以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。図1乃至図6は、本実施の形態に係る紙幣処理装置を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態における紙幣処理装置の内部の構成を示す構成図であり、図2は、図1に示す紙幣処理装置の制御ブロック図である。また、図3および図4は、紙幣の整理処理モードにおける入金処理を行う際の動作を示すフローチャートおよび紙幣の流れを示す説明図である。また、図5および図6は、紙幣の整理処理モードにおける出金処理を行う際の動作を示すフローチャートおよび紙幣の流れを示す説明図である。
まず、図1により、本実施の形態の紙幣処理装置10の全体的な構成について説明する。図1に示すように、紙幣処理装置10は略直方体形状の筐体12を備えており、この筐体12の前面には、当該筐体12の外部から内部に紙幣を投入するための投入口14が設けられている。また、投入口14は、筐体12の内部から外部に紙幣を投出するための投出口としても機能するようになっている。すなわち、投入口14は、操作者がこの投入口14に紙幣を投入したりこの投入口14から紙幣を取り出したりすることができるよう構成されている。より具体的には、図1に示すように投入口14は鉛直方向に対して斜めに傾斜しており、この投入口14には紙幣が積層状態で斜めに傾斜して投入されるようになっている。図1において、投入口14に投入された紙幣を参照符号Pで示す。
投入口14には紙幣繰出機構14aが設けられており、この紙幣繰出機構14aにより投入口14に集積された紙幣が1枚ずつ筐体12の内部に繰り出されるようになっている。また、紙幣の出金処理を行う際には、筐体12の内部に設けられた搬送部16(後述)から紙幣が1枚ずつ投入口14に送られるようになっている。
また、投入口14にはシャッター機構(図示せず)が設けられており、このシャッター機構により投入口14の開閉が行われるようになっている。より具体的には、操作者が投入口14に紙幣を投入したり投入口14から紙幣を取り出したりする際には、シャッター機構が開いて投入口14が筐体12の外部に露出されるようになっている。一方、投入口14に集積された紙幣が1枚ずつ紙幣繰出機構14aにより筐体12の内部に繰り出されたり搬送部16(後述)から投入口14に紙幣が1枚ずつ送られたりする際には、シャッター機構が投入口14を塞ぐようになっている。
図1に示すように、筐体12の内部には、紙幣を1枚ずつ搬送するための搬送部16が設けられている。搬送部16には投入口14が接続されており、投入口14に集積され、紙幣繰出機構14aにより筐体12の内部に繰り出された紙幣は、搬送部16により搬送されるようになっている。また、搬送部16における各分岐箇所には分岐部材26、26aが設けられている。後述する制御部50により各分岐部材26、26aが制御されることによって、紙幣の搬送経路が決められるようになっている。
搬送部16には識別部18が設置されている。識別部18は、搬送部16で搬送される紙幣の金種や正損、真偽等を識別するようになっている。より具体的には、識別部18は、例えば、投入口14から筐体12の内部に繰り出された紙幣の金種や正損、真偽等を識別するようになっている。
図1に示すように、筐体12の前面には入金リジェクト口20が設けられている。この入金リジェクト口20は搬送部16に接続されている。そして、紙幣繰出機構14aにより筐体12の内部に繰り出された紙幣のうち、識別部18により正常な紙幣であると識別された紙幣以外の紙幣は、リジェクト紙幣として搬送部16により入金リジェクト口20に送られるようになっている。より具体的には、識別部18により偽券であると識別された紙幣や、識別部18により識別することができなかった紙幣、あるいは斜行や重送等の搬送異常が検出された紙幣は、リジェクト紙幣として搬送部16により入金リジェクト口20に送られるようになっている。
また、筐体12の内部には出金リジェクト部22が設けられており、この出金リジェクト部22は搬送部16に接続されている。そして、紙幣の出金処理モードにおいて、後述する収納部30から搬送部16に繰り出された紙幣のうち、識別部18により正常な紙幣であると識別された紙幣以外の紙幣(具体的には例えば斜行や重送等の搬送異常が検出された紙幣)は、搬送部16により出金リジェクト部22に送られるようになっている。
図1に示すように、筐体12の下部には複数の収納部30が収納されている。各収納部30はそれぞれ搬送部16に接続されており、搬送部16から送られた紙幣を積層状態で収納するとともに、収納された紙幣を1枚ずつ搬送部16に繰り出すようになっている。複数の収納部30は、入金一時保留部32、金種別収納部34a〜34cおよび金種混合収納部36から構成されている。
複数の収納部30のうち、入金一時保留部32は、投入口14により筐体12の外部から内部に投入され、識別部18により正常な紙幣であると識別された紙幣を一時的に保留するようになっている。そして、入金一時保留部32により一時的に保留された紙幣は、操作者によって後述する操作部52により紙幣の入金処理の確定がなされたときに、各金種別収納部34a〜34cや金種混合収納部36に送られるようになっている。
各金種別収納部34a〜34cは、それぞれ、予め設定された特定の金種の紙幣を収納するようになっている。より具体的に説明すると、各金種別収納部34a〜34cにはそれぞれ対応する紙幣の金種が予め設定されており、この設定された金種のみの紙幣を各金種別収納部34a〜34cはそれぞれ収納するようになっている。
一方、金種混合収納部36は、複数の金種の紙幣を混合して収納するようになっている。より具体的には、金種混合収納部36には、各金種別収納部34a〜34cにおいて設定されている金種とは異なる金種の紙幣が収納されるようになっている。また、各金種別収納部34a〜34cがフル状態となったときには、この金種別収納部34a〜34cに対応する金種の紙幣が搬送部16から金種混合収納部36に送られ、この金種混合収納部36に収納されるようになっている。
各収納部30にはそれぞれ紙幣繰出機構30aが設けられており、各収納部30に積層状態で収納された紙幣は紙幣繰出機構30aにより1枚ずつ搬送部16に繰り出すことができるようになっている。
また、筐体12の内部には一時集積部40が設けられている。この一時集積部40には搬送部16が接続されており、搬送部16から1枚ずつ送られた紙幣が一時集積部40に積層状態で集積されるようになっている。また、一時集積部40の近傍には帯封部44が設けられており、帯封部44は、一時集積部40から送られた紙幣の束を帯封して帯封紙幣を形成するようになっている。より具体的には、一時集積部40や帯封部44の近傍には移動自在の搬送アーム42が設けられており、搬送アーム42は、一時集積部40に集積された紙幣の束を帯封部44に搬送するようになっている。
帯封部44において、搬送アーム42上にある紙幣の束に対して帯封紙が供給され、この紙幣の束が帯封紙で巻かれるようになっている。そして、帯封紙で巻かれた紙幣の束は、上下一対の札締め部材(図示せず)により上下方向から挟圧されるとともに、ヒータ(図示せず)により加熱させられる。このことにより、帯封紙によって紙幣の束の帯封処理(結束処理)が行われ、帯封紙幣が形成されることとなる。
また、帯封部44には、帯封紙幣の帯封紙に対して印字を行うスタンプ44aが設けられている。前述のように帯封処理が行われた帯封紙幣はスタンプ44aに送られ、このスタンプ44aによって帯封紙幣の帯封紙に対して、銀行名や、正券か損券かを示す印等の印字が行われる。また、帯封部44には、帯封紙に日付やシリアルナンバー等の印字を行うための印字部分44bが設けられており、搬送アーム42上にある紙幣の束に対して帯封紙を供給する際に、供給される前の帯封紙に対して印字部分44bにより印字が行われるようになっている。
また、図1に示すように、筐体12の前面には、帯封部44により形成された帯封紙幣を筐体12の内部から外部に投出するための帯封紙幣投出口46が設けられている。帯封紙幣投出口46には、帯封部44から搬送アーム42により帯封紙幣が送られるようになっており、帯封紙幣投出口46には複数の帯封紙幣が積層状態で集積されるようになっている。そして、操作者は、帯封紙幣投出口46に集積された帯封紙幣を筐体12の外部から取り出すことができるようになっている。
帯封紙幣投出口46にはシャッター機構(図示せず)が設けられており、このシャッター機構により帯封紙幣投出口46の開閉が行われるようになっている。より具体的には、操作者が帯封紙幣投出口46から帯封紙幣を取り出す際には、シャッター機構が開いて帯封紙幣投出口46が筐体12の外部に露出されるようになっている。一方、紙幣の入金処理モードや出金処理モードにおいては、シャッター機構が帯封紙幣投出口46を塞ぐようになっている。
また、図1に示すように、紙幣処理装置10の各構成要素の制御を行う制御部50が筐体12の内部に設けられている。制御部50の構成について、図2を用いて説明する。
図2に示すように、制御部50には、投入口14に設けられた紙幣繰出機構14a、搬送部16、識別部18、各収納部30に設けられた紙幣繰出機構30a、搬送部16の各分岐箇所に設けられた分岐部材26、26a、投入口14や帯封紙幣投出口46に設けられたシャッター機構、搬送アーム42、帯封部44等が接続されている。また、制御部50には、操作部52、表示部54、インターフェース56が接続されている。ここで、識別部18により識別された紙幣の識別情報は制御部50に送られるようになっている。また、制御部50は、紙幣繰出機構14a、搬送部16、紙幣繰出機構30a、分岐部材26、26a、シャッター機構、搬送アーム42および帯封部44等に対してそれぞれ制御信号を送り、これらの構成要素の制御を行うようになっている。
操作部52は、操作者が制御部50に様々な指示を送るためのものであり、例えばキーボードや各種キー等により構成されている。また、表示部54は、紙幣処理装置10における様々な紙幣の処理状況、例えば各収納部30に収納されている紙幣の金種毎の枚数等を表示するようになっている。これらの操作部52および表示部54は紙幣処理装置10の筐体12の前面や上面に設けられている。なお、操作部52および表示部54は一体のものとなっていてもよい。具体的には、例えば筐体12の前面や上面にタッチパネルが設けられており、このタッチパネルに、紙幣処理装置10における様々な紙幣の処理状況が表示されるとともに、タッチパネルに表示される各種キーを押下することにより操作者が制御部50に様々な指示を送ることができるようになっていてもよい。
また、制御部50は、インターフェース56を介して、紙幣処理装置10とは別の外部装置(例えば、上位装置)と情報の送受信を行うことができるようになっている。
次に、上述のような構成からなる紙幣処理装置10の動作について説明する。紙幣処理装置10による処理の内容としては、概して、顧客から預かった紙幣を入金する入金処理モード、顧客に紙幣を支払うために収納部30から紙幣を出金する出金処理モード、紙幣の整理を行う整理処理モード等がある。なお、以下に示すような紙幣処理装置10の動作は、制御部50が紙幣処理装置10の各構成要素を制御することにより行われる。
まず、顧客から預かった紙幣を入金、収納する入金処理モードについて説明する。
入金処理モードにおいて、まず、紙幣処理装置10の投入口14のシャッター機構を開き、操作者が紙幣を投入口14に投入する。そして、シャッター機構を閉じると、投入口14に投入された紙幣は紙幣繰出機構14aにより1枚ずつ搬送部16に繰り出される。紙幣繰出機構14aにより搬送部16に繰り出された紙幣は当該搬送部16により搬送され、識別部18によりその金種や正損、真偽等の識別が行われる。識別部18により正常な紙幣であると識別された紙幣は、分岐部材26により入金一時保留部32に搬送される。入金一時保留部32において、搬送部16から送られた紙幣が積層状態で一時的に保留される。
一方、識別部18により正常な紙幣であると識別された紙幣以外の紙幣は、すなわち、識別部18により偽券であると識別された紙幣や、識別部18により識別することができなかった紙幣、あるいは斜行や重送等の搬送異常が検出された紙幣は、リジェクト紙幣として搬送部16により入金リジェクト口20に送られ、この入金リジェクト口20に集積される。そして、投入口14から紙幣が全て筐体12の内部に繰り出された後に、入金リジェクト口20に集積されたリジェクト紙幣は操作者により取り出されることとなる。
上述のような動作は、投入口14に投入された紙幣が全て筐体12の内部に繰り出されるまで行われる。そして、投入口14に投入された紙幣が全て筐体12の内部に繰り出されると、表示部54にこのことが表示される。そして、操作者が操作部52により「入金確定」の指令を制御部50に対して行うと、入金一時保留部32から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出機構30aにより繰り出され、この繰り出された紙幣はその金種に基づいて各金種別収納部34a〜34cに搬送され、これらの金種別収納部34a〜34cに収納される。一方、入金一時保留部32から繰り出された紙幣について、その金種が、金種別収納部34a〜34cにおける金種と一致しない場合や、対応する金種の金種別収納部34a〜34cがフル状態である場合には、この紙幣は金種混合収納部36に搬送され、この金種混合収納部36に金種混合状態で収納される。このようにして、紙幣の入金処理モードが終了する。
また、操作者が操作部52により「入金確定」の指令の代わりに「返却」の指令を制御部50に対して行うと、入金一時保留部32から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出機構30aにより繰り出され、この繰り出された紙幣は投入口14に戻される。そして、入金一時保留部32から投入口14に全ての紙幣が搬送された後に、この投入口14に設けられたシャッター機構が開くことによって、投入口14に戻された紙幣は操作者により取り出されることとなる。
次に、顧客に紙幣を支払うために収納部30から紙幣を出金する出金処理モードについて説明する。
出金処理モードにおいて、操作者が操作部52により制御部50に対して紙幣の出金処理の指令を与えると、収納部30の各金種別収納部34a〜34cや金種混合収納部36から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出機構30aにより搬送部16に繰り出され、繰り出された紙幣は識別部18により識別される。ここで、識別部18により識別された紙幣が正常な紙幣である場合には、この紙幣は搬送部16により投入口14に搬送され、投入口14に集積される。前述のように、投入口14は、筐体12の内部から外部に紙幣を投出するための投出口としても機能するようになっている。一方、識別部18により識別された紙幣が、正常な紙幣以外の紙幣である場合には、この紙幣は搬送部16により出金リジェクト部22に搬送される。そして、各金種別収納部34a〜34cや金種混合収納部36から、全ての紙幣または所定の合計金額の紙幣が繰り出されると、投入口14に設けられたシャッター機構が開くことによって、投入口14に集積された紙幣は操作者により出金紙幣として取り出される。このようにして、紙幣の出金処理モードが終了する。
次に、紙幣を整理する整理処理モードについて説明する。
まず、整理処理モードにおける入金処理について図3および図4を用いて説明する。図3は、図1および図2に示す紙幣処理装置10における、紙幣の整理処理モードにおける入金処理を行う際の動作を示すフローチャートであり、図4は、図3に示す紙幣の整理処理モードにおける入金処理を行う際の紙幣の流れを示す説明図である。
紙幣の入金処理を行う際には、まず、紙幣処理装置10の投入口14のシャッター機構を開き、操作者が紙幣を投入口14に投入する(図3のSTEP1)。そして、シャッター機構を閉じると、投入口14に投入された紙幣は紙幣繰出機構14aにより1枚ずつ搬送部16に繰り出される(図3のSTEP2)。紙幣繰出機構14aにより搬送部16に繰り出された紙幣は当該搬送部16により搬送され、識別部18によりその金種や正損、真偽等の識別が行われる(図3のSTEP3)。識別部18により正常な紙幣であると識別された紙幣は(図3のSTEP4の「YES」)、分岐部材26、26aにより入金一時保留部32に搬送される(図3のSTEP5および図4の太線(図4の符号A参照))。入金一時保留部32において、搬送部16から送られた紙幣が積層状態で一時的に保留される。
一方、識別部18により正常な紙幣であると識別された紙幣以外の紙幣は、すなわち、識別部18により偽券であると識別された紙幣や、識別部18により識別することができなかった紙幣、あるいは斜行や重送等の搬送異常が検出された紙幣は(図3のSTEP4の「NO」)、リジェクト紙幣として搬送部16により入金リジェクト口20に送られ(図3のSTEP6および図4の点線(図4の符号B参照))、この入金リジェクト口20に集積される。そして、紙幣の入金処理が終了した後に、入金リジェクト口20に集積されたリジェクト紙幣は操作者により取り出されることとなる。
図3のSTEP2〜STEP6に示すような動作は、投入口14に投入された紙幣が全て筐体12の内部に繰り出されるまで行われる(図3のSTEP7の「NO」)。そして、投入口14に投入された紙幣が全て筐体12の内部に繰り出されると(図3のSTEP7の「YES」)、表示部54にこのことが表示される。また、識別部18による識別結果に基づいて、入金一時保留部32に収納された紙幣の枚数が計数される。そして、操作者が操作部52により「入金確定」の指令を制御部50に対して行うと(図3のSTEP8の「YES」)、入金一時保留部32から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出機構30aにより繰り出され、この繰り出された紙幣はその金種に基づいて各金種別収納部34a〜34cに搬送され、これらの金種別収納部34a〜34cに収納される。一方、入金一時保留部32から繰り出された紙幣について、その金種が、金種別収納部34a〜34cにおける金種と一致しない場合や、対応する金種の金種別収納部34a〜34cがフル状態である場合には、この紙幣は金種混合収納部36に搬送され、この金種混合収納部36に金種混合状態で収納される(図3のSTEP9)。このようにして、紙幣の整理処理モードにおける入金処理が終了する。
また、操作者が操作部52により「入金確定」の指令の代わりに「返却」の指令を制御部50に対して行うと(図3のSTEP10の「YES」)、入金一時保留部32から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出機構30aにより繰り出され、この繰り出された紙幣は投入口14に戻される(図3のSTEP11)。そして、入金一時保留部32から投入口14に全ての紙幣が搬送された後に、この投入口14に設けられたシャッター機構が開くことによって、投入口14に戻された紙幣は操作者により取り出されることとなる。
上述のような実施の形態においては、投入口14に投入された紙幣を入金一時保留部32に収納するようにしたが、収納部30のうち、空の状態のものであればどれを使用してもよい。
次に、紙幣処理装置10における紙幣の整理処理モードのうち、出金処理について図5および図6を用いて説明する。図5は、図1および図2に示す紙幣処理装置10における、紙幣の整理処理モードにおける出金処理を行う際の動作を示すフローチャートであり、図6は、図5に示す紙幣の整理処理モードにおける出金処理を行う際の紙幣の流れを示す説明図である。
以下に示す紙幣の出金処理においては、図3および図4を用いて前述した整理処理モードにおける入金処理で入金一時保留部32に収納された紙幣を出金する場合について説明する。なお、各金種別収納部34a〜34cや金種混合収納部36に収納された紙幣を出金する場合についても、以下に示すような入金一時保留部32に収納された紙幣を出金する場合と同様の動作が行われる。
まず、制御部50において、入金一時保留部32に収納された紙幣の計数値に基づいて、帯封部44により帯封される紙幣の枚数を算出する(図5のSTEP1)。ここで、制御部50には、帯封部44において形成される帯封紙幣における紙幣の枚数が所定枚数として予め設定されている。具体的には、帯封部44において例えば100枚の紙幣が帯封されて帯封紙幣が形成される場合は、紙幣の所定枚数は100枚となる。そして、入金一時保留部32に収納された紙幣の計数値のうち前述の所定枚数の倍数の枚数の紙幣を、帯封部44により帯封される紙幣の枚数とし、残りの紙幣を端数の紙幣とする。具体的には、入金一時保留部32に収納された紙幣の計数値が例えば450枚であり、所定枚数が例えば100枚である場合には、帯封部44により帯封される紙幣の枚数は400枚となる。
ここで、上述のように算出された、帯封部44により帯封される紙幣の枚数が0である場合には、すなわち、入金一時保留部32に収納された紙幣の計数値が所定枚数よりも小さい場合には(図5のSTEP2の「YES」)、紙幣の帯封処理は行われない。この場合、後述するように、入金一時保留部32から投入口14に紙幣が送られるようになる(図5のSTEP11〜STEP13)。
一方、上述のように算出された、帯封部44により帯封される紙幣の枚数が0ではない場合には(図5のSTEP2の「NO」)、以下に示すような紙幣の帯封処理が行われる。具体的には、入金一時保留部32から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出機構30aにより繰り出され、繰り出された紙幣は識別部18により識別される(図5のSTEP3)。ここで、識別部18により識別された紙幣が正常な紙幣である場合には(図5のSTEP4の「YES」)、この紙幣は搬送部16により一時集積部40に搬送され(図5のSTEP5および図6の太線(図6の符号A参照))、一時集積部40において積層状態で集積される。そして、一時集積部40に集積された紙幣が所定枚数に達した場合には(図5のSTEP6の「YES」)、搬送アーム42により一時集積部40から帯封部44に紙幣の束を搬送し、帯封部44において紙幣の束の帯封処理を行う(図5のSTEP7)。このようにして帯封部44で形成された帯封紙幣は搬送アーム42により帯封紙幣投出口46に搬送される。上述のような紙幣の帯封処理は、前述のように紙幣の計数値により算出された、帯封されるべき枚数分の紙幣が実際に全て帯封されるまで行われる(図5のSTEP8の「NO」)。紙幣の計数値により算出された、帯封されるべき枚数分の紙幣が全て帯封された場合には(図5のSTEP8の「YES」)、入金一時保留部32に残った端数の紙幣については、後述するように一時集積部40ではなく投入口14に送られるようになる(図5のSTEP11〜STEP13)。
また、入金一時保留部32から繰り出され、識別部18により識別された紙幣が、正常な紙幣以外の紙幣である場合には、具体的には、例えば斜行や重送等の搬送異常が検出された紙幣である場合には(図5のSTEP4の「NO」)、この紙幣は搬送部16により入金リジェクト口20に搬送される(図5のSTEP9および図6の点線(図6の符号B参照))。この際に、制御部50により、入金一時保留部32に収納されている紙幣の枚数と、一時集積部40に集積されている紙幣の枚数の合計値が、所定枚数以上であるか否かの判断が行われる(図5のSTEP10)。紙幣が入金リジェクト口20に搬送されたとしても、入金一時保留部32に収納されている紙幣の枚数と、一時集積部40に集積されている紙幣の枚数の合計値が、所定枚数以上である場合には、入金一時保留部32から一時集積部40に紙幣を搬送するような動作が引き続き行われる(図5のSTEP10の「YES」)。一方、紙幣が入金リジェクト口20に搬送されたことにより、入金一時保留部32に収納されている紙幣の枚数と、一時集積部40に集積されている紙幣の枚数の合計値が、所定枚数より小さくなってしまう場合には(図5のSTEP10の「NO」)、入金一時保留部32から全ての紙幣を一時集積部40に送ったとしても一時集積部40に集積される紙幣の枚数は所定枚数に達しなくなり、帯封部44で所定枚数の帯封紙幣を形成することができなくなる。このため、このような場合は、入金一時保留部32から一時集積部40に紙幣を搬送するような動作を停止し、後述するような、入金一時保留部32から投入口14に紙幣を搬送するような動作を代わりに行うこととなる(図5のSTEP11〜STEP13)。この場合、一時集積部40には何枚かの紙幣が残ってしまうことになるが、投入口14と入金リジェクト口20に返却された紙幣を再度投入することにより、一時集積部40に対して所定枚数に達するだけの正常な紙幣が搬送されれば、紙幣を帯封することが可能となる。
上述のような紙幣の帯封処理を行った後、残りの端数の紙幣について、入金一時保留部32から投入口14に紙幣を搬送するような動作を行うこととなる。具体的には、入金一時保留部32から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出機構30aにより繰り出され、繰り出された紙幣は識別部18により識別される(図5のSTEP11)。そして、識別部18により識別された紙幣が正常な紙幣である場合でも正常な紙幣ではない場合でも、識別された紙幣は搬送部16により投入口14に搬送され(図5のSTEP12および図6の点線(図6の符号C参照))、投入口14に集積される。このような動作は、入金一時保留部32から全ての紙幣が繰り出されるまで行われる(図5のSTEP13の「NO」)。入金一時保留部32から全ての紙幣が繰り出されて投入口14に搬送されたら(図5のSTEP13の「YES」)、紙幣の整理処理モードにおける出金処理が終了する。
以上のように本実施の形態の紙幣処理装置10によれば、紙幣の整理処理モードを行う際に、投入口14により筐体12の内部に投入された紙幣を識別部18で識別した後に計数して入金一時保留部32等の収納部30に収納させるようになっている。また、その後、収納部30に収納された紙幣の計数値に基づいて帯封部44により帯封される紙幣の枚数を算出し、この算出された枚数分の紙幣について、入金一時保留部32等の収納部30から搬送部16に紙幣を1枚ずつ繰り出させ、搬送部16から一時集積部40に紙幣を搬送し、一時集積部40において集積された紙幣の枚数が所定枚数に達する度に帯封部44により所定枚数の紙幣の束を帯封させるようになっている。また、帯封部44により帯封される紙幣の枚数を搬送した後の残りの紙幣について、入金一時保留部32等の収納部30から搬送部16に紙幣を1枚ずつ繰り出させ、筐体12の外部からアクセス可能な箇所、すなわち、投入口14に搬送するようになっている。
このような紙幣処理装置10によれば、紙幣の整理処理モードを行う際に、収納部30に収納される紙幣の枚数を計数することができる。そして、紙幣を一時集積部40に集積させる際に、まず、収納部30に収納された紙幣の計数値に基づいて帯封部44により帯封される紙幣の枚数を算出する。そして、この算出された枚数分の紙幣について一時集積部40に搬送し、帯封部44により紙幣の束の帯封を行う。一方、帯封部44により帯封される紙幣が搬送された後の残りの紙幣について、筐体12の外部からアクセス可能な箇所、具体的には投入口14に搬送する。このように、帯封部44により帯封される紙幣が搬送された後の残りの紙幣については、紙幣の搬送先を、一時集積部40ではなく筐体12の外部からアクセス可能な箇所とすることにより、紙幣の帯封処理を行う際における端数の紙幣を一時集積部40に送る必要がなくなる。このように、端数の紙幣は、筐体12の外部からアクセス可能な箇所(具体的には投入口14)に搬送されるようになるので、操作者が端数の紙幣を容易に取り出すことができるようになる。また、端数の紙幣は一時集積部40に送られないので、紙幣の整理処理モードにおける処理時間を短くすることができる。
また、本実施の形態の紙幣処理装置10においては、搬送部16において、一時集積部40と、筐体12の外部からアクセス可能な箇所(具体的には投入口14)とが分岐している分岐箇所には分岐部材26aが設けられており、入金一時保留部32等の収納部30から搬送部16に繰り出させた紙幣の搬送先は、分岐部材26aにより一時集積部40と筐体12の外部からアクセス可能な箇所(具体的には投入口14)との間で切り替えられるようになっている。
なお、本実施の形態による紙幣処理装置は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
紙幣の整理処理モードにおける出金処理としては、収納部30に収納された紙幣の計数値に基づいて帯封部44により帯封される紙幣の枚数を算出し、この算出された枚数分の紙幣について、収納部30から一時集積部40に紙幣を搬送し、帯封部44により帯封される紙幣が搬送された後の残りの紙幣について、筐体12の外部からアクセス可能な箇所に搬送するようなものに限定されることはない。図7を用いて紙幣の整理処理モードにおける出金処理の他の例について説明する。図7は、図1および図2に示す紙幣処理装置10における、紙幣の整理処理モードにおける出金処理を行う際の他の動作を示すフローチャートである。
以下に示す紙幣の整理処理モードにおける出金処理においては、図3および図4を用いて前述した整理処理モードにおける入金処理で入金一時保留部32に収納された紙幣を出金する場合について説明する。なお、各金種別収納部34a〜34cや金種混合収納部36に収納された紙幣を出金する場合についても、以下に示すような入金一時保留部32に収納された紙幣を出金する場合と同様の動作が行われる。
まず、制御部50により、入金一時保留部32に収納されている紙幣の枚数と、予め設定された紙幣の所定枚数とについてどちらが大きいかが判断される(図7のSTEP1)。ここで、予め設定された紙幣の所定枚数とは、帯封部44において形成される帯封紙幣における紙幣の枚数のことをいう。すなわち、帯封部44において例えば100枚の紙幣が帯封されて帯封紙幣が形成される場合は、紙幣の所定枚数は100枚となる。
入金一時保留部32に収納されている紙幣の枚数が、予め設定された紙幣の所定枚数以上である場合には(図7のSTEP1の「YES」)、入金一時保留部32から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出機構30aにより繰り出され、繰り出された紙幣は識別部18により識別される(図7のSTEP2)。ここで、識別部18により識別された紙幣が正常な紙幣である場合には(図7のSTEP3の「YES」)、この紙幣は搬送部16により一時集積部40に搬送され(図7のSTEP4および図6の太線(図6の符号A参照))、一時集積部40において積層状態で集積される。そして、一時集積部40に集積された紙幣が所定枚数に達した場合には(図7のSTEP5の「YES」)、搬送アーム42により一時集積部40から帯封部44に紙幣の束を搬送し、帯封部44において紙幣の束の帯封処理を行う(図7のSTEP6)。このようにして帯封部44で形成された帯封紙幣は搬送アーム42により帯封紙幣投出口46に搬送される。帯封部44により紙幣の帯封処理を行った後、入金一時保留部32から全ての紙幣が繰り出されたか否かの判断が制御部50において行われる(図7のSTEP7)。入金一時保留部32から全ての紙幣が繰り出された場合には(図7のSTEP7の「YES」)、紙幣の出金処理が終了する。一方、入金一時保留部32に未だ紙幣が残っている場合には(図7のSTEP7の「NO」)、図7のSTEP1に示すように、制御部50により、入金一時保留部32に収納されている紙幣の枚数と、予め設定された紙幣の所定枚数とについてどちらが大きいかが再び判断される。
一方、入金一時保留部32から繰り出され、識別部18により識別された紙幣が、正常な紙幣以外の紙幣である場合には、具体的には、例えば斜行や重送等の搬送異常が検出された紙幣である場合には(図7のSTEP3の「NO」)、この紙幣は搬送部16により入金リジェクト口20に搬送される(図7のSTEP8および図6の点線(図6の符号B参照))。この際に、制御部50により、入金一時保留部32に収納されている紙幣の枚数と、一時集積部40に集積されている紙幣の枚数の合計値が、所定枚数以上であるか否かの判断が行われる(図7のSTEP9)。紙幣が入金リジェクト口20に搬送されたとしても、入金一時保留部32に収納されている紙幣の枚数と、一時集積部40に集積されている紙幣の枚数の合計値が、所定枚数以上である場合には、入金一時保留部32から一時集積部40に紙幣を搬送するような動作が引き続き行われる(図7のSTEP9の「YES」)。一方、紙幣が入金リジェクト口20に搬送されたことにより、入金一時保留部32に収納されている紙幣の枚数と、一時集積部40に集積されている紙幣の枚数の合計値が、所定枚数より小さくなってしまう場合には(図7のSTEP9の「NO」)、入金一時保留部32から全ての紙幣を一時集積部40に送ったとしても一時集積部40に集積される紙幣の枚数は所定枚数に達しなくなり、帯封部44で所定枚数の帯封紙幣を形成することができなくなる。このため、このような場合は、入金一時保留部32から一時集積部40に紙幣を搬送するような動作を停止し、後述するような、入金一時保留部32から投入口14に紙幣を搬送するような動作を代わりに行うこととなる(図7のSTEP10〜STEP12)。この場合、一時集積部40には何枚かの紙幣が残ってしまうことになるが、投入口14と入金リジェクト口20に返却された紙幣を再度投入することにより、一時集積部40に対して所定枚数に達するだけの正常な紙幣が搬送されれば、紙幣を帯封することが可能となる。
また、制御部50により、入金一時保留部32に収納されている紙幣の枚数と、予め設定された紙幣の所定枚数とについてどちらが大きいかを判断した際に、入金一時保留部32に収納されている紙幣の枚数が、予め設定された紙幣の所定枚数よりも小さい場合には(図7のSTEP1の「NO」)、入金一時保留部32から全ての紙幣を一時集積部40に送ったとしても、帯封部44で所定枚数の帯封紙幣を形成することができない。このため、入金一時保留部32から投入口14に紙幣を搬送するような動作を代わりに行うこととなる。具体的には、入金一時保留部32から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出機構30aにより繰り出され、繰り出された紙幣は識別部18により識別される(図7のSTEP10)。そして、識別部18により識別された紙幣が正常な紙幣である場合でも正常な紙幣ではない場合でも、識別された紙幣は搬送部16により投入口14に搬送され(図7のSTEP11および図6の点線(図6の符号C参照))、投入口14に集積される。このような動作は、入金一時保留部32から全ての紙幣が繰り出されるまで行われる(図7のSTEP12の「NO」)。入金一時保留部32から全ての紙幣が繰り出されて投入口14に搬送されたら(図7のSTEP12の「YES」)、紙幣の整理処理モードにおける出金処理が終了する。
以上のように図7のフローチャートに示すような紙幣の整理処理モードにおける出金処理の変形例によれば、紙幣の整理処理モードを行う際に、投入口14により筐体12の内部に投入された紙幣を識別部18で識別した後に入金一時保留部32等の収納部30に収納させるようになっている。また、その後、入金一時保留部32等の収納部30から搬送部16に紙幣を1枚ずつ繰り出させ、搬送部16から一時集積部40に紙幣を所定枚数毎に搬送し、帯封部44により所定枚数の紙幣の束を帯封させるようになっている。そして、紙幣を一時集積部40に集積させる際に、帯封部44により所定枚数の紙幣の帯封処理を行った後に収納部30に収納されている紙幣の枚数が所定枚数よりも少なくなったときに、収納部30から搬送部16に繰り出された紙幣の搬送先を、筐体12の外部からアクセス可能な箇所、すなわち投入口14に変えるようになっている。
このような紙幣の整理処理モードにおける出金処理の変形例においても、紙幣の整理処理モードを行う際に、収納部30に収納される紙幣の枚数を計数するようになっている。そして、紙幣を一時集積部40に集積させる際に、予め計数された、収納部30に収納されている紙幣の枚数に基づいて、帯封部44により所定枚数の紙幣の帯封処理を行った後に収納部30に収納されている紙幣の枚数が所定枚数以上であるか否かを制御部50により判断することができるようになる。そして、帯封部44により所定枚数の紙幣の帯封処理を行った後に収納部30に収納されている紙幣の枚数が所定枚数より少なくなったときに、紙幣の搬送先を、筐体12の外部からアクセス可能な箇所、具体的には投入口14に変えることにより、紙幣の帯封処理を行う際における端数の紙幣(所定枚数よりも少ない枚数の紙幣)を一時集積部40に送る必要がなくなる。このように、端数の紙幣は、筐体12の外部からアクセス可能な箇所(具体的には投入口14)に搬送されるようになるので、操作者が端数の紙幣を容易に取り出すことができるようになる。また、端数の紙幣は一時集積部40に送られないので、紙幣の整理処理モードにおける処理時間を短くすることができる。
また、紙幣の整理処理モードにおける出金処理として、以下に示すような更に他の方法を用いてもよい。このような紙幣の整理処理モードにおける出金処理の更に他の例について、図8を用いて説明する。図8は、図1および図2に示す紙幣処理装置10における、紙幣の整理処理モードにおける出金処理を行う際の更に他の動作を示すフローチャートである。
以下に示す紙幣の整理処理モードにおける出金処理においては、図3および図4を用いて前述した整理処理モードにおける入金処理で入金一時保留部32に収納された紙幣を出金する場合について説明する。なお、各金種別収納部34a〜34cや金種混合収納部36に収納された紙幣を出金する場合についても、以下に示すような入金一時保留部32に収納された紙幣を出金する場合と同様の動作が行われる。
まず、制御部50により、入金一時保留部32に収納されている紙幣の枚数、および一時集積部40に集積されている紙幣の枚数の合計値と、予め設定された紙幣の所定枚数とについてどちらが大きいかが判断される(図8のSTEP1)。ここで、予め設定された紙幣の所定枚数とは、帯封部44において形成される帯封紙幣における紙幣の枚数のことをいう。すなわち、帯封部44において例えば100枚の紙幣が帯封されて帯封紙幣が形成される場合は、紙幣の所定枚数は100枚となる。
入金一時保留部32に収納されている紙幣の枚数と一時集積部40に集積されている紙幣の枚数の合計値が、予め設定された紙幣の所定枚数以上である場合には(図8のSTEP1の「YES」)、入金一時保留部32から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出機構30aにより繰り出され、繰り出された紙幣は識別部18により識別される(図8のSTEP2)。ここで、識別部18により識別された紙幣が正常な紙幣である場合には(図8のSTEP3の「YES」)、この紙幣は搬送部16により一時集積部40に搬送され(図8のSTEP4および図6の太線(図6の符号A参照))、一時集積部40において積層状態で集積される。そして、一時集積部40に集積された紙幣が所定枚数に達した場合には(図8のSTEP5の「YES」)、搬送アーム42により一時集積部40から帯封部44に紙幣の束を搬送し、帯封部44において紙幣の束の帯封処理を行う(図8のSTEP6)。このようにして帯封部44で形成された帯封紙幣は搬送アーム42により帯封紙幣投出口46に搬送される。一方、入金一時保留部32から繰り出され、識別部18により識別された紙幣が、正常な紙幣以外の紙幣である場合には、具体的には、例えば斜行や重送等の搬送異常が検出された紙幣である場合には(図8のSTEP3の「NO」)、この紙幣は搬送部16により入金リジェクト口20に搬送される(図8のSTEP7および図6の点線(図6の符号B参照))。
入金一時保留部32から繰り出され、識別部18により識別された紙幣が、一時集積部40または入金リジェクト口20に搬送された後、入金一時保留部32から全ての紙幣が繰り出されたか否かの判断が制御部50において行われる(図8のSTEP8)。入金一時保留部32から全ての紙幣が繰り出された場合には(図8のSTEP8の「YES」)、紙幣の出金処理が終了する。一方、入金一時保留部32に未だ紙幣が残っている場合には(図8のSTEP8の「NO」)、図8のSTEP1に示すように、制御部50により、入金一時保留部32に収納されている紙幣の枚数および一時集積部40に集積されている紙幣の枚数の合計値と、予め設定された紙幣の所定枚数とについてどちらが大きいかが再び判断される。
制御部50により、入金一時保留部32に収納されている紙幣の枚数および一時集積部40に集積されている紙幣の枚数の合計値と、予め設定された紙幣の所定枚数とについてどちらが大きいかを判断した際に、入金一時保留部32に収納されている紙幣の枚数と、一時集積部40に集積されている紙幣の枚数の合計値が、予め設定された紙幣の所定枚数よりも小さい場合には(図8のSTEP1の「NO」)、入金一時保留部32から全ての紙幣を一時集積部40に送ったとしても、帯封部44で所定枚数の帯封紙幣を形成することができない。このため、入金一時保留部32から投入口14に紙幣を搬送するような動作を代わりに行うこととなる。具体的には、入金一時保留部32から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出機構30aにより繰り出され、繰り出された紙幣は識別部18により識別される(図8のSTEP9)。そして、識別部18により識別された紙幣が正常な紙幣である場合でも正常な紙幣ではない場合でも、識別された紙幣は搬送部16により投入口14に搬送され(図8のSTEP10および図6の点線(図6の符号C参照))、投入口14に集積される。このような動作は、入金一時保留部32から全ての紙幣が繰り出されるまで行われる(図8のSTEP11の「NO」)。入金一時保留部32から全ての紙幣が繰り出されて投入口14に搬送されたら(図8のSTEP11の「YES」)、紙幣の出金処理が終了する。なお、一時集積部40に何枚かの紙幣が残ってしまう場合には、投入口14と入金リジェクト口20に返却された紙幣を再度投入することにより、一時集積部40に対して所定枚数に達するだけの正常な紙幣が搬送されれば、紙幣を帯封することが可能となる。
以上のように、図8のフローチャートに示すような紙幣の整理処理モードにおける出金処理の変形例によれば、紙幣の整理処理モードを行う際に、投入口14により筐体12の内部に投入された紙幣を識別部18で識別した後に入金一時保留部32等の収納部30に収納させるようになっている。また、その後、入金一時保留部32等の収納部30から搬送部16に紙幣を1枚ずつ繰り出させ、一時集積部40に集積されている紙幣の枚数と収納部30に収納されている紙幣の枚数の合計値が所定枚数以上であるときに収納部30から繰り出された紙幣を一時集積部40に搬送し、一時集積部40に集積されている紙幣の枚数と収納部30に収納されている紙幣の枚数の合計値が所定枚数よりも少ないときに、収納部30から繰り出された紙幣を、筐体12の外部からアクセス可能な箇所、すなわち投入口14に搬送するようになっている。
このような紙幣の整理処理モードにおける出金処理の変形例においても、紙幣の整理処理モードを行う際に、収納部30に収納される紙幣の枚数を計数するようになっている。そして、紙幣を一時集積部40に集積させる際に、予め計数された、収納部30に収納されている紙幣の枚数に基づいて、一時集積部40に集積されている紙幣の枚数と収納部30に収納されている紙幣の枚数の合計値が所定枚数以上であるか否かを制御部50により判断することができるようになる。そして、一時集積部40に集積されている紙幣の枚数と収納部30に収納されている紙幣の枚数の合計値が所定枚数より少なくなったときに、紙幣の搬送先を、筐体12の外部からアクセス可能な箇所、具体的には投入口14に変えることにより、紙幣の帯封処理を行う際における端数の紙幣(所定枚数よりも少ない枚数の紙幣)を一時集積部40に送る必要がなくなる。このように、端数の紙幣は、筐体12の外部からアクセス可能な箇所(具体的には投入口14)に搬送されるようになるので、操作者が端数の紙幣を容易に取り出すことができるようになる。また、端数の紙幣は一時集積部40に送られないので、紙幣の整理処理モードにおける処理時間を短くすることができる。
また、図1および図2に示す紙幣処理装置10では、投入口14は、紙幣を筐体12の内部から外部に投出するための投出口の機能をも有しているが、このような例に限定されることはない。例えば、紙幣を出金する際にバラ紙幣を筐体12の外部に投出するための投出口が投入口14とは別に設けられていてもよい。この場合、紙幣の整理処理モードにおいて出金処理を行う際に、収納部30から搬送部16に繰り出された紙幣の搬送先は投入口14ではなく前述の投出口となる。
また、筐体12の外部からアクセス可能な箇所の更に他の例として、入金リジェクト口20を用いてもよい。この場合、紙幣の整理処理モードにおいて出金処理を行う際に、収納部30から搬送部16に繰り出された紙幣の搬送先は投入口14ではなく入金リジェクト口20となる。
また、制御部50は、上述のような制御を行うことに限定されることはない。例えば、制御部50は、整理処理モードの際に、上述のような制御に加えて、以下に示すような小枚数帯封処理を選択的に行うことができるようになっていてもよい。ここで、小枚数帯封処理とは、図5のフローチャートに示すような処理を行う場合において、帯封部44により帯封される紙幣が搬送された後の残りの紙幣についても一時集積部40に搬送させ、帯封部44により所定枚数よりも少ない枚数の紙幣の帯封を行わせるような処理のことをいう。また、図7のフローチャートに示すような処理を行う場合は、小枚数帯封処理とは、帯封部44により所定枚数の紙幣の帯封処理を行った後に収納部30に収納されている紙幣の枚数が所定枚数よりも少なくなった場合でも(図7のSTEP1の「NO」)、収納部30から搬送部16に繰り出された紙幣を一時集積部40に搬送させ、帯封部44により所定枚数よりも少ない枚数の紙幣の帯封を行わせるような処理のことをいう。また、図8のフローチャートに示すような処理を行う場合は、小枚数帯封処理とは、一時集積部40に集積されている紙幣の枚数と収納部30に収納されている紙幣の枚数の合計値が所定枚数より少なくなった場合でも(図8のSTEP1の「NO」)、収納部30から搬送部16に繰り出された紙幣を一時集積部40に搬送させ、帯封部44により所定枚数よりも少ない枚数の紙幣の帯封を行わせるような処理のことをいう。
具体的には、図5のフローチャートに示すような処理を行う場合において、入金一時保留部32に収納された紙幣の計数値が例えば450枚であり、帯封部44により帯封される紙幣の枚数が400枚になると算出された場合でも、残りの50枚の紙幣について、この50枚の紙幣を全て一時集積部40に搬送させ、搬送アーム42により一時集積部40から帯封部44に50枚の紙幣の束を搬送し、帯封部44において50枚の紙幣の束の帯封処理を行う。この際に、帯封部44に設けられた印字部分44bにより、50枚の紙幣の束に送られる前の帯封紙に帯封枚数(すなわち、「50枚」という文字)が印字される。このようにして、紙幣の枚数が50枚であるような帯封紙幣が形成される。帯封部44で形成された帯封紙幣は搬送アーム42により帯封紙幣投出口46に搬送される。
なお、前述のような小枚数帯封処理を行うか否かは、操作者が操作部52により選択することができるようになっている。具体的には、例えば図5のフローチャートに示すような処理を行う場合において、入金一時保留部32に収納された紙幣の枚数が計数された後、この紙幣の計数値が表示部54に表示されるとともに、帯封部44により帯封される紙幣の枚数および残りの端数の紙幣の枚数が表示部54に表示される。そして、表示部54には、操作者に対して小枚数帯封処理を行うか否かの選択を促すようなメッセージが表示される。そして、操作者が操作部52により小枚数帯封処理を行うことを選択した場合には、上述のような小枚数帯封処理が行われる。一方、操作者が操作部52により小枚数帯封処理を行わないことを選択した場合には、残りの端数の紙幣については投入口14に送るような動作が行われることとなる。