの運用方法を行うかは、貨幣処理機10の設置時に予め設定される。あるいは、操作者が操作部45により第1の運用方法および第2の運用方法のうちどちらの運用方法を行うかを都度選択することができるようになっていてもよい。あるいは、通常は第1の運用方法および第2の運用方法のうちいずれか一方の運用方法が行われ、操作者は操作部45により他の運用方法に切り換えることができるようになっていてもよい。
また、図7および図8に示すように、硬貨処理装置が2つ設けられた貨幣処理機10aにおいて、これらの2つの硬貨処理装置30、70の上に硬貨振り分けユニット80が設けられていてもよい。図7は、硬貨処理装置30、70の上に硬貨振り分けユニット80が設けられたときの状態を示す貨幣処理機10aの斜視図であり、図8は、硬貨振り分けユニット80の縦断面図である。
図7に示すように、硬貨振り分けユニット80は略直方体形状の箱体から構成されており、当該箱体の上面は開口している。硬貨振り分けユニット80には例えば1000枚以上の硬貨を投入することができるようになっている。また、硬貨処理装置30や追加の硬貨処理装置70には、硬貨投入口カバー31a、71aが設けられておらず、硬貨投入口31、71の上に直接的に硬貨振り分けユニット80が位置している。
図8に示すように、硬貨振り分けユニット80の内部には、搬送ベルト82が設けられている。この搬送ベルト82は、外部から硬貨振り分けユニット80の受入部分80aに受け入れられた硬貨を、硬貨処理装置30の硬貨投入口31または追加の硬貨処理装置70の硬貨投入口71のいずれか一方に送るようになっている。図8の矢印に示すように、搬送ベルト82は正逆両方向に循環移動するようになっている。
また、図8に示すように、搬送ベルト82の上方には、仕切部材84、86がそれぞれ設けられている。各仕切部材84、86は、通常は図8の実線に示すような位置にあり、硬貨振り分けユニット80の外部から搬送ベルト82上の受入部分80aに投入された硬貨は、これらの仕切部材84、86により硬貨投入口31や硬貨投入口71に入らないようになっている。一方、硬貨振り分けユニット80から硬貨処理装置30の硬貨投入口31に硬貨を投入する場合は、仕切部材86が図8の点線の位置に移動するとともに、搬送ベルト82が時計回りに循環移動し、搬送ベルト82上の受入部分80aにある硬貨は右方向に搬送させられて最終的に硬貨投入口31に投入される。また、硬貨振り分けユニット80から追加の硬貨処理装置70の硬貨投入口71に硬貨を投入する場合は、仕切部材84が図8の点線の位置に移動するとともに、搬送ベルト82が反時計回りに循環移動し、搬送ベルト82上の受入部分80aにある硬貨は左方向に搬送させられて最終的に硬貨投入口71に投入される。上述のような搬送ベルト82、各仕切部材84、86の動作は、制御部15により制御されるようになっている。
以上のように、2つの硬貨処理装置30、70の上に硬貨振り分けユニット80を設けた場合には、1つの硬貨振り分けユニット80に投入された硬貨を、2つの硬貨処理装置30、70のうちいずれか一方に振り分けることができる。このため、2つの硬貨処理装置30、70の各々の硬貨投入口31、71に操作者がそれぞれ硬貨を投入する場合と比較して、硬貨の入金作業にかかる時間を短くすることができる。また、硬貨振り分けユニット80の受入部分80aの容量を大きくすることにより(例えば1000枚以上とすることにより)、大量の硬貨を一括して処理することができる。また、硬貨振り分けユニット80により硬貨処理装置30、70への硬貨の振り分けが自動的に行われるので、硬貨投入のタイミングを操作者が判断しなくともよい。また、操作者が直接的に各硬貨投入口31、71に硬貨を投入することがなくなるため、各硬貨投入口31、71に大量に硬貨が投入されることを防止することができる。
また、図1に示す貨幣処理機10や図6に示す貨幣処理機10aの更に他の態様について以下に説明する。
まず、比較例として、従来の貨幣処理機について以下に説明する。例えば、多数のレジが設けられたショッピングセンター等の店舗では、1台または複数台の、特開2001−67526号公報に開示されるような貨幣処理機が設置されており、店舗の閉店後にレジにて余剰となった売上金に係る貨幣を貨幣処理機に入金する作業が行われている。この際に、貨幣処理機には、紙幣や硬貨等の貨幣の収納を行う貨幣収納部が設けられており、この貨幣収納部の管理権限は、収集業者の収集特定者側にある。そして、貨幣が貨幣収納部に収納されると、収集特定者に貨幣が引き渡されるようになっている。収集特定者は、この貨幣収納部に引き渡された貨幣を適宜回収するようになっている。また、上述のような貨幣の引渡処理に伴って、収集特定者側に引き渡された貨幣の金額が、店舗側の所定の銀行口座に入金される等の処理が行われる。
一方で、店舗の各レジでは、翌日の営業日に備え、釣銭を準備しておく必要がある。この釣銭となる紙幣や硬貨は、収集業者に注文することにより店舗まで配達されるようになっている。配達された釣銭は、両替機等に装填され、レジ内の貨幣と両替を行うことにより、各レジで釣銭が準備されることとなる。
しかしながら、前述のように、店舗の閉店後にレジにて余剰となった売上金は全額収集特定者により回収されるとともに、釣銭用の貨幣が収集業者から配達されるため、必要な釣銭額が大きくなり、この釣銭用の貨幣の配達に要する手数料も大きくなるという問題がある。また、貨幣処理機の貨幣収納部が満杯になるのを防ぐために、収集特定者による売上金の貨幣の回収作業を頻繁に行わなければならないという問題がある。
このときに、貨幣収納部に収納された貨幣の一部を釣銭として使用することができれば、店舗側としては、配達される釣銭用の貨幣の数量を減らすことができ、釣銭用の貨幣の配達に要する手数料を減らすことができる。また、収集業者側としても、貨幣収納部に収納された貨幣の一部が釣銭として使用されるため、貨幣収納部が満杯になるまでに要する期間が延び、貨幣の回収の頻度を減らすことができる。
このように、貨幣収納部に収納された貨幣の一部を釣銭として使用することができるようにするために、本実施の形態においては、図1に示す貨幣処理機10や図6に示す貨幣処理機10aにおいて、これらの貨幣処理機に入金される貨幣を、店舗で釣銭として使用する店舗側の貨幣と、収集特定者側の貨幣とに区別して貨幣収納部40に収納することができるようにする。
より具体的には、図1に示す貨幣処理機10において、貨幣収納部40の2つの紙幣収納カセット41a、41bのうち、一方の紙幣収納カセット41aを収集特定者側の管理権限下のものとし、他方の紙幣収納カセット41bを店舗側の管理権限下のものとする。同様に、貨幣収納部40の2つの硬貨収納カセット42a、42bのうち、一方の硬貨収納カセット42aを収集特定者側の管理権限下のものとし、他方の硬貨収納カセット42bを店舗側の管理権限下のものとする。
より詳細には、店舗側の操作者と、収集特定者との両者が、図5に示すように貨幣収納部40の本体部分40aを筐体11から手前側に引き出すことができるようにする。そして、収集特定者は、紙幣収納カセット41aおよび硬貨収納カセット42aの近傍にそれぞれ設けられた鍵穴41e、42eに対応する鍵を有し、店舗側の操作者は、紙幣収納カセット41bおよび硬貨収納カセット42bの近傍にそれぞれ設けられた鍵穴41f、42fに対応する鍵を有するようにする。このことにより、収集特定者は、筐体11から紙幣収納カセット41aおよび硬貨収納カセット42aを取り出すことができるようになり、一方、店舗側の操作者は、筐体11から紙幣収納カセット41bおよび硬貨収納カセット42bを取り出すことができるようになる。各収納カセット41a、42aは、少なくとも筐体11から引き出されたとき、中の貨幣が取り出し不可能な状態に入口等がロックされている。
次に、上述のような貨幣収納部40の管理権限が2つに分けられた貨幣処理機10において、当該貨幣処理機10に入金される貨幣を、店舗で釣銭として使用する店舗側の貨幣と、収集特定者側の貨幣とに区別して貨幣収納部40に収納する動作について以下に説明する。
最初に、紙幣処理装置20に投入される紙幣を、収集特定者側の紙幣として貨幣収納部40に収納するような紙幣の第1の引渡処理(入金処理)について以下に説明する。紙幣の第1の引渡処理が行われる際に、操作者が紙幣処理装置20の紙幣投入口21に紙幣を投入したときには、紙幣投入口21に投入された紙幣は1枚ずつ搬送部25により搬送され、識別部26において紙幣の識別が行われる。識別部26により正常な紙幣であると識別された場合には、この紙幣は搬送部25により一時保留部29に送られる。一方、識別部26により偽札等のリジェクト紙幣であると識別された紙幣は、搬送部25により紙幣リジェクト口22に送られる。
上述のような紙幣の処理が行われた後、操作者が操作部45における「確定キー」を押し、引渡確定処理の指令を制御部15に送ったときには、一時保留部29に保留された紙幣は、貨幣収納部40の紙幣収納カセット41aに送られる。
次に、紙幣処理装置20に投入される紙幣を、店舗で釣銭として使用する店舗側の紙幣として貨幣収納部40に収納するような紙幣の第2の引渡処理(入金処理)について以下に説明する。紙幣の第2の引渡処理が行われる際に、操作者が紙幣処理装置20の紙幣投入口21に紙幣を投入したときには、紙幣投入口21に投入された紙幣は1枚ずつ搬送部25により搬送され、識別部26において紙幣の識別が行われる。識別部26により正常な紙幣であると識別された場合には、この紙幣は搬送部25により一時保留部29に送られる。一方、識別部26により偽札等のリジェクト紙幣であると識別された紙幣は、搬送部25により紙幣リジェクト口22に送られる。
上述のような紙幣の処理が行われた後、操作者が操作部45における「確定キー」を押し、引渡確定処理の指令を制御部15に送ったときには、一時保留部29は紙幣収納カセット41bの上方の位置に移動し、この一時保留部29に保留された紙幣は、貨幣収納部40の紙幣収納カセット41bに送られる。
次に、硬貨処理装置30に投入される硬貨を、収集特定者側の硬貨として貨幣収納部40に収納するような硬貨の第1の引渡処理(入金処理)について以下に説明する。硬貨の第1の引渡処理が行われる際に、操作者が硬貨処理装置30の硬貨投入口31に硬貨を投入したときには、硬貨投入口31に投入された硬貨はまず貯留繰出部34に送られ、この貯留繰出部34から硬貨が1枚ずつ搬送部35に繰り出される。この際に、一時保留部37は第1の収納位置aに位置しており、底板37aは第1の位置mに位置している。搬送部35に繰り出された硬貨は識別部35aにおいて識別が行われる。識別部35aにより正常な硬貨であると識別された場合は、この硬貨は分岐部材35bにより搬送部35の搬送通路から分岐され、シュート35cを介して一時保留部37に送られる。一方、識別部35aにより識別不能な硬貨等のリジェクト硬貨であると識別された硬貨は、搬送部35の搬送通路から分岐させられることなく、そのまま硬貨返却口33に送られる。
上述のような硬貨の処理が行われた後、操作者が操作部45における「確定キー」を押し、引渡確定処理の指令を制御部15に送ったときには、駆動機構37fによって底板37aが第1の位置mから第2の位置nに移動させられることにより、一時保留部37の底部が開口状態となるので、一時保留部37に搬送された硬貨が貨幣収納部40の硬貨収納カセット42aに落下し、この硬貨収納カセット42a内に収納される。
次に、硬貨処理装置30に投入される硬貨を、店舗で釣銭として使用する店舗側の硬貨として貨幣収納部40に収納するような硬貨の第2の引渡処理(入金処理)について以下に説明する。硬貨の第2の引渡処理が行われる際に、操作者が硬貨処理装置30の硬貨投入口31に硬貨を投入したときには、硬貨投入口31に投入された硬貨はまず貯留繰出部34に送られ、この貯留繰出部34から硬貨が1枚ずつ搬送部35に繰り出される。この際に、一時保留部37は第1の収納位置aに位置しており、底板37aは第1の位置mに位置している。搬送部35に繰り出された硬貨は識別部35aにおいて識別が行われる。識別部35aにより正常な硬貨であると識別された場合は、この硬貨は分岐部材35bにより搬送部35の搬送通路から分岐され、シュート35cを介して一時保留部37に送られる。一方、識別部35aにより識別不能な硬貨等のリジェクト硬貨であると識別された硬貨は、搬送部35の搬送通路から分岐させられることなく、そのまま硬貨返却口33に送られる。
上述のような硬貨の処理が行われた後、操作者が操作部45における「確定キー」を押し、引渡確定処理の指令を制御部15に送ったときには、駆動機構37bによって一時保留部37が第1の収納位置aから第2の収納位置dに移動させられることにより、一時保留部37の底部が開口状態となるので、一時保留部37に搬送された硬貨が貨幣収納部40の硬貨収納カセット42bに落下し、この硬貨収納カセット42b内に収納される。
また、制御部15において、貨幣収納部40の紙幣収納カセット41bや硬貨収納カセット42bに収納されるべき、店舗で釣銭として使用する店舗側の紙幣や硬貨の金種毎の枚数が予め設定されており、記憶部47には、この紙幣や硬貨の金種毎の枚数を記憶するようになっている。
上述のように、貨幣収納部40の管理権限が2つに分けられた貨幣処理機10において、貨幣収納部40における紙幣収納カセット41aおよび硬貨収納カセット42aが第1の管理権限下(収集特定者側の管理権限下)にあり、貨幣収納部40における紙幣収納カセット41bおよび硬貨収納カセット42bが第2の管理権限下(店舗側の管理権限下)にある。ここで、制御部15は、識別部26、35aによる識別結果に基づいて、一時保留部29および一時保留部37に搬送した紙幣や硬貨の金種毎の枚数を計数するようになっている。そして、識別部26、35aにより識別された一の紙幣や硬貨について、当該一の紙幣や硬貨の金種に関して一時保留部29や一時保留部37に一時的に保留された紙幣や硬貨の枚数と、紙幣収納カセット41bや硬貨収納カセット42bに収納された紙幣や硬貨の枚数とを合計した紙幣や硬貨の合計枚数が記憶部47に記憶された設定枚数に満たない場合には、この一の紙幣や硬貨を一時保留部29や一時保留部37に搬送する。一方、識別部26、35aにより識別された一の紙幣や硬貨について、当該一の紙幣や硬貨の金種に関して一時保留部29や一時保留部37に一時的に保留された紙幣や硬貨の枚数と、紙幣収納カセット41bや硬貨収納カセット42bに収納された紙幣や硬貨の枚数とを合計した紙幣や硬貨の合計枚数が記憶部47に記憶された設定枚数以上である場合には、この貨幣を紙幣リジェクト口22や硬貨返却口33に搬送する。
そして、投入された全ての紙幣や硬貨の搬送の終了後、または、一時保留部29および一時保留部37に搬送した紙幣や硬貨の金種毎の枚数と、紙幣収納カセット41bや硬貨収納カセット42bに収納された紙幣や硬貨の枚数とを合計した紙幣や硬貨の合計枚数が、記憶部47に記憶された紙幣や硬貨の金種毎の枚数と同一となったときに、制御部15は、一時保留部29および一時保留部37に一時的に保留された貨幣を貨幣収納部40に搬送して紙幣収納カセット41bおよび硬貨収納カセット42bに収納する。このことにより、予め設定された金種毎の枚数になるまで紙幣や硬貨が紙幣収納カセット41bおよび硬貨収納カセット42bに収納されるので、これらの紙幣収納カセット41bおよび硬貨収納カセット42bに収納された紙幣や硬貨を店舗側の操作者が店舗の釣銭として使用することができるようになる。
一方、操作者は、紙幣処理装置20や硬貨処理装置30に投入される紙幣や硬貨を収集特定者側に引き渡ししたい場合には、操作部45により、紙幣処理装置20や硬貨処理装置30が上述のような紙幣や硬貨の第1の引渡処理を行うようにする。このことにより、紙幣処理装置20や硬貨処理装置30に投入された紙幣や硬貨は、貨幣収納部40における紙幣収納カセット41aや硬貨収納カセット42aに収納されることとなる。ここで、貨幣収納部40における紙幣収納カセット41aや硬貨収納カセット42aは、前述のように収集特定者側に管理権限があるので、この紙幣や硬貨は収集特定者側に引き渡されることとなる。
なお、貨幣収納部40の管理権限が2つに分けられた貨幣処理機10の動作は、上述のものに限定されることはない。他の動作方法としては、操作者が操作部45により、上述の第1の引渡処理(入金処理)および第2の引渡処理(入金処理)のどちらを行うかを都度選択することができるようになっていてもよい。
また、図6に示す貨幣処理機10aにおいて、この貨幣処理機10aに入金される貨幣を、店舗で釣銭として使用する店舗側の貨幣と、収集特定者側の貨幣とに区別して貨幣収納部40に収納することができるようにし、貨幣収納部40に収納された貨幣の一部を釣銭として使用することができるようにしてもよい。このような態様について以下に説明する。
具体的には、図6に示す貨幣処理機10aにおいて、紙幣処理装置20および硬貨処理装置30からなる第1の貨幣処理ユニットを、収集特定者側の管理権限下のものとし、追加の紙幣処理装置60および追加の硬貨処理装置70からなる第2の貨幣処理ユニットを、店舗側の管理権限下のものとする。そして、貨幣収納部40において、紙幣処理装置20および硬貨処理装置30にそれぞれ対応する紙幣収納カセット41a、41bおよび硬貨収納カセット42a、42bを収集特定者側の管理権限下のものとし、追加の紙幣処理装置60および追加の硬貨処理装置70にそれぞれ対応する紙幣収納カセット(図示せず)および硬貨収納カセット(図示せず)を店舗側の管理権限下のものとする。
また、制御部15において、貨幣収納部40に収納されるべき、店舗で釣銭として使用する店舗側の紙幣や硬貨の金種毎の枚数が予め設定されており、記憶部47には、この紙幣や硬貨の金種毎の枚数を記憶するようになっている。
上述のような、第1の貨幣処理ユニットが収集特定者側の管理権限下にあり、第2の貨幣処理ユニットが店舗側の管理権限下にある貨幣処理機10aによれば、追加の紙幣処理装置60および追加の硬貨処理装置70において、制御部15は、これらの追加の紙幣処理装置60および追加の硬貨処理装置70に設けられた識別部による識別結果に基づいて、追加の紙幣処理装置60や追加の硬貨処理装置70の一時保留部に搬送した紙幣や硬貨の金種毎の枚数を計数するようになっている。そして、識別部により識別された一の紙幣や硬貨について、当該一の紙幣や硬貨の金種に関して一時保留部に一時的に保留された紙幣や硬貨の枚数と、紙幣収納カセットや硬貨収納カセットに収納された紙幣や硬貨の枚数とを合計した紙幣や硬貨の合計枚数が記憶部47に記憶された設定枚数に満たない場合には、この一の紙幣や硬貨を一時保留部に搬送する。一方、追加の紙幣処理装置60や追加の硬貨処理装置70において、識別部により識別された一の紙幣や硬貨について、当該一の紙幣や硬貨の金種に関して一時保留部に一時的に保留された紙幣や硬貨の枚数と、紙幣収納カセットや硬貨収納カセットに収納された紙幣や硬貨の枚数とを合計した紙幣や硬貨の合計枚数が記憶部47に記憶された設定枚数以上である場合には、この貨幣を追加の紙幣処理装置60の紙幣リジェクト口や追加の硬貨処理装置70の硬貨リジェクト部に搬送する。
そして、投入された全ての紙幣や硬貨の搬送の終了後、または、追加の紙幣処理装置60や追加の硬貨処理装置70の一時保留部に搬送した紙幣や硬貨の金種毎の枚数と、紙幣収納カセットや硬貨収納カセットに収納された紙幣や硬貨の枚数とを合計した紙幣や硬貨の合計枚数が、記憶部47に記憶された紙幣や硬貨の金種毎の枚数と同一となったときに、制御部15は、この一時保留部に一時的に保留された貨幣を貨幣収納部40に搬送して、追加の紙幣処理装置60や追加の硬貨処理装置70に対応する紙幣収納カセットおよび硬貨収納カセットに収納する。このことにより、予め設定された金種毎の枚数になるまで紙幣や硬貨が紙幣収納カセットおよび硬貨収納カセットに収納されるので、これらの紙幣収納カセットおよび硬貨収納カセットに収納された紙幣や硬貨を店舗側の操作者が店舗の釣銭として使用することができるようになる。
一方、操作者は、収集特定者側に引き渡ししようとする紙幣や硬貨については、これらの紙幣や硬貨を紙幣処理装置20や硬貨処理装置30に投入する。このことにより、紙幣処理装置20や硬貨処理装置30に投入された紙幣や硬貨は、貨幣収納部40における、紙幣処理装置20や硬貨処理装置30に対応する紙幣収納カセット41a、41bや硬貨収納カセット42a、42bに収納されることとなる。ここで、紙幣処理装置20や硬貨処理装置30に対応する紙幣収納カセット41a、41bや硬貨収納カセット42a、42bは、前述のように収集特定者側に管理権限があるので、この紙幣や硬貨は収集特定者側に引き渡されることとなる。
また、制御部15は、追加の紙幣処理装置60および追加の硬貨処理装置70において、一時保留部に一時的に保留された紙幣や硬貨の各金種における枚数と、紙幣収納カセットや硬貨収納カセットに収納された紙幣や硬貨の枚数とを合計した紙幣や硬貨の合計枚数が、記憶部47に記憶された紙幣や硬貨の各金種における設定枚数に満たない場合には、この設定枚数に満たない金種の紙幣や硬貨について、紙幣処理装置20や硬貨処理装置30を制御することにより、紙幣処理装置20の紙幣リジェクト口22や硬貨処理装置30の硬貨返却口33に紙幣や硬貨を不足枚数分だけ送るようになっていてもよい。この場合、追加の紙幣処理装置60および追加の硬貨処理装置70において釣銭用の貨幣として不足する紙幣や硬貨を、紙幣処理装置20の紙幣リジェクト口22や硬貨処理装置30の硬貨返却口33により操作者に返却することができる。このため、店舗側で必要とする紙幣や硬貨、すなわち追加の紙幣処理装置60および追加の硬貨処理装置70の一時保留部に一時的に保留された枚数では不足するような紙幣や硬貨が、紙幣処理装置20や硬貨処理装置30において収集特定者側に引き渡されてしまうことを防止することができる。
次に、図1に示す貨幣処理機10の更に他の態様について以下に説明する。
図1や図3に示すような硬貨処理装置30において、硬貨処理装置30内に変形硬貨や異物等(以下、まとめて異物という)が取り込まれたときに、硬貨投入口31から貯留繰出部34に送られた異物を硬貨処理装置30の外部に排出するような異物返却処理が行われる。このような異物返却処理は、貯留繰出部34から搬送部35への硬貨の繰出不良が発生したときに自動的に行われるようになっている。ここで、繰出不良とは、貯留繰出部34内に残留する硬貨または異物があり、かつ、一定時間、貯留繰出部34から搬送部35へ硬貨の繰り出しが行われない状態のことをいう。
硬貨処理装置30における硬貨の異物返却処理について以下に説明する。貯留繰出部34から搬送部35への硬貨の繰出不良が発生した場合には、制御部15において貯留繰出部34に異物等があるとみなされる。この場合、一時保留部37内に硬貨があるか否かが判断される。ここで、一時保留部37に硬貨がある場合には、一時保留部37にある硬貨を貨幣収納部40に収納するか硬貨処理装置30の外部に返却する必要がある。従来の硬貨処理装置では、一時保留部37内に硬貨がある場合には、この一時保留部37内の硬貨を無条件で貨幣収納部40に送り、硬貨収納カセット42a、42bに収納していた。しかしながら、このような硬貨の収納時に、メッセージの表示等、操作者に対する報知を何ら行っていないため、一時保留部37内にある硬貨がなぜ硬貨収納カセット42a、42bに自動的に収納されたのかが操作者には理解できないおそれがある。また、操作者は、貯留繰出部34から搬送部35への硬貨の繰出不良が発生したときに、一時保留部37にある硬貨を貨幣収納部40に収納することを望まない場合がある。
このため、本実施の形態の硬貨処理装置30では、貯留繰出部34から搬送部35への硬貨の繰出不良が発生した場合には、貯留繰出部34から搬送部35への硬貨の繰り出しを中止する。そして、一時保留部37内に硬貨がある場合には、表示部44における表示により、硬貨の繰出不良が発生したことを操作者に報知する。ここで、表示部44において、操作者に対して一時保留部37内にある硬貨を収納するか返却するかの指示を催促する。具体的には、表示部44に、「硬貨繰出不良発生 一時保留部の硬貨を収納する場合は確定キーを押してください」という表示がなされる。
そして、操作者が操作部45の「確定キー」を押すと、一時保留部37内にある硬貨が貨幣収納部40に送られ、硬貨収納カセット42a、42bに収納される。一方、操作者が操作部45の「取消キー」や「リセットキー」を押すと、一時保留部37内にある硬貨が硬貨返却ボックス33aに送られる。そして、操作者は、硬貨返却口33から硬貨返却ボックス33aを引き出すことにより、硬貨返却ボックス33a内の硬貨を取り出すことができるようになる。
その後、一時保留部37内にある硬貨の収納または返却が行われて、一時保留部37に硬貨がなくなると、駆動機構37bによって一時保留部37が排除位置bに移動させられる。その後、貯留繰出部34の下部に設けられた開閉機構が開状態となることにより、貯留繰出部34から異物が下方に落下し、一時保留部37に送られる。その後、駆動機構37bによって一時保留部37が排除位置bから返却位置cに移動させられることにより、一時保留部37に搬送された異物が硬貨返却ボックス33aに落下する。操作者は、硬貨返却口33から硬貨返却ボックス33aを引き出すことにより、硬貨返却ボックス33a内の異物を取り出すことができるようになる。
このような硬貨処理装置30によれば、貯留繰出部34から搬送部35への硬貨の繰出不良が発生した場合には、このことが表示部44に表示されることによって、硬貨の繰出不良が発生したことを操作者は容易に理解することができるようになる。また、この際に、一時保留部37にある硬貨を操作者の意図通りに貨幣収納部40に収納するか硬貨処理装置30の外部に返却することができる。