以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図7は、本実施の形態による貨幣処理機を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による貨幣処理機の外観を示す斜視図であり、図2および図3は、それぞれ、図1に示す貨幣処理機における紙幣処理装置および硬貨処理装置の内部構成を示す構成図である。また、図4は、図1に示す貨幣処理機における制御系の構成を示す機能ブロック図であり、図5は、図1に示す貨幣処理機の記憶部に記憶されている、各収納繰出部に残置されるべき貨幣の合計金額である残置合計金額および各収納繰出部に残置されるべき貨幣の金種毎の枚数である金種毎残置枚数に係る情報を示す表である。また、図6および図7は、図1に示す貨幣処理機において貨幣送り処理が行われるときの動作を示すフローチャートである。
本実施の形態による貨幣処理機は、例えば運送会社の営業所等に設置されるようになっており、例えば朝にこれから配送品の配送を行おうとする複数の配送ドライバーによって当該貨幣処理機から釣銭準備金としての貨幣が出金されるとともに、例えば夕方や夜に物品の配送を終えた配送ドライバーによって新規の配送品の配送料や代金引換等に係る売上金としての貨幣が貨幣処理機に入金されるようになっている。ここで、配送ドライバーは、顧客から新規の配送品の配送料や代金引換としての貨幣を受け取った際に、朝に営業所等で受け取った釣銭準備金としての貨幣の中から釣銭としての貨幣を顧客に返すようになっている。なお、本実施の形態では、各配送ドライバーによって朝に貨幣処理機から釣銭準備金として出金される貨幣の合計金額および金種毎の枚数の構成は予め決められている。また、昼間には、警送会社等の回収業者により貨幣処理機から売上金としての貨幣が回収されるようになっている。このように、本実施の形態による貨幣処理機は、売上金としての貨幣の入金処理や、釣銭準備金等の貨幣の出金処理、および貨幣の回収業務を行う警送会社等の回収業者へ売上金等の貨幣を引き渡す引渡処理等を行うようになっている。
図1に示すように、本実施の形態による貨幣処理機10は略直方体形状の筐体11を備えており、この筐体11の内部には、貨幣処理機10を前方から見て上部において左右に並ぶよう配置された紙幣処理装置20および硬貨処理装置30が設けられている。ここで、紙幣処理装置20および硬貨処理装置30は、それぞれ、紙幣や硬貨の入金処理および出金処理を行うようになっている。また、貨幣処理機10の筐体11の内部において、紙幣処理装置20および硬貨処理装置30の下方には、硬貨および紙幣の収納を行う貨幣収納部40(回収部)が設けられている。ここで、貨幣処理機10のうち、紙幣処理装置20および硬貨処理装置30は店舗側の管理権限下にあり、貨幣収納部40は警送会社等の回収業者側の管理権限下にある。
紙幣処理装置20の構成の詳細について図1および図2を用いて説明する。図2は、図1に示す紙幣処理装置20の内部構成を右側から見たときの図である。なお、図2における筐体11の左側の側面が紙幣処理装置20の前面側(すなわち、紙幣処理装置20を手前側から見たときの正面側)となっており、図2における右方向が筐体11の奥行き方向となっている。図1および図2に示すように、紙幣処理装置20は、当該紙幣処理装置20内への紙幣の取り込みを行う紙幣投入口21と、紙幣処理装置20内に取り込まれた紙幣のうち偽札や識別不能な紙幣等のリジェクトを行う紙幣リジェクト口22と、紙幣処理装置20内に取り込まれた紙幣のうち貨幣収納部40に収納されない紙幣を紙幣処理装置20の外部に返却する紙幣返却口23とを備えている。また、図2に示すように、紙幣処理装置20の内部には、紙幣投入口21に投入された紙幣を紙幣処理装置20内で搬送する搬送部25が設けられている。
紙幣投入口21は、操作者により1または束状態の複数の紙幣が短手方向に一括して投入されるよう構成されている。図1に示すように、この紙幣投入口21には紙幣ステージ28が配設されている。紙幣ステージ28は、待機時には上昇位置にありこの際には操作者は紙幣投入口21に紙幣を投入することができず、一方、紙幣の入金処理時や補充処理時には下降して操作者が紙幣投入口21に紙幣を投入することができるように構成されている。また、図2に示すように、紙幣投入口21は搬送部25に接続されており、紙幣投入口21に投入された1または束状態の複数の紙幣は、1枚ずつ搬送部25に繰り出されて当該搬送部25で搬送されるようになっている。また、紙幣リジェクト口22は、図2に示すように搬送部25に接続されており、紙幣投入口21により紙幣処理装置20内に取り込まれた紙幣のうち後述する識別部26によりリジェクトすべき紙幣であると識別された紙幣や識別部26で識別することができなかった紙幣が搬送部25から送られるようになっている。操作者はこの紙幣リジェクト口22に送られた紙幣を筐体11の前面側から取り出すことができるようになっている。
図2に示すように、紙幣返却口23には、搬送部25に接続された紙幣保留部29が設けられている。この紙幣保留部29には、搬送部25から紙幣が送られるようになっている。また、紙幣返却口23には開閉可能な扉24が設けられている。紙幣保留部29にある紙幣を返却する場合には、扉24が開いて操作者は紙幣返却口23から紙幣を取り出すことができるようになっている。扉24は、紙幣の取り出しが可能な状態になれば、自動的に開くようになっている。なお、後述のように、紙幣保留部29内に保留された紙幣は、操作者により紙幣返却口23から取り出される代わりに、貨幣収納部40内に配置された紙幣回収カセット41(後述)に送られる場合もある。
搬送部25は、紙幣処理装置20の内部で紙幣を1枚ずつ順次搬送する機能を有している。具体的には、搬送部25において、紙幣は一対のベルト間に挟まれて搬送路に沿って搬送されるようになっている。また、図2に示すように、搬送部25に設けられた搬送路は様々な箇所で分岐するようになっており、この搬送路が分岐する箇所には分岐部材(図示せず)が設けられている。各分岐部材は例えば分岐爪からなり、これらの分岐部材はそれぞれ後述する制御部15により制御されるようになっている。また、搬送部25には、当該搬送部25で搬送される紙幣の識別を行う識別部26が設けられている。この識別部26は、搬送部25で搬送される紙幣の金種、真偽、正損、表裏、新旧、搬送状態等を識別するようになっている。識別部26による紙幣の識別結果は後述する制御部15に送られるようになっている。
紙幣処理装置20の内部には、複数(例えば3つ)の収納繰出部27(27a〜27c)が横方向に並ぶよう設けられている。ここで、本実施の形態では、各収納繰出部27(27a〜27c)は、金種毎に紙幣を収納するようになっている。具体的には、3つの収納繰出部27のうち一番左側の収納繰出部27aには千円紙幣が収納され、左から2番目の収納繰出部27bには二千円紙幣および五千円紙幣が混合状態で収納され、左から3番目の収納繰出部27cには一万円紙幣が収納されるようになっている。図2に示すように、各収納繰出部27は、正逆両方向に回転可能なドラム27pをそれぞれ有しており、各ドラム27pに帯状のテープが巻き取られるようになっている。搬送部25から各収納繰出部27に送られた紙幣は、テープに押さえられた状態で1枚ずつ順次ドラム27pにより巻き取られて収納される。また、ドラム27pを逆転させると、巻き取られた紙幣が1枚ずつ搬送部25に送られる。このように、各収納繰出部27は、搬送部25から送られた紙幣を収納するとともに収納されている紙幣を1枚ずつ搬送部25に繰出可能となっている。
また、紙幣処理装置20の内部において搬送部25には入金一時保留部50が接続されている。入金一時保留部50は、搬送部25から送られた紙幣を収納するとともに収納されている紙幣を搬送部25に1枚ずつ繰出可能となっている。具体的には、図2に示すように、入金一時保留部50は、正逆両方向に回転可能なドラム50pをそれぞれ有しており、ドラム50pに帯状のテープが巻き取られるようになっている。搬送部25から入金一時保留部50に送られた紙幣は、テープに押さえられた状態で1枚ずつ順次ドラム50pにより巻き取られて収納される。また、ドラム50pを逆転させると、巻き取られた紙幣が1枚ずつ搬送部25に送られる。このような入金一時保留部50は、各収納繰出部27の右隣に配置されている。
紙幣保留部29は、前述のように紙幣返却口23に設けられており、図2に示すように搬送部25に接続されている。この紙幣保留部29には、紙幣投入口21に投入された紙幣や、各収納繰出部27に収納された紙幣が搬送部25により送られるようになっており、搬送部25から送られた紙幣を束状態で複数保留することができるようになっている。図2に示すように、紙幣保留部29には一時保留板29aおよび押さえ部材29bが設けられている。ここで、紙幣保留部29にある紙幣を返却する場合には、前述のように、筐体11の前面側における扉24が開いて操作者は紙幣返却口23から紙幣を取り出すことができるようになっている。扉24は、紙幣の取り出しが可能な状態になれば、自動的に開くようになっている。また、紙幣保留部29に紙幣が保留される際に、紙幣は一時保留板29aに載せられるようになっており、紙幣保留部29にある紙幣を紙幣回収カセット41に収納させる際には、この紙幣回収カセット41に設けられたステージ41aが紙幣保留部29の一時保留板29aに載せられた紙幣を迎えにいき、一時保留板29aが図2の矢印方向に退避することにより紙幣をステージ41a上に載せて紙幣保留部29から紙幣回収カセット41へ下降し、そしてステージ41a上の紙幣を上から押さえ部材29bで押さえて紙幣回収カセット41へ収納するようになっている。
次に、硬貨処理装置30の構成について図1および図3を用いて説明する。図3は、図1に示す硬貨処理装置30の内部構成を右側から見たときの図である。なお、図3における筐体11の左側の側面が硬貨処理装置30の前面側(すなわち、硬貨処理装置30を手前側から見たときの正面側)となっており、図3における右方向が筐体11の奥行き方向となっている。
図1および図3に示すように、硬貨処理装置30は、当該硬貨処理装置30内への硬貨の取り込みを行う硬貨投入口31と、硬貨投入口31により硬貨処理装置30内へ取り込まれた硬貨を1枚ずつ繰り出す硬貨繰出部33と、硬貨繰出部33により繰り出された硬貨を硬貨処理装置30内で1枚ずつ搬送する搬送部35と、硬貨処理装置30内に取り込まれた硬貨のうち偽貨や識別不能な硬貨等のリジェクトを行う硬貨リジェクト口32とを備えている。
硬貨投入口31は、操作者により1または複数の硬貨が一括して投入されるよう構成されている。また、図1に示すように、硬貨投入口31には、当該硬貨投入口31の開閉を行う開閉部材としてシャッタ31aが設けられており、シャッタ31aにより硬貨投入口31が開かれた場合においてのみ当該硬貨投入口31に硬貨を投入することができるようになっている。また、硬貨投入口31の下方には、ホッパ等から構成される硬貨繰出部33が設けられており、硬貨投入口31に投入された硬貨は自重により落下して硬貨繰出部33に貯留されるようになっている。また、硬貨繰出部33は、当該硬貨繰出部33に貯留されている硬貨を1枚ずつ搬送部35に繰り出すようになっている。
搬送部35は、硬貨繰出部33から繰り出された硬貨を1枚ずつ図3における右方向に搬送するようになっている。また、搬送部35には、上流側から順に、搬送部35で搬送される硬貨の識別を行う識別部35a、識別部35aにより偽貨や識別不能な硬貨等であると識別された硬貨を選別するリジェクト選別部35b、識別部35aにより識別された硬貨の金種に対応する、後述する収納繰出部34がフル状態またはニアフル状態である場合に当該硬貨を選別するオーバーフロー選別部35c、および硬貨を金種毎に選別する選別部36がそれぞれ設けられている。識別部35aは、搬送部35で搬送される硬貨の金種、真偽、正損、表裏、新旧、搬送状態等を識別するようになっている。識別部35aによる硬貨の識別結果は後述する制御部15に送られるようになっている。また、リジェクト選別部35bは、識別部35aにより偽貨や識別不能な硬貨等であると識別された硬貨を搬送部35から選別し、この選別された硬貨を硬貨リジェクト口32に送るようになっている。また、オーバーフロー選別部35cは、識別部35aにより識別された硬貨の金種に対応する、後述する収納繰出部34がフル状態またはニアフル状態である場合に当該硬貨を搬送部35から選別し、この選別された硬貨を出金一時保留部37(後述)に直接送るようになっている。また、選別部36は、識別部35aにより識別された硬貨の金種に基づいて、搬送部35から硬貨を金種毎に選別して後述する各収納繰出部34に金種毎に送るようになっている。
また、搬送部35におけるリジェクト選別部35bとオーバーフロー選別部35cとの間の箇所には、硬貨を一時的に保留する入金一時保留部52が接続されている。入金一時保留部52には、搬送部35においてリジェクト選別部35bを通過した硬貨が当該搬送部35から送られるようになっている。また、入金一時保留部52には硬貨を1枚ずつ当該入金一時保留部52から搬送部35に繰り出す硬貨繰出機構(図示せず)が設けられており、入金一時保留部52から硬貨繰出機構により搬送部35に硬貨が繰り出されるようになっている。
硬貨処理装置30の内部には、複数(例えば6つ)の収納繰出部34が並列に設けられている。各収納繰出部34には、選別部36により搬送部35から選別された硬貨が収納されるようになっている。また、各収納繰出部34における硬貨収納領域の底部には繰出ベルト等の繰出部が設けられており、各収納繰出部34に収納されている硬貨は繰出部により1枚ずつ後述する出金搬送部34aに繰り出されるようになっている。このように、各収納繰出部34は、硬貨を金種毎に収納するとともに収納されている硬貨を繰り出す収納繰出部として機能するようになる。各収納繰出部34から繰り出された硬貨は出金搬送部34aにより後述する出金一時保留部37に送られるようになっている。
出金一時保留部37は、図3において実線で示すような保留位置と、保留位置から図3において左側に移動した位置である出金位置(図3において二点鎖線で表示)と、保留位置から図3において右側に移動した位置である引渡位置(図3において二点鎖線で表示)との間で水平方向に移動可能となっている。なお、通常時は出金一時保留部37は保留位置で待機するようになっている。出金一時保留部37が保留位置で待機しているときには、オーバーフロー選別部35cにより搬送部35から選別された硬貨や、各収納繰出部34から繰り出された硬貨が出金一時保留部37に送られ、この出金一時保留部37に一時的に保留されるようになる。また、筐体11の前面側には硬貨返却口38が設けられており、この硬貨返却口38には開閉可能な扉38a(図1参照)が設けられている。ここで、出金一時保留部37が保留位置から出金位置に移動すると、出金一時保留部37の底部が開かれることによりこの出金一時保留部37に保留されている硬貨が硬貨返却口38に送られ、当該硬貨返却口38に硬貨が集積されるようになる。また、出金一時保留部37に保留されている硬貨が硬貨返却口38に送られると、扉38aが自動的に開くようになり、このことにより操作者は硬貨返却口38から硬貨を取り出すことができるようになる。また、出金一時保留部37の引渡位置の下方には収納シュート39が設けられており、出金一時保留部37が保留位置から引渡位置に移動すると、出金一時保留部37の底部が開かれることによりこの出金一時保留部37に保留されている硬貨が収納シュート39に送られ、収納シュート39により硬貨が貨幣収納部40内に配置された硬貨回収カセット42(後述)に送られるようになっている。
次に、貨幣収納部40(回収部)の構成について図1乃至図3を用いて説明する。図1に示すように、貨幣収納部40は、貨幣処理機10の筐体11の下部に設けられている。この貨幣収納部40は、図2および図3に示すように、紙幣を収納する紙幣回収カセット41および硬貨を収納する硬貨回収カセット42を有している。紙幣回収カセット41には、紙幣処理装置20の紙幣保留部29に保留された紙幣が収納されるようになっている(図2参照)。一方、硬貨回収カセット42には、出金一時保留部37から収納シュート39に送られた硬貨が収納されるようになっている(図3参照)。また、回収業者の収集特定者によって、貨幣収納部40が筐体11の前面側へ引き出され、この収集特定者が各カセット41、42自体を貨幣収納部40から回収するようになっている。
紙幣回収カセット41の上面にはシャッタ(図示せず)が設けられている。紙幣回収カセット41が貨幣収納部40に収容された状態でこの貨幣収納部40が筐体11内にセットされた後、特定の処理を行うときに、図示しない駆動装置によって駆動されてシャッタは開いた状態となる。具体的には例えば、紙幣の引渡処理が行われるときにはシャッタが開いた状態となっており、紙幣保留部29から紙幣回収カセット41に紙幣を送ることができる。引渡処理が終了すると、シャッタは閉じた状態となる。一方、貨幣収納部40が筐体11から引き出されるときには、シャッタは必ず閉じた状態となる。また、紙幣回収カセット41は錠を備えた図示しない扉を有しており、鍵を持つ特定の権限を有する者でないと扉の錠を開くことができないようになっている。また、紙幣回収カセット41において、紙幣がステージ41a上に積層状態で集積されるようになっている。ここで、ステージ41aは図2における上下方向に移動可能となっており、ステージ41a上に紙幣が集積される度に、当該ステージ41aの位置が下降するようになっている。
また、硬貨回収カセット42の上面にもシャッタ(図示せず)が設けられている。硬貨回収カセット42が貨幣収納部40に収容された状態でこの貨幣収納部40が筐体11内にセットされたときに、シャッタは開いた状態となる。このため、硬貨の引渡処理が行われるときにはシャッタが開いた状態となっており、出金一時保留部37から収納シュート39を介して硬貨回収カセット42に硬貨を送ることができる。一方、貨幣収納部40が筐体11から引き出されたときには、シャッタは閉じた状態となる。また、硬貨回収カセット42は錠を備えた図示しない扉を有しており、鍵を持つ特定の権限を有する者でないと扉の錠を開くことができないようになっている。
ここで、前述のように、紙幣処理装置20や硬貨処理装置30は店舗側に管理権限がある。このため、紙幣処理装置20における収納繰出部27や、硬貨処理装置30における収納繰出部34にある紙幣や硬貨に対する様々な処理や、この紙幣や硬貨の入出金情報や在高データへのアクセスは店舗側の権限のある操作者のみが行うことができる。一方、貨幣収納部40は回収業者側に管理権限があるため、貨幣収納部40にある紙幣や硬貨の回収は回収業者の収集特定者のみが行うことができるようになっている。
次に、貨幣処理機10に設けられた他の様々な機構について説明する。図1に示すように、貨幣処理機10の筐体11の上面には、操作者が貨幣処理機10の制御部15(後述)に対して様々な指令を行うための操作部45、および貨幣処理機10における貨幣の処理内容等を表示する表示部44が設けられている。ここで、操作部45は、例えばテンキーや確定キー、スタートキー、取消キーならびにリセットキーを有しており、操作者が各キーを押すことにより貨幣処理機10の制御部15に対して様々な指令を行うことができるようになっている。表示部44は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)から構成されている。
また、筐体11の前面には、貨幣処理機10における貨幣の処理内容等を印字するプリンタ43、および操作者の操作権限の確認を行うためのカードリーダ46がそれぞれ設けられている。カードリーダ46は、操作者が携帯するIDカードのID情報の読み取りを行うようになっている。
次に、貨幣処理機10における各構成部材の制御を行う制御部15について図4を用いて説明する。制御部15は貨幣処理機10の筐体11内に設置されている。
図4に示すように、制御部15には、紙幣処理装置20の各構成部材(例えば、搬送部25、識別部26、収納繰出部27、紙幣ステージ28、紙幣保留部29、入金一時保留部50等)、硬貨処理装置30の各構成部材(例えば、硬貨繰出部33、搬送部35、識別部35a、選別部36、収納繰出部34、入金一時保留部52、出金一時保留部37等)、貨幣収納部40、プリンタ43、表示部44、操作部45、カードリーダ46、記憶部47、通信インターフェース部48等が接続されている。
制御部15には、紙幣処理装置20の識別部26による紙幣の識別結果や、硬貨処理装置30の識別部35aによる硬貨の識別結果が送られるようになっている。また、制御部15には、操作部45からの入力やカードリーダ46によりカードから読み取られた操作者のID情報等の情報が送られるようになっている。
また、制御部15は、貨幣処理機10の操作が行われる際は操作部45やカードリーダ46から入力された操作者のID情報等をもとに操作者の権限の確認を行うようになっている。また、制御部15は、紙幣処理装置20や硬貨処理装置30の各構成部材を制御したり、表示部44、プリンタ43等を制御したりするようになっている。
また、制御部15は、通信インターフェース部48を介して上位端末等の外部装置に対して信号の送受信を行うようになっている。
記憶部47には、紙幣処理装置20の各収納繰出部27や硬貨処理装置30の各収納繰出部34に収納されている紙幣や硬貨の金種毎の枚数や合計金額等の情報(すなわち、在高情報)が記憶されるようになっている。また、記憶部47には、紙幣処理装置20における紙幣の処理内容や、硬貨処理装置30における硬貨の処理内容に係る情報が処理履歴として記憶されるようになっている。また、本実施の形態では、記憶部47には、各収納繰出部27、34に収納されている貨幣の合計金額である残置合計金額および各収納繰出部27、34に残置されるべき貨幣の金種毎の枚数である金種毎残置枚数に係る情報が記憶されるようになっている。記憶部47に記憶されている、各収納繰出部27、34に収納されている貨幣の合計金額である残置合計金額および各収納繰出部27、34に残置されるべき貨幣の金種毎の枚数である金種毎残置枚数に係る情報について図5を用いて説明する。
上述したように、各配送ドライバーによって朝に貨幣処理機10から釣銭準備金として出金される貨幣の合計金額および金種毎の枚数の構成は予め決められている。具体的には、一人の配送ドライバーにつき、釣銭準備金として例えば千円紙幣7枚、500円硬貨3枚、100円硬貨12枚、50円硬貨3枚、10円硬貨13枚、5円硬貨3枚および1円硬貨5枚から構成される合計1万円の貨幣が貨幣処理機10から出金されるようになっている。ここで、貨幣処理機10が設置される営業所において毎朝例えば10人の配送ドライバーが貨幣処理機10から釣銭準備金としての貨幣を出金する場合には、各配送ドライバーにより貨幣処理機10から貨幣が出金される前に、合計10万円の貨幣を各収納繰出部27、34に残置しておかなければならない。また、紙幣処理装置20における千円紙幣が収納される収納繰出部27には70枚の千円紙幣を残置しておく必要があり、また、硬貨処理装置30における各収納繰出部34には30枚の500円硬貨、120枚の100円硬貨、30枚の50円硬貨、130枚の10円硬貨、30枚の5円硬貨および50枚の1円硬貨をそれぞれ残置しておく必要がある。図5に示す表には、このような各収納繰出部27、34に収納されている貨幣の合計金額である残置合計金額(すなわち、10万円)および各収納繰出部27、34に残置されるべき貨幣の金種毎の枚数である金種毎残置枚数に係る情報が示されており、このような情報が記憶部47に記憶されるようになっている。また、図5に示す表における「金種毎残置金額」とは、同じ列の左端欄の金種の金額と、この金種に対応する金種毎残置枚数とを掛けた値のことをいい、また、「累計残置金額」とは、同じ列の左端欄の金種およびこの金種よりも金額が小さい他の全ての金種に対応する金種毎残置金額の合計値のことをいう。すなわち、例えば10円硬貨に係る累計残置金額は、1円×50枚+5円×30枚+10円×130枚=1,500円となる。
また、記憶部47に記憶されている、各収納繰出部27、34に収納されている貨幣の合計金額である残置合計金額や各収納繰出部27、34に残置されるべき貨幣の金種毎の枚数である金種毎残置枚数は、操作者が操作部45により変更することができるようになっている。例えば、貨幣処理機10から釣銭準備金としての貨幣を出金したり売上金としての貨幣を入金したりする配送ドライバーの人数が変わった場合には、当該貨幣処理機10が設置される営業所の管理者等が操作部45により配送ドライバーの人数を変更することにより、記憶部47に記憶されている、各収納繰出部27、34に収納されている貨幣の合計金額である残置合計金額や各収納繰出部27、34に残置されるべき貨幣の金種毎の枚数である金種毎残置枚数も変更されるようになる。
次に、このような構成からなる貨幣処理機10の動作について説明する。本実施の形態では、貨幣処理機10において、紙幣や硬貨の入金処理、出金処理、補充処理、回収処理、引渡処理等を行うことができるようになっている。なお、以下に示すような貨幣処理機10の動作は、制御部15が紙幣処理装置20や硬貨処理装置30の各構成部材を制御することによって行われるようになっている。
まず、紙幣や硬貨の入金処理について簡単に説明する。貨幣処理機10において紙幣や硬貨の入金処理を行うにあたり、操作者が紙幣処理装置20の紙幣投入口21に紙幣を投入したり硬貨処理装置30の硬貨投入口31に硬貨を投入したりすると、筐体11の内部に投入された紙幣や硬貨は識別部26、35aにより識別された後に各収納繰出部27や各収納繰出部34に金種毎に収納される。より詳細には、筐体11の内部に投入された紙幣や硬貨は識別部26、35aにより識別された後に各入金一時保留部50、52に一時的に保留される。その後、操作者が操作部45により入金確定の指令を入力すると、各入金一時保留部50、52から各収納繰出部27や各収納繰出部34に紙幣や硬貨が送られるようになる。一方、各入金一時保留部50、52に紙幣や硬貨が一時的に保留された後、操作者が操作部45により入金確定ではなく返却の指令を入力すると、各入金一時保留部50、52から紙幣返却口23や硬貨返却口38に紙幣や硬貨が送られるようになる。
次に、紙幣や硬貨の出金処理について簡単に説明する。貨幣処理機10において紙幣や硬貨の出金処理を行うにあたり、操作者が出金されるべき紙幣や硬貨の金種毎の枚数や合計金額等を操作部45により入力すると、紙幣処理装置20の各収納繰出部27に収納されている紙幣が当該収納繰出部27から繰り出されて紙幣返却口23に送られたり、硬貨処理装置30の各収納繰出部34に収納されている硬貨が当該収納繰出部34から繰り出されて出金一時保留部37に保留された後に硬貨返却口38に送られたりする。このことにより、操作者は出金されるべき紙幣や硬貨を紙幣返却口23や硬貨返却口38から筐体11の外部に取り出すことができるようになる。
次に、紙幣や硬貨の補充処理について簡単に説明する。紙幣や硬貨の補充処理とは、紙幣を金種毎に紙幣処理装置20の各収納繰出部27に補充したり、硬貨を金種毎に硬貨処理装置30の各収納繰出部34に補充したりする処理のことをいう。貨幣処理機10において紙幣や硬貨の補充処理を行うにあたり、操作者が紙幣処理装置20の紙幣投入口21に紙幣を投入したり硬貨処理装置30の硬貨投入口31に硬貨を投入したりすると、筐体11の内部に投入された紙幣や硬貨は識別部26、35aにより識別された後に各収納繰出部27や各収納繰出部34に金種毎に収納される。
次に、紙幣や硬貨の回収処理について簡単に説明する。回収業者の収集特定者により操作部45を介して回収処理の指令が制御部15に送られたときに、制御部15は貨幣収納部40の扉のロックを解除し、紙幣回収カセット41や硬貨回収カセット42を取り出し可能とする。回収業者の収集特定者が、各カセットを取り出して代わりの空のカセットと交換して扉を閉じると、回収された紙幣や硬貨の金種毎の枚数または合計金額もしくは金種毎の金額のデータである回収データが通信インターフェース部48により外部装置(具体的には、回収業者の管理センターに設置されているコンピュータ等)に送信される。
次に、紙幣や硬貨の引渡処理について簡単に説明する。ここで、紙幣や硬貨の引渡処理とは、紙幣処理装置20の各収納繰出部27に収納されている紙幣を貨幣収納部40の紙幣回収カセット41に送ったり、硬貨処理装置30の各収納繰出部34に収納されている硬貨を貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送ったりする処理のことをいう。上述したように、貨幣収納部40の管理権限が回収業者側に設定されているため、各収納繰出部27や各収納繰出部34から貨幣収納部40に送られた紙幣や硬貨の管理権限が店舗側の管理権限下から回収業者側の管理権限下に変更される。そして、収納繰出部27や収納繰出部34の在高は、引渡処理が行われた紙幣や硬貨の金額や金種毎の枚数である貨幣引渡量分だけ減少し、一方、貨幣収納部40の在高は、引渡処理が行われた紙幣や硬貨の金額や金種毎の枚数である貨幣引渡量分だけ増加する。貨幣引渡量は、日時や操作者ID等とともに引渡データとして記憶部47に記憶される。
また、本実施の形態の貨幣処理機10では、紙幣や硬貨の入金処理が行われる際に、各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額よりも多い場合に、上述した紙幣や硬貨の引渡処理が引き続き行われるようになっている。このような動作について図6および図7に示すフローチャートを用いて説明する。
本実施の形態の貨幣処理機10において、紙幣投入口21や硬貨投入口31に投入された紙幣や硬貨を各収納繰出部27、34に送るような紙幣や硬貨の入金処理が完了した後に、各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額よりも多いか否かが制御部15により判断される(STEP1)。ここで、各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額以下であると制御部15により判断された場合には(STEP1の「NO」)、紙幣や硬貨の引渡処理が行われず、貨幣処理機10は待機状態となる。一方、各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額より多いと制御部15により判断された場合には(STEP1の「YES」)、紙幣や硬貨の引渡処理が行われるようになる。
具体的には、まず、収納繰出部34に収納されている1円硬貨の枚数が記憶部47に記憶されている1円硬貨の金種毎残置枚数(すなわち、50枚)よりも多いか否かが制御部15により判断される(STEP2)。収納繰出部34に収納されている1円硬貨の枚数が50枚以下であると制御部15により判断された場合には(STEP2の「NO」)、1円硬貨については引渡処理を行わない。一方、収納繰出部34に収納されている1円硬貨の枚数が50枚よりも多いと制御部15により判断された場合には(STEP2の「YES」)、50枚の1円硬貨を収納繰出部34に残してそれ以外の1円硬貨を貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送る(STEP3)。具体的には、収納繰出部34に収納されている1円硬貨の枚数が例えば70枚であった場合には、50枚の1円硬貨を収納繰出部34に残して20枚の1円硬貨を貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送るようにする。なお、50枚の1円硬貨を収納繰出部34に残してそれ以外の1円硬貨を全て貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送ったときに各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額よりも少なくなってしまう場合には、各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額と同じになるような枚数の1円硬貨を収納繰出部34から貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送るようにする。すなわち、収納繰出部34に収納されている1円硬貨の枚数が例えば70枚であるが、各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が例えば100,010円である場合には、60枚の1円硬貨を収納繰出部34に残して10枚の1円硬貨を貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送るようにする。それより多くの1円硬貨を貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送った場合には、各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額よりも少なくなってしまうからである。
次に、収納繰出部34に収納されている5円硬貨の枚数が記憶部47に記憶されている5円硬貨の金種毎残置枚数(すなわち、30枚)よりも多いか否かが制御部15により判断される(STEP4)。収納繰出部34に収納されている5円硬貨の枚数が30枚以下であると制御部15により判断された場合には(STEP4の「NO」)、5円硬貨については引渡処理を行わない。一方、収納繰出部34に収納されている5円硬貨の枚数が30枚よりも多いと制御部15により判断された場合には(STEP4の「YES」)、各収納繰出部34に収納されている1円硬貨および5円硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている5円硬貨の累計残置金額(すなわち、200円)以上となるように、所定枚数の5円硬貨を各収納繰出部34に残してそれ以外の5円硬貨を貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送る(STEP5)。より詳細には、収納繰出部34に収納されている1円硬貨の枚数が金種毎残置枚数(すなわち、50枚)である場合には、30枚(金種毎残置枚数)の5円硬貨を収納繰出部34に残してそれ以外の5円硬貨を貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送るようにする。一方、収納繰出部34に収納されている1円硬貨の枚数が金種毎残置枚数よりも少ない場合には、31枚以上の5円硬貨を収納繰出部34に残してそれ以外の5円硬貨を貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送るようになる。この場合には、1円硬貨については収納繰出部34に収納されている枚数が金種毎残置枚数よりも少なくなるが、各収納繰出部34に収納されている1円硬貨および5円硬貨の合計金額が、1円硬貨および5円硬貨の各々の金種毎残置金額の合計値以上となるため、貨幣処理機10から釣銭準備金としての貨幣が出金される際に、ある配送ドライバーについて5枚の1円硬貨の代わりに1枚の5円硬貨を払い出すことができ、よって配送ドライバーに渡される釣銭準備金としての貨幣の合計金額が1万円よりも少なくなってしまうことを防止することができる。また、上述した所定枚数の5円硬貨を収納繰出部34に残してそれ以外の5円硬貨を全て貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送ったときに各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額よりも少なくなってしまう場合には、各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額と同じかこの残置合計金額をわずかに上回るようになるような枚数(0枚を含む)の5円硬貨を収納繰出部34から貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送るようにする。
次に、収納繰出部34に収納されている10円硬貨の枚数が記憶部47に記憶されている10円硬貨の金種毎残置枚数(すなわち、130枚)よりも多いか否かが制御部15により判断される(STEP6)。収納繰出部34に収納されている10円硬貨の枚数が130枚以下であると制御部15により判断された場合には(STEP6の「NO」)、10円硬貨については引渡処理を行わない。一方、収納繰出部34に収納されている10円硬貨の枚数が130枚よりも多いと制御部15により判断された場合には(STEP6の「YES」)、各収納繰出部34に収納されている1円硬貨、5円硬貨および10円硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている10円硬貨の累計残置金額(すなわち、1,500円)以上となるように、所定枚数の10円硬貨を各収納繰出部34に残してそれ以外の10円硬貨を貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送る(STEP7)。より詳細には、収納繰出部34に収納されている1円硬貨および5円硬貨の枚数がそれぞれ金種毎残置枚数である場合には、130枚(金種毎残置枚数)の10円硬貨を収納繰出部34に残してそれ以外の10円硬貨を貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送るようにする。一方、収納繰出部34に収納されている1円硬貨および5円硬貨のうち少なくともいずれかの枚数が金種毎残置枚数よりも少ない場合には、131枚以上の10円硬貨を収納繰出部34に残してそれ以外の10円硬貨を貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送るようになる。この場合には、1円硬貨および5円硬貨のいずれかについては収納繰出部34に収納されている枚数が金種毎残置枚数よりも少なくなるが、各収納繰出部34に収納されている1円硬貨、5円硬貨および10円硬貨の合計金額が、1円硬貨、5円硬貨および10円硬貨の各々の金種毎残置金額の合計値以上となる。また、上述した所定枚数の10円硬貨を収納繰出部34に残してそれ以外の10円硬貨を全て貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送ったときに各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額よりも少なくなってしまう場合には、各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額と同じかこの残置合計金額をわずかに上回るようになるような枚数(0枚を含む)の10円硬貨を収納繰出部34から貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送るようにする。
次に、収納繰出部34に収納されている50円硬貨の枚数が記憶部47に記憶されている50円硬貨の金種毎残置枚数(すなわち、30枚)よりも多いか否かが制御部15により判断される(STEP8)。収納繰出部34に収納されている50円硬貨の枚数が30枚以下であると制御部15により判断された場合には(STEP8の「NO」)、50円硬貨については引渡処理を行わない。一方、収納繰出部34に収納されている50円硬貨の枚数が30枚よりも多いと制御部15により判断された場合には(STEP8の「YES」)、各収納繰出部34に収納されている1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨および50円硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている50円硬貨の累計残置金額(すなわち、3,000円)以上となるように、所定枚数の50円硬貨を各収納繰出部34に残してそれ以外の50円硬貨を貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送る(STEP9)。より詳細には、収納繰出部34に収納されている1円硬貨、5円硬貨および10円硬貨の枚数がそれぞれ金種毎残置枚数である場合には、30枚(金種毎残置枚数)の50円硬貨を収納繰出部34に残してそれ以外の50円硬貨を貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送るようにする。一方、収納繰出部34に収納されている1円硬貨、5円硬貨および10円硬貨のうち少なくともいずれかの枚数が金種毎残置枚数よりも少ない場合には、31枚以上の50円硬貨を収納繰出部34に残してそれ以外の50円硬貨を貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送るようになる。この場合には、1円硬貨、5円硬貨および10円硬貨のいずれかについては収納繰出部34に収納されている枚数が金種毎残置枚数よりも少なくなるが、各収納繰出部34に収納されている1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨および50円硬貨の合計金額が、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨および50円硬貨の各々の金種毎残置金額の合計値以上となる。また、上述した所定枚数の50円硬貨を収納繰出部34に残してそれ以外の50円硬貨を全て貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送ったときに各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額よりも少なくなってしまう場合には、各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額と同じかこの残置合計金額をわずかに上回るようになるような枚数(0枚を含む)の50円硬貨を収納繰出部34から貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送るようにする。
次に、収納繰出部34に収納されている100円硬貨の枚数が記憶部47に記憶されている100円硬貨の金種毎残置枚数(すなわち、120枚)よりも多いか否かが制御部15により判断される(STEP10)。収納繰出部34に収納されている100円硬貨の枚数が120枚以下であると制御部15により判断された場合には(STEP10の「NO」)、100円硬貨については引渡処理を行わない。一方、収納繰出部34に収納されている100円硬貨の枚数が120枚よりも多いと制御部15により判断された場合には(STEP10の「YES」)、各収納繰出部34に収納されている1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨および100円硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている100円硬貨の累計残置金額(すなわち、15,000円)以上となるように、所定枚数の100円硬貨を各収納繰出部34に残してそれ以外の100円硬貨を貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送る(STEP11)。より詳細には、収納繰出部34に収納されている1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨および50円硬貨の枚数がそれぞれ金種毎残置枚数である場合には、120枚(金種毎残置枚数)の100円硬貨を収納繰出部34に残してそれ以外の100円硬貨を貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送るようにする。一方、収納繰出部34に収納されている1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨および50円硬貨のうち少なくともいずれかの枚数が金種毎残置枚数よりも少ない場合には、121枚以上の100円硬貨を収納繰出部34に残してそれ以外の100円硬貨を貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送るようになる。この場合には、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨および50円硬貨のいずれかについては収納繰出部34に収納されている枚数が金種毎残置枚数よりも少なくなるが、各収納繰出部34に収納されている1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨および100円硬貨の合計金額が、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨および100円硬貨の各々の金種毎残置金額の合計値以上となる。また、上述した所定枚数の100円硬貨を収納繰出部34に残してそれ以外の100円硬貨を全て貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送ったときに各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額よりも少なくなってしまう場合には、各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額と同じかこの残置合計金額をわずかに上回るようになるような枚数(0枚を含む)の100円硬貨を収納繰出部34から貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送るようにする。
次に、収納繰出部34に収納されている500円硬貨の枚数が記憶部47に記憶されている500円硬貨の金種毎残置枚数(すなわち、30枚)よりも多いか否かが制御部15により判断される(STEP12)。収納繰出部34に収納されている500円硬貨の枚数が30枚以下であると制御部15により判断された場合には(STEP12の「NO」)、500円硬貨については引渡処理を行わない。一方、収納繰出部34に収納されている500円硬貨の枚数が30枚よりも多いと制御部15により判断された場合には(STEP12の「YES」)、各収納繰出部34に収納されている1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている500円硬貨の累計残置金額(すなわち、30,000円)以上となるように、所定枚数の500円硬貨を各収納繰出部34に残してそれ以外の500円硬貨を貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送る(STEP13)。より詳細には、収納繰出部34に収納されている1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨および100円硬貨の枚数がそれぞれ金種毎残置枚数である場合には、30枚(金種毎残置枚数)の500円硬貨を収納繰出部34に残してそれ以外の500円硬貨を貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送るようにする。一方、収納繰出部34に収納されている1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨および100円硬貨のうち少なくともいずれかの枚数が金種毎残置枚数よりも少ない場合には、31枚以上の500円硬貨を収納繰出部34に残してそれ以外の500円硬貨を全て貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送るようになる。この場合には、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨および100円硬貨のいずれかについては収納繰出部34に収納されている枚数が金種毎残置枚数よりも少なくなるが、各収納繰出部34に収納されている1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨の合計金額が、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨の各々の金種毎残置金額の合計値以上となる。また、上述した所定枚数の500円硬貨を収納繰出部34に残してそれ以外の500円硬貨を貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送ったときに各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額よりも少なくなってしまう場合には、各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額と同じかこの残置合計金額をわずかに上回るようになるような枚数(0枚を含む)の500円硬貨を収納繰出部34から貨幣収納部40の硬貨回収カセット42に送るようにする。
次に、収納繰出部27に収納されている千円紙幣の枚数が記憶部47に記憶されている千円紙幣の金種毎残置枚数(すなわち、70枚)よりも多いか否かが制御部15により判断される(STEP14)。収納繰出部27に収納されている千円紙幣の枚数が70枚以下であると制御部15により判断された場合には(STEP14の「NO」)、千円紙幣については引渡処理を行わない。この場合には、各収納繰出部27に収納されている千円以外の金種の紙幣(具体的には、二千円紙幣、五千円紙幣および一万円紙幣)の引渡処理が行われるようになる。一方、収納繰出部27に収納されている千円紙幣の枚数が70枚よりも多いと制御部15により判断された場合には(STEP14の「YES」)、各収納繰出部27、34に収納されている1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨および千円紙幣の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額(すなわち、100,000円)以上となるように、所定枚数の千円紙幣を各収納繰出部27に残してそれ以外の千円紙幣および他の金種の紙幣を貨幣収納部40の紙幣回収カセット41に送る(STEP15)。より詳細には、収納繰出部34に収納されている1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨の枚数がそれぞれ金種毎残置枚数である場合には、70枚(金種毎残置枚数)の千円紙幣を収納繰出部27に残してそれ以外の千円紙幣および他の金種の紙幣を貨幣収納部40の紙幣回収カセット41に送るようにする。一方、収納繰出部34に収納されている1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨のうち少なくともいずれかの枚数が金種毎残置枚数よりも少ない場合には、71枚以上の千円紙幣を収納繰出部27に残してそれ以外の千円紙幣および他の金種の紙幣を貨幣収納部40の紙幣回収カセット41に送るようになる。この場合には、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨のいずれかについては収納繰出部34に収納されている枚数が金種毎残置枚数よりも少なくなるが、各収納繰出部27、34に収納されている1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨および千円紙幣の合計金額が残置合計金額以上となる。また、上述した所定枚数の千円紙幣を収納繰出部27に残してそれ以外の千円紙幣および他の金種の紙幣を貨幣収納部40の紙幣回収カセット41に送ったときに各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額よりも少なくなってしまう場合には、各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額と同じかこの残置合計金額をわずかに上回るようになるような枚数(0枚を含む)の千円紙幣および他の金種の紙幣を収納繰出部34から貨幣収納部40の紙幣回収カセット41に送るようにする。
このように、本実施の形態では、制御部15は、紙幣や硬貨の入金処理が行われる際に、各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額よりも多い場合において、金額が小さい金種から順に収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の枚数が記憶部47に記憶されている金種毎残置枚数以上であるか否かを判定し(STEP2、4、6、8、10、12、14)、収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の枚数が記憶部47に記憶されている金種毎残置枚数よりも多いときに当該収納繰出部27、34に対応する金種に係る紙幣や硬貨の引渡処理を行うようになっている(STEP3、5、7、9、11、13、15)。また、制御部15は、紙幣や硬貨の入金処理が行われる際に、各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額よりも多い場合において、ある金種に対応する収納繰出部34に収納されている硬貨の枚数が記憶部47に記憶されている金種毎残置枚数よりも少ないときには(STEP2、4、6、8、10、12の「NO」)、各収納繰出部27、34に収納されている当該金種の硬貨およびこの金種よりも金額が大きい他の1または複数の金種の紙幣や硬貨の合計金額が所定金額以上となるように他の1または複数の金種の紙幣や硬貨の引渡処理を行うようになっている。ここで、所定金額は、ある金種およびこの金種よりも金額が大きい他の1または複数の金種について、記憶部47に記憶されている各金種に対応する金種毎残置枚数と当該金種の金額とを掛けた値である金種毎残置金額の合計値である。具体的に説明すると、例えば収納繰出部34に収納されている1円硬貨の枚数が10枚であり記憶部47に記憶されている金種毎残置枚数(すなわち、50枚)よりも少ないときには、この1円硬貨よりも金種が大きい5円硬貨については金種毎残置枚数である30枚ではなく38枚の5円硬貨が収納繰出部34に残るよう、それ以外の5円硬貨の引渡処理が行われる。この場合には、紙幣や硬貨の引渡処理が行われた後に収納繰出部34に収納されている1円硬貨の枚数が金種毎残置枚数よりも少なくなるが、各収納繰出部34に収納されている1円硬貨および5円硬貨の合計金額が1円硬貨および5円硬貨の各々の金種毎残置金額の合計値以上なるため、貨幣処理機10から釣銭準備金としての貨幣が出金される際に、ある配送ドライバーについて5枚の1円硬貨の代わりに1枚の5円硬貨を払い出すことができ、よって配送ドライバーに渡される釣銭準備金としての貨幣の合計金額が1万円よりも少なくなってしまうことを防止することができる。また、このような場合でもその後に他の配送ドライバーによる紙幣や硬貨の入金処理が引き続き行われることにより、収納繰出部34に収納されている1円硬貨の枚数を金種毎残置枚数に近づけることができるようになる。
なお、上記の説明では、貨幣処理機10において紙幣や硬貨の入金処理が行われた後に紙幣や硬貨の引渡処理が行われるような例について述べたが、本実施の形態はこのような例に限定されることはない。例えば、制御部15は、紙幣投入口21や硬貨投入口31に投入された紙幣や硬貨を各収納繰出部27、34に送るような紙幣や硬貨の入金処理の途中で、各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額(すなわち、10万円)よりも多くなった場合に、紙幣投入口21や硬貨投入口31から貨幣収納部40の紙幣回収カセット41や硬貨回収カセット42に直接送るような処理が引き続き行われるようになっていてもよい。具体的には、紙幣投入口21や硬貨投入口31に投入された紙幣や硬貨を各収納繰出部27、34に送るような紙幣や硬貨の入金処理の途中で、各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額(すなわち、10万円)よりも多くなった場合において、各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の枚数が記憶部47に記憶されている金種毎残置枚数以上であるときには、紙幣投入口21や硬貨投入口31に投入された紙幣や硬貨は識別部26、35aにより識別された後に各収納繰出部27、34に送られないで貨幣収納部40の紙幣回収カセット41や硬貨回収カセット42に直接送られるようになる。一方、ある金種に対応する収納繰出部34に収納されている硬貨の枚数が記憶部47に記憶されている金種毎残置枚数よりも少ないときには、紙幣投入口21や硬貨投入口31に投入され識別部26、35aにより識別された紙幣や硬貨のうち、各収納繰出部27、34に収納されている当該金種の硬貨およびこの金種よりも金額が大きい他の1または複数の金種の紙幣や硬貨の合計金額が所定金額以上となるような枚数分の他の1または複数の金種の紙幣や硬貨が各収納繰出部27、34に送られ、残りの紙幣や硬貨は各収納繰出部27、34に送られないで貨幣収納部40の紙幣回収カセット41や硬貨回収カセット42に直接送られるようになる。ここで、所定金額は、上述したように、ある金種およびこの金種よりも金額が大きい他の1または複数の金種について、記憶部47に記憶されている各金種に対応する金種毎残置枚数と当該金種の金額とを掛けた値である金種毎残置金額の合計値である。
また、更に別の例として、制御部15は、紙幣投入口21や硬貨投入口31に投入された紙幣や硬貨を各収納繰出部27、34に送るような紙幣や硬貨の入金処理の途中で、各入金一時保留部50、52に紙幣や硬貨が一時的に保留された後、各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額(すなわち、10万円)よりも多い場合に、各入金一時保留部50、52から貨幣収納部40の紙幣回収カセット41や硬貨回収カセット42に直接送るような処理が引き続き行われるようになっていてもよい。具体的には、紙幣や硬貨の入金処理において各入金一時保留部50、52に紙幣や硬貨が一時的に保留された後、各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額(すなわち、10万円)よりも多い場合において、各収納繰出部27、34に収納されている紙幣や硬貨の枚数が記憶部47に記憶されている金種毎残置枚数以上であるときには、各入金一時保留部50、52に保留されている紙幣や硬貨は各収納繰出部27、34に送られないで貨幣収納部40の紙幣回収カセット41や硬貨回収カセット42に直接送られるようになる。一方、ある金種に対応する収納繰出部34に収納されている硬貨の枚数が記憶部47に記憶されている金種毎残置枚数よりも少ないときには、各入金一時保留部50、52に一時的に保留されている紙幣や硬貨のうち、各収納繰出部27、34に収納されている当該金種の硬貨およびこの金種よりも金額が大きい他の1または複数の金種の紙幣や硬貨の合計金額が所定金額以上となるような枚数分の他の1または複数の金種の紙幣や硬貨が各収納繰出部27、34に送られ、残りの紙幣や硬貨は各収納繰出部27、34に送られないで貨幣収納部40の紙幣回収カセット41や硬貨回収カセット42に直接送られるようになる。ここで、所定金額は、上述したように、ある金種およびこの金種よりも金額が大きい他の1または複数の金種について、記憶部47に記憶されている各金種に対応する金種毎残置枚数と当該金種の金額とを掛けた値である金種毎残置金額の合計値である。
以上のように、本実施の形態の貨幣処理機10やこのような貨幣処理機10による貨幣処理方法によれば、記憶部47には、各収納繰出部27、34に残置されるべき貨幣の合計金額である残置合計金額および各収納繰出部27、34に残置されるべき貨幣の金種毎の枚数である金種毎残置枚数に係る情報が記憶されるようになっている。また、貨幣の入金処理が行われる際に、各収納繰出部27、34に収納されている貨幣の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額よりも多い場合に、各収納繰出部27、34に収納されている貨幣の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額と略同一(より詳細には、残置合計金額と同一または残置合計金額よりもわずかに大きな金額)になり、かつ各収納繰出部27、34に収納されている貨幣の枚数が記憶部47に記憶されている金種毎残置枚数に近づくように、紙幣投入口21や硬貨投入口31(投入部)、各収納繰出部27、34または各入金一時保留部50、52から貨幣収納部40(回収部)の紙幣回収カセット41や硬貨回収カセット42に貨幣を送る貨幣送り処理が行われるようになっている。この場合には、貨幣の入金処理が行われる度に、所定の残置合計金額の貨幣を各収納繰出部27、34に残し、それ以外の貨幣を貨幣収納部40の紙幣回収カセット41や硬貨回収カセット42に送ることにより、貨幣を貨幣収納部40の紙幣回収カセット41や硬貨回収カセット42に送る貨幣送り処理をこまめに行うことができるようになる。このため、毎回の貨幣の引渡処理等の貨幣送り処理にかかる時間を短縮することができるとともに各収納繰出部27、34に収納される貨幣の量を減らすことができるようになる。
より詳細に説明すると、従来の貨幣処理機では、回収されるべき貨幣を各収納繰出部から回収カセットに送る処理は一日の業務終了時などにまとめて行われていた。この場合には、一日の業務が終了するまでに各収納繰出部に収納される貨幣の量が多くなってしまい、よって店舗側で管理すべき貨幣の量が多くなってしまうという問題があった。具体的には、このような貨幣処理機においてエラーが発生した場合に、各収納繰出部に収納されている貨幣を全て一旦出金し、エラー解除後に出金された貨幣を入金して各収納繰出部に収納させるという動作が行われるが、各収納繰出部に収納される貨幣の量が多い場合にはこのような動作を行うのに時間がかかるという問題がある。また、一日の業務が終了した時点における各収納繰出部に収納される貨幣の量が多い場合には、一日の業務終了時に行われる、回収されるべき貨幣を各収納繰出部から回収カセットに送るような引渡処理に時間がかかるという問題があった。これに対し、本実施の形態による貨幣処理機10や貨幣処理方法では、貨幣の入金処理が行われる度に、所定の残置合計金額の貨幣を各収納繰出部27、34に残し、それ以外の貨幣を貨幣収納部40の紙幣回収カセット41や硬貨回収カセット42に送ることにより、貨幣を貨幣収納部40の紙幣回収カセット41や硬貨回収カセット42に送る貨幣送り処理をこまめに行うことができるようになるため、このような従来の貨幣処理機の問題を解消することができるようになる。
また、本実施の形態の貨幣処理機10やこのような貨幣処理機10による貨幣処理方法によれば、貨幣の入金処理が行われる際に、各収納繰出部27、34に収納されている貨幣の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額よりも多い場合においてのみ、紙幣投入口21や硬貨投入口31(投入部)、各収納繰出部27、34または各入金一時保留部50、52から貨幣収納部40の紙幣回収カセット41や硬貨回収カセット42に貨幣を送る貨幣送り処理が行われるため、貨幣処理機10から釣銭準備金としての貨幣が出金される際に配送ドライバー等の操作者に渡される貨幣の金額が所定金額(具体的には、1万円)より少なくなってしまうことを防止することができる。このため、貨幣処理機10から釣銭準備金としての貨幣が出金される際に貨幣の金種毎の枚数が所定の枚数構成から変わることはあっても出金される貨幣の金額が不足してしまうことはない。また、複数の配送ドライバーによって貨幣の入金処理がそれぞれ行われることにより、ある金種の貨幣について収納繰出部27、34に収納されている枚数が金種毎残置枚数よりも少ない場合でも、貨幣の入金処理が行われる度に、収納繰出部に収納されている当該金種の貨幣の枚数を金種毎残置枚数に近づけることができるようになる。
なお、本実施の形態による貨幣処理機や貨幣処理方法は、上記の態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、本実施の形態による貨幣処理機は、紙幣処理装置20および硬貨処理装置30を組み合わせたものに限定されることはない。本実施の形態による貨幣処理機として、紙幣処理装置20のみが単体で用いられるようになっていてもよく、あるいは硬貨処理装置30のみが単体で用いられるようになっていてもよい。
また、本実施の形態による貨幣処理機は、貨幣の入金処理および出金処理の両方を行うものに限定されることはない。本実施の形態による貨幣処理機として、紙幣処理装置や硬貨処理装置に紙幣返却口や硬貨返却口が設けられておらず貨幣の出金処理が行われないような入金専用機が用いられてもよい。
また、本実施の形態による貨幣処理機として、紙幣処理装置や硬貨処理装置に入金一時保留部が設けられないようなものが用いられてもよい。このような貨幣処理機では、紙幣処理装置や硬貨処理装置において紙幣や硬貨の入金処理が行われる際に紙幣投入口や硬貨投入口に投入された紙幣や硬貨は識別部により識別された後に各収納繰出部に直接送られるようになる。
また、図1等に示すような貨幣処理機10に外部装置として上位端末が通信可能に接続されており、上位端末に設けられた制御部が貨幣処理機10に設けられた制御部15と同様の機能を果たすようになっていてもよい。すなわち、上位端末に設けられた制御部から貨幣処理機10の制御部15に指令信号が送られることにより、貨幣処理機10において貨幣の入金処理が行われる際に、各収納繰出部27、34に収納されている貨幣の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額よりも多い場合に、各収納繰出部27、34に収納されている貨幣の合計金額が記憶部47に記憶されている残置合計金額と略同一になり、かつ各収納繰出部27、34に収納されている貨幣の枚数が記憶部47に記憶されている金種毎残置枚数に近づくように、紙幣投入口21や硬貨投入口31(投入部)、各収納繰出部27、34または各入金一時保留部50、52から貨幣収納部40の紙幣回収カセット41や硬貨回収カセット42(回収部)に貨幣を送る貨幣送り処理が行われるようになっていてもよい。また、上位端末に設けられた記憶部に、各収納繰出部27、34に残置されるべき貨幣の合計金額である残置合計金額および各収納繰出部27、34に残置されるべき貨幣の金種毎の枚数である金種毎残置枚数に係る情報が記憶されるようになっていてもよい。この場合には、このような上位端末等の外部装置の制御部や記憶部も、本発明に係る貨幣処理機に含まれるものとする。
また、本発明に係る貨幣処理機として、図8乃至図10に示すような硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200およびPOSレジスタ300が用いられるようになっていてもよい。図8乃至図10に示すような硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200およびPOSレジスタ300は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗における顧客が立ち入ることができるフロント領域に設けられたレジカウンター等の精算所に設置されるようになっている。顧客がこのような精算所で精算処理を行う際に、店員は、顧客から受け取った商品の代金としての貨幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に入金したり、釣銭としての貨幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から出金して顧客に返却したりするようになっている。ここで、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200は、それぞれ硬貨や紙幣の入出金処理を行うようになっている。また、図8に示すように、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200は左右方向に並べて配置される。そして、POSレジスタ300は、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200の上方に配置される。以下、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200をまとめて貨幣釣銭機ともいう。また、POSレジスタ300は、貨幣釣銭機(具体的には、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200)の管理を行う管理装置として機能するようになる。
以下、硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200およびPOSレジスタ300の各々の構成について図8乃至図10を用いて詳述する。なお、図8は、本発明の他の構成例に係る貨幣釣銭機およびPOSレジスタ300の外観を示す斜視図であり、図9は、図8に示す貨幣釣銭機およびPOSレジスタ300の構成の概略を示す概略構成図であり、図10は、図8に示す貨幣釣銭機およびPOSレジスタ300の制御系の構成を示す機能ブロック図である。
まず、硬貨釣銭機100の構成について具体的に説明する。図8および図9に示すように、硬貨釣銭機100は、前部上面にタッチパネル等の操作表示部112が設けられた筐体110を備えている。なお、図8および図10に示す例では、操作表示部112が硬貨釣銭機100に設けられている場合についての態様について述べたが、このような例に限定されることはない。本実施の形態による貨幣釣銭機の他の例として、硬貨釣銭機ではなく紙幣釣銭機に操作表示部が設けられていてもよく、あるいは硬貨釣銭機および紙幣釣銭機の両方に操作表示部がそれぞれ設けられていてもよい。また、筐体110の前部には硬貨受入部114および硬貨払出部116がそれぞれ設けられている。
また、図9に示すように、この硬貨受入部114には、当該硬貨受入部114により機体内に取り込まれた硬貨を搬送する入金搬送部103が接続されている。ここで、硬貨受入部114には、当該硬貨受入部114に投入された硬貨を1枚ずつ入金搬送部103に繰り出す繰出部として搬送ベルト等が設けられている。また、硬貨受入部114には、当該硬貨受入部114内に硬貨が残留するか否かを検知する光センサ等の残留検知センサ114a(図9参照)が設けられている。そして、硬貨釣銭機100において硬貨の入金処理が行われる際に、硬貨受入部114内に硬貨が存在することが残留検知センサ114aにより検知されると繰出部としての搬送ベルトが駆動され、硬貨受入部114に受け入れられた硬貨が1枚ずつ搬送ベルトにより入金搬送部103に繰り出されるようになる。
図9に示すように、入金搬送部103の途中箇所には、硬貨の金種、真偽、正損、新旧、搬送状態等の識別を行う硬貨識別部101と、分岐部104とがそれぞれ設けられている。分岐部104は、硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部116から払い出されるべき硬貨を入金搬送部103から出金搬送部108に分岐させるようになっている。
一方、正常硬貨等の機体内に収納されるべき硬貨は入金搬送部103により各硬貨収納部106へ搬送されるようになっている。各硬貨収納部106は硬貨を金種別に収納するようになっている。具体的には、例えば入金搬送部103の上流側から高額順に硬貨が収納される。
出金搬送部108は、各硬貨収納部106から繰り出された硬貨を硬貨払出部116へ搬送するようになっている。また、出金搬送部108は、分岐部104により入金搬送部103から分岐させられたリジェクト硬貨等も硬貨払出部116へ搬送するようになっている。
図9に示すように、硬貨払出部116の底部には開口が設けられており、この開口は図示しない開閉部材により開閉自在となっている。また、硬貨払出部116の底部に設けられた開口の近傍には、硬貨回収袋119(図8参照)が取り付けられる袋取付部118が設けられている。硬貨払出部116の底部に設けられた開口が開かれ、袋取付部118に硬貨回収袋119が取り付けられると、出金搬送部108から硬貨払出部116に送られた硬貨は当該硬貨払出部116に集積されることなく硬貨回収袋119に収納されるようになる。
次に、紙幣釣銭機200の構成について具体的に説明する。図8および図9に示すように、紙幣釣銭機200は、筐体210と、この筐体210内の略中央部に設けられた環状の周回搬送部203aとを備えている。また、紙幣受入部214、3つの紙幣収納部206、紙幣払出部216、出金リジェクト部204および紙幣回収カセット207が、周回搬送部203aを外側から取り囲むように配置されている。
また、紙幣釣銭機200の筐体210の内部には、紙幣受入部214、各紙幣収納部206、紙幣払出部216、出金リジェクト部204および紙幣回収カセット207の各々と、周回搬送部203aとの間をそれぞれ接続する複数の接続搬送部203bが形成されている。また、周回搬送部203aには紙幣識別部201が設けられており、この紙幣識別部201は、当該紙幣識別部201を通過する紙幣の金種、真偽、正損、新旧、搬送状態等の識別を行うようになっている。
また、周回搬送部203aと各接続搬送部203bとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部203aに沿って配置されている。
図2および図3に示すように、筐体210の前面には、紙幣受入部214の紙幣受入口214aと、紙幣払出部216の紙幣取出口216aとがそれぞれ設けられている。また、紙幣回収カセット207は筐体210に対して着脱可能に設置されている。
紙幣受入部214は、投入された紙幣を検知すると駆動され、紙幣受入口214aに挿入された入金紙幣を一括で取り込んで、周回搬送部203a側へ1枚ずつ繰り出すようになっている。各紙幣収納部206は、紙幣識別部201の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納する。紙幣払出部216は、各紙幣収納部206から周回搬送部203aに繰り出された紙幣を紙幣取出口216aより筐体210の外部へ放出するようになっている。
出金リジェクト部204は、紙幣の出金処理が行われる際に紙幣収納部206から繰り出された紙幣のうち、斜行等の搬送異常により紙幣識別部201で正常に識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納する。また、紙幣受入部214から機体内に取り込まれた紙幣のうち、汚損等により紙幣識別部201で正常に識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部216に返却されるようになっている。
紙幣回収カセット207は筐体210の前面から引き出すことにより当該筐体210の外部に取り出すことができるようになっている。
次に、POSレジスタ300の構成について具体的に説明する。POSレジスタ300は、商品の購入情報を登録するとともに、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に対して硬貨や紙幣の入出金処理を行わせるようになっている。
POSレジスタ300のPOS制御部330は、図9に示すように、硬貨釣銭機100の上位制御部120に通信可能に接続されているとともに、店舗サーバ500にも通信可能に接続されている。そして、このPOS制御部330は、硬貨釣銭機100の上位制御部120を介して当該硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230に指令を送ることにより硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に対して硬貨や紙幣の入出金処理を行わせるようになっている。また、POS制御部330は、硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230から、上位制御部120を介して、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況に係る情報を受け取るようになっている。
操作部304は、店員が操作することができるようになっており、POS制御部330に対して様々な指令を与えることができるようになっている。また、表示部302は、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の在高を表示するようになっている。また、POSレジスタ300には顧客向けの追加の表示部302aが設けられており、様々な情報を表示部302に表示させる代わりに、あるいは表示部302における表示に加えて、追加の表示部302aにおいて顧客向けの表示が行われるようになっている。また、POSレジスタ300にはカードリーダライタ336および印字部338が設けられている(図10参照、図8および図9では図示せず)。カードリーダライタ336は、店員のIDカードを読み取ることにより店員のIDや権限等に関する情報を取得するようになっている。また、印字部338は例えばプリンタから構成され、取引内容を印字したり(通常の取引レシート)、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の在高等の様々な情報を印字したりするようになっている。
また、図8等に示すように、POSレジスタ300には、商品棚に陳列される商品に付されたバーコードの情報を読み取るバーコードスキャナ350が設けられている。
図10は、上述のような構成からなる硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200およびPOSレジスタ300の制御系の構成を示す制御ブロック図である。図10に示すように、硬貨釣銭機100の上位制御部120には、硬貨釣銭機100のインターフェース132、操作表示部112および記憶部134がそれぞれ接続されている。この上位制御部120は、インターフェース132により、紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230およびPOSレジスタ300のPOS制御部330に対して信号の送受信を行うようになっている。また、店員により操作表示部112に入力された指令が当該操作表示部112から上位制御部120に送られるとともに、上位制御部120は操作表示部112に指令を送ることにより当該操作表示部112に様々な情報を表示させるようになっている。より詳細には、操作表示部112には、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の在高が表示されるようになっている。また、記憶部134には、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理履歴や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の在高等の様々な情報が記憶されるようになっている。
硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130には、硬貨受入部114、入金搬送部103、硬貨識別部101、分岐部104、硬貨収納部106、出金搬送部108、硬貨払出部116等がそれぞれ接続されており、硬貨識別部101から硬貨釣銭機制御部130に硬貨の識別結果が送られるとともに、硬貨釣銭機制御部130から硬貨受入部114、入金搬送部103、分岐部104、硬貨収納部106、出金搬送部108、硬貨払出部116等の各々に対して様々な指令が送られるようになっている。
紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230には、インターフェース232、紙幣受入部214、周回搬送部203a、接続搬送部203b、紙幣識別部201、紙幣収納部206、出金リジェクト部204、紙幣払出部216等がそれぞれ接続されており、紙幣識別部201から紙幣釣銭機制御部230に紙幣の識別結果が送られるとともに、紙幣釣銭機制御部230から紙幣受入部214、周回搬送部203a、接続搬送部203b、紙幣収納部206、出金リジェクト部204、紙幣払出部216等の各々に対して様々な指令が送られるようになっている。また、紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230は、インターフェース232により、硬貨釣銭機100の上位制御部120に対して信号の送受信を行うようになっている。
また、POSレジスタ300のPOS制御部330には、表示部302、操作部304、記憶部334、インターフェース332、カードリーダライタ336、印字部338等がそれぞれ接続されており、店員によって操作部304により入力された指令が当該操作部304からPOS制御部330に送られたり、カードリーダライタ336により読み取られた店員のIDカードに係る情報がPOS制御部330に送られたりするようになっている。また、POS制御部330は表示部302に指令を送ることにより当該表示部302に様々な情報を表示させるようになっている。また、POS制御部330は、表示部302に様々な情報を表示させる代わりに、あるいは表示部302における表示に加えて、追加の表示部302aにおいて顧客向けの表示を行わせるようになっている。また、POS制御部330は印字部338に指令を送ることにより当該印字部338により様々な情報を印字させるようになっている。また、POSレジスタ300のPOS制御部330は、インターフェース332により、硬貨釣銭機100の上位制御部120や店舗サーバ500に対して信号の送受信を行うようになっている。また、記憶部334には、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から送信された、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の在高等の様々な情報が記憶されるようになっている。
次に、図8乃至図10に示す硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において硬貨や紙幣の入金処理や出金処理を行う際の動作について以下に説明する。
まず、硬貨釣銭機100において硬貨の入金処理を行う場合の動作について以下に説明する。硬貨釣銭機100の硬貨受入部114に硬貨が受け入れられると、硬貨受入部114は、受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ機体内に取り込み、取り込まれた硬貨は入金搬送部103により搬送される。そして、入金搬送部103により搬送される硬貨は硬貨識別部101により硬貨の識別が行われる。硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部116から払い出されるべき硬貨であると識別された硬貨は、分岐部104により入金搬送部103から出金搬送部108に分岐させられ、当該出金搬送部108により硬貨払出部116に搬送される。一方、硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、正常硬貨等の機体内に収納されるべき硬貨であると識別された硬貨は、入金搬送部103により硬貨収納部106へ搬送され、当該硬貨収納部106に金種別に収納される。
次に、硬貨釣銭機100において硬貨の出金処理を行う場合の動作について以下に説明する。硬貨釣銭機100から釣銭としての硬貨を出金する場合には、操作者は操作表示部112により出金されるべき硬貨の金種別の枚数や合計金額等を入力する。あるいは、POSレジスタ300のPOS制御部330から出金指令が上位制御部120を介して硬貨釣銭機制御部130に送られることにより、硬貨釣銭機100から釣銭としての硬貨が出金されるようになる。硬貨釣銭機制御部130に対して出金指令が与えられると、硬貨収納部106に収納されている硬貨が当該硬貨収納部106から繰り出され、繰り出された硬貨は出金搬送部108により硬貨払出部116へ搬送される。このようにして、操作者は、硬貨払出部116から硬貨を取り出すことができるようになる。
次に、紙幣釣銭機200において紙幣の入金処理が行われる際の動作について説明する。紙幣釣銭機200の紙幣受入口214aに紙幣が投入されると、紙幣受入部214は、紙幣受入口214aに投入された入金紙幣を一括で取り込んで、接続搬送部203bを介して周回搬送部203aに紙幣を1枚ずつ繰り出す。そして、周回搬送部203aに繰り出された紙幣は当該周回搬送部203aにより搬送され、この際に紙幣識別部201により紙幣の識別が行われる。紙幣識別部201により識別が行われた紙幣のうち正常な紙幣であると判別された紙幣は、その金種に対応する各紙幣収納部206に送られ、これらの紙幣収納部206に収納される。具体的には、ある紙幣収納部206には千円紙幣が収納され、別の紙幣収納部206には二千円紙幣および五千円紙幣が混合状態で収納され、更に別の紙幣収納部206には一万円紙幣が収納される。一方、紙幣識別部201による識別結果により正常な紙幣ではないと判別された紙幣は入金リジェクト紙幣として周回搬送部203aおよび接続搬送部203bにより紙幣払出部216に搬送され、この紙幣払出部216に集積される。そして、紙幣受入口214aに投入された入金紙幣が全て各紙幣収納部206または紙幣払出部216に送られた後、紙幣払出部216に集積された入金リジェクト紙幣が紙幣取出口216aに送られる。このことにより、操作者は、入金リジェクト紙幣を紙幣取出口216aから取り出して紙幣受入部214の紙幣受入口214aに再投入することができるようになる。
次に、紙幣釣銭機200において紙幣の出金処理が行われる際の動作について以下に説明する。出金される紙幣の合計金額あるいは金種別の枚数等を含む出金処理の開始指令がPOSレジスタ300の操作部304や硬貨釣銭機100の操作表示部112により上位制御部120に入力されると、各紙幣収納部206に収納されている紙幣が1枚ずつ接続搬送部203bに繰り出され、この接続搬送部203bから周回搬送部203aに紙幣が受け渡される。周回搬送部203aに送られた紙幣は当該周回搬送部203aで少なくとも1周回るよう搬送され、この際に紙幣識別部201により紙幣の金種、真偽、正損、新旧、搬送状態等の識別が行われる。紙幣識別部201により識別が行われた紙幣のうち正常な紙幣であると判別された紙幣は紙幣払出部216に搬送され、この紙幣払出部216に集積される。一方、紙幣識別部201による識別結果により正常な紙幣ではないと判別された紙幣(例えば、重送や斜行等の搬送異常の紙幣)は出金リジェクト紙幣として周回搬送部203aおよび接続搬送部203bにより出金リジェクト部204に搬送され、この出金リジェクト部204に集積される。出金リジェクト部204に集積された出金リジェクト紙幣は、店舗の店長や管理者等の所定の権限を有する者が紙幣釣銭機200の筐体210から本体部分を手前側に引き出すことにより出金リジェクト部204から取り出すことができるようになる。そして、出金されるべき紙幣が各紙幣収納部206から紙幣払出部216に送られた後、紙幣払出部216に集積された紙幣が一括して紙幣取出口216aに送られる。このことにより、操作者は、出金紙幣を紙幣取出口216aから取り出すことができるようになる。
また、図8乃至図10に示す貨幣釣銭機では、警送会社等の回収業者が硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から硬貨や紙幣を回収することができるようになっている。また、警送会社等の回収業者により硬貨や紙幣の回収処理が行われる際に、当該回収業者は硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において硬貨や紙幣の引渡処理を行うことができるようになっている。具体的には、硬貨釣銭機100において硬貨の引渡処理を行うにあたり、まず硬貨払出部116の底部に設けられた開口を開くとともに、袋取付部118に硬貨回収袋119を取り付ける。その後、硬貨収納部106に収納されている硬貨が当該硬貨収納部106から繰り出され、繰り出された硬貨が出金搬送部108により硬貨払出部116へ搬送されると、出金搬送部108から硬貨払出部116に送られた硬貨は当該硬貨払出部116に集積されることなく硬貨回収袋119に収納されるようになる。また、紙幣釣銭機200において紙幣の引渡処理を行うにあたり、筐体210の内部に紙幣回収カセット207を装着させる。その後、各紙幣収納部206に収納されている紙幣が1枚ずつ接続搬送部203bに繰り出され、この接続搬送部203bから周回搬送部203aに紙幣が受け渡される。そして、周回搬送部203aに送られた紙幣は当該周回搬送部203aで少なくとも1周回るよう搬送され、この際に紙幣識別部201により紙幣の金種、真偽、正損、新旧、搬送状態等の識別が行われる。紙幣識別部201により識別が行われた紙幣のうち正常な紙幣であると判別された紙幣は紙幣回収カセット207に搬送され、この紙幣回収カセット207に収納される。
上述したように図8乃至図10に示す貨幣釣銭機において硬貨や紙幣の引渡処理が行われた後、警送会社等の回収業者が硬貨釣銭機100の袋取付部118から硬貨回収袋119を取り出したり紙幣釣銭機200の筐体210から紙幣回収カセット207を取り出したりすることにより、当該回収業者は硬貨や紙幣を硬貨回収袋119や紙幣回収カセット207ごと回収することができるようになる。
また、上述したように図8乃至図10に示す貨幣釣銭機において、図1乃至図7に示す貨幣処理機10と同様の原理により、硬貨や紙幣の入金処理が行われる度に上述した硬貨や紙幣の引渡処理が行われるようになっていてもよい。具体的には、記憶部134には、各硬貨収納部106や各紙幣収納部206に残置されるべき硬貨や紙幣の合計金額である残置合計金額および各硬貨収納部106や各紙幣収納部206に残置されるべき硬貨や紙幣の金種毎の枚数である金種毎残置枚数に係る情報が記憶されるようになっている。また、上位制御部120は、硬貨や紙幣の入金処理が行われる際に、各硬貨収納部106や各紙幣収納部206に収納されている硬貨や紙幣の合計金額が記憶部134に記憶されている残置合計金額よりも多い場合に、各硬貨収納部106や各紙幣収納部206に収納されている硬貨や紙幣の合計金額が記憶部134に記憶されている残置合計金額と略同一になり、かつ各硬貨収納部106や各紙幣収納部206に収納されている硬貨や紙幣の枚数が記憶部134に記憶されている金種毎残置枚数に近づくように、硬貨受入部114や紙幣受入部214または各硬貨収納部106や各紙幣収納部206から硬貨回収袋119や紙幣回収カセット207(回収部)に硬貨や紙幣を送る貨幣送り処理が行われるようになっている。この場合には、図8乃至図10に示す貨幣釣銭機において硬貨や紙幣の入金処理が行われる度に、所定の残置合計金額の貨幣を各硬貨収納部106や各紙幣収納部206に残し、それ以外の貨幣を硬貨回収袋119や紙幣回収カセット207に送ることにより、硬貨や紙幣を硬貨回収袋119や紙幣回収カセット207に送る貨幣送り処理をこまめに行うことができるようになる。このため、毎回の貨幣送り処理にかかる時間を短縮することができるとともに各硬貨収納部106や各紙幣収納部206に収納される硬貨や紙幣の量を減らすことができるようになる。
なお、図8乃至図10に示す貨幣釣銭機において、硬貨や紙幣の入金処理が行われる度に硬貨や紙幣の引渡処理を行うにあたり、硬貨釣銭機100に設けられた上位制御部120ではなく、POSレジスタ300に設けられたPOS制御部330が上述した制御と同様の制御を行うようになっていてもよい。すなわち、POSレジスタ300のPOS制御部330から硬貨釣銭機100の上位制御部120に指令信号が送られることにより、貨幣釣銭機において硬貨や紙幣の入金処理が行われる際に、各硬貨収納部106や各紙幣収納部206に収納されている硬貨や紙幣の合計金額が記憶部134に記憶されている残置合計金額よりも多い場合に、各硬貨収納部106や各紙幣収納部206に収納されている硬貨や紙幣の合計金額が記憶部134に記憶されている残置合計金額と略同一になり、かつ各硬貨収納部106や各紙幣収納部206に収納されている硬貨や紙幣の枚数が記憶部134に記憶されている金種毎残置枚数に近づくように、硬貨受入部114や紙幣受入部214または各硬貨収納部106や各紙幣収納部206から硬貨回収袋119や紙幣回収カセット207(回収部)に硬貨や紙幣を送る貨幣送り処理が行われるようになっていてもよい。また、POSレジスタ300に設けられた記憶部334に、各硬貨収納部106や各紙幣収納部206に残置されるべき硬貨や紙幣の合計金額である残置合計金額および各硬貨収納部106や各紙幣収納部206に残置されるべき硬貨や紙幣の金種毎の枚数である金種毎残置枚数に係る情報が記憶されるようになっていてもよい。この場合には、このようなPOSレジスタ300のPOS制御部330や記憶部334も、本発明に係る貨幣処理機に含まれるものとする。