以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する。また、異なる実施形態の類似する構成要素については、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素等の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
[1.各実施形態の概要]
[1−1.紙幣処理装置の構成]
まず、本発明の各実施形態の概要について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る紙幣処理装置の外観を示す斜視図である。図1に示すように、紙幣処理装置1は、紙幣を計数し、紙幣を所定枚数毎に結束して整理するようになされている。例えば、紙幣処理装置1は、金融機関の現金センタ等に設置され、金融機関の職員等(以下、「操作者」とも言う。)の操作に従い、紙幣の整理を実行するようになされている。
紙幣処理装置1は、直方体状に構成された筐体2の内部に種々の機構が組み込まれている。筐体2の上部後方には、各種画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、操作者の入力操作を受け付けるタッチパネルとが一体化された操作表示部4が取り付けられている。操作表示部4は、所定の操作画面を表示しながら、動作モードの指定や、計数すべき紙幣の金種、集積順序等の設定作業を操作者に行わせる。また、操作表示部4は、鑑別された紙幣の金種や正損、計数結果等の表示も行う。
なお、以下では、操作者が対峙する正面へ向かう方向を前方向と定義し、その反対を後方向と定義して説明する。さらに、以下では、紙幣処理装置1の前側に対峙した操作者から見た左右方向を左右方向と定義し、紙幣処理装置1の前側に対峙した操作者から見た上下方向を上下方向と定義して説明する。
筐体2の前側上部には、紙幣を筐体2の内部に取り込む紙幣取込部5が設けられている。紙幣取込部5は、フロアガイド20、左側壁22および右側壁24によって囲まれており、これらによって紙幣を取り込む空間が形成されている。本実施形態においては、紙幣の長手方向を紙幣処理装置1の左右方向に沿わせるようにフロアガイド20に紙幣が載置される。紙幣処理装置1は、例えば、中国用の紙幣(例えば、100元紙幣および10元紙幣)を取り込み、所定枚数毎に結束して整理するようになされている。
左側壁22の内壁面(右側面)である左壁面23と右側壁24の内壁面(左側面)である右壁面25との間の距離は、紙幣処理装置1において取り扱われる紙幣のうち、最も長い長手方向の長さよりもやや長く設定されている。また、紙幣取込部5は、操作者により紙幣がフロアガイド20に載置されて操作ボタン6が操作されると、この紙幣を1枚ずつに分離して筐体2の内部へ取り込む。
図2は、本発明の実施形態に係る紙幣処理装置の内部構造を示す概略側面図である。鑑別部32は、紙幣取込部5によって取り込まれた対象物を鑑別する。より具体的には、鑑別部32は、紙幣取込部5によって取り込まれた対象物が正常紙幣であるか否か(紙幣取込部5によって取り込まれた対象物の紙幣としての真偽)を検出する。また、鑑別部32は、紙幣取込部5によって取り込まれた対象物の紙幣としての金種、正損、表裏等を鑑別する。また、鑑別部32は、金種ごとの紙幣の計数を行うとともに搬送異常の検出を行う。
搬送路33a〜33fは、対象物を搬送する。また、表裏反転部34は、紙幣の表裏反転を行う。例えば、表裏反転部34は、鑑別部32の後段に設けられる。リジェクト部(以下、「リジェクト口」または「RJ口」とも言う。)9は、鑑別結果によって対象物が正常紙幣ではないことが示される場合に、正常ではないと鑑別された対象物(以下、「リジェクト券」または「RJ券」とも言う。)を集積物として集積する。より具体的には、RJ口9は、鑑別部32によって金種不明と鑑別されたり、搬送異常が検知されたりした対象物を集積物として集積する。リジェクト部9は、筐体2(図1)における紙幣取込部5の上方に一部又は全部を露出させるように配置されており、搬送路33eにより搬送されてきた紙幣を集積し、作業者に取り出させるようになされている。
外部集積部(以下、「出金口」とも言う。)11a、11bは、筐体2(図1)の上部における操作表示部4の前方に一部を露出させるように前後方向に並んで配置されており、リジェクト部9と同様、搬送路33g、搬送路33fにより搬送されてきた紙幣を集積する。より具体的には、出金口11a、11bは、施封(結束)対象外の金種の紙幣を集積する。出金口11a、11bは、それぞれに集積された紙幣が操作者によって直接的に手で抜き取られ得るように開放されている。
ブレード37は、搬送路33bと搬送路33eとの分岐部分、搬送路33bと搬送路33fとの分岐部分、搬送路33eと搬送路33gとの分岐部分、および、搬送路33cと表裏反転部34との分岐部分それぞれに設けられる。これらのブレード37によって、紙幣の搬送方向が切り替えられる。
一時集積部38a〜38eは、施封される紙幣を金種別に集積することが可能である。ここでは、一時集積部38は、上下方向に並べて5つ設けられている。しかし、一時集積部38の数は、特に限定されない。また、例えば、一時集積部38a〜38eは、それぞれ100枚の紙幣を集積可能である。しかし、一時集積部38a〜38eに集積可能な紙幣の枚数は、特に限定されない。
移送部39は、一時集積部38a〜38eそれぞれに集積された複数の紙幣を一括してクランプし、下方に配置された紙幣結束部40に移送して引き渡す機能を有している。また、紙幣結束部40は、移送部39から受け取った紙幣を紙テープ等の施封材により小束に施封して排出口から排出する機能を有している。
記憶部42は、紙幣処理装置1の動作に必要な各種情報(例えば、データ、プログラムなど)を記憶する。制御部41は、記憶部42によって記憶されているプログラムを実行することによって、紙幣処理装置1の全体的な動作の制御を行う機能を有している。以下においては、制御部41によって制御される紙幣処理装置1の全体的な動作の一例を簡単に説明する。
[1−2.紙幣処理装置の動作]
まず、紙幣処理装置1は、操作者によって金種混合の複数枚の紙幣が紙幣取込部5にセットされると、搬送路33aにより複数枚の紙幣を1枚ずつ鑑別部32に搬送し、鑑別部32により金種や正損等の鑑別を行う。そして、あらかじめオペレータによって施封対象として指定された金種の紙幣は、搬送路33bにより搬送路33cに搬送された後、または、表裏反転部34に搬送されて表裏が揃えられた後、搬送路33dにより矢印方向に搬送されて、その紙幣の金種に対応する一時集積部38に集積される。
続いて、紙幣処理装置1は、その紙幣の金種に対応する一時集積部38に集積されている紙幣枚数があらかじめ設定された所定枚数に達すると、一時集積部38に集積された上限枚数の紙幣を紙幣結束部40に移送し、紙幣結束部40により、紙テープ等の施封材を用いて上限枚数の紙幣を小束に施封する。
一方、鑑別部32により、正常紙幣ではないと鑑別されたRJ券は、搬送路33b、33eによりRJ口9に搬送される。また、鑑別部32により、結束対象外と鑑別された金種の紙幣は、搬送路33bおよび搬送路33fにより出金口11aに搬送され得る。あるいは、鑑別部32により、結束対象外と鑑別された金種の紙幣は、搬送路33b、33gにより出金口11bに搬送され得る。RJ口9に集積されたRJ券は、操作者により回収され得る。また、出金口11a、および、出金口11bそれぞれに集積された紙幣も、操作者により回収され得る。
以上、制御部41によって制御される紙幣処理装置1の全体的な動作の一例を簡単に説明した。本発明の実施形態においては、制御部41が、筐体2の内部に取り込まれた物(以下、「対象物」とも言う。)がRJ券であると鑑別された場合、かつ、所定の条件が満たされる場合、対象物をRJ口9とは異なる所定領域に搬送させる。かかる構成により、所定領域にもRJ券が搬送されるため、操作者の作業が頻発したり、紙幣処理装置の停止が頻発してしまったりする可能性が低減され、操作性および紙幣処理の効率が向上される。
所定領域はどの領域であってもよい。例えば、所定領域は、出金口11aであってもよい。すなわち、制御部41は、対象物がRJ券であると鑑別された場合、かつ、所定の条件が満たされる場合、対象物を出金口11aに搬送させてもよい。ここで、RJ券が、筐体2の外部に露出している出金口11aに搬送されれば、操作者が出金口11aからRJ券を取り出しやすくなる。そのため、操作者による操作性が向上するといった利点も享受され得る。
あるいは、所定領域は、出金口11bであってもよい。すなわち、制御部41は、対象物がRJ券であると鑑別された場合、かつ、所定の条件が満たされる場合、対象物を出金口11bに搬送させてもよい。ここで、RJ券が、筐体2の外部に露出している出金口11bに搬送されれば、操作者が出金口11bからRJ券を取り出しやすくなる。そのため、操作者による操作性が向上するといった利点も享受され得る。
あるいは、所定領域は、一時集積部38であってもよい。すなわち、制御部41は、対象物がRJ券であると鑑別された場合、かつ、所定の条件が満たされる場合、対象物を一時集積部38に搬送させてもよい。
また、所定領域が正常紙幣の集積に使用されてしまっている場合、RJ券を所定領域に搬送させてしまうと、所定領域においてRJ券と正常紙幣とが混ざり合ってしまい、RJ券と正常紙幣とを分離する作業が必要となってしまう。そこで、かかる状況を回避すべく、制御部41は、対象物がRJ券であると鑑別された場合、かつ、所定領域が正常紙幣の集積に使用されていない場合、対象物を所定領域に搬送させるようにしてもよい。一方、制御部41は、対象物がRJ券ではないと鑑別された場合、かつ、所定領域が正常紙幣の集積に使用されている場合、対象物を所定領域に搬送させないようにするのがよい。
また、上記した所定の条件も特に限定されない。例えば、所定の条件は、RJ口9に集積されている集積物枚数が所定枚数に達しているという条件であってもよい。すなわち、対象物がRJ券であると鑑別された場合、かつ、RJ口9に集積されている集積物枚数が所定枚数に達している場合、対象物を所定領域に搬送させるようにしてもよい。以下の説明では、所定枚数は、集積可能枚数の最大値である場合を例として説明するが、所定枚数は、集積可能枚数の最大値よりも小さい所定値であってもよい。
一方、制御部41は、対象物がRJ券であると鑑別された場合、かつ、RJ口9に集積されている集積物枚数が所定枚数に達していない場合、対象物をRJ口9に搬送させるようにすればよい。なお、以下の説明においては、所定領域に集積されている紙幣枚数(または集積物枚数)が所定枚数に達している状況を紙幣枚数(または集積物枚数)が「満杯」であると表現することがある。
また、制御部41は、対象物を所定領域に搬送させる場合には、対象物が所定領域に搬送される旨を示す所定の情報を操作表示部4に表示させるのがよい。そうすれば、操作表示部4によって表示された所定の情報を閲覧することによって、操作者は対象物が所定領域に搬送される旨を容易に把握することが可能となる。
[2.第1の実施形態の説明]
続いて、本発明の第1の実施形態について説明する。本発明の第1の実施形態においては、RJ券の集積先を設定可能にする。図3は、RJ券の集積先設定前におけるRJ券の搬送ルートを示す図である。図3の太線に示すように、RJ券の集積先設定前においては、RJ口9がRJ券の集積先となっている。以下、操作表示部4における表示画面を用いてRJ券の集積先を設定する例を説明する。
図4は、出金口および集積庫それぞれに集積させる券に関する設定を行うための設定画面の例を示す図である。図4に示すように、制御部41は、設定画面G1を操作表示部4に表示させる。設定画面G1は、出金口11aに集積させる券に関する設定を行うための「出金口1」ボタンG11、出金口11bに集積させる券に関する設定を行うための「出金口2」ボタンG12、一時集積部38a〜38eそれぞれに集積させる券に関する設定を行うための「集積庫」ボタンG20を含んでいる。
また、設定画面G1は、「金種設定」変更ボタンG31、「券種設定」変更ボタンG32、「方向設定」変更ボタンG33、「版数設定」変更ボタンG34を含んでいる。金種は、紙幣の金額を示し、100元紙幣、10元紙幣などに相当する。券種は、紙幣の状態を示し、図5を用いて後に説明するような各種の状態に相当する。方向は、紙幣の表裏を示す。版数は、紙幣の製造年を示し、2000年発行などに相当する。
また、設定画面G1は、「取消」ボタンG41、「全クリア」ボタンG42、「確認」ボタンG43を含んでいる。例えば、操作者が「出金口1」ボタンG11を選択する操作を行い、「券種設定」変更ボタンG32を選択する操作を行うと、制御部41は、出金口11aに集積させる券種を選択するための選択画面を操作表示部4に表示させる。図5は、券種を選択するための選択画面の例を示す図である。
図5に示すように、選択画面G2は、「任意券」選択ボタンG51、「ATM券」選択ボタンG52、「流通券」選択ボタンG53、「損券」選択ボタンG54、「ATM券+流通券」選択ボタンG55、「流通券+損券」選択ボタンG56、「真偽不明券」選択ボタンG57、「指定記番号」選択ボタンG58、「RJ券」選択ボタンG59、取消ボタンG60を含んでいる。
ここで、「ATM券」は、ATM(automated teller machine)での取り扱いを許容する券に相当する。また、「流通券」は、銀行窓口、ATMなどに流通させることを許容する券に相当する。「指定記番号」は、指定された記番号が付された券に相当する。「取消」は、券種の選択を取り消すことを意味する。
選択画面G2において、操作者が「RJ券」選択ボタンG59を選択する操作を行うと、制御部41は、選択画面G2から設定画面G1に表示画面を遷移させる。このとき、設定画面G1の「券種設定」に対応する欄は、「RJ券」に変化してよい。設定画面G1において、操作者が「確認」ボタンG43を選択すると、制御部41は、出金口11aに集積させる券種としてRJ券を設定し、設定が完了した旨を示す完了画面を操作表示部4に表示させる。
図6は、RJ券の集積先として出金口11aを設定した後に表示される完了画面の例を示す図である。図6に示すように、完了画面G3−1は、出金口11a、出金口11b、一時集積部38a〜38eそれぞれに集積させる券種を有している。出金口1(出金口11a)の券種は「RJ券」に設定されている。また、完了画面G3−1は、出金口11a、出金口11bそれぞれに集積されている紙幣の現在枚数および設定枚数(上記の「所定枚数」に相当)を有している。また、完了画面G3−1は、一時集積部38a〜38eそれぞれに集積されている紙幣の集積枚数を有している。また、完了画面G3−1は、一時集積部38a〜38eから紙幣結束部40に搬送された紙幣の束の数である束数を有している。
このように設定された状態において取引が開始されると、制御部41は、対象物がRJ券であると鑑別された場合、RJ券の集積先として設定された出金口11aにも対象物を搬送させることが可能となる。図7は、RJ券の集積先を出金口11aに設定した後におけるRJ券の搬送ルートを示す図である。図7の太線に示すように、RJ券の集積先設定後においては、RJ口9の他に出金口11aがRJ券の集積先となっている。
なお、同様な手法により、出金口11bをRJ券の集積先として設定することも可能である。図8は、RJ券の集積先として出金口11bを設定した後に表示される完了画面の例を示す図である。出金口2(出金口11b)の券種は「RJ券」に設定されている。図9は、RJ券の集積先を出金口11bに設定した後におけるRJ券の搬送ルートを示す図である。図9の太線に示すように、RJ券の集積先設定後においては、RJ口9の他に出金口11bがRJ券の集積先となっている。
また、同様な手法により、出金口11aおよび出金口11bをRJ券の集積先として設定することも可能である。図10は、RJ券の集積先として出金口11aおよび出金口11bを設定した後に表示される完了画面の例を示す図である。出金口1(出金口11a)および出金口2(出金口11b)それぞれの券種は「RJ券」に設定されている。図11は、RJ券の集積先を出金口11aおよび出金口11bに設定した後におけるRJ券の搬送ルートを示す図である。図11の太線に示すように、RJ券の集積先設定後においては、RJ口9の他に出金口11aおよび出金口11bがRJ券の集積先となっている。
以上に説明したように、本発明の第1の実施形態によれば、操作者による操作に従ってRJ券の集積先を設定することが可能となる。かかる構成により、RJ券の集積先として設定された出金口11aまたは出金口11bにもRJ券が搬送されるため、操作者の作業が頻発したり、紙幣処理装置1の停止が頻発してしまったりする可能性が低減され、操作性および紙幣処理の効率が向上される。
[3.第2の実施形態の説明]
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。本発明の第2の実施形態においては、本発明の第1の実施形態と異なる点を主に説明する。本発明の第2の実施形態においては、制御部41は、対象物がRJ券であることが鑑別された場合であっても、RJ口9に集積されている集積物枚数が所定枚数に達している場合には、さらにRJ券をRJ口9に集積させるのが困難である。このとき、図12に示すように、制御部41は、完了画面G3−4にRJ口9が満杯である旨を付してもよい。
そこで、かかる場合には、制御部41は、出金口11aが紙幣の集積に使用されていない場合(出金口11aの券種が指定されていない場合)、出金口11aをRJ券の集積先として自動的に設定し、RJ券と鑑別された対象物を出金口11aに搬送させる。このとき、図13に示すように、制御部41は、完了画面G3−5にRJ券を出金口11aに搬送させる旨を付してもよい。出金口1(出金口11a)の券種は「RJ券」に設定されている。また、図14は、RJ券の集積先を自動的に設定した後におけるRJ券の搬送ルートを示す図である。図14の太線に示すように、制御部41によってRJ券の集積先が自動的に出金口11aに設定された後においては、出金口11aがRJ券の集積先となっている。
同様に、制御部41は、対象物がRJ券であることが鑑別された場合、かつ、RJ口9に集積されている集積物枚数が所定枚数に達している場合、出金口11bが紙幣の集積に使用されていない場合(出金口11bの券種が指定されていない場合)、出金口11bをRJ券の集積先として自動的に設定し、RJ券と鑑別された対象物を出金口11bに搬送させることも可能である。
以上に説明したように、本発明の第2の実施形態によれば、制御部41によって自動的にRJ券の集積先を設定することが可能となる。かかる構成により、RJ券の集積先を設定するための手間が省略される。また、かかる構成により、本発明の第1の実施形態と同様に、RJ券の集積先として設定された出金口11aまたは出金口11bにもRJ券が搬送されるため、操作者の作業が頻発したり、紙幣処理装置1の停止が頻発してしまったりする可能性が低減され、操作性および紙幣処理の効率が向上される。
[4.第3の実施形態の説明]
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。本発明の第3の実施形態においては、本発明の第2の実施形態と異なる点を主に説明する。本発明の第3の実施形態においては、制御部41は、対象物がRJ券であることが鑑別された場合であっても、RJ口9に集積されている集積物枚数が所定枚数に達している場合に、さらにRJ券をRJ口9に集積させるのが困難である。
かかる場合には、制御部41は、出金口11aよりも手前側に設けられた出金口11bが紙幣の集積に使用されていない場合(出金口11bの券種が指定されていない場合)、出金口11bをRJ券の集積先として自動的に設定し、RJ券と鑑別された対象物を出金口11bに搬送させる。このとき、図15に示すように、制御部41は、完了画面G3−6にRJ券を出金口11bに搬送させる旨を付してもよい。出金口2(出金口11b)の券種は「RJ券」に設定されている。
また、図16は、RJ券の集積先を自動的に設定した後におけるRJ券の搬送ルートを示す図である。図16の太線に示すように、制御部41によってRJ券の集積先が自動的に出金口11bに設定された後においては、出金口11bがRJ券の集積先となっている。さらに、出金口11bに集積されるRJ券が満杯になる場合もあり得る。かかる場合には、制御部41は、対象物がRJ券であることが鑑別された場合であっても、出金口11bに集積されている集積物枚数が所定枚数に達している場合に、さらにRJ券を出金口11bに集積させるのが困難である。
かかる場合には、制御部41は、出金口11bよりも奥側に設けられた出金口11aが紙幣の集積に使用されていない場合(出金口11aの券種が指定されていない場合)、出金口11aをRJ券の集積先として自動的に設定し、RJ券と鑑別された対象物を出金口11aに搬送させる。このとき、図17に示すように、制御部41は、完了画面G3−7にRJ券を出金口11aに搬送させる旨を付してもよい。出金口1(出金口11a)の券種は「RJ券」に設定されている。
また、図18は、RJ券の集積先を自動的に設定した後におけるRJ券の搬送ルートを示す図である。図18の太線に示すように、制御部41によってRJ券の集積先が自動的に出金口11aに設定された後においては、出金口11aがRJ券の集積先となっている。
以上に説明したように、本発明の第3の実施形態によれば、制御部41によって自動的にRJ券の集積先を設定するとともに、取り除きやすい位置(装置の手前側)から順にRJ券を集積することが可能となる。かかる構成により、RJ券の集積先を設定するための手間が省略され、RJ券を取り除く作業の効率が向上する。また、かかる構成により、RJ券の集積先として設定された出金口11aおよび出金口11bにもRJ券が搬送されるため、操作者の作業が頻発したり、紙幣処理装置1の停止が頻発してしまったりする可能性が低減され、操作性および紙幣処理の効率が向上される。
[5.第4の実施形態の説明]
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。本発明の第4の実施形態においては、本発明の第1の実施形態と異なる点を主に説明する。RJ券は偽券、正常紙幣でも折れや破れ等の形状が定かでないもの等多種多様である。RJ券が搬送される搬送路33eはこのような多種多様なRJ券が搬送されることを想定した作りとなっており、搬送路33gや搬送路33fとは材質などの作りが異なっている。したがって、RJ券の種類によっては搬送路33gや搬送路33fに搬送してしまうと搬送エラーを起こしてしまうことがある。そこで、本発明の第4の実施形態においては、制御部41は、対象物の鑑別結果に応じて、対象物をRJ口9および所定領域のいずれかに搬送させる。所定領域は特に限定されないが、一時集積部38a〜38eであってもよいし、出金口11aまたは出金口11bであってもよい。以下では、所定領域が、出金口11aまたは出金口11bである場合を説明する。
例えば、本発明の第1の実施形態による手法と同様に、出金口11aおよび出金口11bもRJ券の集積先として設定されたとする。このように設定された状態において取引が開始されると、制御部41は、対象物の鑑別結果に応じて、対象物をRJ口9、出金口11aまたは出金口11bのいずれかに搬送させることが可能である。
例えば、制御部41は、外形形状が異常なRJ券をRJ口9に搬送させてよい。外形形状が異常なRJ券は、エラー発生により装置が停止してしまう可能性が高いからである。また、搬送路33eは外形形状が異常なRJ券が搬送されてきたとしても搬送に耐えられる作りとなっているが、搬送路33gや搬送路33fは元々外形形状が異常なRJ券を搬送する作りとなっていないため、エラー発生により装置が停止してしまう可能性が高いからである。また、制御部41は、スキューなどといった走行異常が生じたRJ券を出金口11bに搬送させてよい。また、制御部41は、真偽不明券などを、出金口11aに搬送させてよい。しかし、RJ券の種別と集積先との対応関係は、以上に示した例に限定されない。
以上に説明したように、本発明の第4の実施形態によれば、RJ券の種別に応じてRJ券が自動的に仕分けられる。かかる構成により、RJ券の種類に応じた仕分け作業の手間が省略される。また、かかる構成により、本発明の第1の実施形態と同様に、RJ券の集積先として設定された出金口11aまたは出金口11bにもRJ券が搬送されるため、操作者の作業が頻発したり、紙幣処理装置1の停止が頻発してしまったりする可能性が低減され、操作性および紙幣処理の効率が向上される。
[6.第5の実施形態の説明]
続いて、本発明の第5の実施形態について説明する。本発明の第5の実施形態においては、本発明の第1の実施形態と異なる点を主に説明する。本発明の第5の実施形態においては、制御部41は、対象物がRJ券であることが鑑別された場合であっても、RJ口9に集積されている集積物枚数が所定枚数に達している場合には、さらにRJ券をRJ口9に集積させるのが困難である。
そこで、かかる場合には、制御部41は、一時集積部38aをRJ券の集積先として自動的に設定し、RJ券と鑑別された対象物を一時集積部38aに搬送させる。このとき、図19に示すように、制御部41は、完了画面G3−8にRJ券を一時集積部38aに搬送させる旨を付してもよい。集積庫1(一時集積部38a)の券種は「RJ券」に設定されている。
さらに、一時集積部38aに集積されるRJ券が満杯になる場合もあり得る。かかる場合には、制御部41は、対象物がRJ券であることが鑑別された場合であっても、一時集積部38aに集積されている集積物枚数が所定枚数に達している場合に、さらにRJ券を一時集積部38aに集積させるのが困難である。このとき、図20に示すように、制御部41は、完了画面G3−9に集積庫1(一時集積部38a)が満杯である旨を付してもよい。
かかる場合には、制御部41は、集積庫2(一時集積部38b)をRJ券の集積先として自動的に設定し、RJ券と鑑別された対象物を一時集積部38bに搬送させる。このとき、図21に示すように、制御部41は、完了画面G3−10にRJ券を集積庫2(一時集積部38b)に搬送させる旨を付してもよい。出金口2(出金口11b)の券種は「RJ券」に設定されている。
また、RJ口9に集積されている集積物枚数が所定枚数に達している場合であっても、RJ券と鑑別された対象物を一時集積部38aに搬送させないことがあってもよい。例えば、制御部41は、対象物がRJ券であると鑑別された場合、かつ、RJ口9に集積されている集積物枚数が所定枚数に達している場合、かつ、所定の事前設定(例えば、一時集積部38aに対象物を搬送させるためのボタン選択操作の操作表示部4による検出)がなされている場合に、一時集積部38aに対象物を搬送させてもよい。
あるいは、制御部41は、対象物がRJ券であると鑑別された場合、かつ、RJ口9に集積されている集積物枚数が所定枚数に達している場合、かつ、一時集積部38aが正常紙幣の集積に使用されていない場合(一時集積部38aの券種が指定されていない場合)に、一時集積部38aに対象物を搬送させてもよい。
以上においては、一時集積部38aがRJ券の集積先として設定される場合を説明したが、一時集積部38b〜38eのいずれかがRJ券の集積先として設定されてもよい。しかし、通常は、一時集積部38d、38eしか正常紙幣の集積先として使用されていないことがよくあるため、一時集積部38a〜38cがRJ券の集積先として設定されるとよい。つまり、制御部41は、対象物がRJ券であると鑑別された場合、かつ、RJ口9に集積されている集積物枚数が所定枚数に達している場合、かつ、複数ある一時集積部(一時集積部38a〜38c)のいずれか1つ以上の一時集積部が正常紙幣の集積に使用されていない場合に、一時集積部38a〜38cに対象物を搬送させてもよい。このとき、例えば一時集積部38aと一時集積部38bが正常紙幣の集積に使用されていない場合、制御部41は、一時集積部38bより先に一時集積部38aに対象物を搬送させる。一時集積部38aは、一時集積部38bより対象物が搬送される距離が短いので、対象物の搬送エラーが生じる可能性を抑えることが出来るからである。
また、RJ券の集積は順に行われてもよい。例えば、制御部41は、鑑別結果によって対象物が正常紙幣ではないことが示される場合、かつ、RJ口9に集積されている集積物枚数が所定枚数に達している場合、対象物を一時集積部38aに搬送させる。しかし、制御部41は、さらに、一時集積部38aに集積されている紙幣枚数が所定枚数に達している場合には、対象物を一時集積部38bに搬送させるとよい。
また、通常時においては、一時集積部38a〜38eにRJ券は搬送されない。そこで、制御部41は、対象物を一時集積部38a〜38eのいずれかに搬送させる場合、対象物が一時集積部38a〜38eのいずれかに搬送される旨を操作表示部4に表示させるのがよい。
さらに、一時集積部38a〜38eは、筐体2の内部に存在するため、一時集積部38a〜38eに集積されたRJ券は容易に筐体2の外部に取り出し得ない。そのため、制御部41は、操作者による所定の操作(例えば、対象物を出金口11aまたは出金口11bに移動させる旨を示すボタンの選択操作)が操作表示部4によって検出された場合、一時集積部38a〜38eに集積された対象物を出金口11aまたは出金口11bに搬送させるとよい。一時集積部38a〜38eに集積されたRJ券を出金口11aまたは出金口11bに搬送させる技術は、特開2007−066249号公報などによって開示されている。
また、RJ口9が満杯になったら、出金口11aおよび出金口11bにRJ券が集積され、出金口11aおよび出金口11bが満杯になったら、一時集積部38aにRJ券が集積されてもよい。すなわち、制御部41は、対象物がRJ券であると鑑別された場合、かつ、出金口11aまたは出金口11bに集積されている紙幣枚数が所定枚数に達していない場合には、対象物を出金口11aまたは出金口11bに集積する。
一方、制御部41は、対象物がRJ券であると鑑別された場合、かつ、出金口11aまたは出金口11bに集積されている紙幣枚数が所定枚数に達している場合、対象物を一時集積部38aに搬送させるとよい。このような順序でRJ券を集積すれば、RJ券の集積先が多くなるため、操作性および紙幣処理の効率がさらに向上される。そして、よりRJ券を取り除きやすい出金口11aまたは出金口11bから先にRJ券が集積されることによって、RJ券の回収も容易になる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、紙幣処理装置の動作全体を制御するための図示しない制御部が紙幣処理装置の内部に存在してよい。この図示しない制御部は、専用のハードウェアによって構成されてもよいし、紙幣処理装置に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムをRAM(Random Access Memory)に展開して実行することにより実現されてもよい。かかるプログラムが提供され得る他、かかるプログラムを記憶させた記憶媒体も提供され得る。